(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025166
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
B65D41/34 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128388
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】原田 拓治
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD01
3E084HD04
3E084KA13
3E084KB01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】本発明に係るキャップによれば、不正開封を抑止しつつ、落下等の衝撃によるキャップの回転を防止するキャップを提供することができる。
【解決手段】本発明に係るキャップは、容器口部に取り付けられるキャップであって、回転方向に回転するキャップ本体と、環状のバンド3と、を備え、バンド3は、複数の係止爪部321を備える第一バンド32と、キャップ本体と第一バンド32とを接続する第一接続部38と、を有し、係止爪部321は、基端部を第一バンド32の内側の内側面32cに連結され、先端部を閉栓側に向けて延在して第一バンド32との間に谷部を形成しており、最も第一接続部38の近くに配置された第一係止爪部322の谷部322hの深さは、第二係止爪部323の谷部323hの深さよりも短く、第一係止爪部322の全体長さに対して少なくとも35パーセントより長く、55パーセント以下である。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止突起部を備えた容器口部に取り付けられるキャップであって、
前記容器口部に螺合して回転方向の閉栓側に回転して閉栓可能なキャップ本体と、
前記回転方向に垂直な上下方向において前記キャップ本体の下側に備えられた環状のバンドと、
を備え、
前記バンドは、
前記回転方向に沿って配置され、閉栓時に前記係止突起部に当接する複数の係止爪部を備える第一バンドと、
前記第一バンドよりも前記閉栓側に設けられ、前記キャップ本体と前記第一バンドとを接続する第一接続部と、
を有し、
複数の係止爪部は、基端部を前記第一バンドの内側の内側面に連結され、先端部を前記回転方向の前記閉栓側と反対方向の開栓側に向けて、前記第一接続部よりも前記開栓側に延在して前記第一バンドとの間に谷部を形成し、前記閉栓側の回転を許容して前記先端部を前記係止突起部に当接して前記開栓側の回転を規制しており、
複数の係止爪部のうち最も前記第一接続部の近くに配置された係止爪部である第一係止爪部の前記谷部の深さは、複数の係止爪部のうち他の係止爪部である第二係止爪部の前記谷部の深さよりも短く、
前記第一係止爪部の前記谷部の深さは、前記第一係止爪部の前記基端部から前記先端部までの全体長さに対して少なくとも35パーセントより長く、55パーセント以下である
キャップ。
【請求項2】
前記キャップは、前記バンドを二つ以上備えている、
請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記バンドは、前記第一バンドよりも前記閉栓側に備えられ、前記閉栓側の回転を許容し、前記係止突起部に当接して前記開栓側の回転を規制する第三係止爪部を備える第二バンドと、前記第一バンドと前記第二バンドとを連結する第一ブリッジと、をさらに有し、
前記第一ブリッジは、前記第三係止爪部が前記係止突起部と当接して前記開栓側への回転が規制されると破断する、
請求項1または請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記バンドは、
さらに前記第一バンドと前記第一ブリッジとの間に、前記上下方向の幅が前記第一ブリッジの幅より太く、前記第一バンドの幅より細い中間バンドを有し、
前記第一接続部は、前記中間バンドの上側に備えられる、
請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記回転方向における前記第二バンドの長さは、前記第一バンドの長さよりも短く、
前記キャップは、
前記キャップ本体と前記第二バンドとを接続する第二接続部を備えている、
請求項4に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から水やお茶あるいは清涼飲料水などの飲料用容器として、PETボトルなどのボトル容器やスパウト付き紙パック容器など開閉が可能なものが広く使用されている。それらの飲料容器の口部には、いたずらなどによる不正開封を抑止するための機能を備えたキャップが取り付けられている。キャップは、口部の外ネジに螺合する内ネジを有するキャップ本体と、このキャップ本体の周壁の下部に環状で破断可能なブリッジを有する不正開封防止バンド(タンパーエビデンスバンド、以下TEバンド)とからなるものが多く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、バンドが2つに分割され、そのバンドの間に設けられたブリッジが破断することで、開栓したことを目視で確認可能なTEバンドを備えたキャップが知られている。また、特許文献2に示すように、バンドを4つに分割して、さらにブリッジを増やすことでより視認性を向上させたTEバンドを備えたキャップが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-103721号公報
