IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヨコイの特許一覧

特開2024-25199フェイスシート及びフェイスシートセット
<>
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図1
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図2
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図3
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図4
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図5
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図6
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図7
  • 特開-フェイスシート及びフェイスシートセット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025199
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】フェイスシート及びフェイスシートセット
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/12 20060101AFI20240216BHJP
   A41D 13/11 20060101ALI20240216BHJP
   A42B 3/20 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
A45D44/12 C
A41D13/11 Z
A42B3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128450
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】598128465
【氏名又は名称】株式会社ヨコイ
(74)【代理人】
【識別番号】100180552
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 守男
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107DA07
(57)【要約】
【課題】洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減するフェイスシート及びフェイスシートセットを提供する。
【解決手段】フェイスシート1は、シート部11及び耳挿入部71,81を備えている。シート部11は、第一方向に対向する一対の第一辺51,52を有する。耳挿入部71,81は、シート部11の一方の面である表面65から他方の面である後面66に貫通する。耳挿入部71,81は、シート部11において一対の第一辺51,52の内側に設けられ、一対の第一辺51,52に沿って延びる。耳挿入部71は、第一方向において互いに離間し、第二方向に延びる一対の第二辺711,712を備えている。耳挿入部81は、第一方向において互いに離間し、第二方向に延びる一対の第二辺811,812を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に対向する一対の第一辺を有するシート部と、
前記シート部において前記一対の第一辺の内側に設けられ、前記一対の第一辺に沿って延び、前記シート部の一方の面から他方の面に貫通し、耳が挿入される一対の耳挿入部を備え、
前記耳挿入部は、
前記第一方向において互いに離間し、前記面に平行且つ前記第一方向に直交する方向である第二方向に延びる一対の第二辺を備えたことを特徴とするフェイスシート。
【請求項2】
前記耳挿入部は、前記一対の第二辺における前記第二方向の端部を弧状に接続する弧状部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のフェイスシート。
【請求項3】
前記一対の第二辺の間の第一距離は、前記シート部の厚みよりも長いことを特徴とする請求項1又は2に記載のフェイスシート。
【請求項4】
前記耳挿入部と前記第一辺との間の第二距離は、前記第一距離よりも長いことを特徴とする請求項3に記載のフェイスシート。
