(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024992
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ローラ交換装置
(51)【国際特許分類】
B41F 31/30 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B41F31/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128039
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】甲賀 達也
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250DC04
2C250DC05
2C250DC16
2C250DC27
(57)【要約】
【課題】ローラの数の仕様変更に適切に対応できるローラ交換装置の提供。
【解決手段】複数のローラを有し、該ローラを駆動させて被印刷物を印刷する印刷機に適用されるローラ交換装置1であって、複数のローラのうち、被印刷物の印刷に使用する印刷用ローラが着脱可能に装着されるローラ装着部3と、複数のローラのうち、印刷用ローラと交換するための交換用ローラを保管する交換モジュール4とを備え、交換モジュール4は、交換用ローラを収容可能な収容部と、収容部とローラ装着部3との間で交換用ローラを移動させるローラ移動部と、を有し、交換モジュール4は、他の交換モジュール4を積層可能に構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラを有し、該ローラを駆動させて被印刷物を印刷する印刷機に適用されるローラ交換装置であって、
前記複数のローラのうち、前記被印刷物の印刷に使用する印刷用ローラが着脱可能に装着されるローラ装着部と、
前記複数のローラのうち、前記印刷用ローラと交換するための交換用ローラを保管する交換モジュールとを備え、
前記交換モジュールは、
前記交換用ローラを収容可能な収容部と、
前記収容部と前記ローラ装着部との間で前記交換用ローラを移動させるローラ移動部と、を有し、
前記交換モジュールは、他の前記交換モジュールを積層可能に構成される、
ローラ交換装置。
【請求項2】
前記交換モジュールは、
前記交換用ローラの出入口となるモジュール出入口と、
前記モジュール出入口と前記収容部とをつなぎ、前記ローラ移動部によって移動させる前記交換用ローラを案内する出入レール部と、を有する、
請求項1に記載のローラ交換装置。
【請求項3】
前記交換モジュールは、
積層された他の前記交換モジュールの前記モジュール出入口に出入りする前記交換用ローラが通過する通過レール部を有し、
前記交換モジュールでは、前記通過レール部と前記モジュール出入口とが連通している、
請求項2に記載のローラ交換装置。
【請求項4】
前記ローラ移動部は、
前記交換用ローラに連結され、且つ前記出入レール部内に配置される索状体と、
前記索状体を長さ方向に移動させるべく駆動する索体移動部とを有する、
請求項2又は請求項3に記載のローラ交換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機が備えるローラを交換するためのローラ交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷機には、被印刷物に印刷を行う際に駆動させるローラを交換するためのローラ交換装置が適用されているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1の
図2に図示されている印刷機は、チャンバコータユニットと、ロールコータユニットと、交換機構と、を備えている。
【0004】
チャンバコータユニットは、アニロックスローラと、チャンバーと、を有する。
【0005】
ロールコータユニットは、着けローラと、送りローラと、貯留部と、を有する。
【0006】
交換機構は、アニロックスローラと着けローラとを交換するためのものである。
【0007】
より具体的に説明すると、交換機構は、アニロックスローラや着けローラを支持すると共に、アニロックスローラや着けローラを移動させるチェーンと、チェーンを循環させてアニロックスローラや着けローラを移動させる駆動機構と、アニロックスローラ及び着けローラのうち、被印刷物であるシートの印刷処理に使用しないものを保管する3つの棚部と、を有する。
【0008】
