(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025039
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置および充電システム
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240216BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Q
H02J7/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128136
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】高野 将成
(72)【発明者】
【氏名】山上 正寛
(72)【発明者】
【氏名】大元 靖理
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB04
5H730AS01
5H730AS02
5H730AS03
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB61
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE13
5H730EE58
5H730FD51
5H730FF09
(57)【要約】
【課題】共振素子に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、トランスの2次側のスイッチング素子のオンオフ動作を実現する。
【解決手段】トランス(TR)の1次側に第1から第4スイッチング素子(Q10-Q13)を備え、トランスの2次側に同期整流回路(Q20-Q23)を備え、制御部(12A)は、第1方向の電流が所定閾値以上の期間に、同期整流回路がオンとなっているように同期整流回路を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷側に二次電池が接続され、前記二次電池の充電に利用可能なスイッチング電源装置であって、
トランスと、
前記トランスの1次側に接続される共振回路と、
前記トランスの1次側へ第1方向に流れる第1電流のオンオフ動作を行う第1および第2スイッチング素子と、
前記トランスの1次側へ前記第1方向とは逆の第2方向に流れる第2電流のオンオフ動作を行う第3および第4スイッチング素子と、
前記トランスの1次側へ前記第1電流または前記第2電流が流れている期間に、前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う同期整流回路と、
前記第1から第4スイッチング素子および前記同期整流回路のオンオフ動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1から第4スイッチング素子のオンオフ動作の周波数の時間平均値が固定され、
前記第1スイッチング素子のオンオフ動作と、前記第2スイッチング素子のオンオフ動作との間に、所定位相差を有すると共に、前記第3スイッチング素子のオンオフ動作と、前記第4スイッチング素子のオンオフ動作との間に、前記所定位相差を有し、
前記制御部は、
前記第1電流または前記第2電流が所定閾値以上である期間に、前記同期整流回路がオンになっているように、前記同期整流回路を制御する
ことを特徴とするスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記同期整流回路は、
前記トランスの1次側へ前記第1電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第5および第6スイッチング素子と、
前記トランスの1次側へ前記第2電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第7および第8スイッチング素子と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子と第6スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第5および第6スイッチング素子を制御し、
前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第7スイッチング素子と第8スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第7および第8スイッチング素子を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記第1電流および前記第2電流を検出し、前記制御部へ前記第1電流および前記第2電流の電流値を出力する電流検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記電流検出部による前記第1方向の前記第1電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子と第6スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第5および第6スイッチング素子を制御し、
前記電流検出部による前記第2方向の前記第2電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第7スイッチング素子と第8スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第7および第8スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1方向に流れる前記第1電流または前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に第1信号を前記制御部へ出力し、前記第1方向に流れる前記第1電流が前記所定閾値未満かつ前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値未満である期間に第2信号を前記制御部へ出力する電流検出回路を更に備え、
