(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025041
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ポケットファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 7/00 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B42F7/00 E
B42F7/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128141
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 邦博
(72)【発明者】
【氏名】長和 伸晃
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA02
2C017QD04
(57)【要約】
【課題】ポケットに物品を簡単に収納することができるポケットファイルを提供する。
【解決手段】本開示に係るポケットファイル1は、表表紙部21及び裏表紙部22を有する表紙体2と、該表紙体2に配され、前記表表紙部21と前記裏表紙部22との境界に向けて開口するポケット3とを備えるポケットファイル1において、前記ポケット3の開口の天地方向の長さ(長さA)は、前記ポケット3の前小口(右辺30)の天地方向の長さ(長さB)よりも大きいことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表表紙部及び裏表紙部を有する表紙体と、
該表紙体に配され、前記表表紙部と前記裏表紙部との境界に向けて開口するポケットと
を備えるポケットファイルにおいて、
前記ポケットの開口の天地方向の長さは、前記ポケットの前小口の天地方向の長さよりも大きいことを特徴とするポケットファイル。
【請求項2】
前記ポケットは矩形状をなし、
前記ポケットの前記前小口である一辺が天地方向に延び、
前記ポケットの天地方向の両側の2辺の内、少なくとも一方は、
前記一辺に直交して連続する第1部分と、
該第1部分に傾斜して連続する第2部分と
を有することを特徴とする請求項1に記載のポケットファイル。
【請求項3】
前記前小口から前記第1部分及び前記第2部分の境目までの距離は、該境目から前記開口までの距離以上であり、
前記ポケットは、前記表紙体が閉じた場合に前記表表紙部及び前記裏表紙部によって全体的に覆われることを特徴とする請求項2に記載のポケットファイル。
【請求項4】
前記表紙体は前記境界に帯状の背表紙部を有し、
該背表紙部の幅方向の両側に前記表表紙部と前記裏表紙部とが位置し、
前記ポケットは、夫々の一面が互いに対向し、且つ前記表紙体が閉じた場合に前記表表紙部及び前記裏表紙部に対向する2枚のシートを備え、
該2枚のシートの一方から前記境界に向けて固定片が延出しており、
該固定片は天地方向に延びる帯状をなし、
前記固定片の、前記第1部分よりも天地方向の中央側の部分が前記背表紙部に固定されることによって、前記ポケットが前記表紙体に固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のポケットファイル。
【請求項5】
前記2辺の内、
一方は前記第1部分及び前記第2部分を有し、
他方は前記第1部分を有して前記第2部分を有せず、
前記固定片の長手方向の前記一方に近い側の端部から、前記固定片が前記背表紙部に固定されている部分までの距離は、前記固定片の長手方向の前記他方に近い側の端部から前記固定片が前記背表紙部に固定されている部分までの距離よりも長いことを特徴とする請求項4に記載のポケットファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポケットファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート又は冊子等の物品を収納するためにポケットファイルが用いられている。特許文献1に記載のポケットファイル(文中「見開き状クリアポケットファイル」)は、表表紙部、裏表紙部、及び背表紙部を有する表紙体と、透明性を有し、背表紙部に溶着されているシート状ポケット群とを備える。
ポケットファイルの使用者は、本のページを開くようにして所望の物品が収納されているポケットを開き、閲覧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のポケットファイルは、いわゆる横入れ式のクリアブックであり、各ポケットは表表紙部と裏表紙部との境界に向けて開口する。故に、各ポケットが上向きに開口する縦入れ式のポケットファイルに比べてポケットに物品を収納しにくい。
