(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025117
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】樹脂製下枠部材
(51)【国際特許分類】
E06B 1/28 20060101AFI20240216BHJP
E06B 1/70 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
E06B1/28
E06B1/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128306
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】322003824
【氏名又は名称】パナソニックハウジングソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 結
(72)【発明者】
【氏名】吉村 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】内山 雅大
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011MA02
(57)【要約】
【課題】樹脂製下枠部材において、標準的な障子を支持する場合に下方への変形を抑制しながら、材料費及び工数の低減を図り、かつ、屋内外の断熱性を向上する。
【解決手段】下枠部材20は、上片21と、下片31と、屋内側片41と、屋外側片51とで囲まれて中空に構成される。上片には、外側障子を支持する外障子レール22と、内側障子を支持する内障子レール23とが設けられる。下片には、窓台上に載置される屋内下片32と、屋内下片の屋外側端から段落ち部34を介して、屋外側に延出する屋外下片36とが設けられる。外障子レールは、段落ち部より屋外側に設けられる。下枠部材20は、段落ち部と屋内下片との交差部である上角部39から、屋外側下方へ延在して、屋外下片に接続される第1リブ52と、上角部から、屋外側上方へ延在して、上片に接続される第2リブ54とを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口に設けられる窓枠であって、内側に外側障子及び内側障子が引き違い走行自在に装着可能に構成される窓枠の下端を形成する樹脂製下枠部材であって、
上片と、下片と、屋内側片と、屋外側片と、で囲まれて中空に構成され、
前記上片には、前記外側障子を支持する外障子レールと、前記内側障子を支持する内障子レールと、が設けられ、
前記下片には、窓台上に載置される屋内下片と、前記屋内下片の屋外側端から段落ち部を介して、屋外側に延出する屋外下片とが設けられ、
前記外障子レールは、前記段落ち部より屋外側に設けられ、
前記段落ち部と前記屋内下片との交差部である上角部から、屋外側下方へ延在して、前記屋外下片に接続される第1リブと、
前記上角部から、屋外側上方へ延在して、前記上片に接続される第2リブと、を備える、
樹脂製下枠部材。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブの前記屋外下片に接続される第1接続部は、前記外障子レールの見込み方向の中心線よりも屋内側に設けられ、
前記第2リブの前記上片に接続される第2接続部は、前記見込み方向について、前記外障子レールと一致する位置から前記段落ち部と一致する位置までの範囲に設けられる、
樹脂製下枠部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブ及び前記第2リブより屋外側において、両端が前記屋外下片と前記上片とに接続された第3リブを備え、
前記第3リブは、下方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第3リブは、前記屋外下片との接続位置で前記第1リブと接続され、前記上片との接続位置で前記第2リブと接続される、
樹脂製下枠部材。
【請求項5】
請求項1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブの前記屋外下片に接続される第1接続部は、前記外障子レールの見込み方向の中心線よりも屋内側であって、前記屋外下片の屋内側端から前記段落ち部の高さの1/2だけ屋外側に移動した位置より屋外側に設けられ、
前記第2リブの前記上片に接続される第2接続部は、前記見込み方向について、前記外障子レールと一致する位置から前記段落ち部と一致する位置までの範囲に設けられる、
樹脂製下枠部材。
【請求項6】
請求項5に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブ及び前記第2リブより屋外側において、両端が前記屋外下片と前記上片とに接続された第3リブを備え、
前記第3リブは、下方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
【請求項7】
請求項1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記内障子レール下方に設けられる縦リブが、前記上片と前記下片とに接続され、
前記上片及び前記下片において、前記屋内側片と前記縦リブとの間に、両端が接続された第4リブを備え、
前記第4リブは、上方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
【請求項8】
