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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025109
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】画像生成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20240216BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A61M1/14 110
A61M1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128295
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】519248427
【氏名又は名称】METRICA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】幅野 莞佑
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077CC02
4C077GG17
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】腹膜解析の接続部の撮像画像のサイズのばらつきを小さくする。
【解決手段】画像生成装置1は、腹膜透析用のチューブが患者の腹部に接続されている接続部を含む撮像画像を取得する画像取得部153と、撮像画像におけるチューブの径又は接続部の大きさを特定する形状特定部154と、特定された撮像画像におけるチューブの径又は接続部の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する画像生成部155と、を有する。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
腹膜透析用のチューブが患者の腹部に接続されている接続部を含む撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する形状特定部と、
特定された前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する画像生成部と、
を有する画像生成装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記チューブの径又は前記接続部の大きさが、前記チューブの実際の径に対応する前記所定の範囲になるようにするための加工画像を生成する、
請求項1の画像生成装置。
【請求項3】
前記形状特定部は、前記チューブの中心線及び外縁を特定し、前記中心線に直交する直線が前記外縁と交わる2点間の距離を前記チューブの径として特定する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記画像生成部は、
前記撮像画像上の前記接続部における前記チューブの径と、前記撮像画像の所定部位の長さとの比率、又は前記接続部の大きさと前記撮像画像の所定領域の大きさとの比率が所定の比率範囲内である場合には、前記接続部における前記チューブの径が前記所定の範囲内であることを示す第1情報を表示する前記加工画像を生成し、
前記比率が前記比率範囲内でない場合には、前記接続部における前記チューブの径が前記所定の範囲内でないことを示す第2情報を表示する前記加工画像を生成する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記形状特定部は、前記チューブの長手方向における端部から所定の距離以内の領域を前記接続部として特定するとともに、前記領域の大きさを前記接続部の大きさとして特定する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記画像生成部は、前記接続部を示す枠を表示する前記加工画像を生成するとともに、前記接続部の大きさが前記所定の範囲内であるか否かに応じて前記接続部を示す枠の表示態様を変えた前記加工画像を生成する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記撮像画像を生成し、撮像する対象を拡大又は縮小して撮像するズーム機能を有する撮像部をさらに有し、
前記画像取得部は、前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記所定の範囲内になるように前記撮像部をズームさせることにより、前記チューブの径又は前記接続部が前記所定の範囲内である前記撮像画像を取得する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記加工画像に含める前記接続部を含む撮像範囲の入力を受け付ける入力受付部と、
前記撮像画像の大きさ及び前記撮像範囲に基づいて、前記撮像画像の大きさに対する前記所定の範囲を決定する範囲決定部と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記接続部の位置が前記加工画像の中心を含む規定領域に含まれ、かつ前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記所定の範囲内になるように前記撮像画像をトリミングした前記加工画像を生成する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項10】
前記画像生成部は、前記接続部の位置が前記規定領域に含まれており、前記接続部の大きさが前記所定の範囲内である2つの前記加工画像の赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所を所定の色で示す発赤評価用画像をさらに生成する、
請求項9に記載の画像生成装置。
【請求項11】
前記画像取得部は、前記チューブの位置が異なる複数の前記撮像画像を取得し、
前記画像生成部は、前記複数の撮像画像の各々における前記チューブの領域を特定し、特定した前記チューブの領域以外の画像を合成することにより、前記撮像画像から前記チューブを除去した前記加工画像を生成する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項12】
