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  • 特開-建物構造及び建物構造の施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024936
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】建物構造及び建物構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20240216BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E04B1/76 400J
E04B1/76 500Z
E04H9/02 331Z
E04H9/02 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127936
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】513002441
【氏名又は名称】株式会社サドル
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 洋一
(72)【発明者】
【氏名】最上 利美
(72)【発明者】
【氏名】奥山 誠司
【テーマコード(参考)】
2E001
2E139
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA12
2E001FA21
2E001GA06
2E001GA24
2E001HA32
2E001HD03
2E001HF11
2E139AA01
2E139AC10
2E139CA02
2E139CA21
2E139CB03
2E139CC02
(57)【要約】
【課題】冷却による応力の発生や変形を抑制することができる建物構造及び建物構造の施工方法を提供する。
【解決手段】冷凍倉庫は、低温に冷却した保管空間を有し、基礎F1の上部基礎12と、下部基礎11との間に免震装置18を配置している。冷凍倉庫は、上部基礎12の第2設置部12aの側面を覆う側面断熱材31、上部基礎12の上部大梁12b,12cの側面及び下面をそれぞれ覆う側面断熱材32a,33a及び底面断熱材32b,33bを有する。更に、冷凍倉庫は、1階床スラブ15のスラブ本体16の下面を覆う床下防熱部材17を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けた免震層と、前記上部基礎の上に設けられる最下階の床スラブとを備え、低温に冷却した保管空間を有する建物構造であって、
少なくとも前記最下階の床スラブの下面を床下防熱部材で覆ったことを特徴とする建物構造。
【請求項2】
前記上部基礎の側面を、側面断熱材で更に覆うとともに、
前記上部基礎の上部大梁の下面を、底面断熱材で更に覆ったことを特徴とする請求項1に記載の建物構造。
【請求項3】
前記上部基礎の上に立設された柱部材の下部の外周を覆う柱側面断熱材と、
前記柱側面断熱材に接続され、前記柱部材の周囲の前記最下階の床スラブの上を覆う床上断熱材とを、更に備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物構造。
【請求項4】
前記床スラブは、床面を構成する床本体部と、前記床上断熱材を載置する柱周辺部と、前記床本体部と前記柱周辺部とに接続する段差を有した段差部とを備え、
前記床上断熱材の上には、押さえコンクリート部材が形成されており、
前記押さえコンクリート部材は、前記床本体部の上面と面一となる厚さで形成されていることを特徴とする請求項3に記載の建物構造。
【請求項5】
建物の下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けた免震層と、前記上部基礎の上に設けられる最下階の床スラブとを備え、低温に冷却した保管空間を有する建物構造の施工方法であって、
前記上部基礎の上に立設された柱部材の下部の外周を覆う柱側面断熱材と、この柱側面断熱材に接続され、前記柱部材の周囲の前記最下階の床スラブの上を覆う床上断熱材とを設けた後、前記床上断熱材の上に押さえコンクリート部材を形成し、
