IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧

<>
  • 特開-シフト装置 図1
  • 特開-シフト装置 図2
  • 特開-シフト装置 図3
  • 特開-シフト装置 図4
  • 特開-シフト装置 図5
  • 特開-シフト装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025080
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240216BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B60K20/02 Z
B60K20/02 G
B62D1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128230
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲村 友峰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 琢也
(72)【発明者】
【氏名】小林 耕司
【テーマコード(参考)】
3D030
3D040
【Fターム(参考)】
3D030DB13
3D040AA01
3D040AA13
3D040AA22
3D040AC36
3D040AD15
3D040AF07
3D040AF29
(57)【要約】
【課題】乗車した乗員が円滑な動作で車両走行を開始できるシフト装置を提供する。
【解決手段】シフト装置10の操作パネル24には、表側面に接触位置としてのS位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが配置され、裏側面には、接触位置への指Fの接触を検出可能とするS電極38S、P電極38P、R電極38R、N電極38N及びD電極38Dが配置されている。シフト装置10では、S位置34Sへ接触操作されると車両が始動され、何れかのシフト位置へ接触操作されることで、接触位置に応じて変速機のシフトレンジが変更される。これにより、シフト装置10では、乗車した乗員が円滑な動作で車両走行を開始できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々操作部が接触されることで選択可能な複数のシフト位置が設けられ、前記操作部が接触されて複数から一つのシフト位置が選択されることで、選択された前記シフト位置に応じて車両の変速機のシフトレンジが変更される操作部材と、
前記操作部材の前記複数のシフト位置に対して所定位置に配置され、前記操作部が接触されることで選択可能とされ、選択されることで車両を走行可能とするための始動部と、
を含むシフト装置。
【請求項2】
前記操作部材及び前記始動部は、車両を操舵するためのステアリング体に配置されている、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記始動部が前記操作部材に配置されている、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記シフト位置には、少なくともP位置、R位置、N位置及びD位置が含まれ、
前記始動部は、前記P位置又は前記N位置に隣接されている、
ことを含む請求項3に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記始動部が選択されることで、前記シフト位置としてP位置又はN位置が選択される、ことを含む請求項3に記載のシフト装置。
【請求項6】
前記始動部及び前記シフト位置の何れかに前記操作部が接触された前記操作部材が前記操作部により押圧されることで変位され、変位が検出されることで前記操作部が接触された前記シフト位置又は前記始動部が選択される、ことを含む請求項3に記載のシフト装置。
【請求項7】
前記操作部材の前記複数のシフト位置に対して所定位置に配置され、前記操作部が接触されることで車両を乗員の運転操作を介せずに走行可能とするための運転切換部、をさらに含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項8】
複数の前記シフト位置の配列方向と、前記シフト位置又は始動部からの前記運転切換部の配列方向とが異なる方向とされている、ことを含む請求項7に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、環状のシフトダイヤルが用いられた車両用シフトダイヤルユニットが記載されている。シフトダイヤルは、回転されることでPレンジ位置、Rレンジ位置、Nレンジ位置及びDはレンジ位置が選択可能とされている。また、ダイヤルユニットの内側には、エンジンスイッチノブが配置されており、エンジンスイッチノブが押下されることで、車両のエンジンが始動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-114225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、引用文献1では、車両の走行を開始する際、乗車した乗員が指先でエンジンスイッチノブを押下して車両のエンジンを始動させた後、シフトダイヤルを摘まんで回転操作してシフトレンジを選択する。
【0005】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、乗車した乗員が円滑な動作で車両走行を開始できるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様のシフト装置は、各々操作部が接触されることで選択可能な複数のシフト位置が設けられ、前記操作部が接触されて複数から一つのシフト位置が選択されることで、選択された前記シフト位置に応じて車両の変速機のシフトレンジが変更される操作部材と、前記操作部が接触されることで選択可能とされ、選択されることで車両を走行可能とするための始動部と、を含む。
【0007】
第2の態様のシフト装置は、第1の態様において、前記操作部材及び前記始動部は、車両を操舵するためのステアリング体に配置されている、ことを含む。
【0008】
第3の態様のシフト装置は、第1又は第2の態様において、前記始動部が前記操作部材に配置されている、ことを含む。
【0009】
第4の態様のシフト装置は、第3の態様において、前記シフト位置には、少なくともP位置、R位置、N位置及びD位置が含まれ、前記始動部は、前記P位置又は前記N位置に隣接されている、ことを含む。
【0010】
第5の態様のシフト装置は、第3の態様において、前記始動部が選択されることで、前記シフト位置としてP位置が選択される、ことを含む。
【0011】
