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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024929
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240216BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/0438 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20240216BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20240216BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04 H
H01M8/043
H01M8/0438
H01M8/04955
H01M8/04746
H01M8/04694
H01M8/04664
H01M8/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127928
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
(72)【発明者】
【氏名】白木 壮哉
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA12
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA37
5H127BB02
5H127BB18
5H127BB19
5H127DB02
5H127DB09
5H127DB76
5H127DB90
5H127DB96
5H127DC02
5H127DC09
5H127DC42
5H127DC83
5H127DC99
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】設置されているガスメーターに応じた適切なタイミングで、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を利用者に対して出力できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システムSであって、制御装置22は、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態が設定回数以上の所定の目標回数以上生じなかった場合、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報などを情報出力部28から利用者に対して出力する情報出力処理を行い、漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を受け付ける情報受付部23を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備え、前記アノードに供給される前記燃料ガスは、ガスメーターを経由して供給される供給ガス、又は、前記ガスメーターを経由して供給される供給ガスを改質して得られるガスであり、
前記ガスメーターは、前記供給ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間以上連続する又は前記設定判定用期間での前記供給ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は前記供給ガスの供給遮断を行うように構成されている燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、前記非漏洩条件が満たされたと前記ガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態が前記設定回数以上の所定の目標回数以上生じなかった場合、前記ガスメーターによる前記警報作動又は前記供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は前記供給ガスの使用を控えることを促す情報を前記情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行い、
前記漏洩判定用期間又は前記処理対象期間、前記設定判定用期間又は前記推定非漏洩状態が生じたと判定するための、前記設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間、並びに、前記設定回数又は前記目標回数を特定可能な情報の入力を受け付ける情報受付部を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記処理対象期間内に、少なくとも前記燃料電池部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たさないと判定する量にして前記燃料電池部での発電を行っている発電状態から、少なくとも前記燃料電池部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、当該待機状態を所定の待機期間だけ継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を所定の実施回数以上行うように構成され、
前記待機期間が前記設定判定用期間以上の長さであり、且つ、前記待機期間と前記実施回数との積が前記設定判定用期間と前記設定回数との積よりも大きくなるように、前記待機期間及び前記実施回数が設定され、
前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを消費するガス消費装置の動作状態を監視し、
前記待機処理を行っており、且つ、前記ガス消費装置での前記供給ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である状態が連続した期間の内、前記非漏洩推定期間毎に1回の前記推定非漏洩状態が生じたと見なして、前記処理対象期間内に、前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じたか否かを判定する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記推定非漏洩状態が発生した非漏洩タイミングを記憶し、
前記情報出力処理において、時間的に順に並ぶ複数の前記非漏洩タイミングについて、複数の前記非漏洩タイミングの夫々を起点として、前記非漏洩タイミングの発生回数が前記目標回数になるまでの所要期間を計算し、当該所要期間が前記処理対象期間以下の場合には、前記処理対象期間内に前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じたと判定し、前記所要期間が前記処理対象期間よりも長い場合には、前記処理対象期間内に前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じなかったと判定する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記情報受付部は、操作者の操作入力を受け付けるスイッチを有する請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスが供給されるアノード、及び、酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるマイコンメーター等のガスメーターは、都市ガス等の供給ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行うように構成されている。
【0003】
特許文献1(特開2016-42411号公報)には、燃料電池システムが供給ガスを消費しない期間を意図的に作り出すことで、ガスメーターが上述したように警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行うことを回避しようとする技術が記載されている。例えば、特許文献1に記載の燃料電池システムは、27日毎(漏洩判定用期間である30日の経過時点より3日前)に1日間停止するように制御される。停止している1日間は燃料電池システムでの供給ガスの使用は行われないため、その1日間に、供給ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたとガスメーターが判定することが期待される。
【0004】
