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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025071
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20240216BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240216BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D30/02
B65D75/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128214
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】村木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】下野 貴裕
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA54
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC18
3E064EA12
3E064FA01
3E064FA04
3E064FA05
3E064GA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HP01
3E064HP02
3E067AA03
3E067AA04
3E067AA11
3E067AB81
3E067BA12A
3E067BB11A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA24
3E067EA09
3E067EA15
3E067EB02
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】易開封性の向上を実現可能な包装袋を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る包装袋は、底部と、前記底部と反対側の天部の間に、内容物を収容する収容空間を有する包装袋であって、重ねられた一対のシート部と、一対のシート部における両側に設けられており、一対のシート部の間に収容空間を形成するようにシールされた一対のサイドシール部と、一対のサイドシール部のうち一方から他方に向けた所定方向に沿った破断予定部と、を備え、一対のシート部それぞれは、複数の樹脂層を有し、複数の樹脂層の材料は、ポリエステル樹脂であり、破断予定部において、一対のシート部が有する前記複数の樹脂層には、傷加工が施されており、複数の樹脂層のうち少なくとも1つに施された傷加工は、ハーフカット加工である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部と反対側の天部の間に、内容物を収容する収容空間を有する包装袋であって、
重ねられた一対のシート部と、
前記一対のシート部における両側に設けられており、前記一対のシート部の間に収容空間を形成するようにシールされた一対のサイドシール部と、
前記一対のサイドシール部のうち一方から他方に向けた所定方向に沿った破断予定部と、
を備え、
前記一対のシート部それぞれは、複数の樹脂層を有し、
前記複数の樹脂層の材料は、ポリエステル樹脂であり、
前記破断予定部において、前記一対のシート部が有する前記複数の樹脂層には、傷加工が施されており、
前記複数の樹脂層のうち少なくとも1つに施された前記傷加工は、ハーフカット加工である、
包装袋。
【請求項2】
前記一対のシート部の重なり方向からみた場合、前記破断予定部の形状は、ミシン目状または連続した直線状若しくは曲線状である、
請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記破断予定部は、複数の単位領域を有し、
前記複数の単位領域は、前記所定方向に沿って配置されており、
前記複数の単位領域それぞれは、前記所定方向に延びる仮想線を挟んで配置された2つの傷加工領域を有し、
前記2つの傷加工領域は、前記仮想線に対して反対方向に傾斜している、
請求項1に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋として、特許文献1,2に記載の包装袋が知られている。特許文献1,2に記載の包装袋は、複数の層を有するシート部によって構成されている。上記包装袋は、内容物を密封して収容するための袋である。上記包装袋では、内容物を取り出す場合、包装袋の一部を所定方向(たとえば幅方向)に沿って破断し、包装袋を開封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-97421号公報
【特許文献2】特開2020-121747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に記載の包装袋のように、内容物を密封した状態でエンドユーザに提供される包装袋では、内容物を取り出すための開封性の向上が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、易開封性の向上を実現可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る包装袋は、底部と、上記底部と反対側の天部の間に、内容物を収容する収容空間を有する包装袋であって、重ねられた一対のシート部と、上記一対のシート部における両側に設けられており、上記一対のシート部の間に収容空間を形成するようにシールされた一対のサイドシール部と、上記一対のサイドシール部のうち一方から他方に向けた所定方向に沿った破断予定部と、を備え、上記一対のシート部それぞれは、複数の樹脂層を有し、上記複数の樹脂層の材料は、ポリエステル樹脂であり、上記破断予定部において、上記一対のシート部が有する上記複数の樹脂層には、傷加工が施されており、上記複数の樹脂層のうち少なくとも1つに施された上記傷加工は、ハーフカット加工である。
【0007】
上記包装袋は、上記収容空間に内容物を収容できる。このように内容物を包装袋に収容した後、包装袋の周縁すべてをシールすることによって内容物を収容した状態で包装袋を閉じることが可能である。包装袋が備える一対のシート部それぞれは複数の樹脂層を有する。各樹脂層には、所定方向に沿った破断予定部において傷加工が施されている。内容物が収容された後に閉じられた包装袋を開封する場合、シート部が有する複数の樹脂層それぞれが破断されるため、上記複数の樹脂層の配向状態の影響を受けにくい。その結果、包装袋を、上記所定方向に沿って破断し易い。このように、包装袋を破断予定部に沿って破断し易いことから、包装袋では、包装袋の易開封性の向上が図れている。複数の樹脂層のうち少なくとも1つの傷加工は、ハーフカット加工である。したがって、上記ハーフカット加工が施された樹脂層については、傷が生じていない領域が存在する。そのため、包装袋に内容物を収容した後、包装袋によって、内容物を密封できる。
【0008】
上記一対のシート部の重なり方向からみた場合、上記破断予定部の形状は、ミシン目状または連続した直線状若しくは曲線状であってもよい。
【0009】
