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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025220
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240216BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240216BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128481
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】仁井 皓大
(72)【発明者】
【氏名】江田 明浩
(72)【発明者】
【氏名】石井 美樹夫
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA02
2H199DA17
2H199DA27
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】表示部の出射光OLがフロントウインドシールド7で反射されることを低減する。
【解決手段】表示装置1は、液晶ディスプレイ2と、反射板3と、を備える。液晶ディスプレイ2は、P偏光からなる光を出射する。反射板3は、液晶ディスプレイ2と車両のフロントウインドシールド7との間に設けられる。反射板3は、液晶ディスプレイ2からの出射光OLを運転者のアイポイントEPに向かって反射させる。反射板3は、P偏光を反射する増反射処理がなされた反射面31を有する。液晶ディスプレイ2は、出射光OLのフロントウインドシールド7への入射角αが69.7°以下となる領域に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
P偏光からなる光を出射する表示部と、
車両前後方向において、前記表示部と車両のウインドシールドとの間に設けられ、前記表示部からの出射光を乗員のアイポイントに向かって反射させる反射板と、を備え、
前記反射板は、P偏光を反射する増反射処理がなされた反射面を有し、
前記表示部は、前記出射光の前記ウインドシールドへの入射角が69.7°以下となる領域に配置される、表示装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記ウインドシールドへの前記出射光の入射角が44°以上64°以下となる領域に配置される、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部から前記ウインドシールドへ向かう光の少なくとも一部を遮る遮光部を備える、請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記遮光部は、前記反射板の上端部に設けられる、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記車両の走行情報を表示するメータよりも車両の前方に配置される、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像を構成する光を出射する表示部を備えた、表示装置を開示している。表示部は、例えば、車両のインストルメントパネルの内部に設けられている。表示部から出射された光は、例えば、車両のフロントウインドシールドによって、乗員のアイポイントに向かって反射される。これによって、乗員は表示部が生成した画像の虚像を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/110580号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示装置において、フロントウインドシールドとは別体に、表示部の出射光を反射する反射板を設けることがある。反射板はフロントウインドシールドの近傍に設けられるが、表示部の出射光が、反射板だけでなくフロントウインドシールドでも反射されることがある。この場合、反射板に反射された光と、フロントウインドシールドに反射された光による2つの虚像が乗員に視認されてしまうことがある。
表示装置において、表示部の出射光がフロントウインドシールドで反射されることを低減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置は、
P偏光からなる光を出射する表示部と、
車両前後方向において、前記表示部と車両のウインドシールドとの間に設けられ、前記表示部からの出射光を乗員のアイポイントに向かって反射させる反射板と、を備え、
前記反射板は、P偏光を反射する増反射処理がなされた反射面を有し、
