(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025094
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B60C19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128254
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】小野 敬俊
(72)【発明者】
【氏名】小塩 真寿
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA39
3D131BB03
3D131BC31
3D131DA07
3D131LA20
3D131LA24
(57)【要約】
【課題】通信装置を備え、通信装置のアンテナの耐久性を向上させた、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部にトロイダルに跨る、1枚以上のカーカスプライからなるカーカスを備え、前記カーカスプライは、ラジアル配列のカーカスコードをゴム被覆してなり、前記空気入りタイヤに、アンテナを有する通信装置が設けられ、前記アンテナは、延在方向に直交する方向に往復しながら前記延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分を有し、前記カーカスコードは、前記通信装置が設けられたタイヤ径方向位置においてタイヤ周方向にピッチ間隔P(mm)で配列され、前記ピッチ間隔A(mm)は、前記ピッチ間隔P(mm)より大きい。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部にトロイダルに跨る、1枚以上のカーカスプライからなるカーカスを備えた、空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライは、ラジアル配列のカーカスコードをゴム被覆してなり、
前記空気入りタイヤに、アンテナを有する通信装置が設けられ、
前記アンテナは、延在方向に直交する方向に往復しながら前記延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分を有し、
前記カーカスコードは、前記通信装置が設けられたタイヤ径方向位置においてタイヤ周方向にピッチ間隔P(mm)で配列され、
前記ピッチ間隔A(mm)は、前記ピッチ間隔P(mm)より大きいことを特徴とする、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記アンテナは、延在方向に直交する方向に延びる第1の部分と、延在方向に延びる第2の部分とを有し、
前記空気入りタイヤの表面と直交する方向から見た際に、前記第2の部分は、2本又は3本の前記カーカスコードと交差する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分は、蛇行形状、波状、又はジグザグ状である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの製造管理、出荷管理、使用履歴管理等のデータを読み書きするためのメモリ等を有するRF(Radio Frequency)タグ等の通信装置を備えた空気入りタイヤが知られている(例えば特許文献1)。このような通信装置として、アンテナが、所定の形状が繰り返し配列された部分を有するものが提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-037235号公報
【特許文献2】特開2022-084145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが、所定の形状が繰り返し配列された部分を有するアンテナを備えた通信装置を空気入りタイヤに設けることを検討したところ、アンテナの耐久性が十分でない場合が生じることが判明した。
【0005】
そこで、本発明は、通信装置を備え、通信装置のアンテナの耐久性を向上させた、空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部にトロイダルに跨る、1枚以上のカーカスプライからなるカーカスを備えた、空気入りタイヤであって、
前記カーカスプライは、ラジアル配列のカーカスコードをゴム被覆してなり、
前記空気入りタイヤに、アンテナを有する通信装置が設けられ、
前記アンテナは、延在方向に直交する方向に往復しながら前記延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分を有し、
前記カーカスコードは、前記通信装置が設けられたタイヤ径方向位置においてタイヤ周方向にピッチ間隔P(mm)で配列され、
前記ピッチ間隔A(mm)は、前記ピッチ間隔P(mm)より大きいことを特徴とする、空気入りタイヤ。
ここで、カーカスコードの「ピッチ間隔P」は、隣接するカーカスコードの中心間の距離を意味する。
【0007】
(2)前記アンテナは、延在方向に直交する方向に延びる第1の部分と、延在方向に延びる第2の部分とを有し、
前記空気入りタイヤの表面と直交する方向から見た際に、前記第2の部分は、2本又は3本の前記カーカスコードと交差する、上記(1)に記載の空気入りタイヤ。
【0008】
(3)前記延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分は、蛇行形状、波状、又はジグザグ状である、上記(1)又は(2)に記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信装置を備え、通信装置のアンテナの耐久性を向上させた、空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】外装体の蓋部を外した状態のRFタグの斜視図である。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図(半部)である。