上記破断予定部は、複数の単位領域を有し、上記複数の単位領域は、上記所定方向に沿って配置されており、上記複数の単位領域それぞれは、上記所定方向に延びる仮想線を挟んで配置された2つの傷加工領域を有し、上記2つの傷加工領域は、上記仮想線に対して反対方向に傾斜していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、易開封性の向上を実現可能な包装袋を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】天部が開放された状態における一実施形態に係る包装袋1の一例を模式的に図面である。
図2図2は、図1のII-II線に沿った端面図である。
図3図3は、シート部の層構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、シート部の層構成の他の例を示す模式図である。
図5図5は、天部がシールされた状態の包装袋を模式的に示す図面である。
図6図6(a)は、破断予定部の形状の一例を説明するための図面であり、図6(b)は、図6(a)に示した破断予定部を構成する単位領域を説明するための図面である。
図7図7は、破断予定部の形状の他の例を説明するための図面である。
図8図8は、破断予定部の形状の更に他の例を説明するための図面である。
図9図9(a)は、第1傷加工形態を説明するための図面であり、図9(b)は、第2傷加工形態を説明するための図面であり、図9(c)は、第3傷加工形態を説明するための図面である。
図10図10(a)は、第4傷加工形態を説明するための図面であり、図10(b)は、第5傷加工形態を説明するための図面であり、図10(c)は、第6傷加工形態を説明するための図面である。
図11図11(a)は、第7傷加工形態を説明するための図面であり、図11(b)は、第8傷加工形態を説明するための図面であり、図11(c)は、第9傷加工形態を説明するための図面である。
図12図12(a)は、第10傷加工形態を説明するための図面であり、図12(b)は、第11傷加工形態を説明するための図面であり、図12(c)は、第12傷加工形態を説明するための図面である。
図13図13は、実施例で使用した試験片としてのシート部を説明するための図面である。
図14図14(a)は、比較例としての第13傷加工形態を説明するための図面であり、図14(b)は、比較例としての第14傷加工形態を説明するための図面であり、図14(c)は、比較例としての第15傷加工形態を説明するための図面である。
図15図15は、実施例および比較例のシート部の破断のし易さを評価するための方法を説明するための図面である。
図16図16は、実施例および比較例のシート部の破断のし易さの評価基準を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0013】
図1は、天部が開放された状態における一実施形態に係る包装袋1の一例を模式的に図面である。図2は、図1のII-II線に沿った端面図である。
【0014】
包装袋1は、底部1aと底部1aの反対側に位置する天部1bとの間に内容物を収容する収容空間2を有する。
【0015】
内容物は限定されず、液体でもよいし、固体でもよい。内容物の例は、日焼け止めクレームのような各種クリーム、化粧水などの液体、医薬品、液体及び固体を充填した容器などの固体などを含む。
【0016】
包装袋1は、重ねられた一対のシート部10を有する。本実施形態では、一対のシート部10の構成は同じである。シート部10は、複数の樹脂層を有する積層体である。複数の樹脂層の材料はポリエステル樹脂である。上記ポリエステル樹脂の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などである。
【0017】
図3および図4を利用してシート部10の層構成の例を説明する。
【0018】
図3に示したように、一実施形態において、シート部10は、内層11と外層12とを有する。内層11と外層12は、接着層13によって接合されている。
【0019】
内層11は、包装袋1において収容空間2側の層である。内層11は樹脂層である。樹脂層の材料はポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂の例は、前述したとおりである。内層11の厚さの例は、10μm以上且つ100μm以下である。一対のシート部10をヒートシールによってシールする形態では、内層11は、シーラント層として機能し得る。たとえば、内層11は、ヒートシーラブル延伸PET(HSPET)によって形成され得る。
【0020】
外層12は、包装袋1において最も外側の層である。外層12は樹脂層である。樹脂層の材料はポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂の例は、前述したとおりである。外層12は、たとえば、延伸PETによって形成され得る。外層12の厚さの例は、5μm以上且つ50μm以下である。外層12は、印刷基材層として機能する。
【0021】
接着層13は、接着剤によって形成されている。接着剤の例はエステル系接着剤である。接着層13の厚さの例は0.1μm以上且つ5μm以下である。
【0022】
上記のように、内層11および外層12が樹脂層であることから、図2に示した層構成は2つの樹脂層を有する。
【0023】
図4に示したように、一実施形態において、シート部10は、内層11および外層12の間に中間層14を有してもよい。内層11と中間層14は接着層13によって接合されており、中間層14と外層12は、接着層13によって接合されている。
【0024】
中間層14は、樹脂層14aと、金属蒸着層14bとを有する。
【0025】
樹脂層14aの材料はポリエステル樹脂である。ポリエステル樹脂の例は、前述したとおりである。樹脂層14aの厚さの例は、5μm以上且つ25μm以下である。
【0026】
金属蒸着層14bは、樹脂層14aに金属が蒸着されることによって形成された層である。金属蒸着層14bの材料の例は、アルミニウム、スズ等を含む。金属蒸着層14bの厚さの例は、100Å以上1000Å以下である。図4では、樹脂層の14aうち内層11側に金属蒸着層14bが形成されているが、金属蒸着層14bは、樹脂層14aのうち外層12側に形成されていてもよい。
【0027】
上記のように、中間層14が樹脂層14aを有するとともに、内層11および外層12が樹脂層であることから、図3に示した層構成は3つの樹脂層を有する。
【0028】
図1に示したように、一対のシート部10の周縁は、シールされている。よって、包装袋1は周縁シール部20を有する。周縁シール部20は、一対のシート部10の周縁をたとえばヒートシールすることによって形成される。図1に示したように、周縁シール部20は、一対のサイドシール部21,21と底部シール部22とを有する。
【0029】
包装袋1内に内容物が収容された後、天部1bはシールされる。これによって、図5に示されているように、天部シール部23が形成される。天部シール部23が形成された状態の包装袋1では、内部に内容物が収容され且つ密封されている。天部シール部23を有する包装袋1は、エンドユーザに提供される包装袋である。
【0030】
