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  • 特開-発電システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002520
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 17/06 20060101AFI20231228BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20231228BHJP
   F01K 23/04 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
F01K17/06
F01K9/00 D
F01K23/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101751
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 原栄
(72)【発明者】
【氏名】藤森 俊郎
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BB07
3G081BC02
3G081BC04
3G081BD01
(57)【要約】
【課題】エネルギ効率を向上することができる発電システムを提供すること。
【解決手段】発電システム10は、アンモニアを含む燃料を燃焼するボイラ3と、ボイラ3と循環的に接続され、ボイラ3からの蒸気によって駆動される第1タービン41と、ボイラ3および第1タービン41と循環的に接続される復水器6であって、第1タービン41から排出される蒸気を冷却し、凝縮された水をボイラ3に供給する、復水器6と、アンモニア供給源1およびボイラ3と接続される気化器2であって、アンモニア供給源1からの液体アンモニアを加熱し、加熱されたアンモニアをボイラ3に供給する、気化器2と、復水器6における蒸気と気化器2における液体アンモニアとの間の温度差によって駆動される発電部7と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを含む燃料を燃焼するボイラと、
前記ボイラと循環的に接続され、前記ボイラからの蒸気によって駆動される第1タービンと、
前記ボイラおよび前記第1タービンと循環的に接続される復水器であって、前記第1タービンから排出される蒸気を冷却し、凝縮された水を前記ボイラに供給する、復水器と、
アンモニア供給源および前記ボイラと接続される気化器であって、前記アンモニア供給源からの液体アンモニアを加熱し、加熱されたアンモニアを前記ボイラに供給する、気化器と、
前記復水器における前記蒸気と前記気化器における前記液体アンモニアとの間の温度差によって駆動される発電部と、
を備える、発電システム。
【請求項2】
前記復水器は、熱媒体によって、前記蒸気を冷却し、
前記気化器は、前記復水器において加熱された前記熱媒体によって、前記液体アンモニアを加熱し、
前記発電部は、前記復水器および前記気化器での前記熱媒体の体積変化に基づいて回転される、発電機を含む、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記発電システムは、前記復水器と、前記気化器と、前記発電機に連結される第2タービンとを含み、前記復水器、前記気化器および前記第2タービンが互いに循環的に接続される、ランキンサイクルを備え、
前記熱媒体は、前記第1タービンから排出される前記蒸気の温度よりも低くかつ液体アンモニアの温度よりも高い沸点を有する流体であり、
前記復水器は、前記蒸気によって前記流体を加熱し、
前記第2タービンは、前記復水器から供給される気化された前記流体によって回転され、
前記気化器は、前記第2タービンから排出される気化された前記流体を前記液体アンモニアによって冷却する、
請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記ランキンサイクルは、前記流体として有機媒体を使用するオーガニックランキンサイクルである、請求項3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記発電システムは、前記復水器と、前記気化器と、前記発電機に連結されるクランクシャフトとを含み、前記復水器および前記気化器が互いに接続される、スターリングエンジンを備え、
前記熱媒体は、気体であり、
前記復水器は、前記蒸気によって前記気体を加熱し、
前記気化器は、前記液体アンモニアによって前記気体を冷却し、
