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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002507
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20231228BHJP
   B65D 43/02 20060101ALI20231228BHJP
   B65D 77/02 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D43/02 100
B65D77/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101727
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】青木 櫻
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB99
3E067BA01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB17A
3E067BB25A
3E067BC06A
3E067BC07A
3E067CA18
3E067EA17
3E067EA18
3E067EB27
3E067EE59
3E067FC01
3E067GA11
3E084AA05
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AA39
3E084AB10
3E084BA02
3E084FA08
3E084GA06
3E084GB06
3E084JA20
3E084KA16
(57)【要約】
【課題】物品を出入する際の作業性の向上を図ることのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、上方に開口する略箱状をなし、内側に物品を収容可能な収容部3を有する容器本体2と、容器本体2の開口部4を閉鎖可能な蓋体5と、容器本体2に対し蓋体5を回動変位可能に連結する連結部6とを備えている。蓋体5は、容器本体2の開口部4を開放し、収容部3に対し物品を出入可能とする開位置と、開口部4を閉鎖する閉位置との間を変位可能に構成されている。また、容器1は、所定の開位置にある蓋体5の閉位置とされる側への変位を規制可能な規制手段を備えている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する略箱状をなし、内側に物品を収容可能な収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の開口部を閉鎖可能な蓋体と、
前記容器本体に対し前記蓋体を回動変位可能に連結する連結部とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体の前記開口部を開放し、前記収容部に対し物品を出入可能とする開位置と、前記開口部を閉鎖する閉位置との間を変位可能に構成され、
所定の前記開位置にある前記蓋体の前記閉位置とされる側への変位を規制可能な規制手段を備えていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記連結部は、前記開口部の縁部のうち前記容器の前後方向の後側の縁部に対応して設けられ、
略水平方向に延在する設置面に前記容器を設置し、かつ、略鉛直方向に延在する所定の壁部に対して前記容器本体の後部を略当接させた状態を維持しつつ、前記閉位置にある前記蓋体を、前記蓋体のうち前記閉位置にある場合の上面が前記設置面に対して略垂直方向に延在する前記所定の開位置となるまで回動変位可能に構成され、当該所定の開位置とされた前記蓋体を前記規制手段により保持可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記蓋体は前記所定の開位置において上下方向に変位可能に構成され、
前記連結部は、前記蓋体及び前記容器本体の一方側に設けられ、前記蓋体の回動軸線方向に沿って突出する軸部と、前記蓋体及び前記容器本体の他方側に設けられ、前記軸部が挿入される軸受部とを備え、
前記軸受部は、前記軸部の相対的な回動変位を許容する回動部と、前記回動部に対して上下に連続して設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に上下方向における前記軸部の相対的なスライド変位を許容するスライド部とを備え、
前記スライド部に位置する前記軸部は前記スライド部により回動変位が規制されることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記規制手段は、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する規制突部と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側及び外側の両側に位置して挟み込む挟持部とを備え、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位、及び、前記挟持部は、前記連結部とは異なる位置に設けられ、
前記所定の開位置とされ、前記規制突部が前記挟持部に挟持された場合に、前記蓋体は、それ以上の前記開位置側への変位が規制されるとともに、前記閉位置側への変位が規制されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記蓋体は、第1構成部と、前記第1構成部との間に内部空間を形成するようにして設けられる第2構成部とを備え、
前記挟持部は、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側に位置する内側挟持部と、外側に位置する外側挟持部とを備え、
前記内側挟持部は、前記第1構成部と前記第2構成部とにより構成され、前記蓋体が前記所定の開位置とされた状態において少なくとも一部が前記第1構成部及び前記第2構成部の2重壁構造とされていることを特徴とする請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記蓋体は前記所定の開位置において上下方向に変位可能に構成され、
前記連結部は、前記蓋体及び前記容器本体の一方側に設けられ、前記蓋体の回動軸線方向に沿って突出する軸部と、前記蓋体及び前記容器本体の他方側に設けられ、前記軸部が挿入される軸受部とを備え、
前記軸受部は、前記軸部の相対的な回動変位を許容する回動部と、前記回動部に対して上下に連続して設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に前記軸部の上下方向における相対的なスライド変位を許容するスライド部とを備え、
