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特開2024-25168保守計画策定装置および保守計画策定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025168
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】保守計画策定装置および保守計画策定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240216BHJP
   G21C 17/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G21C17/00 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128399
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】河野 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】檜 一平
(72)【発明者】
【氏名】原 康二
【テーマコード(参考)】
2G075
5L049
【Fターム(参考)】
2G075AA01
2G075BA17
2G075CA02
2G075EA09
2G075FC18
2G075GA35
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上または/および保全物量の削減に活用する。
【解決手段】保守計画策定装置100は、機器に係る点検内容によって構成される保全活動・監視項目、および、複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されたフィールドデータを格納する記憶部20と、保全有効性指標テーブル23に基づいて、フィールドデータの複数の点検内容の対応の要否を判定する健全性監視部12と、健全性監視部12により対応不要と判定された点検内容を適正化する是正措置部15とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に係る点検内容によって構成される保全活動・監視項目、および、前記複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されたフィールドデータを格納する記憶部と、
保全有効性指標に基づいて、前記フィールドデータの前記複数の点検内容の対応の要否を判定する健全性監視部と、
前記健全性監視部により対応不要と判定された点検内容を適正化する是正措置部と、
を有することを特徴とする保守計画策定装置。
【請求項2】
前記是正措置部は、前記複数の点検内容のうち対応不要と判定された点検内容の点検結果を、次回の点検内容による点検結果として固定させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記機器の重要度を格納しており、
前記是正措置部は、前記点検結果を、前記点検内容に係る前記機器の重要度に反映させる、
を有することを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項4】
前記点検内容に係る機器の時間経過に伴う劣化を予測する信頼性改善部を更に有し、
前記健全性監視部は、前記点検結果が示す劣化と前記点検内容に係る劣化の予測値とが乖離していたとき、前記点検内容に係る機器への対応が必要と判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項5】
前記フィールドデータの時系列の点検結果の劣化度が、発散と収束の後に再び発散したことを判定する信頼性改善部を更に有し、
前記健全性監視部は、前記フィールドデータの時系列の点検結果の劣化度が、発散と収束の後に再び発散したならば、前記点検結果に係る機器への対応が必要と判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項6】
前記記憶部には、前記点検内容に係る設備構成情報、物理構成、および、設計要件が格納されており、
前記健全性監視部は、前記設備構成情報、前記物理構成、および、前記設計要件のうち長期間に亘って変更されていない項目があれば、前記項目に係る点検内容の対応が必要と判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項7】
前記健全性監視部は、前記フィールドデータに基づいて、前記点検結果のうち、過去から現在に至る時系列において収束傾向にある項目を特定し、当該点検結果に係る点検内容につき対応不要と判定することを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項8】
前記健全性監視部は、前記フィールドデータに基づいて、前記点検結果の過去から現在に至る時系列の収束傾向の高低に応じて、前記点検結果に係る前記点検内容の優先順位を設けることを特徴とする請求項1に記載の保守計画策定装置。
【請求項9】
コンピュータに、
保全有効性指標に基づいて、機器に係る複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されたフィールドデータの前記複数の点検内容の対応の要否を判定する手順、
対応不要と判定された点検内容を適正化する手順、
