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特開2024-25016道路利用者向けサービス用サーバ、および道路利用者向けサービス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025016
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】道路利用者向けサービス用サーバ、および道路利用者向けサービス方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240216BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240216BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128092
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 勇生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC32
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】利用明細を活用する際にETCシステムの改修を行うことなく、サービス提供事業者が新たなサービスを提供するための技術を提供することにある。
【解決手段】実施形態に係る道路利用者向けサービス用サーバであって、ETCシステムに記憶された全利用明細を取得し、取得した全利用明細からETCカードIDに紐付けられた利用明細を取得する取得部と、割引を適用するための制度条件を記憶する記憶部と、前記利用明細および前記制度条件に基づいてサービスを提供することが可能な制度を抽出する抽出部と、前記抽出した制度を含む抽出情報を送信する通信部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETCシステムに記憶された全利用明細を取得し、取得した全利用明細からETCカードIDに紐付けられた利用明細を取得する取得部と、
割引を適用するための制度条件を記憶する記憶部と、
前記利用明細および前記制度条件に基づいてサービスを提供することが可能な制度を抽出する抽出部と、
前記抽出した制度を含む抽出情報を送信する通信部と、
を備える、道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項2】
前記取得部は、前記ETCカードIDを含む制度利用者情報および利用期間を含む制度抽出指示に応じて、前記利用明細を取得し、前記取得する利用明細は、利用期間に対応した利用明細である、請求項1に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項3】
前記取得部は、利用者の個人特定情報を含む制度利用者情報を取得し、
前記道路利用者向けサービス用サーバは、前記個人特定情報に基づいて前記利用者がどの制度を利用可能かを判定する制度種類判定部をさらに備える、請求項1に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項4】
前記抽出情報は、サービス提供事業者によるサービスの提供のために使用される、請求項1に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項5】
前記抽出情報は、前記ETCシステムを利用した利用料金からの割引のために使用される、請求項1に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項6】
前記記憶部は、前記取得した全利用明細を記憶し、前記記憶部に記憶された全利用明細は、前記ETCシステムにおいて記憶された利用明細よりも長い期間の利用明細である、請求項1に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項7】
前記記憶部に記憶された全利用明細を用いて、有料道路についてのデータ解析を行う解析部をさらに備える、請求項6に記載の道路利用者向けサービス用サーバ。
【請求項8】
小規模サービス用サーバが実行する道路利用者向けサービス方法であって、
ETCシステムに記憶された全利用明細を取得することと
取得した全利用明細からETCカードIDに紐付けられた利用明細を取得することと、
割引を適用するための制度条件を記憶することと、
前記利用明細および前記制度条件に基づいてサービスを提供することが可能な制度を抽出することと、
前記抽出した制度を含む抽出情報を送信することと、
