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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025128
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240216BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/165 101
B41J2/165 211
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128328
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】市川 翔平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 麻美
(72)【発明者】
【氏名】中村 文哉
(72)【発明者】
【氏名】三枝 一茂
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA10
2C056JA01
2C056JA13
2C056JC06
2C056JC13
2C056JC20
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】メンテナンスユニット又はキャップを容易に交換すること。
【解決手段】メンテナンスユニット(7)は本体筐体(11)に対して挿抜可能に設けられ、廃液チューブ(73)は、メンテナンスユニット(7)を本体筐体(11)の内部に装着された装着位置(B1)から、本体筐体(11)の外部へ抜き出した抜出位置(B2)へ移動させた状態において、第1廃液タンク(81)とメンテナンスユニット(7)とを接続可能な長さである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出部と、
前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップと、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプにより吸引された液体が流れる廃液チューブと、を有するメンテナンスユニットと、
前記廃液チューブが接続される第1接続部を有し、前記メンテナンスユニットから送られた液体を貯留する廃液貯留部と、を備え、
前記メンテナンスユニットは前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられ、
前記廃液チューブは、
前記メンテナンスユニットを前記本体筐体の内部に装着された装着位置から、前記本体筐体の外部へ抜き出した抜出位置へ移動させた状態において、前記廃液貯留部と前記メンテナンスユニットとを接続可能な長さである、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記メンテナンスユニットは、前記キャップ及び前記吸引ポンプを内部に有するユニット筐体を有し、
前記ユニット筐体の外部に引き出された前記廃液チューブの長さは、前記メンテナンスユニットの挿抜方向における前記第1接続部から前記本体筐体の外壁面までの長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記廃液チューブは、前記ユニット筐体の外部において、前記廃液チューブの径方向でかつ前記ユニット筐体に対して離れる方向に移動することが可能な自由移動部を有し、
前記自由移動部の長さは、前記メンテナンスユニットの挿抜方向における前記第1接続部から前記本体筐体の外壁面までの長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ユニット筐体は、前記ユニット筐体の外部に引き出された前記廃液チューブを前記ユニット筐体から離れないように固定する固定部を有し、
前記自由移動部は、前記固定部により前記ユニット筐体に固定された部分から前記廃液チューブの前記第1接続部側の端部までの領域であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記固定部は、前記挿抜方向において、前記第1接続部とは異なる位置に位置している、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1接続部は、前記挿抜方向において、前記固定部よりも前記本体筐体の外壁面側に位置している、
ことを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1接続部は、前記メンテナンスユニットの挿抜方向において、前記廃液貯留部に対して前記本体筐体の外壁面側に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記廃液チューブは、前記挿抜方向において、前記メンテナンスユニットを挿入する方向を向く前記ユニット筐体の面から引き出されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第1接続部は、前記装着位置に位置する前記メンテナンスユニットの前記ユニット筐体と対向する面に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記廃液貯留部は、前記本体筐体に対して固定されている第1廃液貯留部と、前記廃液貯留部からの廃液を貯留し、前記本体筐体に対して挿抜可能な第2廃液貯留部と、を有し、
前記第1廃液貯留部は、前記第1接続部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ユニット筐体は、前記装着位置において、前記廃液チューブの前記自由移動部を保持可能な保持部を有することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
本体筐体と、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出部と、
前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップと、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプと、前記キャップの第2接続部に接続し、前記吸引ポンプにより吸引された液体が流れる廃液チューブと、を有するメンテナンスユニットと、
前記廃液チューブが接続され、前記メンテナンスユニットから送られた液体を貯留する廃液貯留部と、を備え、
前記メンテナンスユニットの前記キャップは前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられ、
前記廃液チューブは、