を実行させるための保守計画策定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守計画策定装置および保守計画策定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の高度保全のため、機器信頼性や仕事管理、構成管理などの技術が開発名されている。原子力発電所では、機器や設備の保全のために定期点検などを行い、この保全から得られるデータを活用している。
特許文献1には、陳腐化したチェック項目をチェックリストから除き、必要な項目のみをチェックリストに残すことによりチェックリストを最適化する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-256437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空産業や原子力発電所などに使用される高信頼性機器が含まれる設備の保全では、保全から得られるデータを、価値ある情報に変換して保全に活用することが望まれている。具体的にいうと、水圧など圧力を調整する設備の保全からは、約90%以上の修繕や取り換えなどの保全活動が不要な良好データと約数%以下の部品の交換など通常の保全活動が必要なデータが得られる。従来は、保全活動全体の約数%以下の保全活動が必要なデータを保全に活用していた。しかし、保全活動全体の約90%以上を占める良好データは活用されていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上または/および保全物量の削減に活用することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明の保守計画策定装置は、機器に係る点検内容によって構成される保全活動・監視項目、および、前記複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されたフィールドデータを格納する記憶部と、保全有効性指標に基づいて、前記フィールドデータの前記複数の点検内容の対応の要否を判定する健全性監視部と、前記健全性監視部により対応不要と判定された点検内容の保全周期を適正化する是正措置部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の保守計画策定プログラムは、コンピュータに、保全有効性指標に基づいて、機器に係る複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されたフィールドデータの前記複数の点検内容の対応の要否を判定する手順、対応不要と判定された点検内容の保全周期を適正化する手順、を実行させるためのものである。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上または/および保全物量の削減に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る保守計画策定システムの構成を示す図である。
図2】保守計画策定装置の構成と動作を示すブロック図である。
図3】機器管理データベースの構成データ例を示す図である。
図4】保全活動・監視項目データベースの構成データ例を示す図である。
図5】センシングデータベースの構成データ例を示す図である。
図6】劣化データベースの構成データ例を示す図である。
図7】フィールドデータデータベースの構成データ例を示す図である。
図8】不具合事象テーブルの例を示す図である。
図9】集約テーブル例を示す図である。
図10】保全有効性指標テーブルの例を示す図である。
図11】保全性判定処理のフローチャートである。
図12】劣化頻度判定処理のフローチャートである。
図13】水圧など圧力を調整する設備のフィールドデータと劣化曲線とを示すグラフである。
図14】劣化曲線との乖離判定を示すフローチャートである。
図15】フィールドデータの時系列を示すグラフである。
図16】フィールドデータの時系列の判定処理を示すフローチャートである。
図17】フィールドデータの活用処理を示すフローチャートである。
図18】フィールドデータの時系列の判定処理を示すフローチャートである。
図19】フィールドデータの時系列のデータを示すグラフである。
図20】フィールドデータの時系列のデータを示すグラフである。
図21】優先順位判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る保守計画策定システム300の構成を示す図である。
保守計画策定システム300は、保守計画策定装置100と、外部記憶装置のデータベース装置200を有する。保守計画策定装置100は、処理部10、記憶部20、入力部30、出力部40、通信部50を有する。
【0011】
処理部10は、重要度分類部11と、健全性監視部12と、信頼性改善部13と、予防保全計画部14と、是正措置部15と、ライフサイクルマネジメント部16等を有する。
【0012】
重要度分類部11は、系統機能を構成する機器の重要度に基づき、この機器に係る点検内容の重要度を判定する。健全性監視部12は、消耗品の重要度に基づいて、機器の性能および信頼性を監視する。
【0013】
信頼性改善部13は、消耗品の状態情報から消耗品の余寿命を予測し、消耗品の予想された余寿命に基づき健全性を評価する。
予防保全計画部14は、健全性監視部12の評価に基づき、予防保全を計画する。
是正措置部15は、消耗品の重要度に基づき、消耗品の寿命のマージンを是正する。