尚、燃料電池システムが供給ガスを消費しない期間を意図的に作り出して上記非漏洩条件を満たす状態にさせようとしても、給湯用の熱源機などでガスが消費された場合、その期間では、上記非漏洩条件が満たされないことになる。そのため、非漏洩条件が満たされたとガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態がどれだけ発生したのかを燃料電池システム自身が監視しておき、必要に応じて燃料電池システムの利用者に対してガスの消費を抑制するようなメッセージを発することが好ましい場合もある。特許文献2(特開2017-22078号公報)には、制御装置が、発電部及び給湯用の熱源部でのガス消費を監視しておき、それらでガス消費を行わない期間が所定期間を超えない場合にはガス消費を控えることを促すメッセージを情報出力部から利用者に対して出力することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-42411号公報
【特許文献2】特開2017-22078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
施設や事業所などの施設に設置されるガスメーターの種類は複数の施設の夫々で異なる場合がある。また、燃料電池システムが施設に設置された後、その施設に設置されるガスメーターが別の種類の物に交換されることもある。そして、設置されるガスメーターの種類等が異なれば、上述した漏洩判定用期間の長さ、設定回数の値、非漏洩条件が満たされるか否かをガスメーターが判定するための期間である設定判定用期間の長さなども異なる場合がある。そのため、燃料電池システムで、ガス消費を控えることを促すメッセージを情報出力部から利用者に対して出力するのであれば、非漏洩条件が満たされたとその施設のガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態がどれだけ発生したのかを燃料電池システム自身が高い確度で推定する必要がある。
【0007】
しかしながら、ガスメーターの種類は様々であり、また燃料電池システムが設置された後にガスメーターが交換されることもあるため、非漏洩条件が満たされたとガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態がどれだけ発生したのかを燃料電池システム自身が高い確度で推定することは困難である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、設置されているガスメーターに応じた適切なタイミングで、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は供給ガスの使用を控えることを促す情報を利用者に対して出力できる燃料電池システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料電池システムの特徴構成は、燃料ガスが供給されるアノード及び酸素ガスが供給されるカソードを有する燃料電池部と、情報を出力できる情報出力部と、制御装置とを備え、前記アノードに供給される前記燃料ガスは、ガスメーターを経由して供給される供給ガス、又は、前記ガスメーターを経由して供給される供給ガスを改質して得られるガスであり、
前記ガスメーターは、前記供給ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間以上連続する又は前記設定判定用期間での前記供給ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は前記供給ガスの供給遮断を行うように構成されている燃料電池システムであって、
前記制御装置は、前記漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、前記非漏洩条件が満たされたと前記ガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態が前記設定回数以上の所定の目標回数以上生じなかった場合、前記ガスメーターによる前記警報作動又は前記供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は前記供給ガスの使用を控えることを促す情報を前記情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行い、
前記漏洩判定用期間又は前記処理対象期間、前記設定判定用期間又は前記推定非漏洩状態が生じたと判定するための、前記設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間、並びに、前記設定回数又は前記目標回数を特定可能な情報の入力を受け付ける情報受付部を備える点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、情報受付部が、漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を受け付けることができる。そして、制御装置が、情報受付部が受け付けたそれらの値に基づいて、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、非漏洩条件が満たされたとガスメーターが判定すると推定される推定非漏洩状態が目標回数以上生じなかった場合、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は供給ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部から利用者に対して出力する情報出力処理を行うことができる。
従って、設置されているガスメーターに応じた適切なタイミングで、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は供給ガスの使用を控えることを促す情報を利用者に対して出力できる燃料電池システムを提供できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記処理対象期間内に、少なくとも前記燃料電池部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たさないと判定する量にして前記燃料電池部での発電を行っている発電状態から、少なくとも前記燃料電池部での発電用に供給される前記供給ガスの量については前記ガスメーターが前記非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、当該待機状態を所定の待機期間だけ継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を所定の実施回数以上行うように構成され、前記待機期間が前記設定判定用期間以上の長さであり、且つ、前記待機期間と前記実施回数との積が前記設定判定用期間と前記設定回数との積よりも大きくなるように、前記待機期間及び前記実施回数が設定され、前記ガスメーターを経由して供給される前記供給ガスを消費するガス消費装置の動作状態を監視し、前記待機処理を行っており、且つ、前記ガス消費装置での前記供給ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である状態が連続した期間の内、前記非漏洩推定期間毎に1回の前記推定非漏洩状態が生じたと見なして、前記処理対象期間内に、前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じたか否かを判定する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、制御装置は、処理対象期間内に、少なくとも燃料電池部での発電用に供給される供給ガスの量についてはガスメーターが非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態を、上記設定判定用期間よりも長い所定の待機期間だけ継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を所定の実施回数以上行う。尚、待機期間が設定判定用期間以上の長さであり、且つ、待機期間と実施回数との積が設定判定用期間と設定回数との積よりも大きくなるように、待機期間及び実施回数が設定される。その結果、ガスメーターが、非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたと判定する可能性が高まる。