前記形状特定部は、前記撮像画像を入力することにより前記撮像画像に含まれている前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する機械学習モデルに前記撮像画像を入力することによって、前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する、
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項13】
コンピュータを、
腹膜透析用のチューブが患者の腹部に接続されている接続部を含む撮像画像を取得する画像取得部、
前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する形状特定部、及び
特定された前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する画像生成部
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹膜透析を行う患者の撮像画像の解析に用いられる画像を生成する画像生成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、腹膜透析を行っている患者が腹膜透析を行うときに接続部を撮像した画像に基づいて、腹膜透析の接続部の衛生状態を評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-010651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮像画像における接続部の大きさが撮影のたびに異なると、接続部の衛生状態を適切に評価できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、撮像画像における腹膜解析の接続部の大きさのばらつきを小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、腹膜透析用のチューブが患者の腹部に接続されている接続部を含む撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する形状特定部と、特定された前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する画像生成部と、を有する画像生成装置を提供する。
【0007】
前記画像生成部は、前記チューブの径又は前記接続部の大きさが、前記チューブの実際の径に対応する前記所定の範囲になるようにするための加工画像を生成してもよい。
【0008】
前記形状特定部は、前記チューブの中心線及び外縁を特定し、前記中心線に直交する直線が前記外縁と交わる2点間の距離を前記チューブの径として特定してもよい。
【0009】
前記画像生成部は、前記撮像画像上の前記接続部における前記チューブの径と、前記撮像画像の所定部位の長さとの比率、又は前記接続部の大きさと前記撮像画像の所定領域の大きさとの比率が所定の比率範囲内である場合には、前記接続部における前記チューブの径が前記所定の範囲内であることを示す第1情報を表示する前記加工画像を生成し、前記比率が前記比率範囲内でない場合には、前記接続部における前記チューブの径が前記所定の範囲内でないことを示す第2情報を表示する前記加工画像を生成してもよい。
【0010】
前記形状特定部は、前記チューブの長手方向における端部から所定の距離以内の領域を前記接続部として特定するとともに、前記領域の大きさを前記接続部の大きさとして特定してもよい。
【0011】
前記画像生成部は、前記接続部を示す枠を表示する前記加工画像を生成するとともに、前記接続部の大きさが前記所定の範囲内であるか否かに応じて前記接続部を示す枠の表示態様を変えた前記加工画像を生成してもよい。
【0012】
前記画像生成装置は、前記撮像画像を生成し、撮像する対象を拡大又は縮小して撮像するズーム機能を有する撮像部をさらに有し、前記画像取得部は、前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記所定の範囲内になるように前記撮像部をズームさせることにより、前記チューブの径又は前記接続部が前記所定の範囲内である前記撮像画像を取得してもよい。
【0013】
前記画像生成装置は、前記加工画像に含める前記接続部を含む撮像範囲の入力を受け付ける入力受付部と、前記撮像画像の大きさ及び前記撮像範囲に基づいて、前記撮像画像の大きさに対する前記所定の範囲を決定する範囲決定部と、をさらに備えてもよい。
【0014】
前記画像生成部は、前記接続部の位置が前記加工画像の中心を含む規定領域に含まれ、かつ前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記所定の範囲内になるように前記撮像画像をトリミングした前記加工画像を生成してもよい。
【0015】
前記画像生成部は、前記接続部の位置が前記規定領域に含まれており、前記接続部の大きさが前記所定の範囲内である2つの前記加工画像の赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所を所定の色で示す発赤評価用画像をさらに生成してもよい。
【0016】
前記画像取得部は、前記チューブの位置が異なる複数の前記撮像画像を取得し、前記画像生成部は、前記複数の撮像画像の各々における前記チューブの領域を特定し、特定した前記チューブの領域以外の画像を合成することにより、前記撮像画像から前記チューブを除去した前記加工画像を生成してもよい。
【0017】
前記形状特定部は、前記撮像画像を入力することにより前記撮像画像に含まれている前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する機械学習モデルに前記撮像画像を入力することによって、前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様においては、コンピュータを、腹膜透析用のチューブが患者の腹部に接続されている接続部を含む撮像画像を取得する画像取得部、前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさを特定する形状特定部、及び特定された前記撮像画像における前記チューブの径又は前記接続部の大きさが前記撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する画像生成部として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮像画像における腹膜解析の接続部の大きさのばらつきを小さくできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】画像生成装置の概要を説明するための図である。