【
図8】ピッチ間隔Pおよびピッチ間隔Aについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0012】
<通信装置>
先に、空気入りタイヤが備える通信装置について説明する。
【0013】
[通信装置]
図1は、通信装置10の平面図である。通信装置は、「RFタグ」ということがある。
図2は、RFタグ10の斜視図である。
図3は、外装体の蓋部を外した状態のRFタグ10の斜視図である。
図4は、RFタグ10の分解斜視図である。
図5は、第2アンテナ2の平面図である。
図6は、RFタグ10の一部断面図である。
図6は、
図2のI-I断面図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、RFタグ10は、基板1と、第2アンテナ2と、外装体3とを備える。外装体3の主面31a(
図3参照)の長手方向(
図1における左右方向)をX方向という。X方向のうち一方向(
図1における右方向)を+X方向という。X方向のうち他方向(
図1における左方向)を-X方向という。外装体3の主面31a(
図3参照)の短手方向をY方向という。Y方向は、主面31aに沿う面内においてX方向に直交する。Y方向のうち一方向(
図1における上方向)を+Y方向という。Y方向のうち他方向(
図1 における下方向)を-Y方向という。外装体3の主面31aに直交する方向をZ方向という。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。Z方向から見ることを平面視という。Z軸とは、Z方向に沿う中心軸である。
【0015】
図3に示すように、基板1は、RFIDチップ11と、第1アンテナ12と、基材13とを備える。基板1には、RFIDチップ11と第1アンテナ12とが設けられている。
【0016】
基材13は、板状に形成されている。平面視における基材13の形状は、特に限定されないが、少なくとも外周縁13aの一部が湾曲形状であることが好ましい。湾曲形状は、例えば、楕円弧状、円弧状、高次曲線状(例えば二次曲線状)などである。高次曲線状は、放物線状、双曲線状などである。平面視における基材13の外形は、例えば、楕円形状、円形状、長円形状(レーストラック形状)などであってよい。平面視における基材13の外形は、非円形状が望ましい。本実施形態では、基材13は、楕円形状とされている。基材13は、長径方向をX方向に向けた姿勢とされている。基材13としては、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミックス、プラスチックフィルムなどが使用できる。
【0017】
RFIDチップ11は、第1アンテナ12および第2アンテナ2を介して非接触にて情報の書き込みおよび読み出しが可能である。RFIDチップ11は、基材13に実装されている。
【0018】
第1アンテナ12は、例えば、基材13の一方の面に形成された導電層である。導電層は、例えば、導電性箔、メッキ層、導電インク層などで構成される。導電性箔は、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウムなどで構成される金属箔である。導電性箔は、エッチングなどによって所定の形状に形成される。メッキ層は、例えば、銅、銀、金、白金、アルミニウムなどの金属で構成される。導電インク層は、導電インクを用いて印刷などにより形成される。導電インクは、金属、カーボン材料などで形成される導電性粒子を含む。
【0019】
第1アンテナ12は、ループ状に形成されている。第1アンテナ12は、例えば、基材1 3の外周縁13aに沿う湾曲形状を有する。第1アンテナ12は、楕円形状のループ状に形成されている。第1アンテナ12は、RFID チップ11に電気的に接続されている。
【0020】
第2アンテナ2は、ブースター用のアンテナである。第2アンテナ2は、例えば、線状体である。第2アンテナ2は、例えば、スチール、ステンレス鋼、銅、銅合金などの金属で形成されている。第2アンテナ2は、例えば、真鍮メッキ鋼線で形成することができる。第2アンテナ2は、基板1とは別体とされている。なお、第2アンテナ2は線状体であるが、第2アンテナは、例えば、板状体であってもよい。
【0021】
第2アンテナ2は、電磁界結合部21と、一対の延出部22とを備える。電磁界結合部21は、湾曲形状を有する。「湾曲形状」とは、急峻な屈曲部がなく、滑らかに曲がる形状である。湾曲形状としては、例えば、楕円弧状、円弧状、高次曲線状(例えば二次曲線状)などがある。「高次曲線状」としては、放物線状、双曲線状などがある。電磁界結合部21は、半楕円形状とされている。詳しくは、電磁界結合部21は、楕円形の一方の頂点(長軸と交わる頂点)から他方の頂点(長軸と交わる頂点)に至る半楕円形状である。
【0022】
電磁界結合部21は、平面視において、基板1の少なくとも一部を囲む形状とされる。電磁界結合部21は、楕円形状の基板1の一方の頂点(長軸と交わる頂点)から他方の頂点(長軸と交わる頂点)に至る範囲(+Y方向側の半周範囲)を囲む。
【0023】
電磁界結合部21は、平面視において、第1アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。電磁界結合部21と外周縁12aとの離間距離は、ほぼ一定である。電磁界結合部21は、平面視において、基板1の外周縁13aの外側に、外周縁13aに近接して位置する。電磁界結合部21は、平面視において、外周縁13aに沿う形状とされる。電磁界結合部21と外周縁13aとの離間距離は、ほぼ一定である。
【0024】