また、制御装置は、ガス消費装置での供給ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である状態が連続した期間の内、設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間毎に1回の推定非漏洩状態が生じたと見なして、処理対象期間内に、推定非漏洩状態が目標回数以上生じたか否かを判定できる。
【0013】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記推定非漏洩状態が発生した非漏洩タイミングを記憶し、前記情報出力処理において、時間的に順に並ぶ複数の前記非漏洩タイミングについて、複数の前記非漏洩タイミングの夫々を起点として、前記非漏洩タイミングの発生回数が前記目標回数になるまでの所要期間を計算し、当該所要期間が前記処理対象期間以下の場合には、前記処理対象期間内に前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じたと判定し、前記所要期間が前記処理対象期間よりも長い場合には、前記処理対象期間内に前記推定非漏洩状態が前記目標回数以上生じなかったと判定する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、制御装置は、記憶している推定非漏洩状態が発生した複数の非漏洩タイミングに基づいて、処理対象期間内に推定非漏洩状態が目標回数以上生じたか否かを判定できる。
【0015】
本発明に係る燃料電池システムの更に別の特徴構成は、前記情報受付部は、操作者の操作入力を受け付けるスイッチを有する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、操作者は、燃料電池システムと同じ施設に設置されているガスメーターの型式などを確認できる。そして、操作者は、ガスメーターの型式などを確認しながら、燃料電池システムに設けられているスイッチで、漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を行うことができるため、情報の入力作業の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】燃料電池システムの構成を示す図である。
図2】処理対象期間を説明する図である。
図3】漏洩判定回避処理を説明する図である。
図4】漏洩判定回避処理に関する動作を説明するフローチャートである。
図5】情報出力処理の内容を説明する図である。
図6】情報出力処理の内容を説明する図である。
図7】別実施形態の漏洩判定回避処理を説明する図である。
図8】別実施形態の漏洩判定回避処理を説明する図である。
図9】燃料電池システムとサーバ装置とが情報通信回線を介して接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムSについて説明する。
図1は、燃料電池システムSの構成を示す図である。燃料電池システムSは、燃料ガスが供給されるアノード8及び酸素ガスが供給されるカソード9を有する燃料電池部FCと、情報を出力できる情報出力部28と、制御装置22とを備える。加えて、本実施形態の燃料電池システムSは、原燃料流量調節部5と、吸着部6と、空気流量調節部15と、熱交換器12と、水精製器13と、水タンク14と、水ポンプ16とを備える。
【0019】
アノード8に供給される燃料ガスは、ガスメーター1を経由して供給される供給ガス、又は、ガスメーター1を経由して供給される供給ガスを改質部7で改質して得られるガスである。例えば、供給ガスが水素である場合、ガスメーター1を経由して供給される水素が燃料ガスとしてアノード8に供給される。供給ガスが炭化水素を含む都市ガスなどの原燃料ガスである場合、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスが改質部7に供給される。
以下の説明では、ガスメーター1から供給される供給ガスが、炭化水素を含む都市ガスなどの原燃料ガスである場合について説明する。
【0020】
改質部7は、ガスメーター1を経由して、原燃料ガス流路L1b(L1)を介して供給される例えば都市ガス等の炭化水素を含む原燃料ガスを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する。改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの単位時間当たりの流量は原燃料流量調節部5によって調節される。そして、原燃料流量調節部5によって流量が調節された原燃料ガスは、吸着部6を経由して、改質部7に供給される。
【0021】
また、改質部7には、水タンク14に貯えられている水が水ポンプ16及び水流路L10を介して供給され、その水が原燃料ガスの水蒸気改質に用いられる。尚、図示は省略するが、供給される水を気化させる気化器を設けてもよい。
原燃料流量調節部5の動作は制御装置22が制御する。
【0022】
吸着部6は、改質部7よりも上流側で原燃料ガスを吸着可能な吸着材6aとその吸着材6aの温度を調節可能な温度調節部6bとを有する。吸着材6aは、温度が低い場合には原燃料ガスを吸着し、温度が高い場合には吸着している原燃料ガスを脱離する。そのため、制御装置22は、例えば電気ヒーターなどを用いて実現される温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させることができる。例えば、吸着材6aは活性炭やゼオライトを用いて実現でき、その場合、吸着材6aの温度を凡そ100℃~200℃以上にすることで、吸着していた原燃料ガスを脱離させることができる。尚、吸着材6aとして例えば銀ゼオライト等を用い、都市ガスから硫黄分を除去するための脱硫剤を兼ねる構成としてもよい。
温度調節部6bの動作は制御装置22が制御する。
【0023】
改質部7で生成された改質は改質ガス流路L2を介して燃料電池部FCに供給される。また、酸素ガス(空気)が空気流路L4を介して燃料電池部FCに供給される。燃料電池部FCのカソード9に供給される空気(即ち、酸素)の単位時間当たりの流量は空気流量調節部15によって調節される。燃料電池部FCは、改質部7で生成される改質ガスが供給されるアノード8と、酸素ガスが供給されるカソード9と、それらの間に設けられる電解質層10とを有する。例えば、電解質層10は固体酸化物を使用して構成され、その場合には、燃料電池部FCは固体酸化物形の発電セルを有する。
空気流量調節部15の動作は制御装置22が制御する。
【0024】
アノード8から排出されるアノード排出ガスはアノード排出ガス流路L3を介して燃焼部11に供給される。カソード9から排出されるカソード排出ガスはカソード排出ガス流路L5を介して燃焼部11に供給される。例えば、アノード排出ガス流路L3は、アノード8から燃焼部11へ供給されるアノード排出ガスが流れるアノード排出ガス配管である。また、例えば、カソード排出ガス流路L5は、カソード9から燃焼部11へ供給されるカソード排出ガスが流れるカソード排出ガス配管である。
【0025】
燃焼部11は、アノード8から排出されるアノード排出ガスに含まれる燃焼成分を燃焼させる。尚、燃焼部11には、カソード9から排出されるカソード排出ガスも供給され、そのカソード排出ガスに含まれる酸素が燃焼に利用される。そして、燃焼部11で発生した燃焼熱が、改質部7による原燃料ガスの水蒸気改質に利用される。また、気化器が設けられている場合には、燃焼熱が気化器に供給されて水の気化に利用される。
【0026】
燃焼部11から排出される排出燃焼ガスは、排出燃焼ガス流路L6を介して熱交換器12に供給される。また、熱交換器12には、湯水循環路L7を流れる湯水が供給される。そして、熱交換器12で、排出燃焼ガスと湯水との熱交換が行われる。本実施形態では、この熱交換によって、排出燃焼ガスが冷却され、湯水循環路L7を流れる湯水が加熱される。
【0027】
湯水循環路L7は、貯湯タンク17と熱交換器12との間で湯水を循環させる。貯湯タンク17には、相対的に低温の湯水がその下部に貯えられ、相対的に高温の湯水がその上部に貯えられるように、即ち、温度成層を形成する状態で湯水が貯えられる。具体的に説明すると、湯水循環路L7は、貯湯タンク17から熱交換器12へ湯水を移送する往路と、熱交換器12から貯湯タンク17へ湯水を移送する復路とで構成され、往路の途中に設けられる循環ポンプ18とを有する。
【0028】
このような構成により、貯湯タンク17の下部から湯水循環路L7の往路を介して熱交換器12に供給される湯水はその熱交換器12で加熱され、加熱後の湯水は湯水循環路L7の復路を介して貯湯タンク17の上部に供給される。復路の途中に、熱交換器12から貯湯タンク17へ移送される湯水の温度を測定する温度測定部19が設けられる。本実施形態では、制御装置22は、復路を流れて貯湯タンク17に流入する湯水の温度(温度測定部19で測定される湯水の温度)が所定の貯湯目標温度(例えば65℃など)になるように循環ポンプ18の動作を制御する。このようにして、貯湯タンク17に温度成層を形成する状態で湯水が貯湯、即ち、蓄熱される。
