(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025216
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】表示ユニット及び光学表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 23/04 20060101AFI20240216BHJP
G02B 23/10 20060101ALI20240216BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240216BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240216BHJP
G02B 23/14 20060101ALI20240216BHJP
G02B 5/08 20060101ALI20240216BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20240216BHJP
【FI】
G02B23/04
G02B23/10
G02B21/36
G02B21/00
G02B23/14
G02B5/08 D
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128477
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】井出 光隆
(72)【発明者】
【氏名】濱出 唯芽
【テーマコード(参考)】
2H039
2H042
2H052
2H199
【Fターム(参考)】
2H039AA05
2H039AB22
2H039AB63
2H039AC09
2H042AA03
2H042AA05
2H042AA17
2H042AA19
2H042AA21
2H052AB26
2H052AF22
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA43
2H199CA44
2H199CA45
2H199CA47
2H199CA50
2H199CA58
2H199CA59
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA87
2H199CA94
(57)【要約】
【課題】光学表示装置の軽量化を図る。
【解決手段】本発明の表示ユニットは、対物レンズ及び接眼レンズを含むレンズ群を収容する第1収容部材に取り付けられる取付部材と、映像光を射出する表示素子と、表示素子から射出された映像光が入射する入射部と、映像光を射出し、レンズ群の軸上に配置されている射出部と、入射部から入射した映像光を射出部に向けて導光する導光部と、を有する光学部材と、表示素子と光学部材とを収容する第2収容部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズ及び接眼レンズを含むレンズ群を収容する第1収容部材に取り付けられる取付部材と、
映像光を射出する表示素子と、
前記表示素子から射出された前記映像光が入射する入射部と、前記映像光を射出し、前記レンズ群の軸上に配置されている射出部と、前記入射部から入射した前記映像光を前記射出部に向けて導光する導光部と、を有する光学部材と、
前記表示素子と前記光学部材と、を収容する第2収容部材と、
を備える、
表示ユニット。
【請求項2】
前記対物レンズは前記射出部と前記接眼レンズとの間に配置されている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項3】
前記射出部から前記接眼レンズまでの距離は、前記入射部から前記表示素子までの距離よりも長い、
請求項2に記載の表示ユニット。
【請求項4】
前記接眼レンズは前記対物レンズと前記射出部との間に配置されている、
請求項1に記載の表示ユニット。
【請求項5】
前記射出部から前記対物レンズまでの距離は、前記入射部から前記表示素子までの距離よりも長い、
請求項4に記載の表示ユニット。
【請求項6】
前記射出部には、前記導光部が導光した映像光を射出し、前記軸上に配置される第1ハーフミラーが設けられている、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項7】
前記射出部には、前記第1ハーフミラーを透過した前記映像光を前記第1ハーフミラーに向けて反射する第2反射部材が設けられている、
請求項6に記載の表示ユニット。
【請求項8】
前記射出部には、前記導光部が導光した映像光を射出し、前記第1ハーフミラーとは異なる第2ハーフミラーが設けられ、
前記第2ハーフミラーは前記第1ハーフミラーが延在する方向に沿って延在している、
請求項6に記載の表示ユニット。
【請求項9】
前記第1ハーフミラーから前記入射部までの距離は前記第2ハーフミラーから前記入射部までの距離よりも長い、
請求項8に記載の表示ユニット。
【請求項10】
前記第1ハーフミラーの反射率は前記第2ハーフミラーの反射率よりも高い、
請求項8に記載の表示ユニット。
【請求項11】
前記入射部には、前記表示素子から射出された前記映像光を前記導光部に向けて反射する第1反射部材が設けられている、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項12】
前記射出部には、前記導光部によって導光された前記映像光を射出する複数の微小ミラーを有する第1微小ミラー群と、前記導光部によって導光された前記映像光を射出し、前記光学部材において前記第1微小ミラー群とは異なる位置に配置された複数の微小ミラーを有する第2微小ミラー群が設けられている、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項13】
前記光学部材は第3反射部材を備え、
前記第3反射部材は、第1方向において前記第1微小ミラー群と前記第2微小ミラー群との間に配置され、前記第1微小ミラー群の前記微小ミラーが並んで配置され且つ前記第1方向とは異なる第2方向に延在する、
請求項12に記載の表示ユニット。
【請求項14】
前記入射部には、前記表示素子が射出した前記映像光を第1方向に回折させる第1回折素子が設けられ、
前記射出部には、前記導光部が導光した映像光を射出し、前記レンズ群の軸上に配置される第2回折素子が設けられている、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項15】
前記第1回折素子の回折格子は前記第1方向と交差する第2方向に延在し、
前記第2回折素子の回折格子は前記第2方向とは異なる方向に延在する、
請求項14に記載の表示ユニット。
【請求項16】
前記導光部には、前記第1回折素子が回折した映像光を前記第2回折素子に向けて回折させる第3回折素子が設けられている、
請求項14に記載の表示ユニット。
【請求項17】
前記射出部において前記第1回折素子が設けられている前記光学部材の側面とは反対側の側面が曲率を有する、
請求項14に記載の表示ユニット。
【請求項18】
前記入射部にプリズムが設けられ、
前記射出部に、前記導光部が導光した映像光を射出し、前記レンズ群の軸上に配置される回折素子が設けられている、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項19】
前記光学部材を前記レンズ群の軸に沿って見たときの形状は円形である、
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニット。
【請求項20】
請求項1から5の何れか一項に記載の表示ユニットと、
前記レンズ群を有する遠方視認装置と、
を備える、
光学表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示ユニット及び光学表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、双眼鏡や望遠鏡、顕微鏡等の観察装置を用いる観察者からの観察像と映像とを重ね合わせて観察したいという要望が高まっている。例えば、双眼鏡で野鳥を観察したときに、観察像に野鳥の名前が瞬時に映像として表示される機能や、顕微鏡の観察像に倍率が瞬時に映像として表示される機能の実現が望まれている。
【0003】
特許文献1には、第1対物レンズと、第2対物レンズと、接眼レンズと、ビームスプリッターと、ディスプレイと、を備える光学装置が開示されている。特許文献1の光学装置では、ディスプレイから発せられた映像光が第2対物レンズを通り、観察光の光路上で第1対物レンズと接眼レンズとの間に配置されたビームスプリッターによって第1対物レンズを通った後の観察光と重ねられる。観察光及び映像光の光路上でビームスプリッターと接眼レンズとの間に中間像が形成される。その結果、特許文献1の光学装置を用いた観察者は、観察像と映像光とが互いに重なり合った中間像を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に開示されている光学装置では、ディスプレイ(表示素子)から発せられた映像光は、直線状の入射側の光軸に沿って進行し、レンズを通って、偏向されずにビームスプリッターの境界面に直接照射される。境界面に入射した映像光は、入射側の光軸を境界面に対して折り返した直線状の射出側の光軸に沿って反射され、映像光の射出側の光軸が対物レンズを通った後の観察光の光軸と平行に向けられているため、境界面によって反射された映像光が対物レンズを通った後の観察光に重なる。したがって、映像光の入射側の光軸に沿って見たときに、ビームスプリッターの境界面の大きさは少なくともレンズを通った後の映像光の大きさ以上であることが求められ、このことが設計上の制約となる。さらに、ビームスプリッターの境界面が映像光の入射側及び射出側の各光軸に対して所定の角度で傾斜した状態でビームスプリッターが観察光の光路上に配置されることが設計上の制約となる。特許文献1の光学装置では、設計上の制約を緩和できないため、ビームスプリッターの小型化を図ることが難しく、総重量が増大する虞がある。そのため、光学装置(光学表示装置)の小型化が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の表示ユニットは、対物レンズ及び接眼レンズを含むレンズ群を収容する第1収容部材に取り付けられる取付部材と、映像光を射出する表示素子と、表示素子から射出された映像光が入射する入射部と、映像光を射出し、レンズ群の軸上に配置されている射出部と、入射部から入射した映像光を射出部に向けて導光する導光部と、を有する光学部材と、表示素子と光学部材とを収容する第2収容部材と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態の光学表示装置の概略図である。
