(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024930
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240216BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 P
H02J7/35 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127929
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 敏成
(72)【発明者】
【氏名】北川 友葵
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB05
5G503DA13
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】太陽電池装置の発電電力を電動車両に充電しつつ、電力系統からの受電電力の増大を抑制できる電力供給システムを提供する。
【解決手段】電力系統1に接続される電力線2に、太陽電池装置11と、充放電装置12と、電力消費装置14と、走行用蓄電池21を有する電動車両20に給電するための給電装置13とが接続されている電力供給システムであって、充放電装置12の充電残量が少ない場合、給電装置13に接続されている電動車両20の走行用蓄電池21への給電が抑制されるように、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を充放電装置12の充電残量に応じて制御する制御装置15を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に接続される電力線に、太陽電池装置と、充放電装置と、電力消費装置と、走行用蓄電池を有する電動車両に給電するための給電装置とが接続されている電力供給システムであって、
前記充放電装置の充電残量が所定量より少ない場合、前記給電装置に接続されている前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が抑制されるように、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電電力を前記充放電装置の充電残量に応じて制御する制御装置を備える電力供給システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が停止され且つ前記充放電装置の充電残量が所定の給電開始残量未満である場合、前記充放電装置の充電残量が増加して前記給電開始残量以上になれば、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電を実施する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が行われている場合、前記充放電装置の充電残量が減少して前記給電開始残量よりも小さい所定の給電停止残量以下になれば前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電を停止する請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記太陽電池装置の発電電力の変動が大きい時間帯ほど前記給電開始残量を大きく設定する請求項2又は3に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続される電力線に、太陽電池装置と、充放電装置と、電力消費装置と、走行用蓄電池を有する電動車両に給電するための給電装置とが接続されている電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や事業所などの施設に太陽電池装置を設け、その太陽電池装置の発電電力を、施設の電力消費装置で消費することや、太陽電池装置の発電電力のうち、電力消費装置の消費電力を上回る余剰電力を電力系統へ逆潮流させることなどが行われている。また、車両に搭載した蓄電部に蓄えている電力でモーターを駆動して走行する電動車両などが有る場合、太陽電池装置の発電電力を電動車両の蓄電部に給電することもできる。
【0003】
尚、電動車両の蓄電部への給電を行うと、その分だけ電力系統からの施設の受電電力が増加する。また、太陽電池装置の発電電力が天候に応じて急減すると、その分だけ受電電力が増加する。
【0004】
そのような太陽電池装置の発電電力を電動車両の蓄電部へ給電している間での受電電力の増大という問題を解消するために、施設に充放電装置を設けるという手法がある。特許文献1(国際公開第2011/118627号)には、太陽電池装置及び充放電装置を設け、太陽電池装置の発電電力を電動車両の蓄電部に給電しつつ、充放電装置から放電可能なシステムが記載されている。特許文献1の段落0053に記載のように、充放電装置は、電動車両の蓄電部への給電が行われている場合に充放電装置から放電させ、充放電装置を放電させた後、電動車両の蓄電部への給電が行われていないことを認識すると、充放電装置に充電させている。
【0005】
また、特許文献1の段落0065以降には、電動車両の蓄電部への給電を、電流を変えて実施する手法も記載されている。そして、電動車両の蓄電部へ給電される電流が小さい期間に充放電装置への充電を行うことで、電力系統からの受電電力が増大することを抑制しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
