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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025004
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】作業機および作業機システム
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240216BHJP
   B25D 17/14 20060101ALI20240216BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240216BHJP
   B23B 45/02 20060101ALI20240216BHJP
   B23B 47/34 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B25F5/00 Z
B25D17/14
B23Q11/00 M
B23B45/02
B23B47/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128061
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 優輔
(72)【発明者】
【氏名】榎本 明来
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇樹
【テーマコード(参考)】
2D058
3C011
3C036
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058CB07
2D058DA23
3C011BB03
3C036HH15
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA11
3C064BA12
3C064BB42
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA54
3C064CA60
3C064CA61
3C064CB06
3C064CB08
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB35
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB63
3C064CB74
3C064CB75
3C064CB77
3C064CB82
(57)【要約】
【課題】良好な集塵性能が長期間に亘って維持される作業機や作業機システムを実現する。
【解決手段】ハンマドリル2は、駆動部と、前記駆動部によって駆動されるファンと、前記駆動部および前記ファンを収容するハウジング10と、を備える。ハウジング10は、補助装置から空気を吸い込む集塵口14が設けられた吸気面12aと、前記補助装置と相対移動可能に係合する第1係合溝71,第2係合溝72を有する。集塵口14は、吸気面12aと平行な上下方向、及び吸気面12aと平行かつ上下方向と直交する左右方向において、第1係合溝71と第2係合溝72との間に配置される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部と、
前記駆動部によって駆動されるファンと、
前記駆動部および前記ファンを収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
補助装置から空気を吸い込む吸気口が設けられた吸気面と、
前記補助装置と相対移動可能に係合する第1係合部および第2係合部を含む係合部と、を有し、
前記吸気口は、前記吸気面と平行な第1方向、及び前記吸気面と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1係合部と前記第2係合部との間に配置されている、作業機。
【請求項2】
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記補助装置と、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に相対移動可能に係合する、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第3方向に延びる先端工具が取り付けられる工具取付部を有する、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記係合部は、前記第1方向における位置が前記第1係合部と同一である第3係合部と、前記第1方向における位置が前記第2係合部と同一である第4係合部と、をさらに含み、
前記第1係合部,前記第2係合部,前記第3係合部および前記第4係合部は、前記第2方向を深さ方向とし、前記第3方向を長さ方向とする溝である、請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
前記係合部は、前記第3方向における位置が前記第1係合部,前記第2係合部,前記第3係合部および前記第4係合部と異なる第5係合部および第6係合部をさらに含み、前記第5係合部および前記第6係合部は、前記第2方向を深さ方向とし、前記第3方向を長さ方向とする溝である、請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記第1係合部および前記第3係合部の前記第3方向における長さは、前記第2係合部および前記第4係合部の前記第3方向における長さよりも短く、
前記第5係合部および前記第6係合部の前記第3方向における長さは、前記第1係合部および前記第3係合部の前記第3方向における長さよりも短い、請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
作業機と、前記作業機に着脱可能な補助装置と、から構成される作業機システムであって、
前記作業機は、駆動部,前記駆動部によって駆動されるファンおよび前記駆動部および前記ファンを収容するハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記補助装置から空気を吸い込む吸気口が設けられた吸気面と、
前記補助装置と相対移動可能に係合する第1係合部および第2係合部を含む係合部と、を有し、
前記吸気口は、前記吸気面と平行な第1方向、及び前記吸気面と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1係合部と前記第2係合部との間に配置される、作業機システム。
