(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025060
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】器具
(51)【国際特許分類】
F21K 2/06 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
F21K2/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128188
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000230630
【氏名又は名称】株式会社ルミカ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 士郎
(72)【発明者】
【氏名】山手 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】権田 健一
(72)【発明者】
【氏名】原田 寿志
(72)【発明者】
【氏名】和田 茂樹
(57)【要約】
【課題】化学反応によって光等を発する器具において、リサイクルしやすいものを提供する。
【解決手段】内側密閉空間9を形成しこの内側密閉空間9に内側物質11が入っている内側容器3と、外側密閉空間13を形成し、この外側密閉空間13に内側容器11が入っており、また、外側密閉空間13の、内側容器3を除く部位に外側物質15が入っている外側容器5と、内部に外側容器5が入っている筐体7とを有し、筐体7に所定の大きさの力を加えることで内側容器3が破壊され、外側容器5内で内側物質11と外側物質15とが混ざり合って化学反応を起こすように構成されているとともに、破壊された内側容器3の残骸が外側容器5内にとどまるように構成されている器具1である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側密閉空間を形成しこの内側密閉空間に内側物質が入っている内側容器と、
外側密閉空間を形成し、この外側密閉空間に前記内側容器が入っており、また、前記外側密閉空間の、前記内側容器を除く部位に外側物質が入っている外側容器と、
内部に前記外側容器が入っている筐体と、
を有し、前記筐体に所定の大きさの力を加えることで前記内側容器が破壊され、前記外側容器内で前記内側物質と前記外側物質とが混ざり合って化学反応を起こすように構成されているとともに、前記破壊された前記内側容器の残骸が前記外側容器内にとどまるように構成されている器具。
【請求項2】
前記筐体は、開口部が形成されている筐体本体部と、この筐体本体部に容易に着脱自在な蓋部とを備えて構成されている請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記化学反応によって、光を発するように構成されており、
前記化学反応によって発生した光は、前記外側容器および前記筐体を通って前記筐体の外に出てくるように構成されている請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項4】
前記外側物質、前記内側物質の少なくともいずれからが香料を含んでいることで、光とともに香りを発するように構成されている請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記化学反応によって、香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかが生成されるように構成されており、
前記化学反応によって発生した香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかは、前記外側容器および前記筐体を通って前記筐体の外に出てくるように構成されている請求項1または請求項2に記載の器具。
【請求項6】
内側密閉空間を形成しこの内側密閉空間に内側物質が入っている内側容器と、
前記内側容器を包んでいる包装材と、
筐体密閉空間を形成し、この筐体密閉空間に前記包装材で包まれている前記内側容器が入っており、また、前記筐体密閉空間の、前記包装材と前記内側容器とを除く部位に外側物質が入っている筐体と、