充放電装置の充電残量が十分にあれば、太陽電池装置の発電電力が天候に応じて急減したとしても、電動車両の蓄電部への給電を行うために充放電装置からの放電電力を継続的に大きくする余力が十分ある。つまり、充放電装置からの放電電力を大きくして、電力系統からの受電電力の増大を継続的に抑制できる余力が十分にある。そのため、充放電装置の充電残量が十分にあれば、電動車両の蓄電部へ給電される電流を小さくしなくても構わない。それに対して、充放電装置の充電残量が少なければ、充放電装置からの放電電力によって電力系統からの受電電力の増大を継続的に抑制できる余力が小さい。つまり、充放電装置からの放電電力を大きくして、電力系統からの受電電力を継続的に抑制できる余力は小さい。
【0008】
このように、太陽電池装置の発電電力が天候に応じて急減し得ることを考慮すると、電力系統からの受電電力を抑制しつつ、電動車両の蓄電部への給電を継続的に行うためには、充放電装置の充電残量の多少を考慮する必要がある。しかし、特許文献1に記載のシステムでは、充放電装置の充電残量に応じた制御を行うことは記載されていない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、太陽電池装置の発電電力を電動車両に充電しつつ、電力系統からの受電電力の増大を抑制できる電力供給システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る電力供給システムの特徴構成は、電力系統に接続される電力線に、太陽電池装置と、充放電装置と、電力消費装置と、走行用蓄電池を有する電動車両に給電するための給電装置とが接続されている電力供給システムであって、
前記充放電装置の充電残量が所定量より少ない場合、前記給電装置に接続されている前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が抑制されるように、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電電力を前記充放電装置の充電残量に応じて制御する制御装置を備える点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、電力線に接続される給電装置から電動車両の走行用蓄電池へ、電力を給電できる。つまり、太陽電池装置の発電電力を、電力線を介して電動車両の走行用蓄電池へ給電できる。また、制御装置は、充放電装置の充電残量が所定量より少ない場合、給電装置に接続されている電動車両の走行用蓄電池への給電が抑制されるように、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電電力を充放電装置の充電残量に応じて制御する。つまり、充放電装置の充電残量が所定量より少ない場合、即ち、充放電装置からの放電によって電力系統からの受電電力の増大を抑制できる余力が小さい場合、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電電力は抑制される。
従って、太陽電池装置の発電電力を電動車両に充電しつつ、電力系統からの受電電力の増大を抑制できる電力供給システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る電力供給システムの別の特徴構成は、前記制御装置は、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が停止され且つ前記充放電装置の充電残量が所定の給電開始残量未満である場合、前記充放電装置の充電残量が増加して前記給電開始残量以上になれば、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電を実施する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、充放電装置の充電残量が所定の給電開始残量未満である間は、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電が停止される。つまり、充放電装置の充電残量が少ない状況、即ち、充放電装置からの放電によって電力系統からの受電電力の増大を抑制できる余力が小さい状況では、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電は行われない。その結果、その間に太陽電池装置の発電電力に余剰分が発生した場合などには、その余剰電力が充放電装置に充電されて充電残量が多くなる。
また、充放電装置の充電残量が増加して給電開始残量以上になるといった、充放電装置の充電残量が多い状況、即ち、充放電装置からの放電によって電力系統からの受電電力の増大を抑制できる余力が大きい状況になれば、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電が行われる。その結果、太陽電池装置の発電電力が天候に応じて急減して、充放電装置の放電電力を大きくすることが必要になったとしても、十分に確保された充電残量によって対応できる。