前記規制手段は、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する規制突部と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側及び外側の両側に位置して挟み込む挟持部とを備え、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位、及び、前記挟持部は、前記連結部とは異なる位置に設けられ、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する連結突部を備え、
前記連結突部において前記軸受部が設けられ、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位と、前記連結突部とが、ブロック形状の異なる面を形成するようにして互いに連結され、一体化されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記容器本体は、底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部から上方に突出する側壁部と、前記側壁部の上辺部から前記容器本体の外方側に突出する突出壁部とを備え、
前記蓋体は、前記蓋体が前記閉位置にある場合に前記突出壁部の上方に重なる第1重なり部と、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に前記突出壁部の上方に重なる第2重なり部とを備え、
前記第1重なり部と、前記第2重なり部とが互いに連結されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を備える容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口する略箱状の容器本体と、容器本体に対して回動変位可能に連結され、容器本体の開口部を開閉する蓋体とを備え、玄関先等に設置され、宅配された物品を収容可能な容器が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-145342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、容器に対して物品を出入する際に蓋体が閉方向に変位してしまうことを防止するべく、蓋体を片手で保持しておくことが考えられる。しかしながら、その場合、物品を片手で出入することになるため、作業性が良くないことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、物品を出入する際の作業性の向上を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.上方に開口する略箱状をなし、内側に物品を収容可能な収容部を有する容器本体と、
前記容器本体の開口部を閉鎖可能な蓋体と、
前記容器本体に対し前記蓋体を回動変位可能に連結する連結部とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体の前記開口部を開放し、前記収容部に対し物品を出入可能とする開位置と、前記開口部を閉鎖する閉位置との間を変位可能に構成され、
所定の前記開位置にある前記蓋体の前記閉位置とされる側への変位を規制可能な規制手段を備えていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、規制手段により蓋体を開位置にて保持しておくことが可能となる。このため、開位置にある蓋体が閉位置側に変位しないように作業者が片手で蓋体を保持しなくても済み、蓋体の保持に気を取られることなく、両手を使用して、より効率的かつ安全に物品を出入することができる。特に、容器に対して出入する物品の数が多い場合(片手だけの1回の出入作業では終わらない場合、さらには、物品の出入の途中で容器から離れる必要がある場合)には、時間効率の向上をより一層図ることができる。また、両手を使用して保持することが好ましい物品を出入する場合や、既に収容された物品を整理しながら物品を収容する場合には、物品をより安全かつスムースに出入することができる。従って、物品を出入する際の作業性の向上等を図ることができる。
【0009】
手段2.前記連結部は、前記開口部の縁部のうち前記容器の前後方向の後側の縁部に対応して設けられ、
略水平方向に延在する設置面に前記容器を設置し、かつ、略鉛直方向に延在する所定の壁部に対して前記容器本体の後部を略当接させた状態を維持しつつ、前記閉位置にある前記蓋体を、前記蓋体のうち前記閉位置にある場合の上面が前記設置面に対して略垂直方向に延在する前記所定の開位置となるまで回動変位可能に構成され、当該所定の開位置とされた前記蓋体を前記規制手段により保持可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、容器を設置面に設置する場合に容器本体の後部を所定の壁部に略当接させた配置としても、蓋体を支障なく開閉させることができる。例えば、開位置とされた蓋体の後端部(上面)が、容器本体の後端部よりも後方に突出する構成のように、容器本体の後部を所定の壁部に略当接させて容器を設置面に設置してしまうと、蓋体を上手く開位置とすることができない、或いは、蓋体を開位置とすることで蓋体が所定の壁部に圧接してしまう(場合によっては、容器本体が傾き、収容された物品が倒れてしまう)等の事態を回避することができる。従って、蓋体の開閉に支障なく容器本体を所定の壁部に略当接させて容器を配置することができ、容器の設置場所のスペース効率を極力良好なものとしつつ、蓋体を開位置とする度に所定の壁部や蓋体等が損傷する等の事態を回避することができる。
【0011】
尚、「略」とは、厳密に所定の状態を特定するものではなく、常識的に認められる誤差の範囲や精度のもの、目的の機能や効果を達成可能な範囲で近似する状態を含む趣旨である。また、所定の開位置とされ、規制手段により保持された蓋体は、閉位置側への変位が規制されるとともに、それ以上の開位置側への変位が規制される。
【0012】
手段3.前記蓋体は前記所定の開位置において上下方向に変位可能に構成され、
前記連結部は、前記蓋体及び前記容器本体の一方側に設けられ、前記蓋体の回動軸線方向に沿って突出する軸部と、前記蓋体及び前記容器本体の他方側に設けられ、前記軸部が挿入される軸受部とを備え、
前記軸受部は、前記軸部の相対的な回動変位を許容する回動部と、前記回動部に対して上下に連続して設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に上下方向における前記軸部の相対的なスライド変位を許容するスライド部とを備え、
前記スライド部に位置する前記軸部は前記スライド部により回動変位が規制されることを特徴とする手段2に記載の容器。
【0013】