第6の態様のシフト装置は、第3から第5の何れか1の態様において、前記始動部及び前記シフト位置の何れかに前記操作部が接触された前記操作部材が前記操作部により押圧されることで変位され、変位が検出されることで前記操作部が接触された前記シフト位置又は前記始動部が選択される、ことを含む。
【0012】
第7の態様のシフト装置は、第1から第6の何れか1の態様において、前記操作部が接触されることで車両を乗員の運転操作を介さずに走行可能とするための運転切換部をさらに含む。
【0013】
第8の態様のシフト装置は、第7の態様において、複数の前記シフト位置の配列方向と、前記シフト位置又は始動部からの前記運転切換部の配列方向とが異なる方向とされている、ことを含む。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様のシフト装置では、選択部材に各々操作部が接触されることで選択可能な複数のシフト位置が設けられ、操作部が接触されて複数から一つのシフト位置が選択されることで、選択されたシフト位置に応じて車両の変速機のシフトレンジが変更される。また、始動部は、選択されることで、車両が走行可能とされる。
【0015】
ここで、始動部は、複数のシフト位置の各々と同様に操作部が接触されることで選択可能とされる。これにより、操作部の円滑な動作で始動部及びシフト位置を選択できるので、乗車した乗員が円滑な動作で車両走行を開始できる。
【0016】
第2の態様のシフト装置では、操作部材及び始動部が車両を操舵するためのステアリング体に配置されている。これにより、操作部の円滑な動作で始動部及びシフト位置を選択と、ステアリング体の把持とを行うことができる。
【0017】
第3の態様のシフト装置では、始動部が操作部材に配置されている。これにより、始動部の選択及びシフト位置の選択を円滑に行うことができる。
【0018】
第4の態様のシフト装置では、シフト位置に少なくともP位置、R位置、N位置及びD位置が含まれ、始動部が、P位置又はN位置に隣接されている。これにより、始動部を選択する際に、R位置又はD位置が選択されてしまうのを抑制できる。
【0019】
第5の態様のシフト装置では、始動部が選択されることで、シフト位置としてP位置が選択される。これにより、始動部が選択されることで、変速機のシフトレンジをP位置に対応するシフトレンジにできる。
【0020】
第6の態様のシフト装置では、操作部材が操作部により押圧されることで変位する。ここから、操作部材の変位が検出されることで、始動部及び複数のシフト位置の何れかに操作部が接触されて、操作部材を押圧することで、始動部及び複数のシフト位置の何れかを選択できて、始動部及び複数のシフト位置の選択を容易にできる。
【0021】
第7の態様のシフト装置では、操作部が接触されて運転切換部が選択されることで車両を乗員の運転操作を介さずに走行可能となる。運転切換部は、複数のシフト位置の各々と同様に操作部が接触されることで選択可能とされる。これにより、操作部の円滑な動作で運転切換部又はシフト位置を選択できる。
【0022】
第8の態様のシフト装置では、複数のシフト位置の配列方向と、シフト位置又は始動部からの運転切換部の配列方向とが異なる方向とされている。これにより、例えば、操作部をシフト位置の何れかに接触させようとした際、運転切換部に接触させてしまうのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係るシフト装置の主要部を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係るシフト装置の概略構成図である。
図3】シフト装置が設置されたステアリングホイールを示す正面図である。
図4】(A)~(D)は、各々第1実施形態の変形例に係る操作パネルを示す正面図である。
図5】第2実施形態に係るシフト装置の概略構成図である。
図6】(A)~(C)は、各々第2実施形態の変形例に係る操作パネルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10の主要部が表側から見た正面図にて示され、図2には、シフト装置10が概略構成図にて示されている。また、図3には、乗員側から見たシフト装置10が正面図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の表側が矢印SFにて示され、シフト装置10の右方が矢印RHにて示され、シフト装置10の上方が矢印UPにて示されている。
【0025】
図3に示すように、車両(自動車)には、操舵(転舵輪の転舵)を担うステアリング装置(図示省略)において、ステアリング体としてのステアリングホイール12が配置されている。ステアリングホイール12は、乗員により把持されるリム部14、リム部14の中心部に配置されたボス部16、及びリム部14とボス部16とを一体回転可能に連結する一つ又は複数のステー部18を備えている。なお、図3では、転舵輪の直進転舵位置(車両直進状態の位置)である直進操舵位置におけるステアリングホイール12が示されている。
【0026】
ステアリングホイール12のリム部14は、略楕円形状とされており、ステアリングホイール12(リム部14)は略フラットボトム形状とされている。ステアリングホイール12は、ボス部16から車幅方向外側にステー部18が延設されてリム部14とボス部16とを一体回転可能に連結している。
【0027】
また、ステアリング装置は、ステアリングシャフト(図示省略)を備えており、ステアリングシャフトは、軸線方向が車両前後方向とされて車体に回転可能に支持されている。ステアリングホイール12は、ボス部16がステアリングシャフトの車両後側端に一体回転可能に取付けられており、ステアリングホイール12は、ステアリングシャフトに一体回転可能にされて車体に支持されている。なお、リム部14は、略楕円形状に限らず、D形状などの他のフラットボトム形状であってもよく、H形状であってもよく、円環状であってもよい。
【0028】
ステアリング装置は、ステアバイワイヤ式とされており、ステアリング装置では、ステアリングホイール12(ステアリングシャフト)の回転角としての操舵角が検出される。ステアリング装置では、乗員に把持されたステアリングホイール12が回転されて操舵角が変更されると、図示しない転舵アクチュエータを作動させ、変更された操舵角に応じて転舵輪(前輪)の転舵角を変更する。これにより、車両に乗車した乗員は、ステアリングホイール12を把持して回転操作(操舵操作)を行うことで、ステアリングホイール12の回転(操舵)に応じて車両の進行方向(走行方向)を変更できる(操舵できる)。
【0029】
ステアリングホイール12は、直進操舵位置においてリム部14の長軸方向が車幅方向とされており、リム部14には、ステアリングホイール12の直進操舵位置における下側部分に配置部20が形成されている。配置部20は、車両後側面が略平坦面とされている。
【0030】
図2には、シフト装置10の主要部の概略構成が下方視の断面図にて示されている。
