(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024891
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240216BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127845
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】情野 健朗
(72)【発明者】
【氏名】川崎 智弘
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB04
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC28
2C056KB04
2C056KB16
2C056KB35
2C056KB37
2C061AQ05
2C061HK11
2C061HV01
2C061HV44
(57)【要約】
【課題】傾いた姿勢で使用される虞を低減することができる記録装置を提供する。
【解決手段】媒体12に記録を行う記録部24と、水平面に対する傾きを傾き判定値として出力する傾き検知部23と、制御部19と、を備え、制御部19は、第1動作として、傾き検知部23から傾き判定値を取得し、第1動作の後、第2動作として、傾き判定値が、傾き検知部23が故障している場合に出力される故障値と一致するかどうかを判定し、傾き判定値と故障値が一致する場合に、傾き検知部23が故障していると判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録部と、
水平面に対する傾きを傾き判定値として出力する傾き検知部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
第1動作として、前記傾き検知部から前記傾き判定値を取得し、
前記第1動作の後、第2動作として、前記傾き判定値が、前記傾き検知部が故障している場合に出力される故障値と一致するかどうかを判定し、前記傾き判定値と前記故障値が一致する場合に、前記傾き検知部が故障していると判断することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記傾き検知部は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向の角度をそれぞれ第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値として取得する加速度センサーであり、
前記制御部は、前記第2動作として、前記第3傾き判定値と前記故障値とが一致するかどうかを判定し、前記第3傾き判定値と前記故障値が一致する場合に、前記傾き検知部が故障していると判断することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録装置の電源がオンされると、前記第1動作および前記第2動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録装置が所定の時間操作されない場合に前記記録装置を省電力モードに切り替える処理を実行可能であり、前記省電力モードから通常の電力モードに復帰させる際に、前記第1動作および前記第2動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録装置の内部へアクセス可能にする開状態と、前記記録装置の内部へアクセス不可能にする閉状態と、に変位可能なカバーを備え、
前記制御部は、前記カバーが前記開状態から前記閉状態へ変位した際に、前記第1動作および前記第2動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記録部により記録が行われる前に、前記第1動作および前記第2動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録部は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記液体吐出部により前記液体の吐出が行われる前に、前記第1動作および前記第2動作を行うことを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2動作において、前記第3傾き判定値と前記故障値が一致しなかった場合に、第3動作として前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかどうかを判定することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が前記第1許容範囲外である場合に、前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が異常値であるかを判定し、
前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が前記異常値でない場合は、前記記録装置が前記水平面に対して傾いていると判断し、
前記第1傾き判定値と前記第2傾き判定値の少なくとも一方が前記異常値である場合は、前記第3傾き判定値が第2許容範囲内であるかを判定し、前記第3傾き判定値が前記第2許容範囲外である場合に前記記録装置が前記水平面に対して傾いていると判断することを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