前記キャップを前記本体筐体の内部に装着された装着位置から、前記本体筐体の外部へ抜き出した抜出位置へ移動させた状態において、前記キャップと接続可能な長さである、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項13】
前記ノズルは、第1ノズルと、第2ノズルとを有し、
前記キャップは、前記第1ノズルのノズル面を覆う第1キャップと、前記第2ノズルのノズル面を覆う第2キャップとを有し、
前記メンテナンスユニットは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルに対して、前記吸引ポンプにより液体を吸引する吸引状態、又は液体を吸引しない非吸引状態に切り替える切替機構を更に有し、
前記廃液チューブは、一端が前記第2接続部に接続し、他端が前記切替機構の第3接続部に接続される第1廃液チューブと、一端が前記切替機構に接続し、前記吸引ポンプを経由して、他端が前記廃液貯留部側に接続される第2廃液チューブと、を有し、
前記第1廃液チューブの長さは、前記キャップの挿抜方向における前記切替機構の前記第3接続部から前記本体筐体の外壁面まで長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を噴射するノズルが設けられているラインヘッドを封止するキャップ部材、及びラインヘッドのノズルから液体を吸引するための減圧ポンプ、を液体噴射装置から着脱可能な構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-175275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、様々な分野において装置の小型化・長寿命化が求められている。しかしながら、特許文献1のような液体噴射装置は、液体が流れる第1チューブをキャップ部材から取り外した後、又は液体が流れる第2チューブを減圧ポンプから取り外した後でなければ、キャップ部材又は減圧ポンプを液体噴射装置から着脱することができない。液体噴射装置を小型化した場合、液体噴射装置内に第1チューブ又は第2チューブを取り外すためのスペースを十分に確保することが難しくなる。そのため、キャップ部材又は減圧ポンプの交換が難しくなる。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンスユニット又はキャップを容易に交換することのできる液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の液体吐出装置は、本体筐体と、液体を吐出するノズルを有する液体吐出部と、前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップと、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプと、前記吸引ポンプにより吸引された液体が流れる廃液チューブと、を有するメンテナンスユニットと、前記廃液チューブが接続される第1接続部を有し、前記メンテナンスユニットから送られた液体を貯留する廃液貯留部と、を備える。前記メンテナンスユニットは前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられる。前記廃液チューブは、前記メンテナンスユニットを前記本体筐体の内部に装着された装着位置から、前記本体筐体の外部へ抜き出した抜出位置へ移動させた状態において、前記廃液貯留部と前記メンテナンスユニットとを接続可能な長さである。
【0007】
上記構成によれば、廃液チューブによりメンテナンスユニットと廃液貯留部とが接続されたまま、メンテナンスユニットを本体筐体の外部に抜き出すことができる。そのため、メンテナンスユニットを取り外した後のスペース、又は本体筐体の外部のスペースを利用して廃液チューブの接続の解除を行うことができる。これにより、ユーザはメンテナンスユニットを容易に交換することができる。
【0008】
本開示の液体吐出装置は、前記メンテナンスユニットは、前記キャップ及び前記吸引ポンプを内部に有するユニット筐体を有し、前記ユニット筐体の外部に引き出された前記廃液チューブの長さは、前記メンテナンスユニットの挿抜方向における前記第1接続部から前記本体筐体の外壁面までの長さよりも長い構成としてもよい。
【0009】
上記構成によれば、メンテナンスユニットを抜出位置まで移動させることができる。これにより、ユーザはメンテナンスユニットを容易に交換することができる。
【0010】
本開示の液体吐出装置は、前記廃液チューブは、前記ユニット筐体の外部において、前記廃液チューブの径方向でかつ前記ユニット筐体に対して離れる方向に移動することが可能な自由移動部を有し、前記自由移動部の長さは、前記メンテナンスユニットの挿抜方向における前記第1接続部から前記本体筐体の外壁面までの長さよりも長い、構成としてもよい。
【0011】
上記構成によれば、廃液チューブが自由移動部を有することにより、ユニット筐体の外部において、ユニット筐体に対する廃液チューブの移動が制限されることがない。これにより、廃液チューブによりメンテナンスユニットと廃液貯留部とが接続されたまま、メンテナンスユニットを本体筐体の外部に抜き出すことができる。
【0012】
本開示の液体吐出装置は、前記ユニット筐体は、前記ユニット筐体の外部に引き出された前記廃液チューブを前記ユニット筐体から離れないように固定する固定部を有し、前記自由移動部は、前記固定部により前記ユニット筐体に固定された部分から前記廃液チューブの前記第1接続部側の端部までの領域である構成としてもよい。
【0013】
上記構成によれば、ユニット筐体の外部に引き出された廃液チューブの一部がユニット筐体に対して固定される。そのため、廃液チューブの自由移動部の領域を制限することができる。これにより、装着位置における廃液チューブの撓みを軽減することができる。
【0014】
本開示の液体吐出装置は、前記固定部は、前記挿抜方向において、前記第1接続部とは異なる位置に位置している構成としてもよい。
【0015】
上記構成によれば、メンテナンスユニットが装着位置にある場合、廃液チューブは挿抜方向において張った状態とすることができる。これにより、撓んだ廃液チューブが他の部材と干渉することを防ぐことができる。
【0016】
本開示の液体吐出装置は、前記第1接続部は、前記挿抜方向において、前記固定部よりも前記本体筐体の外壁面側に位置している構成としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、挿抜方向における第1接続部から本体筐体の外壁面までの長さを短くすることができる。これにより、ユニット筐体の外部に引き出す廃液チューブの長さを短くすることができる。
【0018】