【請求項8】
前記第1係合部および前記第2係合部は、前記補助装置と、前記第1方向および前記第2方向と直交する第3方向に相対移動可能に係合する、請求項7に記載の作業機システム。
【請求項9】
前記作業機は、前記第3方向に延びる先端工具が取り付けられる工具取付部を有する、請求項8に記載の作業機システム。
【請求項10】
前記補助装置は、前記第1係合部および前記第2係合部の相対移動を規制する規制部を有する、請求項9に記載の作業機システム。
【請求項11】
前記規制部は、前記作業機に係合する爪部と、前記作業機に対する前記爪部の係合を解除させる操作部と、を有し、
前記爪部は、前記第2方向における位置が、前記工具取付部に取り付けられた前記先端工具と重なり、
前記操作部は、前記第2方向における位置が、前記工具取付部に取り付けられた前記先端工具と重ならない、請求項10に記載の作業機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機に関し、特に、集塵機能を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
作業に伴って発生する粉塵を回収する機能(集塵機能)を備えた作業機が知られている。例えば、特許文献1には、集塵機能を備えた穿孔工具が記載されている。穿孔工具は、作業機の一例であって、穴あけ作業などに適している。また、穿孔工具は“打撃工具”や“ハンマドリル”と呼ばれることもある。
【0003】
特許文献1記載の穿孔工具は、冷却ファン及び集塵ファンを有する。集塵ファンが回転すると、粉塵混じりの空気が吸い込まれる。吸い込まれた粉塵混じりの空気は、空気と粉塵とに分離される。さらに、空気から分離された粉塵は回収され、粉塵が除去された空気は排気される。つまり、集塵ファンが回転すると、粉塵を回収するための気流(集塵風)が生成される。
【0004】
また、冷却ファンが回転すると、空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、モータ等から熱を奪った後に排気される。つまり、冷却ファンが回転すると、モータ等の発熱部を冷却するための気流(冷却風)が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-201526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集塵機能を備える作業機や作業機システムには、良好な集塵性能の実現とその維持が求められる。
【0007】
本発明の目的は、良好な集塵性能が長期間に亘って維持される作業機や作業機システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る作業機は、駆動部と、前記駆動部によって駆動されるファンと、前記駆動部および前記ファンを収容するハウジングと、を備える。前記ハウジングは、補助装置から空気を吸い込む吸気口が設けられた吸気面と、前記補助装置と相対移動可能に係合する第1係合部および第2係合部を含む係合部と、を有する。前記吸気口は、前記吸気面と平行な第1方向、及び前記吸気面と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向において、前記第1係合部と前記第2係合部との間に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、良好な集塵性能が長期間に亘って維持される作業機や作業機システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】作業機システムの斜視図である。
図2】作業機システムの断面図である。
図3】ハンマドリルの斜視図である。
図4】ハンマドリルの正面図である。
図5】集塵装置の斜視図である。
図6】集塵装置の背面図である。
図7】集塵装置の断面図である。
図8】送風機構の分解斜視図である。
図9】接続ノズルが集塵口に挿入されているときの送風機構及びその近傍を示す部分拡大断面図である。
図10】接続ノズルが集塵口に挿入されていないときの送風機構及びその近傍を示す部分拡大断面図である。
図11】集塵装置がハンマドリルに取り付けられる直前の閉鎖部を示す部分拡大斜視図である。
図12】集塵装置がハンマドリルに取り付けられた後の閉鎖部を示す部分拡大斜視図である。
図13】集塵装置がハンマドリルに取り付けられる過程を示す説明図である。
図14】規制部の平面図である。
図15】作業機システムの平面図である。
図16】ハンマドリル2の一変形例を示す斜視図である。
図17】集塵装置3の一変形例を示す斜視図である。
図18図17に示される集塵装置が図16に示されるハンマドリルに取り付けられる過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係る作業機は、穴あけ作業などに適したハンマドリルである。なお、本発明の実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0012】
<ハンマドリルの概要>
図1は、ハンマドリル2と、ハンマドリル2に装着された補助装置3と、から構成される作業機システム1の斜視図である。図2は、図1に示されている作業機システム1の断面図である。なお、図1図2に示されている補助装置3は、ハンマドリル2に着脱可能である。
【0013】
ハンマドリル2は、ハウジング10,モータ20,動力伝達機構30,送風機構40などから構成され、先端工具Tが取り付けられる。より特定的には、先端工具Tの基端側(根元側)がハンマドリル2に固定される。ハンマドリル2は、モータ20の駆動力によって先端工具Tを駆動して、穴あけ作業などの各種作業を実行する。つまり、モータ20は駆動部の一例であって、先端工具Tの駆動源である。
【0014】
また、ハンマドリル2は、モータ20の駆動力によって送風機構40を駆動して、作業に伴って発生する粉塵を回収するための気流(集塵風)を発生させる。より特定的には、送風機構40が作動すると、塵混じりの空気が補助装置3に吸い込まれ、周囲への粉塵の飛散が防止または抑制される。
【0015】
補助装置3は、粉塵混じりの空気を空気と粉塵とに分離し、粉塵を回収する。補助装置3によって粉塵が除去された空気は、ハンマドリル2の内部に流入する。つまり、モータ20は、送風機構40の駆動源でもある。また、補助装置3は、作業に伴って発生する粉塵を回収するための集塵装置である。