図2に示すように、シフト装置10は、設置体としての略直方体形箱状のケース22を備えており、ケース22は、左右方向に長尺とされている。また、ケース22には、内部を表側に向けて開放する開口22Aが形成されている。
【0031】
シフト装置10のケース22は、ステアリングホイール12の配置部20に配置される(図3も参照)。配置部20には、内部が車両後側に向けて開放する開口20Aが形成されており、配置部20の開口20Aには、シフト装置10のケース22が嵌め込まれている。ケース22は、開口22Aが車両後側に向けられて配置部20の開口20Aに嵌込まれて取付けられている。これにより、シフト装置10は、表側、右方及び上方がそれぞれ車両の後側、車幅方向右側及び上側に向けられて、ケース22が車両後側に向けて開口されてステアリングホイール12に取付けられている。
【0032】
ケース22の表側には、操作部材としての矩形板状の操作パネル24が配置されており、操作パネル24は、ケース22の開口22A内に配置されている。操作パネル24には、表側にプレート26が設けられており、プレート26は、例えば樹脂製とされ、絶縁体とされている。配置部20は、ケース22の開口22Aが操作パネル24(プレート26)により閉塞された状態において、操作パネル24とケース22の開口22A周縁部とにより閉塞され、操作パネル24は、表側面がステアリングホイール12の配置部20の開口20A周縁部の車両後側面と面一となる。
【0033】
これにより、ステアリングホイール12は、プレート26(操作パネル24)の表側面がステアリングホイール12の配置部20の車両後側面と共に意匠面を形成する。また、プレート26は、操作部としての車両の乗員(特に運転者)の手指(乗員の指F)が表側面に接触可能とされている(図1参照)。
【0034】
ケース22は、プレート26に応じた外形形状とされ、ケース22内の内法寸法がプレート26(操作パネル24)の外形寸法と同様とされている。また、ケース22内には、複数のガイド28Aが配置されていると共に、付勢手段としての複数のばね(コイルばね)28Bが配置されている。プレート26は、ガイド28Aに案内されてケース22内を表裏方向に平行移動可能とされている。
【0035】
バネ28Bは、プレート26とケース22の底部22Bとの間に配置され、プレート26を表側に向けて付勢しており、プレート26は、ばね28Bに付勢されて、ケース22の開口22A(配置部20の開口20A)を閉塞する位置に配置される。また、プレート26は、乗員の指Fにより表側から裏側に向けて押込まれる(押圧される)ことで、ばね28Bの付勢力に抗してケース22内を裏側に向けて平行移動される。
【0036】
ケース22には、選択検出手段としての光電センサ30が配置されており、ケース22の底部22Bには、光電センサ30の投光部30Aと受光部30Bとが配置されている。また、プレート26には、被検出部としての突起部32が設けられており、突起部32は、プレート26の裏側面からケース22の底部22Bに向けて突設されている。この突起部32は、プレート26が押されることでプレート26と一体で裏側に移動して、先端部が光電センサ30の投光部30Aと受光部30Bとの間に配置される。
【0037】
これにより、光電センサ30では、投光部30Aから受光部30Bに照射する光が突起部32により遮られてオンされる。シフト装置10では、光電センサ30のオンが検出されることで、プレート26が押込まれたことを検出する。また、ケース22の底部22Bには、突起部32の先端部に対向してストッパ32Aが配置されており、突起部32の先端部がストッパ32Aに当接することで、プレート26の裏側への移動が制限される。
【0038】
一方、図1に示すように、プレート26の表側面には、複数の接触位置(接触領域)34が設定されており、接触位置34は各々予め設定された範囲(領域)とされている。接触位置34には、シフト位置としての「P(パーク)」で表示されたP位置34P、「R(リバース)」で表示されたR位置34R、「N(ニュートラル)」で表示されたN位置34N、及び「D(ドライブ)」で表示されたD位置34Dが含まれる。また、プレート26の接触位置34には、始動部として、「START/STOP(スタート/ストップ)」で表示された始動/停止位置とされるS位置34Sが設けられている。
【0039】
シフト位置は、プレート26の長手方向に沿い左側から右側に向けてP位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dがこの順番で所定の間隔(等間隔)で設定されている。また、S位置34Sは、P位置34P又はN位置34Nに隣合う位置とされており、プレート26には、P位置34PにおいてR位置34Rとは反対側に隣接する位置がS位置34Sとされている。これにより、プレート26には、配列方向がプレート26の長手方向とされて、S位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが順に配列されている。
【0040】
一方、図1及び図2に示すように、操作パネル24には、プレート26の裏側に接触検出部としての長尺矩形シート状の電極シート36が配置されており、電極シート36は、プレート26の裏側面を被覆している。また、電極シート36のプレート26側の面には、接触検出手段としての矩形薄膜状の複数の電極38が配置されており、複数の電極38は、接触位置34の各々に対応されて互いの間が所定間隔(略等間隔)とされて配置されている。
【0041】
これにより、電極シート36には、電極38としてS位置34Sに対向されたS電極38S、P位置34Pに対向されたP電極38P、R位置34Rに対向されたR電極38R、N位置34Nに対向されたN電極38N、及びD位置34Dに対向されたD電極38Dが配置されている。
【0042】
プレート26上において、S電極38S、P電極38P、R電極38R、N電極38N、及びD電極38Dの対向する領域が、各々S位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dにおいて乗員の指Fの接触を検知する領域(接触領域)とされている。なお、電極シート36には、プレート26(電極38)とは反対側に接地電極(図示省略)が配置され、接地電極がプレート26とは反対側において各電極38を覆っている。電極シート36では、各電極38にステアリングホイール12(配置部20)内における金属部品(導電性部品)等との間で寄生容量が生じるのを接地電極により抑制されている。また、上記ガイド28A、ばね28B及び突起部32は、プレート26の周縁部等の電極シート36(各電極38)と干渉しない位置に配置されている。
【0043】
一方、図2に示すように、シフト装置10には、制御手段としてのコントローラ(ECU)40が設けられている。コントローラ40には、CPU、ROM、RAM、不揮発性のメモリ(ストレージ)等がバスによって接続されたマイクロコンピュータ、及び所要の機能回路が設けられている(いずれも図示省略)。コントローラ40では、CPUがROM及びメモリに記憶されたプログラムを読出してRAMに展開しながら実行することでプログラムに応じた機能が実現される。