【0005】
本開示の目的は、ポケットに物品を簡単に収納することができるポケットファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るポケットファイルは、表表紙部及び裏表紙部を有する表紙体と、該表紙体に配され、前記表表紙部と前記裏表紙部との境界に向けて開口するポケットとを備えるポケットファイルにおいて、前記ポケットの開口の天地方向の長さは、前記ポケットの前小口の天地方向の長さよりも大きいことを特徴とする。
【0007】
本開示にあっては、表紙体が表表紙部及び裏表紙部を有する。ポケットは表紙体に配されている。また、ポケットは、表表紙部と裏表紙部との境界に向けて開口する。
ポケットの開口の天地方向の長さはポケットの前小口の天地方向の長さよりも大きい。故に、ポケットの開口の天地方向の長さがポケットの前小口の天地方向の長さ以下である場合よりもポケットの開口が広いので、ポケットに物品を簡単に収納することができる。
【0008】
本開示に係るポケットファイルは、前記ポケットは矩形状をなし、前記ポケットの前記前小口である一辺が天地方向に延び、前記ポケットの天地方向の両側の2辺の内、少なくとも一方は、前記一辺に直交して連続する第1部分と、該第1部分に傾斜して連続する第2部分とを有することを特徴とする。
【0009】
本開示にあっては、ポケットが矩形状をなす。ポケットの4辺の内、一辺がポケットの前小口である。ポケットの前小口である一辺は天地方向に延びる。
以下では、ポケットファイルの天地方向が上下に向くものとして説明し、ポケットの天地方向の両側の2辺を上辺及び下辺という。また、ポケットの前小口と開口との対向方向を左右方向という。
上辺及び下辺の少なくとも一方は、第1部分と第2部分とを有する。第1部分はポケットの前小口である一辺に直交して連続する。つまり第1部分は左右方向に延びる。第2部分は第1部分に傾斜して連続する。
【0010】
ポケットの上辺が第2部分を有する場合、第2部分は第1部分から開口に向けて上向きに傾斜する。使用者が物品をポケットに挿入する際、ポケットの内側において、物品の縁が第2部分に摺動することにより、第2部分が物品の円滑な挿入を案内するガイドとして機能する。また、物品が前小口側に進入するにつれて物品の縁が第1部分に摺動することにより、第1部分が物品の左右方向の移動を案内するガイドとして機能する。故に、物品が真横ではなく斜め下にポケットに挿入された場合であっても、物品の向きを正した状態で物品を簡単に収納することができる。
【0011】
ポケットの下辺が第2部分を有する場合は、上下が逆である点を除いて、ポケットの上辺が第2部分を有する場合と同様の作用効果を奏する。
以下では、ポケットの上辺が第2部分を有する場合を例示して説明する。
【0012】
本開示に係るポケットファイルは、前記前小口から前記第1部分及び前記第2部分の境目までの距離は、該境目から前記開口までの距離以上であり、前記ポケットは、前記表紙体が閉じた場合に前記表表紙部及び前記裏表紙部によって全体的に覆われることを特徴とする。
【0013】
本開示にあっては、前小口から第1部分及び第2部分の境目までの距離は、第1部分及び第2部分の境目から開口までの距離以上である。即ち、ポケットの上辺においては、開口から前小口に向けて左右方向の半分未満が傾斜しており、残りが左右方向に延びる。故に、物品がポケットに真横に挿入された場合でも斜め下に挿入された場合でも、物品の縁が第1部分に接触することにより、物品を左右方向に円滑に移動させることができる。
表紙体を閉じることにより、表表紙部及び裏表紙部によってポケットを全体的に覆うことができる。故に、ポケットを異物との衝突又は摩擦等から保護することができる。
【0014】
本開示に係るポケットファイルは、前記表紙体は前記境界に帯状の背表紙部を有し、該背表紙部の幅方向の両側に前記表表紙部と前記裏表紙部とが位置し、前記ポケットは、夫々の一面が互いに対向し、且つ前記表紙体が閉じた場合に前記表表紙部及び前記裏表紙部に対向する2枚のシートを備え、該2枚のシートの一方から前記境界に向けて固定片が延出しており、該固定片は天地方向に延びる帯状をなし、前記固定片の、前記第1部分よりも天地方向の中央側の部分が前記背表紙部に固定されることによって、前記ポケットが前記表紙体に固定されていることを特徴とする。
【0015】
本開示にあっては、表紙体が表表紙部と裏表紙部との境界に帯状の背表紙部を有し、背表紙部の幅方向の両側に表表紙部と裏表紙部とが位置する。背表紙部の長手方向は上下方向に沿う。
ポケットは2枚のシートを備え、2枚のシート夫々の一面が互いに対向する。表紙体が閉じた場合、2枚のシートは表表紙部及び裏表紙部に対向する。
