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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025005
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】発泡性粒状入浴剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/20 20060101AFI20240216BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20240216BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240216BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61K8/20
A61K8/23
A61K8/362
A61K8/19
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128062
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】714008950
【氏名又は名称】白元アース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】袴田 智也
(72)【発明者】
【氏名】金野 覚
(72)【発明者】
【氏名】片岡 賢志
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB351
4C083AB352
4C083AC291
4C083AC292
4C083AD042
4C083BB42
4C083CC25
4C083DD15
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
発泡性の粒状発泡性入浴剤に関し、従来の咽の問題を良好に解決するとともに、発泡性の入浴剤に期待される種々の効果を十分に発揮可能な入浴剤を提供する。
【解決手段】
発泡性粒状入浴剤は、発泡性の入浴剤であって、(A)核剤、(B)炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と、有機酸と、を含む炭酸ガス発生物
炭酸水素塩と、有機酸と、を含む炭酸ガス発生物を含有し、(A)核剤に対する(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)が0.80以下であり、入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物が60重量%以上となるよう構成される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性の入浴剤であって、
(A)核剤、
(B)炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と、有機酸と、を含む炭酸ガス発生物
を含有し、
前記(A)核剤に対する前記(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)が0.80以下であり、
前記入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物が60重量%以上であることを特徴とする発泡性粒状入浴剤。
【請求項2】
前記入浴剤100重量%において、前記炭酸ガス発生物の配合割合が35重量%以下である請求項1に記載の発泡性粒状入浴剤。
【請求項3】
前記核剤が塩化ナトリウム及び/又は硫酸マグネシウムである請求項1または2に記載の発泡性粒状入浴剤。
【請求項4】
前記有機酸がコハク酸である請求項1または2に記載の発泡性粒状入浴剤。
【請求項5】
さらに(C)コーティング剤を含む請求項1または2に記載の発泡性粒状入浴剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯に入れることで炭酸ガスを発生させる発泡性粒状入浴剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機酸と炭酸塩とを含み、お湯に投入した際に、有機酸と炭酸塩と水とが反応することで炭酸ガスを発生させる発泡性の入浴剤が知られている。浴湯中において炭酸ガスを発生させることにより、血行促進効果が期待され、またリラックス感や爽快感による入浴の楽しさを提供可能である。尚、以下の記載では、有機酸と炭酸塩とを包括し、炭酸ガス発生物という場合がある。
【0003】
たとえば特許文献1には、有機酸と炭酸塩とを含有する固形浴用剤組成物であって、有機酸としてリンゴ酸とフマル酸との混合物を用い、かつフマル酸の含有量が組成物全体の2~10質量%である固形浴用剤組成物(以下、従来技術1ともいう)が開示されている。同文献によれば、上記構成を備える従来技術1であれば、成形性が非常に良好であり、しっとりとした入浴感を有し、発泡時の浴湯表面状態が優れた固形浴用剤組成物を提供できる旨、記載されている。尚、同文献において、上述する課題とは別に、組成物中にコハク酸を含有させた場合、成形性が良好となる反面、使用者が咽るという問題がある旨、指摘されている。