【0044】
コントローラ40には、電極シート36の各電極38が電気的に接続されていると共に、ケース22内の光電センサ30(投光部30A及び受光部30B)が電気的に接続されている。
【0045】
コントローラ40は、各電極38(S電極38S、P電極38P、R電極38R、N電極38N及びD電極38D)を用いた自己誘導方式の静電容量センサとして機能する。電極38には、操作部としての乗員の指Fがプレート26の表側面に接触することで、乗員の指Fとの間で静電容量が生じる。電極38に生じる静電容量は、乗員の指Fと電極38との間隔及び対向する面積(電極38上の面積)に応じて変化し、乗員の指Fがプレート26の表側面に接触することで静電容量が大きくなる。
【0046】
コントローラ40は、各電極38の静電容量(静電容量に応じて変化する電圧)を検出する。コントローラ40は、検出した電圧(静電容量)が予め設定しているしきい値を超えていることを検出することで、プレート26の接触位置34(S位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)の何れに乗員の指Fが接触しているかを検出する。
【0047】
また、コントローラ40は、光電センサ30がオン(投光部30Aから受光部30Bに照射した光が遮られた)されたか否かを検出しており、光電センサ30がオンされることで、乗員の指Fが接触している接触位置34に対する選択操作が行われたと判定する。
【0048】
一方、車両には、車両を走行のための図示しない駆動系の作動状態を制御する制御手段(以下、車両ECU42とする)が設置されている。車両ECU42は、「始動」により走行のための駆動系を作動状態とし、「停止」により走行のための駆動系を停止状態とする。また、車両には、変速機(自動変速機)44が設置されている。変速機44は、変速制御ECU46が変速機44におけるシフトレンジ(変速レンジ)をP(パーク)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ及びD(ドライブ)レンジの間で切換える。この際、変速制御ECU46は、シフト信号が入力されることで変速機44のシフトレンジをシフト信号に応じたシフトレンジに切換える。なお、変速機44のシフトレンジは、インストルメントパネル(ステアリングホイール12でもよい)等に設置されている表示部に表示される(図示省略)。
【0049】
コントローラ40は、車両ECU42及び変速制御ECU46の各々に電気的に接続されている。コントローラ40は、シフト位置の何れか(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)に乗員の指Fが接触された状態で操作パネル24が押込まれる選択操作がなされることで、乗員の指Fが接触しているシフト位置に応じたシフト信号を変速制御ECU46に出力する。変速制御ECU46は、シフト信号が入力されることで、シフト信号に応じて変速機44のシフトレンジを切換える。
【0050】
また、コントローラ40は、S位置34Sに乗員の指Fが接触された状態で選択操作がなされることで、車両ECU42に始動/停止信号を出力すると共に、変速制御ECU46にシフト位置としてP位置34Pが選択されたのと同様のシフト信号を出力する。これにより、変速制御ECU46が変速機44のシフトレンジをPレンジに切換えると共に、車両ECU42が車両の始動/停止を行う。
【0051】
次に、第1実施形態に係るシフト装置10の作用を説明する。
シフト装置10では、シフト位置の選択操作の際、乗員の指Fが操作パネル24(プレート26)上においてシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)に接触される。また、シフト装置10では、操作パネル24に車両の始動/停止のためのS位置34Sが設定されており、車両の始動/停止操作の際には、乗員の指Fが操作パネル24のS位置34Sに接触される。
【0052】
コントローラ40では、電極38の何れかにおいて検出される電圧Vcが予め設定しているしきい値Vth以上となると(Vc≧Vth)、その電極38が対応する接触位置34に乗員の指Fが接触したことを検出する。
【0053】
また、シフト装置10では、シフト位置又は始動/停止の選択操作の際、操作パネル24が押込まれて、光電センサ30がオンされる。コントローラ40は、操作パネル24が押込まれて光電センサ30がオンされると、乗員の指Fが接触している接触位置34に対する操作が選択されたと判定する。
【0054】
コントローラ40は、乗員の指FがS位置34Sに接触している状態で光電センサ30がオンされると、車両ECU42に始動/停止信号を出力すると共に、シフトレンジをPレンジとするためのシフト信号を変速制御ECU46に出力する。これにより、変速制御ECU46は、変速機44のシフトレンジをPレンジに変更する。
【0055】
また、車両ECU42は、始動/停止信号が入力されることで、車両の駆動系が停止状態であれば、駆動系を動作可能な始動状態とする。これにより、車両が走行可能となる。また、車両ECU42は、始動/停止信号が入力された際、車両の駆動系が動作可能な状態であると、車両の駆動系を停止状態とする。これにより、車両が停止され、乗員が降車可能になる。
【0056】
また、コントローラ40は、車両の駆動系の動作可能状態において、乗員の指Fが何れかのシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)に接触している状態で光電センサ30がオンされると、乗員の指Fが接触していると検出しているシフト位置に対応するシフト信号を変速制御ECU46に出力する。変速制御ECU46は、シフト信号が入力されることで、変速機44のシフトレンジを入力されたシフト信号に応じたシフトレンジに変更する。
【0057】
例えば、S位置34Sに指Fを接触させて操作パネル24を押込操作したのち、操作パネル24上において乗員が指Fを所望のシフト位置(接触位置34、例えばD位置34D)まで移動させる所謂なぞり操作を行い、指Fを所望の接触位置34(D位置34D)に接触させた状態で操作パネル24を押込む。これにより、車両走行が開始可能になる。
【0058】
車両走行する際、乗員は、車両に乗車して、車両を始動したのち変速機44を操作し、この後に、操舵のためにステアリングホイール12を把持するので、シフト装置10では、操作パネル24への接触操作によって変速機44のシフトレンジの変更のみでなく、車両を走行可能(始動)とするための操作を円滑に行うことができる。
【0059】