【特許文献2】特開2021-109667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載のようなTEバンドを有するキャップは、容器に対してキャップが未開栓の状態から、落下等の衝撃を受けると、閉栓側へ回転してしまう場合がある。すると、キャップのTEバンドに設けていたブリッジが破断してしまう恐れがあった。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、不正開封を抑止しつつ、落下等の衝撃によるキャップの回転を防止するキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係るキャップは、係止突起部を備えた容器口部に取り付けられるキャップであって、前記容器口部に螺合して回転方向の閉栓側に回転して閉栓可能なキャップ本体と、前記回転方向に垂直な上下方向において前記キャップ本体の下側に備えられた環状のバンドと、を備え、前記バンドは、前記回転方向に沿って配置され、閉栓時に前記係止突起部に当接する複数の係止爪部を備える第一バンドと、前記第一バンドよりも前記閉栓側に設けられ、前記キャップ本体と前記第一バンドとを接続する第一接続部と、を有し、複数の係止爪部は、基端部を前記第一バンドの内側の内側面に連結され、先端部を前記回転方向の前記閉栓側と反対方向の開栓側に向けて、前記第一接続部よりも前記閉栓側に延在して前記第一バンドとの間に谷部を形成し、前記閉栓側の回転を許容して前記先端部を前記係止突起部に当接して前記開栓側の回転を規制しており、複数の係止爪部のうち最も前記第一接続部の近くに配置された係止爪部である第一係止爪部の前記谷部の深さは、複数の係止爪部のうち他の係止爪部である第二係止爪部の前記谷部の深さよりも短く、前記第一係止爪部の前記谷部の深さは、前記第一係止爪部の前記基端部から前記先端部までの全体長さに対して少なくとも35パーセントより長く、55パーセント以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るキャップによれば、不正開封を抑止しつつ、落下等の衝撃によるキャップの回転を防止するキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るキャップを模式的に示す斜視図である。
【
図3】同キャップを上下方向の上側から見た状態を示す図である。
【
図4】同キャップ未開栓時のバンドと容器口部を示す断面図である。
【
図5】
図4のII-II断面に沿う、同キャップを装着する容器の容器口部を下側から見た状態を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図1のI-I断面に沿う、同キャップを模式的に示す断面図である。
【
図7】同キャップのバンドを模式的に示す斜視図である。
【
図8】同キャップのバンドを模式的に示す側面図である。
【
図9】同キャップのバンドを上下方向の下側から見た状態を示す図である。
【
図10】同キャップのバンドに備えられた第一バンドと、第一接続部とを上下方向の下側から見た状態を拡大した図である。
【
図11】同キャップのバンドを上下方向の上側から見た状態を示す図である。
【
図12】同キャップに備えられたバンドの折れ曲がり部を模式的に示す斜視図である。
【
図13】同キャップ未開栓時のバンドの第一接続部、第一フィン及び第二フィンの配置と容器口部の係止突起部の配置を下側から見た状態を模式的に示す図である。
【
図14】同キャップに備えられた容器口部の係止突起部がバンドの第一フィンに係止した状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、
図1から
図14を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、相互に対応する構成については同一の符号を付し、重複部分については説明を省略する場合がある。さらに、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係るキャップ1を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1のキャップ1を模式的に示す側面図である。
図3は、
図1のキャップ1を上下方向Zの上側Z1から見た状態を示す図である。
図4は、
図1のキャップ1未開栓時のバンド3と容器口部110を示す図である。
【0012】
[キャップ1]
以下のキャップ1の説明において、キャップ1の中心軸O1が延びる方向を上下方向Zとして、上方を上側Z1とし、下方を下側Z2とする。また、キャップ1の中心軸O1と直交する径方向を径方向P(
図5参照)として、中心軸O1を向く方向を内側P1とし、中心軸O1と反対を向く方向を外側P2とする。さらに、キャップ1の中心軸O1を中心とする方向を開閉方向(回転方向)Rとし、
図1に示すように、キャップ1をZ1方向から見たときの右回転を閉栓側R1とし、左回転を開栓側R2とする。キャップ1をR2方向に回転させることでキャップ1は閉栓され、R1方向に回転させることでキャップ1は開栓される。ただし、これは、あくまで説明の便宜のために上下方向Z及び開閉方向Rを定義したものであって、本発明のキャップ1が実際に装着されたときの設置姿勢を限定するものではない。また、径方向Pは、キャップ1の中心軸O1と直交していなくてもよい。また、開閉方向Rの閉栓側R1及び開栓側R2は、右回転と左回転が逆になっていてもよい。
【0013】
キャップ1は、
図1から
図4に示すように、容器100の容器口部110に装着され、容器口部110に対して開閉方向Rに回転し、容器100を開閉する。ここでキャップ1の回転方向は、開閉方向Rと一致する。キャップ1の材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂等が用いられる。キャップ1は、キャップ本体2と、バンド3と、を備える。
【0014】
