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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025133
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 5/04 20230101AFI20240216BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240216BHJP
   G05D 7/00 20060101ALI20240216BHJP
   E02B 1/00 20060101ALI20240216BHJP
   G08G 1/07 20060101ALI20240216BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G06N5/04
G06Q50/10
G05D7/00 Z
E02B1/00 Z
G08G1/07 C
G08G5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128336
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(72)【発明者】
【氏名】井澤 敏泰
【テーマコード(参考)】
5H181
5H307
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA07
5H181AA21
5H181AA26
5H181BB04
5H181BB20
5H181CC04
5H181DD02
5H181EE02
5H181EE07
5H181FF33
5H181HH24
5H181JJ08
5H181JJ23
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL14
5H307AA07
5H307DD17
5H307EE31
5H307ES05
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】推論の対象物の状態が場所によって異なる場合に、対象物の場所ごとの状態を考慮して推論結果を得ることができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、互いに異なる入力情報をそれぞれ取得して対象物の状態を推論する複数の推論装置10と、機器と、を備え、複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10は、入力情報を取得する取得部11と、入力情報に基づいて対象物の状態を推論した結果である第1推論結果を生成する推論部12と、別の推論装置10から、別の推論装置10における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する受信部13と、第1推論結果及び第2推論結果に基づいて判定結果を生成する判定部15と、判定結果に基づいて機器を制御する制御部16と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに情報を送受信可能に接続されており、互いに異なる入力情報をそれぞれ取得して対象物の状態を推論する複数の推論装置と、
前記推論装置に制御可能に接続されている少なくとも1つの機器と、
センシングを実行して前記入力情報を生成し、生成した前記入力情報を前記複数の推論装置のうちの対応する前記推論装置に出力する複数のセンサと、
を備え、
前記複数の推論装置のうちの1つの前記推論装置は、
前記入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて対象物の状態を推論した結果である第1推論結果を生成する推論部と、
別の前記推論装置から、前記別の推論装置における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する受信部と、
前記第1推論結果及び前記第2推論結果に少なくとも基づいて判定結果を生成する判定部と、
前記判定結果に少なくとも基づいて前記機器を制御する制御部と、を有する、情報処理システム。
【請求項2】
前記入力情報は、前記対象物を撮像した画像であり、
前記推論部は、前記画像における前記対象物の外観に基づいて、前記対象物の状態を推論した結果である前記第1推論結果を生成する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記複数の推論装置のうちの1つの前記推論装置は、更に別の前記推論装置に、前記第1結果情報に前記第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する送信部を更に備える、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記対象物は、所定の流路上を上流から下流に流れる動体であり、
複数の前記機器は、前記流路に沿って配置されており、前記対象物の流れの量を増減させるように動作する機器であり、
前記複数のセンサは、前記流路に沿って配置されており、
前記複数の推論装置は、前記機器ごとに動作を制御可能に設けられており、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて前記流れの量を推論した結果である前記第1推論結果を生成し、
前記受信部は、前記流路の上流側において隣り合う前記別の推論装置から前記第1結果情報を受信し、
前記送信部は、前記流路の下流側において隣り合う前記更に別の推論装置に、前記第2結果情報を送信し、
前記判定部は、前記第1推論結果と前記第2推論結果との間の差分を計算して、第1閾値と前記差分とを比較した結果である第1の比較結果を生成する第1比較処理を実行し、
前記制御部は、前記第1の比較結果に基づいて、該制御部に対応する前記推論装置及び前記別の推論装置のいずれかに対応する前記機器を制御する、請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1推論結果と第2閾値とを比較した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行し、
前記制御部は、前記第2の比較結果に基づいて、該制御部を有する前記推論装置に対応する前記機器を制御する、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記対象物は、移動体及び前記移動体が通行可能な経路であり、
前記複数の推論装置及び前記複数のセンサは、複数の前記経路ごとに対応して設けられており、
複数の前記機器は、前記推論装置ごとに設けられており、前記移動体に対して通行を許可する許可情報を通知する装置であり、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて、前記経路上における前記移動体の存在を推論した前記第1推論結果を生成し、
前記判定部は、前記複数の推論装置において生成された複数の第1推論結果に基づいて、前記経路上の前記移動体の通行を許可するか否かを判定した前記判定結果を生成し、
前記制御部は、前記複数の推論装置のいずれかの前記判定部によって生成された前記判定結果に基づいて、当該経路に対応する前記機器に対して、前記許可情報の通知/非通知を制御する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記推論部は、前記第1推論結果において前記経路上において前記移動体が存在すると推論した場合、前記入力情報に基づいて前記移動体の種別を推論した種別推論結果を更に生成して、前記第1推論結果に追加し、
前記判定部は、前記複数の第1推論結果に含まれる複数の前記種別推論結果に基づいて、前記経路上の前記移動体の通行を許可するか否かを判定した前記判定結果を生成する、請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記対象物は、可動式機械であり、
前記複数の推論装置及び前記複数のセンサは、前記可動式機械の周辺に位置しており、