【
図2】
図1に示す光学表示装置をD方向から見たときの概略図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の光学表示装置の概略図である。
【
図4】
図3に示す光学表示装置の光学部材の概略図である。
【
図5】本発明の第3実施形態の光学表示装置の概略図である。
【
図6】本発明の第4実施形態の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図7】
図6に示す光学表示装置の光学部材の概略図である。
【
図8】本発明の第5実施形態の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図9】
図8に示す光学表示装置の光学部材の概略図である。
【
図10】本発明の第6実施形態の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図11】
図10に示す光学表示装置の光学部材の概略図である。
【
図12】本発明の第7実施形態の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図13】
図12に示す光学表示装置の光学部材の概略図である。
【
図14】
図12に示す光学表示装置の第1変形例の光学部材の概略図である。
【
図15】
図12に示す光学表示装置の第2変形例の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図16】本発明の第8実施形態の光学表示装置の一部の概略図である。
【
図17】本発明のその他の実施形態の光学部材の概略図である。
【
図18】本発明のその他の実施形態の光学部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の光学表示装置101の構成を示す概略図であり、光学表示装置101を上方から見た場合の図である。なお、以下の各図面では、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を変えている場合がある。
【0009】
図1に示すように、光学表示装置101は、双眼鏡(遠方視認装置)201と、第1実施形態の表示ユニット11と、を備える。
【0010】
本明細書では、双眼鏡201を使用する観察者の右眼ERと左眼ELの中心同士を結ぶ図示略の線に平行な方向をX方向とし、右眼ERの中心と左眼ELの中心との中間位置を通って右眼ER及び左眼ELの視界の前後方向に平行に延在する仮想線を基準線BLとする。X方向において、基準線BLに近づく方向を-X方向、及び相対的に基準線BLに近い位置を-X側の位置と称し、基準線BLから離れる方向、及び相対的に基準線BLから遠い位置を+X側の位置と称する場合がある。
【0011】
また、X方向に直交し、右眼ER及び左眼ELの視界の前後方向に平行な方向をZ方向とする。Z方向において、観察対象の不図示の物体が存在する位置から観察者の右眼ER及び左眼ELに向かう方向を+Z方向とし、+Z方向とは逆向きの方向を-Z方向と称する場合がある。相対的に+Z方向の前方の位置を+Z側の位置、又は像側の位置と称し、相対的に+Z方向の後方の位置すなわち-Z方向の前方の位置を-Z側の位置、又は物体側の位置と称する場合がある。また、X方向及びZ方向の直交し、鉛直方向に平行な方向をY方向とする。Y方向において下から上に向かう方向を+Y方向と称し、+Y方向とは逆向きの方向を-Y方向と称する場合がある。相対的に+Y方向の前方の位置を+Y側の位置、又は上側の位置と称し、相対的に+Y方向の後方の位置すなわち-Y方向の前方の位置を-Y側の位置、又は下側の位置と称する場合がある。
【0012】
以下、観察光は、観察対象の物体から発せられ、双眼鏡201によって観察者に視認される光を表す。映像光は、観察対象の物体に関する情報を示す画像光であり、後述する表示素子50から発せられ、双眼鏡201によって観察者に視認される光を表す。
【0013】
双眼鏡201は、ポロ式或いはポロプリズムタイプと呼ばれる種類のうちでも所謂ミニポロではなく普通のポロと呼ばれる種類の双眼鏡である。双眼鏡201は、右眼用の鏡筒(第1収容部材)211及びレンズ群と、左眼用の鏡筒(第1収容部材)212及びレンズ群222と、接続部材230と、を備える。
【0014】
右眼用の鏡筒211には、右眼用のレンズ群が収容されている。左眼用の鏡筒212には、左眼用のレンズ群222が収容されている。鏡筒211,212の形状は、各々に対応するレンズ群の全体的な形状に応じて適宜設計されている。具体的には、鏡筒211,212は、物体側の端から+Z方向に延在し、下方に拡がりつつ、-X方向に曲がり、像側の端まで+Z方向に延在している。右眼用の鏡筒211は、基準線BLを基準にして折り返した左眼用の鏡筒212と同等である。鏡筒211,212の物体側の端及び像側の端は開口されている。つまり、鏡筒211,212は、筒状の筐体である。
【0015】
図1では右眼用のレンズ群が省略されているが、右眼用のレンズ群は、基準線BLを基準にして折り返した左眼用のレンズ群222と同等である。以下では、レンズ群222についてのみ説明する。
【0016】
レンズ群222は、少なくとも対物レンズ250と、接眼レンズ270と、を備える。対物レンズ250は、レンズ群222において最も像側に配置されている光学素子であり、鏡筒212の物体側の端部に嵌められている。接眼レンズ270は、レンズ群222において最も像側すなわち左眼ELの近くに配置されている光学素子であり、鏡筒212の像側の端部に嵌められている。
図1では、対物レンズ250及び接眼レンズ270の各々が1枚の両凸レンズで例示されている。但し、対物レンズ250及び接眼レンズ270の一方又は両方は、複数のレンズがレンズ群222の軸AX1上で互いに間隔をあけて配置されている複合レンズであってもよく、2枚以上のレンズが軸AX1上で互いに接合された接合レンズであってもよく、複合レンズと接合レンズとの組み合わせによって構成されていてもよい。軸AX1は、レンズ群222の全体を通る観察光及び映像光の光軸を意味する。
【0017】
また、レンズ群222は、プリズム261,262を備えてもよい。プリズム261は、不図示の観察光の光路上すなわち軸AX1上で対物レンズ250と接眼レンズ270との間に配置されている。プリズム261は、X方向に沿って見たときに略四角形状を有し、Y方向に沿って見たときに略台形状を有し、Zに沿って見たときに長円形状を有する。
【0018】
プリズム261は、透過面261aと、反射面261b,261cと、を有する。透過面261aは、X方向及びY方向を含むXY平面に平行な平面であり、観察光及び後述する映像光を透過する。反射面261bは、Y方向に沿って移動したときに+X側に凸となるように湾曲し、且つ+Z方向に移動するに従って-X側に移動する湾曲面である。反射面261cは、Y方向に沿って移動したときに-X側に凸となるように湾曲し、且つ+Z方向に移動するに従って+X側に移動する湾曲面である。反射面261b,261cは、観察光及び映像光を全反射する。
【0019】
プリズム262は、軸AX1上でプリズム261の直後、すなわち軸AX1上でプリズム261の像側の位置に配置されている。実際には、プリズム262は、X方向でプリズム261の中心よりも-X側の部分と重なり、Y方向でプリズム261の中心よりも下側の部分と重なり、且つプリズム261よりも下方に突出し、Z方向でプリズム261よりも-Z側の位置に配置されている。プリズム262の透過面262aは、プリズム261の透過面261aと平行に配置され、Z方向で透過面261aと隙間をあけて配置されている。
【0020】
プリズム262は、透過面262aと、反射面262b,262cと、を有する。透過面262aは、XY平面に平行な平面であり、観察光及び映像光を透過する。反射面262bは、X方向に沿って移動したときに+Y側に凸となるように湾曲し、且つ+Z方向に移動するに従って+Y側に移動する湾曲面である。反射面262cは、X方向に沿って移動したときに-Y側に凸となるように湾曲し、且つ+Z方向に移動するに従って-Y側に移動する湾曲面である。
【0021】
対物レンズ250と、プリズム261,262と、接眼レンズ270の各材質は、観察光及び映像光を透過可能であれば特に限定されないが、例えば光学ガラスや石英等である。
【0022】
図2は、光学表示装置101を
図1に示すD方向から見たときの構成を示す概略図である。
図1及び
図2に示すように、表示ユニット11は、取付部材21と、筐体(第2収容部材)31と、表示素子50と、レンズ55と、光学部材111と、を備える。
【0023】
取付部材21は、双眼鏡201の鏡筒212の物体側の端部にさらに物体側すなわち-Z側から取り付けられ、鏡筒212に対して着脱可能な部材である。取付部材21の構成及び形状は、鏡筒212の物体側の端部に着脱可能であれば特に限定されない。取付部材21は、例えば鏡筒212の物体側の端部を径方向の外側から係止可能な部材である。Z方向に沿って見たときに、取付部材21は、少なくとも対物レンズ250に入射する前の観察光の光路とは重なっていない。
【0024】
筐体31には、内部空間40が形成されている。内部空間40には、表示素子50と、レンズ55と、光学部材111と、信号処理装置70が収容されている。筐体31は、表示素子50から射出される映像光を観察光と重ね合わせるためのレンズ55及び光学部材111を含む光学系の全体的な形状及び大きさに応じて適宜設計されている。筐体31は、取付部材21と協同して鏡筒212の端部に着脱可能であるため、第1実施形態においてレンズ群222を収容する鏡筒(第1収容部材)212に着脱可能に取り付けられる取付部材の一部である。
【0025】
具体的には、筐体31は、直方体状に形成され、上壁部32と、底壁部33と、側壁部34,35,36,37と、を備える。上壁部32は、XY平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、鏡筒212よりも上方にある。底壁部33は、XY平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、後述するハーフミラー161の下端よりも下方にある。
【0026】