[容器100]
ここで、容器100について説明する。容器100は、
図4に示すように、内容物として液体、粉体等を収容する。容器100に収容された内容物は、容器100の上側Z1に溶着された中空円筒状の容器口部110の開口部110aから注出される。容器100は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂で形成されている。
【0015】
容器口部110は、例えば、ボトルの口部であってもよいし、また、袋状容器に溶着されているスパウトと呼ばれる筒状形状の注出具であってもよい。容器口部110は、外側P2に備えられた外側面111に雄ねじ部120と、係止突起部130とを備える。
【0016】
雄ねじ部120は、容器口部110の外側面111に備えられ、後述するキャップ本体2の雌ねじ部24と螺合する。
【0017】
図5は、キャップ1を装着する容器100の容器口部110を下側Z2から見た状態を模式的に示す断面図である。なお
図5においては、キャップ1の図示を省略している。
係止突起部130は、
図4に示すように、雄ねじ部120よりも下側Z2に備えられた突起部分である。係止突起部130は、
図5に示すように、第一係止突起部131と、第二係止突起部132とを備える。
【0018】
第一係止突起部131は、
図5に示すように、径方向Pの外側P2に突出する突起部分である。第一係止突起部131は、外側P2の先端に第一係止面131aを備える。また、第一係止突起部131は、開栓側R2に第一係止閉側面131cを備え、閉栓側R1に第一係止開側面131bを備える。第一係止開側面131bは、径方向Pの外側P2に向かって延びる面である。第一係止閉側面131cは、径方向Pの外側P2に沿って延び、閉栓側R1に傾斜した面である。第一係止突起部131は、
図5に示すように、中心軸O1に対して線対称となるように容器口部110の外側面111に2つ設けられている。
【0019】
第二係止突起部132は、
図5に示すように、径方向Pの外側P2に突出する突起部分である。第二係止突起部132は、第一係止突起部131と同様に、外側P2の先端に第二係止面132aを備える。また、第二係止突起部132は、開栓側R2に第二係止閉側面132cを備え、閉栓側R1に第二係止開側面132bを備える。第二係止開側面132bは、径方向Pの外側P2に向かって延びる面である。第二係止閉側面132cは、径方向Pの外側P2に沿って延び、閉栓側R1に傾斜した面である。
【0020】
第二係止突起部132は、
図5に示すように、外側面111において、第一係止突起部131に対して開閉方向Rに約90度ずれて配置されており、中心軸O1に対して線対称となるように2つ設けられている。そのため、第一係止突起部131及び第二係止突起部132は、容器口部110において、開閉方向Rに均等に配置されている。なお、第一係止突起部131及び第二係止突起部132の個数は、特に限定されない。
【0021】
第一係止突起部131は、例えば、
図4に示すように、閉栓作業後のキャップ1の閉栓状態(以下、未開栓状態)において、第一係止面131aを後述の折れ曲がり部60の受け板部61に当接されている。ただし、第二係止突起部132が、折れ曲がり部60の受け板部61に当接されていてもよく、特に限定されない。第一係止突起部131及び第二係止突起部132は、開栓時に後述する第一フィン321及び第二フィン331を第一係止開側面131bと第二係止開側面132bとに当接させており、キャップ1は、開閉方向Rの回転を制御される。
【0022】
[キャップ本体2]
図6は、
図1のI-I断面に沿う、キャップ1を模式的に示す断面図である。
キャップ本体2は、
図1から
図4または
図6に示すように、容器100の容器口部110を上下方向Zの上側Z1から覆う。キャップ本体2は、容器口部110に螺合して回転方向Rの開栓側R2に回転して開栓可能であり、閉栓側R1に回転して閉栓可能である。キャップ本体2は、天壁部21と、周壁部22と、を備える。
【0023】
天壁部21は、略円盤状であり、キャップ本体2の上側Z1に備えられる。天壁部21は、上側Z1から容器口部110の開口部110aを覆う。天壁部21は、下側Z2に備える天壁下面21bにインナーリング212を備える。
【0024】
インナーリング212は、
図4または
図6に示すように、後述する周壁部22よりも内側P1に備えられる。インナーリング212は、略中空円筒状であり、天壁部21から下側Z2に延在する。インナーリング212の上下方向Zの長さは、周壁部22よりも短い。インナーリング212は、キャップ1を上側Z1から容器口部110に取り付けた際に、容器口部110の内側P1の内側面112に摺動しながら当接する。この構成により、容器100の収納物は、容器100の外部に漏れることなく収容される。
【0025】
周壁部22は、
図1から
図4に示すように、キャップ1の中心軸O1を中心とする略中空円筒状に形成されている。周壁部22は、天壁部21の縁部21fから下側Z2に延在する。周壁部22は、天壁部21の縁部21fから下側Z2に向けて径方向Pの外側P2に開いたテーパー状に形成される。周壁部22は、周壁部22の外側P2に備えられた外周面221に突条部23を備える。また、周壁部22は、周壁部22の内側P1に備えられた内周面に雌ねじ部24を形成する。
【0026】
突条部23は、
図1から
図3に示すように、キャップ1の中心軸O1から径方向Pの外側P2に向けて略凸状に張り出した指掛けの部分である。各突条部23は、周壁部22の上側Z1から下側Z2にかけて直線状に形成している。突条部23は、所定の間隔をあけて、周壁部22の開閉方向Rに沿って複数配列している。各突条部23の径方向Pの外側P2に張り出した張り出し量は、それぞれ同一でなくてもよい。
【0027】
例えば、本実施形態では、
図1から