【0016】
さらに、モータ20によって駆動される送風機構40は、モータ20等の発熱部を冷却するための気流(冷却風)を発生させる。より特定的には、送風機構40が作動すると、ハンマドリル2の内部に空気が吸い込まれる。ハンマドリル2内に吸い込まれた空気は、発熱部の周囲や内部を通過して発熱部を冷却する。
【0017】
以下の説明では、図2に示されている先端工具Tの軸線方向を“前後方向”とする。さらに、先端工具Tの先端側を“前方”、先端工具Tの基端側を“後方”とする。また、補助装置3を“集塵装置3”と呼ぶ。なお、先端工具Tの軸線方向(前後方向)は、本発明の第3方向に相当する。
【0018】
ハンマドリル2は、「ドリルモード」,「ハンマモード」及び「ハンマドリルモード」を含む複数の動作モードを備えている。ドリルモードが選択されると、先端工具Tに回転力が付与される。ハンマモードが選択されると、先端工具Tに打撃力が付与される。ハンマドリルモードが選択されると、先端工具Tに回転力および打撃力が付与される。
【0019】
ハンマドリル2に装着される先端工具Tの一例としてドリルビットが挙げられる。ドリルビットは、例えば、コンクリートや石材などに穴を開けるときに用いられる。もっとも、ハンマドリル2に装着される先端工具Tはドリルビットに限られない。ハンマドリル2に装着される先端工具Tは、作業の対象物や作業の内容などに応じて選択される。
【0020】
<ハウジング>
ハウジング10は、ハンマドリル2の外郭を形成する。ハウジング10は、外郭の前部を形成する第1ハウジング11と、外郭の中間部を形成する第2ハウジング12と、外郭の後部を形成する第3ハウジング13と、に大別することができる。
【0021】
以下の説明では、第1ハウジング11を“ギヤケース11”、第2ハウジング12を“本体ハウジング12”、第3ハウジング13を“ハンドルハウジング13”と呼ぶ場合がある。
【0022】
ギヤケース11は、本体ハウジング12から前方に向かって延びている。一方、ハンドルハウジング13は、本体ハウジング12から後方に向かって延びている。さらに、ギヤケース11の後部は、本体ハウジング12の上部に連接している。一方、ハンドルハウジング13の上部は本体ハウジング12の上部に連接し、ハンドルハウジング13の下部は本体ハウジング12の下部に連接している。
【0023】
ハンドルハウジング13と本体ハウジング12とは、ゴムやバネ等の弾性体を介して接続されている。別の見方をすると、ハンドルハウジング13は、本体ハウジング12からの振動伝達が抑制された防振ハンドル13aを形成している。
【0024】
本実施形態のハンマドリル2には、防振ハンドル13aと直交する方向に延びるサブハンドル13bが装着されている。以下の説明では、サブハンドル13bの延存方向を“左右方向”とする。なお、サブハンドル13bの延存方向(左右方向)は、本発明の第2方向に相当する。
【0025】
<吸気口,排気口>
図3は、ハンマドリル2の斜視図であり、図4は、ハンマドリル2の正面図である。本体ハウジング12の前壁の上部に、1つの吸気口14が設けられている。吸気口14は、本体ハウジング12の前壁を貫通しており、本体ハウジング12の内外に連通している。別の見方をすると、本体ハウジング12の前壁は、吸気口14が形成された吸気面である。そこで、以下の説明では、本体ハウジング12の前壁を“吸気面12a”と呼ぶ場合がある。
【0026】
本体ハウジング12の両側壁の下部に、複数の吸気口15が設けられている。また、本体ハウジング12の底壁に、複数の吸気口16(図2)が設けられている。より特定的には、3個の吸気口15が本体ハウジング12のそれぞれの側壁の下部に設けられている。また、10個の吸気口16が本体ハウジング12の底壁に設けられている。
【0027】
さらに、本体ハウジング12の上部に、複数の排気口17が設けられている。より特定的には、5個の排気口17が本体ハウジング12の上部に設けられている。
【0028】
吸気口14は、本発明の第1吸気口に相当する。また、吸気口15及び吸気口16は、本発明の第2吸気口に相当する。以下の説明では、吸気口14を“集塵口14”と呼ぶ場合がある。また、吸気口15を“側面吸気口15”と呼び、吸気口16を“底面吸気口16”と呼ぶ場合がある。
【0029】
<モータ>
再び図2を参照する。モータ20は、3相のブラシレスモータであって、本体ハウジング12に収容されている。より特定的には、モータ20は、本体ハウジング12の下部に収容されているコントローラ21の上方に配置されており、コントローラ21と電気的に接続されている。
【0030】
モータ20は、先端工具Tの軸線方向(前後方向)と直交する出力シャフト22を備えている。出力シャフト22は回転自在に支持されており、その先端にはピニオンギヤ23が設けられている。
【0031】
以下の説明では、出力シャフト22の軸線方向を“上下方向”とする。さらに、ピニオンギヤ23が設けられている出力シャフト22の先端側を“上方”とし、先端側と反対側を“下方”とする。なお、出力シャフト22の軸線方向(上下方向)は、本発明の第1方向に相当する。
【0032】
ハンドルハウジング13に、トリガ24及びトリガスイッチ25が設けられている。トリガ24は、防振ハンドル13aの上部から前方に向かって突出している。一方、トリガスイッチ25は、防振ハンドル13aの内部に配置されており、コントローラ21と電気的に接続されている。
【0033】
トリガ24が操作されると、トリガスイッチ25から信号が出力され、コントローラ21に入力される。コントローラ21に信号が入力されると、ハンドルハウジング13の下端に装着されているバッテリパック26からモータ20に電力が供給される。
【0034】
<動力伝達機構>
動力伝達機構30は、 モータ20の駆動力を先端工具Tに伝達する。動力伝達機構30は、作業者によって選択された動作モードに応じて、先端工具Tに回転駆動力や往復駆動力を伝達する。
【0035】
動力伝達機構30は、中間シャフト31,運動変換部32,シリンダ33,リングギヤ34,リテーナスリーブ35などから構成されており、ギヤケース11に収容されている。
【0036】
中間シャフト31は、モータ20の出力シャフト22と直交する方向(前後方向)に延びている。中間シャフト31の後端には、出力シャフト22に設けられているピニオンギヤ23と噛み合うベベルギヤが設けられている。
【0037】