【請求項5】
前記シート部は、静電気を帯びた素材であることを特徴とする請求項4に記載のフェイスシート。
【請求項6】
フェイスシートを複数収納する収納部と、
前記収納部に設けられ、前記フェイスシートが取り出される取出部と
を備え、
複数の前記フェイスシートは、2つ折りにされ、2つ折りにされた一の前記フェイスシートの間に、前記一のフェイスシートに隣接する他の前記フェイスシートの一部が挟まれ、前記取出部から前記一のフェイスシートが取り出される場合に、前記他のフェイスシートの一部が前記取出部から前記収納部の外側に配置され、
前記フェイスシートは、
第一方向に対向する一対の第一辺を有するシート部と、
前記シート部において前記一対の第一辺の内側に設けられ、前記一対の第一辺に沿って延び、前記シート部の一方の面から他方の面に貫通し、耳が挿入される一対の耳挿入部を備え、
前記耳挿入部は、
前記第一方向において互いに離間し、前記面に平行且つ前記第一方向に直交する方向である第二方向に延びる一対の第二辺を備えたことを特徴とするフェイスシートセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容室においてシャンプーを行う場合に顔にかけるフェイスシート及びフェイスシートセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、理美容室においては、洗髪が行われている。例えば、特許文献1に記載の理美容椅子が使用される場合、顧客が仰向けとなって洗髪されるバックシャンプーが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-282045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バックシャンプーが行われる場合、洗髪時の水が顧客の顔に係る可能性があった。このため、洗髪時に、顧客の顔にシート状のフェイスシートを載置することが考えられる。しかし、顧客の顔にフェイスシートを固定できないので、洗髪時に顧客の顔の上でフェイスシートがずれる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減するフェイスシート及びフェイスシートセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係るフェイスシートは、第一方向に対向する一対の第一辺を有するシート部と、前記シート部において前記一対の第一辺の内側に設けられ、前記一対の第一辺に沿って延び、前記シート部の一方の面から他方の面に貫通し、耳が挿入される一対の耳挿入部を備え、前記耳挿入部は、前記第一方向において互いに離間し、前記面に平行且つ前記第一方向に直交する方向である第二方向に延びる一対の第二辺を備えている。
【0007】
この場合、耳挿入部が設けられているので、耳挿入部に顧客の耳を挿入して、フェイスシートを顧客の顏に固定することができる。このため、洗髪中に顧客の顔の上でフェイスシートがずれる可能性を低減できる。また、耳挿入部の第二辺が、第一方向に互いに離間している。このため、耳挿入部が1本の切込みによって形成されている場合に比べて、耳挿入部の第一方向の幅が広くなる。このため、耳挿入部と第一辺との間の部位が第一方向に引っ張られた場合に、耳挿入部の第二方向の端部が、第一方向に引っ張られる力が小さくなる。よって、耳挿入部が1本の切込みによって形成されている場合に比べて、耳挿入部と第一辺との間の部位が第一方向に引っ張られても、耳挿入部の第二方向側の端部が破れにくい。故に、フェイスシートが破れにくくなり、顧客の顏により確実に固定される。故に、フェイスシートが洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。
【0008】
前記フェイスシートにおいて、前記耳挿入部は、前記一対の第二辺における前記第二方向の端部を弧状に接続する弧状部を備えてもよい。この場合、弧状部が、第二辺における第二方向の端部を弧状に接続する。このため、耳挿入部と第一辺との間の部位が引っ張られても、第二辺における第二方向の端部が直線状に接続されている場合に比べて、耳挿入部の第二方向の端部が破れにくい。このため、フェイスシートが破れにくくなり、顧客の顏により確実に固定される。故に、フェイスシートが洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。
