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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024928
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240216BHJP
   H02K 3/46 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127925
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 数馬
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB08
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA14
5H604DB01
5H604PB03
5H604PC03
5H604QB01
5H604QB03
5H604QB17
(57)【要約】
【課題】製造コストの低減および小型化を図ることが可能な固定子を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、固定子は、第1端面20aおよび第1端面と対向した第2端面20bを有する円筒状のヨークとヨークの周方向に間隔を置いて並んで位置する複数のティースと、を具備する固定子鉄心20と、それぞれティースに捲回され、第1端面の側に延出したリード側コイル端部14bと第2端面の側に延出した中性点側コイル端部とを有する複数相のコイル14と、それぞれ電極端子15Wに接続された一端と接続端部16Wを構成する他端とを有する長さの異なる複数本の導線を束ねて環状に整形された結線リングRW、RV、RUであって、第1端面の側に配置され複数の接続端部が同相のコイルのリード側コイル端部にそれぞれ接合され、複数の同相のコイルを電極端子に結線した複数相の結線リングと、を備えている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端面および前記第1端面と対向した第2端面を有する円筒状のヨークと前記ヨークの内周側に設けられ前記ヨークの周方向に間隔を置いて並んで位置する複数のティースと、を具備する固定子鉄心と、
それぞれ前記ティースに捲回され、前記第1端面の側に延出したリード側コイル端部と前記第2端面の側に延出した中性点側コイル端部とを有する複数相のコイルと、
それぞれ電極端子に接続された一端と接続端部を構成する他端とを有する長さの異なる複数本の導線を束ねて環状に整形された結線リングであって、前記第1端面の側に配置され複数の前記接続端部が同相の前記コイルの前記リード側コイル端部にそれぞれ接合され、複数の同相の前記コイルを前記電極端子に結線した複数相の結線リングと、
を備える固定子。
【請求項2】
前記結線リングの導線は、前記電極端子から第1方向に円弧状に延出した長さの異なる複数本の導線を含む第1グループと、前記電極端子から前記第1方向と反対の第2方向に円弧状に延出した長さの異なる複数本の導線を含む第2グループと、を有している、請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記第1グループにおける前記導線の前記接続端部と、前記第2グループにおける前記導線の前記接続端部とは、周方向に等間隔を置いて並んでいる、請求項2に記載の固定子。
【請求項4】
前記第1グループの前記導線の本数は、前記第2グループの前記導線の本数と等しい、請求項2に記載の固定子。
【請求項5】
前記結線リングの前記導線は、前記コイルを形成している導線と共通の導線である、請求項1に記載の固定子。
【請求項6】
前記固定子鉄心に装着された絶縁性を有する巻線ホルダを更に備え、
前記巻線ホルダは、前記ティースに装着され前記コイルが捲回された装着部と前記ヨークの前記第1端面の上に位置し前記結線リングの前記導線の配策をガイドするガイド部と、接合された前記リード側コイル端部および前記接続端部が収納された収納溝と、を有している請求項1に記載の固定子。
【請求項7】
円弧状に形成された複数の中性点バスバーを更に備え、
前記中性点バスバーの各々は、前記第2端面の側に配置され複数の前記中性点側コイル端部に接合されている、請求項1に記載の固定子。
【請求項8】
前記固定子鉄心に装着された絶縁性を有する巻線ホルダを更に備え、
前記巻線ホルダは、前記ティースに装着され前記コイルが捲回された装着部と前記ヨークの前記第2端面の上に位置するガイド部と、を有し、前記ガイド部は、前記中性点バスバーを保持する保持部と、前記中性点側コイル端部を前記中性点バスバーと接触可能な位置に保持する保持凹所と、を有している、請求項7に記載の固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、回転電機の固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機は、円筒状の固定子と、固定子に対して回転自在に設けられた回転子とを有している。固定子は、円筒形状のヨークと、ヨークから径方向内側に突出させた複数のティースとによって構成される固定子鉄心と、ティースに集中巻きされた複数のコイルと、を有している。各コイルの一端は、リード部(リード線)によって引き回されている。複数のリード部は、金属板からなるバスリングに連結されている。