電磁界結合部21は、非接触で第1アンテナ12と電磁界結合する。電磁界結合とは、例えば、電界結合と磁界結合のうち一方である。電磁界結合部21の長さ方向に直交する断面の形状は、例えば、円形状である(
図6参照)。
【0025】
一対の延出部22は、電磁界結合部21の一方および他方の端部21aからそれぞれ延出する。
図5に示すように、一対の延出部22のうち一方である第1延出部22Aは、電磁界結合部21の-X方向の端部21aから、蛇行しつつ-X方向に延出する。一対の延出部22のうち他方である第2延出部22Bは、電磁界結合部21の+X方向の端部21aから、蛇行しつつ+X方向に延出する。
【0026】
延出部22の平面視形状は、例えば、メアンダ(蛇行)形状、波状、ジグザグ形状などである。延出部22は、メアンダ形状を有する。
【0027】
図4に示すように、延出部22は、複数の直線部23と、複数の折り返し部24とを備える。直線部23は、Y方向に沿う直線状とされている。複数の直線部23は、X方向に間隔をおいて配置されている。折り返し部24は、隣り合う直線部23の端部どうしを連結する。折り返し部24は、湾曲形状(例えば、円弧形状)を有する。
【0028】
複数の直線部23のうち最も電磁界結合部21に近い直線部23を「第1直線部23A」という。複数の直線部23のうち2番目に電磁界結合部21に近い直線部23を「第2直線部23B」という。複数の直線部23のうち3番目に電磁界結合部21に近い直線部23 を「第3直線部23C」という。第1直線部23Aと第2直線部23Bとを連結する折り返し部24を「第1折り返し部24A」という。第2直線部23Bと第3直線部23Cとを連結する折り返し部24を「第2折り返し部24B」という。
【0029】
第1直線部23Aは、電磁界結合部21の端部21aから-Y方向に延出する。第1折り返し部24Aは、第1直線部23Aの-Y方向の端部から湾曲して延び、第2直線部23 Bの-Y方向の端部に達する。延出部22のうち、第1直線部23Aと第1折り返し部2 4Aの一部とは外装体3内にあるが、延出部22のそれ以外の部分は、外装体3の外に延出している(
図3参照) 。
【0030】
図2に示すように、外装体3は、板状の本体部31と、板状の蓋部32とを備える。外装体3は、全体として板状とされている。本体部31および蓋部32は、例えば、樹脂で形成される。樹脂としては、ナイロン6,6などのポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂;ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニルなどのポリフッ化エチレン系樹脂;ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂等が挙げられる。
【0031】
図4に示すように、本体部31は、平面視において矩形状とされている。本体部31の一方の面である主面31aには、基板保持凹部37(基板保持部)と、アンテナ保持溝34と、一対の側部凹所35が形成されている。基板保持凹部37は、基板保持凸部33によって形成される。基板保持凹部37は、基板保持凸部33によって囲まれた凹部である。
【0032】
基板保持凸部33 は、環状のリブ状突起である。基板保持凸部33は、基板1の外周縁13aに沿う湾曲形状(例えば、楕円形状)とされている。基板保持凸部33 は、主面31aから+Z方向に突出する。基板保持凸部33の長さ方向に直交する断面の形状は、例えば矩形状である。基板保持凸部33は、平面視において、第1アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円形状)とされている。
【0033】
基板保持凹部37は、基板1を保持する。基板保持凹部37は、基板1の外周縁13aに沿う形状(例えば、楕円形状)とされている。基板保持凹部37の内形寸法(内径)は、基板1の外形寸法(外径)とほぼ同じ、または基板1の外形寸法(外径)よりわずかに大きい。基板保持凹部37は、平面視において基板1と相似形である。
【0034】
基板1および基板保持凹部37 は、非円形状(例えば、楕円形状)であると、基板1がZ軸周りに傾斜するのを規制し、基板1の正しい姿勢を保つことができる。そのため、第1アンテナ12と電磁界結合部21との電磁界結合を維持することができる。
【0035】
アンテナ保持溝34は、第2アンテナ2の電磁界結合部21を収容する(
図3および
図6 参照)。アンテナ保持溝34は、基板保持凸部33の外側に、基板保持凸部33に近接して形成されている。アンテナ保持溝34は、平面視において、基板保持凸部33に沿う形状とされる。アンテナ保持溝34は、平面視において、第1アンテナ12の外周縁12aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。アンテナ保持溝34は、平面視において、基板1の外周縁13aに沿う湾曲形状(例えば、楕円弧状)とされている。アンテナ保持溝34は、平面視において、半楕円形状とされている。詳しくは、アンテナ保持溝34は、楕円形の一方の頂点(長軸と交わる頂点)から他方の頂点(長軸と交わる頂点)に至る半楕円形状である。
【0036】
アンテナ保持溝34は、平面視において、基板1の少なくとも一部を囲む形状とされる。アンテナ保持溝34は、楕円形状の基板1の一方の頂点(長軸と交わる頂点)から他方の頂点(長軸と交わる頂点)に至る範囲(+Y方向側の半周範囲)を囲む。
【0037】
図6に示すように、アンテナ保持溝34の長さ方向に直交する断面は、例えば、矩形状である。アンテナ保持溝34の幅(内形寸法)W1は、電磁界結合部21の外径(外形寸法) D1より大である。幅W1と外径D1との差は、例えば、0.01mm~1mm(好ましくは0.05mm~0.2mm)とすることができる。アンテナ保持溝34の幅W1が電磁界結合部21の外径D1より大であるため、電磁界結合部21は、線径方向(例えば、Y方向)に変位可能な状態でアンテナ保持溝34に収容される。「線径方向」は、電磁界結合部21の長さ方向に直交する方向である。電磁界結合部21は、アンテナ保持溝34に対して長さ方向にも変位可能である。