前記傾き検知部が故障していることを報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1~請求項10のうち何れか一項に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録装置が傾いていることを報知する報知部を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターなどの記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、媒体の一例である印刷用紙に液体の一例であるインクを吐出して画像を記録する記録装置の一例であるプリンターがある。プリンターは、傾き検知部の一例である傾きセンサーを備える。傾きセンサーは、水平方向に対するプリンターの傾きを検出する。プリンターは、傾きセンサーが検出した傾斜度が許容範囲である場合に印刷を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録装置は、傾いた姿勢のまま使用されると、液体が漏れたり、媒体が搬送されなかったりして適切に記録を行うことができない虞がある。しかし、傾き検知部が故障している場合は、記録装置の姿勢を正常に検知することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、水平面に対する傾きを傾き判定値として出力する傾き検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、第1動作として、前記傾き検知部から前記傾き判定値を取得し、前記第1動作の後、第2動作として、前記傾き判定値が、前記傾き検知部が故障している場合に出力される故障値と一致するかどうかを判定し、前記傾き判定値と前記故障値が一致する場合に、前記傾き検知部が故障していると判断する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】姿勢検知ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態]
以下、記録装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。記録装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。図面では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0008】
<記録装置>
図1に示すように、記録装置11は、媒体12を収容可能な1以上の媒体収容部13を備えてもよい。記録装置11は、スタッカー14と、報知部15と、画像読取部16と、自動給送部17と、を備えてもよい。
【0009】
媒体収容部13は、例えばカセットである。媒体収容部13は、印刷前の媒体12の束を収容してもよい。スタッカー14は、印刷された媒体12を受容する。報知部15は、記録装置11に関する情報を報知してもよい。報知部15は、記録装置11を操作するためのタッチパネルであってもよい。画像読取部16は、原稿の画像を読み取る。自動給送部17は、画像読取部16に画像を送る。
【0010】
記録装置11は、記録装置11で実行される各種動作を制御する制御部19を備える。
制御部19は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0011】
制御部19は、記録装置11が所定の時間操作されない場合に記録装置11を省電力モードに切り替える処理を実行可能であってもよい。省電力モードに切り替えるための所定時間は、作業者が設定してもよい。制御部19は、省電力モードにおいて記録装置11が操作された場合に、記録装置11を通常の電力モードに切り替えてもよい。
【0012】
記録装置11は、装着部21と、カバー22と、を備えてもよい。記録装置11は、傾き検知部23と、記録部24と、を備える。
装着部21には、1以上の液体収容体26が着脱可能に装着される。本実施形態の装着部21には、4つの液体収容体26が装着可能である。本実施形態の液体収容体26は、液体を収容可能なカートリッジである。複数の液体収容体26には、それぞれ、種類の異なる液体を収容してもよい。種類の異なる液体とは、例えば色の異なるインクである。
【0013】
カバー22は、
図1に示す閉状態と、図示しない開状態と、に変位可能であってもよい。閉状態のカバー22は、記録装置11の内部へアクセス不可能にする。閉状態のカバー22は、装着部21を覆う。開状態のカバー22は、記録装置11の内部へアクセス可能にする。開状態のカバー22は、装着部21を外部に開放する。作業者は、カバー22を開状態にすることにより、複数の液体収容体26を個別に交換できる。
【0014】
傾き検知部23は、記録装置11の姿勢の傾きを検知する。本実施形態では、記録装置11の基準の姿勢を水平姿勢ともいう。傾き検知部23は、水平面に対する傾きを傾き判定値として出力する。本実施形態の傾き検知部23は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向の角度をそれぞれ第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値として取得する加速度センサーである。
【0015】
<記録部>
図2に示すように、記録部24は、液体吐出部28を備えてもよい。液体吐出部28は、液体を吐出可能なノズル29を有する。液体吐出部28は、1以上のノズル29から滴状の液体を吐出することで媒体12に記録を行ってもよい。すなわち、記録部24は、媒体12に記録を行う。
【0016】
液体吐出部28は、ノズル29が開口するノズル面30が水平面に対して傾斜する姿勢で配置されてもよい。液体吐出部28は、媒体12の幅方向に亘って設けられるラインタイプであってもよい。液体吐出部28は、媒体12の幅方向に移動しながら印刷を行うシリアルタイプであってもよい。
【0017】
<メンテナンス部>
記録装置11は、メンテナンス部32を備えてもよい。
メンテナンス部32は、記録部24のメンテナンスを行う。メンテナンス部32は、フラッシング、加圧クリーニングなどに伴ってノズル29から吐出される液体を受容してもよい。フラッシングとは、滴状の液体をノズル29から飛ばすように吐出させるメンテナンスである。フラッシングは、例えば、記録前、記録中、記録後などに実行される。加圧クリーニングは、加圧した液体を液体吐出部28に供給することによって、液体がノズル29から溢れるように吐出させるメンテナンスである。加圧クリーニングは、例えば、記録前、記録後などに実行される。
【0018】
<液体収容体>
液体収容体26は、収容室34と、導出部35と、収容部側バルブ36と、を備えてもよい。
【0019】