図3に示すように、複数の突条部23のうち、張り出し量が大となる突条部23を第一突条部23aとする。第一突条部23aは、開閉方向Rに沿って周壁部22の四方へ均等に配置される。次に、複数の突条部23のうち、張り出し量が大より小さな中となる突条部23を第二突条部23bする。第二突条部23bは、各第一突条部23aの間に、2つずつ均等に配置される。さらに、複数の突条部23のうち、張り出し量が中より小さな小となる突条部23を第三突条部23cする。第三突条部23cは各第一突条部23aの間に、1つずつ均等に配置される。そのため、図示しない消費者がキャップ本体2の周壁部22を把持して、キャップ1を開閉方向Rに開閉する際に、指先に滑りが生じないようにすることができる。なお、各突条部23の張り出し量は特に限定されず、すべて同一であってもよい。
【0028】
雌ねじ部24は、
図4または
図6に示すように、周壁部22の内側P1に備えられる。雌ねじ部24は、キャップ1を開閉方向Rに開閉する際に、容器口部110に備えられた雄ねじ部120と羅合する。この構成によって、キャップ1は、開閉方向Rの閉栓側R1に回転させると容器100に装着され、開閉方向Rの開栓側R2に回転させると容器100から取り外される。
【0029】
[バンド3]
図7は、
図1のキャップ1のバンド3を模式的に示す斜視図である。
図8は、
図1のキャップ1のバンド3を模式的に示す側面図である。
バンド3は、
図1または
図7に示すように、中心軸O1を中心として略環状に形成され、キャップ本体2の下側Z2に備えられる。バンド3は、上下方向Zにおいて、
図6に示すように、キャップ本体2との間に略等間隔の隙間S1をあけて備えられる。本実施形態では、上下方向Zの隙間S1の幅は、0.5mm程度に設定している。バンド3は、開栓側R2に回転されると、その行為が目視で判別可能となるタンパーエビデンス式のキャップに用いられる。バンド3は、
図6に示すように、バンド本体(バンド)30を2つ備える。なお、隙間S1の幅は、特に限定されないが、キャップ1の製造を容易にするため、少なくとも0.2mm以上に設定するのが望ましい。
【0030】
ここで、中心軸O1を通り、中心軸O1に垂直であって、バンド3の中心を通る軸線を第一軸線O2とする。バンド3は、
図7に示すように、第一軸線O2を線対称として、開閉方向Rに沿って2つのバンド本体30を後述する第二ブリッジ35で連結することで、略環状に形成している。本実施形態では、バンド3は、バンド本体30を2つ備えている。正し、バンド本体30の個数は、特に限定されず、バンド3は、バンド本体30を1つのみ備えていてもよいし、2つ以上備えていてもよい。なお、以降の説明においては、2つのバンド本体30のうち、1つのバンド本体30について説明する。もう一つのバンド本体30については、略同じ構成であるとして適宜説明を省略する。バンド本体(バンド)30は、バンド側壁部31と、スリット部37と、第一接続部38と、第二接続部39と、を備える。
【0031】
バンド側壁部31は、
図7から
図8に示すように、バンド本体30の側壁であり、上下方向Zに延在する。バンド側壁部31は、中心軸O1から径方向Pに半円状に形成される。径方向Pにおけるバンド側壁部31の半径は、キャップ本体2の半径と略同じである。バンド側壁部31は、
図7に示すように、第一バンド(長バンド)32と、第二バンド(短バンド)33と、第一ブリッジ34と、第二ブリッジ35と、中間バンド36と、を有する。
【0032】
[第一バンド(長バンド)32]
第一バンド32は、バンド側壁部31の一部であり、径方向Pの幅が上下方向Z及び開閉方向Rの幅よりも短い略板状に形成されている。第一バンド32は、全体が中心軸O1における開閉方向Rに沿って弧を描くようにわずかに湾曲している。第一バンド32は、第一フランジ40aと、第一フィン(係止爪部)321とを備える。
【0033】
第一フランジ40aは、
図7に示すように、第一バンド32の上側Z1の上端32aに備えられる。第一フランジ40aは、上端32aから径方向Pの内側P1に突出し、延在している。第一フランジ40aの径方向Pの幅は、第一フランジ40aのどの部分も略同じになるように形成される。
【0034】
図9は、
図1のキャップ1のバンド3を上下方向Zの下側Z2から見た状態を示す図である。
図10は、
図1のキャップ1のバンド3に備えられた第一バンド32と、第一接続部38とを上下方向Zの下側Z2から見た状態を拡大した図である。
図11は、同キャップのバンドを上下方向Zの上側Z1から見た状態を示す図である。
図12は、
図1のキャップ1に備えられたバンド3の折れ曲がり部60を模式的に示す斜視図である。
第一フィン321は、閉栓側R1の回転を許容して係止突起部130に当接して開栓側R2の回転を規制している。第一フィン321は、第一接続部38よりも開栓側R2に複数備えられている。第一フィン321は、
図9に示すように、第一閉栓側フィン(第一係止爪部)322と、第二閉栓側フィン(第二係止爪部)323との2つを備える。ただし、第一フィン321の個数は特に限定されない。
【0035】
[第一閉栓側フィン(第一係止爪部)322]
第一閉栓側フィン(第一係止爪部)322は、
図10に示すように、複数の第一フィン321のうち最も第一接続部38の近くに配置されている。第一閉栓側フィン322は、基端部322pを第一バンド32の内側P1の第一バンド内側面(内側面)32cに連結されて、先端部322qを開閉方向Rの開栓側R2に向けて第一バンド内側面32cに沿って延在して第一バンド32との間に谷部(隙間)322hを形成する。また、第一閉栓側フィン322の上端(不図示)は、第一フランジ40aに連結する。第一閉栓側フィン322は、弾性変形して、容器口部110の係止突起部130が乗り越えることができる程度の可撓性を備えている。
【0036】