【0004】
特許文献2には、(A)粒径125μm以下の粉末の含有量が10重量%以下であるフマル酸又はコハク酸、(B)粒径1μm~3mmの炭酸塩又は炭酸水素塩を含有する粉末又は顆粒状浴用剤(以下、従来技術2ともいう)が開示されている。同文献によれば、入浴剤の使用時に有機酸が飛散することによる咽(むせ)の課題が掲げられており、上記(A)(B)の成分を満たす入浴剤を提供することによって、上記課題を解決する旨、記載されている。
【0005】
特許文献3には、有機酸と、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩とを含有し、当該有機酸が、結晶子径1,300Å以上である結晶子から構成されている発泡性入浴剤用組成物(以下、従来技術3ともいう)が開示されている。同文献によれば、発泡性入浴剤は、浴湯へ投入した際に生じる炭酸ガスの発泡により、粘膜刺激性のある有機酸が飛散し、これを吸い込むことによって生じる咽の問題があるところ、上記構成の従来技術3であれば、かかる問題を解決可能である旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-083584号公報
【特許文献2】特開2004-131455号公報
【特許文献3】特開2015-007006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述するとおり、発泡性の入浴剤は、有機酸の飛散による咽の課題を有していた。これに対し、従来技術1~3には、それぞれ以下の問題点があった。
【0008】
即ち、特許文献1では、組成物中にコハク酸を含有させた場合、成形性が良好となる反面、使用者が咽るという問題がある旨が指摘されてはいるが、同文献の実施例では、咽の評価を何ら行っていない。したがって、実質的に従来技術1は咽の問題について何ら検討されていない。
【0009】
特許文献2では、咽の課題を検討しているものの、同文献の実施例1~3おいて「一時的にややむせる」又は「一時的にむせる」という評価がなされたことが示唆されており、さらなる改善の余地があった。また同文献において、唯一、「全くむせない」と評価された実施例4は、コハク酸が使用されておらず、コハク酸を使用した際の咽の発生防止の手段は何ら示されていない。
【0010】
特許文献3では、咽の課題について検討しており、同文献の実施例1、2おいて一定の改善が確認されてはいるが、さらなる改善の余地があった。
【0011】
ところで、入浴剤には、液状、粉末状、粒状、錠剤等のさまざまな形態がある。中でも粒状入浴剤は、使用時の取り扱い性が容易であり、また浴湯に対し分散して入浴剤を投入しやすいという点で優れている。しかしながら、発泡性の粒状入浴剤を浴湯に投入した場合、浴湯下方に沈降することなく浴湯表面に浮遊するか、一旦浴湯下方に沈降するものの、すぐに浴湯表面に浮上しやすい。本発明者らの検討によれば、浴湯表面に浮いた状態で発泡が生じることで、有機酸の一部が空中に飛散しやすく咽の発生が顕著であることがわかった。また発泡性の粒状入浴剤は、上述のとおり炭酸ガスの発生が浴湯表面に集中してしまうため、浴湯全体を炭酸ガスで満たすことができず、また発生した炭酸ガスが瞬時に空気中に放散される。そのため、浴湯中において炭酸ガスを発生させることにより期待される血行促進効果や、入浴の楽しさの提供が十分に発揮されないという問題があった。
【0012】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、発泡性の粒状発泡性入浴剤に関し、従来の咽の問題を良好に解決するとともに、発泡性の入浴剤に期待される種々の効果を十分に発揮可能な入浴剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発泡性粒状入浴剤は、発泡性の入浴剤であって、(A)核剤、(B)炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と、有機酸と、を含む炭酸ガス発生物を含有し、上記(A)核剤に対する上記(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)が0.80以下であり、上記入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物が60重量%以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記構成を備える本発明の発泡性粒状入浴剤は、粒状でありながら、投入後に浴湯下方に沈降し、その状態を維持し易い。そのため本発明の発泡性粒状入浴剤によれば、炭酸ガスの発生が浴湯表面に集中することが防止され、浴湯中、特には浴湯下方で炭酸ガスを発生させやすい。