近年、回転電機の固定子は、一層の小型化が望まれている。各コイルを引き回すためにバスバーリングを使用する場合、固定子の形状はバスバーリングの外形形状に依存することになり、固定子を小型化することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-165999号公報
【特許文献2】特開2012-196018号公報
【特許文献3】特開2010-35360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の課題は、製造コストの低減および小型化を図ることが可能な固定子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、固定子は、第1端面および前記第1端面と対向した第2端面を有する円筒状のヨークと前記ヨークの内周側に設けられ前記ヨークの周方向に間隔を置いて並んで位置する複数のティースと、を具備する固定子鉄心と、それぞれ前記ティースに捲回され、前記第1端面の側に延出したリード側コイル端部と前記第2端面の側に延出した中性点側コイル端部とを有する複数相のコイルと、それぞれ電極端子に接続された一端と接続端部を構成する他端とを有する長さの異なる複数本の導線を束ねて環状に整形された複数相の結線リングと、を備えている。前記結線リングは、前記第1端面の側に配置され複数の前記接続端部が同相の前記コイルの前記リード側コイル端部にそれぞれ接合され、複数の同相の前記コイルを前記電極端子に結線している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る固定子の一端面側を示す斜視図。
図2図2は、前記固定子の他端面の側を示す斜視図。
図3図3は、コイルが巻装された分割鉄心部の斜視図。
図4図4は、前記分割鉄心部の分解斜視図。
図5図5は、前記分割鉄心部の第1巻線ホルダを示す斜視図。
図6図6は、前記第1巻線ホルダの側面図。
図7図7は、前記分割鉄心部の第2巻線ホルダを示す斜視図。
図8図8は、前記分割鉄心部の第1巻線ホルダの側を示す斜視図。
図9図9は、前記分割鉄心部の第2巻線ホルダの側を示す斜視図。
図10図10は、固定子鉄心および結線リングを示す斜視図。
図11図11は、固定子鉄心の第1端面の側を示す斜視図。
図12図12は、前記結線リングを示す斜視図。
図13図13は、時計方向に延出する第1グループの配策を示す固定子鉄心の平面図。
図14図14は、一部破断して示す固定子鉄心の斜視図。
図15図15は、反時計方向に延出する第2グループの配策を示す固定子鉄心の平面図。
図16図16は、一部破断して示す固定子鉄心の斜視図である。
図17図17は、固定子鉄心の第2端面(中性点)の側および中性点バスバーを示す分解斜視図。
図18図18は、固定子鉄心の第2端面(中性点)の側の一部および中性点バスバーを拡大して示す斜視図。
図19図19は、中性点バスバーが装着された状態の固定子鉄心の第2端面(中性点)の側の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。
【0008】
図1は、実施形態に係る回転電機の固定子を第1端面の側から見た斜視図、図2は、第2端面の側から見た固定子の斜視図である。
図1に示すように、固定子10は、例えば、3相(U相、V相およびW相)の交流電源によって駆動される回転電機の固定子を構成している。固定子10は、複数個(24個)の分割鉄心部10Aと、複数本(24本)のコイル14と、電極端子(口出し端子)15U、15V、15Wと、を有している。
複数個(24個)の分割鉄心部10Aは、固定子10の周方向に並んで配置され円筒状の固定子鉄心20を構成している。周方向に隣り合う分割鉄心部10Aは、カシメあるいは凸部と凹部との係合により、互いに連結されている。各々の分割鉄心部10Aは、磁性を有する電磁鋼板を積層して構成された分割鉄心11と分割鉄心11に装着された絶縁性を有するインシュレータ(第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13)とで構成されている。固定子鉄心20は、軸方向の一端側に位置する環状の第1端面20aおよび軸方向の他端側に位置する環状の第2端面20bを有する円筒状のヨークと、ヨークの内周側に設けられ周方向に間隔を置いて並んで位置する複数本(24本)のティースと、を具備している。
【0009】
コイル14は、断面が円形の長尺な導線、例えば、銅線、によって構成されている。銅線は、絶縁性の部材によって外周が被膜されている。コイル14は、分割鉄心部10Aに対して、集中巻きの構成で巻き付けられている。すなわち、1本のコイル14が、1つの分割鉄心部10Aに巻き付けられている。固定子10の周方向に一定の間隔で設けられた24本のコイル14には、U相、V相およびW相の順で、3相の交流電流が入力される。各コイル14のリード側のコイル端部は、固定子鉄心20の第1端面20aの側に延出している。コイル14の中性点側のコイル端部は、固定子鉄心20の第2端面20bの側に延出している。
【0010】