図2】画像生成装置の構成を説明するための図である。
図3】チューブの径を特定する処理を説明するための図である。
図4】接続部の大きさを特定する処理を説明するための図である。
図5】トリミング前の撮像画像の模式図である。
図6】トリミング後の加工画像の模式図である。
図7】複数の撮像画像からチューブを除去した加工画像を生成する処理を説明するための図である。
図8】発赤評価用画像の一例である。
図9】複数の加工画像が配置されて表示された画面の模式図である。
図10】画像生成装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[画像生成装置1の概要]
図1は、画像生成装置1の概要を説明するための図である。画像生成装置1は、例えば撮像部を備えたスマートフォンである。画像生成装置1は、腹膜透析を行う患者に腹膜透析用のチューブ2が接続されている接続部3を撮像し、医師又は看護師等の評価者が接続部3の衛生状態を評価するための撮像画像を生成する。接続部3は、患者の身体においてチューブ2が挿入された部位であり、チューブ2が挿入されていない状態における開口部である。画像生成装置1は、ディスプレイ11を有しており、ディスプレイ11に撮像画像が表示される。
【0022】
撮像画像中のチューブ2の径や接続部3の大きさが撮影のたびに異なると、接続部3が拡大されすぎて接続部3の近傍領域を確認できなかったり、接続部3が小さすぎて接続部3の詳細を確認できなかったりして、評価者が接続部の衛生状態を適切に評価できない。そこで、画像生成装置1は、撮像画像におけるチューブ2の径や接続部3の大きさが撮影のたびに大きく異ならないように、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成し、ディスプレイ11に表示させる。加工画像は、例えば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるように支援するための画像、又はチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になった画像である。
【0023】
所定の範囲は、チューブ2の実際の径に対応する適切な範囲になるようにあらかじめ決定されている。例えば、所定の範囲は、撮像画像中のチューブ2の径又は接続部3の大きさの、撮像画像の所定部位の大きさに対する比率により表される。具体的には、所定の範囲は、撮像画像上の接続部3におけるチューブ2の径の大きさの撮像画像の所定部位の大きさに対する比率範囲として定められた範囲である。所定部位の大きさは、例えば撮像画像の長辺、短辺若しくは対角線の長さ、又は撮像画像の画素数であるが、これらに限らない。
【0024】
所定の範囲は、接続部3を十分に大きな状態で確認可能にするとともに、接続部3の周辺部分の皮膚の状態も確認できる範囲として定められており、所定の比率範囲の具体的な値は、例えば、長さの比率が30%以上70%以下(面積の比率が約10%以上約50%以下)である。これらの所定の範囲は、予め決定されて記憶された数値範囲であってもよく、画像生成装置1のユーザにより設定された数値範囲であってもよい。
【0025】
図1(a)は、撮像画像に表示されるチューブ2の径又は接続部3が大きすぎて、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でない場合の加工画像を示す図である。画像生成装置1は、撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でない場合、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す情報を含む加工画像を生成する。
【0026】
図1(a)のディスプレイ11には、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す情報として、接続部3を含む領域を示す点線枠41が表示されている。また、図1(a)のディスプレイ11には、「カメラが近すぎます 腹部から遠ざけてください」というメッセージ111が表示されている。これにより、患者の腹部の接続部3を撮像するユーザがチューブ2の径や接続部3が大きすぎることを把握できるので、ユーザは、チューブ2の径や接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるように画像生成装置1の位置を移動させることができる。
【0027】
図1(b)は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である場合の加工画像を示す図である。図1(b)のディスプレイ11には、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを示す情報として、接続部3を含む領域を示す実線枠42が表示されている。また、図1(b)のディスプレイ11には、「シャッターボタンをタッチして撮影してください」というメッセージ112、及びシャッターボタン5が表示されている。
【0028】
画像生成装置1のユーザは、図1(b)のディスプレイ11に表示されているシャッターボタン5をタッチすることにより、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である状態で接続部3の周辺を撮像できる。これにより、画像生成装置1は、チューブ2の径や接続部3が適切な大きさの撮像画像を生成できる。
【0029】
[画像生成装置1の構成]
図2は、画像生成装置1の構成を説明するための図である。画像生成装置1は、ディスプレイ11、通信部12、撮像部13、記憶部14及び制御部15を備える。
【0030】
ディスプレイ11は、例えば液晶ディスプレイである。ディスプレイ11は、入力部を含む。入力部は、例えばタッチパネルである。ユーザは、ディスプレイ11に表示された画面上の表示をタッチすることで画像生成装置1を操作できる。
【0031】
通信部12は、無線通信回線を介して情報を送受信するための無線通信モジュールである。通信部12は、例えばインターネットを介して他の装置と情報を送受信できる。
【0032】
撮像部13は、撮像対象を撮像して撮像画像を生成する。例えば、撮像部13は、腹膜透析を行っている患者の腹部を撮像した撮像画像を生成する。具体的には、撮像部13は、腹膜透析用のチューブ2が患者の腹部に接続されている接続部3を含む撮像画像を生成する。撮像部13は、撮像対象を拡大又は縮小して撮像するズーム機能をしていてもよい。以下、撮像部13が生成する撮像画像の大きさが、横40万画素×縦30万画素の1200万画素であるものとするが、これに限定するものではない。