を備える、道路利用者向けサービス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、道路利用者向けサービス用サーバ、および道路利用者向けサービス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通行量の多い有料道路では、ETCシステムを利用した運転者等に対して、通行量の分散や渋滞回避を目的として、走行した曜日、時間帯、経路等に基づく通行料金を割り引く各種割引サービスがある。割引は、例えば、休日に有料道路を利用した運転者が割り引く等がある。
【0003】
これに対して、交通量の少ない有料道路では、その路線や区間の利用促進のための検討が必要となっていた。しかしながら、これらの割引サービスは、あくまでも道路事業者が課金する通行料金を割り引くもので、道路の通行料金以外のサービスと連携したものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-146243号公報
【特許文献2】特開2005-011172号公報
【特許文献3】特開2020-149379号公報
【特許文献4】特開2009-294860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
交通量の少ない有料道路については、その路線や区間の利用促進のために、ETCシステムの利用明細を活用した新たなサービス等を導入すると、ETCシステムを改修する必要がある。通常、ETCシステムの改修には多額の費用が掛かる。そのため、サービス提供事業者は、利用明細を活用した新たなサービスを導入するのが困難であるという問題がある。
【0006】
この発明の課題は、上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、利用明細を活用する際にETCシステムの改修を最小限に抑えながら、サービス提供事業者が新たなサービスを提供するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る道路利用者向けサービス用サーバは、ETCシステムに記憶された全利用明細を取得し、取得した全利用明細からETCカードIDに紐付けられた利用明細を取得する取得部と、割引を適用するための制度条件を記憶する記憶部と、前記利用明細および前記制度条件に基づいてサービスを提供することが可能な制度を抽出する抽出部と、前記抽出した制度を含む抽出情報を送信する通信部と、を備える、道路利用者向けサービス用サーバ
を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態におけるシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る道路利用者向けサービス用サーバの一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るユーザ情報管理装置の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態のユーザ情報管理装置を用いた利用者の登録手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態の道路利用者向けサービス用サーバの制度利用者抽出手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、出力装置のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す。
図7図7は、第2の実施形態におけるシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら道路利用者向けサービス用サーバ、および道路利用者向けサービス方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重複する説明を省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることもある。
【0010】
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、第1の実施形態におけるシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
システムは、ETC車載器を搭載した車両を保有している利用者3と、有料道路の料金収受に関係する、ETCシステム1、クレジットカード会社5と、地域住民等へサービスを行う行政等のサービス提供事業者4と、道路利用者向けサービス用システム2とから構成される。
【0012】
利用者3は、ETCシステム1を利用可能な車両を有する。すなわち車両は、ETCカード31が挿入されたETC車載器32を備える。また、利用者3は、後述するサービス提供事業者4が提供するサービスの提供を受けたいと考える利用者である。
【0013】