前記制御部は、前記電流検出回路から出力される前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記第5から第8スイッチング素子のオンオフ動作を行うことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記トランスは、2次側にセンタータップ端子を有し、
前記同期整流回路は、
前記トランスの1次側へ前記第1電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第5スイッチング素子と、
前記トランスの1次側へ前記第2電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第6スイッチング素子と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子がオンになっているように、前記第5スイッチング素子を制御し、
前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第6スイッチング素子がオンになっているように、前記第6スイッチング素子を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記第1電流および前記第2電流を検出し、前記制御部へ前記第1電流および前記第2電流の電流値を出力する電流検出部を更に備え、
前記制御部は、
前記電流検出部による前記第1方向の前記第1電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子がオンになっているように、前記第5スイッチング素子を制御し、
前記電流検出部による前記第2方向の前記第2電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第6スイッチング素子がオンになっているように、前記第6スイッチング素子を制御することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記第1方向に流れる前記第1電流または前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に第1信号を前記制御部へ出力し、前記第1方向に流れる前記第1電流が前記所定閾値未満かつ前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値未満である期間に第2信号を前記制御部へ出力する電流検出回路を更に備え、
前記制御部は、前記電流検出回路から出力される前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記第5および第6スイッチング素子のオンオフ動作を行うことを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置と、
前記二次電池と、を備える充電システムであって、
前記スイッチング電源装置の出力電流を用いた定電流充電と、
前記スイッチング電源装置の出力電圧を用いた定電圧充電と、
により前記二次電池を充電可能であり、
前記二次電池の電池電圧が第1電圧以上第2電圧以下の間は、前記定電流充電で前記二次電池を充電し、
前記二次電池の電池電圧が前記第2電圧以上の第3電圧に到達した後は、前記定電圧充電で前記二次電池を充電する、
ことを特徴とする充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1次側を流れる電流がゼロ値となる時刻と、ピーク値となる時刻とを検出して、それらの時刻に基づいて2次側の同期整流素子のオンオフ制御を行う共振形電源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電源装置では、共振素子に流れる電流がピーク値等になる時刻を検出する必要があるが、スイッチング電源装置の制御が複雑になる。
本開示の一態様は、共振素子に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、トランスの2次側の同期整流回路のオンオフ動作を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置は、負荷側に二次電池が接続され、前記二次電池の充電に利用可能なスイッチング電源装置であって、トランスと、前記トランスの1次側に接続される共振回路と、前記トランスの1次側へ第1方向に流れる第1電流のオンオフ動作を行う第1および第2スイッチング素子と、前記トランスの1次側へ前記第1方向とは逆の第2方向に流れる第2電流のオンオフ動作を行う第3および第4スイッチング素子と、前記トランスの1次側へ前記第1電流または前記第2電流が流れている期間に、前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う同期整流回路と、前記第1から第4スイッチング素子および前記同期整流回路のオンオフ動作を制御する制御部と、を備え、前記第1から第4スイッチング素子のオンオフ動作の周波数の時間平均値が固定され、前記第1スイッチング素子のオンオフ動作と、前記第2スイッチング素子のオンオフ動作との間に、所定位相差を有すると共に、前記第3スイッチング素子のオンオフ動作と、前記第4スイッチング素子のオンオフ動作との間に、前記所定位相差を有し、前記制御部は、前記第1電流または前記第2電流が所定閾値以上である期間に、前記同期整流回路がオンになっているように、前記同期整流回路を制御する。
【0006】
上記構成によれば、共振回路に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、トランスの2次側の同期整流回路のオンオフ動作を実現することができる。
