(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025073
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】物品整列体
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B65G47/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128216
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006910
【氏名又は名称】株式会社淀川製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】福山 繁男
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA05
3F080AA24
3F080BC01
3F080BC05
3F080CF02
3F080CF11
3F080CF22
3F080DA07
3F080DA10
3F080DA11
3F080DA15
3F080DB04
(57)【要約】
【課題】軸部と頭部とをそれぞれ有する複数の物品を整列させ得て、かつ、その搬送効率を向上させ得る、物品整列体を提供する。
【解決手段】物品整列体30は、一方空間形成部40および他方空間形成部42とと、溝部44と、一方連続部46とを備える。一方空間形成部40および他方空間形成部42は互いに対向する。これにより空間100が形成される。その空間100は一端へ近づくにつれ窄まる。溝部44は溝102を形成する。その溝102は空間100に対向する。一方空間形成部40が、対向面形成部60と背面形成部62とを有している。対向面形成部60は、空間100に対向する面を形成する。背面形成部62は、対向面形成部60が形成する面を正面とするとき背面となる箇所を形成する。一方連続部46は、対向面形成部60の端および背面形成部62の少なくとも一方に連続する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向することで一端へ近づくにつれ窄まる空間を形成する空間形成部の対と、
前記空間形成部の対の双方に連続し前記一端へ近づくにつれ窄まる空間に対向する溝を形成する溝部とを備える物品整列体であって、
前記空間形成部の対の一方が、
前記一端へ近づくにつれ窄まる空間に対向する面を形成する対向面形成部と、
前記対向面形成部が形成する面を正面とするとき背面となる箇所を形成する背面形成部とを有しており、
前記空間形成部の対の一方の前記対向面形成部の端および前記背面形成部の少なくとも一方に連続する一方連続部をさらに備えることを特徴とする物品整列体。
【請求項2】
前記一方連続部が、
前記空間形成部の対の一方の前記対向面形成部の端および前記背面形成部の少なくとも一方から突出するよう設けられる突出体部と、
前記突出体部を介して前記空間形成部の対の一方の前記対向面形成部の端および前記背面形成部の少なくとも一方に連続する連続広幅部とを有しており、
前記突出体部の突出方向に対して直交する方向の前記連続広幅部の幅が、前記突出体部の突出方向に対して直交する方向の前記突出体部の幅より広いことを特徴とする請求項1に記載の物品整列体。
【請求項3】
前記突出体部が板状であることを特徴とする請求項2に記載の物品整列体。
【請求項4】
前記突出体部が前記溝の縁から底へ向かう方向に沿って突出していることを特徴とする請求項2に記載の物品整列体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品整列体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、部品搬送システムを開示する。この部品搬送システムは、姿勢調整器具と搬送装置とを含む。姿勢調整器具は、軸部と軸部の一端から外方に張り出した頭部とを有する部品の姿勢を調整する。搬送装置は、所定の搬送元エリアに置かれたその部品を1つずつ把持して姿勢調整器具に投入する。搬送装置は、その部品を姿勢調整器具から取り出して搬送する。特許文献1に開示された発明によると、軸部と頭部を有する部品を搬送する間に、モータ等の駆動手段を使用せずにその部品の姿勢を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明には、軸部と頭部を有する部品の搬送効率が低いという問題点がある。
【0005】