収容室34は、液体を収容する。本実施形態の収容室34は、大気と非連通の密閉空間である。導出部35は、収容室34に収容される液体を導出する。収容部側バルブ36は、導出部35に設けられる。収容部側バルブ36は、液体収容体26が装着部21に装着されることで開弁してもよい。
【0020】
<供給機構>
記録装置11は、供給機構38を備えてもよい。供給機構38は、液体収容体26に収容される液体を記録部24に供給する。記録装置11は、複数の供給機構38を備えてもよい。複数の供給機構38は、それぞれ異なる液体収容体26に収容される液体を記録部24に供給してもよい。
【0021】
供給機構38は、支持部40と、第1貯留部41と、第2貯留部42と、第3貯留部43と、を備えてもよい。供給機構38は、連通路44と、供給流路45と、回収流路46と、第1バルブ47と、第2バルブ48と、第3バルブ49と、を備えてもよい。第1貯留部41、連通路44、第2貯留部42、供給流路45、液体吐出部28、回収流路46、及び第3貯留部43は、液体を循環可能な循環経路を構成してもよい。
【0022】
支持部40は、第1貯留部41、第2貯留部42、及び傾き検知部23を支持してもよい。
第1貯留部41は、導入部51と、装置側バルブ52と、第1貯留室53と、液量センサー54と、を備えてもよい。
【0023】
装置側バルブ52は、導入部51に設けられてもよい。装置側バルブ52は、液体収容体26が装着部21に装着されることで開弁してもよい。第1貯留室53は、液体を貯留する。導入部51は、液体収容体26が装着部21に装着されることで、液体収容体26が備える導出部35に接続される。導入部51は、装着部21に装着された液体収容体26が収容する液体を導入可能である。導入部51の下端は、ノズル面30よりも下方に位置する。第1貯留部41内に貯留される液体の第1液面56は、ノズル面30よりも低い範囲で変動する。液体収容体26内の液体は、水頭により導出部35及び導入部51を介して第1貯留部41に供給される。
【0024】
液体収容体26には、第1貯留部41に供給した液体の分だけ、導入部51及び導出部35を介して第1貯留部41から空気が導入される。第1液面56は、供給された液体の分だけ上昇する。第1液面56が導入部51の下端に達すると、第1貯留部41から液体収容体26への空気の流入が制限される。収容室34は密閉されているため、空気の流入が制限されると、供給した液体の分だけ収容室34内の圧力は低下する。収容室34内の負圧が、収容室34内の液体の水頭より大きくなると、液体収容体26から第1貯留部41への液体の供給が制限される。
【0025】
第1液面56は、第1貯留部41から第2貯留部42に液体が供給されることで下降する。第1液面56が下降し、導入部51及び導出部35を介して収容室34に空気が流入すると、収容室34内の負圧が小さくなる。収容室34内の負圧が収容室34内の液体の水頭より小さくなると、液体収容体26から第1貯留部41に液体が供給される。したがって、液体収容体26に液体が収容されている間は、第1液面56は、導入部51の下端付近の位置である標準位置に維持される。液体収容体26に収容される液体がなくなると、第1液面56は、標準位置より下方に位置する。
【0026】
液量センサー54は、第1貯留室53に貯留される液体の量を検出する。液量センサー54は、第1液面56が標準位置に位置すること、第1液面56が標準位置より下方に位置すること、第1液面56が標準位置より上方の満杯位置に位置すること、を検知してもよい。第1液面56が満杯位置に位置するとき、第1貯留部41は、最大量の液体を貯留している。
【0027】
連通路44は、第1貯留部41と第2貯留部42とを連通させる。連通とは、液体が流通可能な状態に繋げることである。第1バルブ47は、連通路44に設けられる。第1バルブ47は、第1貯留部41から第2貯留部42への液体の流れを許容するのに対し、第2貯留部42から第1貯留部41への液体の流れを制限する一方向弁であってもよい。第1バルブ47は、第2貯留部42内の圧力が第1貯留部41内の圧力より大きい場合に連通路44を閉鎖する。
【0028】
第2貯留部42は、第2貯留室58と、フィルター59と、を備えてもよい。
第2貯留室58は、連通路44を介して第1貯留部41から供給される液体を収容する。液体は、水頭差によって第1貯留部41から第2貯留部42に供給されてもよい。第1貯留室53内、及び第2貯留室58内が大気圧とされる場合、第2貯留部42内の液体の第2液面61は、第1液面56と同じ高さになる。換言すると、第2液面61は、導入部51の下端とほぼ同じ高さである標準位置に維持され、ノズル面30よりも低い範囲で変動する。記録部24内の液体は、第1貯留部41及び第2貯留部42内の液体との水頭差によって負圧に維持される。記録部24で液体が消費されると、第2貯留部42に貯留される液体がフィルター59及び供給流路45を介して液体吐出部28に供給される。
【0029】
供給流路45は、第2貯留部42と液体吐出部28とを連通する。供給流路45は、第2貯留部42から液体吐出部28に液体を供給する。第2バルブ48は、供給流路45に設けられる。第2バルブ48は、供給流路45を開閉可能である。
【0030】
回収流路46は、液体吐出部28と第1貯留部41とを連通する。液体を循環させる場合、回収流路46は、液体吐出部28から第1貯留部41に液体を回収する。液体吐出部28が液体を吐出する場合、回収流路46は、第1貯留部41から液体吐出部28に液体を供給してもよい。第3バルブ49は、回収流路46に設けられる。第3バルブ49は、回収流路46を開閉可能である。
【0031】
第2バルブ48及び第3バルブ49は、制御部19により開閉が制御される。第2バルブ48及び第3バルブ49は、記録装置11の電源オフ時に閉弁してもよい。供給流路45及び回収流路46を閉鎖することで、例えば記録装置11の姿勢が変更された場合でも、液体吐出部28から液体が漏れる虞を低減できる。
【0032】
第3貯留部43は、第3バルブ49と液体吐出部28との間の回収流路46に設けられる。第3貯留部43は、第3貯留室63と、可撓性部材64と、空気室65と、ばね66と、を備えてもよい。可撓性部材64は、第3貯留室63と空気室65とを仕切る。第3貯留室63と空気室65の容積は、可撓性部材64が変形することで変化する。ばね66は、空気室65に設けられる。ばね66は、第3貯留室63の容積を小さくする方向に可撓性部材64を押すことで、回収流路46及び液体吐出部28内の液体の圧力変動を低減する。