本開示の液体吐出装置は、前記第1接続部は、前記メンテナンスユニットの挿抜方向において、前記廃液貯留部に対して前記本体筐体の外壁面側に位置している構成としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1接続部と廃液チューブとの接続を解除するとき、ユーザの手の届きやすい本体筐体の外壁面側に第1接続部が位置している。これにより、ユーザは容易にメンテナンスユニットを交換することができる。
【0020】
本開示の液体吐出装置は、前記廃液チューブは、前記挿抜方向において、前記メンテナンスユニットを挿入する方向を向く前記ユニット筐体の面から引き出されている構成としてもよい。
【0021】
上記構成によれば、メンテナンスユニットが装着位置に位置するとき、本体筐体の内部側の空いたスペースに廃液チューブを収納することができる。これにより、廃液チューブが他の部材と干渉することを防ぐことができる。
【0022】
本開示の液体吐出装置は、前記第1接続部は、前記装着位置に位置する前記メンテナンスユニットの前記ユニット筐体と対向する面に設けられている構成としてもよい。
【0023】
上記構成によれば、第1接続部は、メンテナンスユニットを取り外した後のスペース内において、第1接続部における廃液チューブの接続を解除することができる。これにより、ユーザは容易にメンテナンスユニットを交換することができる。
【0024】
本開示の液体吐出装置は、前記廃液貯留部は、前記本体筐体に対して固定されている第1廃液貯留部と、前記廃液貯留部からの廃液を貯留し、前記本体筐体に対して挿抜可能な第2廃液貯留部と、を有し、前記第1廃液貯留部は、前記第1接続部を有する構成としてもよい。
【0025】
上記構成によれば、メンテナンスユニットからの廃液は、本体筐体に固定された第1廃液貯留部を経由して、第2廃液貯留部に溜められる。そのため、本体筐体から第2廃液貯留部を抜去する際、メンテナンスユニットからの廃液チューブを取り外す必要が無い。これにより、ユーザは容易に第2廃液貯留部を交換することができる。
【0026】
本開示の液体吐出装置は、前記ユニット筐体は、前記装着位置において、前記廃液チューブの前記自由移動部を保持可能な保持部を有する構成としてもよい。
【0027】
上記構成によれば、メンテナンスユニットが装着位置に位置しているとき、撓んだ廃液チューブを保持部において保持することが可能である。そのため、撓んだ廃液チューブが折れ曲がる等することがない。これにより、廃液チューブに流れる液体の流れが滞ることを軽減することができる。
【0028】
上記の課題を解決するために、本開示の液体吐出装置は、本体筐体と、液体を吐出するノズルを有する液体吐出部と、前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップと、前記ノズル内の液体を吸引する吸引ポンプと、前記キャップの第2接続部に接続し、前記吸引ポンプにより吸引された液体が流れる廃液チューブと、を有するメンテナンスユニットと、前記廃液チューブが接続され、前記メンテナンスユニットから送られた液体を貯留する廃液貯留部と、を備える。前記メンテナンスユニットの前記キャップは前記本体筐体に対して挿抜可能に設けられる。前記廃液チューブは、前記キャップを前記本体筐体の内部に装着された装着位置から、前記本体筐体の外部へ抜き出した抜出位置へ移動させた状態において、前記キャップと接続可能な長さである。
【0029】
上記構成によれば、廃液チューブによりキャップと吸引ポンプとが接続されたまま、キャップを本体筐体の外部に抜き出すことができる。そのため、廃液チューブの接続の解除を本体筐体の外部にて行うことができる。これにより、ユーザはキャップを容易に交換することができる。
【0030】
本開示の液体吐出装置は、前記ノズルは、第1ノズルと、第2ノズルとを有し、前記キャップは、前記第1ノズルのノズル面を覆う第1キャップと、前記第2ノズルのノズル面を覆う第2キャップとを有する。前記メンテナンスユニットは、前記第1ノズル及び前記第2ノズルに対して、前記吸引ポンプにより液体を吸引する吸引状態、又は液体を吸引しない非吸引状態に切り替える切替機構を更に有する。前記廃液チューブは、一端が前記第2接続部に接続し、他端が前記切替機構の第3接続部に接続される第1廃液チューブと、一端が前記切替機構に接続し、前記吸引ポンプを経由して、他端が前記廃液貯留部側に接続される第2廃液チューブと、を有する。前記第1廃液チューブの長さは、前記キャップの挿抜方向における前記切替機構の前記第3接続部から前記本体筐体の外壁面まで長さよりも長い構成としてもよい。
【0031】
上記構成によれば、キャップを抜出位置まで移動させることができる。これにより、ユーザはキャップを容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0032】
本開示の一態様によれば、メンテナンスユニット又はキャップを容易に交換することのできる液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本開示の実施形態1に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
図2】本開示の実施形態1に係るインクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
図3】本開示の実施形態1に係るインクジェットプリンタの内部構成を上方から見た平面図である。
図4図3に示す破線部分を拡大し、メンテナンスユニットが装着位置に位置する状態と、抜出位置に位置する状態とを示した概略図である。
図5】メンテナンスユニットの構成について示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態2に係るインクジェットプリンタの要部構成を示す概略図である。
図7図6に示すメンテナンスユニットから廃液チューブを省略したときの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
〔実施形態1〕
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0035】
(インクジェットプリンタの概略構成)
図1を参照して、インクジェットプリンタ1の概略構成について説明する。図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。図1に示すインクジェットプリンタ1は、液体吐出装置の一例である。以下の説明では、図1等に示すようにインクジェットプリンタ1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義し、開口20が設けられている側を前として前後方向を定義し、前方からインクジェットプリンタ1を視て左側を左として左右方向を定義する。なお、左右方向は後述するキャリッジ40(図2参照)の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0036】