本発明は、上述された問題点を解決するものである。その目的は、軸部と頭部とをそれぞれ有する複数の物品を整列させ得て、かつ、その搬送効率を向上させ得る、物品整列体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図面を参照して本発明の物品整列体を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0007】
上述された課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、物品整列体30は、空間形成部40,42の対と、溝部44とを備える。空間形成部40,42の対は、互いに対向する。これにより、空間形成部40,42の対によって空間100が形成される。その空間100は、一端へ近づくにつれ窄まる。溝部44は、空間形成部40,42の対の双方に連続する。溝部44は、溝102を形成する。その溝102は、一端へ近づくにつれ窄まる空間100に対向する。空間形成部40,42の対の一方が、対向面形成部60と、背面形成部62とを有している。対向面形成部60は、一端へ近づくにつれ窄まる空間100に対向する面を形成する。背面形成部62は、対向面形成部60が形成する面を正面とするとき背面となる箇所を形成する。物品整列体30は、一方連続部46をさらに備える。一方連続部46は、空間形成部40,42の対の一方の対向面形成部60の端および背面形成部62の少なくとも一方に連続する。
【0008】
次に述べられるものの中へ空間形成部40,42の対と溝部44とを進入させることは可能である。それは、軸部172と軸部172の一端から外方に張り出した頭部174とをそれぞれ有している多数の物品170が収容されている容器190、および、軸部172と頭部174をそれぞれ有しており積み上げられている多数の物品170の集合体である。それらの物品170の軸部172の差し渡しは上述された溝102の幅より狭い。それらの物品170の頭部174の差し渡しは上述された溝102の幅より広い。
【0009】
物品整列体30において、一方連続部46が空間形成部40,42の対の一方の対向面形成部60の端および背面形成部62の少なくとも一方に連続する。これにより、上述された進入に伴って物品整列体30で複数の上述された物品170を掬い上げる際、一方連続部46自体が上述された容器190の中および上述された多数の物品170の集合体の中へ進入する必要はなくなる。その必要がなくなるので、物品整列体30で多数の物品170を掬い上げたときにそれらの物品170のうち一方連続部46に妨げられ空間形成部40,42の対の間に載らないものは少なくなる。それらの物品170のうち一方連続部46に妨げられ空間形成部40,42の対の間に載るものは多くなる。
【0010】
物品整列体30でそれらの物品170を掬い上げた上で物品整列体30が揺すられると、それら掬い上げられた物品170の軸部172は溝102に嵌まり頭部174は空間形成部40,42に載ったままとなる。これにより、それらの物品170は整列する。
【0011】
軸部172と頭部174を有する物品170のうち空間形成部40,42の対の間に載るものが多くなる。空間形成部40,42の対の間に載った物品170が整列する。これにより、整列し一括して搬送される物品170の数は多くなる。その数が多くなると、軸部172と頭部174とをそれぞれ有する複数の物品170を整列させ得て、かつ、その搬送効率を向上させ得る。
【0012】
また、上述された一方連続部46が、突出体部80と、連続広幅部82とを有していることが望ましい。突出体部80は、空間形成部40,42の対の一方の対向面形成部60の端および背面形成部62の少なくとも一方から突出するよう設けられる。連続広幅部82は、突出体部80を介して空間形成部40,42の対の一方の対向面形成部60の端および背面形成部62の少なくとも一方に連続する。この場合、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の連続広幅部82の幅130が、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の突出体部80の幅132より広いことが望ましい。
【0013】
物品整列体30で多数の物品170を掬い上げるにあたり、突出体部80と連続広幅部82とがヒトの手あるいはこれに類似する形状の物に把持されるとする。その場合、連続広幅部82がヒトの手あるいはこれに類似する形状の物に対向することとなる。一方、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の連続広幅部82の幅130が、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の突出体部80の幅132より広い。この場合、物品整列体30で多数の物品170が掬い上げられるとき、連続広幅部82がヒトの手あるいはこれに類似する形状の物に接触しやすくなる。連続広幅部82がヒトの手あるいはこれに類似する形状の物に接触しやすくなると、物品整列体30はぐらつき難くなる。