ライフサイクルマネジメント部16は、健全性監視部12、信頼性改善部13および是正措置部15での消耗品の性能履歴、寿命履歴、マージン変更履歴等を集約して消耗品の消耗品の取付けから取り換えまでの状態を把握する。
【0014】
記憶部20には、不具合事象テーブル21、集約テーブル22、保全有効性指標テーブル23、保守計画策定プログラム24、点検内容に係る設備構成情報25、物理構成情報26、および、設計要件27が格納されている。
が記憶されている。
【0015】
図1において、処理部10は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)であり、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等に格納される各種プログラムを実行する。処理部10が、保守計画策定プログラム24を実行することにより、各機能部が具現化される。
【0016】
ここで記憶部20は、HDDであり、保守計画策定装置100が処理を実行するための各種データを保存する。入力部30は、キーボードやマウス等のコンピュータに指示を入力するための装置であり、プログラム起動等の指示を入力する。出力部40は、ディスプレイ等であり、保守計画策定装置100による処理の実行状況や実行結果等を表示する。通信部50は、ネットワーク9を介して、他の装置と各種データやコマンドを交換する。
【0017】
データベース装置200には、構成管理データベース210、保全活動・監視項目データベース220、センシングデータベース230、劣化データベース240、フィールドデータデータベース250等を有する。なお、図のDBはデータベースを意味する。FMEAは、Failure Mode and Effect Analysisの略称であり、故障・不具合の防止を目的とした、潜在的な故障の体系的な分析方法である。
【0018】
各データベースに格納されるデータについて説明する。
構成管理データベース210は、発電プラントに対する設計要求、設計図書、実体のデータから構成されるデータベースである。
【0019】
保全活動・監視項目データベース220は、発電プラントの保全活動と監視項目の情報、すなわち、その内容、頻度、対象となる劣化事象を含むデータベースである。保全活動・監視項目データベース220は、機器に係る点検内容を含んで構成されている。
【0020】
センシングデータベース230は、発電プラントに適用可能なセンシング技術に関して、カバーする劣化モード、測定方法(原理、センサ設置場所など)を含むデータベースである。
【0021】
劣化データベース240は、発電プラントを構成する機器に対する劣化モードを格納するデータベースである。すなわち、劣化データベース240は、故障部位、劣化メカニズム、劣化の影響、劣化の重大度、劣化の頻度、および、有効な保全活動・監視項目等を含む。
【0022】
フィールドデータデータベース250は、保全活動の結果(点検結果、試験結果など)の他、点検前のデータ、日々の監視データなど、現場で取得されるデータを含むデータベースである。このフィールドデータデータベース250は、複数の点検内容それぞれ点検結果が時系列で格納されている。
【0023】
《保守計画策定装置100の概要》
図2は、保守計画策定装置100の構成を示すブロック図である。図2を用いて消耗品管理処理の概要を示す。
【0024】
重要度分類部11は、原子力発電所の保全対象機器の重要度に基づいて、その機器に係る点検内容の重要度を分類する。重要度分類部11は、系統、系統の要素機能、系統を構成する機器の関係を抽出して、この機器の重要度を分類(判定)する。
【0025】
重要度分類部11は、消耗品の重要度、作業員の被ばく線量情報、機器の機能喪失から回復までの作業情報およびそれに掛かる時間情報、機能を喪失した場合のプラント運転への影響情報を活用して、点検内容の重要度を判定してもよい。
【0026】
健全性監視部12は、機器の重要度に基づいて、この機器に係る点検内容によって構成される保全活動・監視項目データベース220を参照して、この機器の性能および信頼性を監視する。機器は、この機器の重要度に応じて監視頻度と監視内容が異なる。健全性監視部12は、重要度分類部11の判定結果、信頼性改善部13の評価結果、予防保全計画部14の保全計画結果、是正措置部15の是正結果を参照して、点検内容を実施する。
健全性監視部12は、保全有効性指標テーブル23に基づいて、フィールドデータデータベース250の複数の点検内容の対応の要否を判定する。
【0027】
信頼性改善部13は、機器に用いられる消耗品の状態情報から、この消耗品の余寿命を予測し、消耗品の予想された余寿命に基づいて機器の健全性を評価する。信頼性改善部13は、機器(消耗品)の時間経過に伴う劣化を示す劣化曲線を予測する。信頼性改善部13は更に、機器の時系列の点検結果の劣化度が、発散と収束の後に再び発散したならば、機器の健全性が不良であると判定する。このとき健全性監視部12は、この機器への対応が必要と判定する。
【0028】
信頼性改善部13は、重要度分類部11の判定結果、信頼性改善部13の評価結果、是正措置部15の是正結果に基づいて、機器の健全性を評価する。信頼性改善部13は、点検内容に係る機器の時間経過に伴う劣化を予測する。点検結果が示す劣化と、信頼性改善部13による点検内容に係る劣化の予測値とが乖離していたとき、健全性監視部12は、点検内容に係る機器への対応が必要と判定する。