【0033】
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等を含む記憶媒体である。記憶部14は、制御部15が実行するプログラムを記憶する。
【0034】
制御部15は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部15は、記憶部14に記憶されたプログラムを実行することにより、入力受付部151、範囲決定部152、画像取得部153、形状特定部154及び画像生成部155としての機能を実現する。
【0035】
入力受付部151は、ユーザにより入力された操作を受け付ける。例えば、入力受付部151は、加工画像に含める接続部3を含む撮像範囲の入力を受け付ける。接続部3を含む撮像範囲とは、例えば接続部3の中心位置からの距離により規定される。具体的には、入力受付部151は、ディスプレイ11に設けられたタッチパネルにおいて撮像範囲の入力を開始する操作を受け付けると、撮像範囲の入力画面を表示部に表示させ、表示させた入力画面に入力された数値を撮像範囲として受け付ける。
【0036】
範囲決定部152は、撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさを、撮像画像の大きさに対してどの範囲の大きさにするかを決定する。例えば、範囲決定部152は、入力された撮像範囲に基づいて所定の範囲を決定する。より広い範囲を撮像する場合は、接続部3からの距離を大きくする必要がある。接続部3からの距離が大きくなると、撮像画像中のチューブ2の径や接続部3の大きさが小さくなる。そのため、範囲決定部152は、入力された撮像範囲が広いほど、所定の範囲の上限値及び下限値を小さくする。
【0037】
画像取得部153は、撮像部13が生成した撮像画像を取得する。例えば、画像取得部153は、撮像部13を制御することにより撮像部13に撮像画像を生成させて、撮像部13が生成した撮像画像を取得する。
【0038】
形状特定部154は、撮像画像におけるチューブ2の径を特定する。具体的には、形状特定部154は、撮像画像上の接続部3におけるチューブ2の径を特定する。図3は、チューブ2の径を特定する処理を説明するための図である。まず、形状特定部154は、撮像画像中のチューブ2の領域を特定し、特定したチューブ2の領域から、チューブ2の中心線21、外縁22a及び外縁22bを特定する。続いて、形状特定部154は、中心線21に直交する直線23が外縁22aと、交わる点24a及び直線23が外縁22bと交わる点24bを特定する。そして、形状特定部154は、点24aと点24bと間の距離をチューブ2の径として特定する。
【0039】
形状特定部154は、撮像画像におけるチューブ2の径に替えて、接続部3の大きさを特定してもよい。図4は、接続部3の大きさを特定する処理を説明するための図である。形状特定部154は、接続部3の大きさを特定する際に、撮像画像における接続部3の領域を特定する。例えば、形状特定部154は、チューブ2の長手方向における端部31から所定の距離r以内の領域を接続部3として特定する。具体的には、形状特定部154は、チューブ2の領域の中心線21と端の辺25との交点である端部31を接続部3の中心として特定し、端部31を中心とする半径rの円32を接続部3として特定する。なお、形状特定部154は、円32が内接する正方形43、又は円32が外接する正方形を接続部3として特定してもよい。
【0040】
形状特定部154は、接続部3として特定した円32又は正方形43の大きさを、接続部3の大きさとして特定する。具体的には、形状特定部154は、円32の直径2r、又は正方形43の一辺の長さ2rを接続部3の長さとして特定する。また、形状特定部154は、円32又は正方形43に含まれている画素数を接続部3の大きさとして特定してもよい。
【0041】
形状特定部154は、接続部3の大きさと共に、接続部3の位置を特定する。例えば、形状特定部154は、接続部3の中心である端部31の位置を、接続部3の位置として特定する。また、形状特定部154は、接続部3を正方形として特定した場合、正方形の中心位置、又は正方形の4つの角のうちのいずれかの位置を、接続部3の位置として特定してもよい。
【0042】
形状特定部154は、機械学習を用いてチューブ2の径又は接続部3を特定してもよい。例えば、形状特定部154は、撮像画像を入力することにより撮像画像に含まれているチューブ2の径を特定する機械学習モデルに撮像画像を入力することによって、チューブ2の径を特定する。また、形状特定部154は、撮像画像を入力することにより撮像画像に含まれている接続部3の大きさを特定する機械学習モデルに撮像画像を入力することによって、接続部3の大きさを特定してもよい。
【0043】
画像生成部155は、形状特定部154が特定したチューブ2の径又は接続部3の大きさに基づいて、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する。以下、画像生成部155が加工画像を生成する処理を説明する。
【0044】
画像生成部155は、撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさが、撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であるか否かを判定する。例えば、画像生成部155は、撮像画像上の接続部3におけるチューブ2の径の大きさと、撮像画像の所定部位の大きさとの比率が比率範囲内であるか否かに基づいて、撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0045】
画像生成部155は、撮像画像の所定部位の長さに対するチューブ2の径の比率が比率範囲内であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であると判定する。画像生成部155は、撮像画像の所定部位の長さに対するチューブ2の径の比率が比率範囲外であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないと判定する。
【0046】