【0033】
<駆動機構>
記録装置11は、駆動機構68を備えてもよい。駆動機構68は、供給機構38を駆動する。1つの駆動機構68は、複数の供給機構38をまとめて駆動してもよい。記録装置11は、複数の供給機構38を個別に駆動する複数の駆動機構68を備えてもよい。
【0034】
駆動機構68は、ポンプ70と、圧力センサー71と、大気開放路72と、加圧流路73と、接続流路74と、空気流路75と、第1分離膜76と、第2分離膜77と、切替機構78と、を備えてもよい。
【0035】
ポンプ70は、例えばローラーがチューブを押し潰しながら回転することで、空気を送り出すチューブポンプである。ポンプ70は、チューブの一端に空気流路75が接続されると共に、チューブの他端に接続流路74が接続される。ポンプ70は、正転駆動されることにより、空気流路75から取り入れた空気を接続流路74に送り出す。ポンプ70は、逆転駆動されることにより、接続流路74から取り入れた空気を空気流路75に送り出す。
【0036】
圧力センサー71は、流路内の圧力を検出する。大気開放路72は、第1貯留部41に接続される。加圧流路73は、第2貯留部42に接続される。接続流路74は、大気開放路72及び加圧流路73をポンプ70に接続する。空気流路75は、第3貯留部43とポンプ70とを接続する。
【0037】
第1分離膜76と第2分離膜77は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する。第1分離膜76は、大気開放路72に設けられてもよい。第2分離膜77は、加圧流路73に設けられてもよい。
【0038】
切替機構78は、細管部80と、第1選択弁81a~第11選択弁81kと、を備えてもよい。
細管部80は、接続流路74に設けられてもよい。細管部80は、空気の流動に対し、液体の流動が大きく制限される程度に細く、且つ蛇行した管である。
【0039】
第1選択弁81a~第11選択弁81kは、流路を開閉可能である。第1選択弁81a~第11選択弁81kは、カムのパターンで開閉されてもよいし、ソレノイドなどにより個別に開閉されてもよい。
【0040】
第1選択弁81aは、開弁することで空気流路75を大気に連通させる。第2選択弁81bは、開弁することで空気流路75と圧力センサー71とを連通させる。第3選択弁81cは、開弁することで空気流路75を開放し、ポンプ70と空気室65とを連通させる。
【0041】
第4選択弁81dは、開弁することでポンプ70と第8選択弁81hとの間の接続流路74を大気に連通させる。第5選択弁81eは、開弁することで接続流路74と圧力センサー71とを連通させる。第6選択弁81f及び第7選択弁81gは、開弁することで接続流路74を大気に連通させる。第8選択弁81hは、開弁することで接続流路74を開放する。第9選択弁81iは、開弁することで細管部80を大気に連通させる。第10選択弁81jは、開弁することで大気開放路72を開放し、第1貯留部41と接続流路74とを連通させる。第11選択弁81kは、開弁することで加圧流路73を開放し、第2貯留部42と接続流路74とを連通させる。
【0042】
空気室65内の圧力を変更する場合、切替機構78は、第2選択弁81b~第4選択弁81dを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態でポンプ70が正転駆動すると、空気室65内の空気は、空気流路75及び接続流路74を介して排出される。そのため、空気室65内の圧力が低下する。この状態でポンプ70が逆転駆動すると、接続流路74及び空気流路75を介して空気室65に空気が送り込まれる。そのため、空気室65内の圧力は上昇する。このとき圧力センサー71は、空気流路75及び空気室65内の圧力を検出してもよい。制御部19は、圧力センサー71の検出結果に基づいてポンプ70の駆動を制御してもよい。
【0043】
第1貯留部41を大気開放する場合、切替機構78は、第6選択弁81f及び第10選択弁81jを開弁する。第1貯留室53は、大気開放路72及び接続流路74を介して大気に連通する。
【0044】
第2貯留部42を大気開放する場合、切替機構78は、第7選択弁81g及び第11選択弁81kを開弁する。第2貯留室58は、加圧流路73及び接続流路74を介して大気に連通する。
【0045】
第2貯留部42内を加圧する場合、切替機構78は、第1選択弁81a、第5選択弁81e、第8選択弁81h、及び第11選択弁81kを開弁し、その他の選択弁を閉弁する。この状態でポンプ70が正転駆動すると、空気流路75、接続流路74、及び加圧流路73を介して第2貯留室58に空気が流入し、第2貯留室58内の圧力は上昇する。加圧された第2貯留室58内の液体は、供給流路45を介して液体吐出部28に送られる。このとき圧力センサー71は、接続流路74、加圧流路73、及び第2貯留室58内の圧力を検出してもよい。制御部19は、圧力センサー71の検出結果に基づいてポンプ70の駆動を制御してもよい。
【0046】
駆動機構68の動作確認を行う場合、切替機構78は、第2選択弁81b及び第4選択弁81dを開弁し、他の選択弁を閉弁する。この状態で駆動機構68は、ポンプ70を正転駆動する。制御部19は、圧力センサー71が負圧を検出した場合に、ポンプ70の吸引側である空気流路75及び切替機構78が正常な状態にあると判断してもよい。
【0047】
駆動機構68の動作確認を行う場合、切替機構78は、第1選択弁81a及び第5選択弁81eを開弁し、他の選択弁を閉弁する。この状態で駆動機構68は、ポンプ70を正転駆動する。制御部19は、圧力センサー71が加圧を検出した場合に、ポンプ70の加圧側である接続流路74及び切替機構78が正常な状態にあると判断してもよい。
【0048】
<姿勢検知ルーチン>
図3に示すように、ステップS101において、制御部19は、傾き判定値を取得する。具体的には、制御部19は、第1傾き判定値、第2傾き判定値、及び第3傾き判定値を取得する。
【0049】