2枚のシートの一方からは、表表紙部と裏表紙部との境界に向けて固定片が延出している。固定片は上下に延びる帯状をなすので、固定片の幅方向は固定片の延出方向に沿う。
【0016】
固定片の、第1部分の上下方向の位置よりも中央側の部分は、背表紙部に固定されている。換言すれば、固定片の上端部は背表紙部に固定されていない。故に、使用者が物品をポケットに挿入する際、2枚のシートを互いに離隔させるようにしてポケットの開口を開いたときに、ポケットの開口の上端部が表紙体から浮き上がる。故に、ポケットの開口を2枚のシートの離隔方向に大きく広げることができる。しかも、ポケットの、開口の縁部と第2部分との間にある部分が表紙体から浮き上がって開口が開きやすくなるので、ポケットの内側から第2部分に物品を接触させやすい。
【0017】
本開示に係るポケットファイルは、前記2辺の内、一方は前記第1部分及び前記第2部分を有し、他方は前記第1部分を有して前記第2部分を有せず、前記固定片の長手方向の前記一方に近い側の端部から、前記固定片が前記背表紙部に固定されている部分までの距離は、前記固定片の長手方向の前記他方に近い側の端部から前記固定片が前記背表紙部に固定されている部分までの距離よりも長いことを特徴とする。
【0018】
本開示にあっては、ポケットの上辺が第1部分と第2部分とを有し、ポケットの下辺は第1部分を有して第2部分を有しない。つまり、ポケットの上辺は開口に近い部分が傾斜しているが、ポケットの下辺は前小口から開口まで全長にわたって左右方向に延びる。
【0019】
固定片の上端から固定片が背表紙に固定されている部分までの距離は、固定片の下端から固定片が背表紙に固定されている部分までの距離よりも長い。故に、ポケットの開口の上端部は、背表紙部から大きく浮き上がるので、2枚のシートの離隔方向に広がりやすい。従って、使用者が、物品の縁が第2部分に沿うようにして物品をポケットに挿入しやすい。一方、ポケットの開口の下端部は、背表紙部から小さく浮き上がる。故に、ポケットの開口の下端部がばたつく虞がない。
【0020】
物品が前小口側に進入するにつれて、上下両側の第1部分が物品の左右方向への進入を案内するガイドとして機能するので、物品の上下方向の位置ずれを簡単に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示のポケットファイルによれば、ポケットに物品を簡単に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施の形態に係る開いた状態のポケットファイルの正面図である。
【
図2】ポケットファイルの模式的な分解底面図である。
【
図3】ポケットファイルのポケット近傍の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、図において矢符で示す上下、前後、及び左右を使用する。
【0024】
図1は実施の形態に係る開いた状態のポケットファイルの正面図である。
図中1はポケットファイルである。ポケットファイル1は、いわゆる横入れ式のクリアブックであり、表紙体2と複数のポケット3とを備える。各ポケット3は透明又は半透明である。
使用者は、本のページを開くようにして所望の物品が収納されているポケット3を開き、閲覧する。又は、使用者はポケット3に対して物品を出し入れする。
【0025】
表紙体2は、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23を一体に有する。表表紙部21及び裏表紙部22は互いに合同な矩形板である。背表紙部23は帯板である。ここで、ポケットファイル1の天地方向とは、背表紙部23の長手方向に沿う方向である。
表表紙部21及び裏表紙部22は、背表紙部23の幅方向の両側に位置している。換言すれば、背表紙部23は表表紙部21と裏表紙部22との境界に位置している。
背表紙部23の長手方向の長さは表表紙部21及び裏表紙部22夫々の長手方向の長さに等しい。表表紙部21及び裏表紙部22夫々の長手方向は、何れもポケットファイル1の天地方向に沿う。
【0026】
表紙体2の素材として、例えば合成樹脂製の矩形平板が用いられる。夫々が矩形平板の短辺に平行な2本の折り目2a(
図1及び後述する
図3に示す一点鎖線参照)が、矩形平板の長辺に沿う方向の中央部に形成されることにより、表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23を一体に有する表紙体2が形成される。2本の折り目2aの一方は、表表紙部21と背表紙部23との境界であり、2本の折り目2aの他方は、裏表紙部22と背表紙部23との境界である。表紙体2は、2本の折り目2aにて曲げ伸ばしされることにより、開閉する。
【0027】