また、信頼性改善部13は、時系列の点検結果の劣化度が、発散と収束の後に再び発散したか否かを判定する。この場合、健全性監視部12は、点検結果に係る機器への対応が必要と判定する。
【0029】
予防保全計画部14は、信頼性改善部13による機器の健全性の評価結果に基づいて、予防保全を計画する。予防保全計画部14は、例えば、機器の点検周期を短縮または延伸するか否かの計画をする。
【0030】
是正措置部15は、機器の重要度に基づき、この機器に用いられる消耗品の寿命のマージンを是正する。是正措置部15は、例えば、機器の重要度に基づいて、この機器に用いられる消耗品寿命の閾値を決定する。更に是正措置部15は、健全性監視部12により対応不要と判定された点検内容の保全周期を適正化する。
【0031】
ライフサイクルマネジメント部16は、信頼性改善部13の評価結果、是正措置部15の是正結果、健全性監視部12の監視結果に基づいて、機器のライフサイクルを管理する。
【0032】
《各データベースの構成データ例》
図3は、機器管理データベースの構成データ例を示す図である。構成管理データベース210は、カテゴリ欄とその構成データ欄で構成されている。
カテゴリ欄には、設計要件、施設構成情報、物理構成が記載されている。設計要件の構成データ欄には、法規制、設計基準図書、計算・解析結果が格納されている。
施設構成情報の構成データ欄には、マスター機器リスト、設計根拠図書、手順書、図面が格納されている。物理構成の構成データ欄には、構成要素の同等性、エンジニアリング設計変更が格納されている。
【0033】
図示していないが、構成管理データベース210には、例えば、EQ(Environmental Qualification)機器の保全として交換する消耗品の内容を示す消耗品情報も含まれている。消耗品情報には、消耗品名、消耗品型番、使用EQ機器、消耗品仕様、消耗品価格、入手可能期間、交換時間、作業手順、前回交換日、推奨寿命、余寿命、限界試験結果、互換品名等がある。
【0034】
消耗品名は、交換する対象消耗品の名称である。消耗品型番は、交換する部品の識別情報である。使用EQ機器名は、消耗品を使用するEQ機器の名称である。消耗品仕様は、寸法、形状・材質・性能・耐環境仕様等を示す情報である。
【0035】
消耗品価格は、消耗品の購入価格である。入手可能期間は、消耗品を入手可能な期間である。交換時間は、EQ機器における消耗品の交換時間である。作業手順は、EQ機器における消耗品の交換作業の手順を示すための情報である。手順書ファイルや、手順を示すWebページのリンク情報でもよい。
【0036】
前回交換日は、前回の消耗品交換日時である。前回交換日から今回の交換までの経過日時が消耗品の稼働時間となる。なお、消耗品が使用される設備が間欠運転される場合、稼働時間は、設備が運転された時間を足し合わせた時間となる。推奨寿命は、所定の使用環境における稼働時間の推奨稼働時間である。稼働時間が推奨時間を超えないように、消耗品交換を行う。余寿命は、使用環境における稼働時間の残り時間を示す。余寿命が、次回の保全作業日時までの期間より長い場合には、今回の保全作業で交換を行わなくてもよい。
【0037】
限界試験結果は、使用環境毎の消耗品の寿命特性の限界試験結果を参照するための情報である。試験結果ファイルのリンク情報でもよい。互換品名は、代替可能な消耗品の消耗品名を示す情報である。
【0038】
図4は、保全活動・監視項目データベース220の構成データ例を示す図である。
保全活動・監視項目データベース220は、保全活動欄、頻度欄、対象となる劣化事象欄等を含んで構成される。
【0039】
保全活動欄には、対象機器の保全活動が文章で記載されている。ここで保全活動とは、点検内容のことをいう。
頻度欄には、保全活動の頻度が格納されている。ここでは保全を行う周期が、頻度として格納されている。
対象となる劣化事象欄には、保全活動にて対象となる劣化事象が文章で記載されている。
【0040】
具体的には、この保全活動・監視項目データベース220の最初のレコードには、対象機器が〇〇弁の場合に、保全活動として○〇の非破壊検査を行い、この保全活動を〇年ごとに実施していることがわかる。
【0041】
保全活動・監視項目データベース220は更に、監視項目欄、頻度欄、対象となる劣化事象欄等を含んで構成される。
監視項目欄には、対象機器の監視項目が文章で記載されている。ここで監視項目欄には、点検内容を示す文章が記載されている。
頻度欄には、監視の頻度が格納されている。ここで頻度欄には、監視を行う周期が格納されている。
対象となる劣化事象欄には、監視にて対象となる劣化事象が文章で記載されている。
【0042】
図5は、センシングデータベース230の構成データ例を示す図である。
センシングデータベース230は、機器名欄、故障部位欄、劣化メカニズム欄、劣化の要因欄、測定対象欄、測定方法欄、センサ設置場所欄等を含んで構成される。
機器名欄には、測定対象の機器の名称が格納される。
故障部位欄には、測定対象の機器の故障部位の名称が格納される。
劣化メカニズム欄には、この故障部位の劣化のメカニズムが文章で格納される。
劣化の要因欄には、この故障部位の劣化の要因が格納される。
測定対象欄には、この故障部位の測定対象が格納される。
測定方法欄には、この故障部位の測定方法が格納される。
センサ設置場所欄には、この故障部位を測定するセンサの設置場所が格納される。
【0043】
具体的には、〇〇弁の場合、故障部位としてシール部があり、パッキン劣化が予想されることがわかる。このパッキン劣化の要因のひとつは樹脂の劣化であり、測定対象は温度、測定方法は振動測定、センサ設置場所は電動機外面であることが示されている。