運動変換部32は、中間シャフト31上に設けられており、内輪,外輪,転動体および連結棒を含んでいる。内輪は中間シャフト31に固定され、外輪は内輪の周囲に配置されている。また、転動体は内輪と外輪との間に介在しており、連結棒は外輪の外周面から当該外輪の径方向外側に向かって延びている。
【0038】
内輪の外周面及び外輪の内周面には、互いに交差する溝がそれぞれ形成されている。そして、転動体の一部が内輪に形成されている溝に嵌合し、転動体の他の一部が外輪に形成されている溝に嵌合している。この結果、内輪と外輪とは、転動体を介して相対回転可能に連結されている。
【0039】
中間シャフト31上に、当該中間シャフト31から運動変換部32に動力が伝達される締結状態と、当該中間シャフト31から運動変換部32に動力が伝達されない解放状態と、に切り替えられるクラッチが設けられている。クラッチは、中間シャフト31に沿って前後に移動可能である。
【0040】
クラッチが所定位置まで後退すると(内輪に近接すると)、中間シャフト31と内輪とがクラッチを介して接続され、中間シャフト31から内輪に動力が伝達される。一方、クラッチが所定位置まで前進すると(内輪から離間すると)、中間シャフト31と内輪との接続が解除され、中間シャフト31から内輪への動力伝達が遮断される。
【0041】
上記のようなクラッチの移動は、作業者による動作モードの切替え操作に応じて実現される。クラッチが締結状態のときに中間シャフト31が回転すると内輪が回転する。すると、内輪の表面に沿って外輪が転動する。この結果、連結棒が前後に揺動する。
【0042】
シリンダ33は、中間シャフト31の上方に、当該中間シャフト31と平行に設けられている。リングギヤ34は、シリンダ33に周囲に設けられており、当該シリンダ33に沿って前後に移動可能である。リングギヤ34は、中間シャフト31の回転をシリンダ33に伝達する連結状態と、中間シャフト31の回転をシリンダ33に伝達しない非連結状態と、に切り替えられる。リングギヤ34の切り換えは、作業者の動作モードの切換え操作に応じて実現される。なお、非連結状態のリングギヤ34は、シリンダ33上で空転する。
【0043】
シリンダ33には、ピストン,打撃子および中間子が収容されている。ピストン,打撃子および中間子は、後方から前方に向かってこの順で一列に並んでおり、ピストンと打撃子との間に空気室が設けられている。
【0044】
リテーナスリーブ35は、シリンダ33の前方に、シリンダ33と同軸で配置されている。リテーナスリーブ35の後端はシリンダ33の先端に回転不能に固定されている。リテーナスリーブ35には先端工具Tの基端部が挿入され、リテーナスリーブ35は、挿入された先端工具Tの基端部を保持する。つまり、リテーナスリーブ35は、前後方向に延びる先端工具Tが取り付けられる工具取付部の一例である。
【0045】
ピストンの背面には、運動変換部32の連結棒が回動可能に接続されており、連結棒が前後に揺動すると、ピストンがシリンダ33内で前後に往復動し、空気室の圧力が変動する。すると、空気室の圧力変動によって打撃子が駆動され、打撃子によって中間子が打撃され、中間子によって先端工具Tが打撃される。
【0046】
本実施形態では、ドリルモードが選択されると、クラッチが解放状態となり、リングギヤが連結状態となる。この状態で中間シャフト31が回転すると、運動変換部32の内輪は回転しない一方、シリンダ33は回転する。よって、リテーナスリーブ35に保持されている先端工具Tに回転力のみが付与される。
【0047】
一方、ハンマモードが選択されると、クラッチが締結状態となり、リングギヤ34が非連結状態となる。この状態で中間シャフト31が回転すると、運動変換部32の内輪は回転する一方、シリンダ33は回転しない。すると、静止しているシリンダ33内でピストンが往復動する。この結果、リテーナスリーブ35に保持されている先端工具Tに打撃力のみが付与される。
【0048】
また、ハンマドリルモードが選択されると、クラッチが締結状態となり、リングギヤ34が連結状態となる。この状態で中間シャフト31が回転すると、運動変換部32の内輪が回転し、かつ、シリンダ33も回転する。すると、回転するシリンダ33内でピストンが往復動する。この結果、リテーナスリーブ35に保持されている先端工具Tに回転力および打撃力の両方が付与される。
【0049】
<集塵装置>
図5は、集塵装置3の斜視図である。また、図6は集塵装置3の背面図であり、図7は集塵装置3の断面図である。集塵装置3は、カバー50,吸引部51及び集塵部52等から構成されている。既述のとおり、集塵装置3は、粉塵を回収するために、ハンマドリル2に取り付けられる。より特定的には、集塵装置3は、本体ハウジング12の前方に取り付けられ、ギヤケース11と部分的に重なる(図1図2参照)。別の見方をすると、本体ハウジング12に取り付けられた集塵装置3の一部はギヤケース11の下に配置され、集塵装置3の他の一部はギヤケース11の前方に突出する。
【0050】
なお、ハンマドリル2は、単独でも使用可能である。よって、粉塵を回収する必要がない場合や、粉塵の回収を望まない場合には、ハンマドリル2に集塵装置3を取り付ける必要はない。
【0051】
<カバー>
カバー50は、集塵装置3の外郭を形成する。カバー50は、2つのカバー部材から構成されている。2つのカバー部材を互いに突き合わせると、カバー50が形成される。カバー50の一部により、集塵部52の後方に位置し、ハンマドリル2に連結される連結部53が形成されている。
【0052】
連結部53は、底壁部53aと、底壁部53aの両側から上方に向かって立ち上がる一対の側壁部53b,53cと、を有する。連結部53は、本体ハウジング12の下部に被せられ、本体ハウジング12の下部を覆う。より特定的には、連結部53の底壁部53aは、本体ハウジング12の底壁を下から覆う。同時に、連結部の側壁部53b,53cは、本体ハウジング12の両側壁を横から覆う。
【0053】
連結部53の側壁部53b,53cには、側面開口部54が設けられている。また、連結部53の底壁部53aには、底面開口部55が設けられている。したがって、本体ハウジング12の下部が連結部53によって覆われても、側面吸気口15や底面吸気口16から本体ハウジング12内への空気の流入が阻害されることはない。なお、ハンマドリル2と集塵装置3との固定構造(係合構造)については、後に改めて説明する。
【0054】
<吸引部>
吸引部51は、前後方向に延びる筒形状を有する。吸引部51の先端には、上方に向かって延びる吸引ノズル56が設けられている。吸引ノズル56の先端部(上端部)は、環状に形成されている。そして、先端工具Tの先端部が吸引ノズル56の環状の先端部(上端部)に挿通されている。