側壁部34は、X方向及びZ方向を含むXZ平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、上壁部32及び底壁部33の各々の+Z側の端同士を連結する。側壁部34は、ハーフミラー161の+Z側の端よりも+Z側すなわち像側の位置にあり、Z方向で鏡筒212の物体側の端と隣り合って配置される。側壁部34において観察光及び映像光の光路と重なる領域には、透過領域が設けられている。側壁部36は、XZ平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、上壁部32及び底壁部33の各々の-Z側の端同士を連結する。側壁部36は、ハーフミラー161の-Z側の端よりも-Z側すなわち物体側の位置にある。側壁部36において観察光の光路と重なる領域には、透過領域が設けられている。
【0027】
側壁部35は、Y方向及びZ方向を含むYZ平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、上壁部32及び底壁部33の各々の+X側の端同士及び側壁部34,36の各々の+X側の端同士を連結する。側壁部37は、YZ平面に略平行な内壁面及び外壁面を有し、上壁部32及び底壁部33の各々の-X側の端同士及び側壁部34,36の各々の-X側の端同士を連結する。
【0028】
筐体31の材質は、特に限定されない。但し、筐体31の材質が観察光及び映像光を透過しない、或いは透過し難い材質である場合には、側壁部34,36の透過領域に開口が形成される、或いは透過領域のみ観察光及び映像光を透過可能な材質で構成される。上壁部32、底壁部33、側壁部35,37の各々の内壁面及び側壁部34,36の透過領域以外の領域の内壁面には、ねじ切りや黒色のコーティング等の遮光処理が施されていることが好ましい。これらの内壁面に遮光処理が施されることによって、表示素子50から射出された映像光の内壁面での乱反射を抑え、ゴーストの発生を防止することができる。
【0029】
筐体31において側壁部34,36は省略されてもよく、筐体31は+Z側及び-Z側に向けて開口していてもよい。なお、側壁部34,36が設けられることによって、観察者が表示ユニット11を取り扱う際に手が表示素子50、レンズ55及び光学部材111に触れることを防止することができる。その結果、軸AX2のずれ、及び表示素子50、レンズ55及び光学部材の各々への外部からの衝撃や各々の損傷、これらの構成同士の相対位置のずれの発生を防止することができる。また、側壁部34,36が設けられることによって、内部空間40に対する防塵効果が得られる。
【0030】
表示素子50は、筐体31の内部空間40に配置され、具体的には内部空間40における+Y側の所定の位置に配置されている。表示素子50は、映像光を射出する表示面52を有する。表示面52は、XZ平面に平行に配置され、内部空間40に面する。なお、表示素子50は、上壁部32の内壁面、すなわち内部空間40に向く壁面に設けられていてもよい。
【0031】
表示素子50は、後述するように観察光と重畳する際に観察光に影響を与えないように映像光を射出可能な光源として、OLED(Organic Light Emitting Diode)のような自発光素子やレーザーMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)であることが好ましい。表示素子50にこれらの光源が用いられることによって、映像光における所謂黒浮きの発生を防ぎ、映像光を鮮明に表示することができる。但し、映像光の黒浮きが問題にならない場合では、表示素子50は、例えばLCoS(Liquid Crystal on Silicon,登録商標)やLED(Light Emitting Diode)、LCD(Liquid Crystal Display)、LEDとLCDとの組み合わせであってもよい。
【0032】
レンズ55は、筐体31の内部空間40に配置され、具体的には表示素子50から発せられた映像光の光路上で表示素子50よりも前方すなわち下方及び-Y側の所定の位置に配置されている。レンズ55は、映像光をレンズ55よりも光路上の前方で結像させる。レンズ55は、図で例示しているように両凸レンズであってもよく、両凸レンズ以外の平凸レンズを含む回転対称形の球面レンズ、非球面レンズ、自由曲面レンズ、フレネルレンズを含む回折レンズの何れかであってもよい。また、レンズ55は、複数のレンズがレンズ55の軸AX2上で互いに間隔をあけて配置されている複合レンズであってもよく、2枚以上のレンズが軸AX2上で互いに接合された接合レンズであってもよく、複合レンズと接合レンズとの組み合わせによって構成されていてもよい。軸AX2は、レンズ55を通る映像光の光軸を意味する。レンズ55の形状、及び開口数(Numerical Aperture;NA)を含むパラメータは、表示面52の大きさ、映像光のビーム面積及び波長等を考慮して適宜設計されている。
【0033】
レンズ55の材質は、映像光を透過可能であれば特に限定されないが、例えば光学ガラスや石英等であり、プラスチック等の樹脂であってもよい。
【0034】
なお、軸AX2上でのレンズ55と表示素子50との距離は微調整可能であることが好ましい。例えば表示素子50の軸AX2上での位置は固定され、レンズ55の軸AX2上での位置が可動であってもよく、レンズ55に不図示の移動機構が設けられてもよい。例えば観察光と映像光との焦点距離及び結像位置に互いにずれが生じた場合に、軸AX2上でのレンズ55と表示素子50との距離を調整することによって、観察光と映像光との焦点距離及び結像位置を互いに揃えることができる。また、観察対象の物体の位置が急変した場合、或いは光学表示装置101を複数の観察者が共有して使用し、観察者によって視認能力の差がある場合等においても、軸AX2上でのレンズ55と表示素子50との距離を調整することによって、観察光に対して各観察者が違和感のない映像光を視認することができる。
【0035】
光学部材111は、導光部材121と、ハーフミラー(第1ハーフミラー)161によって構成されている。導光部材121は、直方体状に形成された部材である。導光部材121は、上面122と、底面123と、側面124,125,126,127と、傾斜面128と、を備える。
【0036】
上面122は、XY平面に略平行な面であり、対物レンズ250の+Y側の端よりも+Y側且つレンズ55よりも-Y側の位置に配置されている。上面122は、レンズ55を挟んで表示素子50の表示面52に向き合っている。上面122のX方向の大きさは、対物レンズ250のX方向及びZ方向の大きさ以下の所定の大きさである。上面122のZ方向の大きさは、上面122のX方向の大きさよりも小さい。上面122のX方向及びZ方向の大きさについては、後に説明する。
【0037】
底面123は、XY平面に略平行且つ上面122に平行な面であり、対物レンズ250の-Y側の端よりも-Y側の位置に配置されている。底面123は、導光部材121において上面122とは反対側にあり、上面122と同じ形状及び大きさを有する。
【0038】
側面124は、XZ平面に略平行な面であり、上面122及び底面123の各々の+Z側の端同士を連結する。側面124の一部は、筐体31の側壁部34の透過領域を挟んで対物レンズ250に向き合っている。上面122のX方向の大きさは、対物レンズ250のX方向の大きさと略同等である。側面124のZ方向の大きさは、側面124のX方向よりも大きい。側面124のZ方向の大きさについては、後に説明する。
【0039】
側面126は、XZ平面に略平行且つ側面124に平行な面であり、上面122及び底面123の各々の-Z側の端同士を連結する。側面126は、導光部材121において側面124とは反対側にあり、側面126と同じ形状及び大きさを有する。側面124,126は、観察対象の物体から対物レンズ250までの間の軸AX1とX方向及びY方向で重なっている。すなわち、物体から対物レンズ250までの間の軸AX1は、導光部材121を通る。
【0040】
側面125は、YZ平面に略平行な面であり、上面122及び底面123の各々の+X側の端同士及び側面124,126の各々の+X側の端同士を連結する。側面127は、YZ平面に略平行且つ側面125に平行な面であり、上面122及び底面123の各々の-X側の端同士及び側面124,126の各々の-X側の端同士を連結する。
【0041】
導光部材121の材質は、映像光及び観察光を透過可能な材質であり、後述するように側面124~127で映像光を全反射可能な屈折率を有する。導光部材121の材質は、例えば樹脂材料、光学ガラスや石英等である。
【0042】
傾斜面128は、導光部材121においてX方向及びY方向で対物レンズ250の最大領域と略重なる領域内に設けられている。傾斜面128は、X方向に沿って見たときに軸AX1,AX2の各々と略45°をなし、XY平面及びXZ平面に対して傾斜している。
傾斜面128のX方向、Y方向及びZ方向の中央部は、軸AX1,AX2の交点上に配置されている。
【0043】
ハーフミラー161は、導光部材121の傾斜面128に設けられている。ハーフミラー161のX方向、Y方向及びZ方向の中央部は、軸AX1,AX2の交点上に配置される。ハーフミラー161の表面は、傾斜面128と同様に、X方向に沿って見たときに軸AX1,AX2の各々と略45°をなし、XY平面及びXZ平面に対して傾斜し、+Z方向に移動するに従って-Y方向に移動する。
【0044】
ハーフミラー161における観察光の透過率は50%以上であることが好ましい。このことによって、光学表示装置101における観察光の透過率の低下を極力抑えることができる。ハーフミラー161における映像光の透過率は、例えば30%以上である。ハーフミラー161は、例えば銀等の金属で形成されてもよいが、誘電体多層膜で構成されていることが好ましい。ハーフミラー161が誘電体多層膜で構成されることによって、ハーフミラー161に-Z側から入射する観察光の透過率を高めることができる。
【0045】
映像光が単色でよい場合、表示素子50の表示面52から単色である所定の色に対応する波長を有する映像光が射出される。この場合、ハーフミラー161は、所定の色の波長を有する光のみに高い反射率を有し、所定の色以外の波長を有する光を透過するように形成されてもよい。所定の色は、例えば緑色や青色であるが、観察者が視認可能であれば特に限定されない。
【0046】
信号処理装置70は、表示素子50と電気的に接続された任意の場所に配置され、例えば筐体31の内部空間40において映像光の光路と重ならない位置に配置されている。信号処理装置70は、少なくとも観察光に含まれる物体の情報に応じた文字情報や画像情報に基づいて映像光の電気信号を生成し、表示素子50に当該電気信号を送信し、表示素子50の表示面52から当該電気信号に応じた映像光を射出させる。信号処理装置70は、観察光に含まれる物体の情報を取得するために、例えばハーフミラー161を透過した観察光の一部を受光する、或いは観察者の動きを捉え、画像認識等によって物体の種類や状態に関する情報を取得する機能又は機構を備える。信号処理装置70は、例えば前述した信号処理装置70の動作及び処理を行うプログラムが内蔵されたマイクロコンピューターや集積回路で構成されている。