前記機器は、前記可動式機械に設けられており、前記判定結果に関する情報を通知可能であり、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて前記可動式機械の周辺の一部分における障害物の有無を推論した結果である前記第1推論結果を生成し、
前記判定部は、前記複数の推論装置において生成された複数の前記第1推論結果に基づいて、前記可動式機械の周辺における前記障害物の有無を判定した結果である前記判定結果を生成し、
前記制御部は、前記判定部によって前記可動式機械の周辺に障害物が存在するという前記判定結果が生成された場合、前記可動式機械の周辺に障害物が存在することを示す前記情報を通知するように前記機器を制御する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記受信部は、前記可動式機械が動作していることが検知されたことを示す検知情報を受信し、
前記推論部は、前記受信部によって前記検知情報又は前記第1結果情報が受信された場合に、前記第1推論結果の生成を開始する、請求項8に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の情報処理システムは、複数の推論装置を有する分散協調型推論装置である。この情報処理システムでは、単一の推論装置ユニットでは対応不可能な問題に対して複数の推論装置ユニットの協調推論によって解を生成する。この情報処理システムでは、複数の推論装置に入力される情報について情報の生成順序が共通に管理されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6―175849号公報
【特許文献2】特開平6-67888号公報
【特許文献3】特開平11―53192号公報
【特許文献4】特開2020-135061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような情報処理システムでは、共通の入力が複数の推論装置によって並列で処理されている。したがって、推論の対象物の状態が場所によって異なる場合に、各場所の対象物の状態に関する情報を処理することができない。その結果、対象物の場所ごとの状態を考慮して、推論結果を得ることができない。
【0005】
そこで、実施形態の一側面は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、推論の対象物の状態が場所によって異なる場合に、対象物の場所ごとの状態を考慮して推論結果を得ることができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一側面に係る情報処理システムは、互いに情報を送受信可能に接続されており、互いに異なる入力情報をそれぞれ取得して対象物の状態を推論する複数の推論装置と、推論装置に制御可能に接続されている少なくとも1つの機器と、センシングを実行して入力情報を生成し、生成した入力情報を複数の推論装置のうちの対応する推論装置に出力する複数のセンサと、を備える。複数の推論装置のうちの1つの推論装置は、入力情報を取得する取得部と、取得部によって取得された入力情報に基づいて対象物の状態を推論した結果である第1推論結果を生成する推論部と、別の推論装置から、別の推論装置における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する受信部と、第1推論結果及び第2推論結果に少なくとも基づいて判定結果を生成する判定部と、判定結果に少なくとも基づいて機器を制御する制御部と、を有する。
【0007】
この情報処理システムでは、互いに異なる入力情報が複数の推論装置にそれぞれ入力される。各推論装置では、入力情報に基づいて対象物の状態が推論された第1推論結果が生成され、第1推論結果と、別の推論装置による第2推論結果とに少なくとも基づいて判定結果が生成される。かかる構成によれば、推論の対象物の状態が場所によって異なる場合に、対象物の場所ごとの状態が各推論装置によって推論されて第1推論結果及び第2推論結果が生成される。これにより、対象物の場所ごとの状態を考慮して推論結果を得ることができる。さらに、第1推論結果及び第2推論結果に基づいて機器が制御されるので、対象物の場所ごとの状態を考慮して機器を制御することができる。
【0008】
また、上記一側面においては、入力情報は、対象物を撮像した画像であり、推論部は、画像における対象物の外観に基づいて対象物の状態を推論した結果である第1推論結果を生成してもよい。かかる構成によれば、場所ごとの対象物の外観に基づいて対象物の状態が推論される。これにより、第1推論結果をより精度良く生成することが可能となる。
【0009】
また、上記一側面においては、複数の推論装置のうちの1つの推論装置は、更に別の推論装置に、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する送信部を更に備えてもよい。かかる構成によれば、更に別の推論装置において、推論装置及び別の推論装置において生成された推論結果に基づいて判定結果をより精度良く生成することが可能となる。
【0010】
また、上記一側面においては、対象物は、所定の流路上を上流から下流に流れる動体であってもよい。複数の機器は、流路に沿って配置されており、対象物の流れの量を増減させるように動作する機器であってもよい。複数のセンサは、流路に沿って配置されていてもよい。複数の推論装置は、機器ごとに動作を制御可能に設けられていてもよい。推論部は、入力情報に基づいて流れの量を推論した結果である第1推論結果を生成してもよい。受信部は、流路の上流側において隣り合う別の推論装置から第1結果情報を受信してもよい。送信部は、流路の下流側において隣り合う更に別の推論装置に、第2結果情報を送信してもよい。判定部は、第1推論結果と第2推論結果との間の差分を計算して、第1閾値と差分とを比較した結果である第1の比較結果を生成する第1比較処理を実行してもよい。制御部は、第1の比較結果に基づいて、該制御部に対応する推論装置及び別の推論装置のいずれかに対応する機器を制御してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、推論装置に対応する位置における対象物の流れの量と、上流側において隣り合う別の推論装置に対応する位置における対象物の流れの量との差分と、第1閾値とを比較した結果である第1の比較結果に基づいて機器が制御される。これにより、対象物の流れの量の変化に応じて機器を制御することが可能となる。
【0012】
また、上記一側面においては、判定部は、第1推論結果と第2閾値とを比較した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行してもよい。制御部は、第2の比較結果に基づいて、該制御部を有する推論装置に対応する機器を制御してもよい。かかる構成によれば、推論装置に対応する位置における対象物の流れの量と第2閾値とを比較した結果に基づいて、推論装置に対応する機器が制御される。これにより、対象物の流れの量の変化に応じて機器をより適切に制御することが可能となる。
【0013】
また、上記一側面においては、対象物は、移動体及び移動体が通行可能な経路であってもよい。複数の推論装置及び複数のセンサは、複数の経路ごとに対応して設けられて配置されていてもよい。複数の機器は、推論装置ごとに設けられており、移動体に対して通行を許可する許可情報を通知する装置であってもよい。推論部は、入力情報に基づいて、経路上における移動体の存在を推論した第1推論結果を生成してもよい。判定部は、複数の推論装置において生成された複数の第1推論結果に基づいて、経路上の移動体の通行を許可するか否かを判定した判定結果を生成してもよい。制御部は、複数の推論装置のいずれかの判定部によって生成された判定結果に基づいて、当該経路に対応する機器に対して、許可情報の通知/非通知を制御してもよい。
【0014】
かかる構成によれば、経路上に移動体が存在する場合、当該移動体に対して通行を許可する情報を機器が通知するか否かが制御される。かかる構成によれば、複数の経路における移動体の存在が考慮されて、推論装置における経路上の移動体の通行を許可するか否かが判定される。これにより、経路上又は複数の経路が交わる地点を通行する移動体の数を制限することが可能となるので、経路上において移動体をより円滑に通行させることが可能となる。