【0009】
前記フェイスシートにおいて、前記一対の第二辺の間の第一距離は、前記シート部の厚みよりも長くてよい。この場合、第一距離がシート部の厚み以下である場合に比べて、耳挿入部が第一方向に大きくなり、耳挿入部に耳を挿入し易くなる。このため、理美容師が耳挿入部に顧客の耳を挿入する作業効率が向上する。
【0010】
前記フェイスシートにおいて、前記耳挿入部と前記第一辺との間の第二距離は、前記第一距離よりも長くてもよい。この場合、第二距離が第一距離以下である場合に比べて、耳挿入部と第一辺との間の部位が大きくなり、理美容師が掴みやすい。このため、理美容師が耳挿入部に顧客の耳を挿入する場合に、耳挿入部と第一辺との間の部位を引っ張り易くなり、耳挿入部に顧客の耳を挿入する作業効率が向上する。
【0011】
前記フェイスシートにおいて、前記シート部は、静電気を帯びた素材であってもよい。この場合、シート部が静電気を帯びていない場合に比べて、フェイスシートが顔に密着しやすく、顧客の顔とフェイスシートとの間に隙間が発生しにくい。よって、顧客の顔とフェイスシートとの隙間から、顧客の口及び鼻に向かって微粒子、細菌、及びウイルス等が侵入する可能性を低減することができる。また、シート部が静電気を帯びていない場合に比べて、フェイスシートが顧客の顏に密着し易く、顧客の呼吸によってフェイスシートが浮かぶ可能性を低減できる。よって、顧客の呼吸によってフェイスシートが浮かび、微粒子、細菌、及びウイルス等が顧客の口及び鼻に向かって侵入する可能性を低減できる。
【0012】
本発明の第2の態様に係るフェイスシートセットは、フェイスシートを複数収納する収納部と、前記収納部に設けられ、前記フェイスシートが取り出される取出部とを備え、複数の前記フェイスシートは、2つ折りにされ、2つ折りにされた一の前記フェイスシートの間に、前記一のフェイスシートに隣接する他の前記フェイスシートの一部が挟まれ、前記取出部から前記一のフェイスシートが取り出される場合に、前記他のフェイスシートの一部が前記取出部から前記収納部の外側に配置され、前記フェイスシートは、第一方向に対向する一対の第一辺を有するシート部と、前記シート部において前記一対の第一辺の内側に設けられ、前記一対の第一辺に沿って延び、前記シート部の一方の面から他方の面に貫通し、耳が挿入される一対の耳挿入部を備え、前記耳挿入部は、前記第一方向において互いに離間し、前記面に平行且つ前記第一方向に直交する方向である第二方向に延びる一対の第二辺を備える。
【0013】
この場合、取出部から一のフェイスシートが取り出される場合に、他のフェイスシートの一部が取出部から収納部の外側に配置されるので、理美容師が次にフェイスシートを取り出す場合に、取り出しやすい。また、耳挿入部が1本の切込みによって形成されている場合に比べて、耳挿入部と第一辺との間の部位が第一方向に引っ張られても、耳挿入部の第二方向側の端部が破れにくい。故に、フェイスシートが破れにくくなり、顧客の顏により確実に固定される。故に、フェイスシートが洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フェイスシート1の平面図である。
図2】フェイスシート1を下方向から見た正面図である。
図3図2のフェイスシート1の右端部の部分拡大図である。
図4】バックシャンプー時に、フェイスシート1が顧客の顔に装着された状態を示す図である。
図5】フェイスシートセット60の斜視図である。
図6】最も前側の一のフェイスシート1が取出部62から取り出される過程を示した、図5のA-A線矢視方向断面図である。
図7図6の続きの図である。
図8図7の続きの図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具現化したフェイスシート1について、図面を参照して説明する。以下の説明においては、図1の紙面の上方、下方、右方、左方を、それぞれ、フェイスシート1の上方、下方、右方、左方という。また、図1の紙面の手前方向及び奥行き方向を、フェイスシート1の厚み方向という。また、フェイスシート1のシート部11の手前側の面を表面65といい、奥行き側の面を後面66という。また、左右方向を第一方向といい、上下方向を第二方向という場合がある。第二方向は、表面65に平行且つ第一方向に直交する方向である。
【0016】