【0038】
アンテナ保持溝34の深さは、アンテナ保持溝34の底面34aから蓋部32(天面38a)までの高さ(内形寸法)H1が、電磁界結合部21の外径D1より大となるように定められる。高さH1と外径D1との差は、例えば、0.01mm~1mm(好ましくは0.05mm~0.2mm)とすることができる。アンテナ保持溝34の高さH1が電磁界結合部21の外径D1より大であるため、電磁界結合部21は、線径方向(例えば、Z方向)に変位可能な状態でアンテナ保持溝34に収容される。
【0039】
図4に示すように、側部凹所35は、主面31aの一方および他方の側部に形成されている。側部凹所35は、本体部31のX方向の側端縁31bを含む領域に形成されている。側部凹所35の内周縁35aは、Y方向に沿う第1直線部35bと、湾曲部35cと、X方向に沿う第2直線部35dとを有する。
【0040】
第1直線部35bは、アンテナ保持溝34の内周縁の端部を始点として-Y方向に延びる部分である。湾曲部35cは、第1直線部35bの先端から、X方向に対する傾斜角度が小さくなりつつ延出する部分である。第2直線部35dは、湾曲部35cの先端からX方向に沿って側端縁31bに向かう部分である。
【0041】
図3に示すように、側部凹所35は、平面視において、第2アンテナ2の第1直線部23 Aと、第1折り返し部24Aの一部と、を包含する。第1直線部23Aは、第1直線部35b(
図4参照)に近接している。第1折り返し部24Aは、湾曲部35c(
図4参照)に近接している。側部凹所35は、第2アンテナ2の所定の長さ範囲(第1直線部23Aと、第1折り返し部24Aの一部)の少なくとも一部を収容する。
【0042】
図2に示すように、側部凹所35はY方向に十分な距離があるため、側端縁31bには、Y方向(主面31aに沿う方向)に延びるスリット状の側端開口36が形成される。第2アンテナ2は、側端開口36を通して外装体3の外に延出している。
図4に示すように、本体部31の+Y方向の端縁31cには、X方向に位置を違えて2つの係止凹部39が形成されている。本体部31の-Y方向の端縁31dにも、X方向に位置を違えて2つの係止凹部39が形成されている。
【0043】
図2に示すように、蓋部32は、平面視において矩形状とされている。蓋部32は、本体部31と同形とされ、本体部31の主面31aに対向して設置されている。蓋部32は、平面視において、本体部31の主面31aに重なるように設置されている。
【0044】
図6に示すように、蓋部32の対向面32aは、本体部31の主面31aに対向する面である。対向面32aには、位置決め溝38が形成されている。位置決め溝38は、環状の溝である。位置決め溝38の長さ方向に直交する断面の形状は、例えば矩形状である。
【0045】
位置決め溝38は、基板保持凸部33およびアンテナ保持溝34に応じた湾曲形状(例えば、楕円形状)とされている。位置決め溝38は、平面視において、基板保持凸部33およびアンテナ保持溝34を一括して包含する幅を有する。位置決め溝38の天面38aの一部は、アンテナ保持溝34の底面34aに対向する。
【0046】
図2に示すように、蓋部32の+Y方向の端縁32cには、X方向に位置を違えて2つの係止凸部40が形成されている。蓋部32の-Y方向の端縁32dにも、X方向に位置を違えて2つの係止凸部40が形成されている。
【0047】
係止凸部40は、先端に係止爪部(図示略)が形成されている。係止凸部40は、本体部31の係止凹部39に挿入される。係止凸部40の係止爪部は、本体部31に係止する。これにより、蓋部32は、本体部31に着脱自在に結合される。
【0048】
外装体3は、第2アンテナ2に対して固定されていない。すなわち、外装体3は、第2アンテナ2に対して非固定である。
【0049】
RFタグ10は、例えば、ゴム、樹脂などで構成される成形品に設置することができる。例えば、RFタグ10は、成形品に埋設することができる。成形品は、例えば、弾性体であり、弾性変形可能である。成形品に伸び、曲げなどの変形が生じた場合、第2アンテナ2に、外力が作用する可能性がある。例えば、延出部22に、X方向に沿って外装体3から離れる方向の引張力が作用することが考えられる。延出部22には、X方向に沿って外装体3に近づく方向の力が作用することも考えられる。本実施形態のように、RFタグ10をタイヤに設置する際には、RFタグ10を、ゴム製のシートから成る固定部材(ラミネーションゴム)に内包するようにして設けることができる。これにより、RFタグ10の破損を確実に防止できるだけでなく、RFタグ10を固定部材で内包した後に、RFIDタグ10をタイヤに組み込むようにすれば、RFIDタグ10を容易にかつ破損のおそれなくタイヤ1に組み込むことができる。
【0050】
[RFタグが奏する効果]
RFタグ10では、第2アンテナ2の電磁界結合部21が線径方向(電磁界結合部21の長さ方向に直交する方向)に変位可能な状態でアンテナ保持溝34に収容される(
図6参照)。電磁界結合部21が変位可能であるため、第2アンテナ2に外力が作用した場合に、第2アンテナ2における応力を緩和することができる。よって、第2アンテナ2の破損を起こりにくくすることができる。これに対し、第2アンテナが外装体に固定されている場合には、第2アンテナに外力が作用すると、外装体から延出する第2アンテナの基端部(根元部分)に応力が集中し、この箇所で破損が起こりやすくなる可能性がある。
【0051】