【0015】
また、上記一側面においては、第1推論結果において経路上において移動体が存在すると推論した場合、入力情報に基づいて移動体の種別を推論した種別推論結果を更に生成して、第1推論結果に追加してもよい。判定部は、複数の第1推論結果に含まれる複数の種別推論結果に基づいて、経路上の移動体の通行を許可するか否かを判定した判定結果を生成してもよい。かかる構成によれば、移動体の種別が考慮されて、経路上の移動体の通行を許可するか否かが判定される。例えば、より小さい移動体を優先して通行させるように判定される。これにより、移動体の種別に基づいて経路上において移動体をより円滑に通行させることが可能となる。
【0016】
また、上記一側面においては、対象物は、可動式機械であってもよい。複数の推論装置及び複数のセンサは、可動式機械の周辺に位置してもよい。機器は、可動式機械に設けられており、判定結果に関する情報を通知可能であってもよい。推論部は、入力情報に基づいて可動式機械の周辺の一部分における障害物の有無を推論した結果である第1推論結果を生成してもよい。判定部は、複数の推論装置において生成された複数の第1推論結果に基づいて、可動式機械の周辺における障害物の有無を判定した結果である判定結果を生成してもよい。制御部は、判定部によって可動式機械の周辺に障害物が存在するという判定結果が生成された場合、可動式機械の周辺に障害物が存在することを示す情報を通知するように機器を制御してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、可動式機械の周辺に障害物が存在する場合、該障害物の存在を通知するように機器が制御される。これにより、可動式機械の周辺に障害物が存在する場合に可動式機械の動作を停止させることが可能となる。
【0018】
また、上記一側面においては、受信部は、可動式機械が動作していることが検知されたことを示す検知情報を受信してもよい。推論部は、受信部によって検知情報又は第1結果情報が受信された場合に、第1推論結果の生成を開始してもよい。かかる構成によれば、可動式機械が動作している場合に推論部によって第1推論結果の生成が開始される。これにより、可動式機械が動作しているときに、可動式機械の周辺に障害物が存在するか否かを判定することができる。その結果、可動式機械の周辺に障害物が存在する場合に可動式機械の動作をより確実に停止させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面によれば、推論の対象物の状態が場所によって異なる場合に、対象物の場所ごとの状態を考慮して推論結果を得ることができる情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態から第3実施形態に係る情報処理システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
図3】第1実施形態から第3実施形態に係る推論装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態から第3実施形態に係る処理の手順を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
図6】第3実施形態に係る情報処理システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、第1実施形態から第3実施形態に係る情報処理システム1の概略構成図である。情報処理システム1は、対象物Tの場所ごとの状態を推論し、推論した結果に基づいて制御装置を制御するためのシステムである。情報処理システム1は、複数のセンサ2、少なくとも1つの制御装置(機器)3、及び複数の推論装置10によって構成されている。複数の推論装置10は、空間的に分散配置されており、互いに情報を送受信可能に接続されている。センサ2は、複数の推論装置10ごとに設けられている。制御装置3は、複数の推論装置10の少なくともいずれかと情報を送受信可能に接続されている。
【0023】
複数の推論装置10は、互いに異なる入力情報をそれぞれ取得する。それぞれの推論装置10は、予め構築したアルゴリズムに従って、入力情報に基づいて対象物Tの状態を推論する。複数の推論装置のうちの少なくとも1つの推論装置10は、推論した結果に基づいて制御装置3を制御する。具体的には、対象物Tが時々刻々と動くと共に、対象物Tの状態が変化する。センサ2は、この対象物Tに対してセンシングを実行して入力情報を生成する。センサ2は、生成した入力情報を、当該センサ2に対応する推論装置10に出力する。複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10は、推論した結果に基づいて制御装置3を制御する。
【0024】
推論装置10は、センサ2から出力された入力情報に基づいて対象物Tの状態を推論した第1推論結果を生成する。例えば、入力情報は、対象物Tを撮像した画像である。この場合、推論装置10は、画像における対象物Tの外観に基づいて対象物Tの状態を推論した第1推論結果を生成する。複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10は、他の推論装置10における第2推論結果を取得し、第1推論結果及び第2推論結果に基づいて判定結果を生成し、判定結果に基づいて制御装置3を制御する。このように、場所ごとの対象物Tの状態が各推論装置10において推論されると共に、各推論装置10において複数の推論結果に基づいて判定結果の生成が逐次的に実施される。
【0025】
[第1実施形態]
図2を参照して第1実施形態に係る情報処理システム1Aについて説明する。図2は、第1実施形態に係る情報処理システム1Aを示す模式図である。図2に示されるように、第1実施形態に係る情報処理システム1Aにおいて、対象物Tは、所定の流路F上を上流から下流に流れる動体であり、例えば河川T1(対象物、動体)である。図2に示される例では、河川T1のA地点、B地点及びC地点から複数の支流F1,F2及びF3が分岐しており、流路Fと支流F1~F3との間の分岐点に対応する位置には、水門G1~G3が設けられている。なお、図2に示される例では、A地点の水量が100、B地点の水量が300、C地点の水量が100であるとする。なお、河川T1は、A地点からC地点に向けて流れている。また、第1実施形態における対象物Tは、一方向に流れる動体であればよく、例えば工場においてコンベアで移動される複数の物品であってもよいし、動く歩道上に位置する複数の人間であってもよい。
【0026】
複数の制御装置3は、流路Fに沿って配置されている。図2に示される例では、複数の制御装置3(1),3(2),及び3(3)は、水門G1~G3にそれぞれ設けられている。各制御装置3は、例えば各水門G1~G3を動作可能なアクチュエータであり、各水門G1~G3を開く又は閉じるように動作することによって、河川T1の水量(流れの量)を増減させる。つまり、各制御装置3は、河川T1の水量(流れの量)を増減させるように動作する機器である。なお、複数の制御装置3は、各制御装置3に対応する水門を制御可能に配置されていればよい。例えば、制御装置3(1),3(2),及び3(3)は、各水門G1~G3にそれぞれ無線接続されており、水門G1~G3を遠隔で制御可能に配置されていてもよい。
【0027】
複数のセンサ2は、流路Fに沿って配置されている。図2に示される例では、複数のセンサ2は、A地点、B地点及びC地点における河川T1を撮像するカメラである。複数のセンサ2は、流路F上の各地点における河川T1を撮像した画像を入力情報として生成する。複数のセンサ2は、生成した入力情報を推論装置10に出力する。
【0028】
複数の推論装置10は、流路Fに沿って分散配置されている。複数の推論装置10は、センサ2を介して河川T1の水量を監視すると共に制御装置3を制御する。複数の推論装置10は、各推論装置10における推論結果を上流の推論装置10から下流の推論装置10に渡していき、推論結果同士の差分を計算する。複数の推論装置10は、当該差分が最小になるように各制御装置3を制御する。複数の推論装置10は、制御装置3ごとに動作を制御可能に設けられている。