【0014】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電が行われている場合、前記充放電装置の充電残量が減少して前記給電開始残量よりも小さい所定の給電停止残量以下になれば前記給電装置から前記電動車両の前記走行用蓄電池への給電を停止する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、充放電装置の充電残量が減少して給電開始残量よりも小さい所定の給電停止残量以下になれば給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電は停止される。つまり、充放電装置の充電残量が少ない状況、即ち、充放電装置からの放電によって電力系統からの受電電力の増大を抑制できる余力が小さい状況になれば、給電装置から電動車両の走行用蓄電池への給電は行われない。その結果、その後に太陽電池装置の発電電力に余剰分が発生した場合などには、その余剰電力が充放電装置に充電されて充電残量が多くなる。
【0016】
本発明に係る電力供給システムの更に別の特徴構成は、前記制御装置は、前記太陽電池装置の発電電力の変動が大きい時間帯ほど前記給電開始残量を大きく設定する点にある。
【0017】
太陽電池装置の発電電力の変動が大きい場合、太陽電池装置の発電電力が大きく減少するのに伴って電力系統からの受電電力が増加することを抑制するためには、充放電装置はより多くの電力を放電する必要がある。
本特徴構成では、制御装置は、太陽電池装置の発電電力の変動が大きい時間帯ほど給電開始残量を大きく設定するため、充放電装置の充電残量がより大きくなった状態で給電装置への給電が開始される。つまり、充放電装置からの放電によって電力系統からの受電電力の増大を抑制できる余力がより大きくなった状態で給電装置への給電が開始される。その結果、太陽電池装置の発電電力が大きく減少したとしても、電力系統からの受電電力が増加することを抑制できる可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】電動車両への給電制御を説明するフローチャートである。
【
図3】施設の余剰電力と電動車両への給電電力と充放電装置の充電残量との推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る電力供給システムについて説明する。
図1は、電力供給システムの構成を示す図である。図示するように、住宅や事業所などの施設10には、電力系統1に接続される電力線2に、太陽電池装置11と、充放電装置12と、電力消費装置14と、走行用蓄電池21を有する電動車両20に給電するための給電装置13とが接続されている電力供給システムが設けられている。また、電力供給システムは、制御装置15を備える。
【0020】
電動車両20は、走行用蓄電池21を有する車両である。また、電動車両20は、走行用蓄電池21と外部機器とを接続する車両側端子22を備えている。例えば、電動車両20は、走行用蓄電池21の電力を用いて走行用モーター(図示せず)を駆動する、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車などである。
【0021】
電力消費装置14で消費される消費電力は、消費電力計測部5で計測される。太陽電池装置11から電力線2に供給される発電電力は、発電電力計測部4で計測される。電力系統1から施設10の電力線2に供給される受電電力は、受電電力計測部3で計測される。
【0022】
施設10には、電力線2に接続される施設側端子16が設けられる。施設側端子16と電力線2との間には、給電装置13が設けられる。電動車両20の車両側端子22と施設10の施設側端子16とが接続された場合、給電装置13を介して施設10の電力線2と電動車両20の走行用蓄電池21とが電気的に接続される。
【0023】
給電装置13は、電力変換回路部及びその電力変換回路部の動作を制御する動作制御部などを有し、電動車両20に設けられる走行用蓄電池21への給電(充電)動作を制御する。つまり、給電装置13が、施設10から電動車両20の走行用蓄電池21への充電(即ち、施設10の電力線2から電動車両20の走行用蓄電池21への給電)を行うことができる。尚、本実施形態では、給電装置13は、電動車両20の走行用蓄電池21から施設10への給電(即ち、電動車両20の走行用蓄電池21から施設10の電力線2への電力供給)は行うことはできない。
【0024】
充放電装置12は、受電電力計測部3で計測される電力が所定の値に近づくように、電力線2への放電電力又は電力線2からの充電電力を制御する。例えば、上記所定の値がゼロの場合の具体例を以下に説明する。その場合、充放電装置12は、太陽電池装置11の発電電力が、電力消費装置14の消費電力と給電装置13から電動車両20への給電電力との合計よりも大きい場合、即ち、余剰電力が発生している場合、その余剰電力に相当する電力を充電することで、受電電力計測部3で計測される電力をゼロ(「所定の値」の一例)に近づけることができる。或いは、充放電装置12は、太陽電池装置11の発電電力が、電力消費装置14の消費電力と給電装置13から電動車両20への給電電力との合計よりも小さい場合、即ち、不足電力が発生している場合、その不足電力に相当する電力を放電することで、受電電力計測部3で計測される電力をゼロ(「所定の値」の一例)に近づけることができる。また、充放電装置12は、太陽電池装置11の発電電力が、電力消費装置14の消費電力と給電装置13から電動車両20への給電電力との合計と等しい場合、即ち、余剰電力及び不足電力が発生していない場合、充電及び放電の何れも行わない。尚、充放電装置12は、停電時などの非常時に電力消費装置14へ電力を供給できる余力を残しておくように、停電が発生していない正常時には充電残量が所定の下限値未満にならないように放電電力を制御している。