前記クランクシャフトは、前記復水器における前記気体の膨張および前記気化器における前記気体の収縮によって回転される、
請求項2に記載の発電システム。
【請求項6】
前記発電部は、前記復水器に熱的に結合される第1電極と、前記気化器に熱的に結合される第2電極と、前記第1電極および前記第2電極の間に配置される2種類の異なる半導体または金属と、を含み、前記第1電極と前記第2電極との間の温度差によって起電力を生じる、熱電変換素子を含む、請求項1に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、COを放出しない燃料として知られている。例えば、特許文献1は、アンモニアを燃料として使用する熱サイクル設備を開示する。この設備では、アンモニアは液体状態で貯蔵される。液体アンモニアは気化され、ボイラにおいて気体状態で燃焼される。ボイラからの水蒸気は、タービンおよび発電機を回転させる。水蒸気は、復水器において水に凝縮される。この文献では、アンモニアを気化するために、復水器を通る水蒸気の熱が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-123756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような設備では、エネルギ効率をさらに向上することが望まれる。
【0005】
本開示は、エネルギ効率を向上することができる発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る発電システムは、アンモニアを含む燃料を燃焼するボイラと、ボイラと循環的に接続され、ボイラからの蒸気によって駆動される第1タービンと、ボイラおよび第1タービンと循環的に接続される復水器であって、第1タービンから排出される蒸気を冷却し、凝縮された水をボイラに供給する、復水器と、アンモニア供給源およびボイラと接続される気化器であって、アンモニア供給源からの液体アンモニアを加熱し、加熱されたアンモニアをボイラに供給する、気化器と、復水器における蒸気と気化器における液体アンモニアとの間の温度差によって駆動される発電部と、を備える。
【0007】
復水器は、熱媒体によって、蒸気を冷却してもよく、気化器は、復水器において加熱された熱媒体によって、液体アンモニアを加熱してもよく、発電部は、復水器および気化器における熱媒体の体積変化に基づいて回転される、発電機を含んでもよい。
【0008】
発電システムは、復水器と、気化器と、発電機に連結される第2タービンとを含み、復水器、気化器および第2タービンが互いに循環的に接続される、ランキンサイクルを備えてもよく、熱媒体は、第1タービンから排出される蒸気の温度よりも低くかつ液体アンモニアの温度よりも高い沸点を有する流体であってもよい。この場合、復水器は、蒸気によって流体を加熱し、第2タービンは、復水器から供給される気化された流体によって回転され、気化器は、第2タービンから排出される気化された流体を液体アンモニアによって冷却する。
【0009】
ランキンサイクルは、流体として有機媒体を使用するオーガニックランキンサイクルであってもよい。
【0010】
発電システムは、復水器と、気化器と、発電機に連結されるクランクシャフトとを含み、復水器および気化器が互いに接続される、スターリングエンジンを備えてもよく、熱媒体は、気体であってもよい。この場合、復水器は、蒸気によって気体を加熱し、気化器は、液体アンモニアによって気体を冷却し、クランクシャフトは、復水器における気体の膨張および気化器における気体の収縮によって回転される。
【0011】
発電部は、復水器に熱的に結合される第1電極と、気化器に熱的に結合される第2電極と、第1電極および第2電極の間に配置される2種類の異なる半導体または金属と、を含み、第1電極と第2電極との間の温度差によって起電力を生じる、熱電変換素子を含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、エネルギ効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態に係る発電システムを示す概略図である。
図2図2は、第2実施形態に係る発電システムを示す概略図である。
図3図3は、第3実施形態に係る発電システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料および数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る発電システム10を示す概略図である。以下、発電システム10は、単に「システム」とも称され得る。図1において、実線の矢印は液体の流れを示し、破線の矢印は気体の流れを示す。システム10は、例えば、タンク(アンモニア供給源)1と、気化器2と、ボイラ3と、第1タービン発電機4と、第1復水器5と、第2復水器6と、ランキンサイクル50と、を備える。システム10の構成要素はこれらに限定されず、システム10は、その他の構成要素をさらに備えてもよい。