【0029】
図2に示される例では、複数の推論装置10(1),10(2),及び10(3)が、A地点、B地点及びC地点に設けられた3つのセンサ2のそれぞれに対応して設けられている。各推論装置10は、各センサ2から入力情報をそれぞれ取得し、取得した入力情報に基づいて河川T1の水量を推論する。複数の推論装置10(1),10(2),及び10(3)は、推論した結果に基づいて複数の制御装置3(1),3(2),及び3(3)をそれぞれ制御する。これにより、複数の水門G1~G3の開閉が制御される。
【0030】
図2及び図3を参照して推論装置10の具体的な機能について説明する。図3は、第1実施形態から第3実施形態に係る推論装置10の機能構成を示すブロック図である。推論装置10は、取得部11、推論部12、受信部13、送信部14、判定部15及び制御部16によって構成されている。取得部11は、センサ2から入力情報を取得する。具体的には、取得部11は、センサ2によってA地点、B地点及びC地点のそれぞれにおいて河川T1が撮像された画像を取得する。
【0031】
推論部12は、取得部11によって取得された入力情報に基づいて対象物Tの状態を推論した結果である第1推論結果を出力する。図2に示される例では、対象物Tの状態は、河川T1の水量である。推論部12は、予め構築されたアルゴリズムに従って、センサ2から取得した画像に基づいて河川T1の水量を推論した結果である第1推論結果を生成する。例えば、推論部12は、教師有り学習等によって予め構築された機械学習モデルに画像を入力し、機械学習モデルから出力された値を第1推論結果とする。
【0032】
受信部13は、別の推論装置10から、別の推論装置10における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する。第1実施形態では、受信部13は、流路Fの上流側において隣り合う別の推論装置10から第1結果情報を受信する。送信部14は、更に別の推論装置10に、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する。具体的には、送信部14は、流路Fの下流側において隣り合う更に別の推論装置10に、第2結果情報を送信する。
【0033】
図2に示される例において、推論装置10(1)の送信部14が、推論部12によって推論されたA地点の水量を示す情報を推論装置10(2)に送信する。推論装置10(2)の受信部13は、推論装置10(1)からA地点の水量を示す情報を受信する。推論装置10(2)の送信部14は、A地点の水量を示す情報と、推論装置10(2)の推論部12によって生成されたB地点の水量を示す情報とを推論装置10(3)に送信する。推論装置10(3)は、A地点の水量を示す情報及びB地点の水量を示す情報を受信する。
【0034】
つまり、推論装置10(1)は、A地点の水量を示す情報を第1推論結果として生成し、第2結果情報として推論装置10(2)に送信する。推論装置10(2)は、A地点の水量を示す情報(第2推論結果)を第1結果情報として受信する。推論装置10(2)は、B地点の水量を示す情報を第1推論結果として生成し、A地点の水量を示す情報にB地点の水量を示す情報を追加した情報を第2結果情報として推論装置10(3)に送信する。推論装置10(3)は、A地点の水量を示す情報及びB地点の水量を示す情報(第2推論結果)を第1結果情報として受信する。
【0035】
判定部15は、推論部12によって生成された第1推論結果と、受信部13によって受信された第1結果情報に含まれる第2推論結果とに基づいて判定結果を生成する。制御部16は、判定結果に少なくとも基づいて制御装置3を制御する。
【0036】
第1実施形態では、判定部15は、第1推論結果と第2推論結果との間の差分を計算して、第1閾値と差分とを比較した結果である第1の比較結果を生成する第1比較処理を実行する。制御部16は、第1の比較結果に基づいて、該制御部16に対応する推論装置10及び別の推論装置10のいずれかに対応する制御装置3を制御する。
【0037】
例えば、第1閾値が正の数値である場合において、判定部15は、第1比較処理において、第1推論結果から第2推論結果を減算した差分を導出して、正の数値である第1閾値を差分が上回るか否かを判定した結果を第1の比較結果として生成する。制御部16は、第1の比較結果において差分が第1閾値を上回る場合、別の推論装置10に対応する制御装置3を、河川T1の水量を減少させるように別の推論装置10を介して制御する。なお、正の数値である第1閾値は、例えば、河川T1の各地点ごとの最大水量の70%以上80%以下の値であってもよい。また、第1閾値は、予め設定されている値でもよいし、推論装置10において導出された値であってもよい。
【0038】
図2に示される例では、B地点の水量からA地点の水量を減算した差分が正の数値である第1閾値を超えている場合に、A地点に対応する水門G1が開放されてA地点の水が支流F1に放流される。具体的には、推論装置10(2)の判定部15は、第1比較処理において、B地点における河川T1の水量300からA地点における河川T1の水量100を減算した差分200を導出し、差分200が第1閾値150を上回ると判定した結果である第1の比較結果を生成する。制御部16は、第1の比較結果において差分が第1閾値を上回るので、A地点に対応する水門G1を開放するように推論装置10(1)を介して制御装置3(1)を制御する。これにより、A地点からB地点に流れる水量が減少するので、B地点において河川T1が流路Fから氾濫することが抑制される。
【0039】
また、例えば、第1閾値が負の数値である場合において、判定部15は、第1比較処理において、負の数値である第1閾値を、第1推論結果から第2推論結果を減算した差分が下回るか否かを判定した結果である第1の比較結果を生成する。制御部16は、第1の比較結果において差分が第1閾値を下回る場合、該制御部16を有する推論装置10に対応する制御装置3を、河川T1の水量を減少させるように制御する。なお、負の数値である第1閾値は、例えば、河川T1の各地点ごとの最大水量の70%以上80%以下の値に-1を乗算した値であってもよい。
【0040】
図2に示される例では、C地点の水量からB地点の水量を減算した差分が、負の数値である第1閾値を下回っている場合に、C地点に対応する水門G3が開放されてC地点の水が支流F3に放流される。具体的には、推論装置10(3)の判定部15は、第1比較処理において、C地点の水量100からB地点の水量300を減算した差分である-200が、第1閾値である-150を下回ると判定した第1の比較結果を生成する。制御部16は、第1の比較結果において差分が第1閾値を下回るので、C地点に対応する水門G3を開放するように制御装置3(3)を制御する。これにより、C地点の水量が減少するので、C地点において河川T1が流路Fから氾濫することが抑制される。
【0041】
なお、第1実施形態において、正の数値及び負の数値のいずれかが上記第1の比較処理に用いられていればよい。例えば、正の数値及び負の数値の両方が第1閾値として上記第1の比較処理に用いられてもよし、正の数値のみ又は負の数値のみが第1閾値として上記第1の比較処理に用いられてもよい。
【0042】
また、第1実施形態では、判定部15は、第1推論結果と第2閾値とを比較した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行し、制御部16は、第2の比較結果に基づいて、該制御部16を有する推論装置10に対応する制御装置3を制御する。具体的には、判定部15は、第1推論結果が第2閾値を上回るか否かを判定した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行する。制御部16は、第2の比較結果において第1推論結果が第2閾値を上回る場合、該制御部16を有する推論装置10に対応する制御装置3を、河川T1の水量を減少させるように制御する。第2閾値は、例えば、河川T1の各地点ごとの最大水量の70%以上80%以下の値であってもよい。また、第2閾値は、予め設定されている値でもよいし、推論装置10において導出された値であってもよい。
【0043】