そして、上記構成の印刷機では、駆動機構によってチェーンを循環させることによって、アニロックスローラと着けローラとの交換、若しくは、アニロックスローラ同士の交換を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記従来のローラ交換装置では、アニロックスローラや着けローラを保管する棚部の数が予め定められているため、必要なローラの数が棚部の数を超える場合は交換機構全体を改修する必要があり、必要なローラの数が棚部の数を下回る場合は棚部が余るためいずれの場合も無駄が生じる。
【0011】
このように、従来の交換機構では、必要となるローラの数の仕様が変わると多くの無駄が生じていた。
【0012】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、ローラの数の仕様変更に適切に対応できるローラ交換装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のローラ交換装置は、複数のローラを有し、該ローラを駆動させて被印刷物を印刷する印刷機に適用されるローラ交換装置であって、前記複数のローラのうち、前記被印刷物の印刷に使用する印刷用ローラが着脱可能に装着されるローラ装着部と、前記複数のローラのうち、前記印刷用ローラと交換するための交換用ローラを保管する交換モジュールとを備え、前記交換モジュールは、前記交換用ローラを収容可能な収容部と、前記収容部と前記ローラ装着部との間で前記交換用ローラを移動させるローラ移動部と、を有し、前記交換モジュールは、他の前記交換モジュールを積層可能に構成される。
【0014】
上記構成のローラ交換装置によれば、収容部とローラ装着部との間で交換用ローラを移動させる交換モジュールが他の交換モジュールを積層可能に構成されているため、必要なローラの数が交換モジュールの使用数を超えれば交換モジュールの積層数を増やし、必要なローラの数が交換モジュールの使用数を下回れば交換モジュールの積層数を減らすことができ、そのうえで、交換モジュールのローラ移動部を駆動させて交換用ローラを収容部とローラ装着部との間を移動させることによって、ローラ装着部に装着されている印刷用ローラと交換用ローラとを交換できるようになっている。
【0015】
これにより、前記ローラ交換装置は、ローラの数の仕様変更に適切に対応できるようになっている。
【0016】
本発明のローラ交換装置において、前記交換モジュールは、前記交換用ローラの出入口となるモジュール出入口と、前記モジュール出入口と前記収容部とをつなぎ、前記ローラ移動部によって移動させる前記交換用ローラを案内する出入レール部と、を有する、ように構成されていてもよい。
【0017】
上記構成のローラ交換装置によれば、ローラ移動部によって移動させる交換用ローラの動きを出入レール部によって案内できるため、印刷用ローラと交換用ローラとを円滑に交換できる。
【0018】
本発明のローラ交換装置において、前記交換モジュールは、積層された他の前記交換モジュールの前記モジュール出入口に出入りする前記交換用ローラが通過する通過レール部を有し、前記交換モジュールでは、前記通過レール部と前記モジュール出入口とが連通している、構成であってもよい。
【0019】
上記構成のローラ交換装置の交換モジュールは、他の交換モジュールのモジュール出入口に出入りする交換用ローラも通過レール部とモジュール出入口とを通過させることができるため、交換モジュールに積層されている他の交換モジュールに収容される交換用ローラを円滑に移動させて印刷用ローラと交換用ローラとを交換できる。
【0020】
本発明のローラ交換装置において、前記ローラ移動部は、前記交換用ローラに連結され、且つ前記出入レール部内に配置される索状体と、前記索状体を長さ方向に移動させるべく駆動する索体移動部とを有する、ように構成されていてもよい。
【0021】
上記構成のローラ交換装置によれば、交換モジュールの積層数を増減させても、索体移動部を駆動させて移動させる索状体を出入レール部で案内することによって、交換用ローラを円滑に移動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のローラ交換装置は、ローラの数の仕様変更に適切に対応できる
という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るローラ交換装置を備える印刷機の概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るローラ交換装置と、ローラ交換装置が取り付けられている印刷処理部の概要図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るローラ交換装置のソケットの斜視図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るローラ交換装置のソケットの平面図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るローラ交換装置のローラ装着部の斜視図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るローラ交換装置のローラ装着部の平面図である。