【0007】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記同期整流回路は、前記トランスの1次側へ前記第1電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第5および第6スイッチング素子と、前記トランスの1次側へ前記第2電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第7および第8スイッチング素子と、を有し、前記制御部は、前記第1電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子と第6スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第5および第6スイッチング素子を制御し、前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第7スイッチング素子と第8スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第7および第8スイッチング素子を制御する。
【0008】
上記構成によれば、トランスの2次側に、同期整流回路として4つのスイッチング素子を設けている場合であっても、共振回路に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、同期整流回路のオンオフ動作を実現することができる。
【0009】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記第1電流および前記第2電流を検出し、前記制御部へ前記第1電流および前記第2電流の電流値を出力する電流検出部を更に備え、前記制御部は、前記電流検出部による前記第1方向の前記第1電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子と第6スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第5および第6スイッチング素子を制御し、前記電流検出部による前記第2方向の前記第2電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第7スイッチング素子と第8スイッチング素子との両方がオンになっているように、前記第7および第8スイッチング素子を制御する。
【0010】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は電流検出部を更に備えるため、制御部は、第1電流が所定閾値以上である期間および第2電流が所定閾値以上である期間を適正に判断することができる。
【0011】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記第1方向に流れる前記第1電流または前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に第1信号を前記制御部へ出力し、前記第1方向に流れる前記第1電流が前記所定閾値未満かつ前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値未満である期間に第2信号を前記制御部へ出力する電流検出回路を更に備え、前記制御部は、前記電流検出回路から出力される前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記第5から第8スイッチング素子のオンオフ動作を行う。
【0012】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は電流検出回路を更に備えるため、制御部は、第1電流が所定閾値以上である期間および第2電流が所定閾値以上である期間を適正に判断することができる。
【0013】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記トランスは、2次側にセンタータップ端子を有し、前記同期整流回路は、前記トランスの1次側へ前記第1電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第5スイッチング素子と、前記トランスの1次側へ前記第2電流が流れている期間に前記トランスの2次側に流れる電流の整流を行う第6スイッチング素子と、を有し、前記制御部は、前記第1電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子がオンになっているように、前記第5スイッチング素子を制御し、前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に、前記第6スイッチング素子がオンになっているように、前記第6スイッチング素子を制御する。
【0014】
上記構成によれば、トランスの2次側にセンタータップ端子を有し、そのトランスの2次側に設ける同期整流回路として2つのスイッチング素子を設けている場合であっても、共振回路に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、同期整流回路のオンオフ動作を実現することができる。
【0015】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記第1電流および前記第2電流を検出し、前記制御部へ前記第1電流および前記第2電流の電流値を出力する電流検出部を更に備え、前記制御部は、前記電流検出部による前記第1方向の前記第1電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第5スイッチング素子がオンになっているように、前記第5スイッチング素子を制御し、前記電流検出部による前記第2方向の前記第2電流の電流値が前記所定閾値以上である期間に、前記第6スイッチング素子がオンになっているように、前記第6スイッチング素子を制御する。
【0016】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は電流検出部を更に備えるため、制御部は、第1電流が所定閾値以上である期間および第2電流が所定閾値以上である期間を適正に判断することができる。
【0017】