図2に示される例では、B地点の水量が第2閾値を超えている場合に、B地点に対応する水門G2が開放されてB地点の水が支流F2に放流される。具体的には、推論装置10(2)の判定部15は、第2比較処理において、B地点の水量300が第2閾値200を上回ると判定した第2の比較結果を生成する。制御部16は、第2の比較結果においてB地点の水量が第2閾値を上回るので、B地点に対応する水門G2を開放するように制御装置3(2)を制御する。これにより、B地点の水量が減少するので、B地点において河川T1が流路Fから氾濫することが抑制される。
【0044】
なお、推論装置10は、複数の推論装置10における第1推論結果に基づいて判定結果を生成してもよい。図2に示される例では、推論装置10(3)の判定部15は、A地点の水量を示す情報及びB地点の水量を示す情報を含む第1結果情報と、C地点の水量を示す情報である第1推論結果とに基づいて、河川T1全体の氾濫危険度を判定してもよい。この場合、複数の推論装置10においてより下流側に位置する推論装置10が、河川T1の水量に関してより多く情報量を有するので、上記氾濫危険度をより精度良く判定することが可能となる。例えば、推論装置10(3)の判定部15は、A地点、B地点及びC地点の水量の合計値又は平均値を算出し、算出した合計値又は平均値が所定の閾値を超える場合に氾濫危険度が高いと判定する。また、制御部16は、判定部15によって河川T1全体の氾濫危険度が高いと判定された場合、河川T1において全ての水門G1~G3を開くように複数の制御装置3(1),3(2),及び3(3)を制御してもよい。
【0045】
図4を参照して第1実施形態に係る情報処理システム1Aの処理の手順を説明する。図4は、第1実施形態から第3実施形態に係る処理の手順を示すフローチャートである。まず、取得部11によって入力情報が取得される(ステップS1)。次に、推論部12によって、入力情報に基づいて対象物Tの状態を推論した結果である第1推論結果が生成される(ステップS2)。続いて、受信部13によって、別の推論装置10から、別の推論装置10における第2推論結果を含む第1結果情報が受信される(ステップS3)。続いて、送信部14によって、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報が更に別の推論装置10に送信される(ステップS4)。続いて、判定部15によって、第1結果情報及び第2結果情報に基づいて判定結果が生成される(ステップS5)。最後に、制御部16によって、判定結果に基づいて制御装置(機器)3が制御される(ステップS6)。
【0046】
以上説明した第1実施形態に係る情報処理システム1Aの作用効果について説明する。第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、互いに異なる入力情報が複数の推論装置10にそれぞれ入力される。各推論装置10では、入力情報に基づいて対象物Tの状態が推論された第1推論結果が生成される。かかる構成によれば、推論の対象物Tの状態が場所によって異なる場合に、対象物Tとの状態が各推論装置10によって推論されて第1推論結果及び第2推論結果が生成される。これにより、対象物Tの場所ごとの状態を考慮して第1推論結果及び第2推論結果を得ることができる。さらに、第1推論結果及び第2推論結果に基づいて制御装置3が制御されるので、対象物Tの場所ごとの状態を考慮して制御装置3を制御することができる。
【0047】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、各推論装置10において判定結果が逐次的に生成される。複数の推論装置が協調動作する場合と比較して、他の推論装置10の処理が終了するまでの待機時間及び他の推論装置10との推論結果の相互交換に要する時間が不要であるので、対象物Tの状態の変化に応じて対象物Tの状態に関する判定結果をリアルタイムに生成することができる。
【0048】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、入力情報は、対象物Tを撮像した画像であり、推論部12は、画像における対象物Tの外観に基づいて、対象物Tの状態を推論した結果である第1推論結果を生成する。かかる構成によれば、場所ごとの対象物Tの外観に基づいて対象物Tの状態が推論される。これにより、第1推論結果をより精度良く生成することが可能となる。
【0049】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10は、更に別の推論装置10に、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する送信部14を備える。かかる構成によれば、更に別の推論装置10の判定部15において、推論装置10及び別の推論装置10において生成された推論結果に基づいて判定結果をより精度良く生成することが可能となる。
【0050】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、推論装置10に対応する位置における対象物Tの流れの量と、上流側において隣り合う別の推論装置10に対応する位置における対象物Tの流れの量との差分と、第1閾値とを比較した結果である第1の比較結果に基づいて制御装置3が制御される。これにより、対象物Tの流れの量の変化に応じて制御装置3を制御することが可能となる。
【0051】
具体的には第1閾値が正の数値であるとき、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量から、上流側において隣り合う別の推論装置10に対応する位置における河川T1の水量を減算した差分が第1閾値を上回る場合に、別の推論装置10に対応する制御装置3が河川T1の水量を減少させるように別の推論装置10を介して制御される。これにより、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量が顕著に増加している場合に、別の推論装置10に対応する位置における河川T1の水が下流に移動した際に推論装置10に対応する位置における河川T1の水量が更に増加することを抑制することが可能となる。その結果、推論装置10に対応する位置における河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。
【0052】
図2に示される例では、B地点の水量が顕著に増加している場合、B地点の水量からA地点の水量が減算された差分が増加する。ここで、該差分が、正の数値である第1閾値を超えるので、水門G1が開放されてA地点の水が支流F1に放出される。これにより、A地点からB地点に移動する水量が減少し、B地点の水量が更に増加することが抑制される。その結果、B地点において河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。
【0053】
また、具体的には、第1閾値が負の数値であるとき、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量から、上流側において隣り合う別の推論装置10に対応する位置における河川T1の水量を減算した差分が、負の数値である第1閾値を下回る場合、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量を減少させるように制御装置3が制御される。これにより、別の推論装置10に対応する位置における河川T1の水が下流に移動した際に、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量が更に増加することを抑制することが可能となる。その結果、推論装置10に対応する位置における河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。
【0054】