請求項7に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第4リブは、前記屋内側片と前記上片とで形成される第1コーナー部または第1コーナー部近傍と、前記縦リブと前記下片とで形成される第2コーナー部とを接続する、
樹脂製下枠部材。
【請求項9】
請求項7に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第4リブは、前記屋内側片と前記上片とで形成される第1コーナー部または第1コーナー部近傍と、前記下片において、前記縦リブと前記屋内側片との間の中央位置より屋外側とを接続する、
樹脂製下枠部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂製下枠部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂で形成された樹脂製窓枠が知られている。樹脂製窓枠は、建物の開口に設けられる。樹脂製窓枠は、アルミサッシフレームと比べて熱伝導率が低く、断熱性が高くなる。樹脂製窓枠では、内側に外側障子及び内側障子が引き違い走行自在に装着可能に構成される場合もある。このとき、樹脂製窓枠は、アルミサッシフレームより強度が低いので、壁の開口より外側に突出した部位に上側から障子の荷重が加わる場合に、下側に変形する可能性がある。このため、従来から、樹脂製窓枠の下端を形成する下枠部材の中空部や外側に補強金具を設けて、開口下側の窓台から突出した枠体の下方への変形を防止することが考えられる。
【0003】
特許文献1には、樹脂製窓枠の屋外側に遮蔽装置としてのシャッターを設ける構成が記載されている。シャッターは、外壁の壁パネルにシャッター枠が固定され、シャッター枠を上下開閉可能で上方に巻き上げ収容可能にシャッター面材が設けられる。さらに、シャッター枠は、樹脂製窓枠の下側で壁パネルに固定されると共に、シャッター下枠の上端に、樹脂製窓枠の下端を形成する窓下枠(下枠部材)が支持されている。これにより、窓下枠の垂れ下がりを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように樹脂製窓枠の下枠部材の中空部や外側に補強金具を設けて枠体の下方への変形を防止する場合には、標準的な構造の障子を支持する場合でも補強金具が必要となるので、補強金具の費用や金具の装着工数が嵩む原因となる。また、下枠部材の内部に、内部を仕切るリブがない場合には、断熱性を向上する面から改良の余地がある。さらに、上記のように下枠部材の中空部や外側に補強金具を設けた場合には、補強金具の熱伝導率が高いため、下枠部材の屋内側と屋外側との間で、補強金具を通じた伝熱がされやすくなる。これにより、屋内外の断熱性を向上する面から改良の余地がある。
【0006】
本開示の目的は、樹脂製窓枠の下端を形成する樹脂製下枠部材において、標準的な障子を支持する場合に下方への変形を抑制しながら、材料費及び工数の低減を図り、かつ、屋内外の断熱性を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の樹脂製下枠部材は、建物の開口に設けられる窓枠であって、内側に外側障子及び内側障子が引き違い走行自在に装着可能に構成される窓枠の下端を形成する樹脂製下枠部材であって、上片と、下片と、屋内側片と、屋外側片と、で囲まれて中空に構成され、上片には、外側障子を支持する外障子レールと、内側障子を支持する内障子レールと、が設けられ、下片には、窓台上に載置される屋内下片と、屋内下片の屋外側端から段落ち部を介して、屋外側に延出する屋外下片とが設けられ、外障子レールは、段落ち部より屋外側に設けられ、段落ち部と屋内下片との交差部である上角部から、屋外側下方へ延在して、屋外下片に接続される第1リブと、上角部から、屋外側上方へ延在して、上片に接続される第2リブと、を備える、樹脂製下枠部材である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る樹脂製下枠部材によれば、標準的な障子を支持する場合に下方への変形を抑制しながら、材料費及び工数の低減を図れ、かつ、屋内外の断熱性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態の樹脂製下枠部材を備える窓枠を室内側から見た斜視図である。
【
図4】
図2の窓枠を構成する下枠部材の長手方向一部の斜視図である。
【
図6】比較例の第1例の下枠部材において、
図5に対応する図である。
【
図7】比較例の第2例の下枠部材において、
図5に対応する図である。
【
図8】実施形態の別例の下枠部材において、
図5に対応する図である。
【
図9】実施形態の別例の下枠部材において、
図5に対応する図である。
【
図10】
図9に示す下枠部材において、水抜き経路を設けた構成を示す図である。
【
図11】
図9に示す下枠部材において、長手方向について
図10と異なる位置の断面図である。
【
図12】
図9に示す下枠部材において、防火窓取付用に内部に補強材を設けた構成を示す図である。
【
図13】実施形態の別例の下枠部材において、
図5に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本開示の実施形態を説明する。以下で説明する形状、材料及び個数は、説明のための例示であって、下枠部材を備える樹脂製窓枠の仕様に応じて適宜変更することができる。以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号を付して説明する。また、本文中の説明においては、必要に応じてそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0011】