電極端子15U、15V、15Wは、外部の電源からコイル14に入力される電流の入力端子である。U相電極端子15Uは、後述するリング状のU相導線群(U相結線リングと称する)を介してU相の8本のコイル14に接続される。V相電極端子15Vは、後述するリング状のV相導線群(V相結線リングと称する)を介してV相の8本のコイル14に接続される。W相電極端子15Wは、後述するリング状のW相導線群(W相結線リングと称する)を介してW相の8本のコイル14に接続される。コイル14に電力が入力されると、分割鉄心11に所定の鎖交磁束が形成される。
【0011】
図2に示すように、固定子鉄心20の第2端面20bの側においては、円周方向に複数に分割された、例えば、4つに分割された円弧状の中性点バスバー30が設けられている。各中性点バスバー30は、対応する6本のコイル14の中性点側のコイル端部に接続されている。24本のコイル14の中性点側コイル端部は、4本の中性点バスバー30により互いに接続されている。
【0012】
分割鉄心部10Aの構成について説明する。図3は、コイル14が装着された1つの分割鉄心部10Aを示す斜視図、図4は、分割鉄心部の鉄心および巻線ホルダを分解して示す分解斜視図である。
図3に示すように、分割鉄心部10Aは、分割鉄心11と、分割鉄心11に装着された巻線ホルダと、を有し、巻線ホルダにコイル14が巻き付けられる。巻線ホルダは、分割鉄心11の軸方向の一方側に装着された絶縁性を有する第1巻線ホルダ(第1インシュレータ)12と分割鉄心11の軸方向の他方側に装着された第2巻線ホルダ(第2インシュレータ)13とを備えている。コイル14は、第1および第2巻線ホルダ12、13に巻き付けられる巻線部14aと、巻線部14aの一端側から固定子鉄心20の第1端面20aの側に引き出されたリード側のコイル端部14bと、巻線部14aの他端側から固定子鉄心20の第2端面20bの側に引き出された中性点側のコイル端部14cと、を有している。コイル端部14b、14cの絶縁被覆は除去されている。
【0013】
図4に示すように、分割鉄心11は、磁性を有する複数枚の電磁鋼板11Sを軸方向Zに積層した積層体で構成されている。軸方向Zに隣合う電磁鋼板11Sは、外周面が溶接されて、互いに連結されている。分割鉄心11は、円弧状の外周縁と円弧状の内周縁とそれぞれ径方向に延び互いに周方向に対向した一対の側縁とを有する円弧状のヨーク11Pと、ヨーク11Pの内周から径方向内側に延出したほぼ矩形状のティース11Qと、を一体に有し、ヨーク11Pおよびティース11Qは分割鉄心11の軸方向Zに延びている。ティース11Qは、ヨーク11Pの周方向の幅よりも狭い幅を置いて互いに対向する一対の側縁と、側縁の一端同士を結ぶ先端縁(先端面)と、を有している。本実施形態において、ティース11Qは、それぞれ先端部から周方向に突出し軸方向に延びる一対の凸部11Rを一体に有している。
【0014】
分割鉄心11は、軸方向Zの一端に位置する平坦な第1端面20aと軸方向Zの他端に位置する平坦な第2端面20bとを有している。ヨーク11Pは、前述した外周縁からなる外周面11cと、前述した一対の側縁からなる一側面11jおよび他側面11kと、前述した内周縁からなる内周面11mと、を有している。内周面11mは、ティース11Qの周方向の両側に位置している。一側面11jに軸方向Zに延びた凸部11gが形成され、他側面11kに軸方向Zに延びた凹部11hが形成されている。複数の分割鉄心11を周方向に並べて配置した際、ヨーク11Pの凸部11gが隣接するヨーク11Pの凹部11hに嵌合し、隣合うヨーク11P同士を連結することができる。
ティース11Qは、前述した一対の側縁からなり互いに対向した一対の側面11f、11eと、先端縁からなる先端面11dとを有している。凸部11Rは、側面11f、11eの一側縁に沿って軸方向Zに延在している。
【0015】
第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面20a上に載置されるベース板12Aと、ベース板12Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部(コイル装着部)12Bと、ベース板12Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部12Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。
装着部12Bは、それぞれベース板12Aから延出し間隔を置いて互いに対向した一対の側板12a、12bを有している。各側板12a、12bの外面(表面)には、それぞれ軸方向Zに延びる多数本の位置決め溝が形成されている。装着部12Bにコイル14が巻き付けられる。装着部12Bは、分割鉄心11に装着されると、分割鉄心11の軸方向の約上半分の領域において、ティース11Qの側面11f、11e、ヨーク11Pの内周面11m、および凸部11Rの表面を覆って位置する。側板12a、12bの延出端部は板厚が薄く形成され、第2巻線ホルダ13に係合する第1係合部12wを構成している。
ガイド部12Cは、ベース板12Aに立設された仕切り板12eおよび複数枚、例えば、3枚のガイド板12m、12q、12tを有し、リード側のコイル端部14bおよび結線リングの配策をガイドする。ベース板12Aとガイド板との間に、コイル端部14bと導線接続端部との接合部を収納可能な収納溝22が形成されている。収納溝22内に突出した複数の保持突起23a、2bが設けられている。
【0016】
第1巻線ホルダ12の構成についてより詳細に説明する。
