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  • 特開-複合ケーブル 図1
  • 特開-複合ケーブル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025042
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】複合ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20240216BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240216BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240216BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240216BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01B7/00 310
H02G9/06
H02G1/06
H02G3/04
H01B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128143
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 太郎
(72)【発明者】
【氏名】森口 至郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 仁
(72)【発明者】
【氏名】堤 惇樹
【テーマコード(参考)】
5G309
5G313
5G352
5G357
5G369
【Fターム(参考)】
5G309KA04
5G313AA01
5G313AB01
5G313AC07
5G313AD01
5G313AE04
5G352CB01
5G352CH03
5G357DB01
5G357DB02
5G357DD13
5G369AA06
5G369BA04
(57)【要約】
【課題】複数のケーブルを敷設する際の作業性を向上できる複合ケーブルを提供する。
【解決手段】複合ケーブルは、電力ケーブル並びに通信ケーブル、ガス管及び水道管のうちの少なくとも1つを含む複数のケーブル類と、帯状の保護部材を、複数の前記ケーブル類の最外周に長手方向に隙間なく巻き付けることにより形成されるケーブル保護部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力ケーブル並びに通信ケーブル、ガス管及び水道管のうちの少なくとも1つを含む複数のケーブル類と、
帯状の保護部材を、複数の前記ケーブル類の最外周に長手方向に隙間なく巻き付けることにより形成されるケーブル保護部と、を備える、
複合ケーブル。
【請求項2】
前記保護部材は、光透過性を有する、
請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記保護部材は、厚さが3mm以下である、
請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記保護部材は、前記ケーブル類との接触面に、粘着層を有していない、
請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項5】
複数の前記ケーブル類の間に、介在物が存在しない、
請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項6】
複数の前記ケーブル類は、撚られている、
請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のケーブルが一体化された複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に設けられた管路、洞道又はトラフ(以下、「管路等」と称する)に、電力ケーブルを敷設した地中電線路が知られている。管路等には、電力ケーブルとともに、通信ケーブルや、水道管及びガス管等の流体管が敷設されることがある。本開示では、電力ケーブル、通信ケーブル及び流体管を含むケーブルおよび管を総称して「ケーブル類」という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-066527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地中の管路等に複数のケーブル類を個別に通して敷設する場合、ケーブル類を管路内に送り込む作業がケーブル類ごとに発生するため、敷設作業に長時間を要する。また、先に敷設されたケーブル類と後に敷設されるケーブル類とが摺擦して、ケーブル類の表面に損傷を生じる虞がある。
【0005】