この結果、本発明は、炭酸ガス発生時における空中への有機酸の飛散を有効に防止することができ、また浴湯表面だけでなく浴湯全体に炭酸ガスを満たすことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の発泡性粒状入浴剤は、(A)核剤、(B)炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と有機酸とを含む炭酸ガス発生物を含有する。本発明の発泡性粒状入浴剤は、入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物を60重量%以上含む。このように適度な粒径の粒状物を主として含むため、使用者は、本発明の入浴剤を浴湯全体に分散して投入しやすい。本発明は、(A)核剤に対する(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)が0.80以下となるよう調整されており、これによって浴湯に投入された入浴剤を浴湯下方に沈降させ、かつ表面に浮上することを防止する。浴湯に沈降した状態の本発明の入浴剤は、周囲にお湯が十分に存在すること、及び浴湯表面から距離があることから、炭酸ガス発生時における空中への有機酸の飛散が良好に防止され咽が発生し難い。かかる効果に加え、本発明の入浴剤の使用により浴湯下方で発生した炭酸ガスは、浮力により浴湯表面に浮上するため、浴湯全体が炭酸ガスで満たされ、入浴者は炭酸ガスに期待される血行促進効果や入浴の楽しさを豊に体感することが可能である。
【0016】
本発明者らは、発泡性の粒状入浴剤について鋭意検討した結果、小径であるために浴湯中に沈降し難いだけではなく、一度沈降しても、発泡性故に気泡が付着した状態の未発泡の粒状物が浴湯表面に浮上しやすいことを確認した。そして粒状入浴剤の沈降を促進しかつ浮上を抑制するため、粒状入浴剤中に炭酸ガス発生物とは異なる核剤を含有せしめるとともに、炭酸ガス発生物の配合割合と核剤の配合割合との比率を適切な範囲に調整するという手段を見出した。かかる手段によれば、浴湯表面ではなく浴湯下方で炭酸ガスを発生させることができるため、有機酸が空中に飛散することを良好に防止することができ、咽の発生を十分に防止することができるとともに、浴湯を炭酸ガスで充分に満たすことが可能である。
【0017】
ところで、従来技術1~3の実施例からも確認されるとおり、従来の発泡性の入浴剤では、十分な炭酸ガスを発生させるために、入浴剤組成物100重量%において50重量%を超える炭酸ガス発生物が含有されることが一般的であった。これに対し、上記構成を備える本発明は、炭酸ガス発生物の含有量よりも多くの量の核剤を含有するため、入浴剤100重量%における炭酸ガス発生物の配合割合が従来と比べて著しく減量されている。
【0018】
しかしながら、従来の発泡性粒状入浴剤では、浴湯表面で発生した炭酸ガスの多くは、瞬時に空中に放散され、発泡性の入浴剤として期待される炭酸ガス効果の発揮に十分に寄与していたとはいえないと推察された。
これに対し、浴湯下方で炭酸ガスを発生させることができる本発明では、発生した炭酸ガスの大部分は湯に溶存し、結果として炭酸ガスの発生効果が豊かに発揮される。即ち、本発明では、有機酸の飛散による咽の発生を防止するために、粒子状入浴剤に核剤を含有せしめるとともに炭酸ガス発生物の配合割合を適度に抑えたにもかかわらず、炭酸ガスの発生効果についても、実質的に従来以上の優れた効果を発揮可能である。
以下に、本発明の発泡性粒状入浴剤の詳細について更に説明する。尚、以下の説明では本発明の発泡性粒状入浴剤を単に本発明の入浴剤という場合がある。
【0019】
本発明の入浴剤は、入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物を60重量%以上含む。粒径0.5mm以上の粒状物を多く含むことによって、浴湯に投入後、浴湯下方に沈降させやすい。一方、粒径6.5mmを超える粒状物の含有量が抑えられることによって、粒状入浴剤として取り扱いやすく、浴湯全体に分散して投与しやすい。尚、入浴剤100重量%において60重量%以上含まれる粒状物のことを、入浴剤に主として含まれる粒状物という場合がある。
上記観点からは、入浴剤100重量%において主として含まれる粒状物の下限は、粒径1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることが更に好ましい。また、上記観点からは、入浴剤100重量%において主として含まれる粒状物の上限は、粒径6mm未満であることが好ましく、5.5mm未満であることがより好ましく、5mm未満であることが更に好ましい。
また本発明の所期の効果をより充分に発揮するという観点からは、上述する好ましい範囲の粒径を示す粒状物は、入浴剤100重量%において、75重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上であることが更に好ましく、95重量%以上であることが特に好ましい。
また咽の発生を充分に抑えるという観点からは、入浴剤100重量%において、粒径0.5mm未満の粒径を示す粒状物の含有量は、25重量%未満であることが好ましく、15重量%未満であることがより好ましく、10重量%未満であることが更に好ましく、5重量%未満であることが特に好ましい。
【0020】