【0055】
図2に示されている送風機構40が作動すると、先端工具Tの先端部の周囲の空気が吸引ノズル56を通して吸引部51に吸い込まれる。このとき、先端工具Tの周囲に粉塵が浮遊していると、その粉塵も空気と一緒に吸引部51に吸い込まれる。つまり、粉塵混じりの空気が吸引部51に吸い込まれる。なお、送風機構40の構造や動作については、後に改めて説明する。
【0056】
<集塵部>
吸引部51は集塵部52と連通している。よって、吸引部51に吸い込まれた粉塵混じりの空気は、集塵部52に流入する。集塵部52には、サイクロン部57が設けられている。集塵部52に流入した粉塵混じりの空気は、サイクロン部57において、空気と粉塵とに分離される。別の見方をすると、空気中の粉塵が遠心分離される。
【0057】
粉塵が除去された空気は、サイクロン部57の後方に設けられているフィルタ室58に流入する。フィルタ室58内にはフィルタが設置されている。フィルタ室58に流入した空気は、フィルタを通過して接続ノズル59に流入する。この際、サイクロン部57では除去されなかった粉塵がフィルタによって捕捉される。
【0058】
接続ノズル59は、前後方向に延びる筒形状を有しており、連結部53と同方向に突出している。接続ノズル59は、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられると、本体ハウジング12に接続される。より特定的には、接続ノズル59は、本体ハウジング12の集塵口14に挿入される。この結果、ハンマドリル2(本体ハウジング12)と集塵装置3とが接続ノズル59を介して連通する。
【0059】
<送風機構>
図8は、送風機構40の分解斜視図である。送風機構40は、ファン41やファンガイド42等から構成されている。ファン41は、一対のベースプレート43a,第1ファン43b及び第2ファン43cを含んでいる。第1ファン43bは、対向するベースプレート43aの間に設けられている。第2ファン43cは、下側のベースプレート43aの下面に設けられている。
【0060】
ファンガイド42は、ファン41の周囲に配置されており、ファン41を取り囲んでいる。言い換えれば、ファン41は、ファンガイド42に収容されている。図2に示されるように、ファン41及びファンガイド42を含む送風機構40は、モータ20の上方に配置されており、モータ20の出力シャフト22は、ファン41及びファンガイド42を貫通して送風機構40の上方に突出している。さらに、モータ20の出力シャフト22は、ファン41に固定されている。よって、モータ20が作動すると、ファンガイド42の内側でファン41が回転する。より特定的には、図8に示されている第1ファン43b及び第2ファン43cがファンガイド42の内側で同時に回転する。
【0061】
ファンガイド42は、ファン41の上方に配置されるガイドベース44を含んでいる。ガイドベース44の中央には、ファン41に連通する流入口44aが設けられている。別の見方をすると、ガイドベース44によって形成されるファンガイド42の天井に、ファン41に連通する流入口44aが設けられている。
【0062】
ファンガイド42は、ガイドベース44に加えて、仕切壁45,整流板46,ガイド壁47等を含んでいる。仕切壁45は、ガイドベース44の上面に設けられている。さらに、仕切壁45の一部は、流入口44aの周方向一部を取り囲んでおり、仕切壁45の他の一部は、ガイドベース44の径方向外側に向かって延びている。この結果、ガイドベース44上に、周囲から区画され、かつ、流入口44aに連通する通路R1が形成されている。
【0063】
図9は、接続ノズル59が集塵口14に挿入されているときの送風機構40及びその近傍を示す部分拡大断面図である。図10は、接続ノズル59が集塵口14に挿入されていないときの送風機構40及びその近傍を示す部分拡大断面図である。
【0064】
通路R1は、流入口44aから前方に向かって延びて集塵口14に臨んでいる。別の見方をすると、通路R1は、吸気面12aと交差する方向に延びて、集塵口14と流入口44aとを繋いでいる。
【0065】
<第1吸気路>
図9に示されるように、ハンマドリル2に集塵装置3が取り付けられると、集塵装置3の接続ノズル59が本体ハウジング12の集塵口14に挿入される。さらに、集塵口14に挿入された接続ノズル59は、仕切壁45の内側に差し入れられる。別の見方をすると、集塵装置3の接続ノズル59は、集塵口14を通じて通路R1に差し入れられる。つまり、ハンマドリル2に取り付けられた集塵装置3は、通路R1を介して第1ファン43bと繋がる。
【0066】
この結果、ハンマドリル2に集塵装置3が取り付けられているときに第1ファン43bが回転すると、集塵風W1が発生する。より特定的には、集塵装置3の吸引ノズル56を介して吸引部51に粉塵混じりの空気が吸い込まれる。吸引部51に吸い込まれた粉塵混じりの空気は、サイクロン部57及びフィルタ室58を通過した後、集塵口14に挿入されている接続ノズル59から流出する。接続ノズル59から流出した空気は、通路R1を通過し、流入口44aからファンガイド42内に流入して第1ファン43bに流れ込む。第1ファン43bに流れ込んだ空気は、第1ファン43bの径方向外側に吹き出される。
【0067】
上記のように、通路R1は、集塵口14から第1ファン43bへ流れる集塵風W1の通路の少なくとも一部であって、ファンガイド42の流入口44aと繋がっている。また、第1ファン43bは、通路R1を介して集塵口14と繋がっている。つまり、通路R1は、本発明の第1吸気路に相当するか、少なくとも第1吸気路の一部に相当する。また、第1ファン43bは、集塵風W1を発生させる集塵ファンである。
【0068】
なお、図5等に示されるように、接続ノズル59の上面には、集塵風W1を増大させるための2つの開口部59aが設けられている。
【0069】
<第2吸気路>
第2ファン43cが回転すると、側面吸気口15(図3)や底面吸気口16(図2)から本体ハウジング12内に空気が吸い込まれる。本体ハウジング12内に吸い込まれた空気は、モータ20やコントローラ21(図2)を通過し、これらを冷却する。別の見方をすると、第2ファン43cが回転すると、モータ20等の発熱部を冷却する冷却風W2が発生する。
【0070】