【0025】
制御装置15には、充放電装置12の充電残量についての情報が充放電装置12から伝達される。また、制御装置15には、給電装置13に対して電動車両20が接続されているか否か、即ち、施設側端子16が車両側端子22に接続されているか否かについての情報が給電装置13から伝達される。加えて、制御装置15には、充放電装置12が充電を行っているか、放電を行っているか、充電及び放電の何れも行っていないか、といった充放電装置12の動作状態に関する情報も充放電装置12から伝達される。
【0026】
制御装置15は、給電装置13の動作を制御することで、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を制御できる。例えば、制御装置15は、電動車両20の走行用蓄電池21が給電装置13に接続されている間、給電装置13に対して、電動車両20の走行用蓄電池21への給電の実行指令、電動車両20の走行用蓄電池21への給電の停止指令、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を増加させる指令、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を減少させる指令などを伝達できる。
【0027】
そして、給電装置13は、制御装置15から、電動車両20の走行用蓄電池21への給電の実行指令の伝達を受けた場合、電動車両20の走行用蓄電池21が給電装置13に接続されている間、所定の最小給電電力以上の給電電力を電動車両20へ供給する。
【0028】
給電装置13は、制御装置15から、電動車両20の走行用蓄電池21への給電の停止指令の伝達を受けた場合、電動車両20の走行用蓄電池21への給電を停止する。
【0029】
給電装置13は、制御装置15から、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を増加させる指令の伝達を受けた場合、所定の増加率で電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を所定の最大給電電力まで増加させる。給電装置13は、制御装置15から、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を減少させる指令の伝達を受けた場合、所定の減少率で電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を上記最小給電電力まで減少させる。
【0030】
例えば、制御装置15は、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電が行われており、且つ、充放電装置12が充電を行っている場合、即ち、上述したような余剰電力が発生している場合、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を増加させる指令を給電装置13に対して伝達する。それに対して、制御装置15は、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電が行われており、且つ、充放電装置12が放電を行っている場合、即ち、上述したような不足電力が発生している場合、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を減少させる指令を給電装置13に対して伝達する。
【0031】
次に、
図2を参照して、制御装置15が給電装置13に行わせる電動車両20への給電制御について説明する。
図2は、電動車両20への給電制御を説明するフローチャートである。
【0032】
詳細は以下に説明するが、制御装置15は、充放電装置12の充電残量が所定量より少ない場合、給電装置13に接続されている電動車両20の走行用蓄電池21への給電が抑制されるように、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を充放電装置12の充電残量に応じて制御するように構成されている。
【0033】
また、制御装置15は、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電が停止され且つ充放電装置12の充電残量が所定の給電開始残量未満である場合、充放電装置12の充電残量が増加して給電開始残量以上になれば、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電を実施して、走行用蓄電池21の蓄電残量を増加させる。更に、制御装置15は、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電が行われている場合、充放電装置12の充電残量が減少して給電開始残量よりも小さい所定の給電停止残量以下になれば給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電を停止する。上述したように、充放電装置12は、停電時などの非常時に電力消費装置14へ電力を供給できる余力を残しておくように、停電が発生していない正常時には充電残量が所定の下限値未満にならないように放電電力を制御しており、この給電停止残量は上記下限値以上の値である。
【0034】
制御装置15は、
図2に示すフローチャートを設定タイミングで繰り返し実行する。