本発明の入浴剤において、所定の範囲の粒径を示す粒状物の含有割合は、以下のとおり確認することができる。
即ち、入浴剤W1gを採取してサンプル1とする。サンプル1をS1mmの目の篩にかけて、当該篩に残った粒状物をサンプル2とする。次に、サンプル2をS2mmの目(但しS1<S2)の篩にかけ、篩の目を通過した粒状物をサンプル3とする。サンプル3の重量W2を測定し、サンプル1の重量W1(即ち入浴剤100重量%)対するサンプル3の重量W2の含有割合(Y重量%)を求める。これによって、入浴剤100重量%における粒径S1mm以上S2mm未満の粒状物がY重量%であることを確認することができる。
【0021】
本発明は、入浴剤100重量%において、粒径が0.5mm未満の粒状物が10重量%以下であることが好ましく、5%重量以下であることがより好ましい。かかる比率は、サンプルである入浴剤W1gを採取してサンプル1とし、0.5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過したサンプル4の重量W3を測定し、入浴剤W1gに対するサンプル4の重量W3gの含有割合(X重量%)を求めることにより算出される。上述する範囲であれば、粒状物である入浴剤の集合体を浴湯に投入した際に、浴湯表面に浮き上がってくる粒状物を十分に少なく抑えることができるため好ましい。
また本発明の入浴剤100gにおいて、粒径が6.5mm以上のものが10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。かかる比率は、サンプルである入浴剤W1gを採取してサンプル1とし、6.5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過しなかったサンプル5の重量W4を測定し、入浴剤W1gに対するサンプル5の重量W4gの含有割合(Z重量%)を求めることにより算出される。上述する範囲であれば、粒状物である入浴剤の集合体を浴湯に投入した際に、浴湯中において炭酸ガスが局所的に発生することを良好に防止することができる。
【0022】
(A)核剤:
本発明に用いられる核剤は、入浴剤に含まれることが禁止されない範囲において、粒状物の核となり、当該粒状物に適度な密度(重量)を付与することが可能な化合物から適宜に選択することができる。浴湯に核剤が残存することを避けるという観点からは、上記核剤は、37℃以上のお湯に対し溶解性を示す化合物であることが好ましい。
【0023】
粒状物に含有される核剤は、粒状物中に1つであってもよいし、複数であってもよい。たとえば、主として含まれる粒状物の粒径が0.5mm以上6.5mm以下である入浴剤において、各粒状物中に、粒径0.3mm以上4mm以下の核剤が1つ以上含まれていることが好ましい。ここで述べる核剤の粒径は、入浴剤を構成する粒状物を2つに割って、露出した断面を顕微鏡で観察し実測された核剤の長径を指す。
【0024】
本発明における核剤は、浴湯における入浴剤の沈降に望ましい影響を及ぼすだけではなく、入浴剤として効能も発揮可能な化合物であることが好ましい。かかる観点からは、核剤として、塩化ナトリウム及び/又は硫酸マグネシウムが選択されることがより好ましい。塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムは、結晶性であり適度の粒径を有するとともに、浴湯において溶解性が良好であるという観点からも、核剤として好ましい。
【0025】
本発明に入浴剤において、核剤の配合割合は特に限定されないが、浴湯に投入された入浴剤を沈降させ、浮上を効果的に防止するという観点からは、入浴剤100重量%において核剤の配合割合は、25重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがより好ましく、35重量%以上であることが更に好ましい。一方、入浴剤の浮上を良好に防止するとともに、十分な炭酸ガスを発生可能とするという観点からは、入浴剤100重量%において核剤の配合割合は、55重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましく、45重量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
(B)炭酸ガス発生物:
本発明に用いられる炭酸ガス発生物は、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と、有機酸とを含み、浴湯に投入された際に、これらと水とが反応して炭酸ガスが発生する。
【0027】
(炭酸塩及び/又は炭酸水素塩)
本発明において炭酸ガス発生物として用いられる炭酸塩及び/又は炭酸水素塩は、発泡性入浴剤に使用可能な炭酸塩、炭酸水素塩から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
炭酸塩、炭酸水素塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。その中でも炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムは、炭酸ガスの発生に寄与するだけでなく、入浴剤の温浴効果を高める作用も発揮するため好ましい。