【0029】
貯湯タンク17の下部には、貯湯タンク17に上水を供給するための給水路L8a(L8)が接続され、貯湯タンク17の上部には、貯湯タンク17で貯えている湯水を排出するための出湯路L9が接続される。出湯路L9の途中には給水路L8b(L8)が接続され、貯湯タンク17から出湯される湯水に上水を混合することができる。貯湯タンク17から出湯される湯水に混合する上水の量は、給水路L8bの途中に設けられる調節弁21によって調節される。例えば、制御装置22は、温度測定部20によって測定される混合後の湯水の温度が所定温度(例えば30℃)になるように、調節弁21の動作を制御する。そして、混合後の湯水は熱源装置4を介して、利用者へと供給される。
【0030】
熱源装置4は、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを燃焼してその燃焼熱により湯水を加熱するガス消費装置2として機能する。例えば、情報受付部23が利用者から40℃の湯水の要求を受け付けている場合、制御装置22は、熱源装置4によって湯水を40℃に加熱した上で利用者に供給する。
【0031】
燃焼部11から排出される排出燃焼ガスには水蒸気も含まれている。そのため、排出燃焼ガスを熱交換器12で冷却した場合、水蒸気が凝縮する。そして、その凝縮水は水回収路L11へと流入する。回収された凝縮水は、水精製器13を経由して、水タンク14に供給される。水精製器13は、回収した凝縮水に含まれる不純物を除去するための機器である。例えば、水精製器13は、イオン交換樹脂等を充填しており、回収した凝縮水に含まれる電解質のイオン(例えば、イオン化して溶存している塩類やアンモニアなど)を例えばH、OHと交換することで、回収水した凝縮水に含まれる電解質の濃度を相対的に低くさせる(即ち、電気伝導度を低くさせる)機能を果たす。
【0032】
ガスメーター1は、原燃料ガスの通流量がゼロ又は少ないことを示す非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間(例えば、過去30日間など)の間に設定回数(例えば、30回など)生じないときには、警報作動する又は原燃料ガスの供給遮断を行うように構成されている。例えば、ガスメーター1は、供給ガスとしての原燃料ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間(例えば2分間など)以上連続する又は設定判定用期間での原燃料ガスの積算通流量が第2設定判定量以下になるという非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じないときには、警報作動する又は原燃料ガスの供給遮断を行うように構成されている。
【0033】
図1に例示した構成では、ガスメーター1からは、原燃料ガス流路L1b(L1)を介して燃料電池システムSの改質部7に原燃料ガスが供給され、原燃料ガス流路L1c(L1)を介して燃料電池システムSの熱源装置4に原燃料ガスが供給される。また、ガスメーター1からは、原燃料ガス流路L1a(L1)を介してガスコンロやガス燃焼式ファンヒーター等のガス消費装置2としてのガス機器3にも原燃料ガスは供給される。そのため、ガスメーター1は、例えば改質部7及び熱源装置4及びガス機器3の全てでの原燃料ガスの消費に関して非漏洩条件を満たす状態が発生したか否かを判定する。そして、ガスメーター1は、そのような非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間(例えば、過去30日間など)の間に設定回数(例えば、30回など)生じていれば、異常なしと判定して、漏洩判定用期間の計時をゼロにリセットする。
【0034】
燃料電池システムSの制御装置22は、ガスメーター1が、非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたと判定するように、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にすることを設定タイミングで実施する。そして、制御装置22は、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間(例えば27日など)内に、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態が設定回数(例えば30回など)以上の所定の目標回数(例えば35回など)以上生じなかった場合、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部28から利用者に対して出力する情報出力処理を行う。例えば、情報出力部28は、音声情報や文字情報を出力できる装置(例えばリモコン装置など)であり、それらの情報を音声情報や文字情報で利用者に報知してもよい。
【0035】
具体的には、制御装置22は、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たさないと判定する量にして燃料電池部FCでの発電を行っている発電状態から、少なくとも燃料電池部FCでの発電用に供給される原燃料ガスの量についてはガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にする待機状態に移行して、その待機状態を所定の待機期間だけ継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を所定の実施回数以上行う。ここで、待機期間が設定判定用期間以上の長さであり、且つ、待機期間と実施回数との積が設定判定用期間と設定回数との積よりも大きくなるように、待機期間及び実施回数が設定される。
【0036】
例えば、ガスメーター1が上述したように警報作動する又は供給ガスの供給遮断を行う場合に判断基準とする設定判定用期間T及び設定回数Nと、燃料電池システムSで漏洩判定回避処理を行う場合の待機期間及び実施回数は以下の式のような値に設定される。
待機期間=〔設定判定用期間T+t1〕 (t1はゼロ以上の数) ・・・(式1)
実施回数=〔設定回数N+n〕 (nはゼロ以上の数) ・・・(式2)
一例を挙げると、上記式1において、設定判定用期間Tが2分で、t1が0.5分の場合、待機期間は2.5分になる。また、上記(式2)において、設定回数Nが30回で、nが5の場合、実施回数は35回になる。
【0037】
制御装置22は、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにして、燃料電池部FCでの発電を停止させる。そして、制御装置22は、例えば、漏洩判定用期間が30日間の場合、それと同じ長さ又はそれより短い処理対象期間内に、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにした状態を、ガスメーター1の2分間の設定判定用期間よりも長い例えば2.5分間の待機期間だけ継続する待機処理を含む漏洩判定回避処理を例えば35回以上行う。つまり、この例では、待機期間は、ガスメーター1の上記設定判定用期間(2分)よりも0.5分間だけ長く設定され、27日間の処理対象期間内での漏洩判定回避処理の実施回数(35回)は、ガスメーター1の上記設定回数(30回)よりも5回だけ多く設定されている。つまり、以下の表2に記載するように、制御装置22は、27日間に、連続2.5分間の待機処理(即ち、原燃料ガスの不使用)を35回実施しようとしている。言い換えると、制御装置22は、推定非漏洩状態(非漏洩推定期間2.5分)を35回発生させようと試みている。
【0038】
以下の表1に示すのは、ガスメーター1の漏洩判定用期間、設定回数及び設定判定用期間の数値例と、燃料電池システムSの処理対象期間、目標回数及び非漏洩推定期間の数値例である。また、各数値は、ガスメーター1が超音波メーターである場合と膜式メーターである場合の夫々について記載している。また、表2は、ガスメーター1が超音波メーターである場合での、燃料電池システムSの処理対象期間、実施回数及び待機期間の数値例である。この場合、待機期間(2.5分)の長さが設定判定用期間(2分)以上の長さであり、且つ、待機期間(2.5分)と実施回数(35回)との積(87.5分)が設定判定用期間(2分)と設定回数(30回)との積(60分)よりも大きく設定されている。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