前記表示部は、前記出射光の前記ウインドシールドへの入射角が69.7°以下となる領域に配置される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示装置において、表示部の出射光がフロントウインドシールドで反射されることを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る表示装置の構成を模式的に示す図である。
図2】表示装置の作用を示す図である。
図3】S偏光およびP偏光の入射角と反射率の関係を示すグラフである。
図4】比較例を示す図である。
図5】変形例1に係る表示装置の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る表示装置を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る表示装置1の構成を模式的に示す図である。図1では、わかりやすくするために、表示装置1およびフロントウインドシールド7にハッチングを付している。
図1に示すように、表示装置1は、自動車等の車両の車室VR内に設置される。
図面では、表示装置1の車室VRへの設置状態を基準とした方向を示している。以降の説明において、「上」および「下」とは、鉛直線方向(図1の上下方向)における「上」および「下」を意味する。「前」および「後」とは、車両前後方向(図1の左右方向)における「車両前方側」と「車両後方側」を意味する。また、車両前後方向および鉛直線方向に直交する方向を、車幅方向という。
【0009】
図1に示すように、車室VRにはインストルメントパネル5が設けられている。インストルメントパネル5は、車室VRの前方側を覆うカバー部材である。インストルメントパネル5の車両前方側には、ダッシュパネル8が設けられている。ダッシュパネル8は、車室VRと不図示のエンジンルーム(またはモータルーム)とを隔てる隔壁である。
ダッシュパネル8の上側には、フロントウインドシールド7が設けられている。フロントウインドシールド7は、車両前方側から後方側に向かって斜め上方に張り出すように傾斜して設けられる。すなわち、フロントウインドシールド7は、ダッシュパネル8の上側から、インストルメントパネル5の上側を、車両前後方向に横断するように張り出している。フロントウインドシールド7の下端部には、黒色のセラミック塗料が帯状に塗布された帯状部71が形成されている。帯状部71は、インストルメントパネル5の上面51よりも上側まで延在している。
【0010】
インストルメントパネル5には、車両の走行情報を表示するメータ61が取り付けられている。メータ61は、インストルメントパネル5の車両後方側の側面に取り付けられており、運転者が把持するステアリングホイール62の近傍に位置する。また、インストルメントパネル5の内部には、ステアリングメンバ63、空調ダクト64等の多数の部品が配置されている。
ステアリングメンバ63は、車幅方向に延び、車両のサイドパネル(不図示)に連結されている。ステアリングメンバ63は、不図示のステアリングコラムおよびステアリングシャフト等を介して、ステアリングホイール62を支持している。
空調ダクト64は、不図示の空調装置によって温度及び湿度が調整された空気を車両内に流通させるものである。
【0011】
図1において実線の矢印で示すように、運転者は、運転中はフロントウインドシールド7越しに、車両の外部を視認する。そのため、運転者の視線LSは、主に、アイポイントEPから水平方向の車両前方側に向けられた状態となる。
一方、インストルメントパネル5に設けられたメータ61は、運転中の運転者の視線LSより下側で、かつインストルメントパネル5の車両後方側に設けられている。
そのため、図1において破線の矢印で示すように、運転者がメータ61に表示される情報を確認するためには、視線LSを下側かつ車両後方側に大きく移動させる必要がある。
【0012】
本実施形態の表示装置1は、いわゆるヘッドアップディスプレイ装置であり、運転者が視線LSを大きく移動させることなく車両の走行情報を視認できるようにするための運転支援装置である。
表示装置1は、走行情報として、例えば、走行速度、ガソリン残量等の車両の状態に関する情報や、歩行者飛出し、車両割込み、車線逸脱等に対するアラーム等を含む画像を表示することができる。
【0013】
図1に示すように、表示装置1は、画像を構成する光を出射する液晶ディスプレイ2(表示部)と、液晶ディスプレイ2の出射光OLをアイレンジERの方向に反射させる反射板3と、を備えている。
反射板3は、具体的には、液晶ディスプレイ2の出射光OLを、アイレンジERの範囲内に位置する運転者のアイポイントEPに向けて反射させる。運転者の体格や姿勢によってアイポイントEPの位置は変化することがあるが、アイレンジERは、運転者のアイポイントEPが分布する範囲を統計的に表すものである。なお、図1で示すアイレンジERの範囲(二点鎖線)は、あくまで模式的なものである。
