(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025030
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240216BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20240216BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128122
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】竹上 功起
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503FA01
5G503FA03
5G503FA06
5G503GD03
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC24
5H125CA04
5H125DD03
5H125EE55
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】走行体が筐体に接触した際の外装カバーの破損を低減することができる充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置1は、自律走行ロボット2に搭載されたバッテリ5を充電する充電器20と、充電器20を収容する筐体21と、充電器20と電気的に接続された電極端子36とを備え、筐体21は、フレーム体22と、フレーム体22を覆う外装カバー23と、自律走行ロボット2が筐体21に接触した際に発生する力を吸収する補強ブラケット44とを有し、外装カバー23は、フレーム体22の前側を覆う正面カバー30を含み、補強ブラケット44は、自律走行ロボット2が正面カバー30に接触した際に正面カバー30で受けた力をフレーム体22に伝達する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体に搭載されたバッテリを充電する充電器と、
前記充電器を収容する筐体と、
前記充電器と電気的に接続された電極端子とを備え、
前記筐体は、フレーム体と、前記フレーム体を覆う外装カバーと、前記走行体が前記筐体に接触した際に発生する力を吸収する補強部とを有し、
前記外装カバーは、前記フレーム体の前側を覆う正面カバーを含み、
前記補強部は、前記走行体が前記正面カバーに接触した際に前記正面カバーで受けた力を前記フレーム体に伝達する充電装置。
【請求項2】
前記補強部は、前記正面カバーの後面に設けられている請求項1記載の充電装置。
【請求項3】
前記フレーム体は、前記筐体の左右方向に延びる梁部を有し、
前記補強部は、前記走行体が前記正面カバーに接触した際に前記正面カバーで受けた力を前記梁部に伝達する請求項1記載の充電装置。
【請求項4】
前記電極端子を前記正面カバーの前面から突き出すように前記筐体の前側に付勢する弾性部材を更に備える請求項1記載の充電装置。
【請求項5】
前記走行体が前記充電器による前記バッテリの充電が可能な充電位置に到達したかどうかを検知し、前記走行体が前記充電位置に到達したときに、前記走行体の走行を停止させるための指示を行う走行停止指示部を更に備える請求項1記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、複数のRFIDタグで構成される位置認識モジュールが取り付けられた充電装置が記載されている。そのような充電装置を用いて、ロボットに搭載された電池の自動充電を行う際、まずロボットは位置認識モジュールのRFIDタグを検出する。そして、ロボットは、RFIDタグを送受信する位置まで移動すると、充電装置に向かって進行し、充電装置のコネクタとロボットのコネクタとが接続する位置で停止する。そして、電池の充電が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
万が一ロボットが充電装置の筐体に接触した場合には、筐体の外装カバーが破損するおそれがある。しかし、上記従来技術では、ロボット(走行体)が充電装置の筐体に接触することによる外装カバーの破損については、特に考慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、走行体が筐体に接触した際の外装カバーの破損を低減することができる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る充電装置は、走行体に搭載されたバッテリを充電する充電器と、充電器を収容する筐体と、充電器と電気的に接続された電極端子とを備え、筐体は、フレーム体と、フレーム体を覆う外装カバーと、走行体が筐体に接触した際に発生する力を吸収する補強部とを有し、外装カバーは、フレーム体の前側を覆う正面カバーを含み、補強部は、走行体が正面カバーに接触した際に正面カバーで受けた力をフレーム体に伝達する。
【0007】
