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  • 特開-魚類用飼料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025059
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】魚類用飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/80 20160101AFI20240216BHJP
   A23K 20/158 20160101ALI20240216BHJP
   A23K 10/20 20160101ALI20240216BHJP
【FI】
A23K50/80
A23K20/158
A23K10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128185
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】西宮 攻
(72)【発明者】
【氏名】松原 孝博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 大樹
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005GA01
2B005LA01
2B005LA06
2B005LA07
2B005LB06
2B005MC06
2B150AA08
2B150AB20
2B150AE32
2B150CD01
2B150CD19
2B150CJ05
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、成形性が良好であり、かつ、魚類の排泄物を浮上させ、飼育環境より排出させることができる魚類用飼料の提供である。
【解決手段】本発明は、魚類用飼料であって、前記魚類用飼料が、脂質、水分、つなぎ成分、及び固化成分を含み、前記脂質の含有量が、前記魚類用飼料に対して、10.00質量%以上40.00質量%未満であり、前記水分の含有量が、前記魚類用飼料に対して、25.00質量%以上40.00質量%未満であり、前記つなぎ成分が、卵黄を含み、前記固化成分が、ゼラチンを含む、魚類用飼料を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類用飼料であって、
前記魚類用飼料が、脂質、水分、つなぎ成分、及び固化成分を含み、
前記脂質の含有量が、前記魚類用飼料に対して、10.00質量%以上40.00質量%未満であり、
前記水分の含有量が、前記魚類用飼料に対して、25.00質量%以上40.00質量%未満であり、
前記つなぎ成分が、卵黄を含み、
前記固化成分が、ゼラチンを含む、
魚類用飼料。
【請求項2】
前記卵黄の含有量(乾燥重量)が、前記魚類用飼料に対して、25.00質量%以上43.00質量%以下である、請求項1記載の魚類用飼料。
【請求項3】
前記ゼラチンの含有量が、前記魚類用飼料に対して、3.00質量%以上15.00質量%以下である、請求項1又は2記載の魚類用飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類の養殖においては、生産量の向上が求められる反面、排泄物等による魚の飼育環境の汚染の低減も求められる。
【0003】
例えば、特許文献1では、環境汚染等にともなって生じ得る感染症の予防効果に優れる魚類飼育用飼料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-165690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、魚の飼育環境の汚染を低減する観点から、魚の排泄物の排出を容易にすることができる技術の開発を試みた。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、成形性が良好であり、かつ、魚類の排泄物を浮上させ、飼育環境より排出させることができる魚類用飼料の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、所定の成分を含む魚類用飼料によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
