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  • 特開-土留め構造 図1
  • 特開-土留め構造 図2
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  • 特開-土留め構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025089
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】土留め構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/04 20060101AFI20240216BHJP
   E02D 5/20 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E02D17/04 Z
E02D5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128240
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正登
(72)【発明者】
【氏名】福田 賢司
【テーマコード(参考)】
2D049
【Fターム(参考)】
2D049GB05
2D049GE03
(57)【要約】
【課題】一方側の地盤を補強し易い土留め構造を提供する。
【解決手段】一方側の地盤に設けられる第1土留め壁2と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁3と、第1土留め壁2に対して地山側に離隔して設けられる第3土留め壁4と、第1土留め壁2と第3土留め壁4の間に改良材によって少なくとも部分的に改良されることで形成される改良地盤5と、第1土留め壁2と第2土留め壁3の間に設けられる掘削部6と、を有する土留め構造1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の地盤に設けられる第1土留め壁と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁と、前記第1土留め壁に対して地山側に離隔して設けられる第3土留め壁と、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の間に改良材によって少なくとも部分的に改良されることで形成される改良地盤と、前記第1土留め壁と前記第2土留め壁の間に設けられる掘削部と、を有する土留め構造。
【請求項2】
前記第1土留め壁と前記第2土留め壁はそれぞれ柱列式連続壁によって構成され、前記第3土留め壁は矢板によって構成される、請求項1に記載の土留め構造。
【請求項3】
前記第1土留め壁の頂部は、前記第2土留め壁の頂部よりも上方に位置する、請求項1に記載の土留め構造。
【請求項4】
前記第1土留め壁と前記第2土留め壁の間に設けられる切梁を有する、請求項1に記載の土留め構造。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の土留め構造の設計方法であって、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁と前記改良地盤によって構成される複合土留め壁は、所定水平方向を水平断面での長手方向とし、前記第1土留め壁は、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記第3土留め壁は、前記第1土留め壁に対して前記長手方向と直交する幅方向に所定距離を離隔し、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記改良地盤は、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の離隔した離隔空間に配置される撹拌噴射ノズルによって前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良によって形成され、前記改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む不改良部を設定する不改良部設定ステップと、前記不改良部を含む前記複合土留め壁をモデル化することで解析をするモデル化解析ステップと、を有する土留め構造の設方法。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載の土留め構造の施工方法であって、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁と前記改良地盤によって構成される複合土留め壁は、所定水平方向を水平断面での長手方向とし、前記第1土留め壁は、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記第3土留め壁は、前記第1土留め壁に対して前記長手方向と直交する幅方向に所定距離を離隔し、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記改良地盤は、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の離隔した離隔空間に配置される撹拌噴射ノズルによって前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良によって形成され、前記改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む不改良部を設定する不改良部設定ステップと、前記不改良部を含む前記複合土留め壁をモデル化することで解析をするモデル化解析ステップと、前記不改良部設定ステップで設定された前記不改良部が形成されるように、前記離隔空間に前記撹拌噴射ノズルを配置して前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良ステップと、を有する土留め構造の施工方法。