前記床上断熱材を設ける前から前記押さえコンクリート部材を形成する後までの間に、少なくとも前記最下階の床スラブの下面を覆う床下防熱部材を設けることを特徴とする建物構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、10度以下の低温で、冷凍品や冷蔵品等を保管し、免震装置を備えた冷蔵倉庫等の建物構造及び建物構造の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷凍品や冷蔵品は、10度以下の低温に冷却した冷凍冷蔵倉庫で保管することがある。この冷凍冷蔵倉庫では、内部を冷却する冷却熱が、建物の構造体(梁や床スラブ等)にも伝達するため、建設後には、建物の構造体等が収縮し、冷却による応力や変形が生じる。そこで、応力や変形を吸収するために、免震装置を用いた冷蔵倉庫の建物構成が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の免震構造の冷蔵・冷凍倉庫は、下部構造体と上部構造体との間に免震装置を設ける。免震装置と下部基礎構造との間の連結部材のルーズ孔に連結鋼材を貫通し締め付けることにより連結部材を下部基礎構造に連結する。そして、連結部材と下部基礎構造との間に滑り材及び連結部材周りの隙間を設け、水平方向において、冷却前に連結部材が下部基礎構造に対して可動状態にする。冷却後には、ルーズ孔と隙間に充填材を充填し硬化させ連結部材を下部基礎構造と剛結合状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-105073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、冷却による応力や変形を小さくするために、冷蔵倉庫を小さいブロック毎に施工して、後から一体化することが一般的であった。この場合、ブロック毎に冷却するために仮設防熱壁が必要になる。従って、コストが高くなるとともに工期が長くなっていた。
【0005】
また、上述した特許文献1においては、冷却による上部構造体の温度収縮変形を考慮して、冷却前や冷却中に、連結部材が下部基礎構造に対して可動となるように構成している。しかしながら、建物においては、冷却熱以外、壁面や天井等からの熱伝導による侵入熱、送風機等から生じる発生熱、入出庫時等に生じる換気熱等、他の熱の影響がある。従って、これらの熱の影響を考慮した施工は難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する建物構造は、建物の下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けた免震層と、前記上部基礎の上に設けられる最下階の床スラブとを備え、低温に冷却した保管空間を有する建物構造であって、少なくとも前記最下階の床スラブの下面を床下防熱部材で覆った。
【0007】
また、上記課題を解決する建物構造の施工方法は、建物の下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けた免震層と、前記上部基礎の上に設けられる最下階の床スラブとを備え、低温に冷却した保管空間を有する建物構造の施工方法であって、前記上部基礎の上に立設された柱部材の下部の外周を覆う柱側面断熱材と、この柱側面断熱材に接続され、前記柱部材の周囲の前記最下階の床スラブの上を覆う床上断熱材とを設けた後、前記床上断熱材の上に押さえコンクリート部材を形成し、前記床上断熱材を設ける前から前記押さえコンクリート部材を形成する後までの間に、少なくとも前記最下階の床スラブの下面を覆う床下防熱部材を設ける。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却による応力の発生や変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態における建物構造を有する建物の全体を説明する模式図である。
図2】実施形態における建物構造の要部の断面図である。
図3】実施形態における建物構造の要部の断面図である。
図4】実施形態における建物構造の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図4を用いて、建物構造及び建物構造の施工方法を具体化した一実施形態を説明する。ここでは、10度以下の低温に保存される空間を有する冷蔵倉庫として、マイナス25℃前後(-20℃~-30℃未満)となるF1級の冷凍倉庫を想定する。この冷凍倉庫として、例えば、約350m×約100mの大きさの3階建てで建設される場合を想定する。更に、この冷蔵倉庫は、下部基礎と上部基礎との間に免震装置を設けた免震層を有する免震構造で構成されている。