より特定的には、第2ファン43cの回転によって本体ハウジング12内に吸い込まれた空気は、コントローラ21の表面上を通過してコントローラ21を冷却する。また、第2ファン43cの回転によって本体ハウジング12内に吸い込まれた空気は、モータ20のステータとロータとの間の隙間を通過してモータ20を冷却する。モータ20やコントローラ21を通過した空気は、第2ファン43cの径方向外側に吹き出される。
【0071】
上記のように、コントローラ21の周囲の空間や、モータ20のステータとロータとの間の隙間は、冷却風W2が流れる通路R2の少なくとも一部を形成している。別の見方をすると、通路R2は、側面吸気口15や底面吸気口16から第2ファン43cに流れる冷却風W2の通路である。また、第2ファン43cは、通路R2を介して側面吸気口15や底面吸気口16と繋がっている。つまり、通路R2は、本発明の第2吸気路に相当するか、少なくとも第2吸気路の一部に相当する。また、第2ファン43cは、冷却風W2を発生させる冷却ファンである。
【0072】
ファン41から吹き出された空気(集塵風W1,冷却風W2)の大部分は、整流板46によって、ファンガイド42の上方に送り出される。ファンガイド42の上方に送り出された集塵風W1や冷却風W2は、排気口17からハウジング10の外に排気される。
【0073】
<第1排気路>
ファンガイド42には、流出口48が設けられている。流出口48は、ガイド壁47の下部に形成された切欠きによって形成されており、第2ファン43cの径方向外側に位置している(図8参照)。
【0074】
図3に示されるように、本体ハウジング12には、集塵口14及び流出口48を開閉する閉鎖部60が設けられている。閉鎖部60については後に詳しく説明するが、閉鎖部60は、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられると、流出口48を閉じ、集塵口14を開く(図9)。一方、閉鎖部60は、集塵装置3がハンマドリル2から取り外されると、流出口48を開き、集塵口14を閉じる(図10)。
【0075】
したがって、図10に示されるように、ハンマドリル2に集塵装置3が取り付けられていないときに第2ファン43cが回転すると、冷却風W2の一部が流出口48からファンガイド42の側方に流出する。ファンガイド42から流出した冷却風W2は、ガイド壁47と本体ハウジング12の前壁(吸気面12a)との間の隙間を通って上方に流れ、集塵口14と閉鎖部60との間の隙間からハウジング10の外に流出する。
【0076】
一方、図9に示されるように、ハンマドリル2に集塵装置3が取り付けられているときには、冷却風W2が流出口48からファンガイド42の側方に流出することはない。別の見方をすると、冷却風W2がガイド壁47と本体ハウジング12の前壁(吸気面12a)との間の隙間を通ってハウジング10の外に流出することはない。
【0077】
上記のように、ガイド壁47と本体ハウジング12の前壁(吸気面12a)との間の隙間は、第2ファン43cから集塵口14へ流れる冷却風W2の通路R3の少なくとも一部を形成している。別の見方をすると、通路R3は、第2ファン43cから集塵口14へ流れる冷却風W2の通路であって、ファンガイド42の流出口48と繋がっている。また、図9図10に示されるように、通路R3は、吸気面12aに沿って流出口48と集塵口14との間に延びている。つまり、通路R3は、本発明の第1排気路に相当するか、少なくとも第1排気路の一部に相当する。
【0078】
<閉鎖部>
図3図4に示されるように、閉鎖部60は、本体ハウジング12の吸気面12aに沿う板状である。図11は、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられる直前の閉鎖部60を示す部分拡大斜視図である。図12は、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられた後の閉鎖部60を示す部分拡大斜視図である。
【0079】
閉鎖部60は、上下にスライド可能に支持されている。また、閉鎖部60は、付勢部(コイルスプリング61)によって常に上方に向かって付勢されている。閉鎖部60は、接続ノズル59のテーパ状の先端が押し付けられると、コイルスプリング61の付勢に抗して押し下げられる。すると、図9に示されるように、集塵口14が開かれて通路R1が開放される一方、流出口48が閉じられる。さらに、接続ノズル59が集塵口14を通って通路R1に進入する。別の見方をすると、集塵装置3は、ハンマドリル2に取り付けられる際、コイルスプリング61の付勢に抗して閉鎖部60を押し下げ、通路R1を開放させる。
【0080】
一方、閉鎖部60は、接続ノズル59が集塵口14から引き抜かれると、コイルスプリング61の付勢によって押し上げられる。すると、図10に示されるように、集塵口14が閉じられて通路R1が閉鎖される一方、流出口48が開かれる。別の見方をすると、集塵装置3がハンマドリル2から取り外されると、通路R1が自動的に閉鎖される。
【0081】
つまり、閉鎖部60は、通路R1を開放し、通路R3を閉鎖する第1状態(図9)と、通路R1を閉鎖し、通路R3を開放する第2状態(図10)と、に切替可能である。
【0082】
そして、閉鎖部60が第2状態に切り替えられると、集塵口14と閉鎖部60との間の隙間から冷却風W2の一部がハウジング10の外に流出する。したがって、ハンマドリル2を単独で使用しているときに、集塵口14と閉鎖部60との間の隙間に粉塵が堆積することがない。この結果、集塵口14と閉鎖部60との間の隙間に堆積した粉塵によって閉鎖部60のスムーズな開閉が阻害されることがない。
【0083】
<係合部>
図3図4に示されるように、ハンマドリル2のハウジング10には、集塵装置3と相対移動可能に係合する複数の係合部70が設けられている。より特定的には、本体ハウジング12に、第1係合部71,第2係合部72,第3係合部73及び第4係合部74が設けられている。
【0084】
それぞれの係合部70は、左右方向に窪んだ溝であって、前後方向に延びている。言い換えれば、それぞれの係合部70は、左右方向を深さ方向とし、前後方向を長さ方向とする溝である。そこで、以下の説明では、ハンマドリル2のハウジング10に設けられている係合部を“係合溝”と呼ぶ場合がある。
【0085】
第1係合溝71と第3係合溝73とは、上下方向において同じ位置に配置されている。また、第2係合溝72と第4係合溝74とは、上下方向において同じ位置に配置されている。つまり、第1係合溝71と第3係合溝73とは同じ高さに設けられており、第2係合溝72と第4係合溝74とは同じ高さに設けられている。
【0086】
