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  • 特開-車両用表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024885
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240216BHJP
   H03M 1/10 20060101ALI20240216BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20240216BHJP
【FI】
B60R11/02 C
H03M1/10 C
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127837
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桐野 宏規
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5J022
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D020BE03
3D344AA19
3D344AA26
3D344AA27
3D344AD01
3D344AD13
5J022AA01
5J022AC04
(57)【要約】
【課題】 ADコンバータ回路に入力された基準電圧が降下した場合であっても、誤った計測値の表示を防ぐ。
【解決手段】 本開示の車両用表示装置Mは、車両情報を表示する表示部4と、基準電源RVを出力する安定化電源1と、前記基準電源RVを基準電圧V2としてAD変換するADコンバータ回路2と、前記ADコンバータ回路2によってAD変換されたデジタル信号Dが入力され、前記デジタル信号Dに基づいて計測した車両情報を前記表示部4に表示させる制御部3と、を備える。前記安定化電源1は、前記基準電源RVの電圧V2が規定値以上か否かを出力するフラグ信号PGを前記制御部3に出力する。前記制御部3は、前記フラグ信号PGに基づいて前記基準電源RVの異常を検出すると、前記ADコンバータ回路2によってAD変換されたデジタル信号Dが異常であると判定する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示する表示部と、
基準電源を出力する安定化電源と、
前記基準電源を基準電圧としてAD変換するADコンバータ回路と、
前記ADコンバータ回路によってAD変換されたデジタル信号が入力され、前記デジタル信号に基づいて計測した車両情報を前記表示部に表示させる制御部と、
を備えた車両用表示装置であって、
前記安定化電源は、前記基準電源の電圧が規定値以上か否かを出力するフラグ信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記フラグ信号に基づいて前記基準電源の異常を検出すると、前記ADコンバータ回路によってAD変換されたデジタル信号が異常であると判定する、
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、異なる時間に入力された複数の前記デジタル信号から構成される時系列データに基づいて前記車両情報を計測し、
前記制御部は、前記基準電源の異常を検出している間の前記デジタル信号を、前記時系列データから除外する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記安定化電源は、車載バッテリから供給された電源を前記基準電源に変圧して出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示装置において、AD(Analog to Digital)コンバータ回路の基準電圧が降下した場合に、誤った計測値の表示を防ぐ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された車両用表示装置は、燃料センサから出力されたアナログ信号をADコンバータ回路によりAD変換して残燃料量を算出し、この残燃料量を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-122929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ADコンバータ回路に入力される基準電圧が降下してしまうと、入力されたアナログ信号を誤ったデジタル値に変換してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、ADコンバータ回路に入力された基準電圧が降下した場合であっても、誤った計測値の表示を防ぐ車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の車両用表示装置は、
車両情報を表示する表示部と、
基準電源を出力する安定化電源と、
前記基準電源を基準電圧としてAD変換するADコンバータ回路と、
前記ADコンバータ回路によってAD変換されたデジタル信号が入力され、前記デジタル信号に基づいて計測した車両情報を前記表示部に表示させる制御部と、
を備えた車両用表示装置であって、
前記安定化電源は、前記基準電源の電圧が規定値以上か否かを出力するフラグ信号を前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記フラグ信号に基づいて前記基準電源の異常を検出すると、前記ADコンバータ回路によってAD変換されたデジタル信号が異常であると判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ADコンバータ回路に入力された基準電圧が降下した場合であっても、誤った計測値の表示を防ぐ車両用表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両用表示装置の電気的構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
車両用表示装置Mは、車両情報を表示する計器であり、車両のインストルメントパネルに内蔵されている。車両情報とは、例えば、車両の走行速度、エンジン回転数、バッテリ電圧、残燃料量、タイヤ空気圧、経路案内情報、などの車両の運転に関わる情報である。
【0010】
車両用表示装置Mは、安定化電源1、ADコンバータ回路2、制御部3、表示部4を備える。
【0011】
安定化電源1は、例えば、スイッチング電源回路などの直流安定化電源である。安定化電源1は、車両に搭載されたバッテリBATからバッテリ電圧V1のバッテリ電源が供給され、このバッテリ電源を基準電圧V2に変圧して基準電源RVとして出力する。バッテリ電圧V1は、バッテリの劣化や充電状況によって変動し、通常12V~9Vである。基準電圧V2は、5Vである。
【0012】
安定化電源1は、入力されたバッテリ電源V1を変圧して基準電源RVとして出力するにあたって、出力電圧が設定した電圧値(ここでは基準電圧V2)に到達した時点でフラグ信号PGを制御部3に出力するパワーグッド出力機能を有する。
【0013】
パワーグッド出力機能は、HI信号またはLO信号を出力するものである。パワーグッド出力機能は、出力電圧が設定した電圧値に満たない場合はLO信号をフラグ信号PGとして出力する。パワーグッド出力機能は、出力電圧が設定した電圧値以上である場合はHI信号をフラグ信号PGとして出力する。
