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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002513
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】区画装置
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/04 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E01F13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101739
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 正博
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101EA05
2D101FA13
2D101FA25
2D101FA27
2D101FB16
2D101HA09
(57)【要約】
【課題】テープ状の区画材を、区画を要する範囲に丁度良く合わせて、任意の高さで堅固に設置することが可能になる区画装置を提供すること。
【解決手段】振動や強風に対し位置ずれし難く持ち運び可能な重量の土台11のポール立設穴11hに対しポール12の下端部をねじ込んで立設し、ポール12の上端部から下端部に渡り一定の間隔で複数形成した円環状の溝12Mのうち、任意の高さの溝12Mに対して円板状の区画材支持部材13をポール嵌め込み用凹部13cを嵌め込んで取り付ける。円環状の本体ケースを有する巻取式区画材14を、ポール挿通孔14Hにポール12を挿通させることでポール12に取り付け、区画材支持部材13に当接した位置で支持し、巻取式区画材14から引き出した区画材15のフック15Fを、区画すべき線上に設置した他の区画装置1の巻取式区画材14の区画材取付けリング14Rに引っ掛けて取り付ける。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台と、
前記土台に対し立設されるポールと、
前記ポールを挿通させる挿通孔を形成した円環状の本体ケースを有し、前記挿通孔に前記ポールを挿通させた状態で、テープ状の区画材を前記本体ケースの外周側面から前記ポールの長さ方向に直交する方向に繰り出し巻き取り可能にして内蔵する巻取式区画材と、
前記ポールの長さ方向の複数の位置に、前記長さ方向に直交する方向に形成された溝と、
前記溝に対し嵌め込まれ、前記ポールを挿通させた前記巻取式区画材を、前記本体ケースの下面が当接した位置で支持する区画材支持部材と、
前記巻取式区画材の前記本体ケースの外周側面に設けられ、他の前記巻取式区画材から繰り出された前記テープ状の区画材の先端を係止可能な区画材取付けリングと、
を備える区画装置。
【請求項2】
前記区画材取付けリングは、前記本体ケースの外周側面の四方の面にそれぞれ折り畳み可能に設けられる、請求項1に記載の区画装置。
【請求項3】
前記テープ状の区画材の先端に設けられ、前記区画材取付けリングに引っ掛けて係止するためのフックを備える、請求項1または請求項2に記載の区画装置。
【請求項4】
前記区画材支持部材は、円板の中心部から半径方向に次第に広がる幅で切り欠いて形成されたポール嵌め込み用凹部を有し、
前記ポール嵌め込み用凹部の前記円板の中心部に対応する部分の内径は、前記ポールの溝の部分の直径と等しいか狭く形成され、
前記区画材支持部材は、前記ポールの溝に嵌め込んだ状態で、前記区画材支持部材の弾性によって前記ポールの溝を挟持する、
請求項1に記載の区画装置。
【請求項5】
前記土台は、表面の中央に前記ポールを垂直に立設するための雌ねじ部を形成したポール立設穴を備え、
前記ポールは、一端部に前記土台の前記雌ねじ部にねじ込んで立設するための雄ねじ部を備える、
請求項1に記載の区画装置。
【請求項6】
土台と、
前記土台に対し立設されるポールと、
前記ポールの長さ方向の複数の位置に、前記長さ方向に直交する方向に環状に形成された溝と、