手段3によれば、軸部をスライド部に位置させることにより、軸部の回動変位が規制され、ひいては、所定の開位置にある蓋体の閉位置側への回動変位(及び、それ以上の開位置側への変位)が規制されることとなる。すなわち、容器本体に対し蓋体を回動変位可能に連結する連結部が、蓋体を開位置で保持する機能をも具備して規制手段を兼ねることとなり、連結部及び規制手段の構造を極力コンパクトに設けることができる。また、構造の簡素化に伴い、容器の軽量化にも寄与することができる。さらに、蓋体を所定の開位置まで回動変位させてから蓋体を上下方向に変位させることで、蓋体の閉位置側への変位が規制される状態とすることができ、例えば、所定の開位置にある蓋体の閉位置側への変位を規制するロック部材を別途設けるとともに、蓋体を所定の開位置とした状態でロック部材をロック状態となるように操作するといった構成に比べ、蓋体を変位させる操作だけで蓋体を開位置で保持したり、当該保持状態を解除したりすることができ、作業性の向上等を図ることができる。
【0014】
手段4.前記規制手段は、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する規制突部と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側及び外側の両側に位置して挟み込む挟持部とを備え、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位、及び、前記挟持部は、前記連結部とは異なる位置に設けられ、
前記所定の開位置とされ、前記規制突部が前記挟持部に挟持された場合に、前記蓋体は、それ以上の前記開位置側への変位が規制されるとともに、前記閉位置側への変位が規制されることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0015】
手段4によれば、規制突部が挟持部に挟持されることで所定の開位置にある蓋体を保持可能である。さらに、規制突部のうち挟持部に挟持され得る部位、及び、挟持部は、連結部とは異なる位置に(連結部とは別に)設けられていることから、開位置にある蓋体の変位が規制される際の連結部の損傷等を抑止することができ、連結部の耐久性の向上等を図ることができる。
【0016】
手段5.前記蓋体は、第1構成部と、前記第1構成部との間に内部空間を形成するようにして設けられる第2構成部とを備え、
前記挟持部は、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側に位置する内側挟持部と、外側に位置する外側挟持部とを備え、
前記内側挟持部は、前記第1構成部と前記第2構成部とにより構成され、前記蓋体が前記所定の開位置とされた状態において少なくとも一部が前記第1構成部及び前記第2構成部の2重壁構造とされていることを特徴とする手段4に記載の容器。
【0017】
手段5によれば、所定の開位置にある蓋体の閉位置側への変位を規制する内側挟持部の補強を図り、変形や損傷等を防止することができる。特に、所定の開位置にある蓋体に対して閉位置側に力が作用する場合(蓋体の一部が容器本体の開口部の上方に張出している、或いは、蓋体の裏面側に設けられたポケット部に物品が収容されている等)に、かかる作用効果がより顕著に奏される。また、所定の開位置にある蓋体の規制手段による規制状態を解消せずに蓋体を閉位置側に変位させようとして力が加えられた場合の内側挟持部の損傷等を抑制することができる。
【0018】
手段6.前記蓋体は前記所定の開位置において上下方向に変位可能に構成され、
前記連結部は、前記蓋体及び前記容器本体の一方側に設けられ、前記蓋体の回動軸線方向に沿って突出する軸部と、前記蓋体及び前記容器本体の他方側に設けられ、前記軸部が挿入される軸受部とを備え、
前記軸受部は、前記軸部の相対的な回動変位を許容する回動部と、前記回動部に対して上下に連続して設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に前記軸部の上下方向における相対的なスライド変位を許容するスライド部とを備え、
前記規制手段は、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する規制突部と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体が前記所定の開位置とされた場合に前記規制突部に対して前記容器本体の内外方向における内側及び外側の両側に位置して挟み込む挟持部とを備え、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位、及び、前記挟持部は、前記連結部とは異なる位置に設けられ、
前記容器本体に設けられ、前記開口部の縁部よりも前記開口部の外周側の位置から、前記開口部の縁部よりも上方にまで突出する連結突部を備え、
前記連結突部において前記軸受部が設けられ、
前記規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位と、前記連結突部とが、ブロック形状の異なる面を形成するようにして互いに連結され、一体化されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0019】
手段6によれば、規制突部のうち前記挟持部に挟持され得る部位と、連結突部とを極力コンパクトに配置しつつ、互いの強度及び剛性を高め合うことができる。また、規制突部(連結突部)は、容器本体の開口部の縁部よりも開口部の外周側(開口部の後側の縁部よりも後方)の位置に設けられているため、物品の出入に際して規制突部(連結突部)と、物品との接触を抑制することができ、規制突部(連結突部)、及び、物品の損傷等を抑止することができる。
【0020】
手段7.前記容器本体は、底壁構成部と、前記底壁構成部の側辺部から上方に突出する側壁部と、前記側壁部の上辺部から前記容器本体の外方側に突出する突出壁部とを備え、
前記蓋体は、前記蓋体が前記閉位置にある場合に前記突出壁部の上方に重なる第1重なり部と、前記蓋体が前記所定の開位置にある場合に前記突出壁部の上方に重なる第2重なり部とを備え、
前記第1重なり部と、前記第2重なり部とが互いに連結されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の容器。
【0021】
手段7によれば、蓋体が閉位置とされている状態において第1重なり部と突出壁部とが上下に重なることにより、容器の密閉性を高めることができ、また、蓋体が所定の開位置とされている状態において第2重なり部と突出壁部とが上下に重なることにより、蓋体の荷重が連結部に作用することを軽減又は無くすことができ、連結部の劣化、損傷等を抑止することができる。さらに、第1重なり部と第2重なり部とが互いに連結されていることから、互いの強度及び剛性を高め合うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】蓋体を閉じた状態にある容器の斜視図である。
図2】蓋体を開けた状態にある容器の斜視図である。
図3】蓋体を閉じた状態にある容器の側面図である。
図4】蓋体を開けた状態にある容器の側面図である。
図5】容器の分解斜視図である。