図1は、実施形態の樹脂製下枠部材20を備える窓枠10を室内側から見た斜視図である。
図2は、窓枠10を室内側から見た正面図である。
図3は、窓枠10の分解図である。窓枠10は、建物の開口に設けられ、開口の下側には建物の躯体である窓台12が設けられる。窓台は、内壁によって室内側面が覆われる。窓枠10は、内側に
図2の左右方向に、引き違い走行自在に外側障子と、内側障子とが装着可能に構成される。窓枠10の左右方向は、窓枠10を屋内側から見た場合の左右方向である。以下、樹脂製下枠部材20は、下枠部材20と記載する。
【0012】
窓枠10は、樹脂製であり、上端の上枠部材14及び下端の下枠部材20と、左右方向両端の2つの側枠部材101,102とを、全体が枠状になるように結合して形成される。上枠部材14、下枠部材20、各側枠部材101,102は、それぞれ樹脂の押し出し成形によって、長手方向に中空部が連続するように形成される。上枠部材14、下枠部材20、及び各側枠部材101,102のそれぞれにおいて、窓枠10の各角部で隣り合う2つの部材の側面には長手方向に対し傾斜した傾斜面が形成され、互いの傾斜面が重なっている。このとき、隣り合う2つの部材の内側に略L字形のコーナー部材が挿入されることにより、2つの部材が直角に連結されてもよい。
【0013】
後述の
図5を参照して示すように、窓枠10の使用時には、屋外側の外側障子104と、屋内側の内側障子105と、外側障子104より屋外側の網戸106とが、それぞれ上枠部材14及び下枠部材20に、左右方向にスライド移動可能に支持される。各障子104,105は、框の内側にガラス面材が嵌め込まれて形成される。
【0014】
次に、
図4、
図5を用いて、各障子104,105と網戸106とを支持する下枠部材20を詳しく説明する。
図4は、下枠部材20の長手方向一部の斜視図である。
図5は、
図2のA-A断面図である。
【0015】
下枠部材20は、略見込み方向に延びる上片21及び下片31と、上片21及び下片31の屋内側端を接続する屋内側片41と、上片21及び下片31の屋外側端を接続する屋外側片51と、で囲まれて中空に構成される。上片21と、下片31と、屋内側片41と、屋外側片51とは、それぞれ窓枠10の左右方向に延びる略板状である。「見込み方向」は、窓枠10で支持される各障子104,105のガラス面材に対し直交する方向であり、
図5の左右方向である。
【0016】
上片21の見込み方向中間位置で、屋外側と屋内側とには、それぞれ外障子レール22と内障子レール23とが上方に立ち上がって形成される。各障子レール22,23は、断面が略矩形で左右方向に延びており、高さ方向中間に横リブが上下を仕切るように設けられている。外障子レール22の上端面には外側障子104が左右方向にスライド可能に支持される。下枠部材20の「左右方向」は、長手方向であり、窓枠10の左右方向と同じであって、
図5の紙面の表裏方向である。内障子レール23の上端面には内側障子105が左右方向にスライド可能に支持される。また、上片21の屋外側端部には、屋外側片51から連続するように、上方に立ち上がって網戸106を支持する網戸レール24が形成される。網戸レール24は、左右方向に延びる略板状である。
【0017】
さらに、上片21の屋内側端部には、屋内側片41から連続するように上方に立ち上がる屋内側突出部25が形成される。屋内側突出部25は、断面が扁平な略矩形であり、左右方向に延びている。また、屋内側片41の下端部には、下片31から屋内側に延びるように連続して、窓台12に固定される内鍔部42が形成される。
【0018】
下片31には、窓台12上に載置される屋内下片32と、屋内下片32の屋外側端から下方に向け、略直角に垂れ下がった段落ち部34を介して、屋外側に延出する屋外下片36とが設けられる。段落ち部34の下端には、窓台12の屋外側面に沿って、下側に延びるように連続した外鍔部37が設けられる。
【0019】
上記の外障子レール22は、段落ち部34より屋外側に設けられる。外鍔部37は、屋内側面に設けたリブを介して、または直接に、窓台12の屋外側面に突き当てられる。段落ち部34が、屋内側面に設けたリブを介して、または直接に、窓台12の屋外側面に突き当てられる。このため、外障子レール22と網戸レール24とは、窓台12より屋外側に突き出た位置に設けられ、それぞれ外側障子104と網戸106とから下方へ荷重が加わるので、それらの荷重に関わらず下枠部材20の下方への変形を防止することが求められる。一方、このために、下枠部材20の屋外側部分の内部に補強金具を設けて、剛性を高くすることが考えられるが、その場合には、補強金具の費用や金具の装着工数が嵩む原因となる。これにより、標準的な構造の障子、すなわち防火窓のような重量が大きい特別な障子以外の障子を支持する場合に、補強金具を設けることなく、下枠部材20の下側への変形を抑制することが望まれる。実施形態では、これらの不都合を防止するために、下枠部材20の内部に第1リブ52及び第2リブ54が設けられる。
【0020】
具体的には、下枠部材20の内部には、段落ち部34と屋内下片32との交差部である上角部39から、屋外側下方へ延在して、屋外下片36に接続される第1リブ52と、上角部39から、屋外側上方へ延在して、上片21に接続される第2リブ54とが設けられる。これにより、後述のように、標準的な障子を支持する場合に材料費及び工数の低減を図りながら下枠部材20の下方への変形を抑制でき、かつ、下枠部材20の屋内外の断熱性を向上できる。