平面半月状の本体ケースを有し、テープ状の区画材を前記本体ケースの弦の部分に隣接する外周側面から繰り出し巻き取り可能にして内蔵する巻取式区画材と、
平面円環状且つ縦断面台形状で上端部より下端部の外径が広く、平面の中央に前記ポールを挿通させる挿通孔を有し、前記挿通孔の内壁に、前記ポールの環状の溝に内周部分が嵌まり込むOリングが取り付けられた区画材支持部材と、
前記巻取式区画材を着脱自在に載置する載置板と、前記載置板の外周側面に一体化され前記区画材支持部材の上端部の外径よりも広く下端部の外径よりも狭い内径を有する円環状の載置板支持部と備え、前記ポールを前記挿通孔に挿通させて前記ポールに取り付けられた前記区画材支持部材の外周面に前記円環状の前記載置板支持部が嵌って支持された状態で前記載置板を前記ポールの長さ方向に直交する方向に水平に支持する区画材載置板と、
前記載置板の表面に前記巻取式区画材を載置した状態で前記巻取式区画材の本体ケースの側面を四方向から互いに離間して囲むように立設され、他の前記載置板に載置された他の前記巻取式区画材から繰り出された前記テープ状の区画材の先端を係止可能な囲み壁と、
を備える区画装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、区画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
資材置場、安全通路などにおいて区画整理を行う際、円錐形状のカラーコーン(登録商標)と当該カラーコーンの頂部間に架け渡される棒状のコーンバーを使用して区画を行うことが一般的に知られている。
【0003】
市販のカラーコーンとコーンバーを使用する場合、コーンバーの長さが1.5mで固定されているため、区画の寸法がコーンバーの長さに依存されてしまう。
【0004】
このため、区画の設置を、必要な区画の広さに丁度良く合わせて微調整することができない。また広範囲を区画する場合、区画資材であるカラーコーンおよびコーンバーともに数多く用意する必要があり、保管するのに広い場所が取られたり、運搬するのに多大な労力が掛かったりするなどの問題がある。
【0005】
従来、パーティションスタンド間にバー部材を係止して空間を区画するパーティションであって、不使用時にはバー部材をパーティションスタンド内に収納可能でコンパクトに保管可能なパーティションが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、進入禁止区域の境界に設置するポール間に橋渡しするベルトを、ポールに着脱自在に装着できる構造の取付具に引き出し・巻き込み自在に収容することで、ポールの任意の高さの位置にベルトを簡単に装着できる区画用ベルトが考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
また、本体の内部に巻取リールをゼンマイばねによって付勢して配設し、巻取リールに巻回された仕切テープを導出口から導出すると共に、導出口を覆う蓋体を備え、仕切テープの先端部を蓋体に係着し、本体および蓋体にそれぞれコーン体に対する係止手段を設け、本体と蓋体とを適宜間隔を離してコーン体に係止することにより仕切テープがコーン体間に張設されるようにした仕切テープ張設用具が考えられている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-303602号公報
【特許文献2】特開平11-036671号公報
【特許文献3】特開2018-021410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の区画用ベルトでは、進入禁止区域の境界に設置するポール間に、任意の高さで、且つ、引き出し・巻き込み可能な長さでベルトを装着できるものの、ポールに対しては取付具を単に帯状のバンドを巻いて装着するだけであるため、例えば振動や風雨などで現場の環境が悪い場合、取付具が降下しベルトの高さを維持できなくなる恐れがある。
【0010】