第2アンテナ2の電磁界結合部21は、第1アンテナ12の外周縁12aに沿う形状を有するため、電磁界結合部21を第1アンテナ12に十分に電磁界結合させることができる。アンテナ保持溝34は、第1アンテナ12の外周縁12aに沿って形成されているため、第2アンテナ2の電磁界結合部21を、第1アンテナ12に沿って配置することができる。よって、電磁界結合部21を第1アンテナ12に十分に電磁界結合させることができる。
【0052】
第2アンテナ2の電磁界結合部21は、湾曲形状(例えば、半楕円形状)を有するため、第2アンテナ2に外力が作用した場合でも、矩形状の場合に比べ、応力集中が生じにくい。よって、第2アンテナ2の破損を起こりにくくすることができる。これに対し、電磁界結合部が矩形状である場合には、第2アンテナに外力が作用すると、角部(屈曲部)に応力が集中し、この箇所で破損が起こりやすくなる可能性がある。
【0053】
アンテナ保持溝34は、基板1の外周縁13aに沿って形成されているため、第2アンテナ2の電磁界結合部21を、第1アンテナ12に沿って配置することができる。よって、電磁界結合部21を第1アンテナ12に十分に電磁界結合させることができる。
【0054】
外装体3は、本体部31と、主面31aに重ねられる蓋部32とを備える。基板保持凹部37およびアンテナ保持溝34は、主面31aに形成されている。そのため、蓋部32によって、基板1および第2アンテナ2が本体部31から脱落するのを阻止することができる。よって、基板1および第2アンテナ2を外装体3に安定的に保持することができる。
【0055】
RFタグ10では、外装体3の側端縁31bに、Y方向(主面31aに沿う方向)に延びるスリット状の側端開口36が形成されている。そのため、第2アンテナ2は外装体3に対してY方向に位置変動できる。したがって、第2アンテナ2に外力が作用した場合に、変位により応力を緩和しやすくなる。よって、第2アンテナ2の破損を起こりにくくすることができる。
【0056】
例えば、RFタグ10では、基板1の外周縁13aおよび第1アンテナ12の外周縁12aは全周にわたって湾曲形状であるが、基板および第1アンテナは、外周縁の一部が湾曲形状であってもよい。外装体3は、本体部31と蓋部32とを備えるが、外装体の構成は特に限定されない。例えば、外装体は、蓋部を備えていなくてもよい。外装体は板状に限らず、他の形状(ブロック状等)であってもよい。
【0057】
上記のように、通信装置10は、アンテナを有する。アンテナは、延在方向に直交する方向に往復しながら延在方向にピッチ間隔A(mm)で(
図8参照)所定の形状が繰り返し配列されてなる部分(延出部22)を有する。当該部分(延出部22)の形状は、具体的には、蛇行形状、波状、又はジグザグ状が例示される。なお、
図8においては、一対のアンテナのうち一方のみを示しており、反対方向に延在するアンテナは図示を省略している。
【0058】
<空気入りタイヤ>
図7は、本発明の一実施形態にかかる空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図である。
図7は、タイヤ赤道面CLを境界とするタイヤ幅方向の一方の半部のみを示しているが、他方の半部についても同様の構成である。一方で、空気入りタイヤは、タイヤ赤道面CLを境界として、非対称な部分を有していても良い。
図8は、ピッチ間隔Pおよびピッチ間隔Aについて説明するための図である。
【0059】
この空気入りタイヤ50は、トラック・バス用タイヤであるが、他の重荷重用タイヤや乗用車用タイヤとしても良い。
【0060】
タイヤの内部構造は特には限定されないが、以下の構成を例示することができる。このタイヤ50は、一対のビード部51と、ビード部51に連なる一対のサイドウォール部52と、一対のサイドウォール部52に連なるトレッド部53とを備えている。ビード部51には、ビードコア51aが埋設され、ビードコア51aのタイヤ径方向外側にはビードフィラ51bが配置されている。また、このタイヤ50は、一対のビード部50間をトロイダル状に跨る、1枚以上のカーカスプライからなるカーカス54を備えている。カーカスプライは、ラジアル配列のカーカスコード54aをゴム被覆してなり、カーカスコードは、通信装置10が設けられたタイヤ径方向位置においてタイヤ周方向にピッチ間隔P(mm)で配列されている。本例では、カーカスコードは、スチールコードからなる。カーカスプライの枚数は、特に限定されない。上記ピッチ間隔P(mm)は、特には限定されないが、例えば、2.0~4.0mmとすることができる。また、カーカスコードの径は、特には限定されないが、0.5~1.5mmとすることができる。
【0061】
カーカス54のクラウン部のタイヤ径方向外側には、1層以上(図示例で4層)のベルト層55a~55dからなるベルト55が配置され、ベルト55のタイヤ径方向外側にはトレッドゴムが配置されている。ベルト55のベルトコードは、本例では、スチールコードである。ベルトコードは、タイヤ周方向に対して、例えば30~60°の傾斜角度で傾斜することができる。ベルト層の層数や、ベルト幅は特に限定されない。
【0062】
このタイヤ50は、通信装置としてのRFタグを備えている。RFタグは、ICチップとアンテナとを備える。RFタグは、例えば、タイヤを構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤ生産時にRFタグを取り付け易く、RFタグを備えるタイヤの生産性を向上させることができる。本例では、RFタグは、サイドウォール部52内に埋設されているが、他にも例えば、ビードフィラと、ビードフィラに隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグは、タイヤを構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤを構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、トレッドゴム、サイドゴム等のゴム部材内に埋設されてよい。RFタグは、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグは、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカスの端部と、このカーカスの端部に隣接する部材(例えばサイドゴム等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。RFタグの数は特に限定されない。タイヤは、1個のみのRFタグを備えてもよく、2個以上のRFタグを備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグを例示説明しているが、RFタグとは異なる通信装置であってもよい。