図1には開いている状態の表紙体2の内面側が、天地方向が上下に向くようにして示されている。表表紙部21、裏表紙部22、及び背表紙部23は、表表紙部21が背表紙部23の左側に位置し、裏表紙部22が背表紙部23の右側に位置するようにして、左右に並んでいる。この場合、表表紙部21の前小口は左辺であり、裏表紙部22の前小口は右辺である。
【0028】
各ポケット3は矩形状、且つシート状をなし、後述するようにして背表紙部23に固定的に取り付けられている。表紙体2が閉じた場合、ポケット3は表表紙部21及び裏表紙部22によって全体的に覆われる。表紙体2が開いた場合、ポケット3は表表紙部21及び裏表紙部22の何れか一方に対向する。
ポケット3は背表紙部23に向けて開口する。ポケット3には扁平な物品(例えばA4サイズ、B5サイズ等の定型のシート又は冊子)が開口を通して収納可能である。
【0029】
表紙体2が開いている場合、表表紙部21に対向するポケット3は右向きに開口し、その前小口は左辺である。一方、裏表紙部22に対向するポケット3は左向きに開口し、その前小口は右辺30である。表表紙部21に対向するポケット3の構成及び作用効果と裏表紙部22に対向するポケット3の構成及び作用効果とは互いに左右逆向きである。
以下では、表紙体2が開いている場合に裏表紙部22に対向するポケット3を例示して詳述する。また、表表紙部21に対向するポケット3と裏表紙部22に対向するポケット3とを特に互いから区別する場合を除いて、裏表紙部22に対向するポケット3を単にポケット3という。
【0030】
図2はポケットファイル1の模式的な分解底面図である。
図2には開いている状態の表紙体2が、内面が前を向き、外面が後ろを向くようにして示されている。
ポケット3は、第1シート部31及び第2シート部32(2枚のシート)を備える。第1シート部31及び第2シート部32夫々は透明又は半透明である。第1シート部31及び第2シート部32夫々の一面は互いに対向している。
【0031】
図3はポケットファイル1のポケット3近傍の正面図である。
第2シート部32は概ね矩形であり、第1シート部31(
図2参照)の正面視の形状は第2シート部32の正面視の形状と合同である。第1シート部31及び第2シート部32夫々の上辺部は互いに固定されており、第1シート部31及び第2シート部32夫々の下辺部は互いに固定されている。
【0032】
本実施の形態では、第1シート部31と第2シート部32との固定は溶着による。第1シート部31と第2シート部32との溶着部11はシートの縁に沿って破線状に設けられているが、これに限定されず、例えば直線状に設けられてもよい。溶着部11はシートの縁から数mm内側に位置する。ポケット3のサイズは例えば約300mm×約200mmなので、説明を簡単にするために、以下ではポケット3の内法と外法とが互いに等しいものとする。
表紙体2が閉じた場合、第1シート部31及び第2シート部32は表表紙部21及び裏表紙部22に対向する。
【0033】
図2に示すように、本実施の形態では各第1シート部31の前面及び後面夫々に対して1枚の第2シート部32が対向している。即ち、1枚の第1シート部31を互いに隣り合う2つのポケット3が共有している。2枚の第2シート部32は1枚の矩形状シートを折り曲げてなり、折り曲げられた矩形状シートの輪(屈曲している部分)が第2シート部32の右辺30を構成している。この矩形状シートは、例えば合成樹脂製である。
なお、第1シート部31及び2枚の第2シート部32が3枚の別体の矩形状シートからなり、第1シート部31及び第2シート部32夫々の3辺が互いに固定されてポケット3が形成されてもよい。
【0034】
図3に示すように、ポケット3の左辺及び右辺30夫々は全長にわたって上下に延び、これらは互いに平行である。
ポケット3の上辺33は第1部分331及び第2部分332を有する。第1部分331は、ポケット3の右辺30に直交するようにして、ポケット3の右辺30の上端から左向きに延びる。第2部分332は第1部分331の左端から左上向きに延びる。第2部分332の傾斜角度は、例えば10°である。
ポケット3の下辺34は全長にわたって右辺30に直交している。即ち、ポケット3の下辺34はポケット3の右辺30に直交して連続する第1部分を有しており、第1部分に傾斜して連続する第2部分を有していない。
以上の結果、本実施の形態のポケット3は正確には凹五角形である。
【0035】
ポケット3の上辺33が第2部分332を有していることにより、ポケット3の開口の上下方向の長さAは、ポケット3の右辺30の上下方向の長さBよりも大きい。故に、A≦Bである場合よりもポケット3の開口が広いので、ポケット3に物品を簡単に収納することができる。