従来の仕切テープ張設用具では、適宜間隔を離したコーン体間に当該適宜の長さで仕切テープを張設できるものの、張設用具はコーン体の頂部に掛けて係止するため、仕切テープを張設する高さはコーン体の高さに依存し任意の高さで張設できない。またコーン体では振動や強風に対して仕切テープを堅固に設置できない。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、テープ状の区画材を、区画を要する範囲に丁度良く合わせて、任意の高さで堅固に設置することが可能になる区画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態の区画装置は、
土台と、
前記土台に対し立設されるポールと、
前記ポールを挿通させる挿通孔を形成した円環状の本体ケースを有し、前記挿通孔に前記ポールを挿通させた状態で、テープ状の区画材を前記本体ケースの外周側面から前記ポールの長さ方向に直交する方向に繰り出し巻き取り可能にして内蔵する巻取式区画材と、
前記ポールの長さ方向の複数の位置に、前記長さ方向に直交する方向に形成された溝と、
前記溝に対し嵌め込まれ、前記ポールを挿通させた前記巻取式区画材を、前記本体ケースの下面が当接した位置で支持する区画材支持部材と、
前記巻取式区画材の前記本体ケースの外周側面に設けられ、他の前記巻取式区画材から繰り出された前記テープ状の区画材の先端を係止可能な区画材取付けリングと、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の区画装置1の全体的な外観構成を示す側面図。
図2】区画装置1が備える土台11の構成を示す図であり、同図(A1)は丸型の土台11の平面図、同図(A2)はそのA-A線断面図、同図(B1)は角型の土台11Aの平面図、同図(B2)はそのB-B線断面図。
図3】区画装置1が備えるポール12の構成を示す側面図。
図4】区画装置1が備える区画材支持部材13の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのC-C線断面図。
図5】区画装置1が備える巻取式区画材14の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのD矢視側面図。
図6】区画装置1を3つ以上組み合わせて区画を行なう場合の外観構成を示す側面図。
図7】第2実施形態の区画装置2が備える区画材支持部材21の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのE矢視側面図、同図(C)はそのF-F線断面図。
図8】区画装置2が備える区画材載置板22および巻取式区画材23の構成を示す図であり、同図(A1)は巻取式区画材23を載置した区画材載置板22の平面図、同図(A2)はそのG矢視側面図、同図(B1)は巻取式区画材23の平面図、同図(B2)はそのH矢視側面図。
図9】区画装置2を3つ以上組み合わせて区画を行なう場合の外観構成を示す側面図。
図10図9に対応する区画装置2の外観構成を示す平面図。
図11】区画装置2が備える巻取式区画材23のテープ状の区画材24の他の実施例を示す外観図であり、同図(A)はその側面図、同図(B)はその平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態の区画装置について、図面を参照して説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の区画装置1の全体的な外観構成を示す側面図である。
【0016】
区画装置1は、土台11と、ポール12と、区画材支持部材13と、巻取式区画材14とを備える。
【0017】
図2は、区画装置1が備える土台11の構成を示す図であり、同図(A1)は丸型の土台11の平面図、同図(A2)はそのA-A線断面図、同図(B1)は角型の土台11Aの平面図、同図(B2)はそのB-B線断面図である。
【0018】
土台11(11A)は、例えば区画を要する範囲に沿った外側の少なくとも2箇所に設置され、幅Wは300mm程度で、表面の中央にポール12を垂直に立設するための雌ねじ部11nを形成したポール立設穴11hを備える。
【0019】
図2(A1)(A2)で示す丸型の土台11は、例えば硬質プラスチックまたは金属を材料とし、振動や強風に対して位置ずれし難く且つ持ち運び可能な重量(例えば5kg)を持って構成される。