図2の工程#10において制御装置15は、電動車両20が施設10に接続されているか否かを判定する。例えば、給電装置13は、施設側端子16に電動車両20の車両側端子22が接続されているか否かを検出できる。そして、制御装置15は、給電装置13から伝達される、施設側端子16に電動車両20の車両側端子22が接続されているか否かについての情報に基づいて、電動車両20が施設10に接続されているか否かを判定できる。制御装置15は、電動車両20が施設10に接続されている場合(即ち、工程#10において「Yes」の場合)には工程#11に移行し、電動車両20が施設10に接続されていない場合(即ち、工程#10において「No」の場合)にはこのフローチャートを終了する。
【0035】
工程#11において制御装置15は、給電装置13が電動車両20への給電を実施中であるか否かを判定する。そして、制御装置15は、給電装置13が電動車両20への給電を実施中である場合には工程#14に移行し、給電装置13が電動車両20への給電を実施中でない場合には工程#12に移行する。
【0036】
工程#12において制御装置15は、充放電装置12の充電残量が所定の給電開始残量以上であるか否かを判定する。例えば、制御装置15は、充放電装置12から伝達される、その充放電装置12の充電残量についての情報に基づいて、充放電装置12の充電残量が給電開始残量以上であるか否かを判定できる。そして、制御装置15は、充放電装置12の充電残量が給電開始残量以上である場合には工程#13に移行して電動車両20への給電を実施する。具体的には、制御装置15は、給電装置13に対して、電動車両20の走行用蓄電池21への給電の実行指令を伝達する。その結果、給電装置13は、電動車両20の走行用蓄電池21への給電を実施する。尚、制御装置15は、工程#12において充放電装置12の充電残量が給電開始残量未満であると判定した場合には、給電装置13に電動車両20の走行用蓄電池21への給電を実施させずにこのフローチャートを終了する。
【0037】
次に、工程#14において制御装置15は、充放電装置12の充電残量は、上記給電開始残量よりも小さい所定の給電停止残量以下であるか否かを判定する。そして、制御装置15は、充放電装置12の充電残量が給電停止残量以下である場合には工程#15に移行して、給電装置13に対して電動車両20への給電を停止させ、充放電装置12の充電残量が給電停止残量以下でない場合にはこのフローチャートを終了する(即ち、電動車両20への給電を継続する)。
【0038】
図3は、施設10の余剰電力と電動車両20への給電電力と充放電装置12の充電残量との推移を示す図である。
図3において実線で示す余剰電力は、太陽電池装置11の発電電力から電力消費装置14の消費電力を減算した値である。
図3において破線で示す給電電力は、給電装置13から電動車両20へ供給される電力である。また、
図3には、充電電力及び放電電力に対応する電力も示している。
【0039】
図示するように、時刻t1において制御装置15は、電動車両20が施設10に接続されたと判定する。この時点では、電動車両20への給電は実施されていない。この場合、制御装置15は、充放電装置12の充電残量が給電開始残量以上であるか否かを判定する(
図2の工程#12)。
図3に示す例では、充放電装置12の充電残量が給電開始残量以上ではないため、制御装置15は電動車両20への給電を行わない。そのため、施設10で発生する余剰電力は全て充放電装置12が充電し、充放電装置12の充電残量が増加する。
【0040】
その後、時刻t2において制御装置15は、充放電装置12の充電残量が給電開始残量以上であると判定する。そして、制御装置15は、給電装置13に対して、電動車両20への給電を開始させる。例えば、給電装置13は、最小給電電力で電動車両20への給電を開始する。時刻t2の時点では、施設10の余剰電力の一部(即ち、最小給電電力)が給電装置13から電動車両20へと給電され、施設10の余剰電力の残部は充放電装置12が充電する。充放電装置12が充電を行っているということは、給電装置13から電動車両20への給電電力を増加させる余力があるということなので、制御装置15は、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を増加させる指令を給電装置13に対して伝達する。その結果、給電装置13から電動車両20への給電電力が次第に増加し、充放電装置12の充電電力が次第に減少する。
【0041】
時刻t3において、例えば雲によって太陽電池装置11への日射が遮られるなどの理由により、余剰電力(=太陽電池装置11の発電電力-電力消費装置14の消費電力)が急激に減少している。この場合、給電装置13は電動車両20への給電電力を時刻t3以前と同じレベルに維持しているため、充放電装置12は、受電電力計測部3で計測される電力を例えばゼロにするために放電を行い、充放電装置12が放電した電力と太陽電池装置11の発電電力とが給電装置13から電動車両20へ給電される。そして、放電を行うことで充放電装置12の充電残量が次第に減少する。
【0042】
尚、制御装置15は、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電が行われており、且つ、充放電装置12が放電を行っている場合、即ち、不足電力が発生している場合、電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を減少させる指令を給電装置13に対して伝達する。その結果、給電装置13から電動車両20への給電電力は、最小給電電力まで次第に減少する。また、時刻t3以後は充放電装置12が放電を行っているため、充放電装置12の充電残量は次第に減少する。