例えば、利用者3は、制度利用者情報を道路利用者向けサービス用システム2に対して提供することにより、事前に登録したユーザであって良い。ここで、制度利用者情報は、ETCカード31のETCカードIDおよび個人特定情報を含んで良い。個人特定情報は、制度利用者情報の氏名、住所、メールアドレス等の利用者3を特定するための情報であって良い。
【0014】
ETCシステム1は、通行料金を徴収する有料道路に設けられるもので、ETC中央装置12と、各料金所に設けられるETC路側機11とから構成される。ETCシステム1は、例えば、既存のETCシステムであって良い。すなわち、ETCシステム1を利用可能な利用者3が有料道路を利用すれば、入口料金所に設置されたETC路側機11によって、利用明細情報が収集され、収集された利用明細情報は、ETC中央装置12に送られる。同様に出口料金所のETC路側機11によって利用明細情報が収集され、収集された利用明細情報は、ETC中央装置12に送られる。
【0015】
そして、ETC中央装置12の記憶部には、入口料金所および出口料金所から送信された利用明細情報が記憶される。そして、ETC中央装置12は、入口料金所送信された利用明細情報と、出口料金所から送信された利用明細情報を対応させることで、料金を確定し、利用明細情報をクレジットカード会社5に送信する。
【0016】
クレジットカード会社5は、ETC中央装置12から通行料情報を受信し、当該通行料情報に基づいて、通行料等の利用料金を利用者に対して請求する。
【0017】
サービス提供事業者4は、例えば、行政(県)41、行政(市)42、行政(町)43等の行政であって良い。これらのサービス提供事業者4は、例えば、地域振興等の目的で、県民、市民の行政サービスの一環として、有料道路の利用促進のための割引や、各種サービスを提供したいと考えている事業者である。或いは、サービス提供事業者4は、観光客の誘致のために、各種サービスを提供したいと考えている事業者であって良い。
【0018】
このような状況で、道路の利用促進を図るため、道路事業者と行政が連携する。このため、行政(県)41は、道路利用者向けサービス用システム2からETC中央装置12を通じて利用者情報集計結果を受信し、当該結果に応じて、A制度の還付を利用者3に提供する。同様に、行政(市)42および行政(町)43は、道路利用者向けサービス用システム2からETCシステム1を通じて利用者情報集計結果を受信し、当該結果に応じて、B制度の還付およびC制度の還付をそれぞれ利用者3に提供する。
【0019】
道路利用者向けサービス用システム2は、例えば、ETC中央装置12が記憶している利用明細情報および利用者から制度利用者情報を取得する可能である。また、そして、道路利用者向けサービス用システム2は、取得した利用明細情報および制度利用者情報を利用して、新たなサービスを利用者3に対して提供できるかを判定することが可能である。
【0020】
道路利用者向けサービス用システム2は、道路利用者向けサービス用サーバ6およびユーザ情報管理装置7を備える。
【0021】
道路利用者向けサービス用サーバ6は、ETC中央装置12に記憶された利用明細情報を取得する。そして、道路利用者向けサービス用サーバ6は、ユーザ情報管理装置7から受信した制度利用者情報および利用明細情報に基づいて、サービス提供事業者4がサービスを提供することが可能かどうかを判定する。
【0022】
ここで、道路利用者向けサービス用サーバ6は、ETCシステムで使用されているオペレーティングシステムと異なるオペレーティングシステムで動作しているものとする。例えば、ETCシステムの装置は、UNIX(登録商標)等のオペレーティングシステムを利用している。一方、道路利用者向けサービス用サーバ6は、ウィンドウズ(登録商標)等のオペレーティングシステムを利用するものとする。
【0023】
ユーザ情報管理装置7は、利用者3から制度利用者情報を取得する。利用者3から制度利用者情報を取得する手段は、所定のWebページからであっても良いし、紙媒体に記載された情報であっても良い。ユーザ情報管理装置7は、制度利用者情報に含まれる個人特定情報に基づいて利用者3がどの割引制度を利用することが可能かを判定して良い。例えば、利用者3が〇〇県××市に在住している場合、ユーザ情報管理装置7は、利用者3がA制度およびB制度を利用することはできるが、C制度を利用することができない等を判定することができる。
【0024】
そして、ユーザ情報管理装置7は、制度利用者情報および利用者3がどの制度を利用することができるかを示す利用可能制度情報を記憶する。
【0025】
図2は、実施形態に係る道路利用者向けサービス用サーバ6の一例を示すブロック図である。
道路利用者向けサービス用サーバ6は、1台または複数台のコンピュータであり、制御部61、プログラム記憶部62、データ記憶部63、通信インタフェース64、入出力インタフェース65、入力装置66、および出力装置67を備える。
【0026】