一方、複数のケーブル類を集合した複合ケーブルを実現できれば、上記した作業時間及び敷設時の損傷に関する課題は解消される。複合ケーブルには、例えば、特許文献1に記載されるような、電力ケーブル及び通信ケーブルを撚り合わせてシースで被覆した複合電線ケーブルの技術を応用することができる。
【0006】
しかしながら、複数のケーブル類を工場等で規格化された複合ケーブルとした場合、作業性が向上するとは限らない。例えば、重量の増大に伴い一回に輸送できるケーブル長が短くなるため、煩雑な接続作業が必要になる。また、ドラムが大きくなることにより、輸送コストも増大する虞がある。さらに、実際に敷設する現場の状況に合わせて、複合ケーブルの一部を分岐させたり、あるいは他のケーブル類を合流させて複合ケーブルとする場合がある。
【0007】
本発明の目的は、複数のケーブル類を敷設する際の作業性を向上できる複合ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る複合ケーブルは、
電力ケーブル並びに通信ケーブル、ガス管及び水道管のうちの少なくとも1つを含む複数のケーブル類と、
帯状の保護部材を、複数の前記ケーブル類の最外周に長手方向に隙間なく巻き付けることにより形成されるケーブル保護部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のケーブル類を敷設する際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブルを示す側面図である。
図2図2は、複合ケーブルの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施の形態に係る複合ケーブル1を示す断面図である。図2は、複合ケーブル1の外観斜視図である。
【0013】
図1図2に示すように、複合ケーブル1は、複数のケーブル類10及びケーブル保護部20を備える。本実施の形態では、複数のケーブル類10として、電力ケーブル11、通信ケーブル12、水道管13及びガス管14が配置されている。
【0014】
なお、複数のケーブル類10としては、電力ケーブル11と、通信ケーブル12、水道管13及びガス管14のうちの少なくとも1つを含んでいればよい。また、図1におけるケーブル類10の配置態様は一例であり、特に限定されないが、ケーブル保護部20を除去したときに、外部に露出するように配置されることが好ましい。
【0015】
電力ケーブル11は、例えば、3本のCVケーブルを撚り合わせてシースで被覆して一体化したトリップレックスケーブル(CVTケーブル)である。図1に示す電力ケーブル11は、いわゆる扇形CVTケーブルである。なお、電力ケーブル11は、複数本のCVケーブルで構成されてもよい。
【0016】
通信ケーブル12は、有線通信の信号伝送路であり、メタルケーブルであってもよいし、光ファイバーケーブルであってもよい。図1では、3本の通信ケーブル12が配置されているが、通信ケーブル12の本数は特に限定されない。
【0017】
水道管13は、水を輸送する流体管である。ガス管14は、ガスを輸送する流体管である。水道管13及びガス管14は、例えば、ポリエチレン等の樹脂材料で形成され、適度な可撓性を有する。
【0018】
電力ケーブル11、通信ケーブル12、水道管13及びガス管14は、束ねられた状態で配置される。電力ケーブル11、通信ケーブル12、水道管13及びガス管14は、撚り合わせて束ねられてもよいし、互いに長手方向に沿うように束ねられてもよい。
【0019】
複合ケーブル1は、複合電線ケーブルのように押出成型によりシースを形成するわけではないので、電力ケーブル11、通信ケーブル12、水道管13及びガス管14の集合体の外形を円形状に整える必要はない。したがって、ケーブル類10の間には介在物が配置されなくてもよい。
【0020】
ケーブル保護部20は、複合ケーブル1の最外周面に配置され、複数のケーブル類10を一体的に被覆して保護する。ケーブル保護部20は、敷設時に生じる管路との摺擦に耐えうる熱的及び機械的強度を有する。
【0021】
ケーブル保護部20は、保護部材21を長手方向に所定幅でラップさせながら隙間なくケーブル類10の最外周に螺旋状に巻き付けることにより形成される。保護部材21の端部、すなわち巻き始めおよび巻き終わりは、固定されてよい。保護部材21の端部を固定する場合の固定方法としては、例えば、保護部材21の端部にワイヤー等を巻き付けたり、粘着性テープや接着剤などを用いることができる。なお、保護部材21の巻き付け方は特に限定されず、敷設時に生じる管路との摺擦によってラップ部分がずれて、隙間が形成されなければよい。ケーブル保護部20のラップ幅は、例えば、複合ケーブル1の屈曲性などに応じて適宜決めることができる。ケーブル保護部20は、例えば、ケーブル保護部20の幅の1/2~1/3をラップさせて螺旋状に巻き付けて形成される。
【0022】
ケーブル保護部20は、樹脂材料(例えば、塩化ビニル)の押出成形によって形成される複合電線ケーブルのシースとは異なり、大規模な製造設備は必要なく、施工現場において形成することができる。また、ケーブル保護部20は、複合電線ケーブルのシース(一般的な肉厚は4mm)よりも肉厚が薄く、軽量である。