ステップS102において、制御部19は、第3傾き判定値が故障値と一致するかどうかを判定する。第3傾き判定値が故障値と一致する場合は、ステップS102がYESになり、制御部19は、処理をステップS103に移行する。ステップS103において、制御部19は、報知部15に傾き検知部23が故障していることを報知させて処理を終了する。
【0050】
ステップS102において、第3傾き判定値が故障値と一致しない場合、ステップS102がNOになり、制御部19は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部19は、第1傾き判定値が第1許容範囲内であるかどうかを判定する。第1傾き判定値が第1許容範囲内である場合、ステップS104がYESになり、制御部19は、処理をステップS105に移行する。ステップS105において、制御部19は、第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかどうかを判定する。第2傾き判定値が第1許容範囲内である場合、ステップS105がYESになり、制御部19は、処理を終了する。
【0051】
ステップS104において、第1傾き判定値が第1許容範囲外である場合、ステップS104がNOになり、制御部19は、処理をステップS106に移行する。ステップS106において、制御部19は、第1傾き判定値が異常値であるかを判定する。第1傾き判定値が異常値である場合、ステップS106がYESになり、制御部19は、処理をステップS108に移行する。第1傾き判定値が異常値ではない場合、ステップS106がNOになり、制御部19は、処理をステップS109に移行する。
【0052】
ステップS105において、第2傾き判定値が第1許容範囲外である場合、ステップS105がNOになり、制御部19は、処理をステップS107に移行する。ステップS107において、制御部19は、第2傾き判定値が異常値であるかを判定する。第2傾き判定値が異常値である場合、ステップS107がYESになり、制御部19は、処理をステップS108に移行する。第2傾き判定値が異常値ではない場合、ステップS107がNOになり、制御部19は、処理をステップS109に移行する。
【0053】
ステップS108において、制御部19は、第3傾き判定値が第2許容範囲内であるかを判定する。第3傾き判定値が第2許容範囲内である場合、ステップS108がYESになり、制御部19は、処理を終了する。
【0054】
第3傾き判定値が第2許容範囲外である場合、ステップS108がNOになり、制御部19は、処理をステップS109に移行する。ステップS109において、制御部19は、報知部15に記録装置11が傾いていることを報知させて処理を終了する。
【0055】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
制御部19は、傾き検知部23の検知結果に基づいて記録装置11の姿勢の確認を行う。制御部19は、第1動作~第5動作を実行して記録装置11の姿勢を確認してもよい。制御部19は、任意のタイミングで第1動作を実行し、第1動作の後、第2動作を実行する。制御部19は、第2動作の後、第3動作~第5動作を実行してもよい。
【0056】
例えば制御部19は、記録装置11の電源がオンされると、第1動作および第2動作を行ってもよい。制御部19は、省電力モードから通常の電力モードに復帰させる際に、第1動作および第2動作を行ってもよい。制御部19は、カバー22が開状態から閉状態へ変位した際に、第1動作および第2動作を行ってもよい。制御部19は、記録部24により記録が行われる前に第1動作および第2動作を行ってもよい。
【0057】
制御部19は、液体吐出部28により液体の吐出が行われる前に第1動作および第2動作を行ってもよい。具体的には、制御部19は、媒体12に向けて液体を吐出する記録、メンテナンス部32に向けて液体を吐出するフラッシングおよび加圧クリーニングの前に第1動作および第2動作を行ってもよい。
【0058】
制御部19は、第1動作として、傾き検知部23から傾き判定値を取得する。制御部19は、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の3方向の傾きをそれぞれ取得してもよい。制御部19は、傾き検知部23から取得した値をそのまま第1傾き判定値、第2傾き判定値、及び第3傾き判定値としてもよい。制御部19は、第1動作において各方向の傾きを複数回取得してもよい。制御部19は、第1傾き判定値、第2傾き判定値、及び第3傾き判定値をそれぞれ複数記憶してもよい。制御部19は、複数の判定値を例えば平滑処理することで第1傾き判定値、第2傾き判定値、及び第3傾き判定値を取得してもよい。
【0059】
傾き検知部23は、水平面に対する傾きの角度を示す値を出力する。第1傾き判定値は、水平面に対するX軸方向の傾きの角度を示す値である。第2傾き判定値は、水平面に対するY軸方向の傾きの角度を示す値である。第3傾き判定値は、水平面に対するZ軸方向の傾きの角度を示す値である。本実施形態では、説明の簡略化のために、傾き検知部23の出力を、値が示す角度で記載する。すなわち、記録装置11が水平姿勢である場合、第1傾き判定値および第2傾き判定値は0度になり、第3傾き判定値は90度になる。
【0060】
制御部19は、第2動作として、傾き判定値が故障値と一致するかどうかを判定する。具体的には、制御部19は、第3傾き判定値と故障値とが一致するかどうかを判定する。故障値は、傾き検知部23が故障している場合に出力される値である。本実施形態の故障値は0度である。
【0061】
制御部19は、傾き判定値と故障値が一致する場合に、傾き検知部23が故障していると判断する。本実施形態の制御部19は、第3傾き判定値と故障値が一致する場合に、傾き検知部23が故障していると判断する。報知部15は、傾き検知部23が故障していることを報知してもよい。
【0062】