を有し、前記筐体に所定の大きさの力を加えることで前記内側容器が破壊され、前記筐体密閉空間で前記内側物質と前記外側物質とが混ざり合って化学反応を起こすように構成されているとともに、前記破壊された前記内側容器の残骸が前記包装材内にとどまるように構成されている器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、器具に係り、特に、化学反応によって光等を発生するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光具(特許文献1参照)は、化学反応によって光を発するため基本的に使い捨て商材であるが、昨今の環境意識の高まりに合わせて、より環境に配慮した製品開発を進める必要がある。
【0003】
従来の発光具は、PP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)あるいはその混合物を外装としたチューブ(筐体)の中に、B液と、A液を内包したガラス製アンプルとを入れて、熱溶封して封をした構造になっている。
【0004】
そして、使用時に発光具(化学発光体)の全体を折り曲げ、アンプルを破壊させA液とB液を混合させて化学反応を起こし発光させている。このため、外装のチューブには内容液が付着し、さらにガラス片が刺さった状態になり、通常のプラスチックのリサイクルと同じ方法でリサイクルすることは難しい。
【0005】
そこで、使用済みの発光具(外装チューブ)の溶封部分を切除し、内容液とガラス片を取り除き洗浄した後に、新しい内容液とアンプルを入れ、再度溶封することで、外装チューブを再利用する方法を検討することができる。
【0006】
しかし、このアプローチ(方法)での課題として、溶封部分を切除する際に、製品の誤差でカットする位置にわずかな差が生じる。この差によって、樹脂量が足りず再溶封できなかったり、カットしても溶封部位の総てを切除することができなかったりとすることがある。
【0007】
さらに、一度再溶封した外装のチューブは長さが短くなるため再利用することができないという点も課題になる。また、使用済みの発光具において、外装のチューブに色素が沈着し、再製品化に不適切な状態なものが含まれることがある。
【0008】
そこで、別のアプローチとして、使用済みの発光具(外装のチューブ)を破砕し、内容液とガラス片は洗浄し取り除き、バージン樹脂と混合して、外装のチューブの原料としてマテリアルリサイクルを行う方法の採用が考えられる。
【0009】
しかし、粉砕して洗浄したとしても小さなガラス片が成型した外装のチューブに混入し、表面にガラス片が飛びだすことで、再利用の発光具を使用する者が怪我するおそれがある。
【0010】
そこで、内容液とガラス片の付着がない部分だけを切り離して、マテリアルリサイクルを行う方法を検討することもできるが、この方法だとプラスチック部分の約10%しかリサイクルすることができない。
【0011】
別のアプローチとして設計の見直しを行い成型樹脂(外装のチューブ)の使用量を従来品より約40%減量したスティックを検討することも可能である。ただしこの方法は樹脂の減量のみを考えているものであり、根本的な解決にはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
すなわち、従来の発光具では、ガラス破片が外装チューブ(筐体)に刺さってしまうこと等により、リサイクルしにくいという問題がある。
【0014】
この問題は、発光具だけでなく、化学反応によって香り等の化学物質を発生する器具についても同様に発生する問題である。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、化学反応によって光等を発する器具において、リサイクルしやすいものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の態様に係る器具は、内側密閉空間を形成しこの内側密閉空間に内側物質が入っている内側容器と、外側密閉空間を形成し、この外側密閉空間に前記内側容器が入っており、また、前記外側密閉空間の、前記内側容器を除く部位に外側物質が入っている外側容器と、内部に前記外側容器が入っている筐体とを有し、前記筐体に所定の大きさの力を加えることで前記内側容器が破壊され、前記外側容器内で前記内側物質と前記外側物質とが混ざり合って化学反応を起こすように構成されているとともに、前記破壊された前記内側容器の残骸が前記外側容器内にとどまるように構成されている器具である。