包装袋1は、幅方向(所定方向)に沿って延びる破断予定部30を有する。上記幅方向は、通常、MD方向である。破断予定部30は、天部シール部23が形成された状態の包装袋1を開封するために、破断される部分である。シート部10において、破断予定部30が形成される領域は、包装袋1に内容物が収容された際に内容物と天部1bとの間の領域である。破断予定部30は、通常、天部1b寄りに形成されている。破断予定部30は、一対のシート部10に傷加工を施すことによって形成されている。図1に示したように、包装袋1は、3つの破断予定部30を有してもよい。本実施形態において、3つの破断予定部30は並列されている。一対のサイドシール部21には、開封開始部40が形成されていてもよい。開封開始部40の例は、ノッチ(切欠き)である。
【0031】
包装袋1を平面視した場合(一対のシート部10の重なり方向からみた場合)の破断予定部30の形状を、図1図6(a)、図6(b)、図7および図8を利用して説明する。破断予定部30の形状は限定されないが、本実施形態では、破断予定部30の形状として4つのパターン、すなわち、パターンA,B,C,Dの場合を説明する。
【0032】
<パターンA>
図1では、パターンAの破断予定部30を示している。破断予定部30は、図1に示したように、直線状の傷加工領域31が幅方向に沿って離散的に配置されたミシン目状(または破線状)の形状を有してもよい。傷加工領域31の長さの例は、包装袋1の幅方向の長さの5%以上且つ30%以下である。傷加工領域31の長さは、たとえば、1mm以上且つ20mm以下でもよい。隣接する傷加工領域31間の距離の例は、傷加工領域31の長さの10%以上且つ100%以下である。
【0033】
<パターンB>
図6(a)および図6(b)は、パターンBの破断予定部30を説明するための図面である。図6(a)に示したように、破断予定部30は、複数の単位領域30aが幅方向に沿って配置された形状を有してよい。図6(b)に示したように、単位領域30aは、幅方向に延びる仮想線VLを挟む2つの直線状の傷加工領域31を有する。傷加工領域31は、仮想線VLに対して反対方向に傾斜している。すなわち、単位領域30aはハの字状に配置された2つの傷加工領域31を有する。
【0034】
2つの傷加工領域31の長さおよび仮想線VLに対する傾斜角などは、2つの傷加工領域31の破断に起因して包装袋1に作用する力によって、包装袋1を仮想線VLに沿って破断できる(あるいは開封できる)ように設定されている。図6(a)および図6(b)に示した単位領域30aが有する傷加工領域31の長さの例は、包装袋1の幅方向の長さの5%以上且つ30%以下である。上記傷加工領域31の長さは、1mm以上且つ20mm以下でもよい。傷加工領域31の仮想線VLに対する傾斜角の例は、5度以上45度以下である。傷加工領域31のうち最も仮想線VLに近い端と仮想線VLとの間の距離の例は、仮想線VLの長さの50%以下である。傷加工領域31のうち最も仮想線VLに近い端と仮想線VLとの間の距離は.0mmでもよいが、仮想線VLの長さの10%以上でもよい。
【0035】
<パターンC>
図7は、パターンCの破断予定部30を説明するための図面である。図7に示したように、破断予定部30は、直線状の破断予定部でもよい。図7に示した破断予定部30は、一対のサイドシール部21,21の一方から他方に向けて連続的に傷加工領域31を形成することによって得られる。
【0036】
<パターンD>
図8は、パターンDの破断予定部30を説明するための図面である。図8に示したように、破断予定部30は、曲線状の破断予定部でもよい。曲線状の破断予定部30は、一対のサイドシール部21,21の一方から他方に向けて連続的に且つ曲線状に傷加工領域31を形成することで得られる。曲線状の破断予定部30は、傷加工領域31が破断されることによって包装袋1に作用する力によって、包装袋1を仮想線VLに沿って開封できる(あるいは破断できる)ように設定されている。曲線状の破断予定部30の例は、波状の破断予定部30である。たとえば、破断予定部30の形状は、サイン波(またはコサイン波)状を有してもよい。この場合、破断予定部30は、たとえば、一周期の長さの10%以上且つ50%以下である振幅を有する波状を有してもよい。
【0037】
破断予定部30は、シート部10に傷加工を施すことによって形成されている。具体的には、破断予定部30において、シート部10が有する複数の樹脂層の全てに傷加工が施されている。複数の樹脂層のうちの少なくとも1つの樹脂層に対する傷加工は、ハーフカット加工である。傷加工は、切り込み用の刃、レーザ加工によって形成され得る。
【0038】
次に、シート部10に対する傷加工の12個の例(第1~第12傷加工形態)を説明する。
【0039】
<第1傷加工形態>
図9(a)は、第1傷加工形態を説明するための図面である。第1傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0040】
図9(a)に示した第1傷加工形態では、内層11および外層12に傷加工が施されている。図9(a)に示された形態では、内層11の裏面(外層12と反対側の面)からハーフカット加工(傷加工)が施されており、外層12の表面(内層11と反対側の面)からハーフカット加工が施されている。これによって、内層11および外層12にカット部32が形成されている。図9(a)に示されているように、第1傷加工形態では、カット部32は、内層11および外層12を貫通していない非貫通孔(または溝)である。
【0041】
第1傷加工形態における内層11および外層12のように、非貫通孔(ハーフカット加工で生じたカット部)を有する層において、非貫通孔の長さの例は、層の厚さの10%以上90%以下である。
【0042】
第1傷加工形態が適用されたシート部10は、たとえば次のようにして製造される。以下、シート部10の製造においては、説明の便宜のため、内層11となるべき樹脂層および外層12となるべき樹脂層も単に「内層11」および「外層12」と称して説明する。
【0043】
第1傷加工形態が適用されたシート部10を製造する場合、内層11および外層12に上記ハーフカット加工を施した後、内層11および外層12を、接着層13(接着剤)を介して接合することによって製造される。内層11および外層12を、接着層13(接着剤)を介して接合する場合、内層11および外層12において、ハーフカット加工が施されていない側の面(傷が生じていない面)同士を対向させて接合する。
【0044】
<第2傷加工形態>
図9(b)は、第2傷加工形態を説明するための図面である。第2傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0045】
図9(b)に示した第2傷加工形態では、内層11に傷加工が施されているとともに、中間層14、接着層13および外層12によって構成される第1積層構造15Aに傷加工が施されている。内層11に施された傷加工は、第1傷加工形態の場合と同様である。
第1積層構造15Aには、第1積層構造15Aを貫通するように傷加工が施されている。これによって、第1積層構造15Aに、貫通孔であるカット部32が形成されている。したがって、外層12と、中間層14(樹脂層14aおよび金属蒸着層14b)と、それらの間の接着層13には貫通孔が形成されている。
【0046】