燃料電池システムSは、上述した漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は推定非漏洩状態が生じたと判定するための、設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を受け付ける情報受付部23を備える。例えば、情報受付部23は、操作者の操作入力を受け付けるスイッチを有するリモコン装置を用いて実現できる。この場合のリモコン装置は、燃料電池システムSに関する情報を利用者に出力し、燃料電池システムSに関する情報の入力を利用者から受け付ける装置である。或いは、情報受付部23は、燃料電池部FCなどを収容する燃料電池システムSの筐体に設けられている例えばタッチパネル式のスイッチ等を用いて実現してもよい。そして、制御装置22は、利用者から情報受付部23が受け付ける情報に基づいて漏洩判定回避処理を行うことができる。この場合、利用者が漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数等の各数値を入力してもよい。加えて、情報受付部23は、上述した実施回数及び待機期間の各数値を利用者から受け付けることもできる。
【0042】
例えば、利用者が漏洩判定用期間、設定判定用期間、並びに、設定回数の各数値を入力した場合、制御装置22は、それらの数値に基づいて、処理対象期間(例えば、処理対象期間=〔漏洩判定用期間-3日〕など)、非漏洩推定期間(例えば、非漏洩推定期間=〔設定判定用期間+0.5分〕など)及び目標回数(例えば、目標回数=〔設定回数+5回〕など)の各数値を導出を行えばよい。或いは、利用者が処理対象期間、非漏洩推定期間、並びに、目標回数等の各数値を入力してもよい。他には、利用者がガスメーター1の型番などを入力し、制御装置22がその型番と、予め情報記憶部24に記憶しているガスメーター1の型番に対応する漏洩判定用期間、設定判定用期間及び設定回数の各数値に基づいて、処理対象期間(例えば、処理対象期間=〔漏洩判定用期間-3日〕など)、非漏洩推定期間(例えば、非漏洩推定期間=〔設定判定用期間+0.5分〕など)及び目標回数(例えば、目標回数=〔設定回数+5回〕など)の各数値を導出してもよい。
【0043】
図2は、漏洩判定回避処理を設定回数以上行うための処理対象期間を説明する図である。図示するように、制御装置22は、何れの時点においても、その時点から将来の漏洩判定用期間と同じ長さの期間内に、待機処理が設定回数以上の所定の実施予定回数だけ行われるように、待機処理を含む漏洩判定回避処理の実施スケジュールを決定する。図2に示す例では、T1~T35までの35回の漏洩判定回避処理の予定実施タイミングを設定している。
【0044】
漏洩判定回避処理の予定実施タイミングは適宜設定できる。例えば、制御装置22は、改質部7が原燃料ガスの供給を受けるのと同じガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2としての熱源装置4の動作状態を監視する。そして、制御装置22は、熱源装置4がガス消費動作を行う可能性が低い時間帯に漏洩判定回避処理を優先して行ってもよい。その場合、制御装置22は、ガス消費装置2としての熱源装置4での原燃料ガスの消費動作の回数を記憶し、例えば1日の中の1時間毎のガス消費動作の頻度を導出する。そして、制御装置22は、1日の中でのガス消費動作の頻度が低い時間帯に漏洩判定回避処理を優先して行う。一例を挙げると、制御装置22は、1日の中でのガス消費動作の頻度が低い時間帯を時刻2時及び時刻4時に決定した場合、漏洩判定回避処理を1日の中で時刻2時及び時刻4時の2回行う予定にする。この場合、将来の30日間(720時間)で60回の漏洩判定回避処理を行う実施スケジュールが設定される。従って、漏洩判定回避処理を行っている間に非漏洩条件を満たすとガスメーター1によって判定される状態が発生する可能性が高まるため、ガスメーター1が、非漏洩条件を満たす状態が漏洩判定用期間の間に設定回数生じたと判定する可能性が高まる。
【0045】
図3は漏洩判定回避処理を説明する図である。図3に示す例では、漏洩判定回避処理は事前処理と待機処理と事後処理とを含む。そして、時刻Ta~時刻Tbの間に事前処理が行われ、時刻Tb~時刻Tcの間に待機処理が行われ、時刻Tc~時刻Tdの間に事後処理が行われる。尚、漏洩判定回避処理は、事前処理と待機処理とを含むことでも良いし、又は、待機処理と事後処理とを含むことでも良い。
【0046】
具体的には、制御装置22は、漏洩判定回避処理として、改質部7がガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを継続しながら燃料電池部FCでの発電を停止させる事前処理を時刻Ta~時刻Tbの間に行い、事前処理の後に待機処理を行い、事前処理を行っている間にアノード8から排出されるアノード排出ガスを燃焼部11で燃焼する。
【0047】
例えば、制御装置22は、事前処理において、時刻Ta~時刻Tbの間、燃料電池部FCから電流を取り出すパワーコンディショナ(図示せず)の動作を制御して、燃料電池部FCからの電流の取り出し(発電)を行わない、即ち、燃料電池部FCでの発電を停止させる。但し、制御装置22は、時刻Ta~時刻Tbの間、原燃料流量調節部5を動作させて改質部7に原燃料ガスを供給し続け、空気流量調節部15を動作させてカソード9に空気を供給し続ける。また、制御装置22は、時刻Ta~時刻Tbの間、水ポンプ16を動作させて改質部7に水を供給し続ける。更に、燃焼部11では、アノード8から排出されるアノード排出ガスに含まれる燃焼成分を燃焼させ、その燃焼熱は改質部7に供給される。従って、時刻Ta~時刻Tbの間、改質部7で生成された改質ガスは、燃料電池部FCでの発電に用いられることなく、燃焼部11で燃焼される。
【0048】
このように、事前処理を行っている間にアノード8から排出されるアノード排出ガス(即ち、高濃度の原燃料ガス)が燃焼部11で燃焼されるため、待機処理の開始時点では、燃焼部11から放出される燃焼熱によって、例えば改質部7及び燃料電池部FC及び燃焼部11を収容するホットモジュールの内部の温度は高温になる。その結果、その後の待機処理中に改質部7の温度低下が発生するとしても、待機処理の終了時点での温度を高温にさせることができ、温度変化による燃料電池部FCへの劣化影響を抑制することができる。
【0049】
また、制御装置22は、待機処理において、時刻Tb~時刻Tcの間、原燃料流量調節部5の動作を停止して、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを停止し、空気流量調節部15の動作を停止してカソード9への空気の供給を停止する。そして、制御装置22は、時刻Tb~時刻Tcの間、発電を停止、即ち燃料電池部FCからの電流の取り出しを行わない。尚、制御装置22は、時刻Tb~時刻Tcの間、水ポンプ16を動作させて改質部7に水を供給し続ける。従って、時刻Tb~時刻Tcの間、改質部7からアノード8には、水蒸気のみが供給され続ける。このように、待機処理中に、水蒸気と改質部7に充填されていた燃料ガスとの混合ガスが改質部7からアノード8へと供給される。そのため、待機処理中に、外部からアノード8などに空気等が侵入してアノード8が酸化劣化することが抑制される。更に、待機処理中や発電再開直後に、アノード8へ供給されるガスのS/C(スチーム/カーボン比)が低下することが抑制される。
【0050】
また、制御装置22は、漏洩判定回避処理として、待機処理の後に、改質部7がガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを再開して改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を停止させる事後処理を時刻Tc~時刻Tdの間に行い、事後処理を行っている間にアノード8から排出されるアノード排出ガスを燃焼部11で燃焼する。
【0051】
例えば、制御装置22は、事後処理において、時刻Tc~時刻Tdの間、燃料電池部FCからの電流の取り出しを行わない。但し、制御装置22は、時刻Tc~時刻Tdの間、原燃料流量調節部5を動作させて改質部7に原燃料ガスを供給し続け、空気流量調節部15を動作させてカソード9に空気を供給し続ける。また、制御装置22は、時刻Tc~時刻Tdの間、水ポンプ16を動作させて改質部7に水を供給し続ける。更に、燃焼部11では、アノード8から排出されるアノード排出ガスに含まれる燃焼成分を燃焼させ、その燃焼熱は改質部7に供給される。従って、時刻Tc~時刻Tdの間、改質部7で生成された改質ガスは、燃料電池部FCでの発電に用いられることなく、燃焼部11で燃焼される。