【0017】
また、本発明の態様に係る器具では、前記筐体が、開口部が形成されている筐体本体部と、この筐体本体部に容易に着脱自在な蓋部とを備えて構成されている。
【0018】
また、本発明の態様に係る器具では、前記化学反応によって、光を発するように構成されており、前記化学反応によって発生した光は、前記外側容器および前記筐体を通って前記筐体の外に出てくるように構成されている。
【0019】
また、本発明の態様に係る器具では、前記外側物質、前記内側物質の少なくともいずれからが香料を含んでいることで、光とともに香りを発するように構成されている。
【0020】
また、本発明の態様に係る器具では、前記化学反応によって、香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかが生成されるように構成されており、前記化学反応によって発生した香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかは、前記外側容器および前記筐体を通って前記筐体の外に出てくるように構成されている。
【0021】
また、本発明の態様に係る器具は、内側密閉空間を形成しこの内側密閉空間に内側物質が入っている内側容器と、前記内側容器を包んでいる包装材と、筐体密閉空間を形成し、この筐体密閉空間に前記包装材で包まれている前記内側容器が入っており、また、前記筐体密閉空間の、前記包装材と前記内側容器とを除く部位に外側物質が入っている筐体とを有し、前記筐体に所定の大きさの力を加えることで前記内側容器が破壊され、前記筐体密閉空間で前記内側物質と前記外側物質とが混ざり合って化学反応を起こすように構成されているとともに、前記破壊された前記内側容器の残骸が前記包装材内にとどまるように構成されている器具である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、化学反応によって光等を発する器具において、リサイクルしやすいものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る器具の筐体を構成する筐体本体部の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る器具の筐体を構成する筐体本体部の正面図であって、(b)は(a)におけるIIB矢視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る器具の筐体を構成する蓋部を示す図であって、(b)は(a)におけるIIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるIIIC-IIIC断面を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る器具の断面図である。
【
図5】(a)は
図4におけるV部の拡大図であり、(b)は(a)で示す箇所の変形例を示す図であり、(c)は(a)で示す箇所の別の変形例を示す図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態に係る器具を構成する内側容器と外側容器とを示す図であり、(b)(c)は変形例に係る内側容器と外側容器とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態に係る器具1は、たとえば、発光具として使用されるものであり、
図4で示すように、内側容器3と外側容器(たとえばインナーカプセル)5と筐体(たとえば、外装チューブ)7とを備えて構成されている。
【0025】
内側容器3は、内側密閉空間9を形成しており、この内側密閉空間9に内側物質(内側密閉空間内物質;たとえば液体状の第1の薬剤)11が入っている。たとえば、内側密閉空間9は、ほぼ内側物質11のみで満たされている。
【0026】
内側容器3は、破壊強度の値が小さく内側物質11が透過しない材料(たとえばガラス)で構成されている。内側容器3は、ほぼ剛体と見なせる程度の剛性を備えている。すなわち、内側容器3は、人が指のみで素手で軽い力を加えても、肉眼での変形を認識することができない程度の剛性を備えている。一方、内側容器3の破壊強度の値が小さくなっていることで、人が指である程度の大きさの力(腕が発揮する普通の大きさの力を加えた力)を加えると、内側容器3は容易に破壊されるようになっている。