画像生成部155は、撮像画像におけるチューブ2の径と撮像画像の所定部位の長さとの比率に替えて、接続部3の大きさと撮像画像の所定領域の大きさとの比率に基づいて、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。例えば、画像生成部155は、撮像画像の所定部位の長さに対する、接続部3として特定された円32の直径又半径、若しくは正方形43の辺又は対角線の長さの比率が比率範囲内であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であると判定する。画像生成部155は、撮像画像の所定部位の長さに対する、円32の直径又半径、若しくは正方形43の辺又は対角線の長さの比率が比率範囲外であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないと判定する。
【0047】
画像生成部155は、接続部3として特定された領域の画素数の撮像画像の全画素数に対する比率に基づき、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であるか否かを判定してもよい。画像生成部155は、撮像画像の全画素数に対する接続部3の画素数が比率範囲内であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であると判定する。画像生成部155は、撮像画像の全画素数に対する接続部3の画素数の比率が比率範囲外であれば、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないと判定する。
【0048】
画像生成部155は、撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であると判定した場合には、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを示す第1情報を表示する加工画像を生成する。例えば、画像生成部155は、第1情報として、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを示す実線枠42(図1(b)を参照)を、接続部3を囲むように表示する加工画像を生成する。
【0049】
具体的には、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であり、かつ接続部3の位置が撮像画像の中心を含む規定領域内である場合に、実線枠42を表示する加工画像を生成する。規定領域は、適宜定めればよいが、撮像画像の中心から所定の距離以内の領域である。所定の距離は、例えば撮像画像が大きいほど大きくする。撮像画像の長辺の画素数が40万画素である場合、所定の距離は例えば2万ピクセルであるが、これに限定するものではない。
【0050】
画像生成部155は、実線枠42に加えて、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを示すメッセージを表示する加工画像を生成してもよい。例えば、画像生成部155は、「シャッターボタンをタッチして撮影してください」というメッセージ112を表示する加工画像(図1(b)を参照)を生成する。これにより、画像生成装置1のユーザがチューブ2の径や接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である状態で接続部3を撮像できるので、画像生成部155は、チューブ2の径や接続部3が適切な大きさの撮像画像を生成できる。
【0051】
画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないと判定した場合には、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す第2情報を表示する加工画像を生成する(図1(a)を参照)。画像生成部155は、第2情報として、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す点線枠41(図1(a)を参照)を、接続部3を囲むように表示する加工画像を生成する。具体的には、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でない場合、及び接続部3の位置が規定領域外である場合の少なくともいずれかであれば、点線枠41を表示する加工画像を生成する。
【0052】
画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でない場合に、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して、所定の範囲の上限値より大きいか、所定の範囲の下限値より小さいかに基づいて、表示する第2情報を変更する。例えば、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の上限値よりも大きい場合には、「カメラが近すぎます 腹部から遠ざけてください」というメッセージを第2情報として表示する加工画像を生成する。また、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の下限値よりも小さい場合には、「カメラが遠すぎます 腹部に近づけてください」というメッセージを第2情報として表示する加工画像を生成する。これにより、画像生成装置1のユーザは、画像生成装置1をどのように動かせばチューブ2の径又は接続部3の大きさを適切な大きさにできるかを把握できる。
【0053】
画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であるか否かに応じて、接続部3を示す枠の色を変えてもよい。例えば、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であり、かつ接続部3の位置が規定領域内であれば緑色の点線枠を表示する加工画像を生成する。画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲外、又は接続部3の位置が規定領域外の少なくともいずれかであれば白色の点線枠を表示する。
【0054】
以上の説明においては、画像生成部155が、画像生成装置1のユーザが接続部3を撮像する際に、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する場合を例示した。これに限らず、画像生成部155は、既に撮像された撮像画像を、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようトリミングした加工画像を生成してもよい。以下、図5及び図6を参照しながら、画像生成部155が撮像画像をトリミングして、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である加工画像を生成する処理を説明する。