表示装置1として、フロントウインドシールド7に液晶ディスプレイ2の出射光OLを反射させるものもあるが、本実施形態では、フロントウインドシールド7とは別体の反射板3を設けている。
【0014】
液晶ディスプレイ2は、インストルメントパネル5の内部に設けられた収容部52に配置されている。インストルメントパネル5の上面51には、収容部52に接続する開口部53が設けられている。開口部53は、液晶ディスプレイ2の出射光OLの光路上に形成される。
液晶ディスプレイ2は、メータ61、ステアリングメンバ63、空調ダクト64等の部品に対して、車両前方側に設けられている。液晶ディスプレイ2はECU(Electronic Control Unit)等の表示制御装置(不図示)に接続され、表示制御装置から入力される画像を表示する。
【0015】
図示は省略するが、液晶ディスプレイ2は、2枚の偏光板に挟み込まれた液晶セルと、液晶セルに光を照射するバックライトと、を備える。液晶ディスプレイ2は、2枚の偏光板の偏光角を制御することで、液晶セルにおける光の通過および遮断を切り替えることができる。液晶ディスプレイ2は、画像を構成する画素ごとに光の通過および遮断を切り替えることで、画像を構成する光を出射する。
【0016】
バックライトからはP偏光とS偏光の成分を含む光が出射されるが、液晶セルを通過する際に、いずれか一方の偏光成分がカットされる。すなわち、液晶ディスプレイ2は、P偏光とS偏光のいずれか一方のみを含む光を出射する。液晶ディスプレイ2は、2枚の偏光板の偏光角を制御することで、出射する光をP偏光とS偏光の間で切り替えることができる。本実施形態では、液晶ディスプレイ2は、P偏光からなる光を、反射板3に向かって出射する。
【0017】
図1に示すように、反射板3は、フロントウインドシールド7の近傍に設けられている。反射板3は、車両前後方向において、インストルメントパネル5とフロントウインドシールド7の間に設けられている。反射板3は、不図示の支持部材によって、インストルメントパネル5に支持されている。
反射板3の上端部32は、鉛直線方向において、フロントウインドシールド7の黒色の帯状部71の上端と同じ位置、または若干上側に位置している。すなわち、運転者から見た場合、反射板3の少なくとも一部が、黒色の帯状部71にオーバーラップするように配置されている。そのため、運転者がフロントウインドシールド7を介して車両の外部を視認する際に、反射板3によって視界が阻害されにくい。
【0018】
反射板3は、車両前方側から後方側に向かって斜め上方に傾斜して設けられる。反射板3は、インストルメントパネル5の上面51に設けられた開口部53の上側に張り出している。開口部53の下側には、収容部52に収容された液晶ディスプレイ2が位置する。すなわち、反射板3は、鉛直線方向において、フロントウインドシールド7と液晶ディスプレイ2との間に位置している。インストルメントパネル5の内部の収容部52に配置された液晶ディスプレイ2の出射光OLは、開口部53を介して反射板3まで到達する。
【0019】
反射板3は、例えば、不透光性の薄板部材から構成することができる。
反射板3は、車両後方側に位置する面として、反射面31を有する。
反射面31は、反射板3の傾斜によって、下側に位置する液晶ディスプレイ2と、車両後方側の運転者に面している。反射面31は、下側から入射する液晶ディスプレイ2の出射光OLを、車両後方側の運転者のアイポイントEPに向かって反射させる。出射光OLが運転者のアイポイントEPに到達することで、運転者が、液晶ディスプレイ2の画像の虚像Viを視認する。
反射板3は、インストルメントパネル5に設けられたメータ61よりも、車両前方側、かつ上側に位置している。そのため、運転者は、メータ61を見る場合と比較して、大きく視線LSを移動させることなく、反射板3によって形成される虚像Viを視認することができる。
【0020】
反射面31には、P偏光からなる出射光OLの反射率を高める増反射処理が成されている。増反射処理として、例えば、反射面31に対して酸化膜を蒸着する等の表面処理を行うことができる。P偏光はS偏光と比較して反射率が小さい傾向があるが、反射面31は、増反射処理によって反射率が高められているため、P偏光からなる出射光OLを、運転者のアイポイントEPに向かって反射させることができる。
【0021】
図2は、液晶ディスプレイ2の出射光OLの光路を模式的に示す図である。
図3は、S偏光およびP偏光の、入射角と反射率の関係を示すグラフである。図3では、フロントウインドシールド7を構成するガラス(屈折率n=1.5)の反射率を示している。
図4は、比較例を示す図である。
図2に示すように、液晶ディスプレイ2の光は、液晶ディスプレイ2の上側に位置する反射板3に向かって出射される。前記したように、反射板3は、鉛直線方向において、液晶ディスプレイ2とフロントウインドシールド7の間に設けられている。言い換えると、反射板3の上側には、フロントウインドシールド7が延在している。