【0044】
図6は、劣化データベース240の構成データ例を示す図である。
劣化データベース240は、機器名欄、劣化モード欄、有効な保全活動・監視項目欄等を含んで構成される。劣化モード欄には、故障部位欄、劣化メカニズム欄、劣化の影響欄、劣化の重大度欄、劣化の頻度欄を含んで構成される。
【0045】
機器名欄には、機器の名称が格納される。
劣化モード欄には、故障部位欄、劣化メカニズム欄、劣化の影響欄、劣化の重大度欄、劣化の頻度欄などの欄が格納される。
【0046】
劣化メカニズム欄には、この機器の故障に係る劣化メカニズムの文章が記載されている。
劣化の影響欄には、この故障部位の劣化の影響が格納される。
劣化の重大度欄には、この故障部位の劣化の重大度が格納される。
劣化の頻度欄には、この故障部位の劣化の頻度が格納される。
【0047】
そして、有効な保全活動・監視項目欄は、この劣化モードに対して有効な保全活動または監視項目が格納される。
故障部位欄には、この機器の故障部位が格納される。
【0048】
図7は、フィールドデータデータベース250の構成データ例を示す図である。
フィールドデータデータベース250は、保全活動・監視項目データベース220に対応するデータであり、定検回欄、保全活動欄、頻度欄、保全活動結果欄を含んで構成される。
【0049】
定検回欄には、この事象に係る定期検査の回を示す番号が格納される。
保全活動欄には、機器に対する保全活動が格納される。保全活動とは、この機器に対する点検内容のことである。
【0050】
頻度欄には、この保全活動の頻度が格納される。
保全活動結果欄には、この保全活動の結果が格納される。保全活動の結果とは、この機器の点検結果に相当する。
【0051】
フィールドデータデータベース250は更に、定検回欄、監視項目欄、頻度欄、監視結果欄を含んで構成される。
定検回欄には、この事象に係る定期検査の回を示す番号が格納される。
【0052】
監視項目欄には、機器に対する監視項目が格納される。監視項目とは、この機器に対する点検内容のことである。
頻度欄には、この監視項目の頻度が格納される。
監視結果欄には、この監視の結果が格納される。監視の結果とは、この機器の点検結果に相当する。
【0053】
図8は、不具合事象テーブル21の例を示す図である。
この不具合事象テーブル21は、定期検査にてフィールドデータデータベース250に格納された不具合事象を纏めたものである。不具合事象テーブル21は、“No.”と記載された番号欄と、位置情報欄と、“弁No”と記載された弁番号欄と、事象欄と、今定検の処置状況欄と、次回定検以降の処置欄とを含んで構成される。
【0054】
番号欄には、この不具合事象データに付された追番が格納される。位置情報欄には、この不具合事象データに係る機器の位置情報が格納される。弁番号欄には、この不具合事象データに係る弁の番号が格納される。
【0055】
事象欄には、この不具合事象が文章で格納される。不具合事象とは、例えばフィールドデータデータベース250の保全活動結果欄または監視結果欄が「健全」以外の場合である。
【0056】
今定検の処置状況欄には、今回の定期検査における処置状況が文章で格納される。
次回定検以降の処置欄には、次回以降の定期検査にて予定する処置が文章で格納される。
【0057】
図9は、フィールドデータデータベース250を集約した集約テーブル22を示す図である。
集約テーブル22は、定検回欄と、点検数欄と、L5欄からL1欄までを含んで構成される。
定検回欄には、この事象に係る定期検査の回を示す番号が格納される。
【0058】
点検数欄には、プラントの機器を点検した個数が格納される。L5欄には、点検した結果、殆ど劣化が見られず、対応不要と判定された結果の数が格納される。L4欄には、点検した結果、劣化が見られるものの、対応不要と判定された点検結果の数が格納される。L3欄には、点検した結果劣化がL4よりも進展し、早期に対応を推奨すると判定された点検結果の数が格納される。L2欄には、点検した結果、次回の対応を推奨すると判定された点検結果の数が格納される。L1欄には、点検した結果、至急に対応が必要と判定された点検結果の数が格納される。
【0059】
図10は、保全有効性指標テーブル23の例を示す図である。
保全有効性指標テーブル23は、レベル欄、キーワード欄、状態欄を含んで構成される。
レベル欄は、保全レベルを格納する欄であり、ここではL1からL5までの5つにわけられている。
キーワード欄は、点検結果の文章から対応すべき保全レベルを決定するためのキーワードを複数格納する欄である。
状態欄は、点検結果に対して、この点検結果に係る機器に対応すべきか否かの状態を格納する欄である。
【0060】
《機器信頼性、仕事管理、構成管理の各工程に対してフィールドデータを適用》
図11は、保全性判定処理のフローチャートである。
最初、健全性監視部12は、フィールドデータデータベース250から点検結果を取得する(ステップS20)。そして、健全性監視部12は、点検結果を顧客が定義した保全有効性指標テーブル23と照合して、点検内容に係る機器の保全性を決定する(ステップS21)。ここで機器の保全性とは、例えば図9の集約テーブル22に示したL1からL5の何れかである。健全性監視部12は、点検結果がL4またはL5ならば、機器の点検内容を対応不要と判定する。
【0061】