【0055】
図5は、トリミング前の撮像画像の模式図である。図5の撮像画像における接続部3の位置は、撮像画像の規定領域44外である。画像生成部155は、接続部3の位置が規定領域44に含まれ、かつチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるように撮像画像をトリミングした加工画像を生成する。具体的には、まず、画像生成部155は、加工画像の大きさに対するチューブ2の径又は接続部3の大きさの比率が所定の比率範囲内になるときの加工画像の大きさを特定する。一例を挙げると、画像生成部155は、チューブ2の径の長さが1万画素であり、所定の比率範囲が6分の1以上4分の1以下であれば、加工画像の大きさとして5万画素を特定する。次に、画像生成部155は、接続部3の中心を中心とする長辺の画素数が5万画素の領域である矩形領域45をトリミングする。
【0056】
図6は、トリミング後の加工画像の模式図である。画像生成部155が撮像画像をトリミングすることにより、接続部3の位置は加工画像における規定領域46内になり、接続部3の大きさは所定の範囲内になっている。これにより、接続部3の周囲が見やすくなるので、接続部3の衛生状態の評価がしやすくなる。
【0057】
ところで、撮像画像にチューブ2が含まれていると、評価者は、撮像画像のうちのチューブ2の陰になっている部分の衛生状態を評価することができない。そこで、画像生成部155は、複数の撮像画像からチューブ2を除去した加工画像を生成してもよい。
【0058】
図7は、複数の撮像画像からチューブ2を除去した加工画像を生成する処理を説明するための図である。まず、画像取得部153は、チューブ2の位置が異なる複数の撮像画像を取得する。例えば、画像取得部153は、一の撮像画像を取得した後、「チューブを持ち上げて撮像してください」というメッセージをディスプレイ11に表示させたり、画像生成装置1のスピーカに出力させたりする。このように、画像取得部153は、画像生成装置1のユーザにチューブ2の位置が異なる複数の撮像画像を撮像させることにより、チューブ2の位置が異なる複数の撮像画像を取得する。
【0059】
図7(a)は、複数の撮像画像のうちの第1撮像画像である。図7(b)は、第1撮像画像と異なる第2撮像画像である。第2撮像画像における接続部3の位置は、第1撮像画像における接続部3の位置と同じであり、第2撮像画像のチューブ2の位置は、第1撮像画像のチューブ2の位置と異なる。
【0060】
画像生成部155は、複数の撮像画像の各々におけるチューブ2の領域を特定する。具体的には、画像生成部155は、撮像画像を入力することにより撮像画像に含まれているチューブ2の領域を特定する機械学習モデルに、各撮像画像を入力することによって、各撮像画像におけるチューブ2の領域を特定する。そして、画像生成部155は、各撮像画像のうちのチューブ2の領域以外の画像を合成することにより、撮像画像からチューブ2を除去した加工画像を生成する。図7(c)は、撮像画像からチューブ2を除去した加工画像である。このように、画像生成部155が撮像画像からチューブ2を除去することにより、チューブ2の陰になって確認できない部分がなくなるので、評価者は、接続部3の衛生状態の評価をしやすくなる。
【0061】
接続部3の衛生状態を評価する際に、衛生状態の経時変化を評価したいことがある。そこで、画像生成部155は、撮像された時期の異なる複数の撮像画像を用いて、接続部3周辺に生じる発赤を評価するための発赤評価用画像を生成する。この場合、画像取得部153は、接続部3の位置が規定領域に含まれており、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である2つの加工画像を取得する。具体的には、画像取得部153は、第1日の加工画像と、第1日以降の第2日の加工画像を取得する。
【0062】
画像生成部155は、2つの加工画像の赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所を特定する。そして、画像生成部155は、特定した箇所を所定の色で示す発赤評価用画像を生成する。所定の色は、例えば赤であるが、これに限定するものではない。図8は、発赤評価用画像の一例である。図8の斜線部61は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所である。このようにすることで、評価者は、どこにどれくらいの大きさの発赤があるかを把握しやすくなる。
【0063】
画像生成部155は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所の長さ又は直径に応じて表示態様を変えてもよい。例えば、画像生成部155は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所の長さが所定の長さ以上の箇所と、所定の大きさ未満の箇所とで表示態様を変える。所定の長さは、例えば腹膜透析の発赤評価のガイドラインに応じた値であり、具体的には5mmである。画像生成部155は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所の長さが、所定の閾値以上の場合には、実線の枠62を表示させる。また、画像生成部155は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所の大きさが所定の閾値未満である場合、点線の枠63を表示させる。これにより、評価者は、ガイドラインに示される所定の大きさよりも大きな発赤を把握しやすくなる。
【0064】
画像生成部155は、生成した加工画像を他の装置に通信部12を介して送信する。他の装置は、例えば接続部3の衛生状態を評価する評価者のコンピュータである。このようにすることで、評価者は、腹膜透析を行う患者を訪問したり、患者に来院してもらったりすることなく、接続部3の衛生状態を遠隔で評価できる。
【0065】
(変形例1)