【
図9】
図9は、交換モジュール、及び軌道部の模式図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係るローラ交換装置の揺動機構の説明図であって、印刷処理を行っている状態の説明図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係るローラ交換装置の揺動機構の説明図であって、印刷処理を停止している状態の説明図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係るローラ交換装置の動作説明図であって、印刷用ローラをローラ装着部から収容部に移動させている状態の説明図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係るローラ交換装置の動作説明図であって、シャッターを展開している状態の説明図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係るローラ交換装置の動作説明図であって、交換用ローラを収容部からローラ装着部に移動させている状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態にかかるローラ交換装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係るローラ交換装置は、印刷機に適用されるものである。
【0026】
図1に示す印刷機は、被印刷物への印刷処理(被印刷物への色付けや、被印刷物のコーティング等)を行う際に駆動させる複数のローラを有する印刷処理部Pと、 印刷処理部Pに取り付けられているローラ交換装置1とを備えている。
【0027】
印刷処理部Pは、被印刷物にインキを塗布するもの(いわゆる、印刷ユニットP1)や、被印刷物にコーティング剤(例えば、本実施形態ではニス)を塗布するもの(いわゆる、コーティングユニットP2)である。
【0028】
印刷処理部Pは、被印刷物への印刷処理を行う際に駆動させる複数のローラを備えている。複数のローラには、例えば、アニロックスローラR1や、版胴R2、圧胴R3等が含まれる(
図10、
図11参照)。各ローラは、軸線を左右方向(
図10、
図11においては紙面に直交する方向)として配置される。
【0029】
ローラ交換装置1は、印刷処理部Pにおいて印刷処理に使用しているローラ(印刷用ローラ)と交換用の他のローラ(交換用ローラ)とを交換する際に用いられる装置である。本実施形態のローラ交換装置1は、コーティングユニットP2である印刷処理部Pに取り付けられており、この印刷処理部Pのアニロックスローラの交換を行うことができるようになっている。
【0030】
より具体的に説明すると、ローラ交換装置1は、
図2に示すように、ローラ(印刷用ローラや交換用ローラ)が取り付けられるソケット部2と、ローラ付きのソケット部2が着脱可能に装着されるローラ装着部3と、ローラ付きのソケット部2を保管する複数の交換モジュール4と、印刷処理部P内においてローラ付きのソケット部2の移動経路を形成する軌道部5と、を備えている。なお、本実施形態では、4つの交換モジュール4を備えている。
【0031】
ソケット部2は、
図3に示すように、ローラ(例えば、アニロックスローラR1)が回転可能な状態で取り付けられる軸受ベース部20と、ローラ装着部3に着脱される被着脱部21と、交換モジュール4の後述するローラ移動部に連結される被連結部22と、ローラ装着部3と交換モジュール4との間での移動時に交換モジュール4の後述する案内構造によって案内される被案内部23と、を有する。
【0032】
軸受ベース部20は、アニロックスローラR1の両端軸部に設置されるベアリングR10(
図5参照)を支持する左右一対の軸受支持部200と、左右一対の軸受支持部200を互いに接続している接続部201と、を有する。
【0033】
本実施形態のソケット部2は、左右一対の被着脱部21を有する。左右一対の被着脱部21は、それぞれが別々の軸受支持部200に取り付けられている。
【0034】
被着脱部21は、軸受支持部200に連結されている連結板部210と、連結板部210から外方(軸受ベース部20に取り付けられているローラの軸線方向において外側に向かう方向)に突出する着脱被保持部211であって、ローラ装着部3によって保持される着脱被保持部211と、連結板部210から外方(軸受ベース部20に取り付けられているローラの軸線方向において外側に向かう方向)に突出する着脱被固定部212であって、ローラ装着部3に固定される着脱被固定部212と、を有する。