図5は、径方向の外周側から見た第1巻線ホルダ12の斜視図、図6は、第1巻線ホルダの側面図である。図において、軸方向Zと直交する径方向をR、軸方向Zおよび径方向Rと交差する周方向をSと称する。
図5に示すように、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、仕切り板12eの周方向Sの中途部に引出し口12hが設けられている。引出し口12hは、ベース板12Aから仕切り板12eの延出端まで軸方向Zに延びている。引出し口12hの周方向Sの幅は、コイル14の銅線の直径よりも広い。引出し口12hを通してコイル14のリード側のコイル端部14bを引出し可能としている。
仕切り板12eの径方向の外周側の外面に保持突起12iが突設されている。保持突起12iは、引出し口12hの近傍で、仕切り板12eの周方向一端の側に設けられている。保持突起12iは、所定高さ(コイル14の銅線の直径よりも大きい高さ)だけ仕切り板12eから突出している。保持突起12iは、ベース板12Aの表面から所定距離離間している。保持突起12iとベース板12Aとの間隔は、銅線の直径とほぼ等しく設定されている。後述するように、保持突起12iは、引出し口12hから引き出されたリード側のコイル端部14bを保持突起12iとベース板12Aの表面との間に挟み込んで保持および位置決めすることができる。
【0017】
図5および図6に示すように、ガイド部12Cは、仕切り板12eから径方向Rの外方に延出した台座板12vを有している。台座板12vは、ベース板12Aと間隔を置いてほぼ平行に対向している。第1ガイド板12m、第2ガイド板12q、第3ガイド板12tは、台座板12vの上に立設されている。
第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tの各々は、周方向Sの長さおよび軸方向Zの幅(高さ)を有する矩形板状に形成されている。本実施形態において、3枚のガイド板12m、12q、12tは、ほぼ同一の長さおよび幅に形成されている。第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tは、それぞれヨークの周方向Sに沿って円弧状に湾曲している。
【0018】
第1ガイド板12mは、台座板12vに立設され、引出し口12hの側の端部を除く部分が、径方向Rに所定間隔離間して仕切り板12eとほほ平行に対向している。径方向Rの間隔は、結線リングを構成する銅線の径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、仕切り板12eと第1ガイド板12mとの間に導線群を挿通可能としている。
第2ガイド板12qは、台座板12vに立設され、引出し口12hの側の端部を除く部分が、径方向Rに所定間隔離間して第1ガイド板12mとほほ平行に対向している。径方向Rの間隔は、結線リングを構成する銅線の径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、第1ガイド板12mと第2ガイド板12qとの間に導線群を挿通可能としている。
第3ガイド板12tは、台座板12vに立設され、引出し口12hの側の端部を除く部分が、径方向Rに所定間隔離間して第2ガイド板12qとほほ平行に対向している。径方向Rの間隔は、結線リングを構成する銅線の径よりも僅かいに大きい間隔に設定している。これにより、第2ガイド板12qと第3ガイド板12tとの間に銅線群を挿通可能としている。
【0019】
第1ガイド板12mは、仕切り板12eに対し、引出し口12hの側で周方向Sに僅かにずれて配置されている。第2ガイド板12qは、第1ガイド板12m対し、引出し口12hの側で周方向Sに僅かにずれて配置されている。第3ガイド板12tは、第2ガイド板12qに対し、引出し口12hの側で周方向Sに僅かにずれて配置されている。第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tの周方向Sの一端、すなわち、引出し口12hの側の一端は、引出し口12hに対し、ほぼ径方向Rに並んで配置されている。
【0020】
図6に示すように、第1、第2、第3ガイド板12m、12q、12tの下端縁および台座板12vは、ベース板12Aから所定間隔、離間して配置されている。この間隔は、コイル端部14bの径よりも僅かいに大きい間隔に設定され、前述した収納溝22を形成している。ベース板12Aの上面に複数の保持突起23aが突設され、収納溝22内に突出している。台座板12vの下面に複数の保持突起23bが突設され、収納溝22内に突出ししている。保持突起23a、23bは、それぞれ径方向Rに延びている。
【0021】
次に、他方の第2巻線ホルダ13について説明する。
図4に示すように、第2巻線ホルダ13は、分割鉄心11の他端面20b上に載置されるベース板13Aと、ベース板13Aと一体に形成されティース11Qの周囲に装着される装着部(コイル装着部)13Bと、ベース板13Aと一体に形成されヨーク11Pに重ねて配置されるガイド部13Cと、を有し、絶縁性を有する合成樹脂等により成形されている。
装着部13Bは、それぞれベース板13Aから延出し間隔を置いて互いに対向した一対の側板13a、13bを有している。各側板13a、13bの外面(表面)には、それぞれ軸方向Zに延びる多数本の位置決め溝が形成されている。装着部13Bにコイル14が巻き付けられる。