このような充電装置においては、走行体に搭載されたバッテリの充電を行うときは、バッテリが電極端子を介して充電器と電気的に接続されるように、走行体を充電装置に向かって走行させる。ここで、走行体が充電装置の筐体に万が一接触しても、その際に発生する力が補強部により吸収される。具体的には、走行体が筐体の正面カバーに接触すると、走行体が正面カバーを押す力を正面カバーで受けることになるが、正面カバーで受けた力は補強部によりフレーム体に伝達される。これにより、走行体が筐体に接触した際の外装カバーの破損が低減される。
【0008】
(2)上記の(1)において、補強部は、正面カバーの後面に設けられていてもよい。このような構成では、正面カバーで受けた力が補強部によりフレーム体に伝達されても、正面カバーの後面に打痕が付きにくい。従って、正面カバーを保護することができる。
【0009】
(3)上記の(1)または(2)において、フレーム体は、筐体の左右方向に延びる梁部を有し、補強部は、走行体が正面カバーに接触した際に正面カバーで受けた力を梁部に伝達してもよい。このような構成では、正面カバーで受けた力が補強部により梁部に伝達される。このため、正面カバーで受けた力は、フレーム体における筐体の左右方向の内側領域に伝達されることになる。従って、走行体が筐体に接触した際に発生する力が補強部により効果的に吸収され、外装カバーの破損が更に低減される。
【0010】
(4)上記の(1)~(3)の何れかにおいて、充電装置は、電極端子を正面カバーの前面から突き出すように筐体の前側に付勢する弾性部材を更に備えてもよい。このような構成では、走行体が電極端子に接触すると、電極端子が弾性部材の付勢力に抗して充電装置の筐体内に引っ込む。従って、電極端子の破損が抑制される。
【0011】
(5)上記の(1)~(4)の何れかにおいて、充電装置は、走行体が充電器によるバッテリの充電が可能な充電位置に到達したかどうかを検知し、走行体が充電位置に到達したときに、走行体の走行を停止させるための指示を行う走行停止指示部を更に備えてもよい。このような構成では、走行体が充電位置に到達すると、走行体の走行が停止する。従って、充電装置の主電源が投入されている場合には、走行体が充電装置の筐体に接触すること自体が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、走行体が筐体に接触した際の外装カバーの破損を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る充電装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された充電装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示された充電装置が適用される自律走行ロボットの下部を示す正面図である。
【
図4】
図1に示された正面カバーを後面側から見たときの斜視図である。
【
図5】
図3に示された自律走行ロボットにおいて自動充電を実施するための構成を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示された充電装置において自動充電を実施するための構成を示すブロック図である。
【
図7】自動充電の実施時に、自律走行ロボットが充電装置の筐体に接触する様子を示す側面図である。
【
図8】自律走行ロボットが充電装置の筐体に接触した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る充電装置の外観を示す斜視図である。
図2は、
図1に示された充電装置の内部構造を示す斜視図である。
図1及び
図2において、本実施形態の充電装置1は、
図3に示されるように、走行体である自律走行ロボット2に搭載されたバッテリ5(
図5参照)の自動充電に用いられる。
【0016】
自律走行ロボット2は、例えばピッキング作業等で使用され、荷物(図示せず)を搬送する無人搬送車である。自律走行ロボット2は、ロボット本体3と、このロボット本体3の前後左右に配置された4つの車輪4と、上記のバッテリ5とを備えている。ロボット本体3は、略円柱状の基台6と、この基台6の上に配置され、荷物が置かれる荷台7とを有している。
【0017】
車輪4は、例えば45度オムニホイールである。これにより、自律走行ロボット2は、前後方向、左右方向、斜め方向に移動可能であると共に旋回可能である。各車輪4は、走行モータ(図示せず)により個別に回転駆動される。バッテリ5は、自律走行ロボット2の電気部品に電力を供給する。
【0018】
基台6には、樹脂製の取付板9が固定されている。取付板9には、2つの電極プレート10が自律走行ロボット2の上下方向に並ぶように取り付けられている。電極プレート10は、バッテリ5と電気的に接続されている。電極プレート10は、充電装置1の電極端子36(後述)を受ける電極受け部である。取付板9における電極プレート10の下側には、直方体状の突起部11が設けられている。
【0019】
取付板9における電極プレート10の上側には、受光器12が取り付けられている。受光器12は、充電装置1の発光器40(後述)から照射されたレーザ光を受光する。受光器12は、発光器40からのレーザ光を受光すると、ON信号を出力する。
【0020】
また、自律走行ロボット2は、レーザセンサ13(
図5及び
図8参照)と、接触センサ14とを備えている。
【0021】