【請求項7】
前記複合土留め壁と前記第2土留め壁を施工する土留め壁施工ステップと、前記土留め壁施工ステップの後に前記掘削部を施工する掘削ステップと、を有する、請求項6に記載の土留め構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土留め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一方側の地盤に設けられる第1土留め壁と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁と、第1土留め壁と第2土留め壁の間に設けられる掘削部と、を有する土留め構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-184046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方側の地盤を容易に補強できると望ましい場合がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、一方側の地盤を補強し易い土留め構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
一方側の地盤に設けられる第1土留め壁と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁と、前記第1土留め壁に対して地山側に離隔して設けられる第3土留め壁と、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の間に改良材によって少なくとも部分的に改良されることで形成される改良地盤と、前記第1土留め壁と前記第2土留め壁の間に設けられる掘削部と、を有する土留め構造。
【0008】
[2]
前記第1土留め壁と前記第2土留め壁はそれぞれ柱列式連続壁によって構成され、前記第3土留め壁は矢板によって構成される、[1]に記載の土留め構造。
【0009】
[3]
前記第1土留め壁の頂部は、前記第2土留め壁の頂部よりも上方に位置する、[1]又は[2]に記載の土留め構造。
【0010】
[4]
前記第1土留め壁と前記第2土留め壁の間に設けられる切梁を有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の土留め構造。
【0011】
[5]
[1]~[4]の何れか1項に記載の土留め構造の設計方法であって、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁と前記改良地盤によって構成される複合土留め壁は、所定水平方向を水平断面での長手方向とし、前記第1土留め壁は、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記第3土留め壁は、前記第1土留め壁に対して前記長手方向と直交する幅方向に所定距離を離隔し、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記改良地盤は、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の離隔した離隔空間に配置される撹拌噴射ノズルによって前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良によって形成され、前記改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む不改良部を設定する不改良部設定ステップと、前記不改良部を含む前記複合土留め壁をモデル化することで解析をするモデル化解析ステップと、を有する土留め構造の設計方法。
【0012】
[6]
[1]~[4]の何れか1項に記載の土留め構造の施工方法であって、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁と前記改良地盤によって構成される複合土留め壁は、所定水平方向を水平断面での長手方向とし、前記第1土留め壁は、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記第3土留め壁は、前記第1土留め壁に対して前記長手方向と直交する幅方向に所定距離を離隔し、内面から外側に窪む凹部と内面から内側に突出する凸部が前記長手方向に交互に連続する形状をなし、前記改良地盤は、前記第1土留め壁と前記第3土留め壁の離隔した離隔空間に配置される撹拌噴射ノズルによって前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良によって形成され、前記改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む不改良部を設定する不改良部設定ステップと、前記不改良部を含む前記複合土留め壁をモデル化することで解析をするモデル化解析ステップと、前記不改良部設定ステップで設定された前記不改良部が形成されるように、前記離隔空間に前記撹拌噴射ノズルを配置して前記改良材を放射状に撹拌噴射する改良ステップと、を有する土留め構造の施工方法。
【0013】
[7]
前記複合土留め壁と前記第2土留め壁を施工する土留め壁施工ステップと、前記土留め壁施工ステップの後に前記掘削部を施工する掘削ステップと、を有する、[6]に記載の土留め構造の施工方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一方側の地盤を補強し易い土留め構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の土留め構造を示す鉛直断面図である。
図2図1に示す複合土留め壁の水平断面図である。
図3図1に示す土留め構造を設計する方法の手順の一例を示すフロー図である。