[第二閉栓側フィン(第二係止爪部)323]
第二閉栓側フィン(第二係止爪部)323は、
図10に示すように、複数の第一フィン321のうち第一閉栓側フィン322ではない他の第一フィン321である。第二閉栓側フィン323は、第一閉栓側フィン322よりも開栓側R2に設けられる。第二閉栓側フィン323は、基端部323pを第一バンド内側面32cに連結されて、先端部323qを開閉方向Rの開栓側R2に向けて第一バンド内側面32cに沿って延在して第一バンド32との間に谷部(隙間)323hを形成する。第二閉栓側フィン323の上端323aは、
図12に示すように、第一フランジ40aに連結する。第一閉栓側フィン322は、弾性変形して、容器口部110の係止突起部130が乗り越えることができる程度の可撓性を備えている。
【0037】
第一閉栓側フィン322の谷部322hの深さL1は、第二閉栓側フィン323の谷部323hの深さL2よりも短い。そのため、第一閉栓側フィン322は、第二閉栓側フィン323よりもわずかに弾性変形しにくくなっている。また、第一閉栓側フィン322の谷部322hの深さL1は、第一閉栓側フィン322の基端部322pから先端部322qまでの全体長さL3に対して、少なくとも35パーセントより長く、55パーセント以下の長さに設定するのが好ましい。ただし、第一閉栓側フィン322の谷部322hの深さL1の設定は、上述の記載に限定されない。
【0038】
ここで、第一フィン321は、
図9及び
図10に示すように、第一バンド内側面32cに第一閉栓側フィン322と第二閉栓側フィン323との2つ備えているが、これは第一係止突起部131が当接する第一接続部38の最も近くに配置されている第一閉栓側フィン322が係止し損ねた場合に、もう1つの第二閉栓側フィン323に係止させて後述する第二ブリッジ35を確実に破断するためである。
【0039】
[第二バンド(短バンド)33]
第二バンド33は、バンド側壁部31の一部であり、第一バンド32と同様に、径方向Pの幅が上下方向Z及び開閉方向Rの幅よりも短い略板状に形成されている。第二バンド33は、全体が中心軸O1における開閉方向Rに沿って弧を描くようにわずかに湾曲している。第二バンド33は、開閉方向Rの幅が第一バンド32の幅よりも短い。また、第二バンド33は、第一バンド32よりも閉栓側R1に備えられる。第二バンド33は、第二フランジ40bと、第二フィン(第三係止部)331と、を備える。
【0040】
第二フランジ40bは、
図7に示すように、第二バンド33の上側Z1の上端33aに備えられる。第二フランジ40bは、径方向Pの内側P1に突出し、延在している。第二フランジ40bの径方向Pの幅は、第一フランジ40aと略同じになる。
【0041】
第二フィン(第三係止部)331は、
図9に示すように、第二バンド33の内側P1の第二バンド内側面33cに沿って延在する。第二フィン331の基端331pは、第二バンド内側面33cに連結される。第二フィン331の先端331qは、開閉方向Rの開栓側R2を向いている。また、第二フィン331の上端(不図示)は、第二フランジ40bに連結する。第二フィン331は、第一フィン321と同様に、弾性変形して、容器口部110の係止突起部130が乗り越えることができる程度の可撓性を備えている。また、第二フィン331は、
図8に示すように、第二バンド内側面33cに2つ配置されているが、これは係止突起部130に近い位置にある第二フィン331が係止し損ねた場合に、もう1つの第二フィン331を係止突起部130に係止させて後述する第二ブリッジ35を確実に破断するためである。
【0042】
ここで、第一バンド32が有する第一フランジ40aと第二バンド33が有する第二フランジ40bとは、
図6に示すように、2つのバンド本体30が連結し、バンド3が形成された際に、略中空円盤状の1つのフランジ40を形成する。
【0043】
[第一ブリッジ34]
第一ブリッジ34は、
図7及び
図8に示すように、バンド側壁部31の一部であり、第二バンド33よりも開栓側R2に備えられる。第一ブリッジ34は、後述する中間バンド36を介して、第一バンド32と第二バンド33とを連結する。上下方向Zにおける第一ブリッジ34の幅H2は、第一バンド32、第二バンド33及び中間バンド36よりも細い。
【0044】
[第二ブリッジ35]
第二ブリッジ35は、バンド側壁部31の一部であり、第二バンド33の閉栓側R1に備えられる。上下方向Zにおける第二ブリッジ35の幅H3は、第一バンド32、第二バンド33及び中間バンド36よりも細く、さらに第一ブリッジ34の幅H2よりも細い。ただし、第二ブリッジ35の幅H3は、特に限定されない。
【0045】
[中間バンド36]
中間バンド36は、
図7及び
図8に示すように、バンド側壁部31の一部であり、第一バンド32と第一ブリッジ34との間に備えられる。上下方向Zにおける中間バンド36の幅は、第一ブリッジ34の幅H2及び第二ブリッジ35の幅H3より太く、第一バンド32の幅より細い。そのため、開栓作業の際に、引っ張り力は、より第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35にかかるため、中間バンド36は破断せずに第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35が破断する。
【0046】
[スリット部37]
スリット部37は、
図7及び
図8に示すように、バンド側壁部31の上側Z1から下側Z2に向かって形成されたスリットである。スリット部37の開閉方向Rの幅は、後述する第一接続部38がスリット部37に収まり、さらに、開閉方向Rにおいて第一接続部38の両側に隙間を有する程度の大きさに形成される。
【0047】
[第一接続部38]