図1から図4を参照し、フェイスシート1の概要について説明する。図1及び図2に示すように、フェイスシート1は、シート状のシート部11を備えている。シート部11は、微粒子、細菌、及びウイルスの通過量を低減する不織布フィルターで形成されている。本実施形態では、シート部11は、高密度不織布フィルターであり、例えば、微粒子、細菌、及びウイルスの通過量を99%低減する。なお、高密度不織布フィルターは、例えば、メルトブロー不織布で形成される。高密度不織布フィルターには、例えば、PFE(Particle Filtration Efficiency、微小粒子捕集効率)、BFE(Bacterial Filtration Efficiency、バクテリア飛まつ捕集効率)、VFE(Viral Filtration Efficiency、花粉粒子捕集効率)の各種試験済のものが使用される。例えば、PFE99%、BFE99%、VFE99%が試験によって実証されている高密度不織布フィルターが使用される。
【0017】
図1に示すように、シート部11は、平面視四角形である。本実施形態では一例として、シート部11の上下方向の長さは200mmであり、左右方向の長さは400mmである。シート部11が、理美容室において洗髪時に顧客の顔に装着されることで、フェイスシート1が顔に装着される(図4参照)。これによって、バックシャンプーによる洗髪時の水が、顧客の顔にかかる可能性を低減できる。なお、図4は、フェイスシート1が顧客の顔に装着される状況を示したイメージであり、各部位の寸法は、図1と異なる場合がある。また、図4の紙面下側が重力方向である。
【0018】
シート部11は、静電気を帯びた素材である。シート部11に静電気を帯びさせるために、製造過程において、帯電加工の処理が行われている。帯電加工が行われることで、帯電加工が行われない場合に比べて、例えば、微粒子、細菌、及びウイルスの捕集効率を高めることができる。帯電加工の一例として、特殊帯電加工(例えば、コロナ放電による加工)がある。
【0019】
以下の説明では、フェイスシート1の上側の辺を上辺53といい、下側の辺を下辺54という。フェイスシート1は、第一方向に対向する一対の第一辺51,52を備えている。第一辺51は、フェイスシート1の左側の辺であり、第一辺52は、フェイスシート1の右側の辺である。
【0020】
シート部11は、第一方向の端部に、耳挿入部71,81を備えている。耳挿入部71,81は、顧客の耳47(図4参照)が挿入される部位である。
【0021】
耳挿入部71,81は、シート部11の一方の面である表面65から他方の面である後面66に貫通する。耳挿入部71,81は、シート部11の一対の第一辺51,52の内側に設けられている。耳挿入部71,81は、一対の第一辺51,52に沿って第二方向に延びる。
【0022】
耳挿入部71,81について、より詳細に説明する。耳挿入部71は、シート部11の左端部に設けられている。耳挿入部71は、第一方向に互いに離間する一対の第二辺711,712を備えている。第二辺711は、耳挿入部71の右側の部位であり。第二辺712は、耳挿入部71の左側の部位である。一対の第二辺711,712は、第二方向に延びる。
【0023】
第二辺711,712における第二方向の端部は、弧状部721,722によって弧状に接続されている。第二辺711,712の上端731,732は、上方に湾曲した弧状部721によって接続されている。第二辺711,712の下端733,734は、下方に湾曲した弧状部722によって接続されている。耳挿入部71は、第二辺711,712及び弧状部721,722によって形成される、前後方向に貫通する孔部である。
【0024】
一対の第二辺711,712の間の第一距離A11は、シート部11の厚みB11(図3参照)よりも長い。また、耳挿入部71と第一辺51との間の第二距離C11は、第一距離A11よりも長い。また、第一距離A11は、弧状部721,722の上下方向の長さD11と同じである。
【0025】
本実施形態においては、一例として、第一距離A11は、3mmであり、シート部11の厚みB11は、0.12mmである。第二距離C11は、15mmである。また、第二辺711,712の上下方向の長さE11は80mmである。弧状部721,722の上下方向の長さD11は、3mmである。よって、耳挿入部71の上下方向の長さは、86mmである。
【0026】
耳挿入部81は、シート部11の右端部に設けられている。耳挿入部81は、第一方向に互いに離間する一対の第二辺811,812を備えている。第二辺811は、耳挿入部81の左側の部位であり。第二辺812は、耳挿入部81の右側の部位である。一対の第二辺811,812は、第二方向に延びる。
【0027】