【0021】
さらに、第1リブ52の屋外下片36に接続される第1接続部53は、外障子レール22の見込み方向の中心線よりも屋内側に設けられる。また、第2リブ54の上片21に接続される第2接続部55は、見込み方向について、外障子レール22と一致する位置から段落ち部34と一致する位置までの範囲に設けられる。これにより、後述のように、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0022】
また、本例の構成では、第2リブ54の上片21に接続される第2接続部55が、見込み方向について、外障子レール22と一致する位置に設けられる。これにより、外障子レール22に上側から加わった荷重が窓台12にさらに伝達されやすくなるので、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0023】
また、実施形態では、下枠部材20の内部に第3リブ56が設けられる。第3リブ56は、第1リブ52及び第2リブ54より屋外側に形成され、その両端が屋外下片36と上片21とに接続される。さらに、第3リブ56は、下方に向かって屋内側へ傾斜している。これにより、後述のように下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0024】
また、実施形態では、第3リブ56は、屋外下片36との接続位置で第1リブ52と接続され、上片21との接続位置で第2リブ54と接続される。これにより、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0025】
さらに、第3リブ56は、第2リブ54と同様に、屋外側上方へ延在しており、かつ、第2リブ54より屋外側に設けられる。これにより、後述のように、屋内外の断熱性をさらに向上できる。
【0026】
さらに、実施形態では、下枠部材20の内部の屋内側部分に、縦リブ58と第4リブ60とが設けられる。縦リブ58は、内障子レール23の下方に鉛直方向に延びるように設けられ、上片21と下片31とに接続される。縦リブ58の上片21との接続部は、内障子レール23の屋外側端と上片21との接続位置にある。なお、縦リブ58の上片21との接続部は、内障子レール23の屋外側端より屋内側から、内障子レール23の屋内側端と一致する位置までの間に設けられてもよい。
【0027】
さらに、第4リブ60は、上片21及び下片31において、屋内側片41と縦リブ58との間に、その両端が接続される。また、第4リブ60は、上方に向かって屋内側へ傾斜している。実施形態では、第4リブ60は、屋内側片41と上片21とで形成される第1コーナー部C1と、下片31において、縦リブ58と屋内側片41との間の中央位置L2より屋外側とを接続する。さらに、第4リブ60は、第1コーナー部C1と、縦リブ58及び下片31で形成される第2コーナー部C2とを接続する。これにより、後述のように下枠部材20の屋内側端部の剛性を高くできる。
【0028】
上記の下枠部材20によれば、下枠部材20の内部に、段落ち部34と屋内下片32との交差部である上角部39から、屋外側下方へ延在して、屋外下片36に接続される第1リブ52と、上角部39から、屋外側上方へ延在して、上片21に接続される第2リブ54とが設けられる。これにより、下枠部材20が標準的な障子を支持する場合に、下枠部材20の内部に設ける補強金具をなくすか、または少なくしながら、外障子レール22に外側障子104から下側に荷重が加わった場合の下枠部材20の下方への変形を抑制できる。このとき、外障子レール22に下方に加わった荷重を、第2リブ54を介して段落ち部34の角部に伝達できる。また、外障子レール22に下側に加わる荷重によって下枠部材20の屋外側部分が下方に変形する傾向となった場合でも、比較的に短い第1リブ52が上角部39から屋外下片36を吊り下げ支持するように構成されるので、下枠部材20の下方への変形を抑制できる。このとき、第1リブ52は、屋外下片36が下方に変形することを抑制し、第2リブ54は、上片21の段落ち部34より屋外側部分が下方に変形することを抑制する。このため、下枠部材20の下方への変形を抑制しながら、材料費の低減と、補強金具の装着に要する工数の低減を図れる。
【0029】
さらに、第1リブ52と第2リブ54とで、下枠部材20の内部が複数の空間に仕切られるので、下枠部材の内部にリブがない場合に比べて、下枠部材内の各空間での空気の対流が小さくなり、空気を介した熱交換も少なくなる。このため、第1リブ52及び第2リブ54を介して隣り合う空間同士の間での温度差が小さくなり、熱交換が行われにくくなる。これにより、下枠部材20の屋外側と屋内側との伝熱が抑制されるので、下枠部材20の断熱性を向上できる。さらに、実施形態では、第3リブ56,縦リブ58、及び第4リブ60も設けられるので、下枠部材20の内部においてリブにより仕切られる空間の数がさらに多くなる。このため、下枠部材20の屋外側と屋内側との伝熱がさらに抑制されるので、下枠部材20の断熱性をさらに向上できる。さらに、上記のように下枠部材20の内部に設ける補強金具をなくすか、または少なくできるので、屋内外の断熱性をさらに向上できる。
【0030】