第1部分331の左右方向の長さ(ポケット3の右辺30から第1部分331と第2部分332との境目までの距離)は、第2部分332の左右方向の長さ(第1部分331と第2部分332との境目からポケット3の開口までの距離)以上である。即ち、ポケット3の上辺33の半分以上(本実施の形態では75%程度)が第1部分331である。
【0036】
図2に示すように、第1シート部31の左辺からは固定片35が左向きに延出している。
図3に示すように、固定片35は上下方向に延びる帯状をなす。固定片35の幅方向は左右に向く。
図2においては図の見易さのために固定片35にハッチングを付してある。固定片35の右側には裏表紙部22に対向するポケット3の第1シート部31が連続しており、固定片35の左側には表表紙部21に対向するポケット3の第1シート部31が連続している。即ち、固定片35は互いに隣り合う4つのポケット3に共通である。
【0037】
2枚の第1シート部31とこれらの間にある固定片35とは1枚の矩形状シートからなる。この矩形状シートは、例えば合成樹脂製である。
図2にはこの矩形状シートが2つ示されているが、3つ以上でもよく、1つでもよい。
なお、第1シート部31及び第2シート部32が1枚の矩形状シートを折り曲げてなり、第1シート部31及び第2シート部32夫々の上辺同士と下辺同士とが互いに固定されてポケット3が形成されてもよい。
【0038】
固定片35の幅は背表紙部23の幅以上である。
図3に示すように、固定片35の上下方向の長さはポケット3の上下方向の最大長さに等しく、背表紙部23の上下方向の長さより短い。
ポケット3の左右方向の長さは裏表紙部22の左右方向の長さよりも短い。表表紙部21に対向するポケット3の左辺から裏表紙部22に対向するポケット3の右辺30までの長さは、表紙体2の左右方向の長さより短い。ポケット3の右辺30、上辺33、及び下辺34と表紙体2の右辺、上辺、及び下辺とは適長離隔している。
【0039】
ポケット3は、固定片35が背表紙部23の内面に固定されることによって、表紙体2に固定されている。本実施の形態では、背表紙部23と固定片35との固定は溶着による。背表紙部23と固定片35との固定部12は背表紙部23及び固定片35夫々の幅方向の中心に位置している(
図1参照)。固定部12は、例えば図示しない多数の点状の溶着部からなる。
【0040】
固定部12は上下に延び、背表紙部23及び固定片35夫々の上下方向の中央部に位置している。換言すれば、固定片35の上下両端部は背表紙部23に溶着されていない。更に詳細には、固定部12の上端の上下方向の位置は、ポケット3の上辺33の第1部分331の上下方向の位置よりも下側であり、固定部12の下端の上下方向の位置は、ポケット3の下辺34の上下方向の位置よりも上側である。つまり、固定片35の、第1部分331及び下辺34夫々よりも上下方向の中央側の部分が背表紙部23に固定されている。
【0041】
ただし、固定片35の上端から固定部12の上端までの距離Cは、固定片35の下端から固定部12の下端までの距離Dよりも長い。即ち固定片35の、ポケット3の上辺33に近い側の端部から、固定片35が背表紙部23に固定されている部分までの距離Cは、固定片35の、ポケット3の下辺34に近い側の端部から、固定片35が背表紙部23に固定されている部分までの距離Dよりも長い。
図2に示すように、複数の固定片35が前後に重なるようにして、同時的に背表紙部23に固定される。
【0042】
図4はポケット3の第2部分332近傍の正面図である。
図4にはポケット3に挿入されている途中の物品41が二点鎖線で示されている。
図3にはポケット3に収納された物品41が二点鎖線で示されている。
図4に示すように、使用者が物品41をポケット3に挿入する際、ポケット3の内側において、物品41の縁が第2部分332に摺動することにより、第2部分332が物品41の円滑な挿入を案内するガイドとして機能する。
【0043】
また、物品41がポケット3に右向きに進入するにつれて物品41の縁が第1部分331に摺動することにより、第1部分331が物品41の右方向の移動を案内するガイドとして機能する。故に、物品41が右方向ではなく右斜め下方向にポケット3に挿入された場合であっても、
図3に示すように、物品41の向きを正した状態で物品41を簡単に収納することができる。
【0044】
しかも、第1部分331はポケット3の上辺33の半分以上を占め、更に、ポケット3の下辺34は全長にわたって左右方向に延びる。故に、物品41がポケット3に右方向に挿入された場合でも右斜め下方向に挿入された場合でも、物品41の縁が第1部分331又はポケット3の下辺34に接触することにより、物品41を右方向に円滑に移動させることができる。