第2傷加工形態が適用されたシート部10は、たとえば次のように製造され得る。まず、中間層14と外層12とを接着層13を介して接合することによって、第1積層構造15Aを製造する。その後、第1積層構造15Aに、貫通孔を形成するように傷加工を施す。第1積層構造15Aの製造などと並行して、内層11にハーフカット加工を施す。第1積層構造15Aにおける中間層14と、内層11のうち傷が生じてない面を、接着層13を介して接合することによって図9(b)に示したシート部10が得られる。
【0047】
<第3傷加工形態>
図9(c)は、第3傷加工形態を説明するための図面である。第3傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0048】
図9(c)に示した第3傷加工形態では、外層12に傷加工が施されているとともに、内層11、接着層13および中間層14によって構成される第2積層構造15Bに傷加工が施されている。外層12に施された傷加工は、第1傷加工形態の場合と同様である。第2積層構造15Bには、第2積層構造15Bを貫通するように傷加工が施されている。これによって、第2積層構造15Bに、貫通孔であるカット部32が形成されている。したがって、内層11と、中間層14(樹脂層14aおよび金属蒸着層14b)と、それらの間の接着層13には貫通孔が形成されている。
【0049】
第3傷加工形態が適用されたシート部10は、たとえば次のように製造され得る。まず、内層11と中間層14とを接着層13を介して接合することによって、第2積層構造15Bを製造する。その後、第2積層構造15Bに、貫通孔を形成するように傷加工を施す。第2積層構造15Bの製造などと並行して、外層12にハーフカット加工を施す。第2積層構造15Bにおける中間層14と、外層12のうち傷が生じてない面を、接着層13を介して接合することによって図9(c)に示したシート部10が得られる。
【0050】
<第4傷加工形態>
図10(a)は、第4傷加工形態を説明するための図面である。第4傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0051】
第4傷加工形態では、外層12の裏面(内層11側の面)から外層12にハーフカット加工が施されている点で、図9(a)に示した第1傷加工形態と相違する。図10(a)に示した形態では、図9(a)の場合と同様に、外層12は、非貫通孔(または溝)であるカット部32を有する。図10(a)に示した形態では、外層12の表面には、傷は生じていない。
【0052】
第4傷加工形態が適用されたシート部10は、次のように製造され得る。まず、内層11および外層12に上記ハーフカット加工を施す。その後、内層11において傷が生じていない面と、外層12において傷が生じている面とを対向させた状態で、それらを、接着層13を介して接合することによって、図10(a)に示したシート部10が得られる。
【0053】
<第5傷加工形態>
図10(b)は、第5傷加工形態を説明するための図面である。第5傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0054】
第5傷加工形態では、内層11の裏面(外層12と反対側の面)から樹脂層14aに向けてハーフカット加工が施されている点で、図9(a)に示した第1傷加工形態と相違する。図10(b)に示した形態では、内層11の裏面から樹脂層14aに向けてカット部32が形成されている。この場合、カット部32のうち内層11の部分は貫通孔であり、外層12の部分は非貫通孔(または溝)である。図10(b)に示した形態では、外層12の表面には、傷は生じていない。
【0055】
第5傷加工形態が適用されたシート部10は、内層11および外層12を、接着層13を介して接合した後、内層11の裏面側から上記ハーフカット加工を施すことによって、得られる。
【0056】
<第6傷加工形態>
図10(c)は、第6傷加工形態を説明するための図面である。第6傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0057】
第6傷加工形態では、図4に示した層構成を有する点以外は、第5傷加工形態と同じである。すなわち、図10(c)に示されているように、内層11、中間層14および外層12を有するシート部10において、内層11の裏面(外層12と反対側の面)から外層12に向けてハーフカット加工が施されており、結果として、内層11の裏面から外層12に向けてカット部32が形成されている。この場合、カット部32のうち内層11および樹脂層14aの部分は貫通孔であり、外層12の部分は非貫通孔(または溝)である。図10(c)に示した形態では、外層12の表面には、傷は生じていない。
【0058】
第6傷加工形態が適用されたシート部10は、内層11、中間層14および外層12を、接着層13を介して接合した後、内層11の裏面側から上記ハーフカット加工を施すことによって、得られる。
【0059】
<第7傷加工形態>
図11(a)は、第7傷加工形態を説明するための図面である。第7傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0060】
第7傷加工形態では、内層11の表面(外層12側の面)から内層11にハーフカット加工が施されている点で、図9(a)に示した第1傷加工形態と相違する。図11(a)に示した形態では、図9(a)の場合と同様に、内層11は、非貫通孔(または溝)であるカット部32を有する。図11(a)に示した形態では、内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0061】
第7傷加工形態が適用されたシート部10は、次のように製造され得る。まず、内層11および外層12に上記ハーフカット加工を施す。その後、内層11において傷が生じている面と、外層12において傷が生じていない面とを対向させた状態で、それらを、接着層13を介して接合することによって、図11(a)に示したシート部10が得られる。
【0062】
<第8傷加工形態>
図11(b)は、第8傷加工形態を説明するための図面である。第8傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0063】
第8傷加工形態では、外層12の表面(内層11と反対側の面)から内層11に向けてハーフカット加工が施されている点で、図9(a)に示した第1傷加工形態と相違する。図11(b)に示した形態では、外層12の表面から内層11に向けてカット部32が形成されている。この場合、カット部32のうち外層12の部分は貫通孔であり、内層11の部分は非貫通孔(または溝)である。図11(b)に示した形態では、内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0064】
第8傷加工形態が適用されたシート部10は、内層11および外層12を接着層13を介して接合した後、外層12の表面側から上記ハーフカット加工を施すことによって、得られる。
【0065】
<第9傷加工形態>
図11(c)は、第9傷加工形態を説明するための図面である。第9傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0066】