また、本開示の一態様に係るスイッチング電源装置では、前記第1方向に流れる前記第1電流または前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値以上である期間に第1信号を前記制御部へ出力し、前記第1方向に流れる前記第1電流が前記所定閾値未満かつ前記第2方向に流れる前記第2電流が前記所定閾値未満である期間に第2信号を前記制御部へ出力する電流検出回路を更に備え、前記制御部は、前記電流検出回路から出力される前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記第5から第6スイッチング素子のオンオフ動作を行う。
【0018】
上記構成によれば、スイッチング電源装置は電流検出回路を更に備えるため、制御部は、第1電流が所定閾値以上である期間および第2電流が所定閾値以上である期間を適正に判断することができる。
【0019】
本開示の一態様に係る充電システムは、上記態様のいずれか一項に記載のスイッチング電源装置と、前記二次電池と、を備える充電システムであって、前記スイッチング電源装置の出力電流を用いた定電流充電と、前記スイッチング電源装置の出力電圧を用いた定電圧充電と、により前記二次電池を充電可能であり、前記二次電池の電池電圧が第1電圧以上第2電圧以下の間は、前記定電流充電で前記二次電池を充電し、前記二次電池の電池電圧が前記第2電圧以上の第3電圧に到達した後は、前記定電圧充電で前記二次電池を充電する。
【0020】
上記構成によれば、定電流充電を行うことにより、過電流充電を防ぐことができる。また、二次電池の充電電圧が第3電圧に到達した後は、定電圧充電を行うことにより、過充電を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示の一態様によれば、共振素子に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、2次側の同期整流回路のオンオフ制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の実施形態1に係る充電システムの構成例を示す図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る充電システムの充電プロファイルの一例を示す図である。
【
図3】DC-DCコンバータに流れる電流の向きの説明に用いる図である。
【
図4】DC-DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートの一例である。
【
図5】本開示の実施形態2に係る充電システムの構成例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態3に係る充電システムの構成例を示す図である。
【
図8】DC-DCコンバータの各部の動作を示すタイミングチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係る充電システム1の構成例を示す図である。
図1に例示される充電システム1は、スイッチング電源装置10Aと、二次電池20とを備える。二次電池20は、スイッチング電源装置10Aの負荷側に接続されている。
【0024】
スイッチング電源装置10Aは、DC-DCコンバータ11Aと、制御部12Aとを有する。DC-DCコンバータ11Aは、フルブリッジ回路を構成しており、逆巻きのトランスTRを有する。トランスTRの1次側には、電流検出部100、4つのスイッチング素子Q10-Q13、ならびに共振回路を構成するコンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンスが接続されている。電流検出部100は、トランスTRの1次側に流れる電流ILmpを検出する。
【0025】
トランスTRの2次側には、平滑コンデンサC2と、同期整流回路を構成し、出力電流の整流に用いられる4つのスイッチング素子Q20-Q23とが接続されている。
【0026】
スイッチング素子Q10は、第1スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q13は、第2スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q12は、第3スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q11は、第4スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q20は、第5スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q23は、第6スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q22は、第7スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q21は、第8スイッチング素子の一例であり、FETからなる。スイッチング素子Q10-Q13およびQ20-Q23は、IGBTやバイポーラトランジスタで構成してもよい。
【0027】
スイッチング素子Q10-Q13のオンオフ動作の周波数は、その時間平均値が固定されており、例えばコンデンサC1およびコイルL1の共振周波数に固定されている。
【0028】
制御部12Aは、例えば、マイクロコンピュータからなる。制御部12Aには、電流検出部100により検出されたトランスTRの1次側に流れる電流ILmpの電流値が入力される。制御部12Aは、8つのスイッチング素子Q10-Q13およびQ20-Q23のオンオフ制御を行う。
【0029】
図2は、充電システム1の充電プロファイルを示す。充電システム1は、定電流充電CC、定電力充電CPおよび定電圧充電CVの3つの充電方法により、二次電池20を充電することができる。
【0030】
充電システム1は、
図2に図示されている充電方法のうち、少なくとも定電流充電CCと定電圧充電CVにより二次電池20を充電することができればよい。また、充電システム1は、
図2に図示されていない充電方法、例えば、パルス充電、トリクル充電により二次電池20を充電することができてもよい。
【0031】