【0011】
図1は、冷凍倉庫10の構成を説明する概略断面図であり、図2図4は、冷凍倉庫10の要部(1階床スラブ及び基礎)の縦断面図である。図2は、紙面に直交する方向に延在する上部大梁12b,12cにおける断面図、図3は、建物の内側に配置された柱部材22の端部における断面図、図4は、柱部材22の中心における断面図である。図3及び図4においては、後述する免震装置18は断面にせずに表示している。
【0012】
図1に示すように、冷凍倉庫10は、約マイナス25℃に冷却して冷凍品等を保管する保管空間を有する建物である。この冷凍倉庫10は、基礎F1、1階床スラブ15、複数の柱部材21,22、2階の床スラブ27、3階の床スラブ28及び屋上スラブ29を有する。ここで、基礎F1の上には、柱部材21,22が立設されるとともに、柱部材21,22の間に1階床スラブ15が設けられている。なお、柱部材21は、冷凍倉庫10の外周に配置された柱を構成する部材、柱部材22は、冷凍倉庫10の内側に配置された柱を構成する部材を示している。
【0013】
図2に示す基礎F1は、下部基礎11と上部基礎12とを備える。下部基礎11は、冷凍倉庫10の柱部材21,22の直下において上方に突出した第1設置部11aを備える。第1設置部11aは、水平断面が略長方形状を有している。
【0014】
上部基礎12は、第2設置部12a及び上部大梁12b,12cを有する。
図3に示すように、第2設置部12aは、第1設置部11aに対向するように下方に突出して設けられている。第2設置部12aは、第1設置部11aと同様に、水平断面が略長方形状を有している。第1設置部11a及び第2設置部12aの間のそれぞれには、免震装置18が設けられている。本実施形態では、免震装置18として、積層ゴム支承の免震装置を用いる。
【0015】
上部大梁12b,12cは、冷凍倉庫10の躯体を支持する。ここで、上部大梁12b,12cは、それぞれ、紙面方向に延在する部分、図の左右方向に延在する部分を示している。これら上部大梁12b,12cは、第2設置部12aの中心軸上に延在するように設けられている。
【0016】
更に、上部基礎12の側面及び底面は、免震装置18が当接する部分以外、断熱材で覆われている。具体的には、上部基礎12の第2設置部12aの側面の外周には、側面断熱材31が配置されている。ここで、免震装置18と当接する第2設置部12aの下面には、断熱材は配置されていない。
【0017】
更に、図2に示すように、上部大梁12b,12cの外周には、断熱材32,33がそれぞれ配置されている。具体的には、上部大梁12bの側面及び底面には、一続きの側面断熱材32a及び底面断熱材32bが設けられている。更に、上部大梁12cの側面及び底面には、一続きの側面断熱材33a及び底面断熱材33bが設けられている。これら断熱材32,33は、例えば、スタイロフォーム(登録商標)等を取り付けたり、硬質ウレタンフォームやロックウール等の断熱材料を吹き付けたりすることにより構成される。
【0018】
なお、図4に示すように、上部大梁12cの下面を覆う底面断熱材33bは、第2設置部12aの側面断熱材31とも接続している。
上部基礎12の上面には、1階床スラブ15が一体的に形成されている。
【0019】
図3に示すように、1階床スラブ15は、スラブ本体16と、床下防熱部材17とを備える。
スラブ本体16は、鉄筋コンクリートにより構成され、床本体部16a、接続部16b及び柱周辺部16cを有する。床本体部16aは、1階床スラブ15のほぼ全面を構成する部分であり、その上面が1階の床面になる。柱周辺部16cは、柱部材22の周辺に位置し、床本体部16aよりも低い位置に形成される。接続部16bは、床本体部16aと柱周辺部16cとを接続する段差部である。
【0020】
床下防熱部材17は、スラブ本体16の下側(下面や側面)を覆うように配置された断熱材である。具体的には、床下防熱部材17は、床本体部16aの下面を覆う第1下面部17a、接続部16bの側面を覆う側面部17b、接続部16bの下面及び柱周辺部16cの下面を覆う第2下面部17cを備える。この床下防熱部材17は、断熱材32,33と同様な材料で構成される。
【0021】