(1) 魚類用飼料であって、
前記魚類用飼料が、脂質、水分、つなぎ成分、及び固化成分を含み、
前記脂質の含有量が、前記魚類用飼料に対して、10.00質量%以上40.00質量%未満であり、
前記水分の含有量が、前記魚類用飼料に対して、25.00質量%以上40.00質量%未満であり、
前記つなぎ成分が、卵黄を含み、
前記固化成分が、ゼラチンを含む、
魚類用飼料。
【0009】
(2) 前記卵黄の含有量(乾燥重量)が、前記魚類用飼料に対して、25.00質量%以上43.00質量%以下である、(1)記載の魚類用飼料。
【0010】
(3) 前記ゼラチンの含有量が、前記魚類用飼料に対して、3.00質量%以上15.00質量%以下である、(1)又は(2)記載の魚類用飼料。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成形性が良好であり、かつ、魚類の排泄物を浮上させ、飼育環境より排出させることができる魚類用飼料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の各群における排泄物回収率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
【0014】
<魚類用飼料>
本発明の魚類用飼料は、以下の要件を全て満たす。
・魚類用飼料が、脂質、水分、つなぎ成分、及び固化成分を含む。
・脂質の含有量が、魚類用飼料に対して、10.00質量%以上40.00質量%未満である。
・水分の含有量が、魚類用飼料に対して、25.00質量%以上40.00質量%未満である。
・つなぎ成分が、卵黄を含む。
・固化成分が、ゼラチンを含む。
【0015】
通常、魚類の排泄物は、飼育環境における水底(養殖場や水槽の底面等)に堆積する結果、魚類の飼育環境における微生物の繁殖等をもたらし、水質悪化を生じる。そのため、魚類の飼育環境から排泄物を容易に排出できれば、水質悪化を抑制し得る。
【0016】
排泄物を容易に排出する方法としては、排泄物を水面(水槽の上面等)に浮上させることが考えられる。水面に浮上した排泄物は、水流(海流や潮流)によって排泄物の沈降場所を拡散させたり、上面排水システムの水槽において排水口より自動的に排出したりすることができる。
本発明者らは、排泄物を浮上させることができる飼料の研究を進めた結果、飼料への脂質の配合によって、排泄物の浮上性が高まることを見出した。
しかし、脂質の配合によって排泄物の浮上性が高められる一方で、過度に配合すると飼料の成形性が低くなること、さらには、飼料や該飼料を摂餌した魚の排泄物が水中で崩れやすくなり、飼育環境からの残餌や排泄物の排出の面で課題があることも見出した。
【0017】
そこで、本発明者らがさらに検討した結果、脂質とともに、所定量の水分、ゼラチン、及び卵黄を飼料へ配合することで、飼料の成形性を損なわずに、魚の飼育環境において、排泄物の浮上性及び排出性を高められることを見出し、本発明を完成させた。
【0018】
本発明において、「魚類」とは、任意の種類の魚を包含するが、好ましくは食用魚を包含する。
本発明における魚類としては、マダイ、スマ、ブリ、カンパチ、マグロ等が挙げられる。
【0019】
本発明において、「飼料の成形性」とは、所望の形状を保った飼料のつくりやすさを包含する。飼料の形状としては、ヌードル状、フレーク状、ペレット状等が挙げられる。
【0020】
本発明において、「排泄物の浮上性」とは、飼料を摂取した魚類の排泄物における、水面への浮上のしやすさを包含する。
【0021】
本発明において、「排泄物の排出性」とは、飼料を摂取した魚類の排泄物における、飼育環境からの排出のされやすさ(便のまとまり等)を包含する。
【0022】
排泄物の浮上性及び排出性は、例えば、実施例に示した方法で、水槽の上面及び底面の排泄物回収率を算出することで評価できる。上面の排泄物回収率が、底面の排泄物回収率よりも高ければ、排泄物の浮上性及び排出性が良好であるといえる。