第9傷加工形態では、図4に示した層構成を有する点以外は、第8傷加工形態と同じである。すなわち、図11(c)に示されているように、内層11、中間層14および外層12を有するシート部10において、外層12の表面(内層11と反対側の面)から内層11に向けてハーフカット加工が施されており、結果として、外層12の表面から内層11に向けてカット部32が形成されている。この場合、カット部32のうち外層12および樹脂層14aの部分は貫通孔であり、内層11の部分は非貫通孔(または溝)である。図11(b)に示した形態では、内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0067】
第8傷加工形態が適用されたシート部10は、内層11、中間層14および外層12を、接着層13を介して接合した後、外層12の表面側から上記ハーフカット加工を施すことによって、得られる。
【0068】
<第10傷加工形態>
図12(a)は、第10傷加工形態を説明するための図面である。第10傷加工形態は、図3に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0069】
第10傷加工形態では、外層12の裏面(内層11側の面)から外層12にハーフカット加工が施されており、且つ、内層11の表面(外層12側の面)から内層11にハーフカット加工が施されている。この場合、外層12には、裏面から表面に向けて非貫通孔(または溝)であるカット部32が形成されており、内層11には、表面から裏面に向けて非貫通孔(または溝)であるカット部32が形成されている。図12(a)に示した形態では、外層12の表面および内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0070】
第10傷加工形態が適されたシート部10は、次のように製造され得る。まず、内層11および外層12に上記ハーフカット加工を施す。その後、内層11において傷が生じている面と、外層12において傷が生じている面とを対向させた状態で、それらを、接着層13を介して接合することによって、図12(a)に示したシート部10が得られる。
【0071】
<第11傷加工形態>
図12(b)は、第11傷加工形態を説明するための図面である。第11傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0072】
第11傷加工形態では、第1積層構造15Aにおいて、中間層14の裏面(内層11側の面)から外層12に向けてハーフカット加工が施され、且つ、内層11の表面(外層12側の面)から内層11にハーフカット加工が施されている。この場合、第1積層構造15Aには、第1積層構造15Aの裏面から外層12に向けてカット部32が形成されている。第1積層構造15Aが有するカット部32において、外層12の部分は非貫通孔(または溝)であり、樹脂層14aの部分は貫通孔である。内層11には、表面(外層12側の面)から裏面に向けて非貫通孔(または溝)であるカット部32が形成されている。図12(b)に示した形態では、外層12の表面および内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0073】
第11傷加工形態が適用されたシート部10は、次のようにして製造され得る。図9(b)の場合と同様にして製造された第1積層構造15Aおよび内層11に上記ハーフカット加工を施す。その後、第1積層構造15Aおよび内層11において傷が生じている面を対向させた状態で、第1積層構造15Aおよび内層11を、接着層13を介して接合する。これによって、図12(b)に示したシート部10が得られる。
【0074】
<第12傷加工形態>
図12(c)は、第12傷加工形態を説明するための図面である。第12傷加工形態は、図4に示した層構成を有するシート部10に対して適用される傷加工の一形態である。
【0075】
第12傷加工形態では、第2積層構造15Bにおいて、中間層14の表面(外層12側の面)から内層11に向けてハーフカット加工が施され、且つ、外層12の裏面(内層11側の面)から外層12にハーフカット加工が施されている。この場合、第2積層構造15Bには、第2積層構造15Bの表面から内層11に向けてカット部32が形成されている。第2積層構造15Bが有するカット部32において、樹脂層14aの部分は貫通孔であり、内層11の部分は非貫通孔(または溝)である。外層12には、裏面(内層11側の面)から表面に向けて非貫通孔(または溝)であるカット部32が形成されている。図12(c)に示した形態では、外層12の表面および内層11の裏面には、傷は生じていない。
【0076】
第11傷加工形態が適用されたシート部10は、次のようにして製造され得る。図9(c)の場合と同様に、製造された第2積層構造15Bおよび外層12に上記ハーフカット加工を施す。その後、第2積層構造15Bおよび外層12において傷が生じている面を対向させた状態で、第2積層構造15Bおよび外層12を、接着層13を介して接合する。これによって、図12(c)に示したシート部10が得られる。
【0077】
上記包装袋1は、たとえば、破断予定部30が形成された一対のシート部10を重ね合わせた後、一対のサイドシール部21および底部シール部22を形成するように、一対のシート部10をシールすることによって製造される。
【0078】
上記包装袋1では、開封すべき領域(開封予定領域)に破断予定部30が形成されている。破断予定部30は、包装袋1を構成する一対のシート部10それぞれに傷加工が施されることによって形成されている。具体的には、各シート部10は複数の樹脂層を有し、各樹脂層に傷加工が施されている。
【0079】
たとえば、シート部10が図3に示した層構成を有する場合、樹脂層である内層11および外層12の両方に傷加工が施されている。その結果、図9(a)、図10(a)、図10(b)、図11(a)、図11(b)および図12(a)に示したように、内層11および外層12はカット部32を有する。
【0080】
たとえば、シート部10が図4に示した層構成を有する場合、樹脂層である内層11および外層12並びに樹脂層14aに傷加工が施されている。その結果、図9(b)、図9(c)、図10(c)、図11(c)、図12(b)および図12(c)に示したように、内層11、外層12および樹脂層14aはカット部32(またはカット部32の一部)を有する。
【0081】
上述したように、各シート部10は複数の樹脂層を有し、破断予定部30において、各樹脂層に傷加工が施されている。そのため、包装袋1を開封する場合、各シート部10は複数の樹脂層それぞれが破断するため、各シート部10が有する複数の樹脂層の配向状態の影響を受けにくい。その結果、包装袋1を、一対のサイドシール部21の一方から他方に向けて延在する破断予定部30に沿って破断し易い。
【0082】
破断予定部30の形状が、図6(a)および図6(b)を利用して説明したパターンBである場合、および、図8を利用して説明したパターンDである場合、上記破断予定部30に沿って破断することは、仮想線VLに沿って包装袋1が開封されることを意味する。
【0083】
上記のように、包装袋1を破断予定部30に沿って破断し易いことから、包装袋1では、包装袋1の易開封性の向上が図れている。
【0084】
各シート部10は複数の樹脂層のうち少なくとも1つの傷加工は、ハーフカット加工である。したがって、上記ハーフカット加工が施された樹脂層については、傷が生じていない領域が存在する。そのため、図5に示したように天部シール部23を有する包装袋1では、包装袋1によって、内容物を密封できる。
【0085】