【0047】
表示ユニット11の軽量化の点から、信号処理装置70は、観察者が所有する表示ユニット11と通信可能なスマートフォン、タブレット端末機器に配置されていてもよい。表示ユニット11は、信号処理装置70が筐体31に配置されることによってスタンドアロンで動作してもよく、前述のように外部端末装置やコンピューターと有線又は無線によって接続された状態で動作してもよい。
【0048】
上述の構成を備える光学表示装置101では、観察対象の物体からの観察光は、遠方から略平行光の状態で軸AX1に沿って表示ユニット11の筐体31の側壁部36の透過領域、導光部材121、ハーフミラー161、筐体31の側壁部34の透過領域を透過し、対物レンズ250に入射する。対物レンズ250に入射した観察光は、プリズム262の反射面262b、透過面262a、プリズム261の透過面261aを透過し、反射面261bによって-X方向に全反射される。-X方向に全反射された観察光は、反射面261cによって-Z方向に全反射され、透過面261a及びプリズム262の透過面262aを透過し、反射面262bによって-Y方向に全反射され、反射面262cによって+Z方向に全反射され、透過面262aを透過する。前述のようにプリズム261,262を通ることによって、観察光の像が正立する。プリズム262から射出された観察光は、接眼レンズ270によって左眼ELの網膜上に結像し、観察者に視認される。
【0049】
光学表示装置101において、表示ユニット11が取付部材21によって双眼鏡201の鏡筒212の像側の端部に取り付けられた装着状態では、表示ユニット11の表示素子50の表示面52から、信号処理装置70からの電気信号に応じた映像光が表示されると、映像光はレンズ55によって略平行光になり、平行光になった映像光が上面122から導光部材121に入射する。導光部材121の上面122を含む上端部は、表示素子50の表示面52から射出されてレンズ55を通った映像光が入射する部分であり、光学部材111における入射部131を構成する。
【0050】
導光部材121に入射した映像光のうち、側面124~127に対して臨界角を超える入射角で入射した映像光は、側面124~127によって全反射され、ハーフミラー161に+Y側から入射する。ハーフミラー161に入射した映像光の一部は、ハーフミラー161によって反射され、導光部材121の側面124を通り、物体から対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。すなわち、対物レンズ250には、観察光と映像光が軸AX1に沿って互いに揃えられた光路から入射する。導光部材121の傾斜面128は、面上にハーフミラー161が設けられることによって映像光を射出し、レンズ群222の軸AX1上に配置されている面である。導光部材121において少なくともハーフミラー161で反射された映像光が-Z側から照射される側面124は、映像光を射出し、レンズ群222の軸AX1上に配置されている面である。導光部材121において傾斜面128及び側面124の一部を含み、不図示の物体と対物レンズ250との間の軸AX1に沿って見たときに対物レンズ250の最大領域と重なる導光部材121の部分は、光学部材111における射出部141を構成する。
【0051】
導光部材121におけるハーフミラー161よりも+Y側の側面124~127は、入射部131から入射した映像光を全反射させ、射出部141に向けて導光部材121の内部で導光する。Y方向で導光部材121の入射部131と射出部141との間の部分は、光学部材111における導光部151を構成する。
【0052】
対物レンズ250に入射した映像光は、観察光と同様の光路を進み、プリズム261,262によって像を正立され、接眼レンズ270によって左眼ELの網膜上に結像し、観察者に視認される。
【0053】
なお、導光部材121に入射した映像光のうち、側面124~127に対して臨界角を超える入射角で入射する映像光の割合を高めるために、表示素子50の表示面52とハーフミラー161との間の軸AX2がハーフミラー161の表面上の軸AX1,AX2の交点を通るXY平面に対して当該交点を中心として微小な角度をなしていてもよい。或いは、導光部材121の上面122がXZ平面に対して略平行ではなく、XZ平面に対して微小な角度をなしてもいてもよい。微小な角度は、例えば5°~10°程度である。
【0054】
導光部材121のX方向及びY方向の大きさは、上述のようにレンズ55によって平行光とされた映像光が導光部材121の上面122から入射して、側面124~127で全反射を繰り返し、ハーフミラー161に照射されるように、レンズ55及び対物レンズ250の各々の大きさ及びNAを考慮して適宜設計されている。前述のように導光部材121の大きさが設計されていることによって、光学表示装置101において映像光を観察光へ良好に重畳することができる。導光部材121のX方向及びY方向の大きさは、例えば、対物レンズ250のX方向及びY方向の大きさの50%~80%に設定されている。
【0055】
導光部材121のZ方向の大きさは、導光部材121及びハーフミラー161のX方向及びY方向の大きさを考慮に入れたうえで、上述のように導光部材121の上面122から入射した映像光が側面124~127で全反射を繰り返し、ハーフミラー161に照射されるように、適宜設計されている。
【0056】
表示ユニット11が取付部材21によって双眼鏡201の鏡筒212の像側の端部に取り付けられた装着状態では、対物レンズ250は、レンズ群222の軸AX1上で光学部材111の導光部材121の側面124~127(導光部151)と接眼レンズ270との間に配置されている。また、軸AX1上における導光部材121の傾斜面128及び側面124(射出部141)から接眼レンズ270までの距離は、軸AX2上における導光部材121の上面122(入射部131)から表示素子50の表示面52までの距離よりも長い。このような相対配置によって、観察者は、表示ユニット11に対してZ方向で左眼ELからある程度の距離をあけてアプローチすることができるので、観察をしている際にも表示ユニット11を快適に取り扱うことができる。
【0057】
以上説明した第1実施形態の表示ユニット11は、取付部材21と、光学部材111と、筐体(第2収容部材)31と、を備える。取付部材21は、対物レンズ250及び接眼レンズ270を含むレンズ群222を収容する鏡筒(第1収容部材)212に着脱可能に取り付けられる。光学部材111は、入射部131と、射出部141と、導光部151と、を有し、具体的には入射部131、射出部141及び導光部151を有する導光部材121で構成されている。入射部131には、表示素子50の表示面52から射出された映像光が入射する。射出部141は、映像光を射出し、レンズ群222の軸AX1上に配置されている。導光部151は、入射部131から入射した映像光を射出部141に向けて導光する。第1実施形態の表示ユニット11によれば、表示素子50の表示面52から発せられた映像光がレンズ55を通って導光部材121に入射し、導光部151である導光部材121の側面124~127によってハーフミラー161に向けて1回以上全反射され、ハーフミラー161に当たる。ハーフミラー161で反射された映像光は、対物レンズ250に入射する前の観察光の光路上に反射され、観察光に重ねられる。第1実施形態の表示ユニット11によれば、双眼鏡201によって視認される観察像と表示素子50からの映像とを重畳させ、観察者が観察像及び映像の両方を視認することができる。また、第1実施形態の表示ユニット11によれば、表示素子50の表示面52から発せられた映像光の少なくとも一部を導光部151によって導光部材121の内部に閉じ込め、射出部141に向けて伝搬させることができる。このことから、導光部材121のX方向、Y方向及びZ方向の各々の大きさの自由度が高まり、例えば導光部材121のY方向及びZ方向の少なくとも一方向の大きさを対物レンズ250のX方向及びY方向の大きさよりも小さく設計することもできる。したがって、第1実施形態の表示ユニット11によれば、光学部材111が導光部151を備えることによって、表示素子50の表示面52のX方向及びZ方向の大きさ、レンズ55のX方向及びZ方向の大きさ及びNA、ハーフミラー161のX方向及びZ方向の大きさ等の設計上の制約を緩和し、全体の小型化を図ることができる。
【0058】
第1実施形態の光学表示装置101は、第1実施形態の表示ユニット11と、対物レンズ250及び接眼レンズ270を含むレンズ群222を有する双眼鏡201と、を備える。第1実施形態の光学表示装置101によって、鏡筒212における対物レンズ250側の端部に表示ユニット11を着脱可能な双眼鏡201を実現することができる。また、第1実施形態の光学表示装置101では、従来よりも小型な表示ユニット11が双眼鏡201に取り付けられるため、表示ユニット11の鏡筒212への装着状態における小型化を図ることができる。
【0059】
なお、第1実施形態では、双眼鏡201としてポロプリズム方式の双眼鏡を例示したが、表示ユニット11を取り付け可能な双眼鏡としては、対物レンズと接眼レンズとを含むレンズ群の軸が略一直線状であるダハプリズム方式の双眼鏡、或いはガリレオ方式の双眼鏡であってもよく、これら以外の方式の双眼鏡であってもよい。また、対物レンズと接眼レンズとの間の軸は、X方向、Y方向及びZ方向の何れにおいても任意に移動してもよく、双眼鏡における対物レンズ及び接眼レンズを含むレンズ群の軸の形状は特に限定されない。さらに、レンズ群は、対物レンズ及び接眼レンズ、プリズムの他に、観察光を観察者の眼の網膜に結像させ且つ観察像を正立させるための任意の光学素子を備えてもよい。言い換えれば、レンズ群における対物レンズ及び接眼レンズ以外の構成の有無は、特に限定されない。
【0060】
また、第1実施形態では、表示ユニット11及び取付部材21が左眼用の鏡筒212のみに着脱可能であったが、表示ユニット11及び取付部材21は、右眼用の鏡筒211のみに着脱可能であってもよく、鏡筒211,212の両方に着脱可能であってもよい。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、
図3及び
図4を用いて説明する。なお、第2実施形態以降の各実施形態では、上位の実施形態と共通する内容の説明を省略し、上位の実施形態とは異なる各実施形態の構成について説明する。各実施形態では、第1実施形態の表示ユニット11及び光学表示装置101の各構成と共通する構成には、各構成と同一の符号を付し、その説明を省略する。また、各実施形態では、特筆しない限り、上位の実施形態と同様の変形例を適用することができる。