【0052】
図4は、制御装置22の漏洩判定回避処理に関する動作を説明するフローチャートである。
工程#10において制御装置22は、漏洩判定回避処理の開始タイミングであるか否かを判定する。例えば、制御装置22は、図3に例示した時刻Taになったか否かを判定する。そして、制御装置22は、漏洩判定回避処理の開始タイミングである場合、工程#11に移行して、漏洩判定回避処理を開始する。図3で説明した例の場合、制御装置22は、時刻Ta~時刻Tbの間、漏洩判定回避処理の事前処理を行い、時刻Tbからは漏洩判定回避処理としての待機処理を開始する。そして、制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間に、ガス消費装置2としての熱源装置4の動作(即ち、ガスの燃焼動作)を監視する。
【0053】
その後、工程#12において制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理の終了タイミングであるか否かを判定する。図3に示した例の場合、制御装置22は、時刻Tcになったか否かを判定する。そして、制御装置22は、待機処理の終了タイミングである場合、工程#13に移行して待機処理を終了する。
【0054】
次に、工程#14において制御装置22は、漏洩判定回避処理の終了タイミングになった場合、工程#15に移行して漏洩判定回避処理を終了する。図3に示した例の場合、制御装置22は、漏洩判定回避処理の事後処理の終了タイミングである時刻Tdになったと判定した場合、事後処理を終了する、即ち、漏洩判定回避処理を終了する。
【0055】
制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間、ガス消費装置2としての熱源装置4の動作状態を監視している。例えば、熱源装置4での原燃料ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である第1状態であるか、或いは、熱源装置4での原燃料ガスの消費量が所定量より多い第2状態であるかを判定する。尚、上記所定量は、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量である。そして、制御装置22は、待機処理を行っており、且つ、熱源装置4での原燃料ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である第1状態が連続した期間の内、設定判定用期間(2分)以上の長さの非漏洩推定期間(2.5分)毎に1回の推定非漏洩状態(2.5分のガス不使用)が生じたと見なして、処理対象期間(27日)内に、推定非漏洩状態が目標回数(35回)以上生じたか否かを判定する。
【0056】
例えば、制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間に熱源装置4での原燃料ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である第1状態が生じた場合、即ち、待機処理が成功した場合には、その待機処理を行っている間に、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態が生じたと判定し、その待機処理を行っている間に熱源装置4での原燃料ガスの消費量が所定量より多い第2状態が生じた場合、即ち、待機処理が失敗した場合には、その待機処理を行っている間に推定非漏洩状態が生じなかったと判定する。そして、制御装置22は、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態が発生した非漏洩タイミングを情報記憶部24に記憶する。尚、本実施形態では、燃料電池システムSとガスメーター1との間での情報通信は行われないため、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が実際に判定したか否かを燃料電池システムSで知ることはできない。
【0057】
図5は、情報出力処理の内容を説明する図である。図中に黒四角印で示すのが、推定非漏洩状態が発生した非漏洩タイミングである。この場合、制御装置22は、情報出力処理において、時間的に順に並ぶ複数の非漏洩タイミングについて、複数の非漏洩タイミングの夫々を起点として、非漏洩タイミングの発生回数が上記目標回数になるまでの所要期間を計算し、当該所要期間が処理対象期間以下の場合には、処理対象期間内に推定非漏洩状態が目標回数以上生じたと判定し、所要期間が処理対象期間よりも長い場合には、処理対象期間内に推定非漏洩状態が目標回数以上生じなかったと判定する。
【0058】
具体的に説明すると、図5に示す例の場合、制御装置22は、非漏洩タイミングAを起点とした場合、その非漏洩タイミングAを含んだ非漏洩タイミングの発生回数が35回(上記目標回数の一例)になるまでの所要期間Aを計算する。そして、制御装置22は、所要期間Aが上記処理対象期間(例えば27日など)よりも長い場合に、処理対象期間内に推定非漏洩状態が目標回数以上生じなかったと判定し、所要期間Aが上記処理対象期間以下の場合に、処理対象期間内に推定非漏洩状態が目標回数以上生じたと判定する。制御装置22はこのような判定を非漏洩タイミングBなどの全ての非漏洩タイミングのそれぞれを起点として行う。
【0059】
図6は、別の情報出力処理の内容を説明する図である。図中に黒四角印で示すのが、推定非漏洩状態が発生した非漏洩タイミングである。この場合、制御装置22は、現時点よりも過去の例えば27日間等の処理対象期間内での非漏洩タイミングの回数を計算する。そして、制御装置22は、現時点よりも過去の例えば27日間等の処理対象期間内での非漏洩タイミングの回数が例えば35回等の目標回数以上であるか否かを判定する。
【0060】
具体的に説明すると、制御装置22は、判定タイミングAになった場合、過去の処理対象期間(27日)と同じ長さの期間内に、非漏洩タイミングが何回含まれたかを計数する。図6に示す例では、処理対象期間Aには35回の非漏洩タイミングが含まれる。そのため、制御装置22は、処理対象期間A内に、推定非漏洩状態が35回(上記目標回数の一例)以上生じたと判定する。また、制御装置22は、判定タイミングBになった場合、過去の処理対象期間(27日)と同じ長さの期間内に、非漏洩タイミングが何回含まれたかを計数する。図6に示す例では、処理対象期間Bには32回の非漏洩タイミングが含まれる。そのため、制御装置22は、処理対象期間B内に、推定非漏洩状態が35回(目標回数)以上生じなかったと判定する。
【0061】
制御装置22は、漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間に、ガス消費装置2としての熱源装置4での原燃料ガスの消費量が所定量より多い第2状態が発生した場合には追加の待機処理を設定するように動作してもよい。つまり、制御装置22は、漏洩判定回避処理の実施スケジュールを再設定するように動作してもよい。尚、制御装置22は、動作状態を監視可能なガス消費装置2が熱源装置4とは別にある場合には、そのガス消費装置2の動作状態の監視結果も含めて、漏洩判定回避処理の実施スケジュールを再設定するように動作してもよい。
【0062】
具体的には、制御装置22は、追加の待機処理を、現在実施中の待機処理又は将来行う待機処理を延長するタイミングに設定することで、漏洩判定回避処理の実施スケジュールを再設定することができる。例えば、制御装置22は、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費する少なくとも一部のガス消費装置2の動作状態を監視し、漏洩判定回避処理の待機処理の途中にガス消費装置2での原燃料ガスの消費量が所定量より多い第2状態が発生した場合には、現在行っている待機処理又は将来行う待機処理の待機期間の長さを延長する。図3に示した例の場合、制御装置22は、待機処理の停止タイミングを、時刻Tcではなく、それよりも後の時刻Tc+αに再設定する。つまり、制御装置22は、現在実施中の待機処理を期間αだけ延長するような漏洩判定回避処理の実施スケジュールを再設定する。その場合、事後停止処理の終了タイミングも、時刻Td+αに再設定される。例えば、上述した例では待機期間を2.5分間に設定する場合を説明したが、待機期間の延長長さ「α」は例えば2分間などに設定でき、結果として1回の待機期間は合計4.5分間になる。
【0063】