図1に示すように、インクジェットプリンタは、本体筐体11とインクジェットプリンタ1の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として略直方体形状を形成している。
【0037】
本体筐体11の前面には、操作パネル13と、カートリッジカバー60と、が設けられている。操作パネル13は、各種操作ボタンおよび液晶表示部を有する。また、本体筐体11の前面には、開口20が形成されており、給送トレイ21および排出トレイ22は、本体筐体11の前面に形成された開口20を通じてインクジェットプリンタ1に対して着脱可能に設けられている。スキャナ筐体12は、シートPに記録された画像を読み取るスキャナを有している。
【0038】
本体筐体11の前面右側には、カートリッジカバー60が設けられている。カートリッジカバー60は、本体筐体11に対して、回動可能に設けられている。カートリッジカバー60の内部には、図3に示すように、カートリッジケース61に装着されたインクカートリッジ6が配置されている。4つのインクカートリッジ6Y,6M,6C,6Kには、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクが貯留されている。なお、カートリッジケース61に装着されるインクカートリッジ6の数は、複数の場合に限られず、1つのインクカートリッジ6が装着される構成であってもよい。
【0039】
(インクジェットプリンタの内部構成)
次に、インクジェットプリンタ1の内部構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、インクジェットプリンタ1の内部構成の概略を示す断面図である。図3は、インクジェットプリンタ1の内部構成を上方から見た平面図である。
【0040】
図2及び図3に示すように、インクジェットプリンタ1は、給送部3と、記録部4と、搬送機構5と、メンテナンスユニット7と、廃液タンク8と、制御装置100と、を備えている。
【0041】
図2に示すように、給送部3は、軸30と、給送アーム31と、給送ローラ32と、を有している。給送部3は、給送ローラ32の正回転によって、給送トレイ21に収容されたシートPを搬送路Rへ給送する。給送ローラ32は、給送アーム31の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム31は、インクジェットプリンタ1のフレームに支持された軸30に回動可能に支持されている。給送アーム31は、自重又はバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0042】
搬送路Rは、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材33で区画される領域にて湾曲し、記録部4の位置を経由して、排出トレイ22に至る経路である。
【0043】
給送ローラ32は、制御装置100により給送モータ(不図示)が駆動されると、給送トレイ21からシートPを1枚ずつ取り出す。給送トレイ21から取り出されたシートPは、搬送路Rに沿って送り出され、記録部4へと供給される。
【0044】
記録部4は、給送部3の上方に配置されている。記録部4は、キャリッジ40と、記録ヘッド41と、複数のノズル42と、プラテン43と、バッファタンク47と、を有している。図3に示すように、キャリッジ40は、プラテン43の上方に位置する2本のガイドレール14,15に取り付けられている。キャリッジ40は、プラテン43と対向する領域において、2本のガイドレール14,15に沿って、左右方向に移動可能に構成されている。キャリッジ40は、キャリッジモータ(不図示)の駆動力が伝達されて走査方向、すなわち、搬送されるシートPの幅方向に往復移動する。
【0045】
キャリッジ40には、記録ヘッド41が搭載されている。記録ヘッド41は、液体吐出部の一例である。図2に示すように、記録ヘッド41の下面には、複数のノズル42が設けられている。複数のノズル42は、前後方向に配列されることにより、ノズル列を形成する。図3に示すように、ノズル面421には、左右方向に並んだ4つのノズル列が形成されている。複数のノズル42は、バッファタンク47の内部と連通している。複数のノズル42からは、右側に位置するノズル列を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、ノズル列の配置順はこれに限られるものではなく、製品ごとに適宜変更されてもよい。記録ヘッド41は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル42からバッファタンク47に収容されたインクを吐出する。
【0046】
図3に示すように、バッファタンク47には、供給チューブ62を介してインクカートリッジ6からのインクが供給される。また、バッファタンク47には、チューブジョイント63が一体的に設けられている。チューブジョイント63には、4本の供給チューブ62の一端が、それぞれ着脱可能に接続されている。4本の供給チューブ62の他端は、4つのインクカートリッジ6Y,6M,6C,6Kにそれぞれ接続されている。
【0047】
図2に示すように、プラテン43は、記録ヘッド41の下方であり、ノズル42と対向する位置に配置されている。プラテン43は、左右方向におけるシートPの全長にわたって延びている。プラテン43は、記録処理時に、シートPを下側から支持する。プラテン43に支持されたシートPに対して、キャリッジ40が移動する過程において、記録ヘッド41がインク滴を選択的に吐出することによって、シートPに画像が記録される。
【0048】
シートPへの画像記録において、インクジェットプリンタ1の制御装置100は、シートPが停止している状態でキャリッジ40をシートPの幅方向に移動させながら記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させ、1行分の画像をシートPに記録させる記録処理と、搬送ローラ50および排出ローラ52を駆動させてシートPを所定の改行量だけ搬送する搬送処理とを繰り返す。
【0049】
搬送機構5は、前後方向において、キャリッジ40およびプラテン43を挟むように前後に配置された搬送ローラ50と、排出ローラ52と、を有する。搬送ローラ50の下方には、搬送ローラ50と対向する位置にピンチローラ51が設けられている。搬送ローラ50は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。ピンチローラ51は、搬送ローラ50の回転に伴って回転する。搬送ローラ50およびピンチローラ51が正回転することにより、シートPは、搬送ローラ50およびピンチローラ51に挟持されて、搬送路Rに沿って記録部4へと搬送される。