装着部13Bは、分割鉄心11に装着されると、分割鉄心11の軸方向の約下半分の領域において、ティース11Qの側面11f、11e、ヨーク11Pの内周面11m、および凸部11Rの表面を覆って位置する。側板13a、13bの延出側の端部は板厚が薄く形成された第2係合部13kを構成している。第2係合部13kは、第1巻線ホルダ12の第1係合部12wに嵌合される。
【0022】
図9は、径方向の外周側から見た第2巻線ホルダ13の斜視図である。図示のように、ガイド部13Cは、ベース板13Aに立設された仕切り板13m、仕切り板13mの軸方向Zの中間部から径方向Rの外方に延出している支持板13j、および仕切り板13mの延出端から径方向Rの外方に延出した複数、例えば、2つの保持板13h、13kを一体に有している。支持板13jは、ヨーク11Pとほぼ等しい長さ周方向に延びている。保持板13h、13kは、それぞれ周方向に延びているとともに、周方向に間隔をおいて配置されている。保持板13h、13kは、軸方向Zに間隔を置いて、支持板13mとほぼ平行に対向している。更に、保持板13h、13kの径方向Rの幅は、支持板13jの径方向Rの幅の約半分以下に形成されている。
【0023】
支持板13jとベース板13Aとの間で、仕切り板13mの周方向の一端部に引出し口15aが形成されている。引出し口15aは、仕切り板13mの一端縁に開口している。支持板13jの周方向の一端部に保持凹部15bが形成されている。保持凹部15bは、引出し口15aの近傍に位置している。保持凹部15bは、支持板13jの外周縁に開口している。支持板13jの周方向の中央部に保持突起15cが一体に設けられている。保持突起15cは、支持板13jの外周縁に沿って形成されている。保持突起15cは、支持板13jから保持板13k、13hの側にほぼ垂直に突出している。
ガイド部13Cの支持板13j、仕切り板13m、保持板13k、13h、および保持突起15cは、後述する中性点バスバーを装着可能なバスバー保持部を構成している。
【0024】
図3および図4に示すように、上記のように構成された第1巻線ホルダ12および第2ホルダ13は、分割鉄心11に装着され、これらのホルダにコイル14が巻き付けられる。
第1巻線ホルダ12は、分割鉄心11の一端面20aの側から分割鉄心11に装着される。ベース板12Aが一端面20aに重なって位置し、一対の側板12a、12bがティース11Qの側面11f、11eに当接する。各側板12a、12bのフランジは、ヨーク11Pの内周面11mおよびティース11Qの凸部11Rに当接する。これにより、第1巻線ホルダ12の装着部12Bは、先端面11dを除くティース11Qの全周を覆って配置される。第1巻線ホルダ12のガイド部12Cは、ヨーク11Pに重ねて配置される。
【0025】
第2巻線ホルダ13は、分割鉄心11の他端面20bの側から分割鉄心11に装着される。ベース板13Aが他端面20bに重なって位置し、一対の側板13a、13bがティース11Qの側面11f、11eに当接する。各側板13a、13bのフランジは、ヨーク11Pの内周面11mおよびティース11Qの凸部11Rに当接する。側板13a、13bの延出側の第2係合部13kは、第1巻線ホルダ12の第1係合部12wに嵌合される。これにより、第2巻線ホルダ13の装着部13Bは、先端面11dを除くティース11Qの全周を覆って配置される。第2巻線ホルダ13のガイド部13Cは、ヨーク11Pに重ねて配置される。
【0026】
図3に示したように、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13の装着部12B、13Bにコイル14の巻線部14aが巻回され、装着部に保持されている。すなわち、巻線部14aは、第1巻線ホルダ12および第2巻線ホルダ13を介して、分割鉄心11のティース11Qに巻回されている。
図8は、分割鉄心部10Aの第1巻線ホルダ12の側を示す斜視図、図9は、分割鉄心部10Aの第1巻線ホルダ12の側を示す斜視図である。
図3および図8に示すように、巻線部14aのリード側のコイル端部14bは、第1巻線ホルダ12の引出し口12hを通して仕切り板12mの外側に周方向Sに引き出され、更に、折曲げられて径方向Rの外方に延出している。この際、コイル端部14bの折曲げ部は、保持突起12iとベース板12Aとの間に挟まれ、所望の位置に保持される。コイル端部14bは、ベース板12Aの外周縁を超えて径方向Rに延出している。
【0027】
図3および図9に示すように、巻線部14aの中性点側のコイル端部14cは、第2巻線ホルダ13の引出し口15aを通して仕切り板13mから径方向Rの外方に引き出され、更に、支持板13jの側に折曲げられて軸方向Zに延出している。この際、コイル端部14cの折曲げ部は、保持凹部15bに係合され、所望の周方向位置に保持される。コイル端部14cは、支持板13jから軸方向Zに所定長さ突出している。
【0028】
図10は、組立られた固定子鉄心および3相の結線リング(導線群)を示す斜視図、図11は、固定子鉄心のリード側の一部を拡大して示す斜視図である。
図10に示すように、上記のように構成された24個の分割鉄心部10Aは、中心軸線Cの回りで周方向に並んで配置され、円筒形状の固定子鉄心20を構成している。周方向に隣り合う一方の分割鉄心11の凸部11gが他方の分割鉄心11の凹部11hに嵌合し、隣合う分割鉄心11同士が連結される。それぞれ分割鉄心11に巻装された24個のコイル14は、中心軸線Cの回りで周方向Sに並んで配置されている。コイル14は、U相コイル、V相コイル、W相コイルの順で交互に周方向に並んでいる。