【0027】
外側容器5は、外側密閉空間13を形成しており、この外側密閉空間13に内側容器(内側物質11が入っている内側容器)3が入っている。また、外側密閉空間13の、内側容器3を除く部位(内側容器3の外部の密閉空間)に外側物質(外側密閉空間内物質;たとえば液体状の第2の薬剤)15が入っている。たとえば、内側容器3の外部の密閉空間は、ほぼ外側物質15のみで満たされている。
【0028】
なお、外側物質15、内側物質11の少なくともいずれかが(たとえば、外側物質15のみが)香料を含んでいることで、光とともに香りを発するように構成されていてもよい。さらに、上記化学反応によって、光と香料との両方が発生するように構成されていてもよい。
【0029】
外側容器5は、たとえば、合成樹脂で構成されており、開口部が塞がれた袋状に形成されている。外側容器5を構成する合成樹脂として、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPP(ポリプロピレン)が採用される。外側容器5の袋は薄膜状の合成樹脂で構成されているので、外側容器5を構成するために必要な合成樹脂の量は極めて少なくなっている。たとえば、筐体を構成しいている合成樹脂の量の1/50~1/5程度の量になっている。
【0030】
外側容器5が合成樹脂で袋状に形成されていることで、外側容器5は、市販のビニル袋と同じような可撓性を備えている。ただし、外側容器5の袋を形成している薄膜の厚さは、たとえば、市販のビニル袋を形成している薄膜の厚さよりも若干厚くなっている。
【0031】
外側容器5に人が指のみで素手でごく軽い力を加えただけでも、外側容器5は、容易に変形するようになっている。また、人が指のみで素手である程度の大きさの力(腕が発揮する普通の大きさの力を加えた力)を加えた程度では、外側容器5は破壊しないようになっている。さらに、外側容器5は、これを構成している膜が若干厚くなっている。これにより、内側容器3が破壊された後に内側容器3の残骸によっても(残骸が内側容器3の膜に刺さっても)、残骸が外側容器5の膜を貫通しにくくなっている程度の強度を備えている。
【0032】
筐体7は、たとえば、合成樹脂で一体成形され所定の肉厚の筒状に形成されており、所定の剛性(外側容器5よりも高い剛性)を備えている。すなわち、筐体7は、筐体7に人が指で小さい力を加えただけでは、肉眼で変形を容易に認識することができる程度の剛性を備えている。筐体7は、従来品(株式会社ルミカ製の「ルミカライト6インチレギュラー」)よりも、約40%合成樹脂の使用量が減らされている。これにより、環境を配慮した製品とすることが可能になっている。
【0033】
また、筐体7は、筐体7に人が指である程度の大きさの力(腕が発揮する普通の大きさの力を加えた力)加えたときに、肉眼で変形を容易に認識することができる程度の剛性になっている。筐体7の内部(外側密閉空間13)には、外側物質15と内側物質11が入っている内側容器3とが入っている外側容器5が入っている。
【0034】
器具1においては、筐体7に所定の大きさの力(変形する程度の力)を加えることで筐体7と外側容器5と内側容器3とが変形し、内側容器3のみが破壊されるようになっている。上記破壊によって、外側容器5内で内側物質11と外側物質15とが互いに混ざり合って化学反応を起こすように構成されている。また、器具1では、特に無謀な取り扱いをしない限り、破壊された内側容器3の残骸等が外側容器5内にとどまり、筐体7に到達しないように構成されている。
【0035】
器具1では、内側物質11が内部に入っている内側容器3と外側物質15とが内部に入っている外側容器5の筐体7内への設置が容易になっている。また、器具1では、内側物質11が内部に入っている内側容器3と外側物質15とが内部に入っている外側容器5の筐体7内からの取り出しも容易になっている。なお、この場合、内側容器3は破壊されていてもよいし破壊されていなくてもよい。
【0036】
すなわち、器具1では、外側物質15と内側物質11が入っている内側容器3とが内部に入っている外側容器5の交換を容易にすることができるようになっている。
【0037】
なお、筐体7内に設置されている外側容器5(外側物質15、内側容器3、内側物質11を含む)は、たとえば、筐体7内の空間23の全体をほぼ満たしている。これにより、外側容器5はガタツキがほぼ無い状態で、筐体7内に設置されている。