【0028】
本発明の入浴剤において、炭酸塩及び/又は炭酸水素塩の配合割合は特に限定されないが、核剤との配合割合、良好な炭酸ガスの発生などを勘案した場合、たとえば、入浴剤100重量%において、5重量%以上25重量%以下であることが好ましい。
【0029】
(有機酸)
本発明において炭酸ガス発生物として用いられる有機酸は、発泡性入浴剤に使用可能な有機酸から1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
有機酸としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸等が挙げられる。中でも、コハク酸は、造粒時の成形性に望ましく寄与し、また取り扱い性の面で好ましい。そのため、有機酸としてコハク酸を含むことは好ましい。コハク酸としては、従来の石油化学原料から作られるコハク酸のほか、植物由来原料など、非化石原料から作られるバイオコハク酸も使用可能である。
上述する有機酸の中でも特にコハク酸は、咽の原因となりやすい有機酸として知られ、発泡性入浴剤の有機酸として実質的に使用し難い有機酸であった。しかしながら、本発明の入浴剤は、浴湯に投入後、浴湯下方に沈降しかつ浮上し難く、浴湯中で炭酸ガスを発生させやすいため、コハク酸を使用しても咽の発生を良好に防止することができる。
【0030】
本発明の入浴剤において、有機酸の配合割合は特に限定されないが、核剤との含有比率、良好な炭酸ガスの発生などを勘案した場合、たとえば、入浴剤100重量%において、5重量%以上25重量%以下であることが好ましい。
【0031】
本発明の入浴剤100重量%における炭酸ガス発生物の配合割合は特に限定されないが、浴湯に投入された後に浴湯面に浮き上がることを良好に防止するという観点からは、35重量%以下であることが好ましく、33重量%以下であることがより好ましい。一方、本発明の入浴剤の使用により炭酸ガスを良好に発生させるという観点からは、入浴剤100重量%における炭酸ガス発生物の配合割合は、20重量%以上であることが好ましく、25重量%以上であることがより好ましい。
【0032】
本発明において、上述する(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)は、0.80以下となるよう調整される。かかる割合により、本発明の入浴剤は浴湯に投入された後、浴湯表面に浮き上がり難く、浴湯に沈降した状態で炭酸ガスを発生させることができる。
より十分に入浴剤の浮き上がりを防止するという観点からは、上記配合割合は、0.78以下であることが好ましく、0.75以下であることがより好ましい。
【0033】
一方、炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量の下限は特に限定されないが、入浴剤の浮き上がりを防止しつつ、十分に炭酸ガスを発生させるという観点からは、0.50以上であることが好ましく、0.53以上であることがより好ましく、0.55以上であることが更に好ましい。
【0034】
その他の任意の組成:
本発明の入浴剤は、上述する(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物に加え、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その他の任意の組成を含んでいてもよい。
たとえば、本発明の入浴剤は、粒状物に含まれる(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物を接着させるためのコーティング剤が含まれていてもよい。ここでいうコーティング剤とは、(A)核剤と(B)炭酸ガス発生物とを粒子状にまとめることが可能な化合物をさし、たとえば、(A)核剤と(B)炭酸ガス発生物との集合物の外表面を被覆することで粒状化させることが可能な化合物であってもよいし、コーティング剤を介して(A)核剤と(B)炭酸ガス発生物とを接着させ、これによって粒状化を可能とする化合物であってもよい。
【0035】
上記コーティング剤としては、たとえば、(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物の融点又は軟化点よりも低い、融点又は軟化点を示す化合物から選択されるとよい。具体的には、たとえばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、パラフィンワックスなどが挙げられる。
またコーティング剤を浴湯中に残存させないという観点からは、コーティング剤は、浴湯(たとえば35℃以上の湯)に溶解性を示す化合物であることが好ましい。より具体的には、たとえばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどが好ましい。
【0036】