【0023】
本発明において、「魚の飼育環境」とは、魚を飼育等するための任意の環境を包含し、例えば、海面生簀、水槽、養殖場等が挙げられる。
【0024】
以下、本発明の魚類用飼料の構成について詳述する。
【0025】
(1)脂質
脂質は、本発明の魚類用飼料において、魚類の主要な栄養成分のうちの一種に相当する。
【0026】
脂質の種類や由来は特に限定されない。
脂質は、単独の成分(単離成分、合成成分等)として配合してもよく、脂質を含む食用成分(魚粉、魚肉等)として配合してもよい。
【0027】
脂質の含有量は、魚類用飼料に対して、10.00質量%以上40.00質量%未満である。脂質の含有量が上記範囲であると、飼料の成形性及び排泄物の浮上性及び排出性を損なわずに、魚体への充分な栄養を供給できる。
【0028】
脂質の含有量の下限値は、魚類用飼料に対して、10.00質量%以上、好ましくは20.00質量%以上、より好ましくは30.00質量%以上である。
【0029】
脂質の含有量の上限値は、魚類用飼料に対して、40.00質量%未満、好ましくは35.00質量%以下、より好ましくは32.00質量%以下である。
【0030】
魚類用飼料中の脂質の含有量は、実施例に示した方法によって特定される。
【0031】
(2)水分
水分は、本発明の魚類用飼料において、排泄物の浮上性に寄与する成分である。
さらに、水分は、後述するつなぎ成分や固化成分とともに、飼料の成形性及び排泄物の排出性の向上に寄与する成分である。
【0032】
水分の含有量は、魚類用飼料に対して、25.00質量%以上40.00質量%未満である。水分の含有量が上記範囲であると、飼料の成形性及び排泄物の浮上性及び排出性を向上させることができる。
【0033】
水分の含有量の下限値は、魚類用飼料に対して、25.00質量%以上、好ましくは26.00質量%以上、より好ましくは30.00質量%以上である。
【0034】
水分の含有量の上限値は、魚類用飼料に対して、40.00質量%未満、好ましくは35.00質量%以下、より好ましくは32.00質量%以下である。
【0035】
魚類用飼料中の水分の含有量は、実施例に示した方法によって特定される。
【0036】
(3)つなぎ成分
つなぎ成分は、水分とともに、飼料の成形性及び排泄物の排出性の向上に寄与する成分である。
【0037】
つなぎ成分は、卵黄を含む。
卵黄は、魚類の栄養成分となるだけではなく、排泄物の浮上性及び排出性を損なわずに、飼料の成形性の向上に寄与する。
【0038】
卵黄の由来は特に限定されないが、鶏卵由来の卵黄等が挙げられる。
【0039】
卵黄以外のつなぎ成分としては、粘着性等を有する食用成分であれば特に限定されないが、卵白、デンプン、片栗粉等が挙げられる。
【0040】
卵黄の含有量(乾燥重量)の下限値は、つなぎ成分に対して、好ましくは50.00質量%以上、より好ましくは80.00質量%以上である。
【0041】
卵黄の含有量(乾燥重量)の上限値は、つなぎ成分に対して、好ましくは100.00質量%以下である。
【0042】
卵黄の含有量(乾燥重量)の下限値は、魚類用飼料に対して、好ましくは25.00質量%以上、より好ましくは35.00質量%以上である。
【0043】
卵黄の含有量(乾燥重量)の上限値は、魚類用飼料に対して、好ましくは50.00質量%以下、より好ましくは43.00質量%以下である。
【0044】
本発明の好ましい態様は、つなぎ成分が卵黄のみからなる態様を包含する。
【0045】
(4)固化成分
固化成分は、水分とともに、飼料の成形性及び排泄物の排出性の向上に寄与する成分である。
【0046】
固化成分は、ゼラチンを含む。
ゼラチンは、排泄物の排出性の向上に大きく寄与する。
【0047】
ゼラチン以外の固化成分としては、飼育魚の飼育水温(例えば、10~30℃)で固化する成分であれば特に限定されないが、寒天、アルギン酸ナトリウム、緑豆デンプン等が挙げられる。
【0048】
ゼラチンの含有量の下限値は、固化成分に対して、好ましくは50.00質量%以上、より好ましくは80.00質量%以上である。