制御部61は、道路利用者向けサービス用サーバ6を制御する。制御部61は、中央処理ユニット(CPU:Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、制御部61は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0027】
プログラム記憶部62は、記憶媒体として、例えば、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。プログラム記憶部62は、各種処理を実行するために必要なプログラムを格納している。すなわち、制御部61は、プログラム記憶部62に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種制御および動作を実現し得る。
【0028】
データ記憶部63は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージである。データ記憶部63は、制御部61がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するために用いられる。
【0029】
通信インタフェース64は、1つ以上の有線または無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース64は、ETCシステム1のETC中央装置12と有線接続する通信モジュールを含む。通信インタフェース64は、制御部61の制御の下、ETC中央装置12との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0030】
入出力インタフェース65は、入力装置66および出力装置67等と接続される。入出力インタフェース65は、入力装置66および出力装置67との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。
【0031】
入力装置66は、操作部661を備える。例えば、操作部661は、道路利用者向けサービス用サーバ6を管理する管理者またはオペレータが道路利用者向けサービス用サーバ6に対して各種指示を入力するためのキーボードやポインティングデバイス等を含む。操作部661は、オペレータが道路利用者向けサービス用サーバ6に記憶された各種情報を用いて分析を行うために用いられる。
【0032】
さらに、操作部661は、オペレータによって、ユーザ情報管理装置7に記憶にされた制度利用者情報を入力するために用いられても良い。また、操作部661は、オペレータによって、利用者情報集計結果をETC中央装置12に渡すために用いても良い。
【0033】
また、入力装置66は、プログラム記憶部62またはデータ記憶部63に格納するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含んでも良い。
【0034】
出力装置67は、道路利用者向けサービス用サーバ6から管理者またはオペレータに提示するべき出力データを表示するディスプレイや、それを印刷するプリンタ等を含む。
【0035】
続いて、制御部61およびデータ記憶部63のソフトウェア構成をさらに詳細に説明する。
制御部61は、利用明細取得部611と、制度条件取得部612と、制度利用者抽出部613と、出力部614とを備える。また、データ記憶部63は、利用明細記憶部631と、制度条件記憶部632と、を備える。
【0036】
利用明細取得部611は、利用明細を取得する。利用明細取得部611は、ETC中央装置12の記憶部から利用明細情報を取得する。利用明細取得部611は、例えば、制度利用者情報に含まれるETCカードIDに基づいて利用明細情報を取得して良い。例えば、利用明細取得部611は、ETCカードIDが利用した利用明細情報を取得する。
【0037】
制度条件取得部612は、制度条件を取得する。制度条件取得部612は、制度条件記憶部632に記憶された制度条件を取得する。そして、取得した制度条件を制度利用者抽出部613に出力する。
【0038】
制度利用者抽出部613は、利用者3を抽出する。制度利用者抽出部613は、利用明細、制度条件、および制度抽出指示に基づいて、利用者3がどの制度が利用可能かを抽出する。例えば、制度抽出指示が特定の利用者3がいずれかの制度を利用することができるかどうかという指示であった場合、制度利用者抽出部613は、利用明細から利用者3のETCカードIDに紐付けられた利用明細を抽出し、抽出された利用明細と、制度条件とに基づいて利用者3がいずれの制度が利用可能かを抽出する。
【0039】
出力部614は、通信インタフェース64を通じて、抽出情報を出力装置67に出力する。
【0040】