【0035】
着脱被保持部211は円柱形状である。そして、着脱被固定部212は、着脱被保持部211から離れた場所(着脱被保持部211の径方向において着脱被保持部211から離れた場所)に位置している。
【0036】
ソケット部2は、左右一対の被連結部22を有する。左右一対の被連結部22は、左右それぞれの被着脱部21(より具体的には着脱被固定部212)と一体的に形成されている。
【0037】
ソケット部2は、左右一対の被案内部23を有する。左右一対の被案内部23は、左右それぞれの被着脱部21(より具体的には着脱被保持部211)に取り付けられている。被案内部23は、着脱被保持部211の外面(軸受ベース部20に取り付けられているローラの軸線方向において外側に向いている一面)から外側に突出している。
【0038】
なお、本実施形態の被案内部23は、着脱被保持部211よりも小径のコロによって構成されており、軸受ベース部20に取り付けられているローラの軸線回りで着脱被保持部211に対して独立して回転できるように構成されている。
【0039】
ローラ装着部3は、
図6に示すように、ソケット部2を保持する保持部30と、保持部30を揺動させる揺動機構31と、を有する。なお、本実施形態のローラ装着部3は、左右一対の保持部30と、左右一対の揺動機構31とを有する(
図7、
図8参照)。
【0040】
保持部30は、ローラ付きのソケット部2を受けるソケット受部300と、ソケット部2をソケット受部300に固定するソケット固定部301と、を有する。
【0041】
ソケット受部300には、一方向に沿って延びる受溝3000が形成されている。受溝3000は、開放端の溝幅が着脱被保持部211の外径よりも大きくなっている。また、受溝3000は、底部側に開放端よりも溝幅が狭い幅狭部を有している。この幅狭部の溝幅は、着脱被保持部211の外径よりもわずかに大きく形成されている。
【0042】
そのため、受溝3000の開放端側から着脱被保持部211が挿し込まれていくと、受溝3000の底部よりも手前側で上記幅狭部によって、着脱被保持部211の溝幅方向の位置が決まるようになっている。すなわち、ローラ付きのソケット部2の溝幅方向の位置が決まるようになっている。また、左右一対の着脱被保持部211の外側端面が、左右一対の受溝3000の底面(左右方向外側の面)で案内されることで、着脱被保持部211の左右方向の位置が決まるようになっている。すなわち、ローラ付きのソケット部2の左右方向の位置が決まるようになっている。
【0043】
ソケット固定部301は、着脱被保持部211が受溝3000の上記幅狭部によって溝幅方向の位置が決められており、かつ受溝3000の底面で左右方向の位置が決められている状態で着脱被固定部212が当接して重なるように構成されている。この当接により、ローラ付きのソケット部2の溝方向の位置が決まるようになっている。また、ソケット固定部301には、着脱被固定部212をねじ止めできるように構成されている。この構成により、ローラ付きのソケット部2をローラ装着部3の所定の位置に着脱可能に装着することができる。
【0044】
揺動機構31は、印刷処理部P内に軸支される揺動プレート310と、プレートを揺動させる揺動駆動部311と、を有する。
【0045】
揺動プレート310には、印刷処理部P内で支軸3103に軸支される被軸支部3100と、ローラ装着部3が取り付けられる被取付部3101と、揺動駆動部311が連結される駆動連結部3102と、が含まれている。
【0046】
揺動駆動部311は、揺動プレート310を押す押操作と、揺動プレート310を引く引操作を行うことができるように構成されている。具体的には、揺動駆動部311は、エアシリンダを備えて構成されている。そして、揺動プレート310は、揺動駆動部311による押操作と引操作が行われることによって、支軸3103を中心として揺動(回動)するようになっている。
【0047】
揺動プレート310が揺動すると、ローラ装着部3に装着されているローラ(印刷用ローラであるアニロックスローラR1)が版胴R2に対して接離する(
図10、
図11参照)。
【0048】
交換モジュール4は、
図9に示すように、対向配置されている左右一対のサイドフレーム44と、各サイドフレーム44の内面側にそれぞれ設置される左右一対のパネル部40と、左右一対のパネル部40の間にローラ付きのソケット部2を収容するための収容部41と、収容部41とローラ装着部3との間でローラ付きのソケット部2を移動させるローラ移動部42と、左右一対のパネル部40の間でローラ付きのソケット部2の動きを案内する案内構造43と、別の交換モジュール4との連結に用いられる連結構造と、を有する。