図6】容器の分解斜視図である。
図7】蓋体の分解斜視図である。
図8】容器本体の分解斜視図である。
図9】軸部周辺部を示す部分拡大斜視図である。
図10】軸受部周辺部を示す部分拡大側面図である。
図11】蓋体を閉じた状態にある容器の一部断面を含む部分拡大側面図である。
図12】蓋体を開閉する過程にある状態の容器の一部断面を含む部分拡大側面図である。
図13】蓋体を開けた状態にある容器の一部断面を含む部分拡大側面図である。
図14】蓋体を開けて保持した状態にある容器の一部断面を含む部分拡大側面図である。
図15】閉状態にある容器の前部を示す部分拡大断面図である。
図16】開状態にある容器の後部を示す部分拡大断面図である。
図17】閉状態にある容器の側部を示す一部断面を含む部分拡大斜視図である。
図18】開状態にある容器の後側部を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1図2等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、内側に物品を収容可能な収容部3を有する容器本体2と、容器本体2の開口部4を閉鎖可能とする蓋体5と、容器本体2に対し蓋体5を回動変位可能に連結する連結部6とを備えている。詳しくは後述するが、連結部6は、容器本体2の開口部4の縁部のうち容器1の前後方向の後側の縁部に対応して設けられている。蓋体5は、容器本体2の開口部4を開放し、収容部3に対し物品を出入可能とする開位置と、開口部4を閉鎖する閉位置との間を変位可能に構成されている。尚、「略」とは、厳密に所定の状態を特定するものではなく、常識的に認められる誤差の範囲や精度のもの、目的の機能や効果を達成可能な範囲で近似する状態を含む趣旨である。
【0024】
図5図6等に示すように、容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部11と、底壁構成部11の前辺部、後辺部、及び、左右の側辺部からそれぞれ上方に突出する前側壁部12、後側壁部13、左側壁部14、及び、右側壁部15とを備えている。本実施形態の容器本体2は、容器本体2の上面が前方に向けて下方傾斜している。つまり、前側壁部12の高さが、後側壁部13の高さよりも低くなっており、左側壁部14、及び、右側壁部15の上辺部は、前側壁部12の上辺部と連続し、当該前側壁部12の上辺部と略平行して延びる部位と、後側壁部13の上辺部と連続し、当該後側壁部13の上辺部と略平行して延びる部位と、その間を傾斜しつつ連結する部位とを備えている。
【0025】
また、図8に示すように、本実施形態の容器本体2は、主として容器本体2の外面側を構成する本体側第1構成部16と、本体側第1構成部16との間に本体側内部空間18(図15図17参照)を形成するようにして設けられ、主として容器本体2の内面側を構成する本体側第2構成部17とを備えている。
【0026】
本体側第2構成部17は、底壁構成部11の内面(内底面)側を構成する略矩形板状の内側底壁部20と、内側底壁部20の各側縁部からそれぞれ上方に延出し、前側壁部12、後側壁部13、左側壁部14、及び、右側壁部15の内面側を構成する内側側壁部21と、各内側側壁部21の上縁部から容器本体2の外方側に突出する上辺壁部22と、上辺壁部22の先端縁(外縁部)から下方に突出する折返し部23とを備えている。上辺壁部22のうち内側側壁部21との連接部には、上辺壁部22、及び、内側側壁部21を下側に凹ませるようにして形成された合わせ凹部24(図5図17等参照)が設けられている。
【0027】
本体側第1構成部16は、底壁構成部11の外面(下面、接地面)側を構成する平面視略矩形状の外側底壁部26と、外側底壁部26の各側縁部からそれぞれ上方に延出し、前側壁部12、後側壁部13、左側壁部14、及び、右側壁部15の外面側を構成する外側側壁部27と、各外側側壁部27の上縁部から容器本体2の外方側に突出する突出壁部28(図17等参照)と、外側側壁部27の上縁部を上方に延長させるようにして設けられ、突出壁部28よりも上方に突出する係止突部29とを備えている。突出壁部28は、各外側側壁部27の上縁部に沿って、全周にわたり連続して設けられている。
【0028】
本体側第1構成部16の内側に本体側第2構成部17を挿入することで、図15図17に示すように、本体側第2構成部17の上辺壁部22の下面側に本体側第1構成部16の係止突部29が相対的に挿入されて当接するとともに、本体側第2構成部17の折返し部23が、係止突部29の外面側と対向して近接した状態(略係止状態)とされる。さらに、本体側内部空間18は、内側底壁部20と外側底壁部26との間、及び、内側側壁部21と外側側壁部27との間に形成され、当該本体側内部空間18には、所定の形状に成形された断熱材8(例えば、発泡スチロール)が設けられている。尚、本体側第1構成部16、及び、本体側第2構成部17は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。また、本体側第1構成部16と、本体側第2構成部17との間の上下方向における相対変位を規制する係止手段(図示略)を設けることとしてもよい。
【0029】
図3に示すように、容器本体2を略水平方向に延在する設置面81に設置した場合、内側底壁部20、及び、外側底壁部26は略水平方向に延在し、内側側壁部21、及び、外側側壁部27は略鉛直方向に延在する(図15図16参照)。また、図17図18等に示すように、本体側第1構成部16の突出壁部28は、本体側第2構成部17の折返し部23よりも容器本体2の外方側にまで突出している。尚、外側側壁部27の外面が容器本体2の外面を構成することから、突出壁部28は、前側壁部12、後側壁部13、左側壁部14、及び、右側壁部15から容器本体2の外方側に突出していると言える。
【0030】
図5図6等に示すように、蓋体5は、当該蓋体5が閉位置にある場合に、平面視略矩形状をなし、容器本体2の上方を覆う天壁部31と、天壁部31の前辺部、及び、左右の側辺部からそれぞれ下方に突出する前蓋壁部32、左蓋壁部33、及び、右蓋壁部34とを備えている。上記のように、容器本体2の上面(前側壁部12、後側壁部13、左側壁部14、及び、右側壁部15の上辺部により形成される枠状部位)は、前方に向けて下方傾斜している。これに対し、蓋体5は、図3に示すように、容器1を水平な設置面81に設置した場合に、閉位置にある蓋体5の天壁部31の上面を略水平方向に延在させるべく、前蓋壁部32、左蓋壁部33、及び、右蓋壁部34によって、天壁部31を前記略水平方向に延在する位置で支持するとともに、天壁部31と容器本体2との間の隙間を閉塞するように構成されている。前蓋壁部32、左蓋壁部33、及び、右蓋壁部34の下辺部は、蓋体5が閉位置にある場合に、容器本体2の前側壁部12、左側壁部14、及び、右側壁部15の上辺部に支持されるようになっている。当該構成により、容器1の閉状態においては、容器本体2(開口部4)の前側の上方位置において、蓋体5側にも収容部3が形成され(図17参照)、容器1の閉状態における収容空間が拡張されることとなる。尚、蓋体5の説明に際して、個別の指定がなければ、基本的に蓋体5が閉位置にあるものとして説明する。