【0062】
図3は、第2実施形態の光学表示装置102を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図3に示すように、第2実施形態の光学表示装置102は、双眼鏡201と、第2実施形態の表示ユニット12と、を備える。
【0063】
なお、
図3以降の各図では、観察光及び映像光がプリズム261の反射面261cによって折り返される位置をR1として表し、観察光及び映像光がプリズム262の反射面262cによって折り返される位置をR2として示し、位置R1から位置R2までの軸AX1の図示は省略されている。すなわち、
図3以降の各図では位置R1,R2がY方向で互いに同じ位置で示されているが、実際には
図1及び
図2を参照して説明したように、位置R2は位置R1よりも下方にあり、位置R1,R2間の軸AX1は反射面261c,262cによってX方向又はY方向においても移動する。また、
図3以降の各図では、プリズム261,262の形状が簡略化されている。
【0064】
表示ユニット12は、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、レンズ55と、光学部材112と、を備える。
図4は、光学部材112を+Z側から見たとき、すなわち-Z方向に沿って見たときの概略図である。
図3及び
図4に示すように、光学部材112は、導光部材121と、ハーフミラー(第1ハーフミラー)161と、ハーフミラー(第2ハーフミラー)162と、ハーフミラー163によって構成されている。導光部材121は、直方体状に形成された部材であり、上面122と、底面123と、側面124,125,126,127と、傾斜面128,171,172と、を備える。導光部材121のX方向の大きさは、Z方向よりも大きく、対物レンズ250のX方向の大きさよりも適度に大きい。
【0065】
傾斜面(射出部)171は、導光部材121において傾斜面128よりも+Y側の位置に配置されている。傾斜面(射出部)172は、導光部材121において傾斜面128よりも-Y側の位置に配置されている。傾斜面171,172の大部分は、X方向及びY方向で対物レンズ250の最大領域と略重なる領域内に設けられている。傾斜面171,172は、傾斜面128と平行であり、傾斜面128が延在する方向に沿って延在している。
【0066】
ハーフミラー161のX方向の大きさは、対物レンズ250のX方向の大きさと同程度である。ハーフミラー161のY方向の大きさは、対物レンズ250のY方向の大きさの半分以下であり、例えば対物レンズ250のY方向の大きさの1/3程度である。
【0067】
ハーフミラー162は、傾斜面171に設けられている。ハーフミラー163は、傾斜面172に設けられている。ハーフミラー162,163の各々の表面は、X方向に沿って見たときに軸AX1,AX2の各々と略45°をなし、XY平面及びXZ平面に対して傾斜し、+Z方向に移動するに従って-Y方向に移動する。
図4に示すように、ハーフミラー162の-Y側の端は、ハーフミラー161の+Y側の端とY方向で略同じ位置にあり、詳しくはハーフミラー161の+Y側の端よりも僅かに-Y側の位置に配置されている。ハーフミラー163の+Y側の端は、ハーフミラー161の-Y側の端とY方向で略同じ位置にあり、詳しくはハーフミラー161の-Y側の端よりも僅かに+Y側の位置に配置されている。ハーフミラー162,163の形状及び大きさは、ハーフミラー161と同様である。Z方向に沿って見たときに、ハーフミラー162,163はY方向でハーフミラー161と連なり、重なり合ったハーフミラー161~163の大きさは対物レンズ250と同等であるか、対物レンズ250よりも適度に小さい。
【0068】
ハーフミラー162,163は、ハーフミラー161と同様に、例えば銀等の金属で形成されてもよいが、誘電体多層膜で構成されていることが好ましい。但し、ハーフミラー162の映像光の反射率は、ハーフミラー161よりも低い。ハーフミラー163の映像光の反射率は、ハーフミラー161よりも高い。すなわち、ハーフミラー162,161,163の映像光に対する反射率は、順次高い。例えば、ハーフミラー161の映像光に対する反射率が例えば30%である場合、ハーフミラー162の映像光に対する反射率は20%程度であり、ハーフミラー162の映像光に対する反射率は40%程度である。
【0069】
光学表示装置102において、表示ユニット11が双眼鏡201の鏡筒212の像側の端部に取り付けられた装着状態では、表示ユニット11の表示素子50の表示面52から射出された映像光は、レンズ55によって略平行光になり、上面122から導光部材121に入射する。導光部材121に入射した映像光のうち、側面124~127に対して臨界角を超える入射角で入射した映像光は、側面124~127によって全反射され、ハーフミラー(第2ハーフミラー)162に+Y側から入射する。ハーフミラー162に入射した映像光のうち、反射率に応じた映像光の一部は、ハーフミラー162によって反射され、導光部材121の側面124を通り、物体から対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。ハーフミラー162に入射した映像光の残りの少なくとも一部は、ハーフミラー162を透過し、ハーフミラー161に+Y側から入射する。
【0070】
ハーフミラー161に入射した映像光のうち、反射率に応じた映像光の一部は、ハーフミラー161によって反射され、導光部材121の側面124を通り、物体から対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。ハーフミラー161に入射した映像光の残りの少なくとも一部は、ハーフミラー161を透過し、ハーフミラー163に+Y側から入射する。ハーフミラー163に入射した映像光のうち、反射率に応じた映像光の一部は、ハーフミラー163によって反射され、導光部材121の側面124を通り、物体から対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。ハーフミラー163に入射した映像光の残りの少なくとも一部は、ハーフミラー163を透過する。
【0071】
導光部材121の傾斜面171,172は、面上にハーフミラー162,163が設けられることによって映像光を射出し、レンズ群222の軸AX1上に配置されている面である。ここで、軸AX1上に配置されているということは、傾斜面128及びハーフミラー161を通る軸AX1に平行であって対物レンズ250を通る軸上に配置されている状態を含む。傾斜面171,172は、傾斜面128及び側面124の一部とともに、光学部材111における射出部141に形成されている。
【0072】
ハーフミラー161~163から対物レンズ250に入射した3つの映像光は、観察光と平行な光路を進み、プリズム261,262によって像を正立され、接眼レンズ270によって左眼ELの網膜上に結像し、観察者に視認される。
【0073】
光学表示装置102において、射出部141をなす導光部材121の傾斜面128には、ハーフミラー(第1ハーフミラー)161が設けられている。ハーフミラー161は、導光部151をなす導光部材121の側面124~127が導光した映像光を反射及び射出し、軸AX1上に配置されている。射出部141には、傾斜面171に配置され且つハーフミラー161とは異なるハーフミラー(第2ハーフミラー)162が設けられている。ハーフミラー162は、ハーフミラー161が延在する方向に沿って延在している。光学表示装置102によれば、複数のハーフミラー161,162を用いて各ハーフミラーによって反射する映像光のエリアをXY平面内で互いにずらすことができ、視域、所謂アイボックスを拡げることができる。このことによって、レンズ55のNAを高くせずに済み、視域全体で高い映像品質を実現することができる。
【0074】
また、光学表示装置102では、射出部141には、傾斜面172に配置され且つハーフミラー161,162とは異なるハーフミラー163が設けられている。射出部141に設けられるハーフミラーの数は、特に限定されない。光学表示装置102において、上述のようにX方向に沿って見たときに複数のハーフミラーが互いに平行であり、Z方向に沿って見たときに複数のハーフミラーがY方向で連なっていれば、ハーフミラーの枚数と大きさに応じて視域を拡げることができる。
【0075】
光学表示装置102では、軸AX2上におけるハーフミラー161から導光部材121の上面122までの距離は、同軸上のハーフミラー162から上面122までの距離よりも長い。つまり、ハーフミラー162は、ハーフミラー161よりも+Y側すなわち上側に配置されている。光学表示装置102では、ハーフミラー161の映像光に対する反射率は、ハーフミラー162の映像光に対する反射率よりも高い。このことによって、映像の輝度ムラを抑えることができる。なお、複数のハーフミラーの映像光に対する反射率が互いに略同等であると、軸AX2上でレンズ55に近い側に配置されているハーフミラーからの反射光がレンズ55から遠い側に配置されているハーフミラーからの反射光よりも明るいため、映像の輝度ムラが生じる。したがって、複数のハーフミラーの映像光に対する反射率は、複数のハーフミラーによって反射される映像光の光量が互いに略同等になるように、各々のハーフミラーに入射する映像光の相対的な光量比に応じて調節され、適宜設計されていることが好ましい。
【0076】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、
図5を用いて説明する。
図5は、第3実施形態の光学表示装置103を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図5に示すように、第3実施形態の光学表示装置104は、双眼鏡201と、第3実施形態の表示ユニット13と、を備える。
【0077】
表示ユニット13は、取付部材22と、筐体31と、表示素子50と、レンズ55と、光学部材113と、を備える。
【0078】
取付部材22は、双眼鏡201の鏡筒212の像側の端部にさらに像側すなわち+Z側から取り付けられ、鏡筒212に対して着脱可能な部材である。取付部材22の構成及び形状は、鏡筒212の像側の端部に着脱可能であれば特に限定されない。取付部材22は、例えば鏡筒212の像側の端部を径方向の外側から係止可能な部材である。Z方向に沿って見たときに、取付部材22は、少なくとも接眼レンズ270を通った後の観察光の光路とは重なっていない。
【0079】