また、一般的に、下枠部材が窓台12上に載置される屋内側下片と窓台12から突出した屋外側下片を有する窓枠においては(屋外の温度が屋内より高いときに)屋外側下方から屋内側上方への熱流が強く現れる。上記の下部部材20では、さらに、第2リブ54が屋外側上方へ延在して下枠部材20の内部を仕切っていて、第2リブ54がこの熱流を遮る方向に延在していることから、下枠部材20の屋内外の断熱性を効果的に向上できる。さらに、実施形態では、第3リブ56も屋外側上方へ延在して、下枠部材20の屋内外の断熱性をさらに向上できる。なお、この第2リブ54や第3リブ56による断熱性向上効果は熱流の方向とリブの方向との関係によってもたらされるため、下枠としての使用時だけでなく、同様の構造を縦枠や上枠として用いた場合にもその効果が発揮される。例えば、下枠部材と同様の構造を上枠として用いる場合には、下枠として用いる場合に対し、上下方向の関係が逆になる。また、下枠部材と同様の構造を縦枠として用いる場合には、下片が窓の開口に近い位置に配置される外周側片となり、上片が開口の内周側に離れて配置される内周側片となり、第2リブ及び第3リブが、外周側片から内周側片に向かって屋外側へ延在するように配置される。
【0031】
さらに、第1リブ52の屋外下片36に接続される第1接続部53は、外障子レール22の見込み方向の中心線L1よりも屋内側に設けられる。また、第2リブ54の上片21に接続される第2接続部55は、見込み方向について、外障子レール22と一致する位置から段落ち部34と一致する位置までの範囲に設けられる。これにより、第1リブ52の長さが小さくなり、屋外下片36が上からの荷重で下方に変位することをさらに抑制できる。また、第2リブ54の第2接続部55が外障子レール22により近い位置で上片21に接続されるので、外障子レール22に上側から加わった荷重が窓台12に伝達されやすくなる。これにより、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0032】
また、
図5に示すように、本例の構成では、第2リブ54の上片21に接続される第2接続部55が、見込み方向について、外障子レール22と一致する位置に設けられる。これにより、外障子レール22に上側から加わった荷重が窓台12にさらに伝達されやすくなるので、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0033】
また、実施形態では、下枠部材20の内部に第3リブ56が設けられる。第3リブ56は、第1リブ52及び第2リブ54より屋外側に形成され、その両端が屋外下片36と上片21とに接続される。さらに、第3リブ56は、下方に向かって屋内側へ傾斜している。これにより、外障子レール22に上側から加わった荷重で第1リブ52及び第2リブ54が下方に変形しようとする場合でも、第3リブ56がその変形の抵抗となることで、その変形を抑制できる。このとき、第3リブ56は、上片21と屋外下片36との間が潰れることを抑制するので、第1リブ52の下端及び第2リブ54の上端の間隔を維持しやすくなる。また、第3リブ56に外障子レール22から下方に加わる荷重を、第3リブ56と、屋外下片36の第1接続部53から段落ち部34までの間部分、及び第1リブ52とを介して、窓台12に効率よく伝達できる。これにより、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0034】
また、実施形態では、第3リブ56は、屋外下片36との接続位置で第1リブ52と接続され、上片21との接続位置で第2リブ54と接続される。これにより、第3リブ56は、第1リブ52の下端及び第2リブ54の上端の間隔をさらに維持しやすくなると共に、第3リブ56に外障子レール22から下方に加わる荷重を、第3リブ56と、屋外下片36の第1接続部53から段落ち部34までの間部分、及び第1リブ52とを介して、窓台12にさらに効率よく伝達できる。これにより、下枠部材20の下方への変形をさらに抑制できる。
【0035】
また、実施形態では、下枠部材20の内部の屋内側部分に、縦リブ58と第4リブ60とが設けられる。縦リブ58は、内障子レール23の下方に鉛直方向に延びるように設けられ、上片21と下片31とに接続される。さらに、第4リブ60は、上片21及び下片31において、屋内側片41と縦リブ58との間に、その両端が接続される。また、第4リブ60は、上方に向かって屋内側へ傾斜している。これにより、第4リブ60は、上片21、下片31、屋内側片41及び縦リブ58とで形成される断面矩形の構造が、屋内側片41及び縦リブ58が鉛直方向に対し同方向に傾斜した平行四辺形になるように変形することを抑制する。このため、下枠部材20の屋内側端部の剛性を高くできる。
【0036】
また、実施形態では、第4リブ60は、第1コーナー部C1と、下片31において、縦リブ58と屋内側片41との間の中央位置L2より屋外側とを接続する。これにより、下枠部材20の屋内側端部の剛性をより高くできる。さらに、実施形態では、第4リブ60は、第1コーナー部C1と第2コーナー部C2とを接続する。これにより、下枠部材20の屋内側端部の剛性をさらに高くできる。
【0037】
また、
図5のように、第2リブ54と第4リブ60とが上方に向かって間隔が広がるように鉛直方向に対し傾斜して、それぞれ上片21と屋内下片32とに接続される。これにより、外障子レール22に上側から加重が加わって、第2リブ54が屋外側に倒れるように変形する傾向となるときに、上片21の第2リブ54及び第4リブ60の接続部の間部分が突っ張る。これにより、外障子レール22に上側から加重が加わって、第2リブ54が屋外側に倒れるように変形することを、さらに抑制できる。
【0038】
図6は、比較例の第1例の下枠部材20aにおいて、
図5に対応する図である。
図6に示す下枠部材20aでは、
図1~