また、車両走行を終了する際、乗員は、車両を停止させて、車両の駆動系を停止状態とする。この際、乗員は、操作パネル24のS位置34Sを選択操作すればよい。シフト装置10のコントローラ40は、操作パネル24のS位置34Sが選択操作されたことを検出すると、変速制御ECU46が変速機44のシフトレンジをPレンジに変更するようにすると共に、車両ECU42が車両の走行系を停止状態にする。これにより、シフト装置10では、操作パネル24への接触操作によって、車両の停止のみでなく、変速機44のシフトレンジの変更を円滑に行うことができる。
【0060】
ここで、シフト装置10では、乗員の指Fの接触によりS位置34S、及び各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)の選択可能となっている。また、シフト装置10では、始動/停止のためのS位置34Sと、各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)とがステアリングホイール12に配置されている。また、シフト装置10では、操作パネル24にS位置34Sと各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)とが配置されている。
【0061】
これにより、乗員は、車両の始動及びシフト位置の選択操作を少ない動作で円滑に行うことができる。また、乗員は、シフト操作したのちにステアリングホイール12を把持する動作を円滑に行うことができる。
【0062】
また、シフト装置10では、操作パネル24に電極38が設けられた電極シート36を配置し、電極38を自己誘導方式の静電センサとして用いて接触位置34への乗員の指Fの接触を検出している。これにより、シフト装置10では、S位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dへの接触を容易に検出できる。
【0063】
また、シフト装置10では、操作パネル24にS位置34Sと各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)とが直線状に配置されている。これにより、シフト装置10では、乗員の指Fによる操作パネル24上のなぞり操作により、車両の始動/停止及びシフト位置の選択操作を一層円滑な動作で行うことができる。
【0064】
さらに、シフト装置10では、操作パネル24の押込操作によって指Fの接触位置の操作が選択される。このため、シフト装置10では、選択操作の際の乗員の手(指F)の動きを大きくすることなく、誤った接触位置が選択されてしまうのを抑制できる。
【0065】
また、シフト装置10では、操作パネル24において、P位置34Pを挟んで一側にR位置34RやD位置34Dの走行系のシフト位置が配置され、他側にS位置34Sが配置されている。このため、シフト装置10では、車両走行のためのR位置34RやD位置34Dを選択しようとした際に、誤って指FをS位置34Sに接触させたり、S位置34Sを選択しようとした際に、誤って指FをR位置34RやD位置34Dに接触させてしまったりするのを抑制できる。
【0066】
なお、第1実施形態に係るシフト装置10では、光電センサ30を用いて、操作パネル24が押込操作されたか否かの検出に、指Fの接触位置34が選択されるようにした。しかしながら、押込操作を検出するための操作検出手段としては、押込みにより変位する操作部材を検出できればよく、変位を磁気の変位によって検出する磁気検出手段等を用いることもできる。
【0067】
また、光電センサ30等の選択検出手段を用いずに、電極シート36の各電極38が接触検出手段及び選択検出手段として機能するようにしてもよい。この場合、コントローラ40は、電極38の何れかにおいて検出される電圧Vcが予め設定しているしきい値Vth1以上となると(Vc≧Vth1)、その電極38が対応する接触位置34に乗員の指Fが接触したと判定する。また、コントローラ40は、乗員の指Fが接触していると判定される状態が所定のしきい値時間Tth(例えば、0.5sec)以上となると、その接触位置34に対応するシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)また、S位置34Sが選択されたと判定すればよい。この際、操作パネル24上をなぞり操作された際の最後の接触位置34を選択位置として検出することもできる。
【0068】
これにより、シフト装置10では、ケース22を小型化できて、操作パネル24の配置位置の自由度を大きくできる。電極シート36の電極38を接触検出手段及び選択検出手段として用いる際、特定の接触位置34としてのS位置34Sについては、例えば、2回の選択操作を検出することで、S位置34Sが選択操作されたと判定してもよい。これにより、シフト位置を変更しようとした際に、誤ってS位置34Sに指Fが接触しても、S位置34Sが選択されてしまうのを抑制できる。
【0069】
一方、第1実施形態に係るシフト装置10では、操作パネル24に始動部としてのS位置34Sと、シフト位置としてのP位置34P、R位置34R、N位置34N、及びD位置34Dを直線状に配列した。しかしながら、操作部材への始動部及びシフト位置の配置はこれに限るものではない。以下に第1実施形態の変形例(変形例1)として、操作パネル24とは異なる配置を説明する。なお、以下では、電極シート36に設けた各電極38が接触検出手段及び選択検出手段として機能されるものとして説明する。
【0070】
〔変形例1〕
車両では、変速機44のシフトレンジがPレンジ(又はNレンジ)であるときに、駆動系の始動又は停止が行われ、変速機44のPレンジは、シフト位置としてP位置34Pが選択された際のシフトレンジとなっている。このため、シフト装置10では、P位置34Pが選択操作されている状態で(S位置34S)の選択操作が行われる。
【0071】
したがって、シフト装置10では、P位置34Pが選択操作された際に、車両の始動/停止の選択操作を可能にできる。ここから、第1実施形態に係る変形例1では、P位置34PとS位置34Sの共用(兼用)を説明する。図4(A)~図4(D)の各々には、第1実施形態の変形例1に係る操作パネルが正面図にて示されている。なお、図4(A)には、操作パネル50が示され、図4(B)には操作パネル52が示され、図4(C)には操作パネル54が示され、図4(D)には操作パネル56が示されている。
【0072】
図4(A)に示すように、操作パネル50では、矩形板状のプレート50Aに接触位置34として、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが設定されている。
【0073】
プレート50Aには、上下方向の中間部において、左側(右側でもよい)にS位置34Sが配置され、右側(左側でもよい)にN位置34Nが配置されている。また、プレート50Aには、N位置34Nの上側(下側でもよい)にD位置34Dが配置され、下側(上側でもよい)にR位置34Rが配置されている。
【0074】