図10および図11に示すように、各コイル14のリード側のコイル端部14bは、第1巻線ホルダ12から径方向Rの外方に延出している。24本のコイル端部14bは、周方向Sにほぼ一定の間隔を置いて並んでいる。
【0029】
図10に示すように、コイル14のコイル端部14bに接合される結線リングは、U相コイル14のコイル端部14bに結線されるU相結線リングRUと、V相コイル14のコイル端部14bに結線されるV相結線リングRVと、W相コイル14のコイル端部14bに結線されるW相結線リングRWと、を含んでいる。
W相結線リングRWを代表して、その構成を詳細に説明する。
図12は、W相結線リングの斜視図である。図示のように、W相結線リングRWは、W相電極端子15Wと、W相電極端子15Wに連結された複数本、例えば、8本の導線とで構成されている。導線としては、コイル14に用いる銅線と共通の銅線を用いている。結線リングRWは、4種類の長さの異なる銅線を有し、各導線の一端は電極端子15Wに連結されている。各導線の他端は、コイル端部に接合する接続端部を形成している。8本の銅線は、電極端子15Wの側から4本ずつ時計方向(第1方向)CWおよび反時計方向(第2方向)CCWに振り分けけられ、全体として、ほぼ円環状あるいは円弧状に整形されている。
【0030】
電極端子15Wから時計方向CWに延出している第1グループW1は、長さの異なる4本の銅線CW1、CW2、CW3、CW4(CW1<CW2<CW3<CW4)を有し、これらの銅線は、軸方向Zに重ねて束ねられている。最も短い銅線CW1、次に長い銅線CW2、次に長い銅線CW3、最も長い銅線CW4の順で重なっている。各銅線の延出端部は、径方向Rの外側に折曲げられ、接続端部16Wを構成している。接続端部16Wにおいて、銅線の絶縁被覆が除去されている。4つの接続端部16Wは、周方向において、例えば、約45度の間隔をおいて並んでいる。
電極端子15Wから反時計方向CCWに延出している第2グループW2は、長さの異なる4本の銅線CCW1、CCW2、CCW3、CCW4(CCW1<CCW2<CCW3<CCW4)を有し、これらの銅線は、軸方向Zに重ねて束ねられている。最も短い銅線CCW1、次に長い銅線CCW2、次に長い銅線CCW3、最も長い銅線CCW4の順で重なっている。各銅線の延出端部は、径方向Rの外側に折曲げられ、接続端部16Wを構成している。接続端部16Wにおいて、銅線の絶縁被覆が除去されている。4つの接続端部16Wは、周方向において、例えば、約45度の間隔をおいて並んでいる。
【0031】
第1グループW1のうちW相電極端子15Wに最も隣接する接続端部16Wと、第2グループW2のうちW相電極端子15Wに最も隣接する接続端部16Wと、は周方向において約45度の間隔を置いて並んでいる。
このように第1グループW1の銅線および第2グループW2の銅線により所望の直径を有するリング状(円環状あるいは円弧状)のW相結線リングRWが構成されている。
【0032】
図10に示すように、V相結線リングRVおよびU相結線リングRUは、上述したW相結線リングRWと同様に構成されている。V相結線リングRVは、V相電極端子15Vに繋がる8つの接続端部16Vを有している。U相結線リングRUは、U相電極端子15Uに繋がる8つの接続端部16Uを有している。リングの直径は、W相結線リングRWが最も大きく、V相結線リングRV、U相結線リングRUの順で徐々に小さく設定されている。
【0033】
図13は、時計方向CWに延出する第1グループの配策を示す固定子鉄心の平面図、図14は、一部破断して示す固定子鉄心の斜視図である。
図13に示すように、W相結線リングRWは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第3ガイド板12tと第2ガイド板12qとの間に配策される。結線リングRWの各接続端部16Wは、対応するW相コイル14(W)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
V相結線リングRVは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第2ガイド板12qと第1ガイド板12mとの間に配策される。V相結線リングRVの各接続端部16Vは、対応するV相コイル14(V)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
U相結線リングRUは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第1ガイド板12mと仕切り壁12eとの間に配策される。結線リングRUの各接続端部16Uは、対応するV相コイル14(U)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
【0034】
W相結線リングRWの各接続端部16Wおよびコイル端部14bは、レーザー溶接、TIG溶接等により互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Wおよびコイル端部14bは、時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に押し込まれている。図14に示すように、接続端部16Wおよびコイル端部14bは、保持突起23a、23bの間に挟まれた状態で、収納溝22内に保持されている。