利用明細記憶部631は、ETC中央装置12の記憶部に記憶された全利用明細を記憶するために用いられる。また、利用明細記憶部631は、必要に応じて、ETC中央装置12の記憶部に記憶された全明細書を記憶する。そのため、ETC中央装置12の記憶部に記憶された利用明細よりも長い期間の利用明細を記憶して良い。
【0041】
制度条件記憶部632は、サービス提供事業者4が実施する制度の適用条件を予め記憶するために用いられる。例えば、オペレータまたは道路利用者向けサービス用サーバ6の管理者が操作部661を用いて事前に、どのような期間の間にどの程度の有料道路の利用をしたらどの制度が適用可能であるかという条件を道路利用者向けサービス用サーバ6に入力し、制度条件記憶部632に記憶させて良い。
【0042】
次に、ユーザ情報管理装置7の構成についてさらに詳細に説明する。
図3は、第1の実施形態に係るユーザ情報管理装置の一例を示すブロック図である。
【0043】
ユーザ情報管理装置7は、1台または複数台のコンピュータであり、制御部71、プログラム記憶部72、データ記憶部73、通信インタフェース74、入出力インタフェース75、入力装置76、および出力装置77を備える。
【0044】
制御部71は、ユーザ情報管理装置7を制御する。制御部71は、中央処理ユニット(CPU)等のハードウェアプロセッサを備える。例えば、制御部71は、様々なプログラムを実行することが可能な集積回路であっても良い。
【0045】
プログラム記憶部72は、記憶媒体として、例えば、EPROM、HDD、SSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM等の不揮発性メモリとを組み合わせて使用することができる。プログラム記憶部72は、各種処理を実行するために必要なプログラムを格納している。すなわち、制御部71は、プログラム記憶部72に格納されたプログラムを読み出して実行することにより各種制御および動作を実現し得る。
【0046】
データ記憶部73は、記憶媒体として、例えば、HDD、メモリカード等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM等の揮発性メモリとを組み合わせて使用したストレージである。データ記憶部73は、制御部71がプログラムを実行して各種処理を行う過程で取得および生成されたデータを記憶するために用いられる。
【0047】
通信インタフェース74は、1つ以上の有線または無線の通信モジュールを含む。例えば、通信インタフェース74は、Webサーバ等の外部装置と有線接続する通信モジュールを含む。通信インタフェース74は、制御部71の制御の下、外部装置との間で通信を行い、各種情報を送受信することができるものであれば一般的な通信インタフェースで良い。
【0048】
入出力インタフェース75は、入力装置76および出力装置77等と接続される。入出力インタフェース75は、入力装置76および出力装置77との間で情報の送受信を可能にするインタフェースである。
【0049】
入力装置76は、例えば、オペレータがユーザ情報管理装置7に対して各種指示を入力するためのキーボードやポインティングデバイス等を含む。また、入力装置76は、プログラム記憶部72またはデータ記憶部73に格納するべきデータを、USBメモリ等のメモリ媒体から読み出すためのリーダや、そのようなデータをディスク媒体から読み出すためのディスク装置を含んでも良い。
【0050】
出力装置77は、オペレータに提示するべき出力データを表示するディスプレイや、それを印刷するプリンタ等を含む。
【0051】
続いて、制御部71およびデータ記憶部73のソフトウェア構成をさらに詳細に説明する。
制御部71は、制度利用者情報取得部711と、制度種類判定部712と、を備える。また、データ記憶部73は、図3で示したユーザ情報記憶部731に加えて制度登録条件記憶部732を備える。
【0052】
制度利用者情報取得部711は、制度利用者情報を取得する。
例えば、利用者3が所定のWebページに制度利用者情報を入力することにより、制度利用者情報取得部711は、ETCカードIDおよび個人特定情報を含む制度利用者情報を取得する。
【0053】
また、利用者3が紙媒体で制度利用者情報を提出した場合、オペレータがユーザ情報管理装置7に当該制度利用者情報を入力することにより、制度利用者情報取得部711は、制度利用者情報を取得する。
【0054】
制度種類判定部712は、制度種類を判定する。制度種類判定部712は、制度利用者情報に基づいて、どの制度を利用者3が利用できるかを判定する。例えば、制度種類判定部712は、個人特定情報に基づいて制度登録条件記憶部732に記憶された制度登録条件のいずれを制度利用者情報が満たすかを判定する。そして、当該判定結果に基づいて、制度種類判定部712は、利用者3がどの制度に登録可能かを判定する。制度種類判定部712は、利用者3が利用可能な制度情報および制度利用者情報をユーザ情報記憶部731に登録させる。
【0055】