柱部材22の下部の外周及びその周囲の1階床スラブ15は、断熱材40に覆われている。この断熱材40は、断熱材32,33と同じ材料で構成される。断熱材40は、柱部材22の下部の側面の外周を覆う柱側面断熱材41と、柱部材22の周囲の1階床スラブ15を覆う床上断熱材42とを備える。柱側面断熱材41は、例えば、1階床スラブ15の上面から約2mの高さを有する。本実施形態の床上断熱材42は、1階床スラブ15のスラブ本体16の柱周辺部16cの上に載置して形成されている。この床上断熱材42は、水平断面の形状が、例えば、柱部材22を中心とする正方形状で構成され、柱部材22から約2mの大きさで広がっている。
【0022】
更に、断熱材40の床上断熱材42の上には、押さえコンクリート部材45が形成されている。この押さえコンクリート部材45は、1階床スラブ15のスラブ本体16の床本体部16aの上面と面一になる厚さで構成される。更に、この押さえコンクリート部材45は、柱部材22側の周縁部45aが少し高くなっており、断熱材40の柱側面断熱材41の最下部を押さえ付けている。
【0023】
(冷凍倉庫の施工)
次に、上述した冷凍倉庫10の施工方法について説明する。
まず、冷凍倉庫10の基礎F1を構築する。具体的には、基礎F1の下部基礎11を構築した後、この下部基礎11の第1設置部11aの上に、免震装置18を設ける。そして、この免震装置18の上に位置する第2設置部12a及び上部大梁12b,12cを有する上部基礎12を構築する。更に、上部基礎12と一体になるように、1階床スラブ15のスラブ本体16及び柱部材21,22を鉄筋コンクリートで構築する。その後、柱部材21,22を用いて、2階の床スラブ27、3階の床スラブ28及び屋上スラブ29を構築していく。
【0024】
更に、上部基礎12の側面等に断熱材を配置する。具体的には、上部基礎12において、第2設置部12aの側面に側面断熱材31を配置する。更に、上部大梁12bの側面及び下面に、それぞれ側面断熱材32a及び底面断熱材32bを配置し、上部大梁12cの側面及び下面に、それぞれ側面断熱材33a及び底面断熱材33bを配置する。
【0025】
また、1階床スラブ15のスラブ本体16を構築した場合には、スラブ本体16の下面に床下防熱部材17を配置する。具体的には、スラブ本体16の床本体部16aの下面、接続部16bの側面及び接続部16bの下面及び柱周辺部16cの下面を、それぞれ第1下面部17a、側面部17b及び第2下面部17cで覆う。
【0026】
そして、柱部材22の下部の外周及びスラブ本体16の柱周辺部16cの上に、柱側面断熱材41及び床上断熱材42がそれぞれ対応するように、断熱材40を配置する。
次に、断熱材40の上に、押さえコンクリート部材45を、スラブ本体16の柱周辺部16cの上に打設する。この場合、押さえコンクリート部材45を、その上面が、スラブ本体16の床本体部16aの上面と面一となるように形成する。
【0027】
そして、冷凍倉庫10が完成した後、内部空間が冷却される。この場合には、1階床スラブ15及び上部基礎12も、冷却されることにより収縮する。そして、免震装置18の上部は、上部基礎12の収縮方向に従って移動することもある。
【0028】
(作用)
1階床スラブ15や上部基礎12の下側を断熱材で覆うことにより、1階床スラブ15や上部基礎12の下で防熱する納まりとする。これにより、免震装置18より上の冷凍倉庫10の1階床スラブ15のスラブ本体16や上部基礎12が、その上の躯体と同様に温度収縮する。
【0029】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、1階床スラブ15のスラブ本体16の下側を、床下防熱部材17で覆う。更に、上部基礎12の側面に側面断熱材31,32a,33aを設け、上部大梁12b,12cの底面に底面断熱材32b,33bを設ける。これにより、1階床スラブ15は、2階や3階の床スラブ(27,28)と同様に冷却される。このため、免震装置18上の冷凍倉庫10の最下階の1階床スラブ15も、上層階の床スラブ(27、28)と同様に温度収縮するので、冷凍倉庫10の躯体に過大な応力が生じない。従って、1階床スラブ15及び上部基礎12において、冷却による応力や変形を生じ難くすることができる。
【0030】
(2)本実施形態では、上部基礎12の第2設置部12aの下面に、免震装置18を直接、設ける。これにより、上部基礎12に加わる力を、免震装置18に確実に伝達することができる。
【0031】
(3)本実施形態では、免震装置18の上方に配置した柱部材22の下部の外周に柱側面断熱材41を設けるとともに、スラブ本体16の柱周辺部16cにも床上断熱材42を配置する。これにより、冷却領域から免震装置18までの熱伝達経路を長くするので、免震装置18の冷却を抑制して、免震性能を維持することができる。