U相結線リングRUの各接続端部16Uおよびコイル端部14bは、互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Uおよびコイル端部14bは、時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に保持されている。
同様に、V相結線リングRVの各接続端部16Vおよびコイル端部14bは、互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Vおよびコイル端部14bは、時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に保持されている。
【0035】
図15は、反時計方向CCWに延出する第2グループW2の配策を示す固定子鉄心の平面図、図16は、一部破断して示す固定子鉄心の斜視図である。
図15に示すように、W相結線リングRWは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第3ガイド板12tと第2ガイド板12qとの間に配策される。結線リングRWの各接続端部16Wは、対応するW相コイル14(W)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
V相結線リングRVは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第2ガイド板12qと第1ガイド板12mとの間に配策される。結線リングRVの各接続端部16Vは、対応するV相コイル14(V)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
U相結線リングRUは、第1巻線ホルダ12のガイド部12Cにおいて、第1ガイド板12mと仕切り壁12eとの間に配策される。結線リングRUの各接続端部16Uは、対応するV相コイル14(U)のコイル端部14bに周方向に対向、かつ、隣接して位置している。
【0036】
W相結線リングRWの各接続端部16Wおよびコイル端部14bは、互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Wおよびコイル端部14bは、反時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に収納されている。U相結線リングRUの各接続端部16Uおよびコイル端部14bは、互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Uおよびコイル端部14bは、反時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に保持されている。同様に、V相結線リングRVの各接続端部16Vおよびコイル端部14bは、互いに溶接、接合される。接合された接続端部16Vおよびコイル端部14bは、反時計方向にほぼ90度、折曲げられ、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に保持されている。
図16に示すように、接続端部16Vおよびコイル端部14bは、保持突起23a、23bの間に挟まれた状態で、収納溝22内に保持されている。同様に、接続端部16Wおよびコイル端部14b、並びに、接続端部16Uおよびコイル端部14bは、保持突起23a、23bの間に挟まれた状態で、収納溝22内に保持されている。
【0037】
以上のように、8個のW相コイル14(W)は、W相結線リングRWによりW相電極端子15Wに接続されている。8個のU相コイル14(U)は、U相結線リングRUによりU相電極端子15Uに接続されている。8個のV相コイル14(V)は、V相結線リングRVによりW相電極端子15Wに接続されている。また、接合された接続端部およびコイル端部の各々は、固定子鉄心20から径方向の外方に突出することなく、第1巻線ホルダ12の収納溝22内に保持されている。
なお、結線リングの接続端部とコイル端部との接合は、溶接に限らず、スリーブなどの圧着端子によるかしめやヒュージングにより接合してもよい。
【0038】
次に、コイル14の中性点側の結線について説明する。
図17は、固定子鉄心の第2端面(中性点)の側および中性点バスバーを示す分解斜視図、図18は、固定子鉄心の第2端面(中性点)の側の一部および中性点バスバーを拡大して示す斜視図、図19は、中性点バスバーが装着された状態の固定子鉄心の第2端面(中性点)の側の一部を示す斜視図である。
図17および図18に示すように、固定子鉄心20の第2端面20bの側に、円周方向に複数に分割された、例えば、4つに分割された円弧状の中性点バスバー30が設けられている。コイル14の中性点側のコイル端部14cは、中性点バスバー30により互いに接続される。
【0039】
中性点バスバー30は、例えば、銅、アルミニウム等で形成された金属平板であり、一定の幅を有し円弧状に湾曲している。中性点バスバー30は、その外周縁に設けられた複数、ここでは、6つの係合凹所31を有している。これらの係合凹所31は、周方向に等間隔離間して設けられている。係合凹所31は、中性点バスバー30の外周縁に開口している。4つの中性点バスバー30は、共通の形状、共通の寸法に形成されている。
接続前の状態において、各コイル14のコイル端部14cは、第2巻線ホルダ13から径方向外方に延出している。