尚、ガス消費装置2としての熱源装置4によるガス消費動作が継続された場合、待機処理の延長が何度も繰り返されると、1回の待機期間が長くなる可能性もある。その場合、1回の待機期間の長さに例えば20分間などの上限を設けてもよい。そして、制御装置22は、1回の待機期間の長さが例えば20分間に到達した時点で、その待機処理を強制中止してもよい。また、制御装置22は、待機処理を強制中止した場合、次に行う待機処理の待機期間の長さを延長することや、後述するような、現在設定している処理対象期間内で新たに漏洩判定回避処理を追加することなどを行ってもよい。
【0064】
他には、制御装置22は、現在設定している処理対象期間内で、新たに漏洩判定回避処理を追加するように設定することで、漏洩判定回避処理の実施スケジュールを再設定することができる。例えば、制御装置22は、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2の動作状態を監視し、漏洩判定回避処理の待機処理の途中にガス消費装置2での原燃料ガスの消費量が所定量より多い第2状態が発生した場合、漏洩判定回避処理の実施予定回数を増加する。図2に示した例の場合、制御装置22は、現在からT35の漏洩判定回避処理の予定実施タイミングまでの間に、新たに1回の漏洩判定回避処理を追加する予定を設定する。例えば、制御装置22は、現在が午前5時であり、当初予定していた次の漏洩判定回避処理の予定実施タイミングが翌日の午前2時の場合、それまでの間に、例えば当日の午後11時に、新たに1回の漏洩判定回避処理を実施する予定を追加する。
【0065】
以上のように、情報受付部23が、漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を受け付けることができる。そして、制御装置22が、情報受付部23が受け付けたそれらの値に基づいて、漏洩判定用期間と同じ長さ又はそれよりも短い長さの所定の処理対象期間内に、非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態が目標回数以上生じなかった場合、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を情報出力部28から利用者に対して出力する情報出力処理を行うことができる。従って、設置されているガスメーター1に応じた適切なタイミングで、ガスメーター1による警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を利用者に対して出力できる燃料電池システムSを提供できる。
【0066】
加えて、施設27に設置されているガス消費機器の種類(例えば、床暖房装置、ガスファンヒーターなど)や施設27の利用者の生活様式(例えば、ガス消費装置2の利用頻度が昼間に高い昼型利用者、ガス消費装置2の利用頻度が夜間に高い夜型利用者など)に合わせて、情報出力処理を行う場合の目標回数及び非漏洩推定期間や、漏洩判定回避処理を行う場合の実施回数及び待機期間を設定してもよい。例えば、昼型利用者及び夜型利用者の両方が施設27を利用していることで終日ガス使用がある場合などには、推定非漏洩状態が発生し難いことを考慮して、待機期間と実施回数との積が大きな値になるように(例えば、実施回数が多くなるように等)、待機期間及び実施回数を設定してもよい。
【0067】
<第2実施形態>
第2実施形態の燃料電池システムSは、上記実施形態で説明した漏洩判定回避処理とは別の発電停止処理を行う点で上記実施形態と異なっている。以下に第2実施形態の燃料電池システムSについて説明するが、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0068】
本実施形態の燃料電池システムSにおいて、制御装置22は、処理対象期間内に、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを停止すると共に燃料電池部FCの発電運転を停止する発電停止処理を1回行うように構成される。例えば、制御装置22は、例えば27日間などの処理対象期間内に、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを24時間連続して停止すると共に燃料電池部FCの発電運転を停止する発電停止処理を1回行う。つまり、待機期間の長さが24時間に設定される。
【0069】
また、制御装置22は、ガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2の動作状態を監視し、待機処理を行っており、且つ、ガス消費装置2での供給ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である状態が連続した期間の内、設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間毎に1回の推定非漏洩状態が生じたと見なして、処理対象期間内に、推定非漏洩状態が目標回数以上生じたか否かを判定する。つまり、本実施形態では、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを、24時間という長期間にわたって連続して実施することで、その24時間の間に非漏洩条件が満たされたとガスメーター1が判定すると推定される推定非漏洩状態を1回又は複数回発生させようとしている。
【0070】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料電池システムSの構成について具体的に説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0071】
<2>
上記実施形態において、制御装置22は、待機処理を行っている間、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させてもよい。
【0072】
例えば、制御装置22は、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにして、即ち、非漏洩条件を満たすとガスメーター1が判定する状態にして燃料電池部FCでの発電を停止させている間、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから原燃料ガスを脱離させてもよい。この場合、待機処理中に吸着材6aから脱離された原燃料ガスが改質部7を経てアノード8へと拡散する。そのため、漏洩判定回避処理の待機処理中に、外部からアノード8などに空気等が侵入することが抑制される。
【0073】
或いは、制御装置22は、待機処理において、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。図7は、別実施形態の漏洩判定回避処理を説明する図である。図7に示す例では、漏洩判定回避処理は、時刻Tb~時刻Tcの間に行われる待機処理を含む。この場合、制御装置22は、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにし、即ち、非漏洩条件を満たすとガスメーター1が判定する状態にし、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせる。吸着材6aから脱離させた原燃料ガスは拡散して改質部7に供給されるが、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにしていれば、ガスメーター1は非漏洩条件を満たすと判定する。そして、改質部7は、吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて改質ガスの生成を行うことができるので、制御装置22は、燃料電池部FCからの電流の取り出し(発電)を行うことができる。但し、この待機処理で行われる発電継続は、燃料電池部FCの発電電力を、例えば燃料電池部FCを動作させるために必要な、水ポンプ16、循環ポンプ18、原燃料流量調節部5、空気流量調節部15、制御装置22、温度調節部6b、パワーコンディショナ(図示せず)などの機器のみに供給するアイドリング状態での発電継続である。
【0074】
図7に示す例において、時刻Ta~時刻Tbの間、及び、時刻Tc~時刻Tdの間に行われる運転の詳細は適宜設定可能である。例えば、時刻Ta~時刻Tbの間に行われる運転は、時刻Ta以前に行われる運転と同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。同様に、時刻Tc~時刻Tdの間に行われる運転は、時刻Td以後に行われる運転と同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
【0075】
<3>