【0049】
左右一対のパネル部40のそれぞれにはレール溝が形成されている。レール溝の内部には、被案内部23が移動可能な状態で配置される。そのため、ローラ付きのソケット部2は、左右一対のパネル部40の間に位置している状態においては、各被案内部23がレール溝の形状に沿って案内されながら移動するように構成されている。
【0050】
本実施形態の収容部41は、レール溝の一部(より具体的には、水平方向に延びる部分)によって構成されている。また、収容部41の端は、開放口410によって外部に向かって開放されている(
図9参照)。
【0051】
ローラ移動部42は、ローラ付きのソケット部2に連結される索状体420と、索状体420を長さ方向に移動させるべく駆動する索体移動部421とを有する。
【0052】
索状体420は、例えば、チェーンによって構成される。索状体420の長手方向における一端は、被連結部22に連結されている(
図4、
図5参照)。また、索状体420は、収容部41の開放口410からレール溝内に挿し込まれている。
【0053】
索体移動部421は、例えば、索状体420に係合するスプロケット4211と、該スプロケット4211を回転駆動するためのモータ4212を備えて構成されていればよい(
図5参照)。このようにすれば、索体移動部421を構成するスプロケットを一方向に回転させると索状体420がレール溝内に送り出されることによって、ローラ付きのソケット部2が収容部41からローラ装着部3に向かって移動し、索体移動部421を構成するスプロケットを他方向に回転させると索状体420がレール溝内から回収されることによって、ローラ付きのソケット部2がローラ装着部3から収容部41に向かって移動する。
【0054】
案内構造43は、ローラ付きのソケット部2の出入口となるモジュール出入口430と、モジュール出入口430と収容部41とをつなぎ、ローラ移動部42によって移動させるローラ付きのソケット部2を案内する出入レール部431と、積層された他の交換モジュール4のモジュール出入口430につながる通過口432と、通過口432と出入レール部431とにつながる通過レール部であって、積層された他の交換モジュール4のモジュール出入口430に出入りするローラ付きのソケット部2が通過する通過レール部433と、を有する。
【0055】
なお、本実施形態の案内構造43では、収容部41と同様に、モジュール出入口430と、出入レール部431と、通過口432と、通過レール部433がレール溝の一部によって構成されている。
【0056】
モジュール出入口430は、下向きに開口している。
【0057】
出入レール部431の先端側(モジュール出入口430に連続している一端側)は、下方に向かって湾曲している。
【0058】
モジュール出入口430は、上向きに開口している。
【0059】
通過レール部433は、上下方向に沿って延びている。通過レール部433の上端は、通過口432に連続し、通過レール部433の下端は、出入レール部431につながっている。
【0060】
印刷処理部P上に複数の交換モジュール4を積層すると、下側の交換モジュール4の通過口432と上側の交換モジュール4のモジュール出入口430とがつながる。また、最も下側の交換モジュール4(印刷処理部Pに直接重ねて配置されている交換モジュール4)の出入口は、軌道部5の後述する軌道接続口500につながる。そのため、ローラ交換装置1では、上下方向に沿って真っすぐに延び、且つ軌道部5の後述する軌道接続口につながるローラの移動経路が形成される。
【0061】
連結構造は、交換モジュール4の上部に設けられる上部連結部と、下部に設けられる下部連結部を有する。交換モジュール4と別の交換モジュール4とを上下に積層して連結するときは、下側の交換モジュール4が備える上部連結部と上側の交換モジュール4が備える下部連結部を用いる。すなわち、交換モジュール4の上部連結部には、別の交換モジュール4の下部連結部を連結可能である。また、下部連結部は、印刷処理部Pにも連結可能である。なお、印刷処理部Pの上部には、交換モジュール4の上部の設けられる上部連結部と同様の連結部が設けられている。
【0062】
本実施形態の連結構造では、下側の交換モジュール4のサイドフレーム44の上面441に上側の交換モジュール4のサイドフレーム44の下面442を当接させて重ね、さらに、位置決め手段(不図示)によって下側の交換モジュール4のサイドフレーム44に対する上側の交換モジュール4のサイドフレーム44の水平方向(左右方向及び前後方向)の位置を決め、固定手段(不図示)によって両サイドフレーム44同士を固定することで、両交換モジュール4を連結するように構成されている。すなわち、本実施形態の連結構造は、交換モジュール4のサイドフレーム44の上面441と下面442、位置決め手段、及び固定手段を含んで構成されている。