レーザセンサ13は、自律走行ロボット2の前方を含む周囲に向けてレーザ光を照射し、レーザ光の反射光を受光することにより、自律走行ロボット2の周囲に存在する物体を検出する。自律走行ロボット2の周囲に存在する物体には、充電装置1も含まれる。レーザセンサ13としては、例えば赤外線レーザを照射するレーザレンジファインダまたはLIDAR(light detection andranging)等が使用される。
【0022】
接触センサ14は、充電装置1を含む物体との接触を検出する。接触センサ14は、基台6の外周面における受光器12よりも上側の高さ位置に全周にわたって円環状に突設されている。接触センサ14の外径は、基台6の外径よりも大きい。つまり、接触センサ14は、自律走行ロボット2の最外周部となっている。このため、自律走行ロボット2が物体に接触するときは、接触センサ14が最初に物体に接触することとなる。接触センサ14は、物体と接触すると、ON信号を出力する。
【0023】
図1及び
図2に戻り、充電装置1は、例えば工場や倉庫等における指定の充電エリアに設置されている。充電装置1は、充電器20(
図6参照)と、この充電器20を収容する筐体21とを備えている。
【0024】
充電器20は、自律走行ロボット2に搭載されたバッテリ5を充電する。充電器20は、例えば筐体21内の下部に配置されている。
【0025】
筐体21は、例えば直方体形状を呈している。筐体21は、フレーム体22と、このフレーム体22を覆う外装カバー23とを有している。筐体21は、金属板(例えば鉄板)等で形成されている。外装カバー23の板厚は、フレーム体22の板厚よりも小さい。
【0026】
フレーム体22は、基部24と、この基部24の両端部に立設された左右1対の側部フレーム25と、各側部フレーム25の上端に固定された上部フレーム26と、各側部フレーム25同士を連結する梁部27とを有している。
【0027】
梁部27は、筐体21の左右方向(Y方向)に真っ直ぐ延びている。梁部27は、筐体21の上下方向(Z方向)の中央部付近において、各側部フレーム25の前端部同士を連結している。梁部27は、自律走行ロボット2の接触センサ14に対応する高さ位置に配置されている。つまり、梁部27は、筐体21において自律走行ロボット2が最初に接触する高さ位置に配置されている。
【0028】
外装カバー23は、フレーム体22の前側を覆う正面カバー30と、フレーム体22の左右両側を覆う1対の側面カバー31と、フレーム体22の後側を覆う背面カバー32と、フレーム体22の上側を覆う上面カバー33とを含んでいる。
【0029】
また、充電装置1は、樹脂製の取付部34と、この取付部34を正面カバー30の前面30aから突き出すように筐体21の前側に付勢する1対のバネ35とを備えている。正面カバー30の前面30aは、筐体21の前面に相当する。
【0030】
取付部34は、筐体21内の下部に配置されている。取付部34は、直方体形状を呈している。取付部34には、2つの電極端子36及びリミットスイッチ37が筐体21の上下方向に並ぶように取り付けられている。
【0031】
電極端子36は、取付部34の先端面34aから突き出るように取付部34に取り付けられている。電極端子36は、充電器20と電気的に接続されている。電極端子36は、自律走行ロボット2の電極プレート10と係合する。電極端子36が電極プレート10に接触すると、充電器20と自律走行ロボット2のバッテリ5とが電極端子36及び電極プレート10を介して電気的に接続される。このため、充電器20によるバッテリ5の充電が可能となる。
【0032】
リミットスイッチ37は、電極端子36の下側に配置されている。リミットスイッチ37は、取付部34の先端面34aから突き出るように取付部34に取り付けられている。リミットスイッチ37の先端は、電極端子36の先端よりも筐体21の後側に位置している。リミットスイッチ37は、自律走行ロボット2の突起部11と係合する。リミットスイッチ37は、突起部11との接触を検出する。リミットスイッチ37と突起部11とが接触すると、電極端子36と電極プレート10とが接触した状態となる。リミットスイッチ37は、突起部11と接触すると、ON信号を出力する。
【0033】
取付部34は、板状部材38の上面に固定されている。板状部材38は、フレーム体22の基部24上を筐体21の前後方向(X方向)に摺動可能である。
【0034】
バネ35は、取付部34の左右両側に配置されている。バネ35の一端は、板状部材38に接続されている。バネ35の他端は、取付部材39を介して基部24に接続されている。取付部34は、バネ35によって正面カバー30の前面30aに対して進退可能である。リミットスイッチ37と突起部11とが接触すると、バネ35の付勢力に抗して取付部34が筐体21の後側に移動する。バネ35は、電極端子36を正面カバー30の前面30aから突き出すように筐体21の前側に付勢する弾性部材を構成している。
【0035】
また、充電装置1は、自律走行ロボット2の受光器12に向けてレーザ光を照射する発光器40を備えている。発光器40は、取付部34の上側に配置されている。発光器40は、受光器12に対応する高さ位置に配置されている。発光器40は、例えばフレーム体22の梁部27に取付部材41を介して取り付けられている。
【0036】
正面カバー30には、