【0050】
排出ローラ52は、キャリッジ40およびプラテン43を挟んで搬送ローラ50よりも下流側に位置するように設けられている。排出ローラ52の上方には、排出ローラ52と対向する位置に拍車ローラ53が設けられている。排出ローラ52は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。拍車ローラ53は、排出ローラ52の回転に伴って回転する。排出ローラ52および拍車ローラ53が正回転することにより、シートPは、排出ローラ52および拍車ローラ53に挟持されて、排出トレイ22へ排出される。
【0051】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory
)、RAM(Random Access Memory)、および、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御装置100は、記録ヘッド41や搬送機構5の搬送モータ等のインクジェットプリンタ1を構成する様々な装置と接続されている。また、制御装置100は、操作パネル13、および、外部機器であるPC等とも接続されている。
【0052】
制御装置100は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPU及びASICにより、記録ヘッド41やメンテナンスユニット7等の動作を制御し、印刷処理等の各種処理を実行する。制御装置100は、PC等の外部機器から送信された印刷指令に基づいて、記録ヘッド41や搬送モータ等を制御して、シートPに画像を印刷する印刷処理を実行する。メンテナンスユニット7、および、フラッシング動作については後述する。なお、本実施形態では、制御装置100は、CPU、ROM、RAM、およびASICを備えたものとして説明するが、これに限るものではなく、制御装置100はいかなるハードウェア構成で実現してもよい。
【0053】
以上の構成において、インクジェットプリンタ1は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40とともに記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を印刷する。
【0054】
(メンテナンスユニットの構成)
図3図5を用いて、メンテナンスユニット7の構成について説明する。図4は、図3に示す破線部分を拡大し、メンテナンスユニット7が装着位置B1に位置する状態と、抜出位置B2に位置する状態とを示した概略図である。図5は、ンテナンスユニットの構成について示す斜視図である。なお、図4において、図面の見易さを考慮し、メンテナンスユニット7と廃液タンク8のみ図示している。また、図4において、メンテナンスユニット7の内部構成については記載を省略し、本体筐体11からカバー部材70を取り外した状態が示されている。
【0055】
メンテナンスユニット7は、記録ヘッド41のノズル42の吐出状態を回復させるためのメンテナンスを行う。メンテナンスユニット7の動作は、制御装置100により制御される。図3に示すように、メンテナンスユニット7は、インクジェットプリンタ1の右側に配置されている。メンテナンスユニット7は、カートリッジケース61よりも後方に配置されている。
【0056】
メンテナンスユニット7は、本体筐体11に対して挿抜可能に設けられている。本実施形態において、メンテナンスユニット7は、本体筐体11の左右方向における右側の側壁11Aから挿抜される。側壁11Aには、メンテナンスユニット7を本体筐体11の外部に抜去するための開口111が形成されている。開口111は、本体筐体11に対して取り外し可能なカバー部材70により開閉可能となっている。本実施形態において、メンテナンスユニット7の挿抜方向D1は、本体筐体11に対して左右方向である。なお、カバー部材70は、本体筐体11に対して回動可能な蓋部のような構成としてもよい。
【0057】
メンテナンスユニット7は、キャップ71と、吸引ポンプ72と、廃液チューブ73と、ユニット筐体74と、を有する。キャップ71は、ユニット筐体74の内部に配置される。キャップ71は、昇降機構により上方に向かって駆動する。キャップ71が上方に移動すると、ユニット筐体74の上方に形成された開口741(図5参照)を通り、待機位置Aにて待機する記録ヘッド41のノズル面421を覆う。記録ヘッド41の待機位置Aは、シートPに画像を記録しない時において、キャリッジ40が所定の位置に待機する位置である。キャップ71は、ノズル面421を覆うことでノズル42を封止する。
【0058】
吸引ポンプ72は、ユニット筐体74の内部に配置される。吸引ポンプ72は、キャップ71により封止されたノズル42内のインク(廃液)を吸引する。吸引ポンプ72は、チューブポンプである。吸引ポンプ72は、廃液チューブ73が巻回される円盤状の部材を有する。吸引ポンプ72の円盤状の部材は、駆動モータ(図示せず)により駆動される。円盤状の部材が駆動すると、ノズル42内のインクが吸引される。
【0059】
廃液チューブ73は、吸引ポンプ72により吸引された液体が流れるチューブである。廃液チューブ73の一端はキャップ71と接続され、廃液チューブ73の他端は廃液タンク8に接続される。なお、廃液チューブ73は、キャップ71と吸引ポンプ72との間において、吸引ポンプ72によりインクを吸引する吸引状態、又はインクを吸引しない非吸引状態に切り替える切替機構を、経由する構成であってもよい。また、廃液チューブ73は、吸引ポンプ72と凸部811に接続される端部との間において、継手を経由する構成であってもよい。
【0060】
廃液チューブ73の一部は、ユニット筐体74に形成された開口(図示せず)を介して、ユニット筐体74の内部からユニット筐体74の外部に引き出されている。図3において、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73を実線で示し、廃液チューブ73の内部に位置している廃液チューブ73を破線で示している。廃液チューブ73は、挿抜方向D1において、メンテナンスユニット7を挿入する方向を向くユニット筐体74の面からユニット筐体74の外部に引き出されている。
【0061】
上記構成によれば、メンテナンスユニット7が装着位置に位置するとき、本体筐体11の内部側の空いたスペースに廃液チューブ73を収納することができる。これにより、廃液チューブ73が他の部材と干渉することを防ぐことができる。
【0062】