【0023】
保護部材21は、例えば、30~50mm幅の帯状の長尺部材である。保護部材21は、複合ケーブル1の迂曲に追従できる程度に伸縮自在である。保護部材21は、例えば、フッ素樹脂テープである。また例えば、保護部材21には、積荷の固定ベルト(ラッシング材)や車のシートベルトのような、合成繊維の織物を適用することもできる。
【0024】
保護部材21は、光透過性を有する透明な材料で形成される。すなわち、ケーブル保護部20を除去することなく、複合ケーブル1の外部から内部のケーブル類10の配置を視認できるようになっている。滑り性、耐熱性、耐薬品性、耐候性を有するとともに、光透過性を有するという点で、日東電工株式会社製のフッ素樹脂フィルムであるニトフロン(登録商標)が好適である。
【0025】
保護部材21は、カッター等の刃物で容易に切断可能な構成を有する。「刃物で容易に切断可能」とは、特別な治具を用いることなく、一般的な刃物を用いて人力で切断できるという意味である。保護部材21の厚さは、ケーブル保護部20としての機能を確保しつつ刃物で容易に切断できるように、3mm以下であることが好ましい。
【0026】
保護部材21は、ケーブル類10との接触面に粘着層を有しておらず、ケーブル保護部20を除去してケーブル類10を分岐させるときにケーブル類10に粘着剤が付着しないようになっている。
【0027】
複合ケーブル1は、先端に取り付けられたケーブル牽引具と管路の反対側から挿通された牽引ワイヤーとが連結され、牽引ワイヤーを巻き取ることにより、管路内に挿通される。
【0028】
このように、実施の形態に係る複合ケーブル1は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0029】
すなわち、複合ケーブル1は、複数のケーブル類10と、複数のケーブル類10の外周面に設けられケーブル類10を一体的に保護するケーブル保護部20と、を備える。ケーブル保護部20は、帯状の保護部材21を、複数のケーブル類10の最外周に長手方向に隙間なく巻き付けることにより形成されている。
【0030】
複合ケーブル1によれば、予め複数のケーブル類10を一体化して一括して管路に通すことができるので、複数のケーブル類10を管路に通す敷設作業の回数を低減できるとともに、ケーブル類10同士が摺擦することもない。また、ケーブル類10の外周面はケーブル保護部20によって保護されているので、管路との摺擦によってケーブル類10が損傷するのを防止できる。したがって、複数のケーブル類10を敷設する際の作業性が格段に向上する。
【0031】
さらには、敷設現場において複数のケーブル類10の集合体を形成し、保護部材21を巻き付けて一体化しながら敷設作業を進行することができる。この場合、複数のケーブル類10を一体化した複合ケーブル1を輸送する場合に比較して、それぞれのケーブル類10を輸送するためのボビンの大きさが抑制されるので、輸送コストを低減することができる。また、一回に輸送できるケーブル長が長くなるので、煩雑な接続作業も低減される。なお、複合ケーブル1は、輸送上の問題のない長さの場合には、予め工場で製作されてもよい。
【0032】
保護部材21は、光透過性を有する。これにより、ケーブル保護部20を除去することなく、複合ケーブル1の内部におけるケーブル類10の配置を視認することができる。したがって、例えば、ケーブル類10の分岐作業を行う際に、ケーブル保護部20の除去すべき部位を容易に特定することができる。特に、複合ケーブル1が捻れていたり、ケーブル類10が撚り合わせて束ねられている場合に好適である。
【0033】
保護部材21は、刃物で容易に切断可能である。具体的には、保護部材21は、厚さが3mm以下である。これにより、ケーブル保護部20の除去すべき部位のみを刃物で切断してケーブル類10の一部を取り出すことができるので、敷設作業を短時間で行うことができる。
【0034】
保護部材21は、ケーブル類10との接触面に、粘着層を有していない。これにより、ケーブル保護部20を除去したときにケーブル類10に粘着剤が付着しないため、粘着剤によってケーブル類10の分岐作業が阻害されることはなく、作業性が向上する。
【0035】
複数のケーブル類10の間に介在物が存在しない。これにより、複合ケーブル1の軽量化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
複数のケーブル類10は、電力ケーブル11と、通信ケーブル12、ガス管14及び水道管13のうちの少なくとも1つを含む。これにより、複数種類のケーブル類10を管路内に効率的に敷設することができる。
【0037】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
1 複合ケーブル
10 ケーブル類
11 電力ケーブル
12 通信ケーブル
13 水道管
14 ガス管
20 ケーブル保護部
21 保護部材
図1
図2