【0031】
また、図7に示すように、蓋体5は、主として蓋体5の外面側を構成する蓋側第1構成部35と、蓋側第1構成部35との間に蓋側内部空間37(図11図17参照)を形成するようにして設けられ、主として蓋体5の内面側を構成する蓋側第2構成部36とを備えている。
【0032】
蓋側第2構成部36は、天壁部31の内面側を構成する略矩形板状の内側天壁部39と、内側天壁部39の前縁部、及び、左右の側縁部からそれぞれ下方に延出し、前蓋壁部32、左蓋壁部33、及び、右蓋壁部34の内面側を構成する内側蓋壁部40と、各内側蓋壁部40の下縁部、及び、内側天壁部39の後縁部から容器本体2の外方側に突出する合わせ壁部41とを備えている。合わせ壁部41は、各内側蓋壁部40の下縁部、及び、内側天壁部39の後縁部に沿って、全周にわたり連続して設けられている。さらに、合わせ壁部41のうち、内側蓋壁部40との連接部、及び、内側天壁部39の後縁部との連接部においては、合わせ壁部41を下方に膨出させるようにして形成された合わせ凸部42(図15図17等参照)が設けられている。
【0033】
蓋側第1構成部35は、天壁部31の外面側(蓋体5が閉位置にある場合には上面)を構成する略矩形板状の外側天壁部44と、外側天壁部44の前縁部、及び、左右の側縁部からそれぞれ下方に延出し、前蓋壁部32、左蓋壁部33、及び、右蓋壁部34の外面側を構成する外側蓋壁部45と、各外側蓋壁部45の下縁部から容器本体2の外方側に突出する第1重なり部46(図5等参照)とを備えている。また、蓋側第1構成部35は、外側天壁部44の後縁部から下方に延出する軸前壁部47と、外側天壁部44を容器1の後方側に延長させるようにして設けられ、軸前壁部47よりも後方に突出する軸被覆壁部48と、左右の外側蓋壁部45をそれぞれ容器1の後方側に延長させるようにして設けられ、軸前壁部47よりも後方に突出する軸外壁部49とを備えている。さらに、蓋側第1構成部35は、各軸外壁部49に対してそれぞれ容器1の横幅方向の中央部側に所定距離を隔てて対向配置され、それぞれ軸前壁部47及び軸被覆壁部48と連結される左右一対の軸土台壁部50と、各軸土台壁部50から容器1の横幅方向の中央部側に突出する軸部51とを備えている。軸前壁部47の下縁部は、軸外壁部49の下縁部よりも上方に位置している。また、軸外壁部49の後下の角部、及び、後上の角部(軸被覆壁部48との境界部)は、それぞれR形状とされている。
【0034】
蓋側第1構成部35の内側に蓋側第2構成部36を挿入することで、内側天壁部39と外側天壁部44との間に設けられた係止手段52(図7参照)により、蓋側第1構成部35と、蓋側第2構成部36との間の上下方向における相対変位が規制されることとなる。また、図15図17等に示すように、蓋側第2構成部36の合わせ壁部41の外縁部が、蓋側第1構成部35の外側蓋壁部45の内面に近接(又は、当接)するとともに、図16に示すように、合わせ壁部41の後縁部(蓋体5が開位置にある状態を示す図16では下側に位置する縁部)に関しては、蓋体5が閉位置にある場合に、その上面(図16では右側の面)が軸前壁部47の下縁部(図16では左側の縁部)に(略)当接し、さらに、その後側の縁部(図16では下側の縁部)が当該軸前壁部47よりも容器本体2の後方側(図16では下方)にまで延出するように構成されている。また、図17等に示すように、蓋側内部空間37は、内側天壁部39と外側天壁部44との間、及び、内側蓋壁部40と外側蓋壁部45との間に形成され、当該蓋側内部空間37には、所定の形状に成形された断熱材8(例えば、発泡スチロール)が設けられている。尚、蓋側第1構成部35、及び、蓋側第2構成部36は、それぞれポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0035】
さて、図2図4に示すように、本実施形態の容器1は、略水平方向に延在する設置面81に設置された状態において、蓋体5が閉位置から開位置側に約90度回動変位して、天壁部31が略鉛直方向(設置面に対して略垂直方向)に延在する位置(以下、「起立開放位置」と称する)とされた場合に、当該蓋体5の閉位置とされる側への変位を規制可能に構成されている。本実施形態では、起立開放位置が「所定の開位置」に相当する。
【0036】
図5図8図16等に示すように、容器本体2は、後側壁部13(の外面側を構成する外側側壁部27)の上辺部から後方に突出する突出壁部28から上方に突出する規制突部61を備えている。規制突部61は、係止突部29との間に本体側第2構成部17の折返し部23を挿入可能な距離を隔てて突出壁部28から上方に延出する内側規制壁部62と、内側規制壁部62の上縁部から容器本体2の外方側に延出する上面壁部63と、上面壁部63の外縁部から下方に延出する外側規制壁部64とを備えている。本実施形態の規制突部61は、容器本体2の左右方向において、左側の外側側壁部27から右側の外側側壁部27にかけての範囲に延在している(外側側壁部27よりも側方側には存在しない)。また、図5図8図10に示すように、規制突部61は、容器本体2の左右方向における両端部において、内側規制壁部62と、上面壁部63と、外側規制壁部64との間を閉塞するようにして連結されるとともに、突出壁部28に連結される連結突部65を備えている。
【0037】
図10に示すように、連結突部65は、当該連結突部65を貫通する孔部が形成されることにより設けられ、蓋体5の軸部51が挿入される軸受部66を備えている。軸受部66は、軸部51の相対的な回動変位を許容する正面視略円形状の回動部67と、回動部67の下方において回動部67と連続(連通)して設けられ、蓋体5が起立開放位置にある場合に上下方向における軸部51の相対的なスライド変位を許容するスライド部68とを備えている。本実施形態では、軸部51と、軸受部66とにより連結部6が構成される。
【0038】
より具体的に、図9に示すように、軸部51は、その突出方向に対して直交する断面において、相対する一対の円弧状部位と、相対する一対の直線部位とを具備する略長円形状をなしており、前記円弧状部位間の幅が軸部51の(断面形状の)長手幅となり、前記直線部位間の幅が軸部51の(断面形状の)短手幅となっている。また、蓋体5が起立開放位置とされた場合に、軸部51の長手幅が容器1の高さ方向(上下方向)に延在するように構成されている。これに対し、図11に示すように、回動部67の内径は、軸部51の長手幅よりも若干大きく構成され、図14に示すように、スライド部68の(容器1の前後方向における)幅は、軸部51の短手幅よりも若干大きく構成され、かつ、軸部51の長手幅よりも小さく構成されている。
【0039】