図5に示した実施形態と異なり、下枠部材20aの内部の屋内側突出部25と内障子レール23との間に第1縦リブ71が形成され、下枠部材20の内部の段落ち部34と外障子レール22との間に第2縦リブ72が形成される。また、第2縦リブ72の上端部から、屋外側下方に傾斜リブ73が延在しており、傾斜リブ73の下端が屋外下片36に接続される。屋外下片36と屋内下片32aとが段落ち部34を介して接続されることにより、下片31aが形成される。さらに、下枠部材20aの内部で、第1縦リブ71と第2縦リブ72との間に、左右方向に延びる補強金具108が設けられる。補強金具108は、断面が略平行四辺形であり、内部にリブが設けられる。
【0039】
上記の比較例の下枠部材20aでは、内部に補強金具108を設けない場合において、外側障子から外障子レール22に下方に荷重が加わった場合に、
図6の矢印αで示すように、下枠部材20aの屋外側端部が下方に変形する可能性がある。このために、比較例の下枠部材20aでは、内部に補強金具108を設けているが、補強金具108の費用や下枠部材20aに対するその装着工数が嵩む原因となる。
【0040】
図7は、比較例の第2例の下枠部材20bにおいて、
図5に対応する図である。
図7に示す下枠部材20bでは、
図1~
図5に示した実施形態と異なり、下枠部材20bの内部に複数の縦リブ74のみが形成される。また、屋外下片36の下面から外鍔部37の外側面に沿うように断面略L字形で左右方向に延びる補強金具109が取り付けられる。補強金具109の屋内側端に形成され、下方に延びる下方延出部110の下端には、屋内側に曲げられて、外鍔部37の下端と係合している。
【0041】
上記の比較例の第2例の下枠部材20bでは、下枠部材20bの下側に補強金具109が設けられるので、比較例の第1例と同様に、補強金具109の費用や下枠部材20bに対するその装着工数が嵩む原因となる。また、下枠部材20bでは、内部に縦リブ74のみが設けられる。また、比較例の第1例及び第2例の下枠部材20a、20bの場合には、補強金具108,109を設ける必要があるので、屋内外の断熱性を向上する面から改良の余地がある。
図1~
図5に示した実施形態の下枠部材20によれば、このような比較例の第1例及び第2例で生じる不都合を防止できる。
【0042】
図8は、実施形態の別例の下枠部材20cにおいて、
図5に対応する図である。本例の構成では、
図1~
図5の構成と異なり、屋内下片32bの縦リブ58より屋外側に、断面矩形で上方に突出する突部75が形成される。このため、突部75の下面には、窓台12(
図5)の上面に接触しない隙間が形成される。本例において、その他の構成及び作用は、
図1~
図5の構成と同様である。
【0043】
図9は、実施形態の別例の下枠部材20dにおいて、
図5に対応する図である。本例の構成では、
図8の構成と異なり、第3リブ56は、第1リブ52及び第2リブ54から屋外側に離れた位置に設けられる。このとき、第1リブ52の屋外下片36に接続される第1接続部53は、外障子レール22の見込み方向の中心線L1と屋外側片51との間の中央位置L3よりも屋内側であって、屋外下片36の屋内側端から段落ち部34の高さHの1/2だけ屋外側に移動した位置より屋外側(
図9の矢印βで示す範囲)に設けられる。
【0044】
さらに、第2リブ54の上片21に接続される第2接続部55は、見込み方向について、外障子レール22と一致する位置から段落ち部34と一致する位置までの範囲(
図9の矢印γで示す範囲)に設けられる。また、本例の場合も、上記の各実施形態と同様に、第1リブ52は、段落ち部34の上角部39から、屋外側下方へ延在して、屋外下片36に接続され、第2リブ54は、上角部39から、屋外側上方へ延在して、上片21に接続される。
【0045】
さらに、第3リブ56は、第1リブ52及び第2リブ54より屋外側において、両端が屋外下片36と上片21とに接続される。さらに、第4リブ60は、屋内側片41と上片21とで形成される第1コーナー部C1近傍であって、屋内側突出部25と見込み方向に一致する位置と、屋内下片32bにおいて、縦リブ58と屋内側片41との間の中央位置L2より屋外側とを接続する。さらに、第4リブ60の屋内下片32bとの接続位置は、第2コーナー部C2より屋内側に離れている。
【0046】
上記の下枠部材20dの場合でも、上記の各実施形態と同様に、第1リブ52が上角部39から屋外側下方へ延在して、屋外下片36に接続され、第2リブ54が上角部39から屋外側上方へ延在して、上片21に接続されるので、標準的な障子を支持する場合に材料費及び工数の低減を図りながら下枠部材20dの下方への変形を抑制でき、かつ、屋内外の断熱性を向上できる。
【0047】
さらに、第3リブ56が、上片21と屋外下片36との間が潰れることを抑制するので、第1リブ52の下端及び第2リブ54の上端の間隔を維持しやすくなる。また、第3リブ56に外障子レール22から下方に加わる荷重を、第3リブ56と、屋外下片36の第1接続部53から段落ち部34までの間部分及び第1リブ52とを介して、窓台12(
図5)に効率よく伝達できる。これにより、下枠部材20dの下方への変形をさらに抑制できる。
【0048】
さらに、本例の場合には、第3リブ56が、第1リブ52及び第2リブ54から屋外側に離れているので、下枠部材20dの上面及び内部の排水性を図りやすくなると共に、防火窓を支持する構造と共通の構造を用いることができる。また、第4リブ60の下片31との接続位置が、第2コーナー部C2より屋内側に離れているので、下枠部材20dの屋内側部分に防火窓を支持するための補強金具を配置しやすくなる。以下、これについて、
図10~
図12を用いて詳しく説明する。