筐体31は、突出壁部38をさらに備える。突出壁部38は、筐体31の中央部及び下部よりも-Z側に突出している。つまり、X方向に沿って見ると、筐体31は逆L字型に形成されている。突出壁部38の内部空間40には、表示素子50と、レンズ55が配置されている。
【0080】
光学部材113は、導光部材121と、ハーフミラー(第1ハーフミラー)161と、ハーフミラー(第2ハーフミラー)162と、ハーフミラー163と、ミラー164によって構成されている。導光部材121は、直方体状に形成された部材であり、上面122と、底面123と、側面124,125,126,127と、傾斜面128,171,172,174と、を備える。すなわち、第3実施形態の導光部材121は、第2実施形態の導光部材121の構成に加えて、傾斜面174をさらに備える。導光部材121のX方向の大きさは、第2実施形態と同様にZ方向よりも大きく、対物レンズ250のX方向の大きさよりも適度に大きい。また、導光部材121及び筐体31のZ方向の大きさは、傾斜面128,171,172,174及び光学部材113の導光部151の形成に必要な大きさを考慮して適宜設計される。
【0081】
傾斜面(入射部)174は、導光部材121において少なくとも傾斜面128よりも+Y側の位置に配置され、具体的には傾斜面171よりも+Y側の導光部材121の上部に配置されている。上部とは、後述するように表示ユニット14が双眼鏡201に装着された装着状態において、接眼レンズ270よりも適切な距離をあけて上方の領域にある部分を意味する。前述の適切な距離は、光学部材113の導光部材121の導光部151のZ方向の大きさを適切に確保できる距離を意味する。傾斜面174は、傾斜面128と平行であり、傾斜面128が延在する方向に沿って延在している。導光部材121の上部は、Y方向において突出壁部38の内部空間40に含まれる。
【0082】
ミラー164は、傾斜面174に設けられている。ミラー164の表面は、X方向に沿って見たときに軸AX1,AX2の各々と略45°をなし、XY平面及びXZ平面に対して傾斜し、+Z方向に移動するに従って-Y方向に移動する。ミラー164の形状及び大きさは、ハーフミラー161と同様である。ミラー164は、ハーフミラー161と同様に、例えば銀等の金属で形成されてもよいが、誘電体多層膜で構成されていることが好ましい。ミラー164の映像光の反射率は、例えば90%以上であり、略100%であることが好ましい。
【0083】
表示ユニット13において、表示素子50は、筐体31の突出壁部38において-Z側の内部区間40に配置されている。表示素子50の表示面52は、XY平面に平行に配置され、導光部材121の側面126の上部に向いている。表示面52からの映像光は、+Z方向に射出される。レンズ55は、Z方向で表示素子50の表示面52とミラー164との間の適切な位置に配置されている。表示面52、レンズ55及びミラー164の各々のX方向及びY方向の中心を通る軸AX2は、X方向に平行である。
【0084】
第3実施形態において、表示ユニット13は、取付部材22とともに双眼鏡201の鏡筒212の+Z側の端部に装着される。装着状態では、光学部材113の射出部141がレンズ群222の軸AX1上に配置され、軸AX1上で接眼レンズ270と観察者の左眼ELとの間に配置される。光学部材113の射出部141は、レンズ群222のプリズム261と接眼レンズ270との間の軸AX2に沿って見たときに、接眼レンズ270の最大領域と重なって配置される。
【0085】
光学表示装置103において、表示ユニット13が双眼鏡201に装着された装着状態では、表示ユニット13の表示素子50の表示面52から射出された映像光は、軸AX2に沿って+Z方向に進み、レンズ55を通り、平行光とされる。平行光となった映像光は、導光部材121の上部の側面126から導光部材121に入射し、ミラー164に入射する。したがって、Z方向において傾斜面174を含む導光部材121の上部は、表示素子50の表示面52から射出されてレンズ55を通った映像光が入射する光学部材113の入射部131を構成する。
【0086】
ミラー164に入射した映像光は、軸AX2に沿って-Y方向に反射され、ハーフミラー162,161,163に向けて導光される。つまり、ミラー(第1反射部材)164(入射部131)は、表示素子50から射出された映像光を光学部材113の導光部151に向けて反射する。ミラー164によって反射された映像光の少なくとも一部は、側面124~127に対して臨界角を超える入射角で入射し、側面124~127で全反射され、ハーフミラー162,161,163に向けて導光される。ハーフミラー162,161,163の各々に入射した映像光のうち、各々の反射率に応じた映像光の一部は、ハーフミラー162,161,163の各々によって反射され、接眼レンズ270を通って観察者の左眼ELに入射する観察光に重畳される。
【0087】
表示ユニット13が双眼鏡201に装着された装着状態では、接眼レンズ270が軸AX1上で対物レンズ250と光学部材113の射出部141との間に配置される。軸AX1上での射出部141から対物レンズ250までの距離は、軸AX2上での光学部材113の入射部131のミラー164から表示素子50の表示面52までの距離よりも長い。このような相対配置によって、光学表示装置103では、例えば双眼鏡201において表示倍率が可変であって、観察者が表示倍率を任意に変更した場合であっても、映像の倍率は変わらず、映像の視認度が保持される。一方で、光学表示装置101では、観察者が双眼鏡201の表示倍率を任意に変更すると、映像の倍率も変化する。
【0088】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について、
図6及び
図7を用いて説明する。図示していないが、第4実施形態の光学表示装置は、双眼鏡201と、第4実施形態の表示ユニットと、を備える。
【0089】
第4実施形態の表示ユニットは、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、レンズ55と、第4実施形態の光学部材114と、を備える。
図6は、第4実施形態の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、レンズ55と、光学部材114と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図7は、光学部材114を+Z側から見たときの概略図である。
図6及び
図7に示すように、光学部材114は、第2実施形態の光学部材112のハーフミラー161,162,163の各々に替えて複数の微小ミラー165を備える。
【0090】
複数の微小ミラー165は、傾斜面128,171,172の各々に、X方向で互いに間隔をあけて設けられている。例えば、傾斜面171,172に設けられた微小ミラー165は、傾斜面128に設けられてX方向で互いに隣り合う2つの微小ミラー165,165の中間位置、又はX方向で当該中間位置とは傾斜面128に設けられたX方向で最寄りの微小ミラー165に対して反対側の位置に配置されている。なお、微小ミラー165は、映像光が照射される傾斜面128,171,172においても光強度が強い領域内に設けられることが好ましい。このことによって、第4実施形態の光学表示装置における観察光の透過率が向上する。
【0091】
微小ミラー165は、平面視で円形状を有し、所謂ピンミラーとも呼ばれる。微小ミラー165の直径は、1mm程度である。複数の微小ミラー165の直径は、配置に応じて変化してもよい。微小ミラー165の映像光に対する反射率は、100%に近く、例えば90%以上である。微小ミラー165は、例えば銀等の金属、或いは誘電体多層膜やプラスチック等の合成樹脂で構成されてもよい。微小ミラー165の形成方法としては、例えば導光部材121のZ方向の略中心で中割りされ、-Z側の部材から+Z側に傾斜面128,171,172を突出及び露出させ、傾斜面128,171,172に積層又は射出成形によって微小ミラー165の材料を設ける方法が挙げられる。
【0092】
第4実施形態の光学表示装置における観察光及び映像光のふるまいは、第2実施形態の光学表示装置102と概ね同様である。但し、第4実施形態の光学表示装置では、導光部材121の射出部141の傾斜面128には、導光部151によって導光された映像光を射出する複数の微小ミラー165を有する微小ミラー群MMが設けられている。導光部材121の射出部141の傾斜面171には、導光部151によって導光された映像光を射出する複数の微小ミラー165を有する第1微小ミラー群M1が設けられている。導光部材121の射出部141の傾斜面172には、導光部151によって導光された映像光を射出する複数の微小ミラー165を有する第2微小ミラー群M2が設けられている。第2微小ミラー群M2は、第1微小ミラー群M1とは異なる位置に配置されている。微小ミラー群MM、第1微小ミラー群M1及び第2微小ミラー群M2の各々には、複数の微小ミラー165がX方向(第2方向)に互いに間隔をあけて配列されている。
【0093】
第4実施形態の光学表示装置では、微小ミラー165の表面に直交する方向から見た微小ミラー165の形状が円形であり、微小ミラー165の直径が1mm程度であるため、観察者の左眼ELに入射する映像光が細線となり、フリーフォーカスの効果が得られる。微小ミラー群MM、第1微小ミラー群M1及び第2微小ミラー群M2に複数の微小ミラー165が配置されるとフリーフォーカス性が失われるが、前述のように映像光の強度が強い位置のみに微小ミラー165を配置することによって、明るい点状の映像光を視認することができ、観察光の透過率を高めることができる。
【0094】
なお、第4実施形態の光学表示装置では、傾斜面128,171,172のうちの何れか1つの傾斜面のみに複数の微小ミラー165が設けられていてもよい。
【0095】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について、
図8及び
図9を用いて説明する。図示していないが、第5実施形態の光学表示装置は、双眼鏡201と、第5実施形態の表示ユニットと、を備える。
【0096】
第5実施形態の表示ユニットは、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、第5実施形態の光学部材115と、を備える。
図8は、第5実施形態の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、光学部材115と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図9は、光学部材115を+Z側から見たときの概略図である。