【0020】
図2(B1)(B2)で示す角型の土台11Aは、例えば硬質プラスチックを材料とし、中空の内部に水を注入して溜めることで振動や強風に対して位置ずれし難くするための注水口11Wを有して構成される。
【0021】
図3は、区画装置1が備えるポール12の構成を示す側面図である。
【0022】
ポール12は、高さ(長さ)Hが1800mm程度の円筒形状の棒であって、下端部に土台11(11A)の雌ねじ部11nにねじ込んで立設するための雄ねじ部12sを有し、またその側面には、上端部から下端部に渡り一定の間隔(例えば300mm)で水平に(ポール12の長さ方向に直交する方向に)複数形成した円環状の溝12M…を備える。溝12Mには、区画材支持部材13が水平に嵌め込まれて取り付けられる。
【0023】
図4は、区画装置1が備える区画材支持部材13の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのC-C線断面図である。
【0024】
区画材支持部材13は、図4(A)に示すように、例えばプラスチックを材料とする円板を基本形状とし、当該円板の中心部から半径方向に次第に広がる幅で切り欠いたように形成したポール12の溝12Mに嵌め込んで取り付けるためのポール嵌め込み用凹部13cを有する。ポール嵌め込み用凹部13cの頂点部分13bすなわち円板の中心部に対応する部分(13b)の内径は、ポール12の溝12Mの部分の直径と等しいか若干狭く形成され、ポール12の溝12Mに嵌め込んだ状態で、区画材支持部材13(例えばプラスチック)の弾性によってポール12の溝12Mを強く挟持するように構成される。
【0025】
なお、ポール嵌め込み用凹部13cの頂点部分13bの内面には、区画材支持部材13の材料(例えばプラスチック)よりも摩擦力の大きいゴムなどの弾性材を取り付け、ポール12の溝12Mに取り付けた区画材支持部材13が滑り難く外れ難いように構成される。
【0026】
図5は、区画装置1が備える巻取式区画材14の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのD矢視側面図である。
【0027】
巻取式区画材14は、図5(A)に示すように、中心にポール12を挿通させてポール12に取り付けるためのポール挿通孔14Hを形成した円環状の本体ケース(14)を有し、本体ケース(14)の内部にはその円環に沿った状態で、例えばぜんまい型の巻き取りばねおよび巻き取りばねに基端を接続したテープ状の区画材15が内蔵される。
【0028】
本体ケース(14)に内蔵されるテープ状の区画材15は、例えば、縦幅30~50mm、長さ5mで、未使用時は巻き取りばねにより巻き取られて本体ケース(14)に収容され、本体ケース(14)の外周側面に縦に形成したスリット状のテープ導出口14Sから、矢印Xに示すように、ユーザが先端を掴んで引き出すことで、巻き取りばねのばね力に抗して外部に繰り出される。区画材15の先端にはフック15Fが取り付けられる。
【0029】
なお、テープ状の区画材15は、対候性、柔軟性のある薄い金属または合成繊維などにより構成される。
【0030】
また、本体ケース(14)の外周側面には、例えばその四方の面に、他の巻取式区画材14から繰り出された区画材15のフック15Fを引っ掛けて取り付けるための(フック15Fを係止可能な)区画材取付けリング14Rを、本体ケース(14)の外周側面に沿って折り畳み可能に設ける。
【0031】
(区画装置1の組み立て)
このような、土台11と、ポール12と、区画材支持部材13と、巻取式区画材14とを備えた区画装置1を使用して区画を行なう場合、例えば図1に示すように、先ず、土台11(11A)を、区画を要する範囲に沿った外側の少なくとも2箇所に設置し、各土台11のポール立設穴11hにそれぞれポール12をその下端部からねじ込んで立設する。
【0032】
次に、各ポール12それぞれの任意の高さの溝12Mに対して、区画材支持部材13をそのポール嵌め込み用凹部13cを嵌め込んで取り付け、巻取式区画材14をそのポール挿通孔14Hにポール12をその先端部側から挿通させることでポール12に取り付ける。この際、巻取式区画材14は、自重によりポール12に沿って降下し、その下面が区画材支持部材13に当接した位置で支持される。