図4図3に示す断面のモデル化の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態において、土留め構造1は、一方側の地盤に設けられる第1土留め壁2と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁3と、第1土留め壁2に対して地山側に離隔して設けられる第3土留め壁4と、第1土留め壁2と第3土留め壁4の間に改良材によって少なくとも部分的に改良されることで形成される改良地盤5と、第1土留め壁2と第2土留め壁3の間に設けられる掘削部6と、を有する土留め構造1である。
【0018】
本実施形態では、一方側の地盤は他方側の地盤よりも高く、このため、第1土留め壁2の頂部は第2土留め壁3の頂部よりも上方に位置する。本実施形態では、この高低差に起因して、一方側の地盤を補強する必要がある。なお、本実施形態の土留め構造1はこのような高低差がある場合に限らず、例えば、一方側の地盤が他方側の地盤よりも脆弱である場合などにおいても利用できる。
【0019】
本実施形態の土留め構造1は、第1土留め壁2と第2土留め壁3の間に設けられる切梁7を有する。より具体的には、本実施形態の土留め構造1は切梁7と中間杭8を含む支保工9を有する。なお本実施形態の土留め構造1は、切梁7を有さない自立式の土留め構造1として構成してもよい。
【0020】
第1土留め壁2と第2土留め壁3はそれぞれSMW(Soil Mixing Wall)などの柱列式連続壁(ソイルセメントともいう)(図2参照)によって構成され、第3土留め壁4は鋼製の矢板(図2参照)によって構成される。なお矢板は鋼製に限らない。第1土留め壁2と第2土留め壁3はそれぞれ、柱列式連続壁に限らず、例えば矢板によって構成してもよい。第3土留め壁4は矢板に限らず、例えば柱列式連続壁によって構成してもよい。
【0021】
図2に示すように、第1土留め壁2と第3土留め壁4と改良地盤5によって構成される複合土留め壁10は、所定水平方向を水平断面での長手方向D1とする。
【0022】
第1土留め壁2は、内面から外側に窪む凹部2aと内面から内側に突出する凸部2bが長手方向D1に交互に連続する形状をなす。第1土留め壁2の凹部2aは長手方向D1に一定のピッチで並べて設けられる。第1土留め壁2の凸部2bは長手方向D1に一定のピッチで並べて設けられる。第1土留め壁2の凹部2aのピッチと凸部2bのピッチは等しく、図2に示す例では800mmである。なお、当該ピッチの値は適宜設定できる。その他の寸法も適宜設定できる。
【0023】
第3土留め壁4は、第1土留め壁2に対して長手方向D1と直交する幅方向D2に所定距離Lを離隔し、内面から外側に窪む凹部4aと内面から内側に突出する凸部4bが長手方向D1に交互に連続する形状をなす。第3土留め壁4の凹部4aは長手方向D1に一定のピッチで並べて設けられる。第3土留め壁4の凸部4bは長手方向D1に一定のピッチで並べて設けられる。第3土留め壁4の凹部4aのピッチと凸部4bのピッチは等しく、図2に示す例では第1土留め壁2の凹部2a又は凸部2bのピッチよりも小さい。第3土留め壁4の凹部4a又は凸部4bのピッチはこれに限らず、例えば、第1土留め壁2の凹部2a又は凸部2bのピッチよりも大きく設定してもよい。なお、第3土留め壁4の凹部4a又は凸部4bのピッチの値は適宜設定できる。所定距離Lなど、その他の寸法も適宜設定できる。
【0024】
改良地盤5は、第1土留め壁2と第3土留め壁4の離隔した離隔空間に配置される撹拌噴射ノズル11によって改良材を放射状に撹拌噴射する改良によって形成される。本実施形態では、改良地盤5は、改良材によって改良される改良部と改良材によって改良されない不改良部12とによって構成される。不改良部12は、改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む。本願において、「陰となる部分」とは、水平断面において攪拌噴射ノズルの中心から見たときに陰となる(見えない)部分を意味する。つまり、「陰となる部分」は、水平断面において攪拌噴射ノズルの中心から第1土留め壁2の内面上の所定位置に向けて半径方向に直線を引いた時に、直線が上記所定位置に至る前に第1土留め壁2の内面上の別の位置に当たることになる上記所定位置の集合である。なお、改良地盤5は、改良材によって改良されない不改良部12を含む構成に限らない。
【0025】
第3土留め壁4は、一方側の地盤の補強に必要な範囲(深さと長手方向D1の長さ)に限って形成すればよい。
【0026】
第1土留め壁2と第2土留め壁3は、所定の鉛直断面において掘削部6の両側に位置する限り、水平断面において互いに連なっていてもよいし、連なっていなくてもよい。第1土留め壁2と第2土留め壁3が水平断面において互いに連なる場合、例えば、水平断面においてU字形状又はO字形状をなす土留め壁の互いに対向する部分の一方が第1土留め壁2であり、他方が第2土留め壁3であってもよい。
【0027】
第1土留め壁2と第3土留め壁4と改良地盤5によって複合土留め壁10を形成する本実施形態の土留め構造1によれば、一方側の地盤の補強を容易に実現できる。
【0028】
本実施形態では、土留め構造1の設計方法は、改良材の撹拌噴射の際に陰となる部分を含む不改良部12を設定する不改良部設定ステップS1と、不改良部12を含む複合土留め壁10をモデル化することで解析をするモデル化解析ステップS2と、を有する土留め構造1の設計方法である。
【0029】
図3に示すように、不改良部設定ステップS1は、撹拌噴射ノズル11が離隔空間に長手方向D1に沿って間隔をあけて1列に並べて配置されるように撹拌噴射ノズル11の配置を設定するノズル配置設定ステップS3と、第1土留め壁2と第3土留め壁4の相対的な配置を長手方向D1にずらして設定することで内部地盤全体に対する不改良部12の割合である不改良率を調整する第1第3土留め壁配置設定ステップS4と、を有する。本実施形態では、不改良率は、内部地盤全体に対する不改良部12の長手方向D1の長さの割合である。なお、不改良率はこれに限らず、例えば、内部地盤全体に対する不改良部12の水平断面積の割合であってもよい。ノズル配置設定ステップS3において設定する撹拌噴射ノズル11の配置は、撹拌噴射ノズル11が離隔空間に長手方向D1に沿って間隔をあけて1列に並ぶ配置とすることが容易な施工を実現する観点から特に好ましいが、これに限らない。第1第3土留め材配置設定ステップでは例えば、図3に示すように、第1土留め壁2と第3土留め壁4の相対的な配置を長手方向D1にずらして設定するステップと、不改良率を算定するステップをこの順に行う。