【0022】
図1では、液晶ディスプレイ2の出射光OLを単純化して図示しているが、実際には、液晶ディスプレイ2は、放射状に光を出射する。そのため、図2に示すように、液晶ディスプレイ2の出射光OLは、反射板3だけでなく、反射板3の上側に位置するフロントウインドシールド7にも入射することがある。
図4は、運転者から見た反射板3およびフロントウインドシールド7を示している。図4では、比較例として、フロントウインドシールド7に入射した出射光OLが、運転者のアイポイントEPに向かって反射された場合を示している。この場合、反射板3によって形成される虚像Viと、フロントウインドシールド7によって形成される虚像Vibの2つの虚像が運転者に視認されることになる。このように2つの虚像が運転者に視認されることは望ましくないため、フロントウインドシールド7における出射光OLの反射率を低減することが求められる。
【0023】
本実施形態では、まず、液晶ディスプレイ2の出射光OLをP偏光としている。
図3に示すように、P偏光はS偏光と比較して、反射率が低くなる傾向がある。前記したように、反射板3は増反射処理されているため、P偏光を反射することができる。一方、フロントウインドシールド7は増反射処理されていないため、P偏光は反射されにくい。
【0024】
さらに、本実施形態では、P偏光である液晶ディスプレイ2の出射光OLの、フロントウインドシールド7への入射角α(図2参照)を、ブリュースター角に基づいた範囲に設定することで、反射率をさらに低減している。
出射光OLのフロントウインドシールド7への入射角αは、液晶ディスプレイ2を配置する領域を調整することで設定することができる。具体的には、例えば、液晶ディスプレイ2のフロントウインドシールド7に対する車両前後方向の位置を調整することで、入射角αを適宜設定することができる。
【0025】
ブリュースター角は、屈折率の異なる物質の界面において、P偏光の反射率が0となる入射角である。
図3に示すように、フロントウインドシールド7を構成するガラス(屈折率n=1.5)において、ブリュースター角は56°である。ブリュースター角の近辺においても、P偏光の反射率は低く抑えられている。特に、入射角が44°~64°の範囲では、反射率は1.0%以下に抑えられている。入射角が69.7°において反射率は4%であり、69.7°を超えると、P偏光の反射率が急激に上昇する。
【0026】
そこで、本実施形態では、液晶ディスプレイ2を、フロントウインドシールド7への出射光OLの入射角αが、例えば、69.7°以下となる領域に配置する。より好ましくは、液晶ディスプレイ2を、入射角αが44°~64°の範囲(図3のハッチングを付した範囲)となる領域に配置する。これによって、図2に示すように、液晶ディスプレイ2の出射光OLがフロントウインドシールド7に入射しても、出射光OLはフロントウインドシールド7で透過されやすくなる。これによって、フロントウインドシールド7の反射による虚像Vib(図4参照)が、運転者から視認されることを低減することができる。
【0027】
なお、液晶ディスプレイ2を配置する領域を車両後方側にずらすほど、フロントウインドシールド7への入射角αが小さくなる。しかしながら、インストルメントパネル5の内部にはステアリングメンバ63や空調ダクト64等の多くの部品が配置されており、液晶ディスプレイ2を配置する領域を車両後方側にずらすと、これらの部品に干渉する可能性がある。液晶ディスプレイ2を配置する領域は、このような他の部品のレイアウトも考慮して決定することができる。
【0028】
以上の通り、本実施形態の表示装置1は、例えば、以下の構成を有する。
(1)表示装置1は、液晶ディスプレイ2(表示部)と、反射板3と、を備える。
液晶ディスプレイ2は、P偏光からなる光を出射する。
反射板3は、液晶ディスプレイ2と車両のフロントウインドシールド7(ウインドシールド)との間に設けられる。反射板3は、液晶ディスプレイ2からの出射光OLを運転者(乗員)のアイポイントEPに向かって反射させる。
反射板3は、P偏光を反射する増反射処理がなされた反射面31を有する。
液晶ディスプレイ2は、出射光OLのフロントウインドシールド7への入射角αが69.7°以下となる領域に配置される。
【0029】
このように構成することで、表示装置1において、液晶ディスプレイ2の出射光OLがフロントウインドシールド7で反射されることを低減することができる。
具体的には、本実施形態では、反射板3は、鉛直線方向において、液晶ディスプレイ2とフロントウインドシールド7の間に設けられている。そのため、液晶ディスプレイ2から反射板3に向かう出射光OLの一部は、反射板3の上側に位置するフロントウインドシールド7にも入射する可能性がある。フロントウインドシールド7に入射した出射光OLが運転者に向かって反射されると、運転者には、反射板3による虚像Viだけでなく、フロントウインドシールド7による虚像Vibも視認されてしまう可能性がある。