制御部19は、第2動作において第3傾き判定値と故障値が一致しなかった場合に、第3動作を実行してもよい。制御部19は、第3動作として第1傾き判定値および第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかどうかを判定する。記録装置11は、姿勢が傾いた場合、ノズル29などから液体が漏れたり、媒体12が搬送できなくなったりする虞がある。第1許容範囲は、液体吐出部28が液体を保持可能な範囲および媒体12の搬送が可能な範囲であって、例えば実験に基づいて予め設定されている。X軸方向の許容範囲と、Y軸方向の許容範囲は、別々に設定してもよい。第1許容範囲は、例えば-3度から+3度である。
【0063】
制御部19は、第1傾き判定値および第2傾き判定値が第1許容範囲外である場合に、第4動作を実行してもよい。制御部19は、第4動作として、第1傾き判定値および第2傾き判定値が異常値であるかを判定してもよい。例えば傾き検知部23に振動が加わった状態で第1傾き判定値および第2傾き判定値を複数回取得すると、傾き判定値にばらつきが生じることがある。制御部19は、複数の第1傾き判定値のうち、最大値と最小値の差が閾値より大きい場合に、第1傾き判定値が異常値であると判定してもよい。制御部19は、複数の第2傾き判定値のうち、最大値と最小値の差が閾値より大きい場合に、第2傾き判定値が異常値であると判定してもよい。制御部19は、第1傾き判定値および第2傾き判定値が異常値でない場合、記録装置11が水平面に対して傾いていると判断してもよい。
【0064】
制御部19は、第1傾き判定値と第2傾き判定値の少なくとも一方が異常値である場合に、第5動作を実行してもよい。制御部19は、第5動作として、第3傾き判定値が第2許容範囲内であるかを判定する。第2許容範囲は、液体吐出部28が液体を保持可能及び媒体12を搬送可能なZ軸方向における範囲であって、例えば実験に基づいて予め設定されている。第2許容範囲は、例えば87度以上である。
【0065】
制御部19は、第3傾き判定値が第2許容範囲外である場合に記録装置11が水平面に対して傾いていると判断する。記録装置11が水平面に対して傾いていると判断した場合、制御部19は、報知部15に記録装置11が傾いていることを報知させてもよい。
【0066】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)制御部19は、傾き判定値と故障値とが一致する場合に、傾き検知部23が故障していると判断する。そのため、傾き検知部23の故障により記録装置11の姿勢が正しく検知されず、記録装置11が傾いた姿勢で使用される虞を低減することができる。
【0067】
(2)制御部19は、第3傾き判定値と故障値とが一致する場合に、傾き検知部23が故障していると判断する。記録装置11が水平姿勢である場合、X軸方向およびY軸方向は水平面に沿い、Z軸方向は水平面に垂直である。第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値は、水平面に対する傾きを示す。そのため、記録装置11が水平姿勢である場合は、第1傾き判定値および第2傾き判定値は0度になるのに対し、第3傾き判定値は水平面に対する傾き90度になる。傾き検知部23が故障すると、第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値は0度になる。したがって、第3傾き判定値を用いることにより、傾き検知部23の故障を精度よく判断できる。
【0068】
(3)記録装置11の電源がオンされると、制御部19は第1動作および第2動作を行う。そのため、電源がオフされている間に姿勢が変更された場合でも、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあるかを判断できる。
【0069】
(4)制御部19は、省電力モードから通常モードに復帰させる際に第1動作および第2動作を行う。そのため、省電力モードの間に姿勢が変更された場合でも、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあるかを判断できる。
【0070】
(5)制御部19は、カバー22が開状態から閉状態へ変位した場合に第1動作および第2動作を行う。そのため、カバー22の変位に伴って姿勢が変化した場合でも、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあるかを判断できる。
【0071】
(6)制御部19は、記録が行われる前に第1動作および第2動作を行う。そのため、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあることを確認してから記録を行うことができる。
【0072】
(7)記録装置11が傾いた姿勢で使用されると、液体吐出部28から液体が漏れる虞がある。その点、制御部19は、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあるかを判断するため、液体吐出部28から液体が漏れる虞を低減できる。
【0073】
(8)制御部19は、液体吐出部28により液体の吐出が行われる前に第1動作および第2動作を行う。そのため、傾き検知部23により姿勢を検知できる状態にあるかを確認してから液体吐出部28に液体を吐出させることができる。
【0074】
(9)制御部19は、傾き検知部23による姿勢の検知が可能である場合、第1傾き判定値および第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかを判定する。したがって、記録装置11の傾きの大きさが許容範囲であるかを判定することができる。また、制御部19は、傾き検知部23の傾き判定値を使用して記録装置11の姿勢が傾いているかどうかを判断するのに先立って、傾き検知部23が故障しているかどうかを確認する。そのため、傾き検知部23が故障したまま使用される虞を低減できる。
【0075】
(10)制御部19は、第1傾き判定値および第2傾き判定値と異常値とを比較する。第1傾き判定値および第2傾き判定値は、記録装置11が振動やノイズなどの影響を受けている場合に異常値になることがある。この場合、制御部19は、第3傾き閾値を記録装置11の姿勢の判定に用いるため、記録装置11の傾きの判定精度を高めることができる。
【0076】
(11)報知部15は、傾き検知部23の故障を報知する。したがって、傾き検知部23による姿勢の検知ができない状態のまま記録装置11が使用される虞を低減することができる。