【0014】
ADコンバータ回路2は、入力されたアナログ信号Aを離散的なデジタル信号Dに変換する回路である。
【0015】
第1ADコンバータ回路21は、バッテリBATから出力された電源が分圧回路を介してアナログ信号A1として入力される。第1ADコンバータ回路21は、アナログ信号A1をデジタル信号D1に変換し、制御部3に出力する。
【0016】
第2ADコンバータ回路22は、残燃料センサSENから出力された残燃料に関するアナログ信号A2が入力される。第2ADコンバータ回路22は、アナログ信号A2をデジタル信号D2に変換し、制御部3に出力する。
【0017】
制御部3は、マイクロコントローラなどの制御集積回路である。制御部3は、図示しない安定化電源1とは別の安定化電源から電源を供給される。
【0018】
表示部4は、画像を表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイである。制御部4は、図示しない安定化電源1とは別の安定化電源から電源を供給される。
【0019】
次に、制御部3が車両情報を表示部4に表示する制御について説明する。ここでは、その一例としてバッテリ電圧及び残燃料量について例示する。
【0020】
(バッテリ電圧の表示)
制御部3は、フラグ信号PGがHI信号である間に第1ADコンバータ回路21から入力されたバッテリ電圧に関するデジタル信号D1については、正常であると判定し、時系列データTvとして保持する。この時系列データTvは、直近に入力された5回分のデータ群である。
【0021】
制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である間に第1ADコンバータ回路21から入力されたバッテリ電圧に関するデジタル信号D1については、第1ADコンバータ回路21によってAD変換されたデジタル信号D1が異常であると判定し、時系列データTvとして保持せず廃棄する。つまり、制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である間に第1ADコンバータ回路21から入力されたバッテリ電圧に関するデジタル信号D1については時系列データTvから除外する。
【0022】
制御部3は、時系列データTvの移動平均した値に基づいて算出したバッテリ電圧を表示部4に表示させる。この移動平均は、単純移動平均であってもよいし、指数移動平均であってもよい。
【0023】
また、制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である時間が所定の時間(例えば、5秒)以上である場合、バッテリ電圧の表示を中止し、表示部4にバッテリ電圧の検出回路に故障が生じている旨のエラー表示をさせる。制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である時間が所定の時間(例えば、5秒)未満である場合は、時系列データTvの移動平均した値に基づいて算出したバッテリ電圧の表示が維持される。
【0024】
さらに、制御部3は、エラー表示を開始してから、フラグ信号PGがHI信号である時間が所定の時間(例えば5秒)経過すると、再び、時系列データTvの移動平均した値に基づいて算出したバッテリ電圧を表示部4に表示させる。
【0025】
(残燃料量の表示)
制御部3は、フラグ信号PGがHI信号である間に第2ADコンバータ回路22から入力された残燃料に関するデジタル信号D2については、正常であると判定し、時系列データTfとして保持する。この時系列データTfは、直近に入力された10回分のデータ群である。
【0026】
制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である間に第2ADコンバータ回路22から入力された残燃料に関するデジタル信号D2については、第2ADコンバータ回路22によってAD変換されたデジタル信号D2が異常であると判定し、時系列データTfとして保持せず廃棄する。つまり、制御部3は、フラグ信号PGがLO信号である間に第2ADコンバータ回路22から入力された残燃料に関するデジタル信号D2については時系列データTfから除外する。
【0027】
制御部3は、時系列データTfの移動平均した値に基づいて算出した残燃料量を表示部4に表示させる。この移動平均は、単純移動平均であってもよいし、指数移動平均であってもよい。
【0028】
また、制御部3は、第2ADコンバータ回路22によってAD変換されたデジタル信号D2が異常であると判定された回数が連続で10回以上となると、表示部4に残燃料量の検出回路に故障が生じている旨のエラー表示をさせる。つまり、制御部3は、時系列データTfとして保持する最大回数以上の異常なデジタル信号D2が連続で入力された場合に故障と判定する。
【0029】
さらに、制御部3は、エラー表示を開始してから、第2ADコンバータ回路22によってAD変換されたデジタル信号D2が正常であると判定された回数が連続で10回以上となると、再び、時系列データTfの移動平均した値に基づいて算出した残燃料量を表示部4に表示させる。
【0030】
以上が、本開示の車両用表示装置Mの第1実施形態に関する説明である。
【0031】
本開示の車両用表示装置Mは、
車両情報を表示する表示部4と、
基準電源RVを出力する安定化電源1と、
前記基準電源RVを基準電圧V2としてAD変換するADコンバータ回路2と、
前記ADコンバータ回路2によってAD変換されたデジタル信号Dが入力され、前記デジタル信号Dに基づいて計測した車両情報を前記表示部4に表示させる制御部3と、を備えた車両用表示装置である。
前記安定化電源1は、前記基準電源RVの電圧V2が規定値以上か否かを出力するフラグ信号PGを前記制御部3に出力し、
前記制御部3は、前記フラグ信号PGに基づいて前記基準電源RVの異常を検出すると、前記ADコンバータ回路2によってAD変換されたデジタル信号Dが異常であると判定する。
【0032】
このように構成することで、ADコンバータ回路2に入力された基準電圧RVが降下した場合であっても、誤った計測値の表示を防ぐことができる。
【0033】
(他の実施形態)
本開示の車両用表示装置Mは、以下の変更をしてもよい。
【0034】
残燃料センサSENに代えて、他のセンサを用いてもよい。例えば、車速を検出するセンサやタイヤ空気圧を検出するセンサであってもよい。あるいは、車両の機能を制御する操作スイッチの操作状態を検出するセンサであってもよい。
【0035】
安定化電源1が供給する基準電源RVの基準電圧V2は、制御部3の動作電圧よりも高い電源であることが好ましい。しかしながら、基準電圧V2が制御部3の動作電圧と同等の場合は、安定化電源1が制御部3に電源を供給するようにしてもよい。
【0036】
表示部4は、画像を表示するディスプレイに限らず、他の表示器であってもよい。例えば、文字板と、文字板を指示する指針によって構成された指針式計器であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
M …車両用表示装置
1 …安定化電源回路
2 …ADコンバータ回路
21 …第1ADコンバータ回路
22 …第2ADコンバータ回路
3 …制御部
4 …表示部
BAT…車載バッテリ
SEN…センサ
図1