【0049】
ゼラチンの含有量の上限値は、固化成分に対して、好ましくは100.00質量%以下である。
【0050】
ゼラチンの含有量の下限値は、魚類用飼料に対して、好ましくは3.00質量%以上、より好ましくは10.00質量%以上である。
【0051】
ゼラチンの含有量の上限値は、魚類用飼料に対して、好ましくは15.00質量%以下、より好ましくは12.00質量%以下である。
【0052】
ゼラチンは、溶媒(水等)に溶解させたものを用いてもよい。かかる場合、ゼラチンの乾燥重量が上記配合量を満たしていればよい。
【0053】
本発明の好ましい態様は、固化成分がゼラチンのみからなる態様を包含する。
【0054】
(5)その他の成分
本発明の魚類用飼料には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の添加物(栄養剤、タウリン等)、溶媒(水等)を配合してもよい。このような添加剤の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。
【0055】
本発明の魚類用飼料の好ましい態様は、脂質、水分、つなぎ成分、及び固化成分からなる態様を包含する。
【0056】
<魚類用飼料の製造方法>
本発明の魚類用飼料は、上記の成分を用いて、飼料の形態に応じて、従来知られる方法によって製造できる。
【0057】
本発明の魚類用飼料は固形物であるが、ヌードル状等の任意の形態であり得る。
【0058】
<魚類用飼料の用途>
本発明の魚類用飼料は、従来知られる魚類用飼料と同様に魚類へ給餌できる。
【0059】
本発明の魚類用飼料を摂取した魚類の排泄物は、水面に浮上しやすいため、魚類の飼育環境(海面生簀、水槽等)から速やかに排泄物を排出し、水質悪化等を抑制することができる。
【実施例0060】
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0061】
以下の方法で、魚類用飼料を作製し、その成形性や排泄物の浮上性及び排出性を評価した。
【0062】
(1)魚類用飼料の作製
表中の「魚類用飼料の組成」の項に示す材料を用いて、魚類用飼料を作製した。
【0063】
表中、「魚肉成分」について、「実施例3」では、魚肉(アブラカレイのフィレ、フードプロセッサーによってペースト状にしたもの)を用いた。
その他の実施例及び比較例では、魚粉(イカナゴ凍結乾燥体)を用いた。
【0064】
表中、「溶媒」とは、ゼラチンの溶媒を意味する。
【0065】
表中、「栄養剤」として、「SDミライム」(バイオ科学株式会社製)を用いた。
【0066】
魚類用飼料の作製方法は以下のとおりである。
まず、ゼラチン以外の材料を混合した。次いで、60℃に加温したゼラチン溶液を加え、混合した。
得られた混合物を、製麺機によりヌードル状に成形し、風乾後、2~3cmに切断した。得られたヌードル状飼料が魚類用飼料に相当する。
ただし、「比較例4」については成形困難であったため、混合物を約1cm角に細断し、風乾して得られた魚類用飼料を試験に供した。
各魚類用飼料は、試験に供するまで4℃又は-20℃で保存した。
【0067】
(2)成分分析
各魚類用飼料について、以下の方法で各種成分の含有量を測定した。その結果を表中の「魚類用飼料の栄養成分」の項に示す。
なお、各測定は3回ずつ行い、その平均値を各栄養成分含有量として特定した。
【0068】
(2-1)脂質含有量の測定
各魚類用飼料を-30℃で凍結後、凍結乾燥機によって乾燥体を得た。
乾燥体から、「Soxtec System 243」(Foss Analytical AB)を用いて脂質を抽出し、脂質抽出物を得た。
得られた脂質抽出物を秤量し、下式に基づき、飼料の脂質含有量(質量%)を算出した。
なお、下式における「水分含有量」とは、後述する(2-2)において特定した値である。
脂質含有量(質量%)=(100-水分含有量)×乾燥体の脂質含有量/100
【0069】
(2-2)水分含有量の測定
各魚類用飼料の湿重量を秤量した。
次いで、各魚類用飼料を-30℃で凍結後、凍結乾燥機によって乾燥体を得た。