第一接続部38は、第一バンド32よりも閉栓側R1に設けられ、キャップ本体2と、中間バンド36を介して第一バンド32とを接続する。第一接続部38は、中間バンド36の上側Z1に備えられ、スリット部37に収まる。第一接続部38は、
図12に示すように、連結部381と、折れ曲がり部60とを備える。
【0048】
連結部381は、第一接続部38の上側Z1に備えられ、上端がキャップ本体2に連結する。連結部381の下端は、折れ曲がり部60に連結する。
【0049】
[折れ曲がり部60]
折れ曲がり部60は、連結部381の下端に備えられ、中間バンド36の上端に連結している。折れ曲がり部60は、
図12に示すように、連結部381の下端から分岐して受け板部61と、支柱部62とを備える。
【0050】
受け板部61は、上下方向Zにおいて、上側Z1の上端を連結部381に連結し、下側Z2の下端を下側Z2に向けて形成している。受け板部61は、径方向Pの内側P1と外側P2とに内面61a及び外面61bを有し、略板状に形成されている。受け板部61は、閉栓作業前の状態では、
図12に示すように、上下方向Zにおいて下端と上端とは略同一直線上に配列される。また、受け板部61は、未開栓状態では、
図4に示すように、受け板部61の内面61aが径方向Pにおいて容器口部110の係止突起部130のうち、第一係止突起部131の第一係止面131aに当接する。このとき、係止突起部130の第一係止突起部131が受け板部61の下端を外側P2に押し込む。そのため、受け板部61の下端は、上端よりも外側P2に配置される。
【0051】
受け板部61は、
図11に示すように、開閉方向Rの両側の端部がR付けされて断面円弧の表面形状に設けられている。そのため、キャップ1の開閉操作の際に受け板部61が係止突起部130に係止しない。この構成により、受け板部61は、係止突起部130を乗り越えたり、係止突起部130のうち、第一係止突起部131が外側P2に備えている第一係止面131aに適正に配置できたりする。なお、受け板部61は、閉栓作業時に、係止突起部130に係止しない形状であればよく、上述した形状に限定されない。
【0052】
支柱部62は、バンド3の外側P2向けて撓み変形可能な支柱である。支柱部62の上端は、受け板部61の外面61bの上側Z1に連結している。また、支柱部62の下側Z2の下端は、中間バンド36の上側Z1に連結している。支柱部62は、径方向Pにおいて上側Z1の上端が下端よりも内側P1に備えられ、中心軸O1に傾いて形成している。開閉方向Rにおける支柱部62の幅は、受け板部61の幅よりも小さい。
【0053】
図13は、
図1のキャップ1未開栓時のバンド3の第一接続部38、第一フィン321及び第二フィン331の配置と容器口部110の係止突起部130の配置を下側Z2から見た状態を模式的に示す図である。
本実施形態では、
図13に示すように、未開栓状態を含めてキャップ本体2が容器口部110を適正に閉栓する角度位置にしたとき、開閉方向Rにおける位置関係において、係止突起部130の第一係止突起部131と折れ曲がり部60とが、径方向Pに配列されるように設定されている。支柱部62は、未開栓状態において、撓んでおり、この撓みを元に戻そうとする復元力によって、折れ曲がり部60に連結している中間バンド36を、外側P2に向けて付勢する。
【0054】
[第二接続部39]
第二接続部39は、
図7及び
図8に示すように、キャップ本体2と第二バンド33とを接続する。第二接続部39の上側Z1の上端は、キャップ本体2の一部に連結される。第二接続部39の下側Z2の下端は、第二バンド33の上端であって、開閉方向Rの閉栓側R1に連結される。
【0055】
[キャップ1の動作及び作用]
次に、
図13から
図14を参照して、キャップ1の動作及び作用について説明する。
図14は、
図1のキャップ1に備えられた容器口部110の係止突起部130がバンド3の第一フィン321に係止した状態を模式的に示す図である。
【0056】
(作用1)
まず、本実施形態において、バンド3の第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35の破断の作用を説明する。第一フィン321及び第二フィン331の開閉方向Rの配置は、開栓時に、キャップ本体2が開栓側R2に回転する動きに伴う。第二フィン331が係止突起部130に係止するとき、第一バンド32の第一フィン321は、係止突起部130に非係止状態で近接する位置となる。具体的には、開閉方向Rの開栓側R2を向いている第二フィン331の先端331qが係止突起部130に係止するとき、第一フィン321は、係止突起部130に当接しない程度にずれており、係止突起部130に非係止状態で近接する位置となる。
【0057】
まず、製造工程の中で、キャップ1が容器100に対して最初に取り付けられる(閉栓作業)。キャップ1は、容器100に閉栓側R1へ回転させることで取り付けられる。このとき、第一バンド32の第一フィン321及び第二バンド33の第二フィン331は、容器口部110の係止突起部130に係止するが、弾性変形して、容器口部110の係止突起部130を乗り越えることができる程度の可撓性を備えている。第一フィン321及び第二フィン331は、係止突起部130の第一係止閉側面131c及び第二係止閉側面132cに当接し係止する。しかし、第一係止閉側面131c及び第二係止閉側面132cは閉栓側R1に傾斜しているため、第一フィン321及び第二フィン331は、バンド3の閉栓側R1の回転を許容し、係止突起部130をスムーズに乗り越えて移動する。第一フィン321及び第二フィン331が弾性変形して復元力を発生させ、バンド3に引っ張り力が与えられると、上下方向Zにおいて第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35により力が加わる。しかし、第一フィン321及び第二フィン331は、係止突起部130がスムーズに乗り越えて移動できるため、第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35は、破断しない。