【0077】
(12)報知部15は、記録装置11が傾いていることを報知する。したがって、記録装置11が傾いたままの姿勢で使用される虞を低減することができる。
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
・報知部15は、傾き検知部23が故障していること、記録装置11が傾いていること、のうち一方を報知してもよい。
・報知部15は、ディスプレイ、スピーカー、ライトなどであってもよい。
【0079】
・記録装置11は、報知部15を備えない構成としてもよい。制御部19は、記録装置11とは別の装置に対して傾き検知部23が故障していること、記録装置11が傾いていることなどを出力してもよい。報知は、記録装置11とは別の装置が備える報知部が行ってもよい。
【0080】
・制御部19は、第1傾き判定値および第2傾き判定値と、異常値と、の比較を行わなくてもよい。制御部19は、第1傾き判定値と第2傾き判定値のうち、少なくとも一方が第1許容範囲外である場合に、記録装置11が傾いていると判断してもよい。
【0081】
・制御部19は、姿勢検知ルーチンのステップS102において、第3傾き判定値と故障値が一致しなかった場合に処理を終了してもよい。制御部19は、第1動作および第2動作と、第3動作~第5動作と、を異なるタイミングで実行してもよい。
【0082】
・記録装置11は、カバーの一例として、図示しない搬送カバー、図示しないメンテナンスカバーなどを備えてもよい。搬送カバーは、媒体12の搬送経路を覆うカバーであって、例えば媒体12が詰まった場合に開閉されてもよい。メンテナンスカバーは、メンテナンスに伴って排出される液体を収容する図示しない廃液タンクを覆うカバーであって、廃液タンクを交換する場合に開閉されてもよい。制御部19は、搬送カバーもしくはメンテナンスカバーが開状態から閉状態に変位した際に第1動作および第2動作を実行してもよい。
【0083】
・制御部19は、本体から引き出された媒体収容部13が、本体に戻された際に第1動作および第2動作を実行してもよい。
・傾き検知部23は、1方向の角度を出力してもよい。例えば傾き検知部23は、水平面に対するZ軸方向の角度を傾き判定値として出力してもよい。
【0084】
・傾き検知部23は、2方向の角度を出力してもよい。例えば傾き検知部23は、水平面に対するX軸方向及びZ軸方向の角度を出力してもよい。例えば傾き検知部23は、水平面に対するY軸方向及びZ軸方向の角度を出力してもよい。
【0085】
・記録装置11は、インクジェット式のプリンターに限らず、レーザープリンター、サーマルプリンター、ドットインパクトプリンター、デジタル印刷機などでもよい。
・記録装置は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりして記録を行う液体噴射装置であってもよい。液体噴射装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体噴射装置から噴射させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する装置がある。液体噴射装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体噴射装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する装置であってもよい。液体噴射装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する装置であってもよい。
【0086】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0087】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0088】
(A)記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、水平面に対する傾きを傾き判定値として出力する傾き検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、第1動作として、前記傾き検知部から前記傾き判定値を取得し、前記第1動作の後、第2動作として、前記傾き判定値が、前記傾き検知部が故障している場合に出力される故障値と一致するかどうかを判定し、前記傾き判定値と前記故障値が一致する場合に、前記傾き検知部が故障していると判断する。
【0089】
この構成によれば、制御部は、傾き判定値と故障値とが一致する場合に、傾き検知部が故障していると判断する。そのため、傾き検知部の故障により記録装置の姿勢が正しく検知されず、記録装置が傾いた姿勢で使用される虞を低減することができる。
【0090】
(B)記録装置において、前記傾き検知部は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の3方向の角度をそれぞれ第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値として取得する加速度センサーであり、前記制御部は、前記第2動作として、前記第3傾き判定値と前記故障値とが一致するかどうかを判定し、前記第3傾き判定値と前記故障値が一致する場合に、前記傾き検知部が故障していると判断してもよい。
【0091】
この構成によれば、制御部は、第3傾き判定値と故障値とが一致する場合に、傾き検知部が故障していると判断する。記録装置が水平姿勢である場合、X軸方向およびY軸方向は水平面に沿い、Z軸方向は水平面に垂直である。第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値は、水平面に対する傾きを示す。そのため、記録装置が水平姿勢である場合は、第1傾き判定値および第2傾き判定値は0度になるのに対し、第3傾き判定値は水平面に対する傾き90度になる。傾き検知部が故障すると、第1傾き判定値、第2傾き判定値、第3傾き判定値は0度になる。したがって、第3傾き判定値を用いることにより、傾き検知部の故障を精度よく判断できる。
【0092】