例えば、B地点の水量が著しく増加した場合、C地点の水量からB地点の水量が減算された差分が負になると共に、差分の絶対値が増加する。ここで、当該差分が負の数値である第1閾値を下回るとC地点に対応する水門G3が開放される。これにより、B地点の水がC地点に移動した場合にC地点において河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態に係る情報処理システム1Aでは、判定部15は、第1推論結果が第2閾値を上回るか否かを判定した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行する。制御部16は、第2の比較結果において第1推論結果が第2閾値を上回る場合、該制御部16を有する推論装置10に対応する制御装置3を、河川T1の水量を減少させるように制御する。かかる構成によれば、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量が第2閾値を上回る場合、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量を減少させるように制御装置3が制御される。これにより、推論装置10に対応する位置における河川T1の水量が顕著に増加した際に、推論装置10に対応する位置における河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。図2に示される例では、B地点の水量が顕著に増加している場合、水門G2が開放されてB地点の水が支流F2に放出されることによって、B地点において河川T1が流路Fから溢れることを抑制することができる。
【0056】
[第2実施形態]
図3及び図5を参照して第2実施形態に係る情報処理システム1Bについて説明する。図5は、第2実施形態に係る情報処理システム1Bを示す模式図である。該情報処理システム1Bは、対象となる複数の経路に推論装置10等を配置し、交通を監視するシステムである。図5に示されるように、対象物Tは、移動体及び移動体が通行可能な経路であり、例えば自動車(対象物、移動体)T2及び自動車T2が通行する道路(対象物、経路)T3である。図5では、地点Pにおいて交わる複数の道路T31,T32と、複数の道路T31,T32にそれぞれ位置する複数の自動車T21,T22とが示されている。なお、第2実施形態における対象物Tは、上記に限定されず、例えば、歩行者及び歩行者が通行可能な歩道であってもよい。
【0057】
複数のセンサ2、複数の制御装置3、及び複数の推論装置10は、道路T3ごとに配置されている。図5に示される例では、センサ2(1)、制御装置3(1)、及び推論装置10(1)が道路T31に配置されており、センサ2(2)、制御装置3(2)、及び推論装置10(2)が道路T32に配置されている。
【0058】
複数のセンサ2は、道路T3を撮像した画像を生成し、生成した画像を入力情報として複数の推論装置10に出力する。図5に示される例では、複数のセンサ2(1),2(2)は、複数の道路T31,T32にそれぞれ配置されている。複数のセンサ2(1),2(2)は、複数の道路T31,T32を撮像した画像を生成するカメラであり、生成した画像を複数の推論装置10(1),10(2)にそれぞれ出力する。
【0059】
制御装置3は、自動車T2に対して通行を許可する許可情報を通知する装置であり、例えば通行を許可する情報を表示するディスプレイ又は電光掲示板等である。図5に示される例では、制御装置3(1)は、「進め」という文字列を表示することによって、自動車T21に対して通行を許可する旨を通知している。また、制御装置3(2)は、「止まれ」という文字列を表示することによって、自動車T22に対して通行を許可しない旨を通知している。
【0060】
推論装置10は、センサ2から取得した入力情報に基づいて、道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かを判定し、判定結果に基づいて制御装置3を制御する。以下、図3を参照して、推論装置10の機能構成について具体的に説明する。
【0061】
取得部11は、センサ2から入力情報を取得する。推論部12は、入力情報に基づいて、道路T3上における自動車T2の存在を推論した第1推論結果を生成する。また、推論部12は、第1推論結果を生成した場合、自動車T2の種別を推論した種別推論結果を生成して第1推論結果に追加する。図5に示される例では、推論装置10(1)の取得部11は、自動車T21及び道路T31を撮像した画像をセンサ2(1)から取得する。推論装置10(1)の推論部12は、道路T31に自動車T21が存在すること及び自動車T21の車種が軽自動車であることを推論する。また、推論装置10(2)の推論部12は、推論装置10(1)の推論部12と同様にして、道路T32に自動車T22が存在すること及び自動車T22の車種が普通自動車であることを推論する。
【0062】
別の推論装置10は、推論装置10に、別の推論装置10における第2推論結果を含む第1結果情報を送信する。受信部13は、別の推論装置10から、第1結果情報を受信する。図5に示される例では、推論装置10(1)の送信部14は、道路T31に自動車T21が存在することを示す情報及び自動車T21の車種が軽自動車であることを示す情報を含む第1結果情報を推論装置10(2)に送信する。推論装置10(2)の受信部13は、第1結果情報を受信する。
【0063】
判定部15は、複数の推論装置10において生成された複数の第1推論結果に基づいて、道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かを判定した判定結果を生成する。図5に示される例では、推論装置10(2)の判定部15は、複数の推論装置10(1),10(2)において生成された複数の道路T31,T32に複数の自動車T21,22がそれぞれ存在することを示す情報に基づいて、道路T31上の自動車T21の通行を許可すると共に、道路T32上の自動車T22の通行を許可しないという判定結果を生成する。
【0064】
判定部15は、複数の第1推論結果に含まれる複数の種別推論結果に基づいて、道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かを判定した判定結果を生成する。図5に示される例では、推論装置10(2)の判定部15は、複数の自動車T21,T22の車種がそれぞれ軽自動車及び普通自動車であることに基づいて、車両のサイズが小さい軽自動車である自動車T21を優先して通行させることを決定する。判定部15は、当該決定に基づいて、道路T31上の自動車T21の通行を許可すると共に、道路T32上の自動車T22の通行を許可しないという判定結果を生成する。
【0065】
制御部16は、複数の推論装置10のいずれかの判定部15によって生成された判定結果に基づいて、当該道路T3に対応する制御装置3に対して、許可情報の通知/非通知を制御する。図5に示される例では、推論装置10(2)の制御部16は、判定部15による判定結果に基づいて、道路T32に対応する制御装置3(2)が許可情報を通知しないように、制御装置3(2)を制御する。推論装置10(2)の制御部16は、推論装置10(2)の判定部15による判定結果に基づいて、道路T31に対応する制御装置3(1)が許可情報を通知するように、推論装置10(1)を介して制御装置3(1)を制御する。
【0066】
第2実施形態に係る情報処理システム1Bでは、図4に示されるように第1実施形態と同様の手順で処理が実行される。
【0067】
以上説明した第2実施形態に係る情報処理システム1Bの作用効果について説明する。た第2実施形態に係る情報処理システム1Bでは、道路T3上に自動車T2が存在する場合、当該自動車T2に対して通行を許可する情報を制御装置3が通知するか否かが制御される。かかる構成によれば、複数の道路T3における自動車T2の存在が考慮されて、推論装置10における道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かが判定される。これにより、道路T3上又は複数の道路T3が交わる地点を通行する自動車T2の数を制限することが可能となるので、道路T3上において自動車T2をより円滑に通行させることが可能となる。図5に示される例では、道路T31と道路T32とが交わる地点を通行する自動車を自動車T21のみに制限することができる。
【0068】