【0038】
さらに、説明すると、外側容器5が、筐体7の中間・先端側部位27の内壁と、仕切り壁29と蓋部21の突出部41の先端とに当接することで、外側容器5が筐体7に対してがたつかないようになっている。なお、
図4では、見やすくするために、外側容器5が、筐体7から僅かに離れているようにしてある。
【0039】
図4で示すように、筐体7は、開口部17が形成されている筐体本体部19(
図1、
図2参照)と、この筐体本体部19に容易に着脱自在な蓋部21(
図3参照)とを備えて構成されている。
【0040】
筐体本体部19の開口部17に蓋部21が設置されておらず開口部17が存在している状態では、開口部17を外側容器5(外側物質15、内側容器3、内側物質11を含む)が通過できるようになっている。そして、筐体7内の外側容器5を、筐体7を破壊することなく容易に交換することができるようになっている。
【0041】
筐体本体部19の開口部17に蓋部21を設置して筐体本体部19の開口部17と閉じることで、筐体7の内側の空間23が形成されるようになっている。さらには、内側容器3が破壊されていない外側容器5を筐体本体部19内に入れて設置し、筐体本体部19の開口部17に蓋部21を設置して開口部17と閉じることで、器具1が得られるようになっている。
【0042】
なお、筐体本体部19の開口部17に蓋部21を設置したときに形成される筐体7の内側の空間23が密閉空間になるように構成してもよい。このように構成することで、万一、外側容器5が破損しても、内側物質11、外側物質15、内側物質11と外側物質15との化学反応によって生成された物質、内側容器3の残骸および外側容器5の残骸が、筐体7の外部に漏れ出てくることが防止される。
【0043】
また、筐体7の内側の空間23には、空気が入っているが、空気以外の物質が入っていてもよい。この物質は、固体でもよいし、液体でもよいし、気体でもよいし、これらの混合物であってもよい。ただし、上述した化学反応で発光をする場合には、上記物資は光を通すようになっている。また、香り等を発生する場合には、上記物資は香り成分等を通すようになっている。上記物質が固体である場合、たとえば、万一、外側容器5が破損したときに、内側容器3の残骸等が筐体7に刺さる等して筐体7を傷つけることを、上記物質が防護壁として作用し防止するようになっている。
【0044】
器具1は、上述した化学反応によって、光を発するように構成されている。上記化学反応によって発生した光は、外側容器5および筐体7を通って筐体7の外に出てくようになって構成されている。そして、上記化学反応によって筐体7が発光しているように見える。
【0045】
上記化学反応によって、たとえば、所定の波長の光(たとえば可視光)を発するようになっている。外側容器5や筐体7は、たとえば、上述したように、合成樹脂で構成さてれており、透明もしくは半透明になっている。
【0046】
ここで、器具1についてさらに詳しく説明する。説明の便宜のために、器具1における所定の一方向を長手方向とし、長手方向に対して直交する方向を径方向とする。
【0047】
筐体7は、
図1、
図2で示すように、全体が細長い筒状に形成されており、筒の中心軸が長手方向に延びている。筐体7は、長手方向の一方の側に位置している基端側部位25と、長手方向の中間および他方の側に位置している中間・先端側部位27とを備えて構成されている。
【0048】
基端側部位25は、長手方向の一方の端(基端)では矩形な筒状に形成されており、長手方向の他方の端(先端)では円筒状に形成されている。中間・先端側部位27は円筒状に形成されている。基端側部位25の中心軸と中間・先端側部位27の中心軸とは互いが一致している。
【0049】
基端側部位25の長手方向の他方の端の円筒と中間・先端側部位27の円筒とは互いの形状が一致している。基端側部位25は、長手方向の基端から長手方向の先端に向かうにしたがって、矩形な筒から次第に円筒になるようにしかも滑らかに移行する態様で形状が変化している。また、基端側部位25は長手方向の基端から長手方向の先端に向かうにしたがって、内径と外径との値が次第に小さくなっている
。
【0050】
筒状の筐体本体部19の内部は、