充電システム1は、二次電池20の電池電圧が第1電圧V1以上、かつ、第2電圧V2以下の場合に、定電流充電CCにより二次電池20を充電する。定電流充電CCでは、充電システム1は、スイッチング電源装置10Aの出力電流を利用して、電流値がI1で一定の充電電流を二次電池20へ出力する。
【0032】
充電システム1は、二次電池20の電池電圧が第2電圧V2以上、かつ、第3電圧V3以下の場合に、定電力充電CPにより二次電池20を充電する。定電力充電CPでは、二次電池20の電池電圧が高くなるほど充電電流が低くなる。第3電圧V3は、二次電池20の電池電圧の充電目標値である。
【0033】
充電システム1は、二次電池20の電池電圧が第3電圧V3に到達した場合に、定電圧充電CVにより二次電池20を充電する。定電圧充電CVでは、充電電圧を一定にして充電を行う。定電圧充電CVでは、二次電池20の内部電圧が上昇すると共に、充電電流が減少する。
【0034】
図3を用いて、トランスTRの1次側のスイッチング素子Q10-Q13によるオンオフ動作と、トランスTRの1次側に流れる電流ILmpとの関係について説明する。
図3は、DC-DCコンバータ11Aに流れる電流の向きを示す図である。
図3の上部に示される第1
図300では、スイッチング素子Q10およびQ13がオンになり、スイッチング素子Q11およびQ12がオフになっている。このとき、トランスTRの1次側には、第1方向101に電流ILmpが流れる。このとき、トランスTRの2次側に第3方向201に電流ILmsが流れ、スイッチング素子Q20およびQ23に電流が流れる。
【0035】
図3の下部に示される第2
図301では、スイッチング素子Q11およびQ12がオンになり、スイッチング素子Q10およびQ13がオフになっている。このとき、トランスTRの1次側には、第2方向102に電流ILmpが流れる。このとき、トランスTRの2次側に第4方向202に電流ILmsが流れ、スイッチング素子Q21およびQ22に電流が流れる。
【0036】
スイッチング素子Q20およびQ23は、第1
図300に示すように、第1方向101に電流ILmpが流れているタイミングでオンにしないと、破損する虞がある。一方、スイッチング素子Q21およびQ22は、第2
図301に示すように、第2方向102に電流ILmpが流れているタイミングでオンにしないと、破損する虞がある。以下、充電システム1にて定電流充電CCを行っている場合における、スイッチング電源装置10Aの制御部12Aによるスイッチング素子Q20-Q23の適正なオンオフ動作について説明する。
【0037】
図1に示した共振回路を構成するコンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンスは、定電流充電CCにより二次電池20を充電するときに、トランスTRの巻数比を1と仮定した場合におけるトランスTRの1次側の電圧Vinに対する2次側の電圧Voutの比が例えば1未満となるように、インダクタンスおよびキャパシタンスが設定されている。
【0038】
図4を用いて、スイッチング素子Q20-Q23のオンオフ動作について説明する。
図4は、DC-DCコンバータ11Aの各部の動作を示すタイミングチャートである。
図4には、上段から、スイッチング素子Q10-Q13のゲート・ソース間電圧と、電流検出部100により検出されるトランスTRの1次側に流れる電流ILmpと、トランスTRの2次側に流れる電流ILmsと、スイッチング素子Q20-Q23のドレイン・ソース間電圧とが示されている。
【0039】
図4では、電流ILmpは、
図3の第1方向101に流れているとき正の値で表され、第2方向102に流れているとき負の値で表されている。また、電流ILmsは、
図3の第4方向202に流れているとき正の値で表され、第3方向201に流れているとき負の値で表されている。
【0040】
制御部12Aは、
図4に示すように、スイッチング素子Q10のオンオフ動作と、スイッチング素子Q13のオンオフ動作との間に、所定位相差X1を設けるフェーズシフト制御を行っている。制御部12Aは、スイッチング素子Q10およびQ13がオンとなっている期間に、電流検出部100により検出される電流ILmpが正閾値ITH以上となると、2次側のスイッチング素子Q20およびQ23がオンとなり、第3方向201に流れる電流ILmsの整流を行うように制御する。その後、制御部12Aは、電流ILmpが正閾値ITH未満となると、2次側のスイッチング素子Q20およびQ23がオフとなるように制御する。
【0041】
また、制御部12Aは、
図4に示すように、スイッチング素子Q11のオンオフ動作と、スイッチング素子Q12のオンオフ動作との間に、所定位相差X2を設けるフェーズシフト制御を行っている。制御部12Aは、スイッチング素子Q11およびQ12がオンとなっている期間に、電流検出部100により検出される電流ILmpが負閾値-ITH以下となると、2次側のスイッチング素子Q21よびQ22がオンとなり、第4方向に流れる電流ILmsの整流を行うように制御する。その後、制御部12Aは、電流ILmpが負閾値-ITHより大きくなると、2次側のスイッチング素子Q21およびQ22がオフとなるように制御する。
【0042】
すなわち、制御部12Aは、電流ILmpの絶対値が所定閾値ITH以上の期間に、電流が流れている2次側の同期整流回路のスイッチング素子をオンするように制御する。また、制御部12Aは、電流ILmpの絶対値が所定閾値ITH未満の期間に、電流が流れている2次側の同期整流回路のスイッチング素子をオフするように制御する。
【0043】
また、
図4の期間T1は、フェーズシフト制御されている1次側のスイッチング素子Q10およびQ13の両方がオンとなっている期間DUTYよりも長い。期間T2は、フェーズシフト制御されている1次側のスイッチング素子Q11およびQ12の両方がオンとなっている期間DUTYよりも長い。
【0044】
電流ILmsは、
図1の平滑コンデンサC2により平滑され、
図2に示す定電流充電CCによる二次電池20の充電に利用される。また、スイッチング電源装置10Aの出力電圧は、定電圧充電CVによる二次電池20の充電に利用される。
【0045】
〔実施形態1の作用効果〕