【0049】
図10は、下枠部材20dにおいて、水抜き経路76を設けた構成を示している。
図11は、下枠部材20dにおいて、長手方向である左右方向について
図10と異なる位置の断面図である。
図10に示すように、下枠部材20dの左右方向(
図10の紙面の裏表方向)の一部には、上片21において、外障子レール22の屋内側端の接続部付近と、第3リブ56とを屋外側下方へ貫通するように、水抜き経路76が形成される。水抜き経路76は、例えば樹脂または金属により形成された筒状部材により形成される。
【0050】
図11に示すように、下枠部材20dにおいて、第3リブ56の下端と、屋外側片51の下端との、長手方向である左右方向において水抜き経路76と異なる位置には、見込み方向に貫通するように、水抜き穴78,79がそれぞれ形成される。このとき、屋外側片51の水抜き穴79は、屋外側から見込み方向に見えないように、外側に蓋が取り付けられ、蓋の屋外側に突出した部分の下端に排水穴が設けられてもよい。これにより、下枠部材20dの使用時に、下枠部材20の上面で、外障子レール22と内障子レール23との間に雨水が入り込んだ場合に、
図10の水抜き経路76と、
図11の屋外側片51に形成された水抜き穴79とを通じて、
図11に示すように下枠部材20の内部に溜まった水を外側に排出できる。このとき、水抜き経路76の上端部外周面と上片21の孔との隙間を通じて上側の雨水が、第1リブ52及び第2リブ54間に入り込んだ場合でも、
図11に示すように、第3リブ56の水抜き穴78と屋外側片51の水抜き穴79とによりこの雨水も屋外側に排出できる。
【0051】
また、水抜き穴78,79を形成する際には、下枠部材20の樹脂成形後に、ドリル等の穴開け工具を用いて、第3リブ56と屋外側片51とに、見込み方向に貫通するように、すなわち見込み方向に重畳するように、水抜き穴78,79が形成される。このとき、本例の構成では、第3リブ56の下端が、第1リブ52から屋外側に離れているので、第3リブ56の下端に水抜き穴78を形成するときに第3リブ56を貫通した穴開け工具の先端が第1リブ52に干渉することを防止できる。これにより、第3リブ56に水抜き穴78を見込み方向に形成することを容易に行える。
【0052】
一方、
図5に示したように、第3リブ56の下端が第1リブ52に接続される構成の場合には、第3リブ56の下端に、見込み方向に水抜き穴を形成することが、本例の構成に比べて困難である。
【0053】
図12は、
図9に示す下枠部材20dにおいて、防火窓取付用に内部に補強材を設けた構成を示している。本例の下枠部材20dは、防火窓を支持する窓枠を構成するために使用できる。具体的には、防火窓では、外側障子及び内側障子のそれぞれのガラス面材の側面または2枚のガラス面材の内部に金網が設けられる。これにより、外側障子及び内側障子の重量が増大する。このため、本例の下枠部材20dを、防火窓を支持する窓枠に使用する場合には、
図12に示すように、外障子レール22の内部、及び下枠部材20dの内部において、屋外側片51と第3リブ56との間、第3リブ56と第1リブ52及び第2リブ54の間、縦リブ58と第4リブ60との間に、それぞれ補強材80,81,82,83が設けられる。補強材80,81,82,83は、例えば金属により形成される補強金具であり、左右方向に延びている。
【0054】
また、外障子レール22の内部の補強材80と、下枠部材20dにおいてその下側の補強材82とは、ボルト等の締結部材により互いに結合される。下枠部材20dの奥外側部分の下側には、屋外下片36の下面と外鍔部37の外側面とに接触するように、断面略L字形で左右方向に延び、金属等からなる外側補強材84が配置される。そして、下枠部材20の内部の屋外側部分に設けられた補強材81,82と、外側補強材84とが、締結部材により結合される。さらに、下枠部材20の内部の屋内側部分に設けられた補強材83と、窓台12(
図5)とが、締結部材により結合される。このとき、本例の構成では、第3リブ56の下端が第1リブ52から屋外側に離れており、かつ、第3リブ56の上端が第2リブ54から屋外側に離れている。これにより、上片21と屋外下片36との間で、第3リブ56と第1リブ52及び第2リブ54との間に補強材82を配置することを容易に行える。このため、本例の下枠部材20dにおいて、防火窓を支持する構造と共通の構造を用いることができるので、下枠部材20dの製造コストの低減を図れる。
【0055】
さらに、第4リブ60の下端が第2コーナー部C2から屋内側に離れているので、上片21と屋内下片32との間で、縦リブ58と第4リブ60との間に補強材83を配置することも容易に行える。なお、縦リブ58と第4リブ60との間に補強材83を設けることなく、防火窓を支持する構造の強度を確保できるのであれば、第4リブの下端を第2コーナー部C2に接続して、補強材83を省略してもよい。
【0056】
一方、
図5に示したように第3リブ56の下端が第1リブ52に接続され、かつ、第4リブ60の下端が第2コーナー部C2に接続される構成の場合には、本例の場合に比べて、下枠部材20の内部に防火窓を支持するために必要な補強材を設けることが困難になる可能性がある。
図9~
図12の構成において、その他の構成は、
図1~
図5の構成と同様である。
【0057】
図13は、実施形態の別例の下枠部材20eにおいて、
図5に対応する図である。本例の構成では、
図9~
図12の構成において、屋内側片41の下端に接続される屋内下片32において、縦リブ58より屋外側に上方に突出する突部は形成されず、屋内下片32は左右方向(