シート部10が有する複数の樹脂層の材料は、ポリエステル樹脂である。この場合、包装袋1は、実質的に単一の素材で構成されるモノマテリアル包材である。このようなモノマテリアル包材は環境負荷が低減されやすい。そのため、包装袋1の構成は、環境負荷低減に有効な構成である。シート部10が有する複数の樹脂層の材料がポリエステル樹脂であることから、包装袋1は、保香性、低吸着性を求められる内容物(たとえば、医薬・化粧品、洗口液など)に対して有効である。
【0086】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲によって示される範囲、および、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0087】
たとえば、破断予定部の数は、図1に例示したように3つに限定されず、1つまたは2つでもよいし、4つ以上でもよい。破断予定部の形状も、例示した4つのパターンに限定されない。破断予定部の平面視形状は、複数のドットが所定方向(幅方向)に沿って離散的に配置されたドット状でもよい。
【0088】
包装袋は、1枚のシート部を2つ折りにすることによって製造されてもよい。この場合、上記1枚のシート部を2つ折りすることによって重ねられた2つの部分が一対のシート部に相当する。
【0089】
シート部が有する層構成も例示した形態に限定されない。シート部が有する複数の樹脂層の数は、4つ以上でもよい。
【実施例0090】
実施例を用いて本発明を更に説明する。本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。説明の便宜のため、以下の実施例の説明では、上記実施形態における各構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。以下では、実施例に対する比較例も説明する。説明の便宜のため、比較例の説明においても、上記実施形態における各構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
<試験片の説明>
実施例1~21では、図13に示した試験片としてのシート部50を製造した。シート部50は、包装袋1を構成するシート部10の評価用モデルであった。
【0092】
シート部50の長辺方向の長さは150mmであり、短辺方向の長さは50mmであった。シート部50において、長辺方向がMD方向(包装袋1において開封のために引き裂かれる方向であり、幅方向に相当)であった。シート部50が有する辺51の中心点51aと辺52の中心点52aを通る仮想線VL上において、中心点51aから中央部(中心点51aから75mmの位置)までシート部50を厚さ方向に貫通するようにカットされた切込み線53を形成した。更に、上記中央部から中心点52aまで、仮想線VLに沿ってシート部50が引き裂かれるように設計された破断予定部30を形成した。中心点51aおよび中心点52aは、一対の長辺のうち一方からの距離が25mmの位置であった。
【0093】
図13では、一例として、図1に示したミシン目状(破線状)の破断予定部30を示しているが、実施例1~21では、図1および図5図8を用いて説明した破断予定部30の種々の平面視形状と、図9(a)~図12(c)を用いて説明した傷加工の第1傷加工形態から第12傷加工形態とを組み合わせたシート部50を製造した。
【0094】
シート部50は、図3または図4に示した層構成を有していた。実施例1~21において使用した図3または図4に示した層構成の条件を説明する。
【0095】
図3に示した層構成(2つの樹脂層を有する場合)>
シート部50は、図2に示したように、内層11、接着層13および外層12を有していた。内層11、接着層13および外層12はこの順に積層されていた。
内層11は、ヒートシーラブル延伸PETによって形成されていた。内層11の厚さは30μmであった。
接着層13は、接着剤によって形成されていた。接着層13の厚さは、1μmであった。
外層12は、延伸PETによって形成されていた。外層12の厚さは12μmであった。
【0096】
図4に示した層構成(3つの樹脂層を有する場合)>
シート部50は、図3に示したように、内層11、接着層13、中間層14、接着層13および外層12を有していた。内層11、接着層13、中間層14、接着層13および外層12はこの順に積層されていた。
内層11、接着層13および外層12の条件は、図2に示した層構成の場合と同じであった。
中間層14は、樹脂層14aと金属蒸着層14bとを有していた。樹脂層14aはPETから形成されていた。樹脂層14aの厚さは、12μmであった。金属蒸着層14bは、アルミニウム蒸着層であった。金属蒸着層14bの厚さは、50nmであった。中間層14は、内層11側に金属蒸着層14bが位置するように配置されていた。
【0097】
次に、実施例1~21で採用した破断予定部30の形状を説明する。破断予定部30の形状として、次のパターンA,パターンB、パターンCおよびパターンDを採用した。破断予定部30に沿ってシート部50を引き裂いた場合、中心点51aと中心点52a通る仮想線VLに沿ってシート部50が破断するように、各パターンの破断予定部30を設計した。
<パターンA>
パターンAは、図1に示したように、直線状の傷加工領域が幅方向に沿って離散的に配置されたミシン目状(または破線状)の形状であった。パターンAの破断予定部30は、仮想線VLに沿って形成されていた。傷加工領域31の長さは、10mmであった。隣接する傷加工領域31の間の距離は、1mmであった。
【0098】
<パターンB>
パターンBは、図6(a)に示したように、複数の単位領域30aが幅方向に沿って配置された形状であった。単位領域30aは、図6(b)に示したように、幅方向に延びる仮想線VLを挟む2つの直線状の傷加工領域31を有していた。傷加工領域31の長さは10mmであった。仮想線に対する傷加工領域31の傾斜角は、30度であった。2つの傷加工領域31それぞれにおいて、最も仮想線VLに近い端部と仮想線VLとの間の長さは1mmであった。
【0099】
<パターンC>
パターンCは、図7に示したように、直線状であった。パターンCの破断予定部30は、仮想線VLに沿って形成されていた。
【0100】
<パターンD>
パターンDは、図8に示したように、幅方向に沿って延びる仮想線VLに対して一定の振幅を有する波線状であった。具体的には、パターンDは、サイン波(またはコサイン波)状であり、一周期分の長さは、30mmであり、振幅は、1mmであった。
【0101】
以下、実施例1~21として、図9(a)~図12(c)に示した種々の傷加工形態と、上記破断予定部30のパターンA~Dの組み合わせを説明する。図9(a)~図12(c)に示した種々の傷加工形態における各傷加工は、レーザ加工を用いて行った。
【0102】
(実施例1)
実施例1のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例1では、図9(a)に示した第1傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。
【0103】
(実施例2)
実施例2のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例2では、図9(b)に示した第2傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例2において、傷加工が施された内層11は、実施例1において、傷加工が施された内層11と同じであった。