特に、ポケット3のサイズに対応するサイズを有する物品41が右方向に移動している場合には、物品41が第1部分331とポケット3の下辺34との間に挟まれるので、物品41の上下方向の位置ずれを簡単に防止することができる。
【0045】
表紙体2を閉じることにより、表表紙部21及び裏表紙部22によってポケット3を全体的に覆うことができる。故に、ポケット3を異物との衝突又は摩擦等から保護することができる。
【0046】
ポケット3の第1部分331と表紙体2の上辺との距離は、ポケット3の第2部分332と表紙体2の上辺との距離よりも長い。従って、ポケットファイル1は、例えばポケット3に付箋紙を張り付けることによってタブ42を設ける場合に好適である(
図1参照)。タブ42の自由端がポケット3の上辺33の第1部分331と表紙体2の上辺との間に位置していれば、表紙体2を閉じることにより、表表紙部21及び裏表紙部22によってタブ42を全体的に覆うことができる。故に、タブ42を異物との衝突又は摩擦等から保護することができる。しかも、第1部分331は左右方向に長いので、例えば複数のポケット3夫々に設けられたタブ42を、互いに少なくとも一部が重ならないようにして左右方向に並べることが容易である。
【0047】
図5はポケット3の模式的な側面図である。
図5にはポケット3を左側から見た状態が示されている。
上述したように、固定片35の上下両端部は背表紙部23に固定されていない。故に、使用者が物品をポケット3に挿入する際、第1シート部31と第2シート部32とが互いから前後に相対的に離隔するようにしてポケット3の開口が開いたときに、ポケット3の開口の上下両端部が表紙体2から浮き上がる。故に、ポケット3の開口を前後方向に大きく広げることができる。
【0048】
しかも、C>D(
図3参照)により、ポケット3の開口の上端部は背表紙部23から大きく浮き上がり、ポケット3の開口の下端部は背表紙部23から小さく浮き上がる。つまり、ポケット3の、開口の縁部と第2部分332との間にある部分が表紙体2から浮き上がって開口が開きやすくなるので、使用者が、物品の縁が第2部分332に沿うようにして物品をポケット3に挿入しやすい。一方、ポケット3の開口の下端部がばたつく虞がない。
【0049】
なお、ポケット3の形状は
図3に示すポケット3が上下反転したような形状でもよい。
第1部分331の左右方向の長さは、第2部分332の左右方向の長さ未満でもよい。
【0050】
図6はポケット3の他の構成を示す正面図である。
図6Aに示すポケット3は上下対称形状をなし、上辺33が第1部分331及び第2部分332を有するのみならず、下辺34も第1部分341及び第2部分342を有する。この場合、上辺33の第2部分332が、右斜め下方向にポケット3に挿入された物品のガイドとして機能し、下辺34の第2部分342が、右斜め上方向にポケット3に挿入された物品のガイドとして機能する。故に、物品が更に挿入しやすい。
【0051】
図6Bに示すポケット3は直角台形状をなし、上辺が直角台形の斜辺である。このようなポケット3であっても、ポケット3の開口の上下方向の長さAは、ポケット3の右辺30の上下方向の長さBよりも大きい。故に、A≦Bである場合よりもポケット3の開口が広いので、ポケット3に物品を簡単に収納することができる。
【0052】
なお、ポケット3は不透明でもよい。
表表紙部21は背表紙部23の右側に位置し、裏表紙部22は背表紙部23の左側に位置してもよい。
第1シート部31と第2シート部32との固定方法、及び背表紙部23と固定片35との固定方法は、何れも溶着に限定されない。
固定片35は全長にわたって背表紙部23に固定されてもよい。或いはC≦Dでもよい。
【0053】
ポケット3は表紙体2に着脱可能に取り付けられてもよい。この場合、例えば固定片35に貫通孔が設けられ、固定片35の貫通孔を貫通する開閉可能なリングを有する綴じ具が背表紙部23の内面に固定される。
表紙体2は背表紙部23を備えていなくてもよい。この場合、固定片35は表表紙部21又は裏表紙部22に取り付けられる。
【0054】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。更に、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 ポケットファイル
2 表紙体
21 表表紙部
22 裏表紙部
23 背表紙部
3 ポケット
30 右辺(ポケットの前小口である一辺)
31 第1シート部(「2枚のシート」の一方)
32 第2シート部(「2枚のシート」の他方)
33 上辺(ポケットの天地方向の両側の2辺の内、一方)
331 第1部分
332 第2部分
34 下辺(ポケットの天地方向の両側の2辺の内、他方)
341 第1部分
342 第2部分
35 固定片
41 物品