【0063】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグは、タイヤのサイドカットにより損傷しない。RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部のタイヤ内面に配置しても良い。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド部において撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤの両外側からのRFタグとの通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグと通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグは、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0064】
RFタグは、例えば、ビード部間に跨る、1枚以上のカーカスプライを含むカーカスより、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤの外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグが損傷し難くなる。一例として、RFタグは、カーカスのタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい。別の一例として、カーカスよりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグは、例えば、カーカスと、このカーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナーが挙げられる。別の一例として、RFタグは、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい。RFタグが、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグのタイヤへの取り付け、及び、RFタグの点検・交換が行い易い。つまり、RFタグの取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグが、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグをタイヤ内に埋設する構成と比較して、RFタグがタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。また、カーカスが、複数枚のカーカスプライを備え、複数枚のカーカスプライが重ねられている位置がある場合に、RFタグは、重ねられているカーカスプライの間に配置されていてもよい。
【0065】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、1枚以上のベルトプライを含むベルトより、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグは、ベルトに対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルトに密着して配置されてよい。また、別の一例として、補強ベルト層を備える場合、当該補強ベルト層に対してタイヤ径方向の外側で、当該補強ベルト層に密着して配置されてよい。また、別の一例として、RFタグは、ベルトよりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴム内に埋設されていてもよい。RFタグが、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信が、ベルトにより阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を向上させることができる。また、RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側がベルトに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグは、タイヤのトレッド部で、ベルトと、当該ベルトよりタイヤ径方向の内側に位置するカーカスと、の間に配置されてよい。また、ベルトが、複数枚のベルトプライを備える場合に、RFタグは、タイヤのトレッド部で、任意の2枚のベルトプライの間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルトプライに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0066】