なお、廃液チューブ73が引き出されるユニット筐体74の面はこれに限られない。廃液チューブ73は、(i)挿抜方向D1においてメンテナンスユニット7を抜き出す方向を向くユニット筐体74の右側面、(ii)第1廃液タンク81と対向するユニット筐体74の後面、(iii)挿抜方向D1に直交する方向において、第1廃液タンク81と対向するユニット筐体74の面とは反対側のユニット筐体74の前面、又は(iv)記録ヘッド41の待機位置A側を向くユニット筐体74の上面、からユニット筐体74の外部に引き出されてもよい。
【0063】
ユニット筐体74は、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73をユニット筐体74から離れないように固定する固定部75を有する。本実施形態において、固定部75は、廃液チューブ73が引き出されるユニット筐体74の開口に設けられている。廃液チューブ73は、ユニット筐体74の開口部分において、ユニット筐体74から離れない状態であり、且つ廃液チューブ73が折れ曲がる等しないように廃液チューブ73の姿勢が固定された状態である。
【0064】
図4に示すように、メンテナンスユニット7を本体筐体11の内部に装着された装着位置B1から、本体筐体11の外部へ抜き出した抜出位置B2へ移動させた状態において、廃液チューブ73の長さは第1廃液タンク81とメンテナンスユニット7とを接続可能な長さである。より詳細には、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73の長さは、挿抜方向D1における凸部811から本体筐体11の側壁11Aの外壁面までの長さL1よりも長い。換言すると、廃液チューブ73の長さが長さL1よりも長ければ、メンテナンスユニット7を装着位置B1から、抜出位置B2へ移動させることが可能である。なお、図4において、メンテナンスユニット7が装着位置B1に位置しているときの廃液チューブ73は色が濃い実線にて示され、メンテナンスユニット7が抜出位置B2に位置しているときの廃液チューブ73は色が薄い実線にて示されている。
【0065】
廃液チューブ73は、ユニット筐体74の外部において、廃液チューブ73の径方向でかつユニット筐体74に対して離れる方向に移動することが可能な自由移動部73Aを有している。即ち、自由移動部73Aは、メンテナンスユニット7の挿抜時において、ユニット筐体74に対して離れる方向又は近づく方向に自由に移動することが可能な廃液チューブ73の部分である。図4に示すように、メンテナンスユニット7が装着位置B1から抜出位置B2に移動したとき、廃液チューブ73の自由移動部73Aはユニット筐体74に対して離れる方向に移動する。
【0066】
廃液チューブ73の自由移動部73Aの長さは、長さL1よりも長い。廃液チューブ73が自由移動部73Aを有することにより、ユニット筐体74の外部において、ユニット筐体74に対する廃液チューブ73の移動が制限されることがない。これにより、廃液チューブ73によりメンテナンスユニット7と廃液タンク8とが接続されたまま、メンテナンスユニット7を本体筐体11の外部に抜き出すことができる。本実施形態において、廃液チューブ73の自由移動部73Aは、ユニット筐体74が有する固定部75によりユニット筐体74に固定された部分から廃液チューブ73の第2端部までの領域である。
【0067】
なお、固定部75をユニット筐体74の外壁面に設け、固定部75が設けられた外壁面に対して廃液チューブ73が固定される構成であってもよい。また、ユニット筐体74は固定部75を有さない構成としてもよい。この場合、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73が自由移動部73Aを構成する。また、廃液チューブ73は、ユニット筐体74の開口から、ユニット筐体74内に収納されている廃液チューブ73がユニット筐体74の外部に引き出される構成としてもよい。
【0068】
上記構成によれば、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73の一部がユニット筐体74に対して固定される。そのため、廃液チューブ73の自由移動部73Aの領域を制限することができる。これにより、装着位置における廃液チューブ73の撓みを軽減することができる。
【0069】
次に、図5を参照して、ユニット筐体74が有する保持部76について説明する。図5に示すように、ユニット筐体74は、装着位置において、廃液チューブ73の自由移動部73Aを保持可能な保持部76を有する。自由移動部73Aは保持部76に保持されることにより、廃液チューブ73の自由移動部73Aの姿勢が所定の姿勢に保たれる。即ち、廃液チューブ73内のインクの流れが滞らないような廃液チューブ73の姿勢、又は撓んだ廃液チューブ73が他の部材と干渉しないような廃液チューブ73の姿勢に保たれる。保持部76は、一例として、廃液チューブ73を引っ掛けることが可能な爪、又は廃液チューブ73を嵌めこむことが可能な溝などの構成が挙げられる。なお、保持部76は、メンテナンスユニット7の挿抜時において、ユーザにより廃液チューブ73の姿勢保持させる及び姿勢保持を解除することができる構成である。
【0070】
図5には、ユニット筐体74に対して廃液チューブ73が保持されている状態、及びユニット筐体74に対して廃液チューブ73が保持されていない状態が示されている。図5の左側に示めされたメンテナンスユニット7では、廃液チューブ73が保持部76に保持されている。一方、図5の右側に示めされたメンテナンスユニット7では、保持部76に廃液チューブ73が保持されていない。そのため、廃液チューブ73の自由移動部73Aは、ユニット筐体74に対して離れる方向に移動することが可能である。
【0071】
上記構成によれば、メンテナンスユニット7が装着位置B1に位置しているとき、撓んだ廃液チューブ73を保持部76において保持することが可能である。そのため、撓んだ廃液チューブ73が折れ曲がる等することがない。これにより、廃液チューブ73に流れる液体の流れが滞ることを軽減することができる。
【0072】
(廃液タンクの構成)
図3及び図4を参照して、廃液貯留部の一例である廃液タンク8の構成について説明する。廃液タンク8は、メンテナンスユニット7により吸引されたインクを貯留するためのタンクである。廃液タンク8は、第1廃液貯留部の一例である第1廃液タンク81と、第2廃液貯留部の一例である第2廃液タンク82とを有する。
【0073】
第1廃液タンク81は、本体筐体11に対して固定されている。第1廃液タンク81は、メンテナンスユニット7から送られてきたインクを貯留する。第1廃液タンク81の内部には、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームが配置されてもよい。
【0074】