次に、是正措置部15は、機器の保全性を判定する(ステップS22)。是正措置部15は、機器の保全性がL4またはL5であり過剰に保全している傾向があれば、保全頻度または監視頻度を低下させて(ステップS23)、図11の処理を終了する。ここで保全頻度または監視頻度とは、保全活動・監視項目データベース220の頻度欄である。
このように保全頻度または監視頻度を低下させることにより、点検内容の保全周期を適正化して、保全物量を削減させることができる。
【0062】
是正措置部15は、機器の保全性がL3であり適正保全ならば、保全頻度または監視頻度を維持し(ステップS24)、図11の処理を終了する。
是正措置部15は、機器の保全性がL2またはL1であり監視を強化すべきならば、保全頻度または監視頻度を向上させ(ステップS25)、図11の処理を終了する。
【0063】
《保全重要度へのフィールドデータ情報活用》
同一系統の同一機器の劣化発生頻度は、同様である。また同一環境における同一機器の劣化発生頻度も同様である。異なるプラントでも同一環境の同一機器の劣化発生頻度は、理論的に同様である。つまり、機器に応じた劣化の重み付けができないという課題があった。そこで、点検結果から保全重要度に重みづけすることで、機器の状態に応じた保全活動を行うことができる。
【0064】
図12は、劣化頻度判定処理のフローチャートである。
最初、健全性監視部12は、フィールドデータデータベース250から点検結果を取得する(ステップS30)。具体的にいうと、点検結果は、フィールドデータデータベース250の保全活動の結果欄または監視結果欄に格納されている。
【0065】
そして、健全性監視部12は、点検結果から劣化発生頻度を算出する(ステップS31)。劣化発生頻度は、点検結果に不具合事象が含まれる回数を、対象となる期間で除算することで算出される。
【0066】
次に、是正措置部15は、この点検結果に係る機器の劣化発生頻度を判定する(ステップS32)。是正措置部15は、劣化発生頻度が第1閾値未満であり低いならば、この点検結果に係る機器の重要度を低下させて(ステップS33)、図12の処理を終了する。機器の重要度は、記憶部20に格納されている劣化データベース240の劣化の重大度欄で示される。是正措置部15は、劣化データベース240の劣化の重大度欄の値を低下させることで、機器の重要度を低下させる。
【0067】
ステップS32にて、是正措置部15は、劣化発生頻度が第1閾値以上かつ第2閾値未満であり中程度ならば、この点検内容に係る機器の重要度を維持し(ステップS34)、図12の処理を終了する。
ステップS32にて、是正措置部15は、劣化発生頻度が第2閾値以上であり高いならば、この点検内容に係る機器の重要度を向上させ(ステップS35)、図12の処理を終了する。
つまり是正措置部15は、点検結果から劣化発生頻度を算出し、劣化発生頻度に応じて機器の重要性を増減して、劣化データベース240の劣化の重大度欄の値に反映させる。これにより、保全物量を削減することができる。
【0068】
《パーフォマンス監視へのフィールドデータ情報活用》
図13は、例えば油圧や水圧など圧力を調整する設備のフィールドデータと劣化曲線とを示すグラフである。
縦軸は、圧縮永久歪みを示している。横軸は、時間を示している。細かい破線は、EQ試験の結果から導かれた劣化曲線を示している。粗い破線は、EQ試験と現場データのから導かれた劣化曲線を示している。実線は、実測データを示している。また、圧縮永久歪みは、一般産業品ならば粗い横破線まで許容可能であるが、航空産業や原子力産業などに使用される高信頼性機器では細かい横破線が許容範囲となる。これは、ハッチング部分を超えると漏洩リスクが上昇するためである。
【0069】
従来の考えでは、実線で示す実測データは、「良」と判定される。しかし、劣化曲線の収束傾向や想定寿命から大きく乖離しているため、例えば点検内容に係るセンサの不良や検査者の過誤などの可能性が否定できない。よって、保守計画策定装置100は、このような事象を「点検要」と判断する。これにより、保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上に役立てることができる。
【0070】
図14は、劣化曲線との乖離判定を示すフローチャートである。
最初、健全性監視部12は、フィールドデータデータベース250から点検結果を取得する(ステップS40)。健全性監視部12は、この点検結果から機器の劣化度を求める(ステップS41)。そして、信頼性改善部13は、設備の累計稼働時間と劣化曲線から、機器の劣化度を推定する(ステップS42)。
【0071】
次に、是正措置部15は、点検結果から求めた機器の劣化度と、設備の累計稼働時間と劣化曲線から推定した劣化度との乖離を判定する(ステップS43)。是正措置部15は、劣化度が乖離していたならば(Yes)、この点検内容に係る機器の点検を要すると判定して(ステップS44)、図14の処理を終了する。ステップS43にて、是正措置部15は、劣化度が乖離していなかったならば(No)、図14の処理を終了する。
【0072】
《パーフォマンス監視へのフィールドデータ情報活用》
図15は、フィールドデータの時系列を示すグラフである。
グラフの縦軸は、劣化度を示している。グラフの横軸は、時間を示している。
実線は、機器の通常の劣化度を示している。時刻T0からT1まで劣化度が発散した後、時刻T1以降には劣化度が収束し、所定値を維持している。なお、一点鎖線は、機器の初期不良による劣化度を示している。
【0073】