また、第2実施形態に係る情報処理システム1Bでは、第1推論結果において道路T3上において自動車T2が存在すると推論した場合、入力情報に基づいて自動車T2の種別を推論した種別推論結果を更に生成して、第1推論結果に追加する。判定部15は、複数の第1推論結果に含まれる複数の種別推論結果に基づいて、道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かを判定した判定結果を生成する。かかる構成によれば、自動車T2の種別が考慮されて、道路T3上の自動車T2の通行を許可するか否かが判定される。図5に示される例では、車両のサイズがより小さい自動車T21を優先して通行させるように判定される。これにより、自動車T2の種別に基づいて道路T3上において自動車T2をより円滑に通行させることが可能となる。
【0069】
第2実施形態に係る情報処理システム1Bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
[第3実施形態]
図3及び図6を参照して第3実施形態に係る情報処理システム1Cについて説明する。図6は、第3実施形態に係る情報処理システム1Cを示す模式図である。該情報処理システム1Cは、対象物Tの周辺における障害物の有無を検知して、可動式機械に設けられた制御装置に通知するシステムである。対象物Tは、港湾荷役機械などの可動式機械であり、例えばクレーン(対象物)T4である。障害物とは、クレーンT4による荷の移載の妨げとなる物体であり、例えば、他の荷役機械、作業者、及び動物等である。
【0071】
複数の推論装置10及び複数のセンサ2は、クレーンT4の周辺に位置している。センサ2は、クレーンT4及びクレーンT4の周辺をセンシングすることが可能である。複数の推論装置10は、互いに情報を送受信可能に構成されている。制御装置3は、クレーンT4に設けられており、推論装置10において生成される判定結果に関する情報を通知可能である。
【0072】
図6に示される例では、推論装置10(1)及びセンサ2(1)並びに推論装置10(2)及びセンサ2(2)は、クレーンT4の周囲に設けられている。推論装置10(3)及びセンサ2(3)は、クレーンT4の周囲を飛ぶドローンD1に設けられている。推論装置10(4)及びセンサ2(4)は、クレーンT4の周囲を飛ぶドローンD2に設けられている。各センサ2は、クレーンT4及びクレーンT4の周辺を撮像するカメラである。複数の推論装置10(1)~10(4)は、互いに無線通信可能に接続されている。制御装置3は、クレーンT4に設けられており、複数の推論装置10のいずれかによって制御可能に接続されている。
【0073】
複数のセンサ2は、クレーンT4及びクレーンT4の周辺を撮像した画像を入力情報として複数の推論装置10に出力する。複数の推論装置10は、クレーンT4の動作が検知されたことを示す検知情報又は他の推論装置10からの第1結果情報を受信した場合に、入力情報に基づいてクレーンT4の周辺における障害物の有無を推論した結果である第1推論結果を生成する。複数の推論装置10は、クレーンT4の周辺における障害物の有無を判定し、判定した結果に基づいて制御装置3を制御する。制御装置3は、クレーンT4の周辺における障害物の有無に関する情報を、クレーンT4を制御する機器又はクレーンT4を操作する作業者に通知する。
【0074】
以下、図3及び図6を参照して、推論装置10の機能構成について具体的に説明する。
【0075】
取得部11は、センサ2から入力情報を取得する。推論部12は、受信部13によって検知情報又は第1結果情報が受信された場合に(後述する)、入力情報に基づいて、クレーンT4の周辺の一部分における障害物の有無を推論した結果である第1推論結果を生成する。図6に示される例では、クレーンT4が動作する際にクレーンT4の可動部T41(対象物)が通過する空間Rの一部分がセンサ2(1)によって撮像される。推論部12は、センサ2(1)によって撮像された画像に基づいて可動部T41が通過する空間Rの一部分における障害物の有無を推論した結果である第1推論結果を生成する。なお、推論部12は、受信部13によって検知情報又は第1結果情報が受信された場合以外において、第1推論結果を生成してもよい。
【0076】
受信部13は、別の推論装置10から、別の推論装置10における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する。送信部14は、更に別の推論装置10に、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する。図6に示される例では、推論装置10(2)の受信部13は、推論装置10(1)から、推論装置10(1)の推論部12によって生成された第2推論結果を含む第1結果情報を受信する。推論装置10(2)の送信部14は、推論部12によって生成された第1推論結果を第1結果情報に追加した第2結果情報を推論装置10(3)に送信する。
【0077】
受信部13は、クレーンT4が動作していることが検知されたことを示す検知情報を受信する。この場合、推論部12は、受信部13によって検知情報又は第1結果情報が受信された場合に、第1推論結果の生成を開始する。図6に示される例では、クレーンT4から推論装置10(1)に検知情報が送信され、推論装置10(1)において第1推論結果が生成される。次に、推論装置10(1)から推論装置10(2)に第1結果情報が受け渡され、推論装置10(2)において第1推論結果が生成される。このようにして、複数の推論装置10(1)~(4)において複数の第1推論結果が逐次的に生成される。なお、検知情報は、複数の推論装置10のいずれかにおいて生成されてもよいし、クレーンT4において生成されてもよい。
【0078】
判定部15は、複数の推論装置10において生成された複数の第1推論結果に基づいて、クレーンT4の周辺における障害物の有無を判定した結果である判定結果を生成する。
制御部16は、判定部15によってクレーンT4の周辺に障害物が存在するという判定結果が生成された場合、クレーンT4の周辺に障害物が存在することを示す情報を通知するように制御装置3を制御する。
【0079】
図6に示される例では、推論装置10(4)の判定部15は、複数の推論装置10(1)~(4)において生成された複数の第1推論結果に基づいて、可動部T41が通過する空間Rにおける障害物の有無を判定した結果である判定結果を生成する。推論装置10(4)の制御部16は、可動部T41が通過する空間Rに障害物が存在する場合、その旨を示す情報を通知するように制御装置3を制御する。
【0080】
第3実施形態に係る情報処理システム1Cでは、図4に示されるように第1実施形態と同様の手順で処理が実行される。但し、第3実施形態に係る情報処理システム1Cでは、推論部12によって、入力情報に基づいて対象物Tの状態を推論した結果である第1推論結果が生成される処理(ステップS2)は、受信部13によって、検知情報又は第1結果情報が受信された場合に開始される。
【0081】
以上説明した第3実施形態に係る情報処理システム1Cの作用効果について説明する。第3実施形態に係る情報処理システム1Cでは、クレーンT4の周辺に障害物が存在する場合、該障害物の存在を通知するように制御装置3が制御される。これにより、クレーンT4の周辺に障害物が存在する場合、例えば可動部T41が通過する空間Rに障害物が存在する場合にクレーンT4の動作を停止させることが可能となる。
【0082】
また、第3実施形態に係る情報処理システム1Cでは、受信部13は、クレーンT4が動作していることが検知されたことを示す検知情報を受信する。推論部12は、受信部13によって検知情報又は第1結果情報が受信された場合に、第1推論結果の生成を開始する。かかる構成によれば、クレーンT4が動作している場合に推論部12によって第1推論結果の生成が開始される。これにより、クレーンT4が動作しているときに、クレーンT4の周辺に障害物が存在するか否かを判定することができる。その結果、可動式機械の周辺に障害物が存在する場合に可動式機械の動作をより確実に停止させることができる。加えて、クレーンT4が動作する場合にのみ、推論装置10における推論処理及び判定処理が実行されるので、情報処理システム1Cをより効率良く運用することが可能となる。
【0083】
第3実施形態に係る情報処理システム1Cにおいても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0084】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0085】