【0063】
軌道部5は、印刷処理部P(コーティングユニットP2)は軌道部5を備えている。軌道部5は、対向配置される左右一対の軌道壁部50を有する。
【0064】
軌道壁部50には、印刷処理部Pに直接積層される交換モジュール4のモジュール出入口430がつながる軌道接続口500と、軌道接続口500から下方に延びる軌道レール部501と、軌道レール部501の先端に連続する開放領域502と、が形成されている。
【0065】
軌道レール部501は、印刷処理部P内においてローラ付きのソケット部2の動きを案内するためのものである。
【0066】
軌道接続口500、軌道レール部501には、ソケット部2の被案内部23が挿通可能であるため、ソケット部2は、軌道接続口500を通過して印刷処理部Pの内部に入ると、軌道レール部501に案内されながらローラ装着部3の位置まで移動するようになっている。
【0067】
開放領域502は、揺動機構31側が開放されており、軌道部5と揺動している揺動機構31とが互いに干渉しないようになっている(
図2参照)。
【0068】
ここで、本実施形態のローラ交換装置1は、
図2に示すように、軌道部5内(一対の軌道壁部50の間)でローラ装着部3と交換モジュール4との間に展開可能なシャッター構造6を有する。
【0069】
シャッター構造6は、左右方向に延びる複数の戸板60を有しており、複数の戸板60を軌道部5内でローラ装着部3と交換モジュール4との間に配置することによって、ローラ装着部3と交換モジュール4との間を遮ることができるようになっている。
【0070】
そのため、本実施形態のローラ交換装置1は、シャッター構造6を展開すれば、印刷処理部P内への異物の落下を防止できるようになっている。
【0071】
本実施形態に係るローラ交換装置1の構成は、以上の通りである。続いて、ローラ交換装置1の使用方法を説明する。
【0072】
印刷処理部Pで必要となるローラの数の仕様が変わり、印刷処理部Pで必要なローラの数が交換モジュール4の使用数を超えれば、交換モジュール4の積層数を増やす。
【0073】
1つめの交換モジュール4を設置する場合は、1つめの交換モジュール4を印刷処理部Pに直接重ねて配置する。これにより、1つめの交換モジュール4の上下方向での配置位置が定まる。
【0074】
そして、1つめの交換モジュール4の水平方向での配置位置を合わせた状態で下部連結部と印刷処理部Pとを連結する。これにより、1つめの交換モジュール4が設置される。
【0075】
2つめ以降の交換モジュール4を設置する場合は、2つめ以降の交換モジュール4を既設の交換モジュール4に重ねて配置する。これにより、2つめ以降の交換モジュール4の上下方向での配置位置が定まる。
【0076】
そして、2つめ以降の交換モジュール4の水平方向での配置位置を合わせた状態で下部連結部と既設の交換モジュール4の上部連結部とを連結することによって、2つめ以降の交換モジュール4が設置される。
【0077】
このように、ローラ交換装置1は、必要なローラの数が交換モジュール4の使用数を超えれば、交換モジュール4の積層数を増やすことができる。
【0078】
一方で、印刷処理部Pで必要となるローラの数の仕様が変わり、印刷処理部Pで必要なローラの数が交換モジュール4の使用数を下回れば、既設の交換モジュール4を取り外して、交換モジュール4の積層数を減らすこともできる。
【0079】
このようにして、印刷処理部Pで必要となるローラの数と、交換モジュール4の数を合わせた状態で印刷用ローラと交換用ローラの交換が行われる。
【0080】
印刷用ローラと交換用ローラを交換するには、ローラ(印刷用ローラ)付きのソケット部2のローラ装着部3への固定を解除した後、ローラ移動部42によってローラ装着部3から収容部41まで移動させることによって、印刷用ローラを収容部41に回収する(
図12参照)。
【0081】
そして、印刷用ローラを収容部41に回収した際、印刷処理部Pよりも上方で作業を行う場合は、シャッター構造6によりローラ装着部3と交換モジュール4の間を遮る(参照)
【0082】
別のローラ(印刷用ローラとして使用していたローラとは別の交換用ローラ)をローラ装着部3に装着するには、ローラ(交換用ローラ)付きのソケット部2をローラ移動部42によって収容部41からローラ装着部3まで移動させる(
図14参照)。
【0083】
そして、ソケット部2の着脱被保持部211を受溝3000に挿し込まれ、ソケット固定部301に着脱被固定部212が当接して重なった状態で、ソケット固定部301に着脱被固定部212を固定する。これにより、印刷用ローラと交換用ローラの交換が完了する。