時刻T2以降の破線は、劣化度が発散していることを示している。これら、機器の故障の兆候であることが多い。よって、ここでは劣化度が発散したのち収束し、再び発散したパターンを検出すると、これを大至急に対応が必要と判断する。
【0074】
図16は、フィールドデータの時系列の判定処理を示すフローチャートである。
最初、健全性監視部12は、フィールドデータデータベース250から時系列の点検結果を取得する(ステップS50)。健全性監視部12は、この点検結果から、時系列の機器の劣化度を求める(ステップS51)。そして、信頼性改善部13は、時系列の機器の劣化度が発散⇒収束⇒発散の順であるか否かを判定する(ステップS52)。
【0075】
ステップS52にて、是正措置部15は、劣化度が発散⇒収束⇒発散の順で変化していたならば(Yes)、この点検内容に係る機器に対して大至急の対応か必要と判定して(ステップS53)、図16の処理を終了する。ステップS52にて、是正措置部15は、劣化度が発散⇒収束⇒発散の順で変化していなかったならば(No)、図16の処理を終了する。
【0076】
《構成管理へのフィールドデータの活用》
現状では、設備構成情報、規制情報などから構成管理の変更がかかる。しかし、全てのフローが最新かどうかわからず、抜け漏れのチェックができない。規制では最新であることが求められる。
長期間に亘って良判定されているデータは、変更が掛かっていない。このため、抜け漏れのリスクがある。よって、長期間に亘って変更が掛かっていないことを、新たな変更の制約条件として導入する。
【0077】
図17は、フィールドデータの活用処理を示すフローチャートである。
最初、健全性監視部12は、パーフォマンスのモニタリングを実行する(ステップS60)。そして、是正措置部15は、問題点と変更の評価を実施する(ステップS61)。ここで是正措置部15は、ソリューション選定のための情報の共有と、ソリューション選択肢の特定と、ベストソリューションの選定を実施する。
【0078】
是正措置の実行が決定されると、ユーザは、図17の設計要件の変更を要するか否かを判定する(ステップS62)。設計要件の変更を要するならば(Yes)、ユーザは、設計要件の変更プロセスを実施して(ステップS63)、ステップS64に進む。設計要件の変更プロセスは、設計要件の改訂のための計算または解析、ソリューションの評価、設計要件の改訂、許認可条件の変更などを含む。変更した設計要件は、後記する設備構成情報の変更に反映される。
ステップS62にて、設計要件の変更を要しないならば(No)、ステップS64に進む。
【0079】
ステップS64にて、ユーザは、物理構成の変更を要するか否かを判定する。物理構成の変更を要するならば(Yes)、ユーザは、物理構成の変更プロセスを実施して(ステップS65)、ステップS66に進む。物理構成の変更プロセスは、規制の影響と判断と許認可図書の作成、設計や運用変更のための物理的な変更の承認、長納期品やエンジニアリングの発注などである。変更した物理構成は、後記する設備構成情報の変更に反映される。
ステップS64にて、物理構成の変更を要しないならば(No)、ステップS66に進む。
【0080】
ステップS66にて、ユーザは、設置構成情報の変更を要するか否かを判定する。ユーザは、設置構成情報の変更を要するならば(Yes)、設置構成情報の変更プロセスを実施して(ステップS67)、ステップS61に戻る。設置構成情報の変更プロセスは、影響を受ける設備構成情報の抽出、抽出された設備構成情報の変更と承認、ベンダーからの情報の審査・承認・発行と既存の情報の改訂、物理的変更後の設備構成情報の改訂、設備構成情報の変更の反映である。
ステップS66にて、設置構成情報の変更を要しないならば(No)、ステップS68に進む。
【0081】
ステップS68にて、ユーザは、設計要件と物理構成と設置構成情報のうち、変更が長期間無いものを抽出すると、ステップS61に戻る。これにより、ユーザは、長期間変更が無い項目がリスクであることを認識できる。
【0082】
《健全性監視部12の保全周期等の項目の見直し》
健全性監視部12の保全周期等の項目の見直しの実施形態について図面を用いて説明する。なお、図1から図17までの同じ構成については説明を省略し、異なる部分について説明をする。
【0083】
本実施形態では、フィールドデータデータベース250の点検結果を用いて保全周期等の項目の見直しを行う。
【0084】
図18は、フィールドデータの時系列の判定処理を示すフローチャートである。
ステップS80にて、健全性監視部12は、フィールドデータデータベース250の点検結果から、今回の点検結果で問題が発生したか否かを確認する。点検結果に問題がある場合(Yes)、健全性監視部12は、ステップS84に進んで該当する点検内容の項目を次回以降の点検計画の際に内容を検討すべき項目として維持し、本情報を保守計画策定装置100の記憶部20に格納して、図18の処理を終了する。
【0085】
ステップS80で問題が無い場合(No)、健全性監視部12は、ステップS81に進んで、点検結果の各項目について時系列に比較する。そして、健全性監視部12は、過去から現在に至るデータの時系列において収束傾向であるか否かを判定する(ステップS82)。
【0086】
図19は、フィールドデータの時系列のデータを示すグラフである。
グラフの縦軸は、作業時間を示している。グラフの横軸は、保全の回を示している。破線は、第1ケースの機器Aの保全に関する作業時間を示している。実線は、第2ケースの機器Aの保全に関する作業時間を示している。ここで機器Aの保全に関する作業時間とは、機器Aの点検結果の項目のひとつである。