【0058】
閉栓作業後のキャップ1の未開栓状態は、
図13に示すように、径方向Pにおいて容器口部110の第一係止突起部131の有する第一係止面131aが受け板部61の内面61aに当接する。受け板部61は、下端を外側P2に押し込んだ状態になる。
【0059】
次に、消費者によって、キャップ1の未開栓状態からキャップ1が開栓側R2へ回転される(開栓作業)。開栓側R2へキャップ本体2を回転させると、第一バンド32と第二バンド33とは、第一接続部38及び第二接続部39に連結されたキャップ本体2の動きに伴って開栓側R2に回転する力が加わる。
【0060】
すると、最初に第二フィン331の先端331qと第一係止突起部131の第一係止開側面131bとが係止し、この係止によって第一バンド32の開栓側R2の回転が規制されて停止する。このとき、第一フィン321は、第一係止突起部131及び第二係止突起部132に当接しない程度にずれており、係止していない。第二フィン331が第一係止突起部131に係止している状態で、さらにキャップ1を開栓側R2へ回転させると、第二フィン331は、弾性変形して、第一係止突起部131を乗り越える。このとき、第二フィン331は、閉栓作業時よりも大きく弾性変形して係止突起部130を乗り越える。さらに、第二フィン331は、バンド3を外側P2に押し出すように付勢する。バンド3には、開閉方向Rに引っ張り力が与えられ、上下方向Zにおいて第一バンド32、第二バンド33及び中間バンド36よりも幅の細い第一ブリッジ34により力が加わり第一ブリッジ34が破断する。
【0061】
第一ブリッジ34が破断すると、バンド3は2つに割れる。バンド3は、後述する折れ曲がり部60の作用によって、中間バンド36がバンド3の外側P2に張り出る。これにより、中間バンド36の開栓側R2に配置された第一バンド32の第二フィン331が係止突起部130から外れ易くなる。第一ブリッジ34が先に破断した後も、キャップ本体2の開栓側R2への回転が行われると、バンド3は、第二接続部39によってキャップ本体2に連結されているため、開栓側R2に回転する。その後、第一フィン321は、先端部を第二係止突起部132の第二係止開側面132bに係止(当接)して開栓側R2の回転を規制する。第一フィン321は、弾性変形して、第二係止突起部132を乗り越える。このとき、第一フィン321は、閉栓作業時よりも大きく弾性変形して第二係止突起部132を乗り越える。これにより、第二ブリッジ35に引っ張り力が加わり、第二ブリッジ35が破断する。第二ブリッジ35の破断によって、第一閉栓側フィン(第一係止爪部)322及び第二閉栓側フィン(第二係止爪部)323が係止突起部130から外れる。以上により、消費者はキャップ1を容器100から取り外すことができる。
【0062】
このように第一ブリッジ34は、第二ブリッジ35よりも先に破断し、第二ブリッジ35が、第一ブリッジ34の破断後に遅れて破断するようにして、破断タイミングをずらすことができる。なお、第一ブリッジ34が切れるときと、第二ブリッジ35が切れるときとの破断タイミングのズレ時間は短時間になるように設けられており、スムーズな開栓操作が損なわれないように図られている。
【0063】
(作用2)
次に、第一フィン321の動作及び作用について説明する。
キャップ本体2が容器口部110を適正に閉栓する角度位置にしたとき、開閉方向Rにおける位置関係において、
図13に示すように、係止突起部130と折れ曲がり部60とは、径方向Pに配列される。
【0064】
この状態において、例えば、落下等による意図しない衝撃が、キャップ1に加えられると、閉栓側R1へキャップ本体2が回転し、第一バンド32と第二バンド33とが、第一接続部38及び第二接続部39に連結されたキャップ本体2の動きに伴って閉栓側R1に回転する力が加わる場合がある。
【0065】
このとき、第一接続部38に当接していた容器口部110の第一係止突起部131が、回転方向Rの閉栓側R1に移動するようにキャップ1が回転する。すると、第一係止突起部131は、第一バンド内側面32cにおいて、第一接続部38よりも開栓側R2に設けられた複数の第一フィン321のうち、最も第一接続部38の近くに配置されている第一閉栓側フィン322を乗り越えようとする。しかし、第一閉栓側フィン322は、第二閉栓側フィン323が第一バンド内側面32cとの間に形成する谷部323hの深さL2よりも短い深さL1を有する谷部322hを設けている。そのため、第一閉栓側フィン322は、第二閉栓側フィン323よりもわずかに弾性変形しにくくなっている。第一フィン321は、落下等による意図しない衝撃があっても、弾性変形せず、第一係止突起部131を乗り越えない。
【0066】
(作用3)
次に、第一接続部38の折れ曲がり部60の作用を説明する。
本実施形態では、未開栓のキャップ1を開閉方向Rに回転させることで、第一ブリッジ34が破断するとともに、第二ブリッジ35が破断する。その後、容器口部110から取り外したキャップ本体2を、再度容器口部110に取り付けて閉栓側R1に回転させる。キャップ本体2が容器口部110を適正に閉栓する角度位置にしたとき、開閉方向Rにおける位置関係において、係止突起部130と折れ曲がり部60とは、径方向Pに径方向Pに配列される。
【0067】
折れ曲がり部60の受け板部61は、係止突起部130に当接する。第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35は、既に破断されているため、受け板部61の支柱部62は、撓むことなく傾斜した状態となる。すると、第一接続部38の下側Z2の中間バンド36は、バンド3の外側P2に張り出る。さらに、中間バンド36に連結している第一バンド32も、バンド3の外側P2に張り出る状態となる。そのため、一旦開栓した後にキャップ1を容器100に取り付けても、第一バンド32が外側P2に張り出ており、キャップ1が容器100から開栓済みであることが目視で容易に確認できる。