本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置10Aは、負荷側に二次電池20が接続され、二次電池20の充電に利用可能である。スイッチング電源装置10Aは、トランスTRと、トランスTRの1次側に接続される共振回路(コンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンス)と、トランスTRの1次側へ第1方向101に流れる第1電流(第1
図300に示す電流ILmp)のオンオフ動作を行う第1および第2スイッチング素子Q10およびQ13と、トランスTRの1次側へ第1方向101とは逆の第2方向102に流れる第2電流(第2
図301に示す電流ILmp)のオンオフ動作を行う第3および第4スイッチング素子Q12およびQ11と、トランスTRの1次側へ第1方向101または第2方向102の電流ILmpが流れている期間に、トランスTRの2次側に流れる電流の整流を行う同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)と、第1から第4スイッチング素子Q10-Q13および同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)のオンオフ動作を制御する制御部12Aと、を備える。第1から第4スイッチング素子Q10-Q13のオンオフ動作の周波数の時間平均値が固定されている。例えば、第1から第4スイッチング素子Q10-Q13のオンオフ動作の周波数は、共振回路の共振周波数に固定されている。第1スイッチング素子Q10のオンオフ動作と、第2スイッチング素子Q13のオンオフ動作との間に、所定位相差X1を有すると共に、第3スイッチング素子Q12のオンオフ動作と、第4スイッチング素子Q11のオンオフ動作との間に、所定位相差X2を有する。制御部12Aは、第1電流または第2電流(ILmp)が所定閾値ITH以上である期間に、同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)がオンになっているように、同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)を制御する。
【0046】
上記構成によれば、共振回路に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、トランスTRの2次側の同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)のオンオフ動作を実現することができる。
【0047】
また、本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置10Aでは、同期整流回路(スイッチング素子Q20-Q23)は、トランスTRの1次側へ第1方向101の電流ILmpが流れている期間にトランスTRの2次側に流れる電流の整流を行う第5および第6スイッチング素子Q20およびQ23と、トランスTRの1次側へ第2方向102の電流ILmpが流れている期間にトランスTRの2次側に流れる電流の整流を行う第7および第8スイッチング素子Q21およびQ22と、を有する。制御部12Aは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間に、第5スイッチング素子Q20と第6スイッチング素子Q23との両方がオンになっているように、第5および第6スイッチング素子Q20およびQ23を制御し、第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間に、第7スイッチング素子Q21と第8スイッチング素子Q22との両方がオンになっているように、第7および第8スイッチング素子Q21およびQ22を制御する。
【0048】
上記構成によれば、トランスの2次側に、同期整流回路として4つのスイッチング素子Q20-Q23を設けている場合であっても、共振素子に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、同期整流回路のオンオフ動作を実現することができる。
【0049】
また、本開示の実施形態1に係るスイッチング電源装置10Aでは、第1方向101および第2方向102の電流ILmpを検出し、制御部12Aへ電流値を出力する電流検出部100を更に備える。制御部12Aは、電流検出部100による第1方向101の電流ILmpの電流値が所定閾値ITH以上の期間に、第5スイッチング素子Q20と第6スイッチング素子Q23との両方がオンになっているようにこれらのスイッチング素子を制御し、電流検出部100による第2方向102の電流ILmpの電流値が所定閾値ITH以上の期間に、第7スイッチング素子Q21と第8スイッチング素子Q22との両方がオンとなっているように、これらのスイッチング素子を制御する。
【0050】
上記構成によれば、スイッチング電源装置10Aは電流検出部100を更に備えるため、制御部12Aは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間および第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間を適正に判断することができる。
【0051】
本開示の実施形態1に係る充電システム1は、スイッチング電源装置10Aと、二次電池20と、を備える。充電システム1は、
図2に示すように、スイッチング電源装置10Aの出力電流を用いた定電流充電CCと、スイッチング電源装置10Aの出力電圧を用いた定電圧充電CVと、により二次電池20を充電可能である。二次電池20の電池電圧が第1電圧V1以上第2電圧V2以下の間は、定電流充電CCで二次電池20を充電し、二次電池20の電池電圧が第2電圧V2以上の第3電圧V3に到達した後は、定電圧充電CVで二次電池20を充電する。
【0052】
上記構成によれば、定電流充電CCを行うことにより、過電流充電を防ぐことができる。また、二次電池20の充電電圧が第3電圧V3に到達した後は、定電圧充電CVを行うことにより、過充電を防ぐことができる。
【0053】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0054】