乾燥体を秤量し、乾重量を秤量した。
下式に基づき、水分含有量を算出した。
水分含有量(質量%)=(1-乾重量/湿重量)×100
【0070】
(3)魚類への給餌
各魚類用飼料を、魚類に給餌した。なお、本例では、魚類として以下のマダイ(学名:Pagrus major)を用いた。
個体数:各群8~9匹
尾叉長:338.6±24.3mm
体重:24.3±1.7g
【0071】
魚類の飼育条件及び給餌条件は以下のとおりである。
水槽:1t
注水量:1.2L/min
温度:自然水温(13.2~15.9℃)
日長:自然日長
排水:水槽上面からの排水
給餌期間:7日間
飽和給餌:1回/日
【0072】
(4)排泄物の回収
以下の方法に基づき、給餌期間中、水槽の上面排水及び底面のそれぞれから、排泄物を24時間ごとに回収し、排泄物量を測定した。
【0073】
(4-1)水槽上面からの排泄物の回収
給餌後速やかに残餌を網で掬い回収した。
給餌24時間後に、排水管の先に設置した排泄物回収槽(30L)内のナイロンネット(目開き:188μm)にトラップされた排泄物を回収し、排泄物量を測定した。
【0074】
(4-2)水槽底面からの排泄物の回収
硬質ポリ塩化ビニル管と、ホースとを繋いだ掃除具を用いて、水槽の底面に沈積した排泄物を吸い上げた。
吸い上げた排泄物をナイロンネット(目開き:188μm)でトラップし、排泄物を回収し、排泄物量を測定した。
【0075】
(5)評価
以下の方法に基づき、魚類用飼料の成形性、及び、排泄物の浮上性及び排出性を評価した。
【0076】
(5-1)魚類用飼料の成形性
上記「(1)魚類用飼料の作製」において、ヌードル状に成形した際の成形のしやすさを、以下の基準で評価した。その結果を、表中の「ヌードル成形性」の項に示す。
【0077】
[ヌードル成形性の評価基準]
良好:飼料が固化し、かつ、ヌードル状に成形しやすかった。
不良:飼料が固化したが、ヌードル状に成形できなかった。
不可:飼料が固化しなかった。
【0078】
(5-2)排泄物の浮上性
上記「(4)排泄物の回収」において得られた測定値から、下式に基づき、排泄物回収率を算出した。
排泄物回収率(%)=上面又は底面の総排泄物量/総摂餌量×100
【0079】
式中、「総排泄物量」は、-30℃で凍結した排泄物を凍結乾燥することで得られた乾燥体の乾重量(給餌期間における総量)に相当する。
【0080】
式中、「総摂餌量」は、総給餌量から総残餌量を引いたもの(給餌期間における総量)に相当する。
【0081】
式中、「総給餌量」は、給餌期間における給餌量(乾重量)の総量に相当する。
なお、給餌量は、給餌ごとに、下式に基づき算出した。下式において、「飼料重量」とは、-30℃で凍結した各魚類用飼料を凍結乾燥することで得られた乾燥体の乾重量に相当する。
「給餌量」(乾重量)=(給餌前の飼料重量-給餌後の飼料重量)×(100-飼料の水分含有量)/100
【0082】
式中、「総残餌量」は、-30℃で凍結した残餌を凍結乾燥することで得られた乾燥体の乾重量(給餌期間における総量)に相当する。
【0083】
排泄物回収率に基づき、排泄物の浮上性及び排出性を、以下の基準で評価した。その結果を、表中の「排泄物の浮上性及び排出性」の項に示す。
また、各群における排泄物回収率を図1に示す。
【0084】
[排泄物の浮上性及び排出性の評価基準]
良好:上面の排泄物回収率が、底面の排泄物回収率よりも高い。
不良:上面の排泄物回収率が、底面の排泄物回収率と同じであるか、底面の排泄物回収率よりも低い。
不可:魚類用飼料をヌードル状に成形できなかったため、排泄物浮上性及び排出性の評価を行っていない。
【0085】
【表1】
【0086】
表及び図1に示されるとおり、本発明の要件を満たす魚類用飼料によれば、飼料の成形性が良好であり、かつ、魚類の排泄物の浮上性及び排出性が良好であった。
したがって、本発明の飼料によれば、魚類の排泄物を飼育環境から排出しやすく、魚類の飼育環境の汚染を抑制できることがわかった。
【0087】
これに対し、本発明の要件を満たさない魚類用飼料においては、飼料の成形性、及び、魚類の排泄物の浮上性及び排出性のいずれか、又は全てが劣っていた。

図1