図4で示すように、平板状の仕切り壁29で仕切られている。仕切り壁29の厚さ方向は、筐体本体部19の長手方向と一致している。また、仕切り壁29は、筐体本体部19の長手方向で、基端側部位25と中間・先端側部位27との境界のところに位置している。
【0051】
仕切り壁29によって、筐体本体部19の内部は、基端側の内部空間31と中間・先端側の内部空間33とに仕切られている。筐体本体部19に蓋部21が設置されていることで、中間・先端側の内部空間33が、外側容器5(外側物質15、内側容器3、内側物質11を含む)が入る空間23になる。空間23は円柱状になっている。
【0052】
筐体本体部19(中間・先端側の内部空間33)の先端は開口部17になっており、筐体本体部19の先端部には、蓋部21が設置される蓋部設置部35が形成されている。蓋部設置部35は、筐体本体部19の先端部の円筒状の部位と、この先端部の円筒状部位に設けられた複数の貫通孔(たとえば、一対の小さな円柱状の貫通孔)37(
図4等参照)とを備えて構成されている。なお、
図1、
図2では、貫通孔37の表示を省略している。
【0053】
一対の貫通孔37は、中間・先端側の内部空間33の先端の近傍に設けられており、筐体本体部19(中間・先端側の内部空間33)の円筒の肉部を径方向で貫通している。また、一対の貫通孔37は、筐体本体部19(中間・先端側の内部空間33)の円筒の円周を等分配する位置に配置されている。
【0054】
蓋部21は、
図3で示すように、蓋部本体部39と突出部41とを備えて構成されている。蓋部本体部39は円板状に形成されている。突出部41は円筒状に形成されており、突出部41にはスリット(切り欠き)45と突起43とが設けられている。
【0055】
蓋部本体部39の円の外径の値は、筐体本体部19の中間・先端側部位27の円筒の外径の値とほぼ一致している。突出部41の円筒の外径の値は、筐体本体部19の中間・先端側部位27の円筒の内径の値とほぼ一致している。
【0056】
突出部41は蓋部本体部39の厚さ方向の一方の面から僅かな高さだけ突出している。蓋部本体部39の中心軸と突出部41の円筒の中心軸とは互いが一致している。スリット45は、突出部41の突出方向の先端から蓋部本体部39側に向かって蓋部本体部39の近傍まで形成されている。また、スリット45は、複数(たとえば4つ)設けられており、突出部41の円筒の円周を当分配する位置に配置されている。これにより、突出部41が片持ち梁状になり若干撓むようになっている。
【0057】
突起43は、たとえば球冠状に形成されており、突出部41の円筒の外周から円筒の外側に突出しており、突出部41の突出方向(器具1の長手方向)では突出部41の中間部に位置している。さらに、突起43は、スリット45で仕切られた4つの部位の内の2つの部位(互いが対向している部位)に設けられている。
【0058】
図4、
図5(a)で示すように、突出部41が筐体本体部19の中間・先端側部位27内に入り、蓋部本体部39が筐体本体部19の中間・先端側部位27の先端に当接するようにして、蓋部21が筐体本体部19に設置されるようになっている。これにより筐体本体部19の開口部17が蓋部本体部39で塞がれる。なお、蓋部21が筐体本体部19に設置されている状態では、蓋部本体部39の厚さ方向が器具1の長手方向と一致している。
【0059】
なお、蓋部21を筐体本体部19に設置する途中の状態では、突起43が筐体本体部19の中間・先端側部位27の内壁に当接して押され、突起43が設けられているスリット45の2つの部位が蓋部本体部39の中心側に撓むようになっている。
【0060】
蓋部21を筐体本体部19に設置し終えた状態では、突起43が設けられているスリット45の2つの部位が復元する。そして、一対の突起43のそれぞれが、筐体本体部19の中間・先端側部位27の一対の貫通孔37のそれぞれに入り込み、蓋部21が筐体本体部19に一体的に設置されている。
【0061】
なお、
図4に示す構成では、筐体本体部19が、基端側部位25と中間・先端側部位27とに加えて、基端側部位25および中間・先端側部位27と一体成形されている仕切り壁29とを備えて形成されている。ここで、仕切り壁29に代えて、蓋部21と同様な蓋部(筐体本体部19とは別体である蓋部)を採用してもよい。また、蓋部21に代えて仕切り壁29と同様な壁を採用してもよい。
【0062】