【0033】
そして、一方のポール12(図1では左側のポール12)に取り付けた巻取式区画材14のテープ導出口14Sから、矢印xに示すようにテープ状の区画材15を引き出し、引き出した区画材15の先端のフック15Fを、他方のポール12(図1では右側のポール12)に取り付けた巻取式区画材14の区画材取付けリング14Rに引っ掛けて取り付ける。
【0034】
これにより、図1に示すように、各ポール12間に張設したテープ状の区画材15を境界として、その手前側と向こう側とを区画できる。
【0035】
図6は、区画装置1を3つ以上組み合わせて区画を行なう場合の外観構成を示す側面図である。
【0036】
例えば、区画装置1の区画材15の繰り出し可能な長さ(例えば5m)を超えて直線状の区画が必要な場合、または区画の対象とする範囲の周縁が曲がっている場合、またはある区画装置1を基点に2方向以上に仕切りが必要な場合、図6(A)(B)(C)に示すように、区画装置1を3つ以上組み合わせて区画を行なう。
【0037】
ここで、ある区画装置1を基点に3方向に仕切りが必要な場合の一例について説明する。
【0038】
例えば図6(B)に示すように、基点となる区画装置1のポール12に対して、2つ以上の巻取式区画材14を重ねて取り付け、下段の巻取式区画材14において、図6(A)に示す第1方向の区画装置1の巻取式区画材14から繰り出された区画材15のフック15Fを同第1方向に面した区画材取付けリング14Rに取り付け、また、下段の巻取式区画材14から繰り出した区画材15のフック15Fを図6(C)に示す第2方向の区画装置1の巻取式区画材14の区画材取付けリング14Rに取り付けることで、基点となる区画装置1(図6(B))から2方向が仕切られる。
【0039】
そして、図6(B)に示す基点の区画装置1に取り付けた上段の巻取式区画材14から矢印yに示すように繰り出した区画材15のフック15Fを、任意の第3方向(例えば図示の奥側)に設置した区画装置1(図示せず)の巻取式区画材14の区画材取付けリング14Rに取り付けることで、基点の区画装置1(図6(B))から3方向が仕切られる。
【0040】
なお、任意の第3方向(図示の奥側)に設置した図示しない区画装置1の巻取式区画材14が、必要な仕切りを構成する上で、基点の区画装置1(図6(B))の方向に区画材15を繰り出してよい場合には、同第3方向から繰り出した区画材15のフック15Fを基点の区画装置1(図6(B))の図示奥側の区画材取付けリング14Rに取り付ければよいので、当該基点の区画装置1(図6(B))において巻取式区画材14を重ねて取り付ける必要なく3方向が仕切られる。
【0041】
このように、区画装置1を3つ以上組み合わせたり、そのうちある区画装置1には2つ以上の巻取式区画材14を取り付けて同区画装置1から異なる複数の方向に設置した他の区画装置1へ区画材15を繰り出して張設したりすることで、隣接する2つの範囲の区画やある範囲を囲む区画が行なえるのは勿論、例えばある範囲を囲んだ区画の内側を複数に分割して区画するなど、多様な区画の形態に対応できる。
【0042】
(第1実施形態のまとめ)
第1実施形態の区画装置1によれば、振動や強風に対して位置ずれし難く且つ持ち運び可能な重量を持って構成される土台11(11A)のポール立設穴11hに対して、ポール12の下端部をねじ込んで立設し、ポール12の上端部から下端部に渡り一定の間隔で水平に複数形成した円環状の溝12Mのうち、任意の高さの溝12Mに対して、円板状の区画材支持部材13をそのポール嵌め込み用凹部13cを嵌め込んで取り付ける。そして、円環状の本体ケースを有する巻取式区画材14を、ポール挿通孔14Hにポール12を挿通させることでポール12に取り付け、区画材支持部材13に当接した位置で支持し、巻取式区画材14から引き出した区画材15のフック15Fを、区画すべき線上に設置した他の区画装置1の巻取式区画材14の区画材取付けリング14Rに引っ掛けて取り付ける。
【0043】