別の見方をすると、集塵口14が設けられている吸気面12aの上下左右に4つの係合溝70が配置されている。そして、集塵口14は、吸気面12aと平行な上下方向において第1係合溝71と第2係合溝72との間に位置している。また、集塵口14は、吸気面12aと平行かつ上下方向と直交する左右方向においても、第1係合溝71と第2係合溝72との間に位置している。
【0087】
同様に、集塵口14は、上下方向において第3係合溝73と第4係合溝74との間に位置しており、左右方向においても、第3係合溝73と第4係合溝74との間に位置している。
【0088】
図5図6に示されるように、集塵装置3には、ハンマドリル2のハウジング10と相対移動可能に係合する複数の係合部80が設けられている。より特定的には、連結部53の内側の上下左右に、第1係合部81,第2係合部82,第3係合部83及び第4係合部84が設けられている。
【0089】
それぞれの係合部80は、左右方向に突出した突起であって、前後方向に延びている。言い換えれば、それぞれの係合部80は、左右方向を高さ方向とし、前後方向を長さ方向とする突起である。そこで、以下の説明では、集塵装置3に設けられている係合部を“係合突起”と呼ぶ場合がある。
【0090】
図13は、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられる過程を示す説明図である。集塵装置3は、ハンマドリル2の前方から当該ハンマドリル2に取り付けられる。このとき、集塵装置3の連結部53は、本体ハウジング12の下部に被せられる。さらに、連結部53に設けられている係合突起80は、本体ハウジング12に設けられている係合溝70に挿し込まれる。
【0091】
より特定的には、図示されている第3係合突起83が第3係合溝73に、第2係合突起82が第2係合溝72に、互いに平行に挿し込まれる。また、図示されていない第1係合突起81が第1係合溝71に、第4係合突起84が第4係合溝74に、互いに平行に挿し込まれる。
【0092】
係合溝70に挿し込まれた係合突起80は、係合溝70に沿って後方に移動し、所定長だけ係合溝70内に進入する。別の見方をすると、係合突起80が挿し込まれた係合溝70は、係合突起80に沿って前方に移動し、所定長だけ係合突起80を受け入れる。なお、上記所定長は、係合溝70や係合突起80の全長と同一または略同一である。
【0093】
一方、集塵装置3がハンマドリル2から取り外される際、係合溝70に挿し込まれていた係合突起80は、係合溝70に沿って前方に移動し、係合溝70から離脱する。別の見方をすると、係合突起80を受け入れていた係合溝70は、係合突起80に沿って後方に移動し、係合突起80を解放する。つまり、ハンマドリル2のハウジング10に設けられている係合溝70は、集塵装置3と前後方向に相対移動可能に係合する。
【0094】
<規制部>
図5図7に示されるように、集塵装置3は、規制部90を備えている。規制部90は、ハンマドリル2が備える係合溝70の集塵装置3に対する相対移動を規制する。
【0095】
図14は、規制部90の平面図である。規制部90は、プレート部91,爪部92,操作部93及び接続部94を有する。プレート部91は、前後方向に延びる帯状に形成されている。爪部92は、プレート部91の長手方向一端(先端)に設けられ、接続部94は、プレート部91の長手方向他端(後端)に設けられている。また、操作部93は、プレート部91の長手方向中央よりも後方に設けられている。さらに、操作部93は、プレート部91の幅方向外側に突出している。言い換えれば、操作部93は、オフセットされている。
【0096】
図5図7に示されるように、規制部90は、集塵装置3の上部に設けられ、吸引部51と平行に延びている。規制部90の大部分は集塵装置3のカバー50の内側に収められているが、爪部92はカバー50の外に突出(露出)している。
【0097】
規制部90は、接続部94に挿通された支持軸95によって回動可能(揺動可能)に支持されている。また、規制部90は、プレート部91の下に配置されているコイルスプリング96によって上向きに付勢されている。
【0098】
図2に示されるように、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられると、規制部90の爪部92がハンマドリル2に係合する。より特定的には、爪部92がギヤケース11の下に入り込み、ギヤケース11の下面に設けられている凹部97に嵌合する。この結果、ハンマドリル2が備える係合溝70の集塵装置3に対する相対移動が規制される。別の見方をすると、集塵装置3がハンマドリル2に固定される。
【0099】
集塵装置3をハンマドリル2から取り外すときには、爪部92のハンマドリル2に対する係合を解除させる。具体的には、操作部93(図5)を押圧し、コイルスプリング96(図7)の付勢に抗して規制部90を下向きに回動させる。すると、図2に示されている爪部92が押し下げられ、凹部97から離脱する。その後、集塵装置3を前方に引っ張ると、ハンマドリル2と集塵装置3とが分離される。別の見方をすると、ハンマドリル2を後方に引っ張ると、ハンマドリル2と集塵装置3とが分離される。
【0100】
図15は、作業機システム1の平面図である。既述のとおり、規制部90の操作部93はオフセットされている。この結果、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられると、操作部93は、ハンマドリル2に装着されている先端工具Tの側方に突出する。つまり、規制部90の操作部93は、左右方向における位置が先端工具Tと重ならない。なお、図15には表れていないが、規制部90の爪部92は、左右方向における位置が先端工具Tと重なっている。
【0101】
上記のように、本実施形態では、ハンマドリル2に設けられている係合溝70及び凹部97と、集塵装置3に設けられている係合突起80及び規制部90との協働により、集塵装置3がハンマドリル2に取り付けられる。つまり、ボルトその他の固定手段を用いることなく、集塵装置3をハンマドリル2に取り付けることができる。さらに、ボルトその他の固定手段を用いなくとも、ハンマドリル2に取り付けられた集塵装置3のガタツキが防止され、両者の間の気密性が確保される。この結果、集塵風W1の漏れが防止または抑制され、良好な集塵性能が得られる。
【0102】