そして、図11に示されるような閉位置にある蓋体5を、図12図13に示すように、起立開放位置まで回動変位させることで、回動部67において回動変位していた軸部51を下方に変位させて、図14に示すようにスライド部68に挿入させることが可能となる。すなわち、蓋体5は起立開放位置において上下方向に変位可能に構成されている。また、スライド部68に位置する軸部51はスライド部68(スライド部68の前後の縁部)により回動変位が規制されることとなり、ひいては、起立開放位置にある蓋体5のそれ以上の開位置側への変位、及び、閉位置側への変位が規制された状態とされる。
【0040】
図6図7図11等に示すように、蓋体5は、閉位置にある状態において、軸前壁部47の下縁部のうち容器1の横幅方向中央部を含む部位から容器本体2の外方側に突出する内側支持部69を備えている。図14図16に示すように、蓋体5が起立開放位置とされ、かつ、軸部51がスライド部68に位置した場合に、蓋体5の内側支持部69と、軸被覆壁部48との間に、規制突部61が相対的に挿入され、容器本体2の内外方向において、内側支持部69と、内側規制壁部62とが対向して当接又は近接し、軸被覆壁部48と、外側規制壁部64とが対向して当接又は近接する。すなわち、規制突部61(内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64)に対して、蓋体5の内側支持部69、及び、軸被覆壁部48が、容器本体2の内外方向における内側及び外側の両側に位置して挟み込むように構成されている。これにより、起立開放位置にある蓋体5のそれ以上の開位置側への変位、及び、閉位置側への変位が規制された状態とされる。
【0041】
図13に示すように、本実施形態では、閉位置にある蓋体5を開位置側に約90度回動変位させることで、軸部51が回動部67に位置する状態にあっても、軸被覆壁部48が、外側規制壁部64の外面に当接し、蓋体5のそれ以上の開位置側への変位が規制されるようになっている。加えて、図11に示すように、蓋体5が閉位置にある状態において、内側支持部69の後縁部は、軸被覆壁部48の後縁部よりも容器本体2の内方側に位置しており、蓋体5の回動変位を阻害しないように構成されている。また、上記のように、蓋側第2構成部36の合わせ壁部41の後縁部に関しては、図11図16に示すように、蓋体5が閉位置にある場合に、その上面(蓋体5が起立開放位置にある図16では右側の面)が軸前壁部47の下縁部に(略)当接し、さらに、その後縁部側が軸前壁部47よりも容器本体2の後方側にまで延出するように構成されており、内側支持部69の形成範囲においては、当該合わせ壁部41と、内側支持部69とが上下(蓋体5が起立開放位置にある場合には前後)に面で当接するように構成されている。尚、合わせ壁部41の後縁部は、内側支持部69の後縁部よりも容器本体2の内方側に位置している。
【0042】
尚、本実施形態では、(蓋側第2構成部36の)合わせ壁部41のうち内側支持部69と重なる部位、及び、(蓋側第1構成部35の)内側支持部69により内側挟持部が構成され、軸被覆壁部48により外側挟持部が構成され、これらの内側挟持部と外側挟持部とにより挟持部が構成される。また、規制突部61のうち内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64により構成される部位が、「規制突部のうち挟持部に挟持され得る部位」を構成する。さらに、本実施形態では、軸受部66のスライド部68に位置する軸部51の回動変位を規制する連結部規制機構と、規制突部61(内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64)が内側支持部69(合わせ壁部41)及び軸被覆壁部48によって挟持される連結部以外規制機構とにより、規制手段が構成されている。加えて、本実施形態では、起立開放位置にある蓋体5の開位置側への変位及び閉位置側への変位を規制する際に、連結部規制機構、及び、連結部以外規制機構の両方が機能し、協働して前記変位を規制するようになっている。
【0043】
また、図16に示すように、後側壁部13(外側側壁部27)の上辺部から後方に突出する突出壁部28は、規制突部61の後方にも存在するように構成されており、当該突出壁部28の後縁部が容器本体2の後端部の一部を構成する(図6参照)。図4図14図16に示すように、蓋体5の上面(外側天壁部44、及び、軸被覆壁部48)は、容器1が略水平方向に延在する設置面81に設置され、かつ、蓋体5が起立開放位置で保持された(軸部51がスライド部68に位置した)場合に、突出壁部28の後縁部よりも後方に突出しない(例えば、鉛直方向に延びる仮想平面上に、蓋体5の上面と、突出壁部28の後縁部とが位置する)ように構成されている。さらに、図3図11に示すように、閉位置にある蓋体5の後端部(軸外壁部49の後端縁)は、突出壁部28の後縁部よりも後方に突出しないように構成されている。このため、図4に示すように、略水平方向に延在する設置面81(例えば、玄関先の床面)に容器1を設置し、かつ、略鉛直方向に延在する所定の壁部82(例えば、建物の外壁)に対して容器本体2の後部を略当接させた状態を維持しつつ、閉位置にある蓋体5を起立開放位置となるまで回動変位可能となっている。
【0044】
また、図15図17に示すように、蓋体5が閉位置にある場合には、蓋体5の合わせ凸部42が、容器本体2の開口部4に沿って設けられた合わせ凹部24に挿入されるとともに、容器本体2の前側壁部12、左側壁部14、及び、右側壁部15に対応する突出壁部28の上方に、蓋体5の第1重なり部46が重なる(当接して支持される)ようになっている。さらに、図18に示すように、蓋体5は、軸外壁部49のうち蓋体5が起立開放位置にある場合の下縁部から外方側(容器1の左右側方)に突出する第2重なり部71を備えている。第2重なり部71は、前記下縁部に沿って湾曲形成されている。また、第1重なり部46と第2重なり部71との連結部位も連続して湾曲形成されている。そして、蓋体5が起立開放位置で保持された状態(軸部51がスライド部68に位置する状態)にある場合に、左側壁部14、及び、右側壁部15と、後側壁部13との境界部に対応する突出壁部28の上方に、第2重なり部71が重なる(当接して支持される)ようになっている。また、軸外壁部49のうち蓋体5が閉位置にある状態の下縁部にも、第1重なり部46及び第2重なり部71と連続する突条部が設けられ(第1重なり部46が後方に延長されるとともに第2重なり部71と連結される格好となり)、これにより、第1重なり部46と、第2重なり部71とが互いに連結されている。加えて、図17に示すように、第1重なり部46、及び、第2重なり部71の外縁部(突出方向先端部)から下方(第2重なり部71においては後方)に突出する外方重なり部72が設けられている。当該外方重なり部72が設けられることにより、前記合わせ凸部42及び合わせ凹部24等とともに閉状態にある容器1の気密性を高め、保冷・保温性能の向上が図られる。
【0045】