【0043】
その後、時刻t4において太陽電池装置11の発電電力が上昇し、充放電装置12が余剰電力を充電し始めることで、充放電装置12の充電残量も次第に増加する。
【0044】
制御装置15、充放電装置12、給電装置13が以上のように動作することで、充放電装置12の充電残量が増減を繰り返す。
図3に示す例では、時刻t8において充放電装置12の充電残量が給電停止残量以下になっている。そのため、制御装置15は、給電装置13に対して、電動車両20への給電を停止させる(
図2の工程#15)。そして、制御装置15は
図2の工程#10へ戻り、その後に充放電装置12の充電残量が増加して給電開始残量以上になった場合(工程#10→工程#11→工程#12→工程#13)には、工程#13において電動車両20の走行用蓄電池21への給電を再開する。
【0045】
以上のように、本実施形態の電力供給システムでは、電力線2に接続される給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21へ、電力を給電できる。つまり、太陽電池装置11の発電電力を、電力線2を介して電動車両20の走行用蓄電池21へ給電できる。また、制御装置15は、充放電装置12の充電残量が少ない場合、給電装置13に接続されている電動車両20の走行用蓄電池21への給電が抑制されるように、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力を充放電装置12の充電残量に応じて制御する。つまり、充放電装置12の充電残量が少ない場合、即ち、充放電装置12からの放電によって電力系統1からの受電電力の増大を抑制できる余力が小さい場合、給電装置13から電動車両20の走行用蓄電池21への給電電力は抑制される。従って、太陽電池装置11の発電電力を電動車両20に充電しつつ、電力系統1からの受電電力の増大を抑制できる電力供給システムを提供できる。
【0046】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、電力供給システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態において、制御装置15は充放電装置12などの動作を制御する制御部と共用されてもよい。或いは、制御装置15は、施設10に設けられるHEMS(Home Energy Management System)によって実現されてもよい。例えば、HEMSは、太陽電池装置11、充放電装置12、給電装置13、電力消費装置14、受電電力計測部3、発電電力計測部4、消費電力計測部5などとの間で通信線を介して情報通信を行って、それぞれからの情報を受信すると共に、充放電装置12、給電装置13、電力消費装置14などへの情報の伝達を行うことができる。
【0048】
<2>
上述した給電開始残量及び給電停止残量は適宜設定可能である。また、給電開始残量及び給電停止残量は固定値でもよいし、随時変更される値でもよい。例えば、太陽電池装置11の発電電力の変動が大きい時間帯には給電開始残量を大きな値に設定し、太陽電池装置11の発電電力の変動が小さい時間帯には給電開始残量を小さな値に設定するといった変更を行ってもよい。つまり、制御装置15は、太陽電池装置11の発電電力の変動が大きい時間帯ほど給電開始残量を大きく設定してもよい。
【0049】
具体例を挙げて説明すると、制御装置15には、発電電力計測部4で計測される、太陽電池装置11から電力線2に供給される発電電力についての情報が伝達される。そのため、制御装置15は、現時点よりも過去の所定期間内での発電電力の最大値及び最小値を認識している。その結果、制御装置15は、現時点よりも過去の所定期間内での太陽電池装置11の発電電力の変動幅(=最大値-最小値)を導出できる。太陽電池装置11の発電電力の変動が大きい場合、太陽電池装置11の発電電力が大きく減少するのに伴って電力系統1からの受電電力が増加することを抑制するためには、充放電装置12はより多くの電力を放電する必要がある。ところが、上述のように、制御装置15が、太陽電池装置11の発電電力の変動が大きい時間帯ほど給電開始残量を大きく設定しておくと、充放電装置12の充電残量がより大きくなった状態で給電装置13への給電が開始される。つまり、充放電装置12からの放電によって電力系統1からの受電電力の増大を抑制できる余力がより大きくなった状態で給電装置13への給電が開始される。その結果、太陽電池装置11の発電電力が大きく減少したとしても、電力系統1からの受電電力が増加することを抑制できる可能性が高まる。
【0050】
<3>
上記実施形態では、充放電装置12の動作例について具体的に説明したが、その内容は例示目的で記載したものであり適宜変更可能である。
【0051】
<4>
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、太陽電池装置の発電電力を電動車両に充電しつつ、電力系統からの受電電力の増大を抑制できる電力供給システムに利用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 :電力系統
2 :電力線
11 :太陽電池装置
12 :充放電装置
13 :給電装置
14 :電力消費装置
15 :制御装置
20 :電動車両