また、プレート50Aの裏側面には、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dに対応されてS電極38S、R電極38R、N電極38N及びD位置34Dが配置されている。なお、プレート50Aには、N位置34NとR位置34Rとの間、及びN位置34NとD位置34Dとの間には、シフト操作の方向を示す三角記号58が形成されている。
【0075】
このように構成されている操作パネル50では、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dの各々の選択操作を容易にできる。また、操作パネル50を用いたシフト装置10(コントローラ40)では、例えば、S位置34Sの一回の選択操作でP位置34Pが選択されたと判断し、S位置34Sの二回の選択操作(二度押し)でS位置34S(始動/停止の選択)が選択されたと判断できる。これにより、操作パネル50では、S位置34S及びP位置34Pの選択操作を容易にできる。
【0076】
図4(B)に示すように、操作パネル52では、矩形板状のプレート52Aに接触位置34として、S位置34S、R位置34R及びD位置34Dが設定されている。また、プレート52Aの裏側面には、S位置34S、R位置34R及びD位置34Dに対応されてS電極38S、R電極38R及びD位置34Dが配置されている。これにより、プレート52A(操作パネル52)には、P位置34P及びN位置34Nが省略されている。
【0077】
このように構成されている操作パネル52では、R位置34R及びD位置34Dの各々の選択操作を容易にできる。また、操作パネル52では、S位置34Sについて、例えば、一回の選択操作でP位置34Pが選択されたと判断され、二回の選択操作(二度押し)でS位置34S(車両の始動/停止の選択)が選択されたと判断されることで、S位置34S及びP位置34Pの各々の選択操作を容易にできる。
【0078】
また、操作パネル50、52では、R位置34RとD位置34Dの配列方向(走行系の配列方向)に対して交差する方向にS位置34Sを配置している。これにより、走行系のR位置34R又はD位置34Dを選択操作する際に、乗員の指FがS位置34S(変速機44がPレンジに変更される接触位置34)に接触してしまうのを抑制できる。
【0079】
一方、図4(C)に示すように、操作パネル54では、長尺矩形板状のプレート54Aに接触位置34として、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが設定されている。
【0080】
プレート54Aは、長手方向が上下方向とされており、プレート54Aには、上下方向の中間部にS位置34Sが設定され、S位置34Sの上側及び下側の各々にN位置34Nが設定されている。また、プレート54Aには、N位置34Nの各々においてS位置34Sとは反対側にR位置34R、D34Dが配置されており、プレート54Aには、上部にR位置34R(D位置34Dでもよい)が配置され、下部にD位置34D(R位置34Rでもよい)が配置されている。
【0081】
また、プレート54Aの裏側面には、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dに対応されてS電極38S、R電極38R、N電極38N及びD位置34Dが配置されている。
【0082】
このように構成されている操作パネル54では、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dの各々の選択操作を容易にできる。また、操作パネル54では、S位置34Sについて、例えば、一回の選択操作でP位置34Pが選択されたと判断され、二回の選択操作(二度押し)でS位置34S(始動/停止の選択)が選択されたと判断されることで、S位置34S及びP位置34Pの各々の選択操作を容易にできる。
【0083】
また、操作パネル54では、S位置34Sの選択操作でP位置34Pが選択操作されたと見なすことができるので、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dの選択操作を容易にでき、変速機44のシフトレンジの切換を容易にできる。
【0084】
また、図4(D)に示すように、操作パネル56では、矩形板状のプレート56Aに接触位置34として、S位置34S、P位置34P及びD位置34Dが設定されている。プレート54Aには、上下方向(左右方向でもよい)の中間部にS位置34Sが配置され、S位置34Sの上側(左側又は右側でもよい)にD位置34D(P位置34Pでもよい)が配置され、S位置34Sの下側(右側又は左側でもよい)にR位置34R(D位置34Dでもよい)が配置されている。
【0085】
また、プレート56Aの裏側面には、S位置34S、R位置34R及びD位置34Dに対応されてS電極38S、R電極38R及びD位置34Dが配置され、プレート56Aには、P位置34P及びN位置34Nが省略されている。
【0086】
このように構成されている操作パネル56では、R位置34R及びD位置34Dの各々の選択操作を容易にできる。また、操作パネル54では、S位置34Sについて、例えば、一回の選択操作でP位置34Pが選択されたと判断され、二回の選択操作(二度押し)でS位置34S(始動/停止の選択)が選択されたと判断されることで、S位置34S及びP位置34Pの各々の選択操作を容易にできる。
【0087】
また、操作パネル56では、S位置34Sの選択操作でシフト位置としてP位置34Pが選択されるので、P位置34P、R位置34R及びD位置34Dの選択操作を容易にでき、変速機44のシフトレンジの切換を容易にできる。しかも、操作パネル56では、N位置34Nが省略されているので省スペース化を図ることができ、選択操作の際に指Fの動作を抑制できて、効率的に選択操作を行うことができる。
【0088】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係るシフト装置60は、基本的構成が上記第1実施形態のシフト装置10とほぼ同様とされている。図5には、第2実施形態に係るシフト装置60が概略構成図にて示されている。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の機能部品については、第1実施形態と同様の符号を付与して詳細は説明を省略する。
【0089】
図5に示すように、シフト装置60には、選択部材としての長尺矩形板状の操作パネル62を備えており、操作パネル62は、操作パネル24に変えてシフト装置60に配置されている。また、シフト装置60は、制御手段としてのコントローラ64を備えており、コントローラ64は、第1実施形態のコントローラ40に変えてシフト装置60に配置されている。
【0090】
操作パネル62は、プレート66、及び複数の電極38が配置された電極シート(図示省略)を備えている。プレート66は、樹脂製とされ、絶縁性とされている。また、電極38が配置された電極シートは、電極シート36と同様とされて、プレート66の裏側面に配置されてプレート66の裏側面を覆っている。
【0091】