コーティング剤として用いられるポリエチレングリコールは、エチレングリコールが重合した構造を有し、分子量が20000以下の化合物を指す。浴湯への溶解性の観点から、コーティング剤として、分子量15000以下のポリエチレングリコールが用いられることが好ましく、分子量10000以下のポリエチレングリコールが用いられることがより好ましい。一方、コーティング剤として用いられるポリエチレングリコールは、常温で固体であることが好ましく、分子量が2000より小さいポリエチレングリコールはペースト状もしくは液状であるためコーティング剤として適当ではないため、分子量2000以上のポリエチレングリコールが用いられることが好ましい。コーティング剤としては分子量3000以上8500以下のポリエチレングリコールが最も好ましく用いられる。
【0037】
ポリエチレングリコールなどのコーティング剤の配合量は、(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物を接着させ良好に粒状化させることが可能であるという観点からは、入浴剤100重量%において、5重量%以上であることが好ましく、7重量%以上であることがより好ましく、9重量%以上であることが更に好ましい。また、十分にコーティングの機能を果たしつつ(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物の配合比率を十分に確保するという観点からはコーティング剤の配合量は、入浴剤100重量%において、20重量%以下であることが好ましく、17重量%以下であることがより好ましく、14重量%以下であることが更に好ましい。
【0038】
本発明の入浴剤における核剤、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩それぞれの配合割合は、製造時に使用する入浴剤の全組成100重量%における各組成の配合割合(重量%)から算出することができる。また製造後の入浴剤においては、入浴剤を適当量、秤量してサンプルとし、当該サンプル中に含まれる核剤、有機酸、炭酸塩、炭酸水素塩の量を分析により求め、これらの各組成の配合割合(重量%)を求めることもできる。
【0039】
コーティング剤以外のその他の任意の組成として、入浴剤に含有させうる一般的な組成から1種又は2種以上を選択することができる。一般的な組成としては、たとえば、硫酸ナトリウム又はチオ硫酸ナトリウム等の無機塩類、酸化チタン、ポリアクリル酸ナトリウム、酸化マグネシウム、グリシン、法定色素、香料、保湿成分、植物成分、無水ケイ酸等の安定化剤、アスパラギン酸ナトリウム等のアミノ酸などが挙げられる。
【0040】
本発明の入浴剤は、上述する任意の組成を1種又は2種以上含有することができる。コーティング剤以外の任意の組成の配合比率は特に限定されないが、入浴剤100重量%において、35重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、25重量%以下であることが更に好ましい。
【0041】
発泡性粒状入浴剤の製造方法:
本発明の入浴剤の製造方法は特に限定されず、(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物を所定の範囲の割合で含む粒状物を製造できる適宜の方法で製造することができる。粒径が0.5mm以上6.5mm未満の粒状物が60重量%以上である入浴剤を製造可能であることが好ましいが、0.5mm未満あるいは6.5mm超の粒径の粒状物を多く含む粒状入浴剤を製造し、その後に、0.5mm以上6.5mm未満の粒径の粒状物が60%以上となるよう調整することによって本発明の入浴剤を構成することもできる。
以下に、本発明の入浴剤の製造方法の例として、第一製造方法から第三製造方法までを説明する。
【0042】
第一製造方法:
本発明の入浴剤の好ましい製造方法として、第一製造方法を以下に説明する。
第一製造方法は、(A)核剤、(B)炭酸ガス発生物、及びコーティング剤を含む組成物を撹拌装置に投入する投入工程と、撹拌装置に投入された組成物を撹拌し当該撹拌装置内部の温度がコーティング剤の融点未満の環境下で組成物を造粒化する造粒工程と、を備える粒状入浴剤の製造方法である。上記投入工程において、(A)核剤、(B)炭酸ガス発生物、及びコーティング剤以外の任意の組成を更に投入してもよい。かかる製造方法は、本発明の検討において本発明者らにより見いだされた。
第一製造方法によれば、入浴剤を構成する組成を撹拌装置に投入し、撹拌するだけの簡易な工程で、かつ、加熱設備等を要さずに、粒状化された入浴剤を製造することができる。
【0043】
投入工程:
第一製造方法における投入工程とは、(A)核剤、(B)炭酸ガス発生物、及びコーティング剤を含む組成物を撹拌装置に投入する工程である。
投入工程は、後述する造粒工程とは独立に実施されてもよいし、投入工程の一部が造粒工程と重複して行われてもよい。
【0044】
造粒工程:
第一製造方法における造粒工程は、撹拌装置に投入された組成物を撹拌し、コーティング剤によって(A)核剤と(B)炭酸ガス発生物とを接着させてなる粒状物を製造する製造する工程である。造粒工程では、撹拌装置に核剤、炭酸ガス発生物、及びコーティング剤を投入して撹拌を行うことで、撹拌装置内がコーティング剤の融点未満の温度で、コーティング剤によって核剤の周囲に炭酸ガス発生物が接着してなる粒状物を製造することが可能である。したがって、コーティング剤を溶融するための加熱設備を設置しなくてもよい。かかる造粒化は摩擦熱によるものと思われるところ、この造粒化の機構は明らかではないが、撹拌により発生した摩擦により撹拌装置の内部温度が徐々に昇温する中で、摩擦による局部的温度上昇(閃光温度)が発生し、これによって軟化したコーティング剤が、核剤と炭酸ガス発生物とを接着させて粒状物が形成されるものと推測される。このような摩擦による温度上昇は、投入工程において投入される組成物に核剤が含まれることで顕著に発生し、撹拌開始から20分~数時間程度で造粒物が製造される。撹拌装置内部の温度が上記コーティング剤の融点未満の環境下で造粒化が実現されるため、高温下での撹拌を回避することができ、製造上の安全性にも優れる。
【0045】
第一製造方法に用いられる撹拌装置は、容器内部に撹拌羽を備え、(A)核剤、(B)炭酸ガス発生物、コーティング剤を含む組成物を撹拌できるものであればよいが、撹拌時の摩擦熱を有効に利用可能であるという観点からは、高速で撹拌できる撹拌装置が好ましい。好ましい市販の撹拌装置としては、たとえば日本コークス工業社製のFM1500などが挙げられる。また撹拌装置内部の温度を確認するために、撹拌装置内に温度計が設置されていることが好ましい。
造粒工程における撹拌速度は、用いられる組成や使用する撹拌羽のサイズにより適宜決定することができるが、摩擦により発生する熱をコーティング剤の軟化に有効に利用することができるという観点からは、造粒工程における回転数は、たとえば80rpm以上800rpm以下の範囲で調整されることが好ましい。また、たとえば撹拌羽の長さが約20cm~約130cmの撹拌装置において6m/sec以上10m/sec以下の撹拌速度で撹拌することが好ましい。尚、ここでいう撹拌羽の長さとは、撹拌の軸回転部を中心として回転した際に攪拌羽の先端が描く円の直径の長さを指す。
【0046】
尚、摩擦熱及び摩擦熱とともに局所的に発生する閃光温度により軟化させてコーティング作用を発揮させやすいという観点からは、コーティング剤として用いられる化合物の融点は、60℃以上80℃以下であることが好ましく、60℃以上70℃以下であることがより好ましい。
【0047】
第二製造方法:
本発明の入浴剤は、以下に述べる第二製造方法で製造することも可能である。
第二製造方法は、コーティング剤を加熱し撹拌してペーストを調製し、その後、(B)炭酸ガス発生物及び任意で用いられるその他の組成を上記ペーストに合わせ撹拌しペースト状撹拌物を得る。続いて上記ペースト状撹拌物に(A)核剤を添加して更に撹拌することで、(A)核剤の周囲にペースト状撹拌物が被覆してなる粒状の入浴剤を製造することが可能である。
【0048】
第三製造方法:
また本発明の入浴剤は、コーティング剤を用いずに製造することもできる。
具体的には、(A)核剤及び(B)炭酸ガス発生物、更に任意の組成を合わせて混合して混合物を調製し、当該混合物を、所定の形状に圧縮して押し固めることによって、粒状化された入浴剤を製造することもできる。
【実施例0049】
以下に、本発明を実施例と比較例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
(実施例1)
核剤として塩化ナトリウム、炭酸水素塩として重曹、有機酸としてコハク酸、コーティング剤として外原規ポリエチレングリコール6000(重量平均分子量8300)、その他成分として芒硝(硫酸ナトリウム10水塩)を表1に示す配合割合で、撹拌装置に投入した。撹拌装置は、日本コークス工業社製、製品名FM10(撹拌羽の長さは約20cm)を用いた。
尚、表1に示す組成の配合割合は、各成分の純分の割合(重量%)である。
【0051】
組成が投入された撹拌装置内に、温度計を設置し、8m/secの撹拌速度で、撹拌を開始し、上記温度計により内部の温度(撹拌停止温度)が57℃に到達した時点で、撹拌を終了した。撹拌開始から撹拌終了までの時間は30分であった。
尚、撹拌停止温度は、予備実験において、所望の粒径の粒状物が生成される時間を確認した。
【0052】
撹拌停止後、撹拌装置から生成された粒状物を取り出し、常温環境下の条件で冷却し、これを実施例1の入浴剤とした。
【0053】
(実施例2、3、比較例1~3)
撹拌装置に投入される成分の配合割合及び撹拌条件を表1に示す内容に変更したこと以外は実施例1と同様に粒状物を製造し、実施例2、3の入浴剤とした。
また同様に、撹拌装置に投入される成分の配合割合及び撹拌条件を表1に示す内容に変更したこと以外は実施例1と同様に粒状物を製造し、比較例1~3の入浴剤とした。
【0054】
上述のとおり製造された実施例及び比較例の入浴剤を下記のとおり評価した。評価結果は表1に示す。
【0055】
(粒径の測定)
各実施例および比較例で製造された粒状物の粒径を測定し、所定範囲の粒径を示す粒状物を採取し以下のとおり評価サンプルを得た。
実施例1:
製造された実施例1の入浴剤100gをサンプル1とした。上記サンプル1を0.5mmの目の篩にかけ、当該篩に残った入浴剤をサンプル2とした。次にサンプル2を6.5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過した入浴剤をサンプル3(粒径0.5mm以上6.5mm未満)とした。サンプル1の重量に対する、サンプル3の重量の割合は90重量%であった。粒径0.5mm以上6.5mm未満である上記サンプル3のみを採取して実施例1の評価サンプルとした。
実施例2:
製造された実施例2の入浴剤100gをサンプル1とした。上記サンプル1を2mmの目の篩にかけ、当該篩に残った入浴剤をサンプル2とした。次にサンプル2を5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過した入浴剤をサンプル3(粒径2.0mm以上5.0mm未満)とした。サンプル1の重量に対する、サンプル3の重量の割合は80重量%であった。粒径2.0mm以上5.0mm未満である上記サンプル3のみを採取して実施例2の評価サンプルとした。
実施例3:
実施例2と同様に実施例3についてもサンプル3(粒径2.0mm以上5.0mm未満)を調整した。実施例3におけるサンプル1の重量に対する、サンプル3の重量の割合は80重量%であった。粒径2.0mm以上5.0mm未満である上記サンプル3のみを採取して実施例3の評価サンプルとした。
比較例1:
製造された比較例1の入浴剤100gをサンプル1とした。上記サンプル1を0.5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過した入浴剤をサンプル4(粒径0.5mm未満)とした。サンプル1の重量に対する、サンプル4の重量の割合は5重量%であった。粒径0.5mm未満の上記サンプル4のみを採取して比較例1の評価サンプルとした。
比較例2:
製造された比較例2の入浴剤100gをサンプル1とした。上記サンプル1を2mmの目の篩にかけ、当該篩に残った入浴剤をサンプル2とした。次にサンプル2を5mmの目の篩にかけ、当該篩を通過した入浴剤をサンプル3(粒径2.0mm以上5.0mm未満)とした。サンプル1の重量に対する、サンプル3の重量の割合は80重量%であった。粒径2.0mm以上5.0mm未満の上記サンプル3のみを採取して比較例2の評価サンプルとした。
比較例3:
比較例2と同様に比較例3についてもサンプル3(粒径2.0mm以上5.0mm未満)を調整した。比較例3におけるサンプル1の重量に対する、サンプル3の重量の割合は80重量%であった。粒径2.0mm以上5.0mm未満の上記サンプル3のみを採取して比較例3の評価サンプルとした。
【0056】
(咽の評価)
250L容量の浴槽に40℃のお湯を200L溜め、上述のとおり製造された入浴剤45gを浴湯に投入した。投入後3分間において浴湯面付近に顔を寄せ、咽が発生したか否かを確認した。
尚、咽の評価は10人のモニターで実施し、以下のとおり評価した。
〇:咽の発生を確認した者が0人であった。
×:咽の発生を確認した者が1人以上であった。
【0057】
(目視評価)
高さ15cm、容量500mLの透明性のトールビーカーに、40℃のお湯を400mL充填した。そして速やかに上述のとおり製造された入浴剤1gを浴湯に静かに投入し、以下の観点から評価した。
[投入時]
トールビーカーに投入された入浴剤の挙動を以下のとおり評価した。
〇:入浴剤がトールビーカーの底付近まで沈降した。
×:入浴剤が浴湯表面付近に留まった。
[投入後]
トールビーカーに投入され、沈降が確認された入浴剤の挙動を以下のとおり評価した。
〇:沈降した入浴剤は、沈降した状態を維持した。
×:沈降した入浴剤は、数秒後に浴湯表面付近まで浮上した。
[浴湯中の炭酸ガスの発生]
トールビーカーに入浴剤が投入された後、浴湯中における炭酸ガスの発生の様子を以下のとおり評価した。
〇:炭酸ガスがトールビーカーの底部で次々と発生し、その後、浴湯表面に当該炭酸ガスが浮上したことによって、浴湯全体に炭酸ガスが満たされて浴湯が白濁したように視認された。
×:炭酸ガスが浴湯表面付近で集中して発生し、浴湯表面付近より下方では炭酸ガスの気泡が存在せず、浴湯は透明のままであった。
【0058】
【表1】
【0059】
上述する本発明は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)発泡性の入浴剤であって、
(A)核剤、
(B)炭酸塩及び/又は炭酸水素塩と、有機酸と、を含む炭酸ガス発生物
を含有し、
前記(A)核剤に対する前記(B)炭酸ガス発生物の配合割合(炭酸ガス発生物の配合量/核剤の配合量)が0.80以下であり、
前記入浴剤100重量%において、粒径0.5mm以上6.5mm未満の粒状物が60重量%以上であることを特徴とする発泡性粒状入浴剤。
(2)前記入浴剤100重量%において、前記炭酸ガス発生物の配合割合が35重量%以下である上記(1)に記載の発泡性粒状入浴剤。
(3)前記核剤が塩化ナトリウム及び/又は硫酸マグネシウムである上記(1)または(2)に記載の発泡性粒状入浴剤。
(4)前記有機酸がコハク酸である上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の発泡性粒状入浴剤。
(5)さらに(C)コーティング剤を含む上記(1)から(4)に記載のいずれか一項に記載の発泡性粒状入浴剤。