画像取得部153は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるように撮像部13をズームさせることにより、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である撮像画像を取得してもよい。具体的には、画像取得部153は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の下限値よりも小さい場合には、接続部3を拡大するように撮像部13をズームさせる。画像取得部153は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の上限値よりも大きい場合には、接続部3を縮小するように撮像部13をズームさせる。これにより、画像生成装置1のユーザは、接続部3が撮像されるように画像生成装置1を構えるだけで、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である撮像画像を取得できる。
【0066】
(変形例2)
上記の説明では、画像生成装置1が撮像画像をトリミングして加工画像を生成したが、これに限らず、画像生成装置1と異なる他の装置が撮像画像をトリミングして加工画像を生成してもよい。この場合、画像生成装置1は、撮像画像を画像処理装置に通信部12を介して送信する。画像処理装置は、画像生成装置1の制御部15と同様の構成を有する。具体的には、画像処理装置は、画像生成装置1から撮像画像を取得し、撮像画像をトリミングすることで、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるように撮像画像をトリミングして加工画像を生成する。これにより、画像生成装置1は、撮像画像を撮像するだけでよくなるので、撮像画像をトリミングして加工画像を生成する処理負荷を低減できる。
【0067】
(変形例3)
画像生成部155は、加工画像を生成すると共に、接続部3が適切なサイズであるかどうかを示す情報を音で出力してもよい。例えば、画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であれば、「撮像してください」という音声メッセージを画像生成装置1のスピーカに出力させる。画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の上限値よりも大きい場合には、「カメラが近すぎます 腹部から遠ざけてください」という音声メッセージをスピーカに出力させる。画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲の下限値よりも小さい場合には、「カメラが遠すぎます 腹部に近づけてください」という音声メッセージをスピーカに出力させる。これにより、患者自身が接続部3を撮像する際に、画面を見ずに接続部3を適切な大きさにしやすくなる。
【0068】
(変形例4)
画像生成部155は、チューブ2の径又は接続部3の大きさに替えて、大きさが既知の基準となる物体の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成してもよい。基準となる物体は、大きさが既知であればよく、例えば接続部3の周辺に貼られた大きさが既知のシールである。このようにすることでも、接続部3の撮像画像のばらつきを小さくすることができる。
【0069】
(変形例5)
範囲決定部152は、ディスプレイ11を介して入力されたチューブ2の実際の径に応じて所定の範囲を決定してもよい。この場合、記憶部14は、チューブ2の実際の径と、当該径に対応する範囲とを関連付けたデータテーブルを記憶している。また、入力受付部151は、ディスプレイ11にチューブ2の実際の径を入力させるための入力画面を表示させ、表示させた入力画面において入力された数値をチューブ2の実際の径として受け付ける。そして、範囲決定部152は、記憶部14に記憶されたデータテーブルにおいて、入力されたチューブ2の実際の径に関連付けられている範囲を、所定の範囲として決定する。なお、入力受付部151は、チューブ2の実際の径と、当該チューブ2の実際の径に対応する範囲との両方の入力を受け付けてもよい。この場合、範囲決定部152は、入力された範囲を所定の範囲に決定し、入力されたチューブ2の実際の径及び当該チューブ2の径に対応する範囲を記憶部14に記憶させる。
【0070】
(変形例6)
画像生成部155は、複数の加工画像を配置した画像をディスプレイ11に表示させてもよい。図9は、複数の加工画像が配置されてディスプレイ11に表示された表示画面の模式図である。図9に示す表示画面には、サムネイル画像領域71と、並列表示領域72と、発赤情報領域73とが含まれている。サムネイル画像領域71には、複数の加工画像のサムネイル画像が表示されている。並列表示領域72には、サムネイル画像領域71に表示されている複数の加工画像のサムネイル画像からユーザにより選択された2つの加工画像が表示されている。発赤情報領域73には、それぞれに含まれている発赤に関する情報が表示されている。
【0071】
画像生成部155は、撮像日時の異なる複数の撮像画像の各々をトリミングした加工画像を配置して表示させる。例えば、画像生成部155は、所定の期間(例えば1か月)内に撮像された複数の撮像画像の各々をトリミングした加工画像を、撮像日時順に配置してサムネイル画像領域71内に表示させる。画像711から画像714は、2022/7/29、2022/7/22、2022/7/15及び2022/7/8のそれぞれに撮像された撮像画像をトリミングした加工画像である。
【0072】
画像生成部155は、複数の加工画像の一部の加工画像を、他の加工画像よりも大きく表示する。例えば、画像生成部155は、サムネイル画像領域71に表示された複数のサムネイル画像からユーザにより選択された2つの加工画像を拡大して、並列表示領域72に表示させる。なお、拡大画像721と拡大画像722は同一サイズであることが好適である。これにより、評価者は、異なる時期の接続部3の状態を比較することができるので、接続部3の感染症の経時変化を評価しやすくなる。また、画像生成部155は、選択された画像711の枠を、選択されていない画像713の枠と異なる態様で表示させてもよい。例えば、画像生成部155は、選択された画像711の枠を実線で表示させ、選択されていない画像713の枠を破線で表示させる。
【0073】
画像生成部155は、配置した複数の加工画像の各々に含まれている発赤の数を発赤情報領域73に表示してもよい。例えば、画像生成部155は、加工画像の年月日と発赤の数とを関連付けて表示させる。具体的には、画像生成部155は、赤色の画素の画素値の差が閾値以上の箇所のうちの、長さが5mm以上の箇所(以下「発赤大」という。)の数、及び長さが5mm未満の箇所(以下「発赤小」という。)の数を、加工画像の年月日と関連付けて表示させる。
【0074】