第1廃液タンク81は、メンテナンスユニット7の廃液チューブ73が接続される凸部811を有している。凸部811は、第1接続部の一例である。図4の符号Xで示す部分には、廃液チューブ73を取り外した状態の凸部811を拡大した図が示されている。凸部811は、円筒状に形成され、第1廃液タンク81の外部に向かって突出する。廃液チューブ73の端部が凸部811に嵌合することにより、メンテナンスユニット7からのインクが第1廃液タンク81に貯留される。なお、廃液チューブ73を第1廃液タンク81に接続する構成は、これに限られない。液体が貯留される第1廃液タンク81の内部空間と、第1廃液タンク81の外部とを繋ぐ貫通孔を第1廃液タンクに形成し、その貫通孔に廃液チューブ73を嵌め込むことにより廃液チューブ73を第1廃液タンク81に接続する構成としてもよい。
【0075】
凸部811は、装着位置に位置するメンテナンスユニット7のユニット筐体74と対向する凸部811の面に設けられている。凸部811は、挿抜方向において、固定部75とは異なる位置に位置し、固定部75よりも本体筐体11の外壁面側に位置している。凸部811は、挿抜方向において、第1廃液タンク81に対して本体筐体11の側壁11Aの外壁面側に位置している。
【0076】
上記構成によれば、メンテナンスユニット7が装着位置B1にある場合、廃液チューブ73は挿抜方向D1において張った状態とすることができる。これにより、撓んだ廃液チューブ73が他の部材と干渉することを防ぐことができる。
【0077】
上記構成によれば、挿抜方向D1における凸部811から本体筐体11の外壁面までの長さL1を短くすることができる。これにより、ユニット筐体74の外部に引き出す廃液チューブ73の長さを短くすることができる。
【0078】
上記構成によれば、凸部811は、メンテナンスユニット7を取り外した後のスペース内において、凸部811における廃液チューブ73の接続を解除することができる。これにより、ユーザは容易にメンテナンスユニット7を交換することができる。
【0079】
また、上記構成によれば、凸部811と廃液チューブ73との接続を解除するとき、ユーザの手の届きやすい本体筐体11の外壁面側に凸部811が位置している。これにより、ユーザは容易にメンテナンスユニット7を交換することができる。
【0080】
第2廃液タンク82は、第1廃液タンク81から送られてきたインクを貯留する。第2廃液タンク82の内部には、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームが配置されてもよい。第2廃液タンク82は、接続部83により第1廃液タンク81と接続している。接続部83は、第1廃液タンク81からのインクを第2廃液タンク82に送るための部分である。接続部83は、(i)第1廃液タンク81と、第2廃液タンク82とを接続する廃液チューブ、又は(ii)第1廃液タンク81のフォームと第2廃液タンク82のフォームとが当接する当接部により、構成される。なお、第2廃液タンク82は、第1廃液タンク81から流れてきたインク滴を受けるための開口が形成される構成であってもよい。このような構成によれば、接続部83を設ける必要がない。
【0081】
第2廃液タンク82は、本体筐体11に対して挿抜可能である。本体筐体11の側壁11Aには、タンク交換部80が設けられている。タンク交換部80は、本体筐体11の側壁11Aに形成された第2廃液タンク82を挿抜するための開口113を開閉する。タンク交換部80は、本体筐体11に対して、回動可能な蓋部により構成されており、蓋部を開閉することにより、本体筐体11に対して第2廃液タンク82の挿抜が可能となるように構成されている。
【0082】
なお、タンク交換部80は、蓋部を開閉する構成に限定するものではない。例えば、第2廃液タンク82と、蓋部を有する第2廃液タンク82の保持部76と、により本体筐体11に対して着脱可能な第2廃液タンク82ユニットを挿抜する構成であってもよい。この場合、第2廃液タンク82ユニットを本体筐体11から抜き取ると、タンク交換部80には第2廃液タンク82ユニットの形状に対応する開口が露出する。また、露出した開口113に対して廃液タンクユニットを挿入すると、第2廃液タンク82ユニットが有する蓋部により、露出した開口113は塞がれる。
【0083】
上記構成によれば、メンテナンスユニット7からのインクは、本体筐体11に固定された第1廃液タンク81を経由して、第2廃液タンク82に溜められる。そのため、本体筐体11から第2廃液タンク82を抜去する際、メンテナンスユニット7からの廃液チューブ73を取り外す必要が無い。これにより、ユーザは容易に第2廃液タンク82を交換することができる。
【0084】
(メンテナンスユニット交換の流れ)
ユーザは、装着位置B1に位置するメンテナンスユニット7を抜出位置B2まで抜き出す。廃液チューブ73が保持部76に保持されているときは、ユーザは、装着位置B1において、又は抜き出す途中において保持部76による廃液チューブ73の保持を解除する。その後、抜出位置B2までメンテナンスユニット7を移動させる。メンテナンスユニット7を抜出位置B2に位置させることにより、ユーザは装着位置B1にできたスペースに手を入れて作業を行うことができる。ユーザは、装着位置B1にできたスペースに手を入れて、凸部811と廃液チューブ73との嵌合を解除する。その後、新たなメンテナンスユニット7に交換する。
【0085】
なお、本実施形態において、メンテナンスユニット7の交換時、第1廃液タンク81側において、廃液チューブ73の接続を解除する構成について説明したが、これに限られない。メンテナンスユニット7側において、廃液チューブ73の接続を解除する構成としてもよい。この場合、メンテナンスユニット7のユニット筐体74には、第1廃液タンクから続く廃液チューブ73が嵌合する凸部が設けられる。ユーザは、抜出位置B2に位置するメンテナンスユニット7の凸部から廃液チューブ73の嵌合を解除して、メンテナンスユニット7の交換を行う。
【0086】
上記構成によれば、廃液チューブ73によりメンテナンスユニット7と廃液貯留部とが接続されたまま、メンテナンスユニット7を本体筐体11の外部に抜き出すことができる。そのため、メンテナンスユニット7を取り外した後のスペース、又は本体筐体11の外部のスペースを利用して廃液チューブ73の接続の解除を行うことができる。これにより、ユーザはメンテナンスユニット7を容易に交換することができる。
【0087】
また、ユニット筐体74の外部に引き出された廃液チューブ73の長さは長さL1よりも長いため、メンテナンスユニット7を抜出位置B2まで移動させることができる。これにより、ユーザはメンテナンスユニット7を容易に交換することができる。
【0088】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、図6及び図7を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図6は、インクジェットプリンタ1Aの要部構成を示す概略図である。図7は、図6に示すメンテナンスユニット7Aから廃液チューブ731、732を省略したときの構成を示す概略図である。実施形態2におけるインクジェットプリンタ1Aの構成は、実施形態1のインクジェットプリンタ1の構成と比較して、キャップ71Aを交換する点において異なる。