RFタグは、例えば、クッションゴムと、トレッドゴムとの間やクッションゴムと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグへの衝撃を、クッションゴムにより緩和できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。また、RFタグは、例えば、クッションゴム内に埋設されていてもよい。更に、クッションゴムは、隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグは、クッションゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されてもよい。
【0067】
RFタグは、例えば、タイヤのサイドウォール部又はビード部の位置に配置されてよい。RFタグは、例えば、RFタグと通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部又は一方側のビード部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグとリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグは、カーカスと、サイドゴムと、の間やトレッドゴムとサイドゴムと、の間に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグがタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を高めることができる。RFタグは、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグは、剛性の高いビード部近傍に配置される。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグは、ビードコアとタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい。ビードコア近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。特に、RFタグは、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部のビードコアよりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグの耐久性を向上させることができるとともに、RFタグとリーダーとの通信が、ビードコアにより阻害され難く、RFタグの通信性を高めることができる。また、サイドゴムがタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグは、サイドゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。RFタグは、例えば、サイドゴムの外表面に配置しても良い。
【0068】
RFタグは、スティフナー(ビードフィラ)と、このスティフナーに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、スティフナーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、スティフナーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。また、RFタグは、例えば、スティフナーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスのうちスティフナーと共にRFタグを挟み込む部分は、スティフナーに対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスのうちスティフナーと共にRFタグを挟み込む部分が、スティフナーに対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。スティフナーは、ゴムチェーファーと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。スティフナーは、タイヤ幅方向の外側でハットゴムに隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーと、ハットゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。スティフナーは、硬さの異なる複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。RFタグは、ハットゴムと、このハットゴムに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグは、例えば、ハットゴムと、カーカスプライと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグへの衝撃を、ハットゴムにより緩和できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。
【0069】
RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ゴムチェーファーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。
【0070】