内側容器3の外形は、長球状(カプセル状)に形成されており、内側容器3の内側密閉空間9は、内側容器3の外形よりも僅かに小さい長球状に形成されている。長球状とは球を所定の距離だけ直線移動したときに、上記球の軌跡で表される形状である。内側容器3の肉厚は一定になっている。外側容器5の外形は、筐体7の空間23とほぼ同形状の円柱状になっている。
【0063】
ここで、蓋部21および蓋部設置部35の変形例について
図5(b)(c)を参照しつつ説明する。
図5(b)で示す構成は、パッキン47が設けられている点が、
図5(a)で示すもの異なり、その他の点は、
図5(a)で示すものと同様に構成されている。パッキン47は円環状に形成されている。
図5(b)で示す態様では、蓋部本体部39と筐体本体部19の中間・先端側部位27とで、パッキン47が付勢力をもって挟まれている。これにより、筐体7内の空間23が、液体等の漏れが確実に防止される密閉された空間になる。
【0064】
図5(c)は、オスネジ49とメスネジ51とによって、蓋部21が筐体本体部19に設置されている点が、
図5(a)で示すもの異なり、その他の点は、
図5(a)で示すものと同様に構成されている。なお、
図5(c)で示すものにおいて、
図5(b)で示すものと同様にパッキンを設けてもよい。
【0065】
さらに、蓋部21に筆やペン先等の筆記用具の機能を持たせてよく、蓋部21を吸盤やマグネットを用いて筐体本体部19に固定するようにしてもよい。
【0066】
また、
図4、
図6(a)で示す器具1では、1つの外側容器5内に1つの内側容器3が入っているが、
図6(b)(c)で示すように、2つ以上の複数の内側容器3が1つの外側容器5内に入っていてもよい。この場合、複数の内側容器3それぞれの内側密閉空間9に入っている内側物質11が互いに異なっていてもよいし、複数の内側容器3それぞれの内側密閉空間9に入っている内側物質11が互いに一致していてもよい。なお、
図6で示す外側容器5は、PP(ポリプロピレン)製の円筒状のチューブの両端を閉じたことで形成されている。
【0067】
なお、
図6(b)(c)で示すように、2つ以上の複数の内側容器3が1つの外側容器5内に入っている態様おいて、たとえば、1つの内側容器3内に香料もしくはインクなどを入れて、発光以外の機能を持たせてもよい。
【0068】
さらに、
図4で示す器具1では1つの筐体7内に1つの外側容器5等が入っているが、2つ以上の複数の外側容器5等が1つの筐体7内に入っていてもよい。
【0069】
次に、器具1における発光動作および外側容器5の交換作業について説明する。
【0070】
初期状態では、
図4で示すように、筐体7内に外側容器5が入っている。外側容器5内に外側物質15と内側容器3とが入っている。また、内側容器3内に内側物質11が入っている。
【0071】
上記初期状態で筐体7に力を加え曲げて、内側容器3を壊す。このとき、筐体7や外側容器5が壊れることはない。内側容器3が壊れることで、内側物質11と外側物質15とが互いに混ざり化学反応を起こし発光する。
【0072】
筐体7内の外側容器5等を交換するときには、筐体本体部19から蓋部21を取り外し、筐体本体部19内から内側容器3が破壊されている外側容器5等を取り出す。続いて、内側容器3が破壊されていない新しい外側容器5等を筐体本体部19内に入れて筐体本体部19に蓋部21を設置する。これにより、上記初期状態に戻る。
【0073】
器具1は、筐体7の内部に、外側物質15と内側物質11が入っている内側容器3とが入っている外側容器5が入っており、破壊された内側容器3の残骸が外側容器5内にとどまるように構成されている。これにより、内側容器3を壊して化学反応を起こした後であっても、内側容器3の残骸(ガラス破片)を封じることができ、筐体7にガラス破片が刺さる等の弊害が発生することがなくなり、器具1(筐体7)のリサイクルがしやすくなる。
【0074】
また、器具1では、筐体7が、開口部17が形成されている筐体本体部19と、この筐体本体部19に対して容易に着脱自在な蓋部21とを備えて構成されている。これにより、内部で化学反応が起こった外側容器5等の新しいものへの交換を簡単な作業ですることができる。
【0075】
また、筐体7が従来のように熱溶着ではなく、蓋部21等のスナップフィット構造で構成されている。そして、専用治具を持つ工場でなければ、蓋部21を取り外して筐体7を容易に開封できない構造になっている。すなわち、第三者が筐体7を容易に開封できないようになっている。また、蓋部21等のスナップフィット構造で構成されているので、筐体7のリユースを容易に実現できる。さらに、物理的に使えなくならない限り筐体7を繰り返し再利用が可能となる。