【0014】
もしくは、上述された突出体部80が板状であることが望ましい。突出体部80が板状であると、軸部172と頭部174とをそれぞれ有している多数の物品170の集合体からそれらの物品170の一部が空間形成部40,42の対の他方で掬い上げられる際、板状である突出体部80の複数の箇所を支持することが可能となる。突出体部80の複数の箇所が支持されると、それらの物品170の一部が空間形成部40,42の対の他方で掬い上げられる際、物品整列体30はぐらつき難くなる。
【0015】
もしくは、上述された突出体部80が溝102の縁から底へ向かう方向114に沿って突出していることが望ましい。突出体部80が溝102の縁から底へ向かう方向114に沿って突出していると、一方連続部46が溝部44側へ傾いている場合に比べ、軸部172と頭部174を有する物品170のうち一方連続部46が妨げとなって空間形成部40,42の対の間に載らなかったものが少なくなる。突出体部80が溝102の縁から底へ向かう方向114に沿って突出していると、一方連続部46が溝部44とは反対側へ傾いている場合に比べ、軸部172と頭部174を有する物品170が空間形成部40,42の対の他方で掬い上げられた後、溝部44を直立させるために必要な回転角を抑え得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる物品整列体は、軸部と頭部とをそれぞれ有する複数の物品を整列させ得て、かつ、その搬送効率を向上させ得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明のある実施形態にかかる物品整列体の斜視図である。
【
図2】本発明のある実施形態にかかる物品整列体の断面図である。
【
図3】本発明のある実施形態にかかる物品整列体の一部が物品の集合体の中へ進入している状況が示される図である。
【
図4】本発明のある実施形態にかかる物品整列体に複数の物品が載せられている状況が示される図である。
【
図5】本発明のある実施形態において整列対象となる物品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。以下の説明では、同一の物には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
[物品整列体の構成]
図1は、本実施形態にかかる物品整列体30の斜視図である。
図2は、本実施形態にかかる物品整列体30の断面図である。
図1および
図2に基づいて、本実施形態にかかる物品整列体30の構成が説明される。
【0020】
図1および
図2から明らかなように、本実施形態にかかる物品整列体30は、一方空間形成部40と、他方空間形成部42と、溝部44と、一方連続部46とを備える。本実施形態にかかる物品整列体30は、1枚の鋼板から形成される。
【0021】
一方空間形成部40と他方空間形成部42とは、互いに対向する。これにより、一方空間形成部40と他方空間形成部42との対が、次に述べられる空間100を形成することとなる。その空間100は、一端へ近づくにつれ窄まるものである。
【0022】
一方空間形成部40は、対向面形成部60と、背面形成部62とをそれぞれ有している。対向面形成部60は、次に述べられる面を形成する。この面は、上述された空間100に対向する。背面形成部62は、対向面形成部60を正面とするとき背面となる箇所を形成する。他方空間形成部42は、対向面形成部64と、背面形成部66とをそれぞれ有している。対向面形成部64も、上述された空間100に対向する面を形成する。背面形成部66は、対向面形成部64を正面とするとき背面となる箇所を形成する。
【0023】
溝部44は、一方空間形成部40および他方空間形成部42の双方に連続する。溝部44は、溝102を形成する。その溝102は、一端へ近づくにつれ窄まる空間100に対向する。
【0024】
本実施形態の場合、一方連続部46は、一方連続部46の対向面形成部60の端に連続する。本実施形態の場合、一方連続部46は、突出体部80と、連続広幅部82とを有している。
【0025】
本実施形態の場合、突出体部80は、一方連続部46の対向面形成部60の端から突出するよう設けられる。本実施形態の場合、突出体部80は板状である。本実施形態の場合、突出体部80は溝102の縁から底へ向かう方向114に沿って突出している。
【0026】
本実施形態の場合、連続広幅部82は、突出体部80を介して一方連続部46の対向面形成部60の端に連なる。本実施形態の場合、連続広幅部82も板状である。本実施形態の場合、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の連続広幅部82の幅130が、突出体部80の突出方向110に対して直交する方向112の突出体部80の幅132より広い。