【0016】
タンク1は、アンモニアを貯蔵する。具体的には、タンク1は、液体アンモニアを貯蔵する。タンク1は、流路L1によって気化器2に接続される。タンク1内の液体アンモニアは、流路L1によって気化器2に供給される。流路L1には、液体アンモニアを送るための第1ポンプP1が設けられる。
【0017】
気化器2は、ランキンサイクル50を循環する詳しくは後述の熱媒体によって、タンク1からの液体アンモニアを加熱する。気化器2は、熱媒体と液体アンモニアとの間で熱交換する。加熱された液体アンモニアは、気体アンモニアへと気化する。気化器2は、流路L2によってボイラ3に接続される。気化したアンモニアは、流路L2によってボイラ3に供給される。
【0018】
ボイラ3は、気化器2からの気体アンモニアを含む燃料を燃焼する。例えば、ボイラ3は、アンモニアと、例えば微粉炭等の他の燃料と、を含む混合燃料を燃焼してもよい。また、例えば、ボイラ3は、アンモニアのみを燃焼してもよい。また、例えば、ボイラ3は、必要に応じて、アンモニア以外の他の燃料のみを燃焼してもよい。ボイラ3は、燃焼による熱によって水を加熱し、水蒸気を生成する。
【0019】
第1タービン発電機4は、第1タービン41と、第1発電機42と、を含む。
【0020】
第1タービン41は、循環流路L3によって、ボイラ3に循環的に接続される。ボイラ3で生成された水蒸気は、循環流路L3によって第1タービン41に供給される。第1タービン41は、ボイラ3からの水蒸気によって回転させられる。第1発電機42は、第1タービン41に連結される。第1発電機42は、第1タービン41と共に回転し発電する。
【0021】
第1復水器5および第2復水器6は、循環流路L3によって、第1タービン41に循環的に接続される。具体的には、本実施形態では、循環流路L3は、第1タービン41の下流の位置で、流路L31および流路L32に分岐する。なお、分岐点には、流路L31および流路L32を流れる蒸気の流量を調整する不図示のバルブが設けられてもよい。第1復水器5は、流路31に配置され、第2復水器6は、流路32に配置される。すなわち、本実施形態では、第1復水器5および第2復水器6は、互いに並列に第1タービン41に接続される。流路L31および流路L32は、第1復水器5および第2復水器6の下流の位置で、互いに合流する。
【0022】
第1復水器5および第2復水器6の各々は、第1タービン41から排出される蒸気を冷却する。蒸気は、水へと凝縮する。凝縮した水は、ボイラ3へと再び供給され、水蒸気へと加熱される。
【0023】
例えば、第1復水器5は、外部からの水、例えば、海水、河川の水または水道水等を、蒸気の冷却に使用してもよい。第1復水器5は、蒸気と外部からの水との間で熱交換する。第2復水器6は、上記のランキンサイクル50を循環する熱媒体を、蒸気の冷却に使用する。第2復水器6は、蒸気と熱媒体との間で熱交換する。
【0024】
循環流路L3には、水を循環させるための第2ポンプP2が設けられる。
【0025】
続いて、ランキンサイクル50について説明する。
【0026】
ランキンサイクル50は、上記の第2復水器(蒸発器)6および気化器(凝縮器)2と、第2タービン発電機(発電部)7と、を含む。第2タービン発電機7は、第2タービン71と、第2発電機72と、を含む。
【0027】
第2タービン71は、循環流路L4によって、第2復水器6に循環的に接続される。この循環流路L4は、第2復水器6、第2タービン71および気化器2を循環的に接続する。循環流路L4には、熱媒体が流れる。熱媒体として使用される流体は、第1タービン41から排出される蒸気の温度よりも低くかつ液体アンモニアの温度よりも高い沸点、例えば-26.5℃~-1.4℃の沸点を有する。このような熱媒体は、有機媒体でもよく、例えばR134a、R227ea、R236faおよびR1234zeを含む。本実施形態では、ランキンサイクル50は、流体として有機媒体を使用するオーガニックランキンサイクルである。他の実施形態では、ランキンサイクル50は、オーガニックランキンサイクルでなくてもよく、この場合、流体は超臨界二酸化炭素などであってもよい。
【0028】
循環流路L4には、熱媒体を循環させるための第3ポンプP3が設けられる。
【0029】