また、図2に示すように、蓋体5の裏面側には、蓋体5が起立開放位置にある場合に上方に開口し、所定の物品(例えば、紙類)を収容可能なポケット部73が設けられている。ポケット部73は、蓋側第2構成部36とは別体として形成された後、蓋側第2構成部36に取付けられる。加えて、図9に示すように、各軸部51の突出方向先端側の面には、蓋体5が起立開放位置にある状態において前下となる部位を切欠くようにして形成された傾斜部74が設けられており、一対の軸部51を一対の軸受部66に挿入して軸支させる際に挿入させ易くなっている。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、蓋体5を開位置(起立開放位置)にて保持しておくことが可能となっている。このため、開位置にある蓋体5が閉位置側に変位しないように作業者が片手で蓋体5を保持しなくても済み、蓋体5の保持に気を取られることなく、両手を使用して、より効率的かつ安全に物品を出入することができる。特に、容器1に対して出入する物品の数が多い場合(片手だけの1回の出入作業では終わらない場合、さらには、物品の出入の途中で容器1から離れる必要がある場合)には、時間効率の向上をより一層図ることができる。また、両手を使用して保持することが好ましい物品を出入する場合や、既に収容された物品を整理しながら物品を収容する場合には、物品をより安全かつスムースに出入することができる。従って、物品を出入する際の作業性の向上等を図ることができる。
【0047】
また、本実施形態では、略水平方向に延在する設置面81に容器1を設置し、かつ、略鉛直方向に延在する所定の壁部82に対して容器本体2の後部(突出壁部28の後端部)を略当接させた状態を維持しつつ、閉位置にある蓋体5を、蓋体5のうち閉位置にある場合の上面(外側天壁部44)が設置面81に対して略垂直方向に延在する起立開放位置となるまで回動変位可能に構成され、当該起立開放位置とされた蓋体5を保持可能に構成されている。すなわち、容器1を設置面81に設置する場合に容器本体2の後部を所定の壁部82に略当接させた配置としても、蓋体5を支障なく開閉させることができる。例えば、開位置とされた蓋体の後端部(上面)が、容器本体の後端部よりも後方に突出する構成のように、容器本体の後部を所定の壁部に略当接させて容器を設置面に設置してしまうと、蓋体を上手く開位置とすることができない、或いは、蓋体を開位置とすることで蓋体が所定の壁部に圧接してしまう(場合によっては、容器本体が傾き、収容された物品が倒れてしまう)等の事態を回避することができる。従って、蓋体5の開閉に支障なく容器本体2を所定の壁部82に略当接させて容器1を配置することができ、容器1の設置場所のスペース効率を極力良好なものとしつつ、蓋体5を開位置とする度に所定の壁部82や蓋体5等が損傷する(例えば、蓋体5が所定の壁部82に擦れて所定の壁部82に跡が残る)等の事態を回避することができる。
【0048】
加えて、閉位置にある蓋体5を開位置側に約90度回動変位させることで、軸部51が回動部67に位置する状態にあっても、軸被覆壁部48が、外側規制壁部64の外面に当接し、蓋体5のそれ以上の開位置側への変位が規制されるようになっている。このため、容器本体2の後部を所定の壁部82に略当接させた状態で、閉位置にある蓋体5を開位置とする際に、蓋体5が起立開放位置を越えて回動変位してしまい、蓋体5や所定の壁部82が損傷等してしまうといった事態を回避することができる。
【0049】
また、軸部51が挿入されて軸支される軸受部66は、軸部51の相対的な回動変位を許容する回動部67と、回動部67の下方に連続して設けられ、蓋体5が起立開放位置にある場合に上下方向における軸部51の相対的なスライド変位を許容するスライド部68とを備え、スライド部68に位置する軸部51はスライド部68により回動変位が規制されるように構成されている。このため、軸部51をスライド部68に位置させることにより、軸部51の回動変位が規制され、ひいては、起立開放位置にある蓋体5の閉位置側への回動変位、及び、それ以上の開位置側への変位が規制されることとなる。すなわち、容器本体2に対し蓋体5を回動変位可能に連結する連結部6(軸部51及び軸受部66)が、蓋体5を開位置で保持する機能をも具備する(規制手段を兼ねる)こととなり、例えば、連結部6の周辺部で蓋体5の回動規制を行う機構を別途設ける場合に比べて、連結部6及び規制手段の構造を極力コンパクトに設けることができる。また、構造の簡素化に伴い、容器1の軽量化にも寄与することができる。さらに、蓋体5を起立開放位置まで回動変位させてから蓋体5を下方向に変位させることで、蓋体5の閉位置側への変位が規制される状態とすることができ、例えば、起立開放位置にある蓋体5の閉位置側への変位を規制するロック部材を別途設けるとともに、蓋体5を起立開放位置とした状態でロック部材をロック状態となるように操作するといった構成に比べ、蓋体5を変位させる操作だけで蓋体5を開位置で保持したり、当該保持状態を解除したりすることができ、作業性の向上等を図ることができる。
【0050】
また、蓋体5を起立開放位置で保持する機構(規制手段)として、蓋体5を起立開放位置としてから軸部51をスライド部68に変位させることで、容器本体2の内外方向において、容器本体2の規制突部61(内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64)が、蓋体5の内側支持部69及び軸被覆壁部48によって挟持されるように構成されている。さらに、当該構成(連結部以外規制機構)は、連結部6(連結部規制機構)とは異なる位置に(連結部6とは別に)設けられている。従って、連結部以外規制機構が連結部規制機構と協働して起立開放位置にある蓋体5の回動変位をより確実に防止するとともに、連結部規制機構の負担を軽減して連結部6の損傷等を抑止することができ、連結部6の耐久性の向上等を図ることができる。
【0051】
加えて、蓋側第1構成部35により構成される内側支持部69に対し、蓋側第2構成部36により構成される合わせ壁部41が、蓋体5が起立開放位置にある状態において容器本体2の内外方向において重なることで、2重壁構造とされている。このため、内側支持部69の補強を図ることができ、連結部以外規制機構によって起立開放位置にある蓋体5の閉位置側への変位を規制する際に、内側支持部69の変形や損傷等を防止することができる。特に、起立開放位置にある蓋体5に対して閉位置側に力が作用する場合(蓋体5の一部が容器本体2の開口部4の上方に張出している、或いは、蓋体5の裏面側に設けられたポケット部73に物品が収容されている等)に、かかる作用効果がより顕著に奏される。また、起立開放位置にある蓋体5の規制状態を解消せずに(軸部51をスライド部68に位置させたまま)蓋体5を閉位置側に変位させようとして力が加えられた場合の内側支持部69の損傷等を抑制することができる。
【0052】