例えば振動や風雨などで現場の環境が悪い場合であっても、適宜の高さで取り付けた巻取式区画材14および適宜の長さで張設したテープ状の区画材15を維持できる。
【0044】
よって、テープ状の区画材を、区画を要する範囲に丁度良く合わせて、任意の高さで堅固に設置することが可能になる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態の区画装置2(図9図10参照)は、第1実施形態の区画装置1の土台11(11A)およびポール12に変更は無く、第1実施形態の区画装置1の円盤状の区画材支持部材13を、縦断面台形状の区画材支持部材21(図7参照)に変更し、また、第1実施形態の円環状の本体ケースを有する巻取式区画材14を、区画材載置板22および平面半月状の本体ケースを有する巻取式区画材23(図8参照)に変更して構成する。
【0046】
図7は、第2実施形態の区画装置2が備える区画材支持部材21の構成を示す図であり、同図(A)は平面図、同図(B)はそのE矢視側面図、同図(C)はそのF-F線断面図である。
【0047】
区画材支持部材21は、図7(A)に示すように平面円環状、図7(B)に示すように縦断面台形状であって、平面の中央にポール12を挿通させるポール挿通孔21hを有し、上端部から下端部に掛けて外径を広げて構成される。
【0048】
ポール挿通孔21hの内壁には、高さ方向で中央付近の位置に、円環状のOリング21rを取り付けるためのOリング取付溝21kが水平に形成され、Oリング取付溝21kに取り付けたOリング21rの内周部分がポール挿通孔21hの内壁から弾性を持って環状に突出するように構成される。
【0049】
区画材支持部材21は、そのポール挿通孔21hにポール12を挿通させて当該ポール12の任意の高さの溝12MにOリング12rの内周部分を嵌め込ませることで、ポール12上の任意の高さの位置に、ずれる恐れなく、容易且つ確実に取り付けられる。
【0050】
図8は、区画装置2が備える区画材載置板22および巻取式区画材23の構成を示す図であり、同図(A1)は巻取式区画材23を載置した区画材載置板22の平面図、同図(A2)はそのG矢視側面図、同図(B1)は巻取式区画材23の平面図、同図(B2)はそのH矢視側面図である。
【0051】
区画材載置板22は、巻取式区画材23を着脱自在に載置する平面矩形状の載置板22Bと、載置板22Bをポール12に対して取り付けて水平(ポール12に直交する方向)に支持するための円環状の載置板支持部22Rを有する。
【0052】
載置板支持部22Rは、その円環状の孔の内径が区画材支持部材21の上端部の外径よりも広く下端部の外径よりも狭く形成され、区画材支持部材21を取り付けたポール12をその上端部から挿通させることで、区画材支持部材21の外周面に嵌って支持されるもので、載置板支持部22Rの外周側面に載置板22Bの外周側面が接続一体化されて形成されることで、載置板22Bはポール12に対し水平に支持される。
【0053】
また載置板22Bには、巻取式区画材23を載置するその表面の中央部を、当該巻取式区画材23の本体ケース(23)の側面に対応させて載置板22Bの矩形に沿った四方向から互いに離間して囲むための囲み壁22a~22dが一体に立設される。
【0054】
巻取式区画材23は、平面半月状の本体ケース(23)を有し、本体ケース(23)の内部にはその円弧に沿った状態で、例えばぜんまい型の巻き取りばねおよび巻き取りばねに基端を接続したテープ状の区画材24が内蔵される。
【0055】
本体ケース(23)に内蔵されるテープ状の区画材24は、例えば、縦幅30~50mm、長さ5mで、未使用時は巻き取りばねにより巻き取られて本体ケース(23)に収容され、本体ケース(23)の弦の部分に隣接する外周側面に縦に形成したスリット状のテープ導出口23Sから、矢印Xに示すように、ユーザが先端を掴んで引き出すことで、巻き取りばねのばね力に抗して外部に繰り出される。区画材24の先端にはテープ状の区画材24に対してL字を成すフック24Fが取り付けられる。
【0056】