制度登録条件記憶部732は、制度登録条件を記憶するために用いられる。制度登録条件は、例えば、A制度には、〇〇県に在住の利用者のみが登録可能であるというような各制度に登録可能な条件である。制度登録条件は、オペレータ等により、事前に登録されていて良い。
【0056】
(動作)
利用者3が、道路を利用した際に、各サービスの適用を行いたい場合は、事前にユーザ登録を行っておく。
【0057】
まず、ユーザ情報管理装置7を用いた利用者の登録方法について説明する。
【0058】
図4は、実施形態のユーザ情報管理装置7を用いた利用者の登録手順の一例を示すフローチャートである。
ユーザ情報管理装置7の制御部71がプログラム記憶部72に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0059】
このフローチャートは、利用者が所定のWebページにアクセスする、または紙媒体の制度利用者情報を道路利用者向けサービス用システム2が受け取った際に開始する。
【0060】
ステップST101で、制度利用者情報取得部711は、制度利用者情報を取得する。例えば、利用者が所定のWebページに制度利用者情報を入力することにより、制度利用者情報取得部711は、制度利用者情報を取得する。また、利用者が紙媒体で制度利用者情報を提出した場合、オペレータがユーザ情報管理装置7に当該制度利用者情報を入力することにより、制度利用者情報取得部711は、制度利用者情報を取得する。
【0061】
ステップST102で、制度種類判定部712は、制度種類を判定する。制度種類判定部712は、制度利用者情報に基づいて、どの制度を利用者が利用できるかを判定する。例えば、制度種類判定部712は、制度登録条件記憶部732に記憶された制度登録条件のいずれを制度利用者情報が満たすか判定する。そして、制度種類判定部712は、当該判定結果に応じてどの制度に登録可能かを判定して良い。
【0062】
ステップST103で、制度種類判定部712は、利用者がどの制度が利用可能かを示す利用可能制度情報および制度利用者情報をユーザ情報記憶部に登録させる。
【0063】
次に、道路利用者向けサービス用サーバ6を用いて割引を受けることができる利用者3の抽出方法について説明する。
【0064】
図5は、実施形態の道路利用者向けサービス用サーバ6の制度利用者抽出手順の一例を示すフローチャートである。
道路利用者向けサービス用サーバ6の制御部61がプログラム記憶部62に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、このフローチャートの動作が実現される。
【0065】
このフローチャートは、オペレータが操作部661に制度抽出指示を入力した際に開始する。制度抽出指示は、どの制度を抽出するかの指示、ETCカードIDおよび個人特定情報を含む制度利用者情報、利用期間等を含んで良い。ここで、利用期間は、オペレータが開始日から終了日までの期間を指定した期間である。また、どの制度を抽出するかの指示は、1つの制度であっても良いし複数の制度を抽出するかの指示であって良い。例えば、オペレータは、ユーザ情報管理装置7のユーザ情報記憶部731に記憶された制度利用者および利用可能制度情報を取得し、制度抽出指示を操作部661に入力する。
【0066】
なお、制度条件記憶部632は、サービス提供事業者4が実施する制度の条件を予め記憶してあるものとする。例えば、オペレータまたは道路利用者向けサービス用サーバ6の管理者が事前に制度がどのような条件で適用可能であるかの情報を道路利用者向けサービス用サーバ6に入力し、制度条件記憶部632に記憶させてある。
【0067】
なお、サービス提供事業者4が実施する制度の条件を、制度条件記憶部632が記憶していない場合、制度抽出指示に当該条件を含むようにしても良い。
【0068】
ステップST201で、利用明細取得部611は、利用明細を取得する。例えば、利用明細取得部611は、ETC中央装置12の記憶部に記憶された全利用明細を取得する。そして、当該全利用明細を利用明細記憶部631に記憶させる。そして、利用明細取得部611は、制度利用者情報に含まれるETCカードIDおよび利用期間に基づいて利用明細を取得して良い。
【0069】
また、利用明細取得部611は、ETCカードIDが利用した利用明細を取得する。或いは、利用明細取得部611は、利用期間に対応したすべての利用明細を取得しても良い。そして、利用明細取得部611は、制度利用者抽出部613に取得した利用明細を出力する。また、利用明細取得部611は、取得した利用明細を利用明細記憶部631に記憶させて良い。
【0070】
なお、利用明細取得部611は、当該制度抽出指示を受信した際にETC中央装置12の記憶部に記憶された全利用明細を取得せず、所定の周期(例えば、2週間に1度、1か月に1度等)で取得し、取得した全利用明細を利用明細記憶部631に記憶させても良い。
【0071】