(C)記録装置において、前記制御部は、前記記録装置の電源がオンされると、前記第1動作および前記第2動作を行ってもよい。
この構成によれば、記録装置の電源がオンされると、制御部は第1動作および第2動作を行う。そのため、電源がオフされている間に姿勢が変更された場合でも、傾き検知部により姿勢を検知できる状態にあるかを判断できる。
【0093】
(D)記録装置において、前記制御部は、前記記録装置が所定の時間操作されない場合に前記記録装置を省電力モードに切り替える処理を実行可能であり、前記省電力モードから通常の電力モードに復帰させる際に、前記第1動作および前記第2動作を行ってもよい。
【0094】
この構成によれば、制御部は、省電力モードから通常モードに復帰させる際に第1動作および第2動作を行う。そのため、省電力モードの間に姿勢が変更された場合でも、傾き検知部により姿勢を検知きる状態にあるかを判断できる。
【0095】
(E)記録装置は、前記記録装置の内部へアクセス可能にする開状態と、前記記録装置の内部へアクセス不可能にする閉状態と、に変位可能なカバーを備え、前記制御部は、前記カバーが前記開状態から前記閉状態へ変位した際に、前記第1動作および前記第2動作を行ってもよい。
【0096】
この構成によれば、制御部は、カバーが開状態から閉状態へ変位した場合に第1動作および第2動作を行う。そのため、カバーの変位に伴って姿勢が変化した場合でも、傾き検知部により姿勢を検知できる状態にあるかを判断できる。
【0097】
(F)記録装置において、前記制御部は、前記記録部により記録が行われる前に、前記第1動作および前記第2動作を行ってもよい。
この構成によれば、制御部は、記録が行われる前に第1動作および第2動作を行う。そのため、傾き検知部により姿勢を検知できる状態にあることを確認してから記録を行うことができる。
【0098】
(G)記録装置において、前記記録部は、液体を吐出可能なノズルを有する液体吐出部を備えてもよい。
記録装置が傾いた姿勢で使用されると、液体吐出部から液体が漏れる虞がある。その点、この構成によれば、制御部は、傾き検知部により姿勢を検知できる状態にあるかを判断するため、液体吐出部から液体が漏れる虞を低減できる。
【0099】
(H)記録装置において、前記制御部は、前記液体吐出部により前記液体の吐出が行われる前に、前記第1動作および前記第2動作を行ってもよい。
この構成によれば、制御部は、液体吐出部により液体の吐出が行われる前に第1動作および第2動作を行う。そのため、傾き検知部により姿勢を検知できる状態にあるかを確認してから液体吐出部に液体を吐出させることができる。
【0100】
(I)記録装置において、前記制御部は、前記第2動作において、前記第3傾き判定値と前記故障値が一致しなかった場合に、第3動作として前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかどうかを判定してもよい。
【0101】
この構成によれば、制御部は、傾き検知部による姿勢の検知が可能である場合、第1傾き判定値および第2傾き判定値が第1許容範囲内であるかを判定する。したがって、記録装置の傾きの大きさが許容範囲であるかを判定することができる。また、制御部は、傾き検知部の傾き判定値を使用して記録装置の姿勢が傾いているかどうかを判断するのに先立って、傾き検知部が故障しているかどうかを確認する。そのため、傾き検知部が故障したまま使用される虞を低減できる。
【0102】
(J)記録装置において、前記制御部は、前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が前記第1許容範囲外である場合に、前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が異常値であるかを判定し、前記第1傾き判定値および前記第2傾き判定値が前記異常値でない場合は、前記記録装置が前記水平面に対して傾いていると判断し、前記第1傾き判定値と前記第2傾き判定値の少なくとも一方が前記異常値である場合は、前記第3傾き判定値が第2許容範囲内であるかを判定し、前記第3傾き判定値が前記第2許容範囲外である場合に前記記録装置が前記水平面に対して傾いていると判断してもよい。
【0103】
この構成によれば、制御部は、第1傾き判定値および第2傾き判定値と異常値とを比較する。第1傾き判定値および第2傾き判定値は、記録装置が振動やノイズなどの影響を受けている場合に異常値になることがある。この場合、制御部は、第3傾き閾値を記録装置の姿勢の判定に用いるため、記録装置の傾きの判定精度を高めることができる。
【0104】
(K)記録装置は、前記傾き検知部が故障していることを報知する報知部を備えてもよい。
この構成によれば、報知部は、傾き検知部の故障を報知する。したがって、傾き検知部による姿勢の検知ができない状態のまま記録装置が使用される虞を低減することができる。
【0105】
(L)記録装置は、前記記録装置が傾いていることを報知する報知部を備えてもよい。
この構成によれば、報知部は、記録装置が傾いていることを報知する。したがって、記録装置が傾いたままの姿勢で使用される虞を低減することができる。
【符号の説明】
【0106】
11…記録装置、12…媒体、13…媒体収容部、14…スタッカー、15…報知部、16…画像読取部、17…自動給送部、19…制御部、21…装着部、22…カバー、23…傾き検知部、24…記録部、26…液体収容体、28…液体吐出部、29…ノズル、30…ノズル面、32…メンテナンス部、34…収容室、35…導出部、36…収容部側バルブ、38…供給機構、40…支持部、41…第1貯留部、42…第2貯留部、43…第3貯留部、44…連通路、45…供給流路、46…回収流路、47…第1バルブ、48…第2バルブ、49…第3バルブ、51…導入部、52…装置側バルブ、53…第1貯留室、54…液量センサー、56…第1液面、58…第2貯留室、59…フィルター、61…第2液面、63…第3貯留室、64…可撓性部材、65…空気室、66…ばね、68…駆動機構、70…ポンプ、71…圧力センサー、72…大気開放路、73…加圧流路、74…接続流路、75…空気流路、76…第1分離膜、77…第2分離膜、78…切替機構、80…細管部、81a~81k…第1選択弁~第11選択弁。