巻取式区画材23は、その半月状の本体ケース(23)の弦の部分に相当する側面を、区画材載置板22の囲み壁22a~22dの何れかに沿わせて当該囲み壁22a~22dの内側(載置板22Bの中央部)に載置することで、載置板22Bの矩形の辺に平行な四方向のうちの何れかの方向に区画材24を引き出すことができる。
【0057】
(区画装置2の組み立て)
図9は、区画装置2を3つ以上組み合わせて区画を行なう場合の外観構成を示す側面図である。
【0058】
図10は、図9に対応する区画装置2の外観構成を示す平面図である。
【0059】
先ず、図9に示す区画装置2のうち、図9(A)(B)に示す左の2つの組み合わせを仮定して説明する。
【0060】
土台11と、ポール12と、区画材支持部材21と、区画材載置板22と、巻取式区画材23とを備えた区画装置2を使用して区画を行なう場合、先ず、第1実施形態と同様に、土台11(11A)を、区画を要する範囲に沿った外側の少なくとも2箇所に設置し、各土台11のポール立設穴11hにそれぞれポール12をその下端部からねじ込んで立設する。
【0061】
次に、区画材支持部材21をそのポール挿通孔21h(図7参照)にポール12をその先端部側から挿通させることでポール12に取り付けると共に、当該ポール12の任意の高さの溝12Mに対して、ポール挿通孔21hの内壁に突出させたOリング21rを嵌め込んで取り付ける。
【0062】
次に、区画材載置板22をその載置板支持部22Rにポール12をその先端部側から挿通させることでポール12に取り付ける。この際、区画材載置板22は、自重によりポール12に沿って降下し、その載置板支持部22Rが区画材支持部材21に嵌った位置で支持される。
【0063】
そして、一方のポール12(図9(A)、図10(A)のポール12)に取り付けた区画材載置板22に載置した巻取式区画材23から、矢印xに示すようにテープ状の区画材24を引き出し、引き出した区画材24の先端のフック24Fを、他方のポール12(図9(B)、図10(B)のポール12)に取り付けた区画材載置板22の最寄りの囲み壁22aに引っ掛けて取り付ける(フック24Fを係止する)。
【0064】
これにより、各ポール12間(図9(A)(B)間、図10(A)(B)間)に張設したテープ状の区画材24を境界として、その手前側と向こう側とを区画できる。
【0065】
次に、例えば、区画装置2の区画材24の繰り出し可能な長さ(例えば5m)を超えて直線状の区画が必要な場合、または区画の対象とする範囲の周縁が曲がっている場合、またはある区画装置2を基点に2方向以上に仕切りが必要な場合、第1実施形態と同様に、図9(A)(B)(C)に示すように、区画装置2を3つ以上組み合わせて区画を行なう。
【0066】
ここで、ある区画装置2を基点に3方向に仕切りが必要な場合の一例について説明する。
【0067】
例えば図9(B)、図10(B)に示すように、基点となる区画装置2のポール12に対して、2つ以上の区画材載置板22をその載置板支持部22Rを重ねることで取り付け、下段の区画材載置板22において、図9(A)、図10(A)に示す第1方向の区画装置2の区画材載置板22に載置した巻取式区画材23から繰り出された区画材24のフック24Fを同第1方向に面した最寄りの囲み壁22aに取り付け、また、下段の区画材載置板22に載置した巻取式区画材23から繰り出した区画材24のフック24Fを、図9(C)、図10(C)に示す第2方向の区画装置2の区画材載置板22の最寄りの囲み壁22aに取り付けることで、基点となる区画装置2(図9(B)、図10(B))から2方向が仕切られる。
【0068】
そして、図9(B)、図10(B)に示す基点の区画装置2に取り付けた上段の区画材載置板22に載置した巻取式区画材23から図10(B)の矢印yに示すように繰り出した区画材24のフック24Fを、任意の第3方向(例えば図9では図示奥側、図10では図示上方)に設置した区画装置2(図示せず)の区画材載置板22の最寄りの囲み壁(例えば22c)に取り付けることで、基点の区画装置2(図9(B)、図10(B))から3方向が仕切られる。
【0069】