【0084】
なお、交換前に使用されていた印刷用ローラは、収容部41に回収されれば交換用ローラとなり、交換前に保管されていた交換用ローラは、ローラ装着部3に装着されれば印刷用ローラとなる。
【0085】
以上のように、本実施形態に係るローラ交換装置1によれば、収容部41とローラ装着部3との間で交換用ローラを移動させる交換モジュール4が他の交換モジュール4を積層可能に構成されているため、必要なローラの数が交換モジュール4の使用数を超えれば交換モジュール4の積層数を増やし、必要なローラの数が交換モジュール4の使用数を下回れば交換モジュール4の積層数を減らすことができ、そのうえで、交換モジュール4のローラ移動部42を駆動させて交換用ローラを収容部41とローラ装着部3との間を移動させることによって、ローラ装着部3に装着されている印刷用ローラと交換用ローラとを交換できるようになっている。
【0086】
従って、本実施形態のローラ交換装置1は、ローラの数の仕様変更に適切に対応できるという優れた効果を奏し得る。
【0087】
また、交換モジュール4は、交換用ローラの出入口となるモジュール出入口430と、モジュール出入口430と収容部41とをつなぎ、ローラ移動部42によって移動させる交換用ローラを案内する出入レール部431と、を有する、ように構成されているため、ローラ移動部42によって移動させる交換用ローラの動きを出入レール部431によって案内でき、これにより、印刷用ローラと交換用ローラとを円滑に交換できる。
【0088】
さらに、交換モジュール4は、積層された他の交換モジュール4のモジュール出入口430に出入りする交換用ローラが通過する通過レール部433を有し、交換モジュール4では、通過レール部433とモジュール出入口430とが連通するように構成されるため、他の交換モジュール4のモジュール出入口430に出入りする交換用ローラも通過レール部433とモジュール出入口430とを通過させることができるため、交換モジュール4に積層されている他の交換モジュール4に収容される交換用ローラを円滑に移動させて印刷用ローラと交換用ローラとを交換することもできる。
【0089】
そして、ローラ移動部42が、交換用ローラに連結され、且つレール溝内に配置される索状体420と、索状体420を長さ方向に移動させるべく駆動する索体移動部421とを有するように構成されているため、交換モジュール4の積層数を増減させても、索体移動部421を駆動させて移動させる索状体420をレール溝で案内することによって、交換用ローラを円滑に移動させることができる。
【0090】
なお、本発明に係るローラ交換装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0091】
上記実施形態において特に言及しなかったが、使用する交換モジュール4の数は、1つであってもよい。このようにする場合、印刷用ローラをローラ装着部3から取り外して収容部41に回収し、交換用ローラをローラ装着部3に直接取り付けることによって、印刷用ローラと交換用ローラの交換作業が行われる。
【0092】
上記実施形態において特に言及しなかったが、収容部41に保管する交換用ローラは、印刷用ローラと同種のものであってもよいし、別種のものであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…ローラ交換装置、2…ソケット部、3…ローラ装着部、4…交換モジュール、5…軌道部、6…シャッター構造、20…軸受ベース部、21…被着脱部、22…被連結部、23…被案内部、30…保持部、31…揺動機構、40…パネル部、41…収容部、42…ローラ移動部、43…案内構造、44…サイドフレーム、50…軌道壁部、60…戸板、200…軸受支持部、201…接続部、210…連結板部、211…着脱被保持部、212…着脱被固定部、300…ソケット受部、301…ソケット固定部、310…揺動プレート、311…揺動駆動部、420…索状体、421…索体移動部、4211…スプロケット、4212…モータ、430…モジュール出入口、431…出入レール部、432…通過口、433…通過レール部、441…上面、442…下面、500…軌道接続口、501…軌道レール部、502…開放領域、3000…受溝、3100…被軸支部、3101…被取付部、3102…駆動連結部、3103…支軸、P…印刷処理部、P1…印刷ユニット、P2…コーティングユニット、R1…アニロックスローラ、R2…版胴、R3…圧胴
【手続補正書】
【提出日】2022-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
軌道部5は、対向配置される左右一対の軌道壁部50を有する。