第二辺811,812における第二方向の端部は、弧状部821,822によって弧状に接続されている。第二辺811,812の上端831,832は、上方に湾曲した弧状部821によって接続されている。第二辺811,812の下端833,834は、下方に湾曲した弧状部822によって接続されている。耳挿入部81は、第二辺811,812及び弧状部821,822によって形成される、前後方向に貫通する孔部である。
【0028】
一対の第二辺811,812の間の第一距離A12は、シート部11の厚みB11(図3参照)よりも長い。また、耳挿入部81と、第一辺52との間の第二距離C12は、第一距離A12よりも長い。また、第一距離A12は、弧状部821,822の上下方向の長さD12と同じである。
【0029】
本実施形態においては、一例として、第一距離A12は、3mmであり、シート部11の厚みB11は、0.12mmである。第二距離C12は、15mmである。また、第二辺811,812の上下方向の長さE12は80mmである。弧状部821,822の上下方向の長さD12は、3mmである。よって、耳挿入部81の上下方向の長さは、86mmである。
【0030】
フェイスシート1が顧客の顏に装着される方法について説明する。理美容師は、耳挿入部71,81と第一辺51,52との間の部位58,59(以下、把持部58,59という。)を把持して、第一方向外側に向けて引っ張る。これによって、把持部58,59が第一方向外側に膨らみ、耳挿入部71,81が第一方向に広がる。広がった耳挿入部71,81に、顧客の耳47が挿入される(図4参照)。
【0031】
図5から図8を参照して、フェイスシート1が複数収納されたフェイスシートセット60について説明する。以下の説明において、図5における紙面の上方、下方、右上方、左下方、左上方、及び右下方を、それぞれ、フェイスシートセット60の前方、後方、上方、下方、左方、及び右方とする。
【0032】
図5に示すように、フェイスシートセット60は、収納部61を備えている。収納部61は、立方体上であり、例えば、紙製の箱によって形成されている。
【0033】
収納部61の前面には、取出部62が設けられている。取出部62は、収納部61内のフェイスシート1が取り出される開口部である。なお、後方向が重力方向である。
【0034】
本実施形態では、一例として、取出部62の内側に被覆部68が設けられている。被覆部68は、周囲が収納部61の内面に接着されることで、収納部61に固定されている。被覆部68は、例えば、ビニールで形成される。被覆部68は、上下方向に延びるスリット681を有する。スリット681は、被覆部68を前後方向に貫通する部位である。フェイスシート1は、取出部62の内側において、スリット681を介して取り出される。被覆部68が設けられていることによって、取出部62から収納部61の内側に、埃などの異物が混入する可能性が低減される。なお、被覆部68が設けられなくてもよい。
【0035】
図6に示すように、収納部61の内部では、複数のフェイスシート1が2つ折りにされ、前後方向に重ねて収納されている。フェイスシート1は、図1の左右方向中央で折り曲げられている。2つ折りにされた一のフェイスシート1の間に、該一のフェイスシート1に前後方向に隣接する他のフェイスシート1の一部が挟まれている。本実施形態では一例として、2つ折りにされた一のフェイスシート1の間に、該一のフェイスシート1に前後方向に隣接する他のフェイスシート1の略半分が挟まれている。
【0036】
図6から図8は、最も前側の一のフェイスシート1が取出部62から取り出される過程を示している。図6においては、最も前側のフェイスシート1の一部が、取出部62から収納部61の外側に配置されている。図6から図8に示すように、最も前側の一のフェイスシート1が取出部62から取り出される場合に、該一のフェイスシート1に挟まれた他のフェイスシート1が持ち上げられる(図6及び図7参照)。これによって、下側に隣接する他のフェイスシート1の一部が、取出部62から収納部61の外側に配置される(図8参照)。このように、フェイスシート1は、ポップアップ式により、収納部61から取り出し可能である。このため、取出部62から一のフェイスシート1が取り出される場合に、他のフェイスシート1の一部が取出部62から収納部61の外側に配置されるので、理美容師が次にフェイスシート1を取り出す場合に、取り出しやすい。
【0037】