ステップST202で、制度条件取得部612は、制度条件を取得する。制度条件取得部612は、制度条件記憶部632に記憶された制度条件を取得する。そして、取得した制度条件を制度利用者抽出部613に出力する。
【0072】
ステップST203で、制度利用者抽出部613は、制度利用者を抽出する。制度利用者抽出部613は、利用明細、制度条件、および制度抽出指示に基づいて、どの利用者3がどの制度が利用可能かを抽出する。
【0073】
例えば、制度抽出指示が特定の利用者3がどの制度を利用することができるかどうかという指示であった場合、制度利用者抽出部613は、利用明細から利用者3のETCカードIDに紐付けられた利用明細を抽出し、抽出された利用明細と、制度条件とに基づいて利用者3がどの制度が利用可能かを抽出する。
【0074】
例えば、A制度の適用条件が所定の区間の有料道路を利用したことであるとすると、制度利用者抽出部613は、利用明細から当該区間の利用明細を抽出し、この区間を利用した利用者を抽出する。
【0075】
ステップST204で、出力部614は、抽出情報を出力装置67に出力する。制度利用者抽出部613は、抽出情報を出力部614に出力する。抽出情報は、例えば、ETCカードID、個人特定情報、制度抽出指示に含まれる利用期間(開始日および終了日)、利用明細に含まれる利用額、どの制度を利用することができるかの情報等を含んで良い。出力部614は、抽出情報を出力装置67に出力する。出力装置67は、抽出情報をオペレータに対して表示することになる。
【0076】
図6は、出力装置67のディスプレイに表示される表示画面の一例を示す。
表示画面では、例えば、検索項目がある。図4に示される例では、検索項目は、ETCカードID、氏名、どの制度について抽出するのか、開始日および終了日等を含む。
【0077】
オペレータがディスプレイに表示された抽出結果を用いて、ETC中央装置12に抽出結果および制度利用者情報を含む利用者情報集計結果を提出する。オペレータが当該作業を行い、ETC中央装置12に利用者情報集計結果を提出する頻度は、例えば、半月に1度、月に1度等であって良い。
【0078】
また、オペレータが利用者の情報集計結果を提出せず、すべての作業を道路利用者向けサービス用サーバ6が担うことも可能である。この場合、システムの改修のためのコストが掛かる。しかしながら、オペレータが当該作業を行うことにより、当該コストを抑えることができる。
【0079】
また、ETC中央装置12は、当該利用者情報集計結果を用いて、各サービス提供事業者4に対応したデータを送信する。各サービス提供事業者4は、制度利用者情報に含まれる個人特定情報(氏名および住所或いはメールアドレス)に基づいて利用者3を特定し、当該利用者3に対して各種サービスを提供する。サービスは、高齢者割引、家族割引、Iターンの住人に対する割引、観光者に対する割引、グッズの配布、住民税の減税、等であって良い。例えば、XX県の利用者3は、所定の有料道路の利用に対して住民税の減税を受けることができる。
【0080】
(第1の実施形態の作用効果)
以上説明した実施形態によれば、道路利用者向けサービス用サーバ6を新たに配置することにより、ETCシステム1を新たに改修することなくサービス提供事業者4が新たなサービスを利用者3に提供することが可能になる。
【0081】
また、通行量の少ない路線/区間がある場合、当該路線または区間を利用すること受けられる各種サービスを周知することで、道路の利用促進を図ることができるという効果も生ずる。
[第1の実施形態の変形例]
次に、第1の実施形態の変形例として操作部661を用いて行うデータ分析について、説明する。
【0082】
出力部614は、抽出結果をETC中央装置12に送信する通信部として機能しても良い。この場合、道路利用者向けサービス用サーバ6は、抽出結果に基づいて利用者情報集計結果を生成し、オペレータを介することなく、当該利用者情報集計結果を自動的にETC中央装置12に送信することが可能となる。
【0083】
操作部661は、道路利用者向けサービス用サーバ6のデータ記憶部63に記憶された情報を取得することが可能である。例えば、操作部661は、制御部61の一部である解析部を用いて、サービス提供事業者4に対するデータの解析のみでなく、多目的に解析することができる。
【0084】
既存のETCシステム1内でデータ解析をする場合、ETCシステムの運用に影響が出るため、自由なデータ解析が困難であった。当該操作部661は、既存のETCシステム1で使用するデータを使用しないため、制御部61の解析部を用いて、自由にデータ解析をすることができる。また、既存のETC中央装置12の記憶部は、厳しい性能要件等により、必要最小限である数か月分の利用明細のみを記憶している。
【0085】