【0030】
図3に示すように、モデル化解析ステップS2は、不改良部12を含む複合土留め壁10の水平断面をモデル化する断面モデル化ステップS5と、第1土留め壁2と第3土留め壁4と内部地盤との各部材間のジョイント要素の条件設定をするジョイント要素条件設定ステップS6と、作成された弾塑性FEM(Finite Element Method、有限要素法)モデルで弾塑性解析を行うFEM解析ステップS7と、を有する。モデル化解析ステップS2では例えば、図3に示すように、断面モデル化ステップS5、ジョイント要素条件設定ステップS6及びFEM解析ステップS7をこの順に行う。
【0031】
本実施形態の断面モデル化ステップS5では、例えば図4に示すように、第1土留め壁2、第3土留め壁4及び内部地盤それぞれを滑らかな板形状に置き換えることで、複合土留め壁10をモデル化する。例えば複合土留め壁10がI形の水平断面形状をなす場合、第1土留め壁2、第3土留め壁4及び内部地盤それぞれを、滑らかな平板形状に置き換える。
【0032】
そして、本実施形態のジョイント要素条件設定ステップS6では、第1土留め壁2と内部地盤の間及び第3土留め材と内部地盤の間それぞれのジョイント要素(境界面要素)を、図4に示すように、水平断面において改良部と不改良部12に分け、改良部と不改良部12のそれぞれについて垂直(剥離)特性とせん断(すべり)特性を設定する。垂直(剥離)特性としては、例えば、垂直方向の剛性率と、引張応力が発生した時に剥離を生じる応力である引っ張り強度を設定する。せん断(すべり)特性としては、例えば、せん断方向の剛性率と、すべりが発生する限界値である許容付着応力度を設定する。例えば、許容付着応力度f=(1/3)Cであり、Cは内部地盤の粘着力である。
【0033】
図3に示すように、本実施形態の土留め構造1の設計方法は、より具体的には、土質条件(N値など)を設定する土質条件設定ステップS8と、第1土留め壁2、第3土留め壁4及び内部地盤それぞれの仕様(例えば、第3土留め壁4と内部地盤の必要深度を含む)を仮定する複合土留め壁仕様仮定ステップS9と、不改良部設定ステップS1と、モデル化解析ステップS2と、複合土留め壁の変位量と応力度を確認する変位量・応力度確認ステップS10と、を有する。
【0034】
本実施形態では、土質条件設定ステップS8、複合土留め壁仕様仮定ステップS9、不改良部設定ステップS1、モデル化解析ステップS2及び変位量・応力度確認ステップS10をこの順に行う。また本実施形態ではモデル化解析ステップS2は、変位量・応力度確認ステップS10で問題があることが確認された場合には変位量・応力度確認ステップS10で問題ないことが確認されるまで複合土留め壁仕様仮定ステップS9に戻る繰り返しステップS11を有する。
【0035】
本実施形態の土留め構造1の施工方法は、上述した設計方法のステップに加えて、不改良部設定ステップS1で設定された不改良部12が形成されるように、離隔空間に撹拌噴射ノズル11を配置して改良材を放射状に撹拌噴射する改良ステップ(不図示)を有することができる。
【0036】
したがって、本実施形態の土留め構造1の設計方法によれば、施工時に、不改良部12ができないように撹拌噴射ノズル11を複雑に高密度に配置したり噴射圧などを複雑に設定したりする必要がないので、土留め構造1の容易な施工を実現できる。
【0037】
また、本実施形態の土留め構造1の施工方法は、複合土留め壁10と第2土留め壁3を施工する土留め壁施工ステップ(不図示)と、土留め壁施工ステップの後に掘削部6を施工する掘削ステップ(不図示)と、を有することができる。土留め壁施工ステップでは例えば、第1土留め壁2と第2土留め壁3を施工し、次に第3土留め壁4を施工し、次に改良地盤5を施工してもよいし、それ以外の順序で施工してもよい。掘削ステップは例えば、掘削と支保工9の架設を繰り返して掘削部6を形成するステップと、次に、躯体13の構築と支保工9の撤去を繰り返し、最後に支保工9の中間杭8を撤去するステップと、を有することができる。
【0038】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0039】
したがって、前述した実施形態の土留め構造1は、一方側の地盤に設けられる第1土留め壁2と、他方側の地盤に設けられる第2土留め壁3と、第1土留め壁2に対して地山側に離隔して設けられる第3土留め壁4と、第1土留め壁2と第3土留め壁4の間に改良材によって少なくとも部分的に改良されることで形成される改良地盤5と、第1土留め壁2と第2土留め壁3の間に設けられる掘削部6と、を有する土留め構造1である限り変更可能である。
【0040】
例えば、土留め構造1の設計方法は前述した実施形態の設計方法に限らない。
【符号の説明】
【0041】
1 土留め構造
2 第1土留め壁
2a 凹部
2b 凸部
3 第2土留め壁
4 第3土留め壁
4a 凹部
4b 凸部
5 改良地盤
6 掘削部
7 切梁
8 中間杭
9 支保工
10 複合土留め壁
11 撹拌噴射ノズル
12 不改良部
13 躯体
D1 長手方向
D2 幅方向
L 所定距離
S1 不改良部設定ステップ
S2 モデル化解析ステップ
S3 ノズル配置設定ステップ
S4 第1第3土留め壁配置設定ステップ
S5 断面モデル化ステップ
S6 ジョイント要素条件設定ステップ
S7 FEM解析ステップ
S8 土質条件設定ステップ
S9 複合土留め壁仕様仮定ステップ
S10 変位量・応力度確認ステップ
S11 繰り返しステップ
図1
図2
図3
図4