【0097】
図8及び
図9に示すように、光学部材115は、第4実施形態の光学部材114と同様に、第2実施形態の光学部材112のハーフミラー161,162,163の各々に替えて微小ミラー群MM、第1微小ミラー群M1及び第2微小ミラー群M2の複数の微小ミラー165を備え、曲面ミラー166をさらに備える。光学部材115の導光部材121は、上面122と、底面123と、側面124~127と、傾斜面128,171,172と、湾曲面176を備える。すなわち、第5実施形態の導光部材121は、第2実施形態の導光部材121の構成に加えて、湾曲面176をさらに備える。
【0098】
但し、第5実施形態の導光部材121では、傾斜面128,171,172は、X方向に沿って見たときに、不図示の物体から対物レンズ250までの軸AX1と軸AX2の各々と略45°をなし、XY平面及びXZ平面に対して傾斜しているが、+Z方向に移動するに従って+Y方向に移動する。微小ミラー165の表面は、傾斜面128,171,172と同様に、XY平面及びXZ平面に対して傾斜し、+Z方向に移動するに従って+Y方向に移動する。微小ミラー165の映像光に対する透過率は、例えば30%以上であることが好ましい。
【0099】
湾曲面176は、導光部材121において少なくとも傾斜面128よりも-Y側の位置に形成され、具体的には傾斜面172よりもさらに-Y側の位置に形成されている。湾曲面176は、Z方向において中心に近づくに従って-Y側に突出するように湾曲している。曲面ミラー166は、湾曲面176に設けられている。曲面ミラー166の表面は、Z方向において中心に近づくに従って-Y側に突出するように湾曲している。曲面ミラー166は、例えば銀等の金属で形成されてもよく、誘電体多層膜で構成されていてもよい。曲面ミラー166の映像光の反射率は、例えば90%以上であり、略100%であることが好ましい。
【0100】
第5実施形態の光学表示装置では、表示ユニット11が双眼鏡201の鏡筒212の像側の端部に取り付けられた装着状態では、表示ユニット11の表示素子50の表示面52から射出された映像光は、拡散光の状態で上面122から導光部材121に入射する。導光部材121に入射した映像光のうち、側面124~127に対して臨界角を超える入射角で入射した映像光は、側面124~127によって-Y側に全反射され、湾曲面176に向かう。導光部材121に入射した映像光の一部は、傾斜面171,128,172に設けられた微小ミラー165を順次透過し、湾曲面176に向かう。湾曲面176に向かった映像光は、曲面ミラー166によって傾斜面172,128,171に設けられた微小ミラー165に向かって反射され、略平行光になる。すなわち、第5実施形態の光学表示装置では、湾曲面176に設けられた曲面ミラー(第2反射部材)166は、微小ミラー群MM、第1微小ミラー群M1及び第2微小ミラー群M2の複数の微小ミラー(第1ハーフミラー)165を透過した映像光を射出部141に設けられた複数の微小ミラー165に向けて反射する。湾曲面176は、光学部材115における射出部141を構成する。光学部材115の射出部141は、曲面ミラー166を備える。
【0101】
傾斜面172,128,171に設けられた微小ミラー165に入射した映像光のうち、反射率に応じた映像光の一部は、微小ミラー165によって反射され、導光部材121の側面124を通り、物体から対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。
【0102】
第5実施形態の表示ユニット及び光学表示装置によれば、表示素子50の表示面52から射出された映像光を平行光にするためのレンズを用いる必要がないため、小型化及び軽量化を図ることができる。
【0103】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。図示していないが、第6実施形態の光学表示装置は、双眼鏡201と、第6実施形態の表示ユニットと、を備える。
【0104】
第6実施形態の表示ユニットは、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、レンズ55と、第6実施形態の光学部材116と、を備える。
図10は、第6実施形態の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、レンズ55と、光学部材116と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図11は、光学部材116を+Z側から見たときの概略図である。
【0105】
図10及び
図11に示すように、光学部材116は、第2実施形態の光学部材112のハーフミラー162,163の各々に替えて第4実施形態で説明した第1微小ミラー群M1及び第2微小ミラー群M2の複数の微小ミラー165を備える。言い換えれば、光学部材116は、第4実施形態の光学部材114の微小ミラー群MMに替えて第2実施形態で説明したハーフミラー161を備える。したがって、ハーフミラー(第3反射部材)161は、Y方向(第1方向)で傾斜面171に設けられた第1微小ミラー群M1と傾斜面172に設けられた第2微小ミラー群M2との間に配置されている。ハーフミラー(第3反射部材)161は、第1微小ミラー群M1の微小ミラー165が並んで配置されているX方向(第2方向)に延在する。
【0106】
第6実施形態の光学表示装置では、第4実施形態の光学表示装置と概ね同様である。但し、第6実施形態の光学表示装置では、レンズ55によって平行光とされた映像光は上面122から導光部材121に入射し、映像光の一部が側面124~127(導光部151)によって全反射され、-Y方向に向けて進む。導光部151によって導光された映像光の一部は、第1微小ミラー群M1の微小ミラー165によって細線となって反射され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。導光部151によって導光されて第1微小ミラー群M1の複数の微小ミラー165の間を抜けた映像光の一部は、第2実施形態と同様にハーフミラー161によって傾斜面128に対応するXY平面内の全体に反射され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。ハーフミラー161を-X方向に透過した映像光の一部は、第2微小ミラー群M2の微小ミラー165によって細線となって反射され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。
【0107】
第6実施形態の光学表示装置によれば、X方向に間隔をあけて離散的に配置された複数の微小ミラー165の群とX方向に延在するハーフミラー161の各々で反射された映像光のふるまいを活かして視域を調整することができる。
【0108】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について、
図12から
図15を用いて説明する。図示していないが、第7実施形態の光学表示装置は、双眼鏡201と、第7実施形態の表示ユニットと、を備える。
【0109】
第7実施形態の表示ユニットは、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、レンズ55と、第7実施形態の光学部材117と、を備える。
図12は、第7実施形態の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、レンズ55と、光学部材117と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
図13は、光学部材117を+Z側から見たときの概略図である。
【0110】
第7実施形態の表示ユニットでは、筐体31が不図示の突出壁部をさらに備える。突出壁部は、筐体31の中央部及び下部よりも+Z側に突出している。つまり、X方向に沿って見ると、筐体31は逆L字型且つ第3実施形態の筐体31とは前後反転させた形状で形成されている。突出壁部の内部空間40には、表示素子50と、レンズ55が配置されている。
【0111】
表示素子50の表示面52は、XY平面に平行に配置され、導光部材121の側面124の上部に向いている。表示面52からの映像光は、-Z方向に射出される。レンズ55は、Z方向で表示素子50の表示面52と導光部材121の側面124との間の適切な位置に配置されている。
【0112】
光学部材117は、導光部材121と、回折素子(第1回折素子)401と、回折素子(第2回折素子)402によって構成されている。導光部材121は、上面122と、底面123と、側面124,125,126,127と、を備える。回折素子401は、側面126の上部において後述するように側面124から導光部材121に入射した映像光が当たる領域に設けられている。回折素子401の回折格子405すなわち周期構造は、X方向(第2方向)に延在する。回折素子402は、側面126の下部において後述するように回折素子401及び自身によって回折されて側面124で全反射された映像光が当たる領域に設けられている。
【0113】
第7実施形態の光学表示装置において、同実施形態の表示ユニットが双眼鏡201に装着された装着状態では、表示素子50の表示面52から射出された映像光は、軸AX2に沿って-Z方向に進み、レンズ55を通り、平行光とされる。平行光となった映像光は、導光部材121の上部の側面124から導光部材121に入射し、回折素子401に入射する。したがって、Z方向において回折素子401を含む導光部材121の上部は、表示素子50の表示面52から射出されてレンズ55を通った映像光が入射する光学部材113の入射部131を構成する。
【0114】
回折素子401に入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折格子405のZ方向の大きさすなわちピッチに応じた角度でY方向(第1方向)に回折され、+Z方向及び-Y方向に傾斜する方向に進行し、側面124で全反射され、-Y方向に向けて導光される。-Y方向に導光された映像光の少なくとも一部は、回折素子402に入射する。回折素子402に入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折素子402のZ方向の大きさすなわちピッチに応じた角度で+Z方向に平行な方向に回折され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。したがって、Z方向において回折素子402を含む導光部材121の下部は、映像光を射出し、