図4に示されるように、取付部34を正面カバー30の前面30aに対して進退させるための開口部42と、発光器40を露出させるための開口部43とが設けられている。開口部43は、開口部42と連通するように開口部42の上側に配置されている。開口部42,43は、正面カバー30の下側領域における左右方向の中央部に配置されている。
【0037】
正面カバー30の後面30b(裏面)には、補強ブラケット44が設けられている。補強ブラケット44は、正面カバー30の後面30bにおいて、開口部43よりも上側における左右方向の中央部に配置されている。補強ブラケット44は、フレーム体22の梁部27と同じ高さ位置に配置されている(
図8参照)。つまり、補強ブラケット44は、自律走行ロボット2の接触センサ14に対応する高さ位置に配置されている。
【0038】
補強ブラケット44は、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に接触した際に発生する力を吸収する補強部である。補強ブラケット44は、自律走行ロボット2が正面カバー30に接触した際に正面カバー30で受けた力をフレーム体22の梁部27に伝達する。
【0039】
補強ブラケット44は、正面カバー30の後面30b側に対して凸状に曲げられた構造を有している。具体的には、補強ブラケット44の形状は、矩形の凸状(U字状)である。補強ブラケット44の両端部は、正面カバー30の後面30bに溶接されている。補強ブラケット44は、例えば筐体21と同じ金属材料で形成されている。
【0040】
補強ブラケット44と梁部27との間には、両者間の建付け誤差を考慮して、僅かな隙間が形成されている。ただし、建付け誤差が少ない場合には、補強ブラケット44が梁部27に接触していてもよい。
【0041】
図5は、自律走行ロボット2において自動充電を実施するための構成を示すブロック図である。
図5において、自律走行ロボット2は、上記のレーザセンサ13と、上記の接触センサ14と、上記の受光器12と、電圧センサ47と、駆動部48と、通信機49と、コントローラ50とを備えている。
【0042】
電圧センサ47は、バッテリ5の電圧を検出するセンサである。駆動部48は、自律走行ロボット2の各車輪4を回転させる走行モータ(前述)である。通信機49は、充電装置1の通信機59(後述)と無線通信を行う。
【0043】
コントローラ50は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ50は、自己位置推定部51と、接触判定部52と、走行制御部53と、接続状態判定部54と、充電制御部55と、充電完了判定部56とを有している。
【0044】
自己位置推定部51は、レーザセンサ13の検出データと地図メモリ(図示せず)に予め記憶された地図データとに基づいて、自律走行ロボット2の自己位置を推定する。具体的には、自己位置推定部51は、例えばSLAM(simultaneous localization andmapping)手法を用いて、レーザセンサ13の検出データと地図データとをマッチングさせて自律走行ロボット2の自己位置を推定する。SLAMは、センサデータ及び地図データを用いて自己位置の推定を行う自己位置推定技術である。
【0045】
接触判定部52は、接触センサ14の検出信号(出力信号)に基づいて、自律走行ロボット2が充電装置1に接触したかどうかを判定する。
【0046】
走行制御部53は、自己位置推定部51により推定された自律走行ロボット2の自己位置に基づいて、自律走行ロボット2を充電装置1に向かって走行させるように駆動部48を制御する。走行制御部53は、後述する接続状態判定部54により電極端子36と電極プレート10とが接続された状態であると判定されると、自律走行ロボット2の走行を停止させるように駆動部48を制御する。また、走行制御部53は、接触判定部52により自律走行ロボット2が充電装置1に接触したと判定されると、自律走行ロボット2の走行を強制的に停止させるように駆動部48を制御する。
【0047】
接続状態判定部54は、受光器12の出力信号に基づいて、電極端子36と電極プレート10とが接続された状態であるかどうかを判定する。接続状態判定部54は、受光器12からON信号が出力されると、電極端子36と電極プレート10とが接続された状態であると判定する。
【0048】
充電制御部55は、接続状態判定部54により電極端子36と電極プレート10とが接続された状態であると判定されると、充電器20によるバッテリ5の充電を開始するための充電開始指示信号を通信機49を介して充電装置1に送信する。充電制御部55は、後述する充電完了判定部56によりバッテリ5の充電が完了したと判定されると、バッテリ5の充電を終了するための充電終了指示信号を通信機49を介して充電装置1に送信する。
【0049】
充電完了判定部56は、電圧センサ47により検出されたバッテリ5の電圧に基づいて、充電器20によるバッテリ5の充電が完了したかどうかを判定する。充電完了判定部56は、例えばバッテリ5の電圧からバッテリ5の充電率(SOC:State of charge)を推定し、バッテリ5の充電率が規定値以上であるときに、バッテリ5の充電が完了したと判定する。
【0050】
図6は、充電装置1において自動充電を実施するための構成を示すブロック図である。充電装置1は、自律走行ロボット2と協働して自動充電システムを構成している。