また、軸受部66が設けられる連結突部65は、規制突部61の左右両端部を構成する部位となっている。すなわち、規制突部61のうち内側支持部69及び軸被覆壁部48によって挟持され得る部位(内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64)と、連結突部65とが、ブロック形状の異なる面を形成するようにして互いに連結され、一体化されている。このため、規制突部61のうち内側支持部69及び軸被覆壁部48によって挟持され得る部位と、連結突部65とを極力コンパクトに配置しつつ、互いの強度及び剛性を高め合うことができる。また、規制突部61(連結突部65)は、容器本体2の開口部4の縁部よりも開口部の外周側(開口部4の後側の縁部よりも後方)の位置に設けられているため、物品の出入に際して規制突部61(連結突部65)と、物品との接触を抑制することができ、規制突部61(連結突部65)、及び、物品の損傷等を抑止することができる。
【0053】
加えて、蓋体5が閉位置とされている状態において蓋体5(蓋側第1構成部35)の第1重なり部46と、容器本体2(本体側第1構成部16)の突出壁部28とが上下に重なることにより、容器1の密閉性を高めることができる。さらに、蓋体5の閉状態において、容器1の内側の構成である蓋側第2構成部36及び本体側第2構成部17に対して、蓋体5の荷重、さらには、蓋体5の上側に載置された物品の荷重(或いは蓋体5に対して下方に加えられる力)が作用するといった事態を回避することができ、蓋側第2構成部36及び本体側第2構成部17を保持する手段(係止手段52等)の劣化、損傷等を抑止することができる。また、蓋体5が起立開放位置とされている状態において蓋体5の第2重なり部71と、突出壁部28とが上下に重なる(当接する)ことにより、蓋体5の荷重が連結部6(軸部51及び軸受部66)に作用することを軽減又は無くすことができ、連結部6の劣化、損傷等を抑止することができる。さらに、第1重なり部46と第2重なり部71とが互いに連結されていることから、互いの強度及び剛性を高め合うことができる。
【0054】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0055】
(a)上記実施形態では、蓋体5の上面が略鉛直方向に延在する起立開放位置にて蓋体5を保持可能に構成されているが、その他の開位置にて蓋体5を保持可能としてもよい。但し、容器1の後部を所定の壁部82に略当接させるように配置しても開位置で保持された蓋体5と所定の壁部82との接触が回避され、蓋体5を開位置で保持する際の負担が極力小さく、物品の出入が極力行い易いように、蓋体5を起立開放位置で保持可能とすることが望ましい。尚、上記実施形態では、蓋体5を起立開放位置よりも外側へ回動変位させることが不可能に構成されているが、回動変位させることができるように構成してもよい。また、上記実施形態では、蓋体5を起立開放位置にて保持可能としているが、閉位置側への変位だけを規制する構成としてもよい。さらに、上記実施形態では、閉位置から起立開放位置にまで回動変位させた蓋体5を下方に変位させることで蓋体5が保持されるように構成されているが、別の規制手段(例えば、手で操作して変位させるロック機構)によって蓋体5を保持可能としてもよい。但し、蓋体5の開閉作業の簡素化、及び、蓋体5を起立開放位置で保持する機構の簡素化等を図るべく、起立開放位置とされた蓋体5を蓋体5の開閉方向とは異なる方向に変位させるだけで蓋体5を保持したり、保持状態を解除したりすることのできる構成とすることが望ましい。
【0056】
(b)上記実施形態では、規制手段として、軸部51の回動変位を軸受部66のスライド部68により規制する連結部規制機構と、規制突部61の(内側規制壁部62、及び、外側規制壁部64)を内側支持部69(合わせ壁部41)及び軸被覆壁部48によって挟持する連結部以外規制機構とが設けられているが、どちらか一方の機構のみを採用してもよい。また、上記実施形態では、蓋体5側に突状の軸部51が設けられ、容器本体2側に軸受部66が設けられているが、蓋体5側に軸受部を設け、容器本体2側に軸部を設けることも可能である。この場合、軸受部に関し、蓋体が起立開放位置にある状態において、スライド部が回動部の上方に配置される。加えて、第1重なり部46、第2重なり部71、及び、外方重なり部72を省略することも可能である。但し、これらを設けることにより、閉状態にある容器1の気密性を高めるとともに、蓋側第2構成部36及び本体側第2構成部17への負担なく閉位置及び起立開放位置にある蓋体5の荷重を本体側第1構成部16によって安定して支持することができる(容器本体2と閉位置にある蓋体5との間の後方及び左右方向における相対変位を外方重なり部72によって、合わせ凸部42及び合わせ凹部24への負担なく、或いは、協働して規制することができる)。
【0057】
(c)上記実施形態では、容器本体2の上面が前方に向けて下方傾斜しているが、略水平方向に延在する構成としてもよい。但し、容器本体2の上面を傾斜させることで、蓋体5を開位置とした場合に容器本体2の内側を視認し易くすることができる上、物品を出入し易くすることができる。また、上記実施形態では、閉位置とされた蓋体5の上面が略水平方向に延在しているが、例えば、前方に向けて下方傾斜したり、断面略円弧状に若干湾曲したりするように構成してもよい。但し、閉位置とされた蓋体5の上面が略水平方向に延在する構成とすることで、蓋体5を閉位置とした状態において、蓋体5にも収容部3が比較的広く形成され、容器1の収容空間を極力広く確保することができる上、閉位置にある蓋体5の上面側に物品を載置することも可能となる。尚、蓋体5の裏面側や、容器本体2の内側面側において、保冷剤等を保持する保持部を設けてもよい。また、ポケット部73を省略することも可能である。
【0058】
(d)上記実施形態では、容器1(本体側第1構成部16、本体側第2構成部17、蓋側第1構成部35、及び、蓋側第2構成部36)は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、上記実施形態では、保冷・保温性能を高めるべく、容器本体2、及び、蓋体5が中空2層構造とされ、本体側内部空間18及び蓋側内部空間37に断熱材8が設けられているが、断熱材8を省略してもよいし、容器本体2、及び、蓋体5を単層構造としてもよい。さらに、上記実施形態では、容器1が略四角箱状をなしているが、例えば、略円筒形状、平面視略半円形状(前側のコーナー部を比較的大きくR形状としたもの)等の容器に具体化することも可能である。加えて、蓋体5の裏面側(ポケット部73等)に、「蓋を閉じるときには蓋を上側に少し持ち上げてから手前に倒してください」等の蓋体5を閉じる方法の説明を記してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…容器、2…容器本体、3…収容部、4…開口部、5…蓋体、6…連結部、11…底壁構成部、12,13,14,15…側壁部、16…本体側第1構成部、17…本体側第2構成部、28…突出壁部、41…合わせ壁部、46…第1重なり部、48…軸被覆壁部、51…軸部、61…規制突部、62…内側規制壁部、64…外側規制壁部、65…連結突部、66…軸受部、67…回動部、68…スライド部、69…内側支持部、71…第2重なり部。
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