上記第1実施形態から第3実施形態において、複数の推論装置10の数が2個以上4個以下であったが、これに限定されない。例えば、複数の推論装置10の数が5個以上であってもよい。より詳細には、第1実施形態において、A地点からC地点以外の地点において、推論装置10及びセンサ2が設けられてもよい。第2実施形態において、3本以上の道路T3それぞれに、推論装置10、センサ2及び制御装置3が設けられてもよい。第3実施形態において、ドローンが追加で設けられてもよいし、推論装置10及びセンサ2が追加で設けられてもよい。
【0086】
また、第2実施形態及び第3実施形態において、第1結果情報が受け渡される順番が決定されていたが、これに限定されない。第2実施形態では、複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10が、全ての推論装置10における第1推論結果を有していればよいので、任意の順番で第1結果情報が受け渡されてもよい。この場合、推論装置10の受信部13が第1結果情報を受信した場合、送信部14は、更に別の推論装置10に、第1結果情報に第1推論結果を追加した第2結果情報を送信してもよい。
【0087】
第3実施形態では、複数の推論装置10のうちの1つの推論装置10が、空間Rを監視可能な複数の推論装置10における第1推論結果を有していればよいので、任意の順番で第1結果情報が受け渡されてもよい。加えて、空間Rにおいて可動部41がより早く通過する一部分を監視する推論装置10が、第1結果情報又は検知情報を優先して送信されてもよい。これにより、空間Rにおいて可動部T41が早く通過する一部分に障害物が存在するか否かを優先して判定することが可能となる。その結果、クレーンT4が障害物に干渉してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0088】
以下、本発明の構成要件について記載する。
<発明1>
互いに情報を送受信可能に接続されており、互いに異なる入力情報をそれぞれ取得して対象物の状態を推論する複数の推論装置と、
前記推論装置に制御可能に接続されている少なくとも1つの機器と、
センシングを実行して前記入力情報を生成し、生成した前記入力情報を前記複数の推論装置のうちの対応する前記推論装置に出力する複数のセンサと、
を備え、
前記複数の推論装置のうちの1つの前記推論装置は、
前記入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて対象物の状態を推論した結果である第1推論結果を生成する推論部と、
別の前記推論装置から、前記別の推論装置における第2推論結果を含む第1結果情報を受信する受信部と、
前記第1推論結果及び前記第2推論結果に少なくとも基づいて判定結果を生成する判定部と、
前記判定結果に少なくとも基づいて前記機器を制御する制御部と、を有する、情報処理システム。
<発明2>
前記入力情報は、前記対象物を撮像した画像であり、
前記推論部は、前記画像における前記対象物の外観に基づいて、前記対象物の状態を推論した結果である前記第1推論結果を生成する、発明1に記載の情報処理システム。
<発明3>
前記複数の推論装置のうちの1つの前記推論装置は、更に別の前記推論装置に、前記第1結果情報に前記第1推論結果を追加した第2結果情報を送信する送信部を更に備える、発明1又は2に記載の情報処理システム。
<発明4>
前記対象物は、所定の流路上を上流から下流に流れる動体であり、
複数の前記機器は、前記流路に沿って配置されており、前記対象物の流れの量を増減させるように動作する機器であり、
前記複数のセンサは、前記流路に沿って配置されており、
前記複数の推論装置は、前記機器ごとに動作を制御可能に設けられており、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて前記流れの量を推論した結果である前記第1推論結果を生成し、
前記受信部は、前記流路の上流側において隣り合う前記別の推論装置から前記第1結果情報を受信し、
前記送信部は、前記流路の下流側において隣り合う前記更に別の推論装置に、前記第2結果情報を送信し、
前記判定部は、前記第1推論結果と前記第2推論結果との間の差分を計算して、第1閾値と前記差分とを比較した結果である第1の比較結果を生成する第1比較処理を実行し、
前記制御部は、前記第1の比較結果に基づいて、該制御部に対応する前記推論装置及び前記別の推論装置のいずれかに対応する前記機器を制御する、発明3に記載の情報処理システム。
<発明5>
前記判定部は、前記第1推論結果と第2閾値とを比較した結果である第2の比較結果を生成する第2比較処理を実行し、
前記制御部は、前記第2の比較結果に基づいて、該制御部を有する前記推論装置に対応する前記機器を制御する、発明4に記載の情報処理システム。
<発明6>
前記対象物は、移動体及び前記移動体が通行可能な経路であり、
前記複数の推論装置及び前記複数のセンサは、複数の前記経路ごとに対応して設けられており、
複数の前記機器は、前記推論装置ごとに設けられており、前記移動体に対して通行を許可する許可情報を通知する装置であり、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて、前記経路上における前記移動体の存在を推論した前記第1推論結果を生成し、
前記判定部は、前記複数の推論装置において生成された複数の第1推論結果に基づいて、前記経路上の前記移動体の通行を許可するか否かを判定した前記判定結果を生成し、
前記制御部は、前記複数の推論装置のいずれかの前記判定部によって生成された前記判定結果に基づいて、当該経路に対応する前記機器に対して、前記許可情報の通知/非通知を制御する、発明1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
<発明7>
前記推論部は、前記第1推論結果において前記経路上において前記移動体が存在すると推論した場合、前記入力情報に基づいて前記移動体の種別を推論した種別推論結果を更に生成して、前記第1推論結果に追加し、
前記判定部は、前記複数の第1推論結果に含まれる複数の前記種別推論結果に基づいて、前記経路上の前記移動体の通行を許可するか否かを判定した前記判定結果を生成する、発明6に記載の情報処理システム。
<発明8>
前記対象物は、可動式機械であり、
前記複数の推論装置及び前記複数のセンサは、前記可動式機械の周辺に位置しており、
前記機器は、前記可動式機械に設けられており、前記判定結果に関する情報を通知可能であり、
前記推論部は、前記入力情報に基づいて前記可動式機械の周辺の一部分における障害物の有無を推論した結果である前記第1推論結果を生成し、
前記判定部は、前記複数の推論装置において生成された複数の前記第1推論結果に基づいて、前記可動式機械の周辺における前記障害物の有無を判定した結果である前記判定結果を生成し、
前記制御部は、前記判定部によって前記可動式機械の周辺に障害物が存在するという前記判定結果が生成された場合、前記可動式機械の周辺に障害物が存在することを示す前記情報を通知するように前記機器を制御する、発明1~3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
<発明9>
前記受信部は、前記可動式機械が動作していることが検知されたことを示す検知情報を受信し、
前記推論部は、前記受信部によって前記検知情報又は前記第1結果情報が受信された場合に、前記第1推論結果の生成を開始する、発明8に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0089】
1,1A,1B,1C 情報処理システム
2,2(1),2(2),2(3),2(4) センサ
3,3(1),3(2),3(3) 制御装置
10,10(1),10(2),10(3),10(4) 推論装置
11 取得部
12 推論部
13 受信部
14 送信部
15 判定部
16 制御部
F 流路
T 対象物
T1 河川(対象物、動体)
T2,T21,T22 自動車(対象物、移動体)
T3,T31,T32 道路(対象物、経路)
T4 クレーン(対象物)
T41 可動部(対象物)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6