シフト装置60が配置される車両には、自動運転装置68が設置されており、自動運転装置68は、自動運転ECU70が乗員の運転操作を介さずに車両の走行制御を行う公知の構成が適用されている。これにより、車両は、乗員の運転操作により走行する手動運転モードと、乗員の運転操作を介さずに自動運転装置68(自動運転ECU70)により走行制御される自動運転モードとが選択可能(切換可能)とされている。
【0092】
シフト装置60では、操作パネル62のプレート66に複数の接触位置34が設定されており、接触位置34には、S位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが設定されている。また、プレート66には、電極38としてS電極38S、P電極38P、R電極38R、N電極38N及びD電極38Dが配置されている。
【0093】
また、シフト装置60には、自動運転モードを選択するための接触位置34として、プレート66にA(AUTO PILOT)位置34Aが設定されている。A位置34Aは、プレート66の長手方向において、S位置34Sとは反対側の端部に設定されており、プレート66には、長手方向の一端側から他端側に向けてS位置34S、P位置34P、R位置34R、N位置34N、D位置34D及びA位置34Aがこの順で配置されている。また、プレート66の裏側面を覆う電極シートには、電極38としてA位置34Aに対応されたA電極38Aが配置されている。
【0094】
コントローラ64には、S電極38S、P電極38P、R電極38R、N電極38N、D電極38D及びA電極38Aの各々が電気的に接続されている。コントローラ64は、電極38の各々を用いた静電容量センサとして機能する。この際、シフト装置60では、コントローラ64が電極38を接触検出手段及び選択検出手段として用いており、シフト装置60では、光電センサ30が省略されている。なお、シフト装置10では、光電センサ30等の選択検出手段を省略しているが、シフト装置10と同様に電極38を接触検出手段として用い、光電センサ30等の選択検出手段が用いられてもよい。
【0095】
コントローラ64には、車両ECU42及び変速機44の変速制御ECU46が電気的に接続されていると共に、自動運転装置68の自動運転ECU70が電気的に接続されている。コントローラ64では、プレート66のA位置34Aに乗員の指Fが接触されて、オートパイロットが選択操作されると、オートパイロットが選択操作されたことを示すAP選択信号を自動運転ECU70に出力する。自動運転ECU70は、AP選択信号が入力されると、車両の運転モードを自動運転モードと手動運転モードとの間で切換える(手動運転モードから自動運転モードに切換えるか、自動運転モードから手動運転モードに切換える)。
【0096】
このように構成されているシフト装置60では、シフト位置の選択操作の際、乗員の指Fが操作パネル62(プレート66)上においてシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)に接触される。また、シフト装置60では、車両の始動/停止操作の際に乗員の指Fが操作パネル62のS位置34Sに接触される。
【0097】
コントローラ64では、電極38の何れかにおいて検出される電圧Vcが予め設定しているしきい値Vth以上となると(Vc≧Vth)、その電極38が対応する接触位置34に乗員の指Fが接触したことを検出する。また、コントローラ64は、乗員の指Fが接触していると判定される状態(時間T)が所定のしきい値時間Tth(例えば、0.5sec)以上となる(T≧Tth)と、接触位置34に対応するシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)また、S位置34Sが選択されたと判定する。
【0098】
コントローラ64は、乗員の指FがS位置34Sに接触して選択されたと判定すると、車両ECU42に始動/停止信号を出力し、車両ECU42が車両の駆動系の停止状態と始動状態とを切換える。また、コントローラ64は、乗員の指FがS位置34Sに接触して選択されたと判定すると、変速制御ECU46が変速機44のシフトレンジをPレンジに変更するようにさせる。
【0099】
また、コントローラ64は、乗員の指Fが何れかのシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N又はD位置34D)に接触して選択されたと判定すると、乗員の指Fが接触していると検出しているシフト位置に対応するシフト信号を変速制御ECU46に出力する。これにより、変速制御ECU46が変速機44のシフトレンジをシフト信号に応じたシフトレンジに変更する。この際、操作パネル62にP位置34Pが配置されているので、車両の駆動系が始動された状態で変速機44のシフトレンジをPレンジにできる。
【0100】
このように、シフト装置60では、操作パネル62において、乗員の指Fの接触によりS位置34S、及び各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)の選択可能となっている。また、シフト装置10では、始動/停止のためのS位置34Sと、各シフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)とがステアリングホイール12に配置されている。
【0101】
これにより、シフト装置60では、操作パネル62への接触操作によって変速機44のシフトレンジの変更、及び車両の駆動系の始動/停止のための操作を行うことができ、シフト装置60では、シフト装置10と同様の効果を奏することができる。
【0102】
一方、シフト装置60では、操作パネル62にA位置34Aが設けられ、操作パネル62(プレート66)の裏側面にA電極38Aが配置されている。また、シフト装置60では、コントローラ64が自動運転装置68の自動運転ECU70に接続されている。
【0103】
また、シフト装置60では、操作パネル62にA位置34Aが設けられている。コントローラ64は、乗員が指FによりA位置34Aが選択操作されたと判定すると、AP選択信号を自動運転ECU70に出力する。自動運転ECU70では、AP選択信号が入力されると、車両の運転モードを自動運転モードと手動運転モードとの間で切換える。これにより、車両の運転モードが手動運転モードとされていると自動運転モードに切換えられ、車両が自動運転モードとされていると手動運転モードへ切換えられる。
【0104】
これにより、シフト装置60では、車両の始動/停止及びシフト操作のみでなく、運転モードの切換えを行うこともできる。したがって、乗員は、車両に乗車した際、車両の始動と運転モードの切換えを円滑に行うことができる。また、乗員は、運転モードを切換えた後、手(指F)を大きく動かすことなく操作パネル62上のなぞり操作によりシフト位置を選択できて、円滑な車両の運転操作を行うことができる。
【0105】