【0051】
図6において、充電装置1は、上記のリミットスイッチ37と、通信機59と、上記の発光器40と、上記の充電器20と、コントローラ60とを備えている。通信機59は、自律走行ロボット2の通信機49と無線通信を行う。
【0052】
コントローラ60は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ60は、到達判定部61と、発光制御部62と、充電制御部63とを有している。
【0053】
到達判定部61は、リミットスイッチ37の検出信号(出力信号)に基づいて、自律走行ロボット2が充電位置に到達したかどうかを判定する。充電位置は、充電器20によるバッテリ5の充電が可能な位置である。具体的には、充電位置は、電極端子36と電極プレート10とが接触する位置である。
【0054】
発光制御部62は、到達判定部61により自律走行ロボット2が充電位置に到達したと判定されると、発光器40からレーザ光を照射するように発光器40を制御する。
【0055】
リミットスイッチ37、到達判定部61、発光制御部62及び発光器40は、自律走行ロボット2が充電器20によるバッテリ5の充電が可能な充電位置に到達したかどうかを検知し、自律走行ロボット2が充電位置に到達したときに、自律走行ロボット2の走行を停止させるための指示を行う走行停止指示部を構成している。
【0056】
充電制御部63は、自律走行ロボット2の通信機49から送信された充電開始指示信号を通信機59を介して受信したときは、バッテリ5の充電を開始するように充電器20を制御する。充電制御部63は、自律走行ロボット2の通信機49から送信された充電終了指示信号を通信機59を介して受信したときは、バッテリ5の充電を終了させるように充電器20を制御する。
【0057】
以上において、充電装置1により自律走行ロボット2のバッテリ5の自動充電を行う場合、自律走行ロボット2は、自己位置を推定しながら充電装置1に向かって走行する。そして、自律走行ロボット2は、充電装置1を認識すると、充電装置1の正面に向かって前進する。
【0058】
そして、自律走行ロボット2が充電位置に到達すると、自律走行ロボット2の突起部11により充電装置1のリミットスイッチ37が押され、リミットスイッチ37からON信号が出力される。すると、充電装置1の発光器40からレーザ光が照射され、そのレーザ光が自律走行ロボット2の受光器12で受光されることで、受光器12からON信号が出力される。このため、
図7(a)に示されるように、充電装置1の電極端子36と自律走行ロボット2の電極プレート10とが接続された状態であると判定され、自律走行ロボット2の走行が停止する。なお、
図7では、発光器40及び受光器12が省略されている。
【0059】
そして、自律走行ロボット2から充電装置1に充電開始指示信号が送信されることで、充電器20によるバッテリ5の充電が開始される。具体的には、充電器20からの電流が電極端子36及び電極プレート10を流れてバッテリ5に供給される。その後、バッテリ5の充電率が規定値に達すると、自律走行ロボット2から充電装置1に充電終了指示信号が送信されることで、バッテリ5の充電が終了する。
【0060】
ところで、例えば長期休暇等により充電装置1が長期間使用されない場合には、充電装置1の主電源がOFFにされることがある。その後、充電装置1を使用する際に、充電装置1の主電源をONにすることを忘れると、以下の不具合が発生する。
【0061】
即ち、自律走行ロボット2が充電位置に到達し、充電装置1のリミットスイッチ37が押されても、リミットスイッチ37からON信号が出力されないため、発光器40からレーザ光が照射されず、自律走行ロボット2の受光器12でレーザ光が受光されない。このため、受光器12からON信号が出力されることがない。従って、自律走行ロボット2が充電位置に到達したにも関わらず、充電装置1の電極端子36と自律走行ロボット2の電極プレート10とが接続された状態であると判定されないため、自律走行ロボット2が停止せずに走行し続ける。
【0062】
その結果、
図7(b)に示されるように、自律走行ロボット2が充電装置1の取付部34を押し付けることで、取付部34がバネ35の付勢力に抗して充電装置1の筐体21内に引っ込んだ状態となる。そして、自律走行ロボット2が筐体21に衝突して正面カバー30を押し込む。このため、正面カバー30は、自律走行ロボット2が押し込む力(荷重)を受けることになる。
【0063】
ただし、正面カバー30の後面30bにおける接触センサ14に対応する高さ位置には、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に接触した際に発生する力を吸収する補強ブラケット44が固定されている。補強ブラケット44は、自律走行ロボット2が筐体21の正面カバー30に接触した際に正面カバー30で受けた力を梁部27に伝達する。このため、
図8に示されるように、自律走行ロボット2が筐体21を押し込む力Fが発生しても、その力Fが補強ブラケット44により梁部27に伝達される。つまり、自律走行ロボット2が筐体21を押し込む力Fを梁部27で受けることになる。これにより、正面カバー30が破損しにくくなる。
【0064】