しかしながら、道路利用者向けサービス用サーバ6に記憶される利用明細情報は、必要最小限よりも長期間、例えば、1年以上の期間にわたる利用明細を記憶することが可能である。これにより、操作部661は、制御部61の解析部を用いてより精度の高い解析が可能になる。
【0086】
例えば、操作部661によるデータ解析は、(1)有料道路の交通量調査、(2)有料道路における曜日別、日付別、大型連休などの交通量の変化調査、(3)スポーツ大会等のイベントが有料道路の交通量に与える影響調査、(4)一般道通行止めによる有料道路への退避状況の調査、(5)利用料金変更に伴う影響調査、(6)犯罪調査(例えば、逃走車両の追跡、車両番号からのETCカード番号の割出し等)を実行することができる。
【0087】
この分析結果により、今後の道路の整備計画等の参考とすることができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、説明する。
【0088】
第1の実施形態では、利用者情報集計結果を、ETC中央装置12を通じて、サービス提供事業者4に送信し、当該集計結果に基づいてサービス提供事業者4が各サービスを利用者3に提供する例を説明した。
【0089】
これに対し、第1の実施形態の変形例では、ETC中央装置12がETCシステム1を利用する利用者に対して通行料金を請求する料金から利用者情報集計結果に基づいて割引して、利用者3に料金を請求する例を説明する。
【0090】
図7は、第2の実施形態におけるシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
オペレータから利用者情報集計結果をETC中央装置12が受信すると、ETC中央装置12の制御部は、ETC中央装置12の記憶部に記憶された利用明細から利用者3に請求すべき利用料金を算出する。そして、ETC中央装置12の制御部は、算出した利用料金から当該利用者情報集計結果に基づいて、割引した通行料金を算出する。そして、ETC中央装置12の制御部は、割引した通行料金を含む通行料情報をクレジットカード会社5に送信する。
【0091】
クレジットカード会社は、当該割引された通行料金を利用者3に請求することになる。
【0092】
この場合、サービス提供事業者4が利用者3に各種サービスを提供する必要がなくなるため、道路利用者向けサービス用システム2は、ETC中央装置12を通じて、利用者3の所在地等の情報を伝える必要がない。そのため、事前登録等の際に、ユーザ情報管理装置7は、少なくとも利用者3のETCカードIDのみを取得すれば良くなる。
【0093】
(第2の実施形態の作用効果)
以上説明した第1の実施形態の変形例によれば、道路利用者向けサービス用サーバ6を新たに配置することにより、サービス提供事業者4が行う割引を判定し、判定した結果を用いてETC中央装置12が利用料金からサービス提供事業者4の行う割引を差し引いた利用料金を利用者3に請求する。これにより、利用者3は、直接利用料金の割引を受けることができ、利用者の手間が低減される。
【0094】
また、通行量の少ない路線/区間がある場合、当該路線または区間を利用すること受けられる各種サービスを周知することで、道路の利用促進を図ることができるという効果も生ずる。
【0095】
[他の実施形態]
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、操作部661からオペレータを介してデータの送受信を行う例を示したが、オペレータはいなくとも良い。すなわち、利用者3による制度登録が実行されると、所定の頻度(例えば、半月に1度、月に1度等)で利用者3がどの制度に適用できるかを道路利用者向けサービス用サーバ6が判定し、判定した結果を含む利用者情報集計結果をETC中央装置12ETC中央装置12に直接送信しても良い。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1…ETCシステム
11…ETC路側機
12…ETC中央装置
2…道路利用者向けサービス用システム
3…利用者
31…ETCカード
32…ETC車載器
4…サービス提供事業者
41、42、43…行政
5…クレジットカード会社
6…道路利用者向けサービス用サーバ
61…制御部
611…利用明細取得部
612…制度条件取得部
613…制度利用者抽出部
614…出力部
62…プログラム記憶部
63…データ記憶部
631…利用明細記憶部
632…制度条件記憶部
64…通信インタフェース
65…入出力インタフェース
66…入力装置
661…操作部
67…出力装置
7…ユーザ情報管理装置
71…制御部
711…制度利用者情報取得部
712…制度種類判定部
72…プログラム記憶部
73…データ記憶部
731…ユーザ情報記憶部
732…制度登録条件記憶部
74…通信インタフェース
75…入出力インタフェース
76…入力装置
77…出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7