【0089】
図6に示すように、メンテナンスユニット7Aは、キャップ71Aと、吸引ポンプ72と、第1廃液チューブ731と、第2廃液チューブ732と、ユニット筐体74Aと、切替機構77とを有する。ユニット筐体74Aは、本体筐体11に対して固定されていてもよいし、本体筐体11に対して挿抜可能に設けられてもよい。
【0090】
キャップ71Aは、第1キャップ711、第2キャップ712、及び排気キャップ713と、を有する。第1キャップ711は、ブラック以外のカラー(イエロー、シアン、マゼンタ)のインクを吐出するノズル42のノズル面421を覆うキャップである。第2キャップ712は、ブラックのインクを吐出するノズル42のノズル面421を覆うキャップである。排気キャップ713は、バッファタンク47内のインク流路から空気を排出するバッファタンク47の排気口(図示せず)を覆うキャップである。図7に示すように、キャップ71Aは、第1廃液チューブ731が接続される凸部710A~710Cを有する。凸部710A~710Cは、第2接続部の一例である。凸部710A~710Cは、実施形態1において説明した凸部811と同様の構成である。なお、以下の説明において、ブラック以外のカラーのインクを吐出するノズル42を第1ノズル42Aと称し、ブラックのインクを吐出するノズル42を第2ノズル42Bと称する。
【0091】
図6に示すように、キャップ71Aは、本体筐体11に対して挿抜可能に設けられている。キャップ71Aは、本体筐体11の上壁11Bに形成された開口112から挿抜される。本実施形態において、キャップ71Aの挿抜方向D2は、本体筐体11に対して上下方向である。
【0092】
切替機構77は、第1ノズル42A、及び第2ノズル42Bに対して、吸引ポンプ72によりインクを吸引する吸引状態、又はインクを吸引しない非吸引状態に切り替える機構である。切替機構77は、制御装置100により制御され、第1ノズル42A及び/又は第2ノズル42Bから選択的にインクを吸引する。また、切替機構77は、バッファタンク47の排気口に対して、吸引ポンプ72により空気を吸引する吸引状態、又は空気を吸引しない非吸引状態に切り替える機構でもある。切替機構77は、制御装置100による制御により、バッファタンク47の排気口から必要に応じて空気を吸引する。図7に示すように、切替機構77は、第1廃液チューブ731が接続される凸部771と、第2廃液チューブ732が接続される凸部772とを有している。凸部771は、第3接続部の一例である。また、凸部772は、第2廃液チューブ732が接続される接続部としての一例である。凸部771及び凸部772は、実施形態1において説明した凸部811と同様の構成である。
【0093】
図6に示すように、第1廃液チューブ731は、一端がキャップ71Aの凸部710に接続され、他端が切替機構77の凸部771と接続されるチューブである。本実施形態において、第1廃液チューブ731は、複数の第1廃液チューブ731A~Cにより構成されている。第1廃液チューブ731Aは、キャップ71Aの第1キャップ711が有する凸部710Aと接続される。第1廃液チューブ731Bは、キャップ71Aの第2キャップ712が有する凸部710Bと接続される。第1廃液チューブ731Cは、キャップ71Aの排気キャップ713が有する凸部710Cと接続される。
【0094】
第1廃液チューブ731は、キャップ71Aを本体筐体11の内部に装着された装着位置C1から、本体筐体11の外部へ抜き出した抜出位置C2へ移動させた状態において、キャップ71Aと接続可能な長さである。より詳細には、第1廃液チューブ731の長さは、挿抜方向D2における凸部771から本体筐体11の上壁11Bの外壁面まで長さL2よりも長い。換言すると、第1廃液チューブ731の長さが長さL2よりも長ければ、キャップ71Aを装着位置C1から、抜出位置C2へ移動させることが可能である。なお、図6において、キャップ71Aが装着位置C1に位置しているときの第1廃液チューブ731は実線にて示され、キャップ71Aが抜出位置C2に位置しているときの第1廃液チューブ731は破線にて示されている。
【0095】
第2廃液チューブ732は、一端が切替機構77の凸部772と接続され、他端が第1廃液タンク81の凸部811と接続されるチューブである。第2廃液チューブ732は、途中に吸引ポンプ72を経由する。
【0096】
(キャップ交換の流れ)
ユーザは、装着位置C1に位置するキャップ71Aを抜出位置C2まで抜き出す。その後、ユーザは、キャップ71Aの凸部710と第1廃液チューブ731との接続を解除する。その後、新たなキャップ71Aに交換する。なお、本実施形態において、キャップ71Aの交換時、吸引ポンプ72側において、第1廃液チューブ731の接続を解除する構成であってもよい。即ち、切替機構77の凸部771と第1廃液チューブ731との接続を解除してもよい。
【0097】
上記構成によれば、第1廃液チューブ731によりキャップ71Aと吸引ポンプ72とが接続されたまま、キャップ71Aを本体筐体11の外部に抜き出すことができる。そのため、第1廃液チューブ731の接続の解除を本体筐体11の外部にて行うことができる。これにより、ユーザはキャップ71Aを容易に交換することができる。また、上記構成によれば、第1廃液チューブ731の長さは長さL2よりも長いため、キャップを抜出位置まで移動させることができる。これにより、ユーザはキャップを容易に交換することができる。
【0098】
(付記的事項)
本願において、挿抜方向は、装着位置から抜出位置に向かう直線的な方向とする。挿抜方向には、装着位置から抜出位置に向かう途中、又は抜出位置から装着位置に向かう途中において、メンテナンスユニット又はキャップの姿勢変化のための移動方向は含まないものとする。一例を挙げると、挿抜方向にメンテナンスユニットを移動させる途中において、メンテナンスユニットを回転させることで装着位置又は抜出位置にメンテナンスユニットが位置させることができる場合、姿勢変化に相当するメンテナンスユニットの回転方向は本願の挿抜方向には含まれない。
【0099】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1、1A インクジェットプリンタ
7、7A メンテナンスユニット
8 廃液タンク
11 本体筐体
41 記録ヘッド
71、71A キャップ
72 吸引ポンプ
73 廃液チューブ
74、74A ユニット筐体
81 第1廃液タンク
82 第2廃液タンク
100 制御装置
811 凸部
B1、C1 装着位置
B2、C2 抜出位置
D1、D2 挿抜方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7