RFタグは、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグの位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、ゴムチェーファーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、サイドゴムと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、スティフナーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、スティフナーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。また、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ハットゴムと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ハットゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、カーカスと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ワイヤーチェーファーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ワイヤーチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
このように、RFタグは、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてよい。特に、RFタグのタイヤ幅方向外側が、ナイロンチェーファーに覆われることで、タイヤ幅方向でのタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。そのため、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。
【0071】
RFタグは、ワイヤーチェーファーと、このワイヤーチェーファーのタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグの位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファーなどのゴム部材であってよい。また、ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカスであってもよい。
【0072】
ここで、
図8に示すように、カーカスコード(カーカスプライが複数枚である場合には、RFタグに最も近いカーカスプライのカーカスコード)は、通信装置10(RFタグ)が設けられたタイヤ径方向位置においてタイヤ周方向にピッチ間隔P(mm)で配列され、アンテナは、延在方向に直交する方向に往復しながら延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が(図示例では、タイヤ周方向に)繰り返し配列されてなる部分を有し、ピッチ間隔A(mm)は、ピッチ間隔P(mm)より大きい。
以下、本実施形態の空気入りタイヤの作用効果について説明する。
【0073】
本実施形態の空気入りタイヤによれば、ピッチ間隔A(mm)は、ピッチ間隔P(mm)より大きいため、通信装置のアンテナの耐久性を向上させることができる。すなわち、ピッチ間隔A(mm)が、ピッチ間隔P(mm)より小さい(又は等しい)と、タイヤの転動時に、隣接する直線部23同士が干渉(接触)するおそれがあるため、アンテナの耐久性(ひいては通信装置の耐久性)が低下してしまう。また、比A/Pが6以下であることが好ましく、カーカスコードのピッチ間隔対比で直線部の間隔が大きすぎてアンテナの通信性が低下してしまうのを抑制して、アンテナ効果による通信性を確保することができる。
【0074】
アンテナは、延在方向に直交する方向に延びる第1の部分(図示例では直線部23)と、延在方向に延びる第2の部分(図示例では折り返し部24)とを有し、空気入りタイヤの表面と直交する方向から見た際に(例えばRFタグがカーカスよりもタイヤ幅方向外側に配置されている場合は、タイヤの外部から外表面に直交する方向から見た際に、また、例えばRFタグがタイヤ内面に配置されている場合は、タイヤの内部から内表面に直交する方向から見た際に)、第2の部分は、2本又は3本のカーカスコードと交差することが好ましい。これにより、より高い次元で通信装置のアンテナの耐久性と通信性とを両立させることができる。特に、外装体3側に最も近い第2の部分は、2本又は3本のカーカスコードと交差することが好ましい。外装体3側に最も近い第2の部分において、故障が生じやすいため、この部分で耐久性を高めることが効果的だからである。
【0075】
また、延在方向にピッチ間隔A(mm)で所定の形状が繰り返し配列されてなる部分は、蛇行形状、波状、又はジグザグ状であることが好ましい。このような形状は、単位延在長さ(
図1でいうX方向の長さ)に対するパスの長さが長く、通信性を向上させるのに有利だからである。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、
図8では、アンテナの延出部22の延在方向がタイヤ周方向である場合(すなわち、カーカスコードのピッチ間隔の方向とアンテナの延出部22の直線部23のピッチ間隔の方向が同じである場合)を示したが、アンテナの延出部22の延在方向は、タイヤ周方向に対して傾斜していても良い。
【0077】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.12_作る責任、つかう責任」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0078】
1:基板、 2:第2アンテナ、 3:外装体、
10:RFタグ(通信装置)、 11:RFIDチップ、
12:第1アンテナ、 12a:外周縁、
21:電磁界結合部、 21a:端部、 22:延出部、
34:アンテナ保持溝、 37:基板保持凹部(基板保持部)、
50:空気入りタイヤ、 51:ビード部、
52:サイドウォール部、 53:トレッド部、
54;カーカス、 55:ベルト、
CL:タイヤ赤道面