【0032】
(4)本実施形態では、スラブ本体16の柱周辺部16cの上に設けた床上断熱材42の上に、押さえコンクリート部材45の上面がスラブ本体16の床本体部16aの上面と面一となるように、押さえコンクリート部材45を設ける。これにより、1階床スラブ15の床面をコンクリートで面一にすることができる。
【0033】
(5)本実施形態では、1階床スラブ15のスラブ本体16は、床本体部16aよりも低い位置に配置された柱周辺部16cを有する。これにより、床上断熱材42を設けた部分のみスラブ本体16を下げるので、床本体部16aのコンクリート厚を薄くすることにより、コンクリートの使用量を少なくすることができる。
【0034】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、冷凍倉庫10の上部基礎12と下部基礎11の間に配置される免震装置18として、積層ゴム支承の免震装置を用いた。冷凍倉庫10に設ける免震装置は、上部基礎12の水平方向の移動を許容できるものであれば、積層ゴム支承に限られず、例えば、すべり支承等を用いてもよい。
【0035】
・上記実施形態の冷凍倉庫10においては、免震装置18の上方で当接する上部基礎12は、1階床スラブ15と一体形成し、上部基礎12及び1階床スラブ15の下面等において断熱材を配置した。免震装置を有する冷蔵倉庫となる建物において、断熱材を配置する位置は、免震装置が当接する上方の部材の外周であれば、少なくとも最下階の床スラブの下面を覆っていればよい。例えば、冷蔵倉庫が、上部基礎と一体になった地下部分を有する場合には、この地下部分の床スラブ等の下側に断熱材を配置してもよい。更に、冷凍倉庫10の冷気が建物最下階の下側から逃げ難くするために、上部基礎12を覆うのが好ましいが、上部基礎12の全周に必ず設ける必要はなく、例えば、上部基礎12の一部のみに断熱材を設けてもよい。更に、免震装置18に当接しない部分であれば、上部基礎12の第2設置部12aの底面において断熱材を設けてもよい。
【0036】
・上記実施形態の冷凍倉庫10は、柱部材22の下部の外周を覆う柱側面断熱材41と、1階床スラブ15を覆う床上断熱材42とを有する断熱材40を設ける。ここで、冷却熱が柱部材22を介して免震装置18に伝達し難い構成を構築できれば、断熱材40の構成は、これに限られない。例えば、柱側面断熱材41と、床上断熱材42とを分離して設けてもよいし、床上断熱材42の形状を、平面形状が四角形状の代わりに円板形状で形成してもよい。更に、押さえコンクリート部材45を、周縁部45aを設けずに、床本体部16aの上面と同じ高さの平面形状で構成してもよい。また、柱部材22の周囲のスラブ本体16に、柱周辺部16cを設けずに、柱部材22に当接するように床本体部16aを形成し、倉庫が完成した後、スラブ本体16において断熱材40を配置する領域の上に断熱材を設けてもよい。
【0037】
・上記実施形態においては、冷凍倉庫10の上部基礎12の側面等に断熱材を配置し、1階床スラブ15の下面を覆う床下防熱部材17を配置する。その後、柱側面断熱材41及び床上断熱材42を有する断熱材40を配置した後、押さえコンクリート部材45を形成する。上部基礎12の側面等の断熱材や床下防熱部材17の取付タイミングは、これに限定されない。例えば、押さえコンクリート部材45を形成した後に、上部基礎12の側面等の断熱材や床下防熱部材17を取り付けてもよい。更に、断熱材40の配置途中や押さえコンクリート部材45の形成途中で、上部基礎12の側面等の断熱材や床下防熱部材17を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
F1…基礎、10…冷凍倉庫、11…下部基礎、11a…第1設置部、12…上部基礎、12a…第2設置部、12b,12c…上部大梁、15…1階床スラブ、16…スラブ本体、16a…床本体部、16b…接続部、16c…柱周辺部、17…床下防熱部材、17a…第1下面部、17b…側面部、17c…第2下面部、18…免震装置、21,22…柱部材、27,28…床スラブ、29…屋上スラブ、31,32a,33a…側面断熱材、32b,33b…底面断熱材、32,33,40…断熱材、41…柱側面断熱材、42…床上断熱材、45…押さえコンクリート部材、45a…周縁部。
図1
図2
図3
図4