以上のように、本実施形態におけるフェイスシート1が構成される。本実施形態においては、耳挿入部71,81が設けられているので、耳挿入部71,81に顧客の耳47を挿入して、フェイスシート1を顧客の顏に固定することができる(図4参照)。よって、フェイスシート1が洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。また、耳挿入部71の第二辺711,712が、第一方向に互いに離間し、耳挿入部81の第二辺811,812が、第一方向に互いに離間している。よって、耳挿入部が1本の切込みによって形成されている場合に比べて、耳挿入部71,81の第一方向の幅が広くなる。このため、把持部58,59が第一方向に引っ張られた場合に、耳挿入部71,81の第二方向の端部が、第一方向に引っ張られる力が小さくなる。よって、耳挿入部が1本の切込みによって形成されている場合に比べて、把持部58,59が第一方向に引っ張られても、耳挿入部71,81の第二方向側の端部が破れにくい。故に、フェイスシート1が破れにくくなり、顧客の顏により確実に固定される。よって、フェイスシート1が洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。
【0038】
また、弧状部721,722が、第二辺711,712における第二方向の端部を弧状に接続し、弧状部821,822が、第二辺811,812における第二方向の端部を弧状に接続する。このため、第二辺711,712,811,812における第二方向の端部が左右方向に平行な直線状に接続されている場合に比べて、把持部58,59が引っ張られても、耳挿入部71,81の第二方向の端部が破れにくい。より詳細には、第二辺711,712,811,812における第二方向の端部が左右方向に平行な直線状に接続されている場合、第二辺711,722,811,812と、左右方向に平行な直線部分によって形成される角が、破れやすい。しかし、本実施形態では、弧状部711,712,811,821が設けられているので、第二辺711,722,811,812と弧状部711,712,811,821が接続されている部分がカーブとなる。このため、把持部58,59が引っ張られても、耳挿入部71,81の第二方向の端部が破れにくい。このため、フェイスシート1が破れにくくなり、顧客の顏により確実に固定される。よって、フェイスシート1が洗髪中に顧客の顔の上でずれる可能性を低減できる。
【0039】
また、第一距離A11,A12は、シート部11の厚みB11よりも長い。このため、第一距離A11,A12がシート部11の厚みB11以下である場合に比べて、耳挿入部71,81が第一方向に大きくなり、耳挿入部71,81に耳47を挿入し易くなる。このため、理美容師が耳挿入部71,81に顧客の耳47を挿入する作業効率が向上する。
【0040】
また、第二距離C11,C12は、第一距離A11,A12よりも長い。このため、第二距離C11,C12が第一距離A11,A12以下である場合に比べて、把持部58,59が大きくなり、理美容師が掴みやすい。よって、理美容師が耳挿入部71,81に顧客の耳47を挿入する場合に、把持部58,59が引っ張り易くなり、耳挿入部71,81に顧客の耳47を挿入する作業効率が向上する。
【0041】
また、シート部11は、静電気を帯びた素材である。このため、シート部11が静電気を帯びていない場合に比べて、フェイスシート1が顧客の顔に密着しやすく、顧客の顔とフェイスシート1との間に隙間が発生し難い。よって、顧客の顔とフェイスシート1との隙間から、微粒子、細菌、及びウイルス等が顧客の口及び鼻に向かって侵入する可能性を低減できる。また、シート部11が静電気を帯びていない場合に比べて、フェイスシート1が顧客の顏に密着し易く、顧客の呼吸によってフェイスシート1が浮かぶ可能性を低減できる。よって、顧客の呼吸によってフェイスシート1が浮かび、微粒子、細菌、及びウイルス等が顧客の口及び鼻に向かって侵入する可能性を低減できる。
【0042】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、収納部61において、2つ折りにされた一のフェイスシート1の間に、該一のフェイスシート1に隣接する他のフェイスシート1の一部が挟まれていたが(図6から図8参照)、これに限定されない。例えば、複数のフェイスシート1は、折り曲げられずに、前後方向に重ねられてもよい。
【0043】
また、フェイスシート1の収納方法は限定されない。例えば、フェイスシート1は、紙製の箱で形成された収納部61に収納されていたが、これに限定されない。例えば、収納部61は、複数のフェイスシート1の周囲を覆うビニールであってもよい。また、収納部61が設けられなくてもよい。