一方、第2実施形態に係るシフト装置60では、操作パネル62に始動部としてのS位置34Sと、シフト位置としてのP位置34P、R位置34R、N位置34N、及びD位置34Dの各々と、自動運転モードを選択するためのA(AUTO PILOT)位置34Aとが直線状に配置されている。
【0106】
しかしながら、操作部材への始動部、シフト位置及び運転切換え部の配置はこれに限るものではない。以下に第2実施態の変形例(変形例2)として、操作パネル62とは異なる配置を説明する。
【0107】
〔変形例2〕
第2実施形態に係る変形例2では、第1実施形態の変形例1と同様に、S位置34Sと共用(兼用)とすることで、P位置34Pを省略している。図6(A)~図6(C)の各々には、第2実施形態の変形例2に係る操作パネルが正面図にて示されており、これらの操作パネルは、操作パネル62に変えて用いられる。なお、図6(A)には、操作パネル80が示され、図6(B)には操作パネル82が示され、図6(C)には操作パネル84が示されている。
【0108】
図6(A)に示すように、操作パネル80では、矩形板状のプレート80Aに接触位置34として、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが設定されている。操作パネル80では、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが前記操作パネル50と同様の配列とされている。
【0109】
また、プレート80Aには、運転切換部としてのA位置34Aが配置されており、A位置34Aは、D位置34Dの上側に配置されている。また、プレート80Aの裏側面には、A位置34Aに対応されてA電極38Aが配置されている。
【0110】
このように構成されている操作パネル80では、R位置34R、N位置34N、D位置34D、S位置34S及びP位置34Pの各々の選択操作を容易にできると共に、A位置34Aの選択を容易にできる。
【0111】
図6(B)に示すように、操作パネル82では、矩形板状のプレート82Aに接触位置34として、S位置34S、P位置34P及びD位置34Dが設定されている。操作パネル82では、S位置34S、R位置34R及びD位置34Dが前記操作パネル56と同様の配列とされている。
【0112】
また、プレート82Aには、運転切換部としてのA位置34Aが配置されており、A位置34Aは、S位置34Sの右側に配置されている。また、プレート82Aの裏側面には、A位置34Aに対応されてA電極38Aが配置されている。
【0113】
このように構成されている操作パネル82では、S位置34S、R位置34R、D位置34D各々の選択操作を容易にできると共に、P位置34Pの選択を容易にできる。また、操作パネル82では、A位置34Aが配置されていることで、運転モードの切換えを容易にできる。
【0114】
また、操作パネル82では、S位置34Sに対するシフト位置(R位置34R及びD位置34D)の配列方向とは異なる方向にA位置34Aが配置されている。これにより、操作パネル82では、シフト位置の選択のための接触操作と、運転モードの切換えのための接触操作とが止まって行われてしまうのを抑制できて、効率的に選択操作を行うことができる。
【0115】
図6(C)に示すように、操作パネル84では、矩形板状のプレート54Aに接触位置34として、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが設定されている。操作パネル84では、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34Dが前記操作パネル54と同様の配列とされている。
【0116】
また、プレート84Aには、運転切換部としてのA位置34Aが配置されており、A位置34Aは、S位置34Sの左側に配置されている。また、プレート84Aの裏側面には、A位置34Aに対応されてA電極38Aが配置されている。
【0117】
このように構成されている操作パネル84では、S位置34S、R位置34R、N位置34N及びD位置34D各々の選択操作を容易にできると共に、P位置34Pの選択を容易にできる。また、操作パネル84では、A位置34Aが配置されていることで、運転モードの切換えを容易にできる。
【0118】
また、操作パネル82では、S位置34Sに対するシフト位置(R位置34R及びD位置34D)の配列方向とは異なる方向にA位置34Aが配置されている。これにより、操作パネル82では、シフト位置の選択のための接触操作と、運転モードの切換えのための接触操作とが止まって行われてしまうのを抑制できて、効率的に選択操作を行うことができる。
【0119】
なお、第2実施形態では、操作パネル62においてD位置34Dの右側にA位置34Aを配置した。しかしながら、操作パネル62において、運転切換部としてのA位置34Aは、D位置34Dの上側又は下側に配置されてもよい。また、操作パネル62において、運転切換部としてのA位置34Aは、始動部としてのS位置34Sの上側又は下側に配置されてよく、S位置34Sのシフト位置(P位置34P、R位置34R、N位置34N及びD位置34D)とは反対側(左側)に配置されてもよい。
【0120】
また、変形例2に係る操作パネル80では、A位置34AをD位置34Dの上側に配置した。しかしながら、操作パネル80において、運転切換部としてA位置34Aは、走行系のシフト位置としてのD位置34Dの右側(操作パネル82と同様)又は左側に配置されてもよく、始動部としてのS位置34Sの右側又は左側に配置されてもよい。
【0121】
また、変形例2に係る操作パネル84では、A位置34AをS位置34Sの左側とした。しかしながら、運転切換部としてのA位置34Aは、始動部としてのS位置34Sの右側に配置されてもよく、走行系のシフト位置としてのD位置34Dの上側、右側又は左側に配置されてもよい。
【0122】
なお、以上説明した第1実施形態、変形例1、第2実施形態及び変形例2では、操作パネル24、50~56、62、80~84をステアリングホイール12の下部に配置した。しかしながら、操作部材は、ステアリング体においてボス部又はステー部に配置されてもよい。また、操作部材は、ステアリング体に限らず、車両のインストルメントパネルに配置されてもよく、センターコンソール等に配置されてもよく、操作部材は、乗員が片手で操作できる位置であれば任意の位置に配置できる。
【符号の説明】
【0123】
10、60・・・シフト装置、12・・・ステアリングホイール(ステアリング体)、20・・・配置部、24、50~56、62、80~84・・・操作パネル(操作部材)、30・・・光電センサ、34(34S、34P、34R、34N、34D)・・・接触位置、34S・・・位置(始動部)、34A・・・位置(運転切換部)、36・・・電極シート、38(38S、38P、38R、38N、38D)、40、62・・・コントローラ、42・・・車両ECU、46・・・変速制御ECU。
図1
図2
図3
図4
図5
図6