【0104】
(実施例3)
実施例3のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例3では、図9(c)に示した第3傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例3において、傷加工が施された外層12は、実施例1において、傷加工が施された外層12と同じであった。
【0105】
(実施例4)
実施例4のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例4では、図10(a)に示した第4傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例4において、傷加工が施された内層11は、実施例1において、傷加工が施された内層11と同じであった。実施例4において、傷加工が施された外層12は、実施例1において、傷加工が施された外層12の上下を反転させて得られる層と同じであった。
【0106】
(実施例5)
実施例5のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例5では、図10(b)に示した第5傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。
【0107】
(実施例6)
実施例6のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例6では、図10(c)に示した第6傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。
【0108】
(実施例7)
実施例7のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例7では、図11(a)に示した第7傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例7において、傷加工が施された外層12は、実施例1において、傷加工が施された外層12と同じであった。実施例7において、傷加工が施された内層11は、実施例1において、傷加工が施された内層11の上下を反転させて得られる層と同じであった。
【0109】
(実施例8)
実施例8のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例8では、図11(b)に示した第8傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。
【0110】
(実施例9)
実施例9のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例9では、図11(c)に示した第9傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。
【0111】
(実施例10)
実施例10のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。実施例10では、図12(a)に示した第10傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例10において、傷加工が施された内層11は、実施例7において、傷加工が施された内層11と同じであった。実施例10において、傷加工が施された外層12は、実施例4において、傷加工が施された外層12と同じであった。
【0112】
(実施例11)
実施例11のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例11では、図12(b)に示した第11傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例11において、傷加工が施された内層11は、実施例7において、傷加工が施された内層11と同じであった。
【0113】
(実施例12)
実施例12のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。実施例12では、図12(c)に示した第12傷加工形態を採用するとともに、パターンAの破断予定部30を採用した。実施例12において、傷加工が施された外層12は、実施例4において、傷加工が施された外層12と同じであった。
【0114】
(実施例13)
実施例13のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、実施例10と同じシート部50であった。
【0115】
(実施例14)
実施例14のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、実施例11と同じシート部50であった。
【0116】
(実施例15)
実施例15のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、実施例12と同じシート部50であった。
【0117】
(実施例16)
実施例16のシート部10は、パターンCの破断予定部30を採用した点以外は、実施例10と同じシート部50であった。
【0118】
(実施例17)
実施例17のシート部10は、パターンCの破断予定部30を形成した点以外は、実施例11と同じシート部50であった。
【0119】
(実施例18)
実施例18のシート部50は、パターンCの破断予定部30を採用した点以外は、実施例12と同じシート部50であった。
【0120】
(実施例19)
実施例19のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、実施例10と同じシート部50であった。
【0121】
(実施例20)
実施例14のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、実施例11と同じシート部50であった。
【0122】
(実施例21)
実施例21のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、実施例12と同じシート部50であった。
【0123】
実施例1~21に対する比較例1~12を説明する。
(比較例1)
比較例1のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。比較例1では、図14(a)に示したように、外層12に傷加工が施されていた。その結果、外層12には、貫通孔としてのカット部32が形成されていた。比較例1のシート部50では、内層11には傷加工が施されていなかった。以下、図14(a)に示した傷加工形態を、第13傷加工形態と称す。比較例1では、パターンAの破断予定部30を採用した。比較例1のシート部50は、外層12に上記傷加工を施した後、外層12と内層11とを接着層13を介して接合することによって製造された。
【0124】
(比較例2)