図9の発赤情報領域73に表示されている表においては、加工画像の年月日と発赤の数とが関連付けられている。一例を挙げると、2022/7/29には、発赤大の数[1]及び発赤小の数[2]が関連付けられている。これにより、評価者は、発赤の数の経時変化を把握しやすくなる。
【0075】
画像生成部155は、発赤だけでなく、他の症状を評価するための症状評価用画像を生成してもよい。他の症状は、例えば、痂皮、浸出液、肉芽である。画像生成部155は、画像を入力することにより入力された画像に各症状が含まれているか否かを特定する機械学習モデルに、撮像画像又は加工画像を入力することによって、各症状の有無を特定する。そして、画像生成部155は、入力された画像に各症状が含まれているか否かを示す症状評価用画像を生成する。例えば、画像生成部155は、選択された2つの加工画像の各々に各症状が含まれているか否かを示す症状評価用画像をディスプレイ11に表示させる。これにより、評価者は、各症状の有無を把握しやすくなる。
【0076】
図9の発赤情報領域73には、発赤の数を表示しているが、これに加えて、画像生成部155は、痂皮、浸出液、肉芽等の、他の症状に関する情報を表示してもよい。また、他の症状は、機械学習モデルに撮像画像又は加工画像を入力することによって特定されたものに限らず、並列表示領域72に表示された加工画像に対応づけられるように、ユーザにより入力されたものなどであっても良い。画像生成部155は、ユーザが表示された加工画像に対応する症状を入力するための入力領域を表示しても良い。
【0077】
[画像生成装置1が実行する処理]
図10は、画像生成装置1が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートが実行される前に、範囲決定部152が所定の範囲を決定しているものとする。
【0078】
画像取得部153は、撮像画像を取得する(ステップS1)。具体的には、画像取得部153は、撮像部13を制御することにより撮像部13に生成させた撮像画像を取得する。形状特定部154は、撮像画像中の接続部3の大きさを特定する(ステップS2)。具体的には、形状特定部154は、撮像画像を入力することにより撮像画像に含まれている接続部3の長さを特定する機械学習モデルに撮像画像を入力することによって、接続部3の長さを特定する。
【0079】
続いて、画像生成部155は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内か否かを判定する(ステップS3)。例えば、画像生成部155は、撮像画像の長辺、短辺又は対角線に対する接続部3の長さの比率が所定の比率範囲内か否かを判定することにより、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内か否かを判定する。
【0080】
画像生成部155は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であれば、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを示す実線枠42(図1(b)を参照)を重畳した加工画像を生成する(ステップS4)。また、画像生成部155は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内であることを報知する(ステップS5)。例えば、画像生成部155は、「シャッターボタンをタッチして撮影してください」というメッセージを、加工画像に重畳してディスプレイ11に表示させたり、音声として出力させたりする。
【0081】
画像取得部153は、画像生成装置1のユーザがシャッターボタン5(図1(b)を参照)をタッチしたことを契機として、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である撮像画像データを記憶部14に記憶させる(ステップS6)。
【0082】
画像生成部155は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でない場合、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す点線枠41(図1(a)を参照)を重畳した加工画像を生成する(ステップS7)。また、画像生成部155は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを報知する(ステップS8)。例えば、画像生成部155は、「カメラが近すぎます 腹部から遠ざけてください」というメッセージを、加工画像に重畳してディスプレイ11に表示させたり、音声として出力させたりする。画像取得部153は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す点線枠41及び接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内でないことを示す情報が表示されたら、ステップS1に戻り、再度撮像画像を取得する。
【0083】
画像生成装置1は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるまで、ステップS1からS3、ステップS7及びS8を繰り返す。このようにすることで、画像生成装置1は、接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である撮像画像を取得できる。
【0084】
[画像生成装置1の効果]
以上説明したとおり、画像生成装置1は、腹膜透析用のチューブ2が患者の腹部に接続されている接続部3を含む撮像画像におけるチューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内になるようにするための加工画像を生成する。その結果、画像生成装置1は、チューブ2の径又は接続部3の大きさが撮像画像の大きさに対して所定の範囲内である撮像画像を取得できるので、撮像画像における接続部3の大きさのばらつきを所定の範囲内にできる。これにより、評価者が患者の腹部の衛生状態を適切に評価できるようになる。
【0085】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0086】
1 画像生成装置
11 ディスプレイ
12 通信部
13 撮像部
14 記憶部
15 制御部
151 入力受付部
152 範囲決定部
153 画像取得部
154 形状特定部
155 画像生成部
2 チューブ
3 接続部
5 シャッターボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10