上記のように、第2復水器6は、循環流路L4を流れる熱媒体によって、循環流路L3を流れる蒸気、より詳しくは流路L32を流れる蒸気を冷却する。言い換えると、第2復水器6において、循環流路L4を流れる熱媒体は、循環流路L3を流れる蒸気によって加熱され、気体へと気化される。したがって、熱媒体に着目する場合には、第2復水器6は、熱媒体の「蒸発器」として機能する。気化によって熱媒体は膨張し、熱媒体の体積が増加する。気化した熱媒体は、循環流路L4によって、第2タービン71に供給される。
【0030】
第2タービン71は、第2復水器6からの気化した熱媒体によって回転させられる。第2発電機72は、第2タービン71に連結される。第2発電機72は、第2タービン71と共に回転し発電する。したがって、システム10では、第1発電機42に加えて、第2発電機72においても電力が生成される。
【0031】
気化器2は、第2タービン71から排出される熱媒体によって、液体アンモニアを加熱する。言い換えると、気化器2において、熱媒体は、液体アンモニアによって冷却され、液体へと凝縮される。したがって、熱媒体に着目する場合には、気化器2は、熱媒体の「凝縮器」として機能する。凝縮によって熱媒体は収縮し、熱媒体の体積が減少する。凝縮された熱媒体は、復水器6へと再び供給され、気化される。
【0032】
以上のようなシステム10は、アンモニアを含む燃料を燃焼するボイラ3と、ボイラ3と循環的に接続され、ボイラ3からの蒸気によって駆動される第1タービン41と、ボイラ3および第1タービン41と循環的に接続される第2復水器6であって、第1タービン41から排出される蒸気を冷却し、凝縮された水をボイラ3に供給する、第2復水器6と、タンク1およびボイラ3と接続される気化器2であって、タンク1からの液体アンモニアを加熱し、加熱されたアンモニアをボイラ3に供給する、気化器2と、第2復水器6における蒸気と気化器2における液体アンモニアとの間の温度差によって駆動される第2タービン発電機7と、を備える。このような構成によれば、第1タービン41から排出される蒸気の熱を液体アンモニアの気化に使用することができ、さらに、これら蒸気および液体アンモニアの間の温度差を、第2タービン発電機7における発電に使用することができる。したがって、エネルギ効率を向上することができる。
【0033】
また、システム10では、第2復水器6は、熱媒体によって、蒸気を冷却し、気化器2は、第2復水器6において加熱された熱媒体によって、液体アンモニアを加熱し、第2タービン発電機7は、第2復水器6で膨張されかつ気化器2で収縮される熱媒体の体積変化に基づいて回転される、第2発電機72を含む。このような構成によれば、熱媒体の体積変化を第2発電機72の駆動に使用することができる。
【0034】
また、システム10は、第2復水器6と、気化器2と、第2発電機72に連結される第2タービン71と、を含み、第2復水器6、気化器2および第2タービン71が互いに循環的に接続される、ランキンサイクル50を備え、熱媒体は、第1タービン41から排出される蒸気の温度よりも低くかつ液体アンモニアの温度よりも高い沸点を有する流体である。第2復水器6は、蒸気によって流体を加熱し、第2タービン71は、第2復水器6から供給される気化された流体によって回転され、気化器2は、第2タービン71から排出される気化された流体を液体アンモニアによって冷却する。このような構成によれば、第1タービン41から排出される蒸気の温度よりも低い沸点を有する流体が、熱媒体として使用される。したがって、第1タービン41から排出される蒸気の温度が比較的低い場合であっても、第2発電機72を駆動することができる。
【0035】
また、システム10では、ランキンサイクル50は、流体として有機媒体を使用するオーガニックランキンサイクルである。このような構成によれば、液体アンモニアと復水器の温度差から追加で電力を得ることができる。
【0036】
続いて、他の実施形態について説明する。
【0037】
図2は、第2実施形態に係る発電システム10Aを示す概略図である。システム10Aは、システム10Aがランキンサイクル50に代えて1つまたは複数のスターリングエンジン50Aを備える点で、第1実施形態に係るシステム10と異なる。システム10Aは、その他の点については、第1実施形態に係るシステム10と同じであってもよい。図2には、単一のスターリングエンジン50Aが示されるが、システム10Aは、複数のスターリングエンジン50Aを備えてもよい。
【0038】
例えば、気化器2は、シリンダ21と、ピストン22と、を含む。シリンダ21およびピストン22は、チャンバ23を画定する。第2復水器6は、シリンダ61と、ピストン62と、を含む。シリンダ61およびピストン62は、チャンバ63を画定する。なお、図2では、ピストン22は上死点に位置し、ピストン62は下死点に位置する。