【0087】
破線で示した第1ケースにて、機器Aの保全に関して作業時間が過去から比較して7.8時間、6時間、5.5時間と、或る値に収束(減少)している。このときステップS82にて、健全性監視部12は、この項目が収束傾向であると判定して、ステップS83に進む。
【0088】
ステップS83にて、健全性監視部12は、該当の項目を次回以降の固定の項目として、保守計画策定装置100にて更新を行う。つまり、健全性監視部12は、過去から現在に至る点検結果の時系列において収束傾向であるならば、その点検内容につき対応不要と判定する。
【0089】
実線で示した第2ケースにて、機器Aの保全に関して作業時間が過去から8時間と所定値を維持している。このときステップS82にて、健全性監視部12は、点検結果の項目の時系列が収束傾向ではないと判定して、ステップS84に進む。健全性監視部12は、該当項目を次回以降の点検計画の際に検討すべき項目として維持し(ステップS84)、本情報を保守計画策定装置100の記憶部20に格納して終了となる。
【0090】
ここで機器Aの保全に関して作業項目が作業P、作業Q、作業R、作業S、作業Tの複数の作業から構成されている場合、実際の作業では、作業Tは不要である場合もある。その場合、作業Tは本来なら見直される項目であるが、特に問題が発生していない場合には見直されてない可能性がある。それと比較して実際の作業を反映して作業Tを見直した場合には、その分だけ作業時間が効率化され、作業時間が7.8時間から6時間に短縮される。
なお、ここでは、作業時間に関する変化を作業に関する傾向を捉える指標とし、その点検内容について対応不要か否かを判定可能であることについて説明した。同様に、保全作業の項目の変化、保全作業の実施間隔や周期の他、作業に要する人員数の変化や、作業で交換した部品・機材の数の変化なども、作業に関する傾向を捉える指標とし、その点検内容について対応不要か否かを判定できる。
【0091】
このように見直し等が実際されているモノは、ある項目に着目した場合、ある値に収束していき、最適な保全項目に見直しが図られる。このように過去の保全データのある項目に着目して収束傾向であるか否かを判定することで、現在の点検内容に対して見直しが必要であるか否かを判定することができる。これにより保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上または/および保全物量の削減に活用することが可能となる。
【0092】
《健全性監視部による点検作業の優先順位付け》
複数の点検作業を、どの点検作業から見直すかの優先順位をつける際に、点検結果の時系列データを活用することができる。
【0093】
図20は、フィールドデータの時系列のデータを示すグラフである。
グラフの縦軸は、作業時間を示している。グラフの横軸は、保全の回を示している。細かい破線は、第1ケースの機器Aの保全に関する作業時間を示している。実線は、第2ケースの機器Aの保全に関する作業時間を示している。粗い破線は、第3ケースの機器Aの保全に関する作業時間を示している。
【0094】
例えば図20のグラフにおいて第12回保全を見ると、細かい破線で示した点検結果データは収束傾向が高く、実線と粗い破線で示した点検結果データは収束傾向が低くなっている。複数の作業間でこれら傾向を比較することで、複数の作業について一括して見直しをしたい場合に、どの作業から優先的に見直せば良いかが分かるようになる。これにより複数の作業を見直す場合において、保全から得られた良好データを、設備の信頼性の向上または/および保全物量の削減に活用することが可能となる。
【0095】
図21は、優先順位判定処理を示すフローチャートである。
健全性監視部12は、点検結果データの各項目について時系列に比較する(ステップS88)。そして、点検結果データの各項目の過去から現在に至る時系列の収束傾向の高低に応じて、点検内容を優先順位付けして(ステップS89)、本情報を保守計画策定装置100の記憶部20に格納して終了となる。
【0096】
(変形例)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば上記した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0097】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)などの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
【0098】
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 処理部
11 重要度分類部
12 健全性監視部
13 信頼性改善部
14 予防保全計画部
15 是正措置部
16 ライフサイクルマネジメント部
20 記憶部
21 不具合事象テーブル
22 集約テーブル
23 保全有効性指標テーブル
24 保守計画策定プログラム
30 入力部
40 出力部
50 通信部
100 保守計画策定装置
200 データベース装置
210 構成管理データベース
220 保全活動・監視項目データベース
230 センシングデータベース
240 劣化データベース
250 フィールドデータデータベース
300 保守計画策定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図19
図20
図21