図5は、本開示の実施形態2に係る充電システム2の構成例を示す図である。
図5に示す充電システム2は、スイッチング電源装置10Bと、二次電池20とを備える。スイッチング電源装置10Bは、DC-DCコンバータ11Bと、電流検出回路110と、制御部12Bとを有する。
【0055】
電流検出回路110は、
図5に示す測定点CT1に変流器が配置されている。変流器は、電流ILmpを検出している。
【0056】
電流検出回路110は、第1方向101、または、第2方向102に流れる電流ILmpが閾値ITH以上のタイミングに第1信号を出力する。一方、第1方向101に流れる電流ILmpが閾値ITH未満かつ第2方向102に流れる電流ILmpが閾値ITH未満のタイミングに、第2信号を出力する。
【0057】
制御部12Bは、トランスTRの1次側のスイッチング素子Q10-Q13のオンオフ状態と電流検出回路110から出力される第1信号および第2信号に基づいて、トランスTRの2次側のスイッチング素子Q20-Q23のオンオフ動作を行う。例えば、トランスTRの1次側のスイッチング素子Q10およびQ13がオンのタイミングで電流検出回路110から出力される信号が第2信号から第1信号に切り替わるタイミングにスイッチング素子Q20およびQ23をオンする。
【0058】
図6は、電流検出回路110の一構成例を示す図である。
図6に示す電流検出回路110は、コンパレータ111を有する。コンパレータ111は、オペアンプ605の非反転入力端子の電圧が電流ILmpの閾値ITHに応じた基準電圧となるように設計されている。オペアンプ605の反転入力端子の電圧は、変流器により検出された電流ILmpに応じた電圧が入力される。コンパレータ111のオペアンプ605は、電流ILmpが閾値ITHより大きくなると、第1信号を出力する。
【0059】
〔実施形態2の作用効果〕
また、本開示の実施形態2に係るスイッチング電源装置10Bでは、第1方向101または第2方向102に流れる電流ILmpが所定閾値ITH以上の期間に第1信号を制御部12Bへ出力し、第1方向101に流れる電流ILmpが所定閾値ITH未満かつ第2方向102に流れる電流ILmpが所定閾値ITH未満の期間に第2信号を制御部12Bへ出力する電流検出回路110を更に備える。制御部12Bは、トランスTRの1次側のスイッチング素子Q10-Q13のオンオフ状態と電流検出回路110から出力される第1信号および第2信号に基づいて、第5から第8スイッチング素子Q20-Q23のオンオフ動作を行う。
【0060】
上記構成によれば、スイッチング電源装置10Bは電流検出回路110を更に備えるため、制御部12Bは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間および第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間を適正に判断することができる。
【0061】
〔実施形態3〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
図7は、本開示の実施形態3に係る充電システム3の構成例を示す図である。
図7に示す充電システム3は、スイッチング電源装置10Cと、二次電池20とを備える。スイッチング電源装置10Cは、DC-DCコンバータ11Cと、制御部12Cとを有する。
【0063】
DC-DCコンバータ11Cは、2次側にセンタータップ端子70を有するセンタータップ型のトランスTR2を有する。トランスTR2の1次側には、電流検出部100、4つのスイッチング素子Q10-Q13、ならびに共振回路を構成するコンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR2内蔵の励磁インダクタンスが接続されている。
【0064】
トランスTR2の2次側には、平滑コンデンサC3と、同期整流回路を構成し、出力電流の整流に用いられる2つのスイッチング素子Q30およびQ31が接続されている。
【0065】
図8は、DC-DCコンバータ11Cの各部の動作を示すタイミングチャートである。制御部12Cは、
図8に示すように、スイッチング素子Q10のオンオフ動作と、スイッチング素子Q13のオンオフ動作との間に、所定位相差X1を設けるフェーズシフト制御を行っている。制御部12Aは、スイッチング素子Q10およびQ13がオンとなっている期間に、
図3に示した第1方向101の電流ILmpが閾値ITH以上となると、2次側のスイッチング素子Q30がオンとなるように制御する。その後、制御部12Cは、第1方向101の電流ILmpが閾値ITH未満となると、2次側のスイッチング素子Q30がオフとなるように制御する。
【0066】
制御部12Cは、
図8に示すように、スイッチング素子Q11のオンオフ動作と、スイッチング素子Q12のオンオフ動作との間に、所定位相差X2を設けるフェーズシフト制御を行っている。制御部12Cは、スイッチング素子Q11およびQ12がオンとなっている期間に、
図3に示した第2方向102の電流ILmpが閾値ITH以上となると、2次側のスイッチング素子Q31がオンとなるように制御する。その後、制御部12Cは、第2方向の電流ILmpが閾値ITH未満となると、2次側のスイッチング素子Q31がオフとなるように制御する。
〔実施形態3の作用効果〕
また、本開示の実施形態3に係るスイッチング電源装置10Cでは、トランスTR2は、2次側にセンタータップ端子70を有する。同期整流回路(スイッチング素子Q30およびQ31)は、トランスTR2の1次側へ第1方向101に電流ILmpが流れている期間にトランスTR2の2次側に流れる電流の整流を行うスイッチング素子Q30と、トランスTR2の1次側へ第2方向102に電流ILmpが流れている期間にトランスTR2の2次側に流れる電流の整流を行うスイッチング素子Q31とを有する。制御部12Cは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間に、スイッチング素子Q30がオンになっているように、スイッチング素子Q30を制御し、第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間に、スイッチング素子Q31がオンになっているように、スイッチング素子Q31を制御する。