以上のように本実施形態によれば、自律走行ロボット2に搭載されたバッテリ5の充電を行うときは、バッテリ5が電極端子36を介して充電器20と電気的に接続されるように、自律走行ロボット2を充電装置1に向かって走行させる。ここで、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に万が一接触しても、その際に発生する力が補強ブラケット44により吸収される。具体的には、自律走行ロボット2が筐体21の正面カバー30に接触すると、自律走行ロボット2が正面カバー30を押す力を正面カバー30で受けることになるが、正面カバー30で受けた力は補強ブラケット44によりフレーム体22に伝達される。これにより、自律走行ロボット2が筐体21に接触した際の外装カバー23の破損が低減される。
【0065】
また、本実施形態では、補強ブラケット44を正面カバー30の後面30bに設けることにより、正面カバー30で受けた力が補強ブラケット44によりフレーム体22に伝達されても、正面カバー30の後面30bに打痕が付きにくい。従って、正面カバー30を保護することができる。
【0066】
また、本実施形態では、正面カバー30で受けた力が補強ブラケット44により梁部27に伝達される。このため、正面カバー30で受けた力は、フレーム体22における筐体21の左右方向の内側領域に伝達されることになる。従って、自律走行ロボット2が筐体21に接触した際に発生する力が補強ブラケット44により効果的に吸収され、外装カバー23の破損が更に低減される。
【0067】
また、本実施形態では、電極端子36を正面カバー30の前面30aから突き出すように筐体21の前側に付勢するバネ35を備えることにより、自律走行ロボット2が電極端子36に接触すると、電極端子36がバネ35の付勢力に抗して充電装置1の筐体21内に引っ込む。従って、電極端子36の破損が抑制される。
【0068】
また、本実施形態では、自律走行ロボット2が充電器20によるバッテリ5の充電が可能な充電位置に到達すると、自律走行ロボット2の走行が停止する。従って、充電装置1の主電源が投入されている場合には、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に接触すること自体が抑制される。
【0069】
また、本実施形態では、自律走行ロボット2を充電装置1の正面手前で停止させるためのRFIDタグ等が不要となる。従って、RFIDタグの情報を読み取るセンサ等を自律走行ロボット2に搭載しなくて済む。
【0070】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に接触した際に発生する力を吸収する補強ブラケット44が1つだけ備えられているが、補強ブラケット44の数としては、特に1つには限られず、複数であってもよい。この場合、複数の補強ブラケット44は、筐体21の左右方向または上下方向に並んで配置されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、補強ブラケット44は、正面カバー30の後面30b側に対して凸状に曲げられた構造を有しているが、補強ブラケット44の構造としては、特にそれには限られず、例えばブロック等であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2が充電装置1の筐体21に接触した際に正面カバー30で受けた力が補強ブラケット44により伝達される梁部27は、筐体21の左右方向に真っ直ぐ延びているが、特にそのような形態には限られない。梁部27は、筐体21の上下方向に真っ直ぐ延びていてもよいし、或いは筐体21の左右方向及び上下方向に斜めに延びていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、自律走行ロボット2が筐体21に接触した際に正面カバー30で受けた力が補強ブラケット44により梁部27に伝達されているが、特にそのような形態には限られない。例えばフレーム体22が梁部27を有していない場合には、正面カバー30で受けた力を補強ブラケット44によりフレーム体22の他の部分(側部フレーム25等)に伝達してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、正面カバー30の後面30bに補強ブラケット44が設けられているが、特にその形態には限られず、補強ブラケット44が梁部27等のフレーム体22に設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、充電装置1が自律走行ロボット2の充電に使用されているが、本発明は、フォークリフトやトーイングトラクタ等の走行体の充電にも適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…充電装置、2…自律走行ロボット(走行体)、5…バッテリ、20…充電器、21…筐体、22…フレーム体、23…外装カバー、27…梁部、30…正面カバー、30a…前面、30b…後面、35…バネ(弾性部材)、36…電極端子、37…リミットスイッチ(走行停止指示部)、40…発光器(走行停止指示部)、44…補強ブラケット(補強部)、61…到達判定部(走行停止指示部)、62…発光制御部(走行停止指示部)。