図13の紙面の表裏方向)に長い平板状となっている。本例において、その他の構成及び作用は、
図9~
図12の構成と同様である。
【0058】
また、本発明者は、上記の各実施形態の下枠部材20,20c~20eの構造と、
図6の比較例の下枠部材20aの構造とを用いて、外障子レール22に外側障子から所定の荷重(40kgf)が下側に加わると仮定したときに、外障子レール22の上端及び屋外側片51の下端について、下方への変位を求める強度解析を行った。この結果、各実施形態のいずれの場合でも、内部に補強金具を設けることなく、
図6の比較例のように下枠部材20aの内部に補強金具108を設けた構成と同等以上の強度を確保でき、下方への変位を抑制できることを確認できた。
【0059】
上記で説明した本開示の構成は、以下の通りである。
(構成1)
建物の開口に設けられる窓枠であって、内側に外側障子及び内側障子が引き違い走行自在に装着可能に構成される窓枠の下端を形成する樹脂製下枠部材であって、
上片と、下片と、屋内側片と、屋外側片と、で囲まれて中空に構成され、
前記上片には、前記外側障子を支持する外障子レールと、前記内側障子を支持する内障子レールと、が設けられ、
前記下片には、窓台上に載置される屋内下片と、前記屋内下片の屋外側端から段落ち部を介して、屋外側に延出する屋外下片とが設けられ、
前記外障子レールは、前記段落ち部より屋外側に設けられ、
前記段落ち部と前記屋内下片との交差部である上角部から、屋外側下方へ延在して、前記屋外下片に接続される第1リブと、
前記上角部から、屋外側上方へ延在して、前記上片に接続される第2リブと、を備える、
樹脂製下枠部材。
(構成2)
構成1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブの前記屋外下片に接続される第1接続部は、前記外障子レールの見込み方向の中心線よりも屋内側に設けられ、
前記第2リブの前記上片に接続される第2接続部は、前記見込み方向について、前記外障子レールと一致する位置から前記段落ち部と一致する位置までの範囲に設けられる、
樹脂製下枠部材。
(構成3)
構成1または構成2に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブ及び前記第2リブより屋外側において、両端が前記屋外下片と前記上片とに接続された第3リブを備え、
前記第3リブは、下方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
(構成4)
構成3に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第3リブは、前記屋外下片との接続位置で前記第1リブと接続され、前記上片との接続位置で前記第2リブと接続される、
樹脂製下枠部材。
(構成5)
構成1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブの前記屋外下片に接続される第1接続部は、前記外障子レールの見込み方向の中心線よりも屋内側であって、前記屋外下片の屋内側端から前記段落ち部の高さの1/2だけ屋外側に移動した位置より屋外側に設けられ、
前記第2リブの前記上片に接続される第2接続部は、前記見込み方向について、前記外障子レールと一致する位置から前記段落ち部と一致する位置までの範囲に設けられる、
樹脂製下枠部材。
(構成6)
構成5に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第1リブ及び前記第2リブより屋外側において、両端が前記屋外下片と前記上片とに接続された第3リブを備え、
前記第3リブは、下方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
(構成7)
構成1から構成6のいずれか1に記載の樹脂製下枠部材において、
前記内障子レール下方に設けられる縦リブが、前記上片と前記下片とに接続され、
前記上片及び前記下片において、前記屋内側片と前記縦リブとの間に、両端が接続された第4リブを備え、
前記第4リブは、上方に向かって屋内側へ傾斜している、
樹脂製下枠部材。
(構成8)
構成7に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第4リブは、前記屋内側片と前記上片とで形成される第1コーナー部または第1コーナー部近傍と、前記縦リブと前記下片とで形成される第2コーナー部とを接続する、
樹脂製下枠部材。
(構成9)
構成7に記載の樹脂製下枠部材において、
前記第4リブは、前記屋内側片と前記上片とで形成される第1コーナー部または第1コーナー部近傍と、前記下片において、前記縦リブと前記屋内側片との間の中央位置より屋外側とを接続する、
樹脂製下枠部材。
【符号の説明】
【0060】
10 窓枠、12 窓台、14 上枠部材、20,20a~20e 樹脂製下枠部材(下枠部材)、21 上片、22 外障子レール、23 内障子レール、24 網戸レール、25 屋内側突出部、31 下片、32 屋内下片、34 段落ち部、36 屋外下片、37 外鍔部、39 上角部、41 屋内側片、42 内鍔部、51 屋外側片、52 第1リブ、53 第1接続部、54 第2リブ、55 第2接続部、56 第3リブ、58 縦リブ、60 第4リブ、71 第1縦リブ、72 第2縦リブ、73 傾斜リブ、74 縦リブ、75 突部、76 水抜き経路、78,79 水抜き穴、80,81,82,83 補強材、84 外側補強材、101,102 側枠部材、104 外側障子、105 内側障子、106 網戸、108,109 補強金具。