【0067】
上記構成によれば、トランスTR2の2次側にセンタータップ端子70を有し、そのトランスTR2の2次側に設ける同期整流回路として2つのスイッチング素子Q30およびQ31を設けている場合であっても、共振素子に流れる電流がピーク値等になっている時刻を検出することなく、同期整流回路のオンオフ動作を実現することができる。
【0068】
また、本開示の実施形態3に係るスイッチング電源装置10Cでは、第1方向101および第2方向102の電流ILmpを検出し、制御部12Cへ電流値を出力する電流検出部100を更に備える。制御部12Cは、電流検出部100による第1方向101の電流ILmpの電流値が所定閾値ITH以上の期間に、第5スイッチング素子Q30がオンになっているようにスイッチング素子Q30を制御し、電流検出部100による第2方向102の電流ILmpの電流値が所定閾値ITH以上の期間に、第6スイッチング素子Q31がオンとなっているように、スイッチング素子Q31を制御する。
【0069】
上記構成によれば、スイッチング電源装置10Cは、電流検出部100を更に備えるため、制御部12Cは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間および第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間を適正に判断することができる。
【0070】
〔変形例〕
上記の実施形態1に係る充電システム1および実施形態3に係る充電システム3では、制御部12Aは、電流検出部100により検出された電流ILmpが
図3の第1方向101に閾値ITH以上の期間T1の間、2次側のスイッチング素子Q20およびQ23がすべてオンとなる期間が含まれるように制御することにした。また、制御部12Aは、電流検出部100により検出された電流ILmpが
図3の第2方向102に閾値ITH以上の期間T2の間、2次側のスイッチング素子Q21およびQ22がすべてオンとなる期間が含まれるように制御することにした。換言すると、制御部12Aは、
図4においては電流ILmpが負閾値-ITH以下の期間として図示される期間T2の間、2次側のスイッチング素子Q21およびQ22がすべてオンとなる期間が含まれるように制御することにした。しかし、充電システム1の設計開発時に期間T1およびT2を測定し、制御部12Aは、設計開発時に測定した期間T1およびT2に基づいて、2次側のスイッチング素子Q20-Q23のスイッチング制御を行うことにしてもよい。
【0071】
上記の実施形態1に係る充電システム1、実施形態2に係る充電システム2および実施形態3に係る充電システム3は、上述の構成に限定されず、スイッチング電源装置10Aおよび10Bならびに二次電池20以外の他の構成要素を更に備えることにしてもよい。例えば、力率補正回路を更に備えることにしてもよい。
【0072】
上記の実施形態1に係る充電システム1、実施形態2に係る充電システム2および実施形態3に係る充電システム3は、では、共振回路は、コイルL1、コンデンサC1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンスとで構成されることとした。しかし、共振回路は、この構成に限定されず、これら以外の素子を含むことにしてもよいし図示せぬ寄生要素を用いてもよい。例えばコイルL1の代わりに図示せぬトランスTR内蔵の漏れインダクタンスを用いて共振回路を構成してもよい。トランスTRは巻き線の巻き方を限定するものではない。また、複数のトランスで構成してもよい。
【0073】
上記の実施形態1に係る充電システム1、実施形態2に係る充電システム2および実施形態3に係る充電システム3では、共振回路を構成するコンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンスは、定電流充電CCにより二次電池20を充電するときに、トランスTRの巻数比を1と仮定した場合におけるトランスTRの1次側の電圧Vinに対する2次側の電圧Voutの比が例えば1未満となるように、インダクタンスおよびキャパシタンスが設定されているものとした。しかし、共振回路を構成するコンデンサC1、コイルL1および図示せぬトランスTR内蔵の励磁インダクタンスは、この構成に限定されない。例えば、定電流充電CCにより二次電池20を充電するときに、トランスTRの巻数比を1と仮定した場合におけるトランスTRの1次側の電圧Vinに対する2次側の電圧Voutの比が例えば1以上となるように、インダクタンスおよびキャパシタンスが設定されていることにしてもよい。
【0074】
上記の実施形態3に係る充電システム3では、トランスTR2の1次側に電流検出部100を設けて、トランスTRの1次側に流れる電流ILmpを検出することにした。しかし、実施形態3に係る充電システム3において、電流ILmpを検出する方法は、電流検出部100だけに限定されない。例えば、実施形態2に係る充電システム2と同様に、電流検出回路110を用いて電流ILmpを検出することにしてもよい。スイッチング電源装置10Cが電流検出回路110を備えることにより、制御部12Cは、第1方向101の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間および第2方向102の電流ILmpが所定閾値ITH以上である期間を適正に判断することができる。
【0075】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1、2 充電システム
10A、10B スイッチング電源装置
11A、11B DC-DCコンバータ
12A、12B 制御部
20 二次電池
100 電流検出部
110 電流検出回路
111 コンパレータ
C1 コンデンサ
C2 平滑コンデンサ
ILmp、ILms 電流
L1 コイル
Q10、Q11、Q12、Q13、Q20、Q21、Q22、Q23、Q30、Q31 スイッチング素子
TR、TR2 トランス
T1、T2 期間
X1、X2 位相差