【0076】
また、マテリアルリサイクルを実施する際も、内側容器3等を包み込んで封じた外側容器5(インナーカプセル)5を、筐体7から取り出し、筐体7に対して最低限の洗浄だけで、容易にマテリアルリサイクルすることが可能になる。
【0077】
また、マテリアルリサイクルを実施する際、もしも、筐体7の一部に、内容液(内側物質11と外側物質15との反応生成物)等が付着していても、この部分を削除し、残った部位を粉砕することで筐体7の再利用をすることができる。
【0078】
また、器具1では、化学反応によって発生した光が、外側容器5および筐体7を通って筐体の外に出てくようになって構成されている。これにより、器具1を従来の発光具と同様に取り扱い使用することができる。
【0079】
ところで、器具1が、上記化学反応によって、香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかが生成されるように構成されていてもよい。そして、上記化学反応によって発生した香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかは、外側容器5および筐体7を通って筐体7の外に出てくるように構成されていてもよい。
【0080】
さらに説明すると、上記化学反応によって、光を発することを変えてもしくは加えて、香り成分や殺菌成分が生成されるようになっていてもよい。生成された香り成分や殺菌成分は、外側容器5および筐体7(たとえば、筐体本体部19だけでなく蓋部21も含む)をごく僅ずつ透過して、筐体7の外部に出てくるようになっている。
【0081】
化学反応によって、香り成分、殺菌成分のすくなくともいずれかが生成されるように構成されている器具1によれば、化学反応によって発生した香り成分や殺菌成分を長期間にわたって器具1から発生させることができる。
【0082】
ところで、上記説明では、外側容器5として、化学反応によって発生した香り成分や殺菌成分をごくわずかに透過させるような密閉性を備えたものが採用されている。ここで、変形例に係る器具1が、外側容器5に代えて密閉性を備えていない包装材(図示せず)を採用してもよい。
【0083】
上記包装材(図示せず)は、たとえば、1つの内側容器3を包んでいる。この態様において、上記包装材で2つ以上の複数の内側容器3を包んでいてもよい。
【0084】
変形例に係る器具1の筐体7の空間(内部空間)23は、筐体密閉空間になっている。この筐体密閉空間に上記包装材で包まれている内側容器(内側物質11が入っている内側容器)3が入っている。また、上記筐体密閉空間の、上記包装材と内側容器3とを除く部位(内側容器3の外部であって上記包装材が非存在である密閉空間)に外側物質15入っている。
【0085】
変形例に係る器具1では、筐体7に所定の大きさの力を加えることで筐体7と包装材と内側容器3とが変形し、内側容器3のみが破壊される。そして、筐体密閉空間で内側物質11と外側物質15とが互いに混ざり合って化学反応を起こすように構成されている。さらに、破壊された内側容器3の残骸が上記包装材内にとどまるように構成されている。
【0086】
上記包装材は、不織布等の容易に変形ししかも多孔質の部材で構成されている。そして。内側容器3の残骸が上記包装材内にとどまり、筐体7までは容易に到達することができないようになっている。
【0087】
変形例に係る器具1では、破壊された内側容器3の残骸が上記包装材内にとどまるように構成されている。これにより、筐体7にガラス破片が刺さる等の弊害が発生することがなくなり、変形例に係る器具1(筐体7)のリサイクルがしやすくなる。
【0088】
なお、包装材を使った変形例に係る器具1において、包装材等を外側容器5内に入れた構成にしてもよい。すなわち、包装材等を外側容器5で覆うようにしてもよい。
【0089】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 器具
3 内側容器
5 外側容器
7 筐体
9 内側密閉空間
11 内側物質(液体状の第1の薬剤)
13 外側密閉空間(液体状の第2の薬剤)
15 外側物質
17 開口部
19 筐体本体部
21 蓋部