【0027】
[物品整列体の使用方法]
図3は、本実施形態にかかる物品整列体30の一部が物品170の集合体の中へ進入している状況が示される図である。
図4は、本実施形態にかかる物品整列体30に複数の物品170が載せられている状況が示される図である。
図5は、本実施形態において整列対象となる物品170の斜視図である。
図1乃至
図5に基づいて、本実施形態にかかる物品整列体30の使用方法が説明される。
【0028】
本実施形態の場合、物品整列体30を使用しようとする者すなわち作業者は、一方連続部46の突出体部80を片手192で掴む。その際、突出体部80のうち一方空間形成部40と他方空間形成部42とが形成する空間100側の面150(
図2参照)へその片手192の親指が当てられる。突出体部80のうちその面150を正面とするとき背面となる面152へその片手192の人差指が当てられる。
【0029】
作業者が突出体部80を片手192で掴むと、その作業者は、本実施形態において整列対象となる物品170の集合体の中へ本実施形態にかかる物品整列体30の一方空間形成部40と他方空間形成部42と溝部44とを進入させる。
図3に示される状態の場合、容器190に収容されたその集合体の中へ一方空間形成部40と他方空間形成部42と溝部44とが進入している。
【0030】
その集合体の中へ一方空間形成部40と他方空間形成部42と溝部44とが進入すると、その作業者は、自らの片手192の手首をねじる。これにより、
図4に示されるように、一方空間形成部40と他方空間形成部42との上へそれらの物品170が載せられることとなる。
【0031】
次いで、作業者は、自らの片手192を揺らすことで本実施形態にかかる物品整列体30を揺らす。その揺れに伴って、一方空間形成部40と他方空間形成部42との上へ載っている物品170も揺さぶられる。
【0032】
図5に示されるように、その物品170は軸部172と頭部174とを有している。その軸部172の幅190は、溝部44が形成する溝102の幅194(
図2参照)より狭い。一方、その頭部174の幅192は溝部44が形成する溝102の幅194より広い。これにより、一方空間形成部40と他方空間形成部42との上へ載っている物品170の軸部172はその溝102に嵌まる。その物品170の頭部174は一方空間形成部40と他方空間形成部42との上へ載ったままである。複数のそれら物品170がそうなることで、その溝102においてそれら物品170が整列することとなる。
【0033】
それら物品170が整列すると、作業者は、それら物品170が使用される場所へ物品整列体30ごとそれら物品170を運ぶ。
【0034】
なお、作業者は、本実施形態にかかる物品整列体30の他方空間形成部42の端と溝部44の底とを片手192で掴んで一方連続部46をそれら物品170の集合体の中へ進入させてもよい。それら物品170の集合体の中へ一方連続部46が進入すると、作業者は、自らの片手192の手首をねじることで一方空間形成部40と他方空間形成部42との上へそれらの物品170を載せる。その後は上述された場合と同様にしてそれら物品170が整列させられることとなる。
【0035】
[効果の説明]
以上のようにして、本実施形態にかかる物品整列体30は、軸部172と頭部174とを有する物品170の搬送効率を向上させ得る。
【0036】
また、本実施形態にかかる物品整列体30は、これが保持される際にぐらつき難くすることができる。
【0037】
また、本実施形態にかかる物品整列体30は、一方連続部46の上へいったん多くの物品170を載せることで、それら多くの物品170を一方空間形成部40と他方空間形成部42との間に一括して誘導することができる。
【0038】
[変形例の説明]
上述された物品整列体30は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものである。各部の形状、構造、配置などをこれらの実施形態のものに限定するものではない。各部の形状、構造、配置は、種々の変更を加え得るものである。
【0039】
例えば、一方連続部46の形態は上述されたものに限定されない。また、一方空間形成部40と他方空間形成部42との形態は上述されたものに限定されない。したがって、それらの背面形成部62が形成する背面は平面状でなくてもよい。
【符号の説明】
【0040】
30…物品整列体
40…一方空間形成部
42…他方空間形成部
44…溝部
46…一方連続部
60,64…対向面形成部
62,66…背面形成部
80…突出体部
82…連続広幅部
100…空間
102…溝
170…物品
172…軸部
174…頭部
190…容器
192…片手