比較例1のシート部50は、図2に示した層構成を有していた。比較例2では、図14(b)に示したように、内層11に傷加工が施されていた。その結果、内層11には、貫通孔としてのカット部32が形成されていた。比較例2のシート部50では、外層12には傷加工が施されていなかった。以下、図14(b)に示した傷加工形態を、第14傷加工形態と称す。比較例2では、パターンAの破断予定部30を採用した。比較例2のシート部50は、内層11に上記傷加工を施した後、外層12と内層11とを接着層13を介して接合することによって製造された。
【0125】
(比較例3)
比較例3のシート部50は、図3に示した層構成を有していた。比較例3では、図14(c)に示したように、中間層14に傷加工が施されていた。その結果、中間層14には、貫通孔としてのカット部32が形成されていた。よって、中間層14が有する樹脂層14aには貫通孔が形成されていた。比較例3のシート部50では、内層11および外層12には傷加工が施されていなかった。以下、図14(c)に示した傷加工形態を、第15傷加工形態と称す。比較例3では、パターンAの破断予定部30を採用した。比較例3のシート部50では、中間層14に上記傷加工を施した後、内層11、中間層14および外層12を接着層13によって接合することによって製造された。
【0126】
(比較例4)
比較例4のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、比較例1のシート部50と同じであった。
【0127】
(比較例5)
比較例5のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、比較例2のシート部50と同じであった。
【0128】
(比較例6)
比較例6のシート部50は、パターンBの破断予定部30を採用した点以外は、比較例6のシート部50と同じであった。
【0129】
(比較例7)
比較例7のシート部50は、パターンCの破断予定部30を採用した点以外は、比較例1のシート部50と同じであった。
【0130】
(比較例8)
比較例8のシート部50は、パターンCの破断予定部30を採用した点以外は、比較例2のシート部50と同じであった。
【0131】
(比較例9)
比較例6のシート部50は、パターンCの破断予定部30を採用した点以外は、比較例6のシート部50と同じであった。
【0132】
(比較例10)
比較例10のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、比較例1のシート部50と同じであった。
【0133】
(比較例11)
比較例11のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、比較例2のシート部50と同じであった。
【0134】
(比較例12)
比較例12のシート部50は、パターンDの破断予定部30を採用した点以外は、比較例6のシート部50と同じであった。
【0135】
<評価方法>
製造したシート部50をJIS7128-1に準じた引張試験と同様にしてMD方向(包装袋1の幅方向に相当)に引き裂いた際の泣き別れ距離Lを測定した。
【0136】
具体的には、図15に示したように、シート部50の辺51側において、切込み線53によって分けられた2つの領域を、引張試験器60が有する一対の把持部61A,61Bで把持した。引張試験器60にシート部50をセットした段階で、一対の把持部61A,61B間の距離を75mmであった。一対の把持部61A,61Bのうち把持部61Aを固定した状態で、把持部61Bを把持部61Aから離れるように200mm/minの引張速度で移動させることによって、破断予定部30に沿って、辺51から辺52に向けてシート部50を引き裂いた。
【0137】
上記のようにシート部10を引き裂き、図16に示したように、辺52における破断位置(破断によって生じた縁と辺52との交点)52bと、辺52の中心点52aとの間の距離を泣き別れ距離Lと定義した。図16では、泣き別れ距離Lを説明するための模式図であり、泣き別れ距離Lを強調して図示している。図16でも、図13の場合と同様に、ミシン目状の破断予定部30を図示しているが、破断予定部30の形状は、実施例1~21および比較例1~12それぞれにおいて採用した破断予定部30がシート部50に形成されている。
【0138】
破断予定部30は、中心点51aおよび中心点52aを通る仮想線VLの中央部(シート部50の中央部)から辺52の間に形成されている。破断予定部30は、仮想線VLに沿ってシート部50が破断されるように設計されているため、設計通りにシート部50が引き裂かれた場合、辺52における破断位置52bと、中心点52aとは一致する。したがって、上記泣き別れ距離Lは、仮想線VLに沿って破断が生じることが想定された設計上の破断位置52bである中心点52aと、実際の破断位置52bのズレ量に相当する。
【0139】
上記泣き別れ距離Lが5mm以下を評価「良」とし、5mmを超える場合を評価「不良」とした。
【0140】
実施例1~21のシート部50に対して上記評価方法を実施した結果は、表1のとおりであった。比較例1~12のシート部50に対して上記評価方法を実施した結果は、表2のとおりであった。表1および表2の項目「パターン」は、破断予定部30の形状のパターンに相当する。
【表1】

【表2】
【0141】
実施例1~21では、傷加工の形態として、図9(a)から図12(c)に示した第1~第12傷加工形態を採用した。第1~第12傷加工形態では、シート部10が有する全ての樹脂層に傷加工が施されていた。この場合、表1に示されたように、実施例1~21の全てにおいて、泣き別れ距離Lが5mm以下であった。すなわち、実施例1~21の評価は、全て「良」であった。
【0142】
一方、比較例1~12では、傷加工の形態として、図9(a)から図12(c)に示した第13~第15傷加工形態を採用した。第13および第14傷加工形態では、内層11および外層12のいずれか一方にのみ傷加工が施されていた。第15傷加工形態では、中間層14のみに傷加工が施されていた。したがって、比較例1~12では、シート部50が有する複数の樹脂層のうち少なくとも1つの樹脂層には、傷加工が施されていなかった。この場合、表2に示されたように、比較例1~12の全てにおいて、泣き別れ距離Lが5mmを超えていた。すなわち、比較例1~12の評価は、全て「不良」であった。
【0143】
以上より、シート部50が有する複数の樹脂層の全てに対して傷加工が施されていることによって、泣き別れ距離Lを低減できることが理解され得る。
【0144】
実施例1~21では、破断予定部30の種々のパターンに対して評価「良」が得られていた。比較例1~12では、破断予定部30の種々のパターンに対して評価「不良」であった。そのため、シート部50が有する複数の樹脂層の全てに対して傷加工が施されていることが、泣き別れ距離Lの低減により寄与していたことが理解できる。
【0145】
そのため、シート部が有する複数の樹脂層のすべてに傷加工を施すことによって破断予定部が形成されている包装袋を開封する際、破断予定部に沿って包装袋を開封し易く、包装袋の易開封性の向上が図れることが理解し得る。
【符号の説明】
【0146】
1…包装袋、1a…底部、1b…天部、2…収容空間、10…シート部、11…内層(樹脂層)、12…外層、14a…樹脂層、21…サイドシール部、30…破断予定部、30a…単位領域、31…傷加工領域、32…カット部、VL…仮想線。
図1
図2
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図16