【0039】
チャンバ23およびチャンバ63は、流路L5で互いに接続される。チャンバ23、チャンバ63および流路L5には、熱媒体が充填される。熱媒体は、例えば水素、ヘリウムまたは空気等の気体である。
【0040】
ピストン22は、コネクティングロッド24によってクランクシャフトCSに連結される。ピストン62は、コネクティングロッド64によってクランクシャフトCSに連結される。第2発電機72は、クランクシャフトCSに連結される。
【0041】
第2復水器6は、チャンバ63内の熱媒体によって、循環流路L3を流れる蒸気、より詳しくは流路L32を流れる蒸気を冷却する。第2復水器6は、蒸気と熱媒体との間で熱交換する。言い換えると、第2復水器6において、チャンバ63内の熱媒体は、蒸気によって加熱され膨張する。したがって、熱媒体に着目する場合には、第2復水器6は、熱媒体の「高温部」として機能する。膨張に伴って、熱媒体の体積は増加する。
【0042】
気化器2は、チャンバ23内の熱媒体、すなわち、第2復水器6のチャンバ63において加熱された熱媒体によって、液体アンモニアを加熱する。気化器2は、熱媒体と液体アンモニアとの間で熱交換する。言い換えると、気化器2において、チャンバ23内の熱媒体は、液体アンモニアによって冷却され収縮する。したがって、熱媒体に着目する場合には、気化器2は、熱媒体の「低温部」として機能する。収縮に伴って、熱媒体の体積が減少する。
【0043】
図2に示されるように、ピストン22が上死点に位置し、ピストン62が下死点に位置する場合、チャンバ63内の膨張する熱媒体は、ピストン62を上死点に向かって押す。また、ピストン22は、コネクティングロッド64、24を介して、ピストン62によって下死点に向かって押される。さらに、チャンバ23内の熱媒体は、冷却されて収縮する。したがって、ピストン22は下死点に向かって移動する。
【0044】
ピストン62が上死点に達すると、膨張する熱媒体は、もはやピストン62を押すことができない。膨張する熱媒体は、流路L5を通して、チャンバ63からチャンバ23に向かって流れる。
【0045】
チャンバ23内の熱媒体は冷却される一方で、上記のように、第2復水器6のチャンバ63からは、膨張する熱媒体がチャンバ23に供給される。したがって、チャンバ63内の熱媒体が増加する。増加する熱媒体によって、ピストン22は下死点から上死点に向かって押される。また、ピストン62は、コネクティングロッド24,64を介して、ピストン22によって下死点に向かって押される。
【0046】
ピストン22が上死点に達すると、チャンバ23内の熱媒体は、もはやピストン22を押すことができない。したがって、チャンバ23内の熱媒体は冷却されて収縮する。また、第2復水器6では、チャンバ63内の膨張する熱媒体が、ピストン62を上死点に向かって再び押す。
【0047】
以上のようなピストン22,62の往復運動は、クランクシャフトCSの回転運動に変換される。したがって、クランクシャフトCSによって第2発電機72が回転され、電気が生成される。このように、システム10Aでは、第2発電機72が発電部として機能する。
【0048】
以上のようなシステム10Aは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、第1タービン41から排出される蒸気の熱を液体アンモニアの気化に使用することができ、さらに、これら蒸気および液体アンモニアの間の温度差を、第2発電機72における発電に使用することができる。したがって、エネルギ効率を向上することができる。また、システム10Aは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、熱媒体の体積変化を、第2発電機72の駆動に使用することができる。
【0049】
また、システム10Aは、第2復水器6と、気化器2と、第2発電機72に連結されるクランクシャフトCSと、を含み、第2復水器6および気化器2が互いに接続される、スターリングエンジン50Aを備え、熱媒体は、気体である。第2復水器6は、蒸気によって気体を加熱し、気化器2は、液体アンモニアによって気体を冷却し、クランクシャフトCSは、第2復水器6における気体の膨張および気化器2における気体の収縮によって回転される。スターリングエンジンは、高効率で熱エネルギを力学的エネルギに変換できる可能性を有することが知られている。したがって、システム10Aは、エネルギ効率をさらに向上できる可能性を有する。
【0050】
続いて、さらに他の実施形態について説明する。
【0051】