なお、第1実施形態と同様に、任意の第3方向(図9では図示奥側、図10では図示上方)に設置した図示しない区画装置2の区画材載置板22に載置した巻取式区画材23が、必要な仕切りを構成する上で、基点の区画装置1(図9(B)、図10(B))の方向に区画材24を繰り出してよい場合には、同第3方向から繰り出した区画材24のフック24Fを基点の区画装置2(図9(B)、図10(B))の上段の区画材載置板22の最寄りの囲み壁(例えば22d)に取り付ければよいので、当該基点の区画装置2(図9(B)、図10(B))の区画材載置板22に巻取式区画材23を載置する必要なく3方向が仕切られる。
【0070】
このように、区画装置2を3つ以上組み合わせたり、そのうちある区画装置2には2つ以上の区画材載置板22および巻取式区画材23を取り付けて同区画装置2から異なる複数の方向に設置した他の区画装置2へ区画材24を繰り出して張設したりすることで、第1実施形態と同様に、隣接する2つの範囲の区画やある範囲を囲む区画が行なえるのは勿論、例えばある範囲を囲んだ区画の内側を複数に分割して区画するなど、多様な区画の形態に対応できる。
【0071】
図11は、区画装置2が備える巻取式区画材23のテープ状の区画材24の他の実施例を示す外観図であり、同図(A)はその側面図、同図(B)はその平面図である。
【0072】
他の実施例のテープ状の区画材24では、図8で示した区画材24の先端のフック24Fの基端に対応して折り曲げ線FLを設け、当該フック24Fを折り曲げ線FLを境に反転して折り曲げ可能に構成する。
【0073】
また、区画材24のフック24Fの先端部に形成した第1ボルト孔24h1と、当該フック24Fを反転して折り曲げた状態での第1ボルト孔24h1に対応する位置に形成した第2ボルト孔24h2とを使用して、折り曲げた区画材24のフック24Fを、区画した先の区画装置2が備える区画材載置板22の最寄りの囲み壁(22a~22dの何れか)に引っ掛けた(係止した)状態で、ボルト25Bとナット25Nとにより固定可能に構成する。
【0074】
これによれば、一方の区画装置2の区画材載置板22の巻取式区画材23から引き出した区画材24のフック24Fを、他方の区画装置2の区画材載置板22の最寄りの囲み壁(22a~22dの何れか)に引っ掛けた状態で外れないように確実に固定できる。
【0075】
(第2実施形態のまとめ)
第2実施形態の区画装置2によれば、振動や強風に対して位置ずれし難く且つ持ち運び可能な重量を持って構成される土台11(11A)のポール立設穴11hに対して、ポール12の下端部をねじ込んで立設し、ポール12の上端部から下端部に渡り一定の間隔で水平に複数形成した円環状の溝12Mのうち、任意の高さの溝12Mに対して、断面台形状の区画材支持部材21をそのポール挿通孔21hの内壁に突出させたOリング21rを嵌め込んで取り付ける。そして、区画材載置板22を、載置板支持部22Rにポール12を挿通させることでポール12に取り付け、区画材支持部材21に嵌った位置で支持し、区画材載置板22に載置した巻取式区画材23から引き出した区画材24のフック24Fを、区画すべき線上に設置した他の区画装置2の区画材載置板22の最寄りの囲み壁(22a~22dの何れか)に引っ掛けて取り付ける。
【0076】
例えば振動や風雨などで現場の環境が悪い場合であっても、適宜の高さで取り付けた巻取式区画材23および適宜の長さで張設したテープ状の区画材24を維持できる。
【0077】
よって、テープ状の区画材を、区画を要する範囲に丁度良く合わせて、任意の高さで堅固に設置することが可能になる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1、2…区画装置、11、11A…土台、11h…ポール立設穴、12…ポール、12M…円環状の溝、13…区画材支持部材(第1実施形態)、13c…ポール嵌め込み用凹部、14…巻取式区画材(第1実施形態)、14H…ポール挿通孔、14R…区画材取付けリング、15、24…テープ状の区画材、15F、24F…フック、21…区画材支持部材(第2実施形態)、21h…ポール挿通孔、21r…Oリング、22…区画材載置板、22R…載置板支持部、22B…載置板、22a~22d…囲み壁、23…巻取式区画材(第2実施形態)。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11