図12では省略されている物体と対物レンズ250との間のレンズ群222の軸AX1上に配置されている光学部材113の射出部141を構成する。
【0115】
上述のように、第7実施形態の光学表示装置では、光学部材117の入射部131に回折素子401が設けられている。光学部材117の射出部141には、回折素子402が設けられている。第7実施形態の光学表示装置によれば、映像光に対するZ方向すなわち観察者の縦方向の視域を拡大することができる。
【0116】
図14は、第7実施形態の第1変形例の光学部材118を+Z側から見たときの概略図である。
図14に示すように、光学部材118は、上述の回折素子401に替えて、2つの回折素子(第1回折素子)401A及び回折素子(第3回折素子)401Bを有する。回折素子401Aは、導光部材121の側面126の上部且つ-X側の領域に形成されている。Z方向から見た回折素子401Aの形状は、円形状である。回折素子401Bは、側面126の上部且つ回折素子401Aよりも+X側の領域に形成されている。Z方向から見た回折素子401Bの形状は、台形状である。回折素子401Bの上端は、X方向に平行である。回折素子401Bの下端は、+X方向に移動するに従って、-Y方向に移動する。回折素子401Bの側端は、互いに平行であり、Y方向に平行である。
【0117】
図示していないが、回折素子401A,401Bの各々の回折格子は、少なくともX方向とは異なる方向に延在している。例えば、回折素子401Aの回折格子は、Y方向に略平行である。例えば、回折素子401Bの回折格子は、+X方向及び-Y方向に傾斜する方向に略平行である。回折格子のピッチ及び延在方向は、映像光のkベクトルが所定の条件を満たし、回折素子401A,401Bによって回折された映像光がX方向に拡散されるように適宜設計されている。
【0118】
第7実施形態の第1変形例の光学部材118を備える光学表示装置では、導光部材121の上部の側面124から導光部材121に入射た映像光は、回折素子401Aに入射する。回折素子401Aに入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折素子401Aの回折格子のピッチに応じた角度で-X方向に回折され、側面124で全反射され、回折素子401Bに入射する。回折素子401Bに入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折素子401Bの回折格子のピッチに応じた角度で略-Y方向に回折され、側面124で全反射され、回折素子(第2回折素子)402に入射する。第7実施形態と同様に、回折素子402に入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折格子406のZ方向のピッチに応じた角度で+Z方向に平行な方向に回折され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。
【0119】
第7実施形態の第2変形例の光学表示装置では、回折素子(第1回折素子)401Aの回折格子は例えば映像光を回折させるX方向(第1方向)と交差するY方向(第2方向)に延在する。回折素子(第3回折素子)401Bの回折格子はY方向とは異なる方向に延在し、映像光を回折素子402に向けて回折させる。光学部材118の導光部151には、回折素子401Aが回折した映像光を回折素子(第2回折素子)402に向けて回折させる回折素子401Bが設けられている。第7実施形態の第2変形例の光学表示装置によれば、映像光に対するY方向及びX方向すなわち観察者の縦方向及び横方向の両方の視域を拡大することができる。
【0120】
図15は、第7実施形態の第2変形例の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、レンズ55と、光学部材119と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。光学部材119は、光学部材117の構成に加えて、レンズ59を備える。レンズ59は、光学部材119における射出部141である側面124の下部且つ軸AX1に沿って見たときに回折素子402を含む領域に設けられている。
【0121】
第7実施形態の第2変形例の光学表示装置では、光学部材119の射出部141において回折素子(第1回折素子)401A及び回折素子(第3回折素子)401Bが設けられている側面126とはZ方向で反対側の側面124が曲率を有する。このことから、光学部材119における射出部141の射出面すなわち側面124において、レンズ59によって映像光に対して前述の曲率に応じた緩い曲面による作用を与えることができる。基本的に、観察者の左眼ELに入射する映像光は複数の位置から到来するため、導光部材121の内部を導光される映像光は略平行光とされる。しかしながら、双眼鏡201を使う観察者は、前述の略平行光を視認するものの、無限遠の物体を視認していない。そのため、観察光と映像光の焦点距離の差異が生じる。第7実施形態の変形例の光学表示装置によれば、レンズ59によって、双眼鏡201の観察光の焦点位置と映像光の焦点位置とを調節することができる。
【0122】
回折素子401,401A,401B,402は、例えば、ナノインプリント、体積ホログラム、液晶ホログラムである。なお、回折素子401,401A,401B,402による映像光の回折には強い波長依存性があるため、映像光は回折素子401,401A,401B,402の設計波長と同等の単色光であることが好ましい。映像光の視感度を高める点から、映像光は緑色であることが好ましい。
【0123】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について、
図16を用いて説明する。図示していないが、第8実施形態の光学表示装置は、双眼鏡201と、第8実施形態の表示ユニットと、を備える。第8実施形態の表示ユニットは、取付部材21と、筐体31と、表示素子50と、第8実施形態の光学部材120と、を備える。
図16は、第8実施形態の表示ユニットの筐体31に収容されている表示素子50と、光学部材119と、を
図1に示すD方向に対応する方向から見たときの構成を示す概略図である。
【0124】
図16に示すように、光学部材119は、導光部材121と、プリズム501と、回折素子(第1回折素子)405によって構成されている。プリズム501は、導光部材121の上面122(入射部131)に設けられている。プリズム501は、X方向に沿って見たときに略二等辺三角形状を有し、等辺面501a,501b及び底辺面501cを有する。プリズム501の等辺面501aは、表示素子50の表示面52と対向している。プリズム501の等辺面501bは、導光部材121の上面122に接している。回折素子405は、導光部材121の傾斜面128に設けられている。回折素子405の回折格子は、X方向(第1方向)に延在している。
【0125】
第8実施形態の光学表示装置では、表示素子50の表示面52から射出された映像光は、プリズム501の等辺面501aからプリズム501に入射し、等辺面501aによって屈折され、底辺面501cによって全反射される。底辺面501cによって全反射された映像光は、等辺面501bによって屈折するとともに上面122から導光部材121に入射し、側面124~127で全反射され、回折素子405に入射する。回折素子405に入射した映像光のうち、1次光の成分は、回折素子405のZ方向の大きさすなわちピッチに応じた角度で+Z方向に平行な方向に回折され、対物レンズ250に入射する観察光に重畳される。
【0126】
第8実施形態の光学表示装置によれば、光学部材119の入射部131にプリズム501が設けられているため、回折素子405の分散特性を、回折素子405とは逆の分散特性を有するプリズム501によって打ち消し、映像光の色ムラの発生を抑えることができる。
【0127】
第7実施形態における回折素子401,401A,401B,402及び第8実施形態における回折素子405として、上述では回折格子を例示したが、ナノインプリントや体積ホログラム、或いはメタレンズ等が用いられてもよい。
【0128】
[その他の実施形態]
次に、本発明のその他の実施形態について、
図17及び
図18を用いて説明する。
図17は、
図8に例示した表示素子50及び光学部材115の実装例の概略図である。
図18は、
図3及び
図4に例示した表示素子50、プリズム502及び光学部材112の変形例の実装例の概略図である。
図17及び
図18に示すように、光学部材112,115を含む本発明に係る光学部材の導光部材121の形状は、観察対象の物体と対物レンズ250との間の軸AX1に沿って見たときに円形であってもよい。
図17及び
図18では厚みがやや強調されているが、導光部材121は、撮像装置の各種フィルターに使用される円盤状の透明基板で構成されてもよい。
【0129】
例えば、
図17に示す実装例では、円盤状の透明基板の一部が切り落とされ、導光部材121の上面122(光学部材の入射部131)が構成されている。表示素子50の表示面52は、上面122に略接している。Y方向で上面122と対向する円盤状の透明基板の側面を第5実施形態で説明したように-Y側に膨出させ、曲面ミラー166が設けられてもよい。曲面ミラー166は、Y方向で上面122と対向する円盤状の透明基板の側面と微小ミラー群MMの微小ミラー165との間に埋設されていてもよい。円盤状の透明基板には、第5実施形態で説明した相対配置で複数の微小ミラー165が埋設されている。なお、
図17では、第2微小ミラー群M2の微小ミラー165は省略されている。
【0130】
図18に示す実装例では、表示素子50が集光機能を有するプリズム502を介して導光部材121の側面126に相当する円盤状の透明基板の板面に設けられてもよい。円盤状の透明基板には、第2実施形態で説明した相対配置で複数のハーフミラー161~163が埋設されてもよい。
【0131】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、複数の実施形態の構成要素は適宜組み合わせ可能である。
【0132】
例えば、上述の各実施形態では、本発明の遠方視認装置として双眼鏡を例示した。しかしながら、本発明の遠方視認装置は、単眼鏡であってもよい。また、本発明の遠方視認装置は、各種望遠鏡、各種顕微鏡等であってもよく、対物レンズから遠方の非観察物体を視認するために構成された装置を広く含む。
【符号の説明】
【0133】
11,12,13,14…表示ユニット、21,22…取付部材、31…筐体(第2収容部材)、50…表示素子、101~103…光学表示装置、111,112,113,114,115,116,117,118,119,120…光学部材、201…双眼鏡(遠方視認装置)。