上記実施形態では、制御装置22が、待機処理において、改質部7がガスメーター1から受け取る原燃料ガスの量をゼロにする場合の例(即ち、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量にする場合の例)を説明したが、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定するのであれば、改質部7はガスメーター1から原燃料ガスを受け取ってもよい。そして、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取って改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。
【0076】
図8は、別実施形態の漏洩判定回避処理を説明する図である。図8に示す例では、漏洩判定回避処理は、時刻Tb~時刻Tcの間に行われる待機処理を含む。この場合、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取る。例えば、上述した例のように、ガスメーター1が、原燃料ガスの通流量が第1設定判定量以下となる状態が設定判定用期間以上連続する場合に非漏洩条件を満たすと判定する場合であれば、制御装置22は、この待機処理において、原燃料流量調節部5の動作を制御して改質部7への原燃料ガスの通流量を第1設定判定量以下にした状態で、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを継続させればよい。或いは、ガスメーター1が、設定判定用期間での原燃料ガスの積算通流量が第2設定判定量以下となる場合などに非漏洩条件を満たす状態が生じたと判定する場合であれば、制御装置22は、この待機処理において、原燃料流量調節部5の動作を制御して設定判定用期間と同じ期間での原燃料ガスの積算通流量を第2設定判定量以下にした状態で、改質部7によるガスメーター1からの原燃料ガスの受け取りを継続させればよい。そして、改質部7は、ガスメーター1から受け取る原燃料ガスを用いて改質ガスの生成を行うことができるので、制御装置22は、燃料電池部FCからの電流の取り出し(発電)を行うことができる。但し、この待機処理で行われる発電継続は、上述したのと同様のアイドリング状態での発電継続である。
【0077】
更に、制御装置22は、待機処理において、ガスメーター1が非漏洩条件を満たすと判定する量の原燃料ガスを改質部7でガスメーター1から受け取り、且つ、温度調節部6bによって吸着材6aの温度調節を行って吸着材6aから脱離させた原燃料ガスを用いて、改質部7で改質ガスの生成を行いながら燃料電池部FCでの発電を行わせてもよい。
【0078】
図8に示す例においても、時刻Ta~時刻Tbの間、及び、時刻Tc~時刻Tdの間に行われる運転の詳細は適宜設定可能である。例えば、時刻Ta~時刻Tbの間に行われる運転は、時刻Ta以前に行われる運転と同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。同様に、時刻Tc~時刻Tdの間に行われる運転は、時刻Td以後に行われる運転と同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。
【0079】
<4>
上記実施形態では、漏洩判定回避処理を行っている間、改質部7が水蒸気改質のための水の受け取りを継続する例を説明したが、例えば漏洩判定回避処理の待機処理を行っている間に改質部7が水蒸気改質のための水の受け取りを停止してもよい。
【0080】
<5>
上記実施形態において、燃料電池システムSが備える情報受付部23は、遠隔地から、漏洩判定用期間又は処理対象期間、設定判定用期間又は推定非漏洩状態が生じたと判定するための、設定判定用期間以上の長さの非漏洩推定期間、並びに、設定回数又は目標回数を特定可能な情報の入力を受け付けることもできる。
【0081】
図9は、燃料電池システムSとサーバ装置26とが情報通信回線25を介して接続された状態を示す図である。図示するように、住戸や事業所などの施設27に、図1に例示したようなガスメーター1及び燃料電池システムSなどが設置されている。サーバ装置26は、複数の施設27のそれぞれに設置されるガスメーター1に関するガスメーター1情報を記憶している。
【0082】
サーバ装置26は、各燃料電池システムSに対して、その燃料電池システムSと同じ施設27に設置されているガスメーター1のガスメーター1情報を情報通信回線25を介してその燃料電池システムSに対して送信する。燃料電池システムSは、情報受付部23で受け付けたガスメーター1情報(即ち、漏洩判定用期間、設定判定用期間及び設定回数)を情報記憶部24に記憶して、制御装置22が、処理対象期間及び目標回数の各数値を決定できる。
【0083】
<6>
上記実施形態では、漏洩判定用期間又は処理対象期間、待機期間、その処理対象期間での漏洩判定回避処理の実施予定回数及び実施スケジュールなどについての数値例を記載したが、それらの値は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、制御装置22が、27日間に、燃料電池部FCでの連続2.5分間の待機処理(即ち、原燃料ガスの不使用)を35回実施しようとしている例を説明したが、それらの数値についても適宜変更可能である。例えば、以下の表3に示すように、制御装置22が、27日間に、燃料電池部FCでの連続87.5分間(即ち待機期間が87.5分間)の待機処理(即ち、原燃料ガスの不使用)を1回実施してもよい。この場合、連続した87.5分間の1回の待機期間に非漏洩推定期間が2.5分間である推定非漏洩状態を連続して35回発生させようと試みている。このような待機処理が行われる場合であっても、制御装置22は、待機処理を行っており、且つ、ガス消費装置2での供給ガスの消費量がゼロ又は所定量以下である状態が連続した期間(例えば、連続した87.5分間)の内、非漏洩推定期間(例えば2.5分間)毎に1回の推定非漏洩状態が生じたと見なして、処理対象期間内に、推定非漏洩状態が目標回数(例えば35回)以上生じたか否かを判定すればよい。
【0085】
【表3】
【0086】
<7>
上記実施形態では、ガス消費装置2としての熱源装置4が利用者へ湯水を供給する給湯用途に用いられる場合について説明したが、ガス消費装置2としての熱源装置4は、例えば床暖房装置及び浴室暖房乾燥装置などに供給する熱媒体を加熱する暖房用の熱源装置4であってもよい。熱源装置4がそのような暖房用途で用いられる場合、熱源装置4が一時的にガス消費動作を停止して熱媒体の加熱を停止しても、床暖房装置や浴室暖房乾燥装置の利用者がそれを体感できる可能性は低い。そのため、制御装置22は、上記待機処理を行っている間、改質部7が原燃料ガスの供給を受けるのと同じガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2としての熱源装置4がガス消費動作を行うことを阻止してもよい。尚、制御装置22は、ガスメーター1から原燃料ガスの供給を受ける全てのガス消費装置2のガス消費動作を阻止できる訳ではない。例えば、制御装置22は、例えば燃料電池システムSに含まれる熱源装置4のガス消費動作を阻止できるが、図1に示したガス機器3などのガス消費動作を阻止することはできない。
【0087】
このように、待機処理中には、改質部7が原燃料ガスの供給を受けるのと同じガスメーター1を経由して供給される原燃料ガスを消費するガス消費装置2でのガス消費を阻止することで、非漏洩条件を満たすとガスメーター1によって判定される状態が発生する可能性が更に高まる。その結果、制御装置22が上述したような追加の待機処理を設定しなければならない可能性を低くできる。
【0088】
<8>
施設27にガスメーター1を経由して都市ガスなどの原燃料ガスが供給されるのではなく、ガスメーター1を経由して水素が供給されるような場合にも、本発明の燃料電池システムSを用いることができる。つまり、水素が燃料ガスとして燃料電池部FCに直接供給されてもよい。
【0089】
<9>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、設置されているガスメーターに応じた適切なタイミングで、ガスメーターによる警報作動又は供給遮断の可能性が高いことを示す情報又は原燃料ガスの使用を控えることを促す情報を利用者に対して出力できる燃料電池システムに利用できる。
【符号の説明】
【0091】
1 :ガスメーター
2 :ガス消費装置
3 :ガス機器(ガス消費装置 2)
4 :熱源装置(ガス消費装置 2)
7 :改質部
8 :アノード
9 :カソード
22 :制御装置
23 :情報受付部
28 :情報出力部
FC :燃料電池部
S :燃料電池システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9