また、集塵口14が形成される吸気面12aが前後方向を向いていることに加えて、係合溝70及び係合突起80は前後方向に相対移動可能に係合する。さらに、規制部90は、係合溝70及び係合突起80の前後方向への相対移動を規制する。この結果、ハンマドリル2と集塵装置3とは吸気面12aと垂直な前後方向に向かって互いに強固に押し付けられ、集塵口14と接続ノズル59との間の気密性が確実に確保される。特に、本実施形態では、集塵口14の上下左右に係合溝70及び係合突起80が配置されているので、集塵口14と接続ノズル59との間の気密性がより確実に確保される。
【0103】
なお、各々の係合溝70が上下左右の何れかの方向で集塵口14と部分的に重なるように配置されていても同様の効果が得られる。具体的には、例えば図4に示されている第1係合部71を右側へ延長し、左右方向における位置が集塵口14と重なるように配置してもよい。
【0104】
また、規制部90の操作部93がオフセットされているので、操作部93を操作する際に先端工具Tが邪魔になることがない。別の見方をすると、先端工具Tをハンマドリル2から取り外すことなく、集塵装置3をハンマドリル2に着脱することができる。
【0105】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、係合溝70や係合突起80は、適宜増減させることができる。例えば、これまでに説明した係合溝70や係合突起80とは、位置や長さが異なる係合溝70や係合突起80を追加してもよい。
【0106】
図16は、ハンマドリル2の一変形例を示す斜視図である。図17は、集塵装置3の一変形例を示す斜視図である。
【0107】
図16に示されているハンマドリル2には、第5係合部(第5係合溝)75及び第6係合部(第6係合溝)76が追加されている。また、図17に示されている集塵装置3には、第5係合部(第5係合突起)85及び第6係合部(第6係合突起)86が追加されている。第5係合突起85は第5係合溝75に、第6係合突起86は第6係合溝76に、それぞれ挿入される。
【0108】
ここで、第5係合溝75と第6係合溝76は、同じ高さに設けられており、第1係合溝71~第4係合溝74の何れよりも上側かつ前側に設けられている。また、第5係合突起85と第6係合突起86は、同じ高さに設けられており、第1係合突起81~第4係合突起84の何れよりも上側かつ前側に設けられている。
【0109】
言い換えると、第5係合突起85及び第6係合突起86は、第1係合突起81~第4係合突起84に対して前方に離間している。第5係合溝75及び第6係合溝76は、第1係合溝71~第4係合溝74に対して前方に離間している。この結果、突起と溝の係合深さを深くすることなく、係合範囲を前後方向に拡大することができる。別の見方をすると、挿入時の抵抗を増やすことなく、ハンマドリル2と集塵装置3との間のガタつきを抑制することができる。
【0110】
また、係合溝70と係合突起80とを係合させた状態において、第2係合突起82及び第4係合突起84と第2係合溝72及び第4溝74との間で上下方向に生じる隙間は、第1係合突起81及び第3係合突起83と第1係合溝71及び第3係合溝73との間で上下方向に生じる隙間よりも大きい。また、係合溝70と係合突起80とを係合させた状態において、第1係合突起81及び第3係合突起83と第1係合溝71及び第3係合溝73との間で上下方向に生じる隙間は、第5係合突起85及び第6係合突起86と第5係合溝75及び第6係合溝76との間で上下方向に生じる隙間よりも大きい。
【0111】
さらに、第2係合突起82及び第4係合突起84の前後方向の長さよりも、第1係合突起81及び第3係合突起83の前後方向の長さの方が短く、第5係合突起85及び第6係合突起86の前後方向の長さはさらに短い。同様に、第2係合溝72及び第4係合溝74の前後方向の長さよりも、第1係合溝71及び第3係合溝73の前後方向の長さの方が短く、第5係合溝75及び第6係合溝76の前後方向の長さはさらに短い。
【0112】
このため、図18に示されるようにハンマドリル2と集塵装置3とを互いに近づけるように移動させると、係合突起80が次のような順番で係合溝70に挿入される。まず、第2係合突起82及び第4係合突起84が、第2係合溝72及び第4係合溝74に挿入される。次に、第1係合突起81及び第3係合突起83が、第1係合溝71及び第3係合溝73に挿入される。最後に、第5係合突起85及び第6係合突起86が、第5係合溝75及び第6係合溝76に挿入される。
【0113】
上記のように、係合突起が順番に係合溝に挿入されるため、係合突起および係合溝が多数あるにも関わらず、係合突起を係合溝に挿入しやすい。
【符号の説明】
【0114】
1…作業機システム、2…ハンマドリル、3…補助装置(集塵装置)、10…ハウジング、11…第1ハウジング(ギヤケース)、12…第2ハウジング(本体ハウジング)、12a…吸気面、13…第3ハウジング(ハンドルハウジング)、13a…防振ハンドル、13b…サブハンドル、14…吸気口(集塵口)、15…吸気口(側面吸気口)、16…吸気口(底面吸気口)、17…排気口、20…モータ、21…コントローラ、22…出力シャフト、23…ピニオンギヤ、24…トリガ、25…トリガスイッチ、26…バッテリパック、30…動力伝達機構、31…中間シャフト、32…運動変換部、33…シリンダ、34…リングギヤ、35…リテーナスリーブ、40…送風機構、41…ファン、42…ファンガイド、43a…ベースプレート、43b…第1ファン、43c…第2ファン、44…ガイドベース、44a…流入口、45…仕切壁、46…整流板、47…ガイド壁、48…流出口、50…カバー、51…吸引部、52…集塵部、53…連結部、53a…底壁部、53b,53c…側壁部、54…側面開口部、55…底面開口部、56…吸引ノズル、57…サイクロン部、58…フィルタ室、59…接続ノズル、59a…開口部、60…閉鎖部、61…コイルスプリング、70…係合部(係合溝)、71…第1係合部(第1係合溝)、72…第2係合部(第2係合溝)、73…第3係合部(第3係合溝)、74…第4係合部(第4係合溝)、75…第5係合部(第5係合溝)、76…第6係合部(第6係合溝)、80…係合部(係合突起)、81…第1係合部(第1係合突起)、82…第2係合部(第2係合突起)、83…第3係合部(第3係合突起)、84…第4係合部(第4係合突起)、85…第5係合部(第5係合突起)、86…第6係合部(第6係合突起)、90…規制部、91…プレート部、92…爪部、93…操作部、94…接続部、95…支持軸、96…コイルスプリング、97…凹部、R1…通路、R2…通路、R3…通路、T…先端工具、W1…集塵風、W2…冷却風
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