【0044】
また、シート部11に、吸水性のある素材を使用してもよい。この場合、シート部11が吸水性を有さない場合に比べて、フェイスシート1に水がかかった場合に、フェイスシート1から水が流れて顧客にかかってしまう可能性を低減できる。また、シート部11は、静電気を帯びた素材であったが、静電気を帯びていない素材であってもよい。
【0045】
また、シート部11は、微粒子、細菌、及びウイルスの通過量を低減する不織布フィルターで形成されていたが、これに限定されない。例えば、微粒子、細菌、及びウイルスの通過量を低減する不織布フィルターで形成されていなくてもよい。
【0046】
また、第二距離C11,C12が、第一距離A11,A12以下であってもよい。また、第一距離A11,A12は、シート部11の厚みB11以下であってもよい。
【0047】
また、第一距離A11は、弧状部721,722の上下方向の長さD11と同じであり、第一距離A12は、弧状部821,822の上下方向の長さD12と同じであったがこれに限定されない。例えば、第一距離A11は、弧状部721,722の上下方向の長さD11と異なり、第一距離A12は、弧状部821,822の上下方向の長さD12と異なっていてもよい。例えば、第一距離A11は、弧状部721,722の上下方向の長さD11より長くてもよいし、第一距離A12は、弧状部821,822の上下方向の長さD12より長くてもよい。また、弧状部721,722の上下方向の長さD11は、第一距離A11より短くてもよいし、弧状部821,822の上下方向の長さD12は、第一距離A12より短くてもよい。
【0048】
また、弧状部721,722,821,822は、弧状であればよく、円弧状であってもよいし、弓なりの弧状であってもよい。耳挿入部71,81に弧状部721,722,821,822が設けられていたが、これに限定されない。例えば、耳挿入部71における一対の第二辺711,712の第二方向の端部が、第一方向に延びる直線状に接続され、耳挿入部81おける一対の第二辺811,812の第二方向の端部が、第一方向に延びる直線状に接続されてもよい。
【0049】
また、シート部11は、静電気を帯び、フェイスシート1のシート部11同士の摩擦によって静電気の帯電量が増大する素材である帯電材料で形成されてもよい。帯電材料は、例えば、微粒子、細菌、及びウイルスの通過量を低減する不織布フィルターであってもよい。そして、収納部61の取出部62から一のフェイスシート1が取り出される場合に、後側に隣接する他のフェイスシート1との摩擦によって帯電量が増大してもよい。
【0050】
この場合、フェイスシート1同士の摩擦によって、静電気の帯電量が増大するので、帯電量が増大しない場合に比べて、静電気によって顧客の顏にフェイスシート1がより密着し易くなる。よって、顧客の顔とフェイスシート1の間に隙間が発生しにくく、顧客の顔とフェイスシート1との隙間から、顧客の口及び鼻に向かって微粒子、細菌、及びウイルス等が侵入する可能性を低減することができる。また、顧客の呼吸によってフェイスシート1が浮かぶ可能性をより低減できる。よって、顧客の呼吸によってフェイスシート1が浮かび、微粒子、細菌、及びウイルス等が顧客の口及び鼻に向かって侵入する可能性を低減できる。
【0051】
なお、上記のフェイスシート1の各構成要素は、互いに組み合わされてもよいし、一部の構成要素が削除されてもよい。また、上記のフェイスシートセット60の各構成要素は、互いに組み合わされてもよいし、一部の構成要素が削除されてもよい。
【0052】
また、耳挿入部71,81の一方のみが設けられてもよい。この場合、1つの耳挿入部に、顧客の片方の耳47を挿入することで、フェイスシートを顧客の顔に固定することができる。また、両方の耳を耳挿入部71,81に装着する場合に比べて、理美容師の作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0053】
1 フェイスシート
11 シート部
51,52 第一辺
58,59 把持部
60 フェイスシートセット
61 収納部
62 取出部
65 表面
66 後面
71,81 耳挿入部
711,712 第二辺
721,722,821,822 弧状部
A11,A12 第一距離
B11 厚み
C11,C12 第二距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8