【0068】
また張り出た第一バンド32を内側P1に押し込んでも、開閉方向Rにおいて係止突起部130に重なる第一接続部38の折れ曲がり部60が復元力の作用によって第一バンド32を押し出し、最初の開栓前のバンド3の状態に復元させることが不可能となる。
【0069】
本実施形態では、キャップ1のバンド3が第一フィン321及び第二フィン331を備えている。そのため、第一フィン321及び第二フィン331は、開閉方向Rにおいてバンド3の閉栓側R1の許容し、開栓側R2の回転を規制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35のそれぞれが、破断タイミングにズレが生じるように、第二フィン331が係止突起部130に係止するとき、第一フィン321は、係止突起部130に非係止状態で近接する位置に設定されている。そのため、キャップ本体2を開栓側R2に回転させるときの回転力は、大きな力を要しない。これにより、消費者はキャップ1を容器100から容易に開栓することができる。
【0071】
また、本実施形態では、スリット部37に第一接続部38が形成されている。そのため、消費者はキャップ1を容器から一度開栓して再度閉栓した際に、第一接続部38がスリット部37から外側P2にずれるため、一度開閉したことを目視で確認しやすい。
【0072】
また、本実施形態では、第一閉栓側フィン322は、第二閉栓側フィン323が第一バンド内側面32cとの間に形成する谷部323hの深さL2よりも短い深さL1を有する谷部322hを設けている。そのため、落下等による意図しない衝撃が、キャップ1に加えられ、閉栓側R1へキャップ本体2が回転し、キャップ本体2の動きに伴ってバンド3が閉栓側R1に回転する力が加わっても、第一ブリッジ34及び第二ブリッジ35の破断を防ぎ、キャップ1の回転を防ぐことができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【実施例0074】
本発明のキャップ1について、実施例を用いてさらに説明する。なお、本発明の技術的範囲は、実施例の内容によって何ら制限されない。
【0075】
(実験)
第一フィン321に備えられた谷部322hの深さのNG領域を想定するために、現状のキャップ形状にて実験を行った。なお、NG領域とは、閉栓時のブリッジ破断に繋がる谷部(隙間)の深さを意味している。
【0076】
バンド3は、比較例1、比較例2及び実施例1を用いて実験行った。実験において、比較例1、比較例2及び実施例1に使用されるキャップ1のキャップ本体2はすべて同一である。また、比較例1、比較例2及び実施例1に使用されるキャップ1の材料等についてもすべて同一である。
【0077】
実施例1は、第一実施形態のバンド3である。また、比較例1は、実施例1のバンド3に対して第一フィン321に備えられた谷部322hに接着剤等を塗布し、さらに谷部322hの深さを短くしたバンドである。比較例2は、実施例1のバンド3に対してフィン根本へ溶融した樹脂を疑似接着して、さらに谷部322hの深さを短くしたバンドである。
【0078】
本機充填設備を想定し、例えば電動トルクドライバーを用いて、模擬的に容器100の容器口部110に比較例1、比較例2及び実施例1のサンプルを巻締して実験した。電動トルクドライバーは、回転数を約600rpm、またストップトルクを0.82N・m程度に設定した。実験の結果を表1に示す。
【0079】
【0080】
表1からわかるように、実施例1は、検査数10個のうち第一ブリッジまたは第二ブリッジの破断の発生個数が0個であった。また、比較例1は、検査数10個のうち第一ブリッジまたは第二ブリッジの破断の発生個数が3個であった。また、比較例2は、検査数10個のうち第一ブリッジまたは第二ブリッジの破断の発生個数が6個であった。
【0081】
実施例1、比較例1及び比較例2の結果より、実施例1は、ブリッジ破断が発生していないのに対し、比較例1及び比較例2は、いずれもブリッジ破断が発生している。すなわち、大幅な肉厚アップ(谷部の深さを短くする)は、キャップ回転防止には有効と判断するが、閉栓時のブリッジ破断を引き起こしてしまうリスクが高いことが分かった。
【0082】
以上の実験から、基本機能を維持しながら落下衝撃によるキャップ回転(すなわち、ブリッジ破断)防止の効果を狙う構造としては、第一フィン321の谷部の深さは、第一フィン321の全体長さを100パーセントとした時に35パーセントより長く、55パーセント以下となるように規定するのが好ましい。
【0083】
また、第一フィン321は、第一閉栓側フィン322と第二閉栓側フィン323との2つ備えているが、落下衝撃によりキャップが未開栓状態から閉栓側に回転されたときに、第一接続部に当接している係止突起部の最も近くに配置されている第一フィンのみに対して、谷部の深さを短くすることが好ましい。
【0084】
(変形例)
本発明のキャップは、特に限定されず、TEバンドを有するキャップ以外にも適用することができる。
【0085】
また、本発明のキャップを取り付ける容器の容器口部は、例えば、ボトルの口部であってもよいし、袋状容器に溶着されているスパウトと呼ばれる筒状形状の注出具であってもよい。
【0086】
また上述の実施形態のバンドは、バンド本体を2つ備えるが、特に限定されず、バンド本体を1つのみ備えていてもよいし、2つ以上備えていてもよい。
【0087】
いずれの上記形態においても、本発明に係るキャップによれば、不正開封を抑止しつつ、落下等の衝撃によるキャップの回転を防止するキャップを提供することができる。