図3は、第3実施形態に係る発電システム10Bを示す概略図である。システム10Bは、システム10Bがランキンサイクル50に代えて1つまたは複数の熱電変換素子50Bを備える点で、第1実施形態に係るシステム10と異なる。システム10Bは、その他の点については、第1実施形態に係るシステム10と同じであってもよい。図3には、単一の熱電変換素子50Bが示されるが、システム10Bは、複数の熱電変換素子50Bを備えてもよい。
【0052】
例えば、熱電変換素子50Bは、第1電極65と、2つの第2電極25a,25bと、p型半導体Spと、n型半導体Snと、を含む。
【0053】
第1電極65は、第2復水器6に熱的に結合される。第2復水器6では、循環流路L3を流れる蒸気の熱が、第1電極65に伝達される。これによって、蒸気は冷却され、水へと凝縮する。また、第1電極65は、熱を受け取ることによって加熱される。
【0054】
第2電極25a,25bは、気化器2に熱的に結合される。気化器2では、第2電極25a,25bから液体アンモニアに熱が伝達される。これによって、液体アンモニアは加熱され、気化する。また、第2電極25a,25bは、熱を液体アンモニアに放出することによって、冷却される。
【0055】
p型半導体Spおよびn型半導体Snは、並列に第1電極65に結合される。また、p型半導体Spは第2電極25aに結合され、n型半導体Snは第2電極25bに結合される。
【0056】
熱電変換素子50Bでは、第1電極65と第2電極25a,25bとの間の温度差が、ゼーベック効果を引き起こし、第1電極65と第2電極25a,25bとの間に起電力が生じる。このように、システム10Bでは、熱電変換素子50Bが発電部として機能する。
【0057】
第1電極65、第2電極25a,25b、p型半導体Spおよびn型半導体Snは、ゼーベック効果を生じさせる公知の様々な材料で形成されてもよい。また、他の実施形態では、ゼーベック効果を生じさせる限りにおいて、p型半導体Spおよびn型半導体Snに代えて、2種類の異なる金属が使用されてもよい。
【0058】
以上のようなシステム10Bは、第1実施形態に係るシステム10と同様に、第1タービン41から排出される蒸気の熱を液体アンモニアの気化に使用することができ、さらに、これら蒸気および液体アンモニアの間の温度差を、熱電変換素子50Bにおける発電に使用することができる。したがって、エネルギ効率を向上することができる。
【0059】
また、システム10Bでは、発電部は、第2復水器6に熱的に結合される第1電極65と、気化器2に熱的に結合される第2電極25a,25bと、第1電極65および第2電極25a,25bの間に配置される2種類の異なる半導体Sp,Snと、を含み、第1電極65と第2電極25a,25bとの間の温度差によって起電力を生じる、熱電変換素子50Bを含む。このような構成によれば、例えば、発電部を駆動するために熱媒体の使用を避けることができる。したがって、システム10Bの取り扱いが容易になる。なお、蒸気から第1電極65への熱の伝達、および、第2電極25a,25bから液体アンモニアへの熱の伝達には、熱媒体が使用されてもよい。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
例えば、上記の実施形態では、システム10,10A,10Bの各々は、互いに並列に配置された第1復水器5および第2復水器6を備える。他の実施形態では、システムは、互いに直列に配置された第1復水器5および第2復水器6を備えてもよい。例えば、この場合、第2復水器6は、第1復水器5の上流に配置されてもよい。さらに他の実施形態では、システムは、第1復水器5を備えなくてもよい。
【0062】
本開示は、CO放出の削減につながるアンモニアの使用を促進することができるので、例えば、持続可能な開発目標(SDGs)の目標7「手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギへのアクセスを確保する」および目標13「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」に貢献することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 タンク(アンモニア供給源)
2 気化器
3 ボイラ
6 第2復水器(復水器)
7 第2タービン発電機(発電部)
10 発電システム
10A 発電システム
10B 発電システム
25a 第2電極
25b 第2電極
41 第1タービン
50 ランキンサイクル
50A スターリングエンジン
50B 熱電変換素子
65 第1電極
71 第2タービン
72 第2発電機(発電機)
CS クランクシャフト
Sn n型半導体
Sp p型半導体
図1
図2
図3