【0040】
図19に示すように、中性点バスバー30は、第2巻線ホルダ13の支持板13jの上に配置され、内周部が保持板13h、13kと支持板13jとの間に挿入される。更に、中性点バスバー30の外周縁に保持突起15cが当接する。これにより、中性点バスバー30は、第2巻線ホルダ13の所定位置(保持部)に位置決め保持されている。中性点バスバー30の6つの係合凹所31は、それぞれ対応する第2巻線ホルダ13の保持凹部15bと軸方向Zに重なって位置している。
中性点バスバー30を第2巻線ホルダ13に装着した後、コイル端部14cは、支持板13jの側にほぼ90度、折り曲げられ、支持板13jの保持凹部15bおよび中性点バスバー30の係合凹所31に押し込まれる。これにより、コイル端部14cは、周方向の位置が位置決めされ、かつ、中性点バスバー30に当接可能な位置に保持される。この状態で、コイル端部14cを中性点バスバー30に溶接し接合する。溶接には、レーザー溶接、TIG溶接を用いることができる。これにより、周方向に隣り合う6本のコイル14の中性点は、中性点バスバー30を介して互いに結線される。
【0041】
上記のように、4つの中性点バスバー30は、それぞれ第2巻線ホルダ13に保持部に装着され、対応する6つのコイル14のコイル端部14cに接合される。これにより、24個のコイル14の中性点は、4つの中性点バスバー30を介して互いに接続(結線)されている。
【0042】
以上のように構成された本実施形態に係る回転電機の固定子によれば、複数のコイル14のリード側のコイル端部を電極端子に結線する結線部材として、複数本の導線を束ねて形成された環状の結線リングを用いている。導線として、コイルを構成する銅線と共通の銅線を用いることにより、結線リングを安価に製造することができ、従来のバスバーリングに比較して製造コストの低減を図ることができる。
U相、V相、W相の3相の結線リングRU、RV、RWは、異なる径に形成され、固定子鉄心20に対し、径方向に並んで配置されている。そのため、固定子の軸方向の高さを低減することが可能となる。結線リングの接続端部とコイル端部とを接合した接合部は、第1巻線ホルダ12に設けられた収納溝22内に保持されている。すなわち、接合部は固定子鉄心20から径方向外方に突出せず、収納溝22内に保護されている。そのため、接合部の損傷、剥離を防止し、信頼性の向上を図ることができる。
【0043】
本実施形態に係る固定子によれば、各コイルの中性点の側のコイル端部14cは、リード側のコイル端部14bと反対の側、すなわち、固定子鉄心20の第2端面20bの側に設けられている。中性線の配策をリード側と反対側に配策させることにより、固定子の小型化、軸方向の高さの低減を図ることができる。更に、複数のコイルの中性点側のコイル端部14cは、円弧状に形成された複数の中性点バスバー30により、互いに結線されている。複数の中性点バスバー30は、共通の形状、寸法、構成とすることができ、円環状のバスバーリングに比較して、安価に製造することができる。同時に、円環状のバスバーリングに比較して、円弧状の中性点バスバー30は、巻線ホルダに容易に装着でき、かつ、コイル端部14cに容易に接合することが可能である。複数の中性点バスバー30を用いることにより、固定子の組立性の向上、製造コストの低減を図ることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、製造コストの低減および小型化を図ることが可能な固定子を提供することができる。
【0044】
なお、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
結線リングにおいて、第1グループW1の導線本数と第2グループW2の導線本数とは、同一の場合に限らず、互いに異なる本数に設定しても良い。例えば、第1グループW1の導線本数を3本、第2グループW2の導線本数を5本としても良い。
固定子および巻線ホルダの寸法、材質、形状等は、前述した実施形態に限定されることなく、設計に応じて種々変更可能である。
実施形態では、4つの中性点バスバーを用いてコイルの中性点を結線する構成としているが、中性点バスバーは、4つに限らず、2つ、3つ、あるいは5つ以上としてもよい。いずれの場合でも、第2巻線ホルダの構成、形状を変更することなく、中性点バスバーを第2巻線ホルダに装着することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…固定子、10A…分割鉄心部、11…分割鉄心、11P…ヨーク、
11Q…ティース、12…第1巻線ホルダ、13…第2巻線ホルダ、
12A、13A…ベース板、12B、13B…装着部、12C、13C…ガイド部、
14…コイル、14a…巻線部、14b…リード側のコイル端部、
14c…中性点側のコイル端部、15U、15V、15W…電極端子、
16U、16V、16W…接続端部、20…固定子鉄心、20a…第1端面、
20b…第2端面、22…収納溝、23a、23b…保持突起、
RU…U相結線リング、RV…V相結線リング、
RW…W相結線リング、W1…第1グループ、W2…第2グループ
図1
図2
図3
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図5
図6
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