なお、「反射板3は、液晶ディスプレイ2と車両のフロントウインドシールド7との間に設けられる」とは、反射板3が、車両前後方向において液晶ディスプレイ2とフロントウインドシールド7の間に設けられている場合も含む。
【0030】
本実施形態では、液晶ディスプレイ2の出射光OLをP偏光とした上で、液晶ディスプレイ2を、出射光OLのフロントウインドシールド7への入射角αが69.7°以下となる領域に配置する。
P偏光はS偏光と比較して反射率が小さくなる傾向があり、特に、ブリュースター角(56°)の近辺において、P偏光の反射率は低く抑えられている。
すなわち、液晶ディスプレイ2の出射光OLのフロントウインドシールド7への入射角αを、ブリュースター角の近辺である69.7°以下とする。これによって、P偏光からなる液晶ディスプレイ2の出射光OLが、フロントウインドシールド7で反射されることを低減することができる。結果として、図4の比較例に示すような、フロントウインドシールド7の反射による虚像Vibが乗員に視認されてしまうことを低減することができる。
一方、反射板3の反射面31は増反射処理がなされているため、P偏光の出射光OLを運転者のアイポイントEPに向かって反射させることができる。運転者は反射板3の反射による虚像Viを視認することができる。
【0031】
なお、運転者は運転中にサングラスを着用することがあるが、サングラスはS偏光をカットするものが一般的である。液晶ディスプレイ2の出射光OLをP偏光とすることで、運転者が運転中にサングラスを着用していても、反射板3の反射による虚像Viを視認することができる。
【0032】
前記した実施形態では、表示部を液晶ディスプレイ2としたが、この態様に限定されない。例えば、表示部として有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイを用いることができる。有機ELディスプレイの場合、バックライトや偏光板を省くことができるため、表示部を薄型化することができる。
表示部として、液晶ディスプレイ2のようにP偏光およびS偏光を切り替えて出射するものを用いない場合は、表示部の出射光OLからS偏光をカットする偏光フィルタを別途設けることができる。偏光フィルタは、例えば、収容部52の、出射光OLの光路上に配置することができる。
【0033】
(2)液晶ディスプレイ2は、フロントウインドシールド7への出射光OLの入射角αが44°以上64°以下となる領域に配置される。
【0034】
入射角αが44°以上64°以下の場合、フロントウインドシールド7での反射率が1.0%以下に抑えられる。これによって、液晶ディスプレイ2の出射光OLの、フロントウインドシールド7での反射率を、さらに低減することができる。
【0035】
(3)表示装置1は、車両の走行情報を表示するメータ61よりも車両の前方に配置される。
【0036】
具体的には、表示装置1を構成する反射板3が、メータ61よりも車両前方側に配置される。これによって、運転中は主に車両前方側に視線LSを向けている運転者が、視線LSを大きく動かすことなく、虚像Viを視認することができる。
【0037】
また、表示装置1を構成する液晶ディスプレイ2は、インストルメントパネル5の内部において、メータ61よりも車両前方側に配置される。インストルメントパネル5の内部にはステアリングメンバ63や空調ダクト64等の多数の部品が配置されているが、これらの部品への干渉を低減しつつ、液晶ディスプレイ2を配置することができる。
【0038】
[変形例1]
図5は、変形例1に係る表示装置1Aの構成を模式的に示す図である。
図5に示すように、変形例1では、反射板3の上端部32に、庇部33(遮光部)を設けている。庇部33は、反射板3の上端部32に接続し、上端部32から車両後方側に向かって斜め上方に張り出す。庇部33は、フロントウインドシールド7の傾斜に沿って延びる。すなわち、庇部33は、鉛直線方向において、液晶ディスプレイ2とフロントウインドシールド7の間に位置している。
庇部33は反射板3と同様に不透光性の部材で構成されるが、反射面31のように増反射処理は行われていない。
このような庇部33を設けることで、液晶ディスプレイ2から出射されフロントウインドシールド7に向かう光の少なくとも一部が、庇部33によって遮られる。これによって、液晶ディスプレイ2の出射光OLがフロントウインドシールド7の入射することが低減されるため、フロントウインドシールド7における出射光OLの反射をさらに低減することができる。
また、庇部33をフロントウインドシールド7の傾斜に沿って設けることで、庇部33が、反射板3で反射された出射光OLの、運転者のアイポイントEPに向かう光路を阻害することを低減することができる。
【0039】
以上の通り、変形例1に係る表示装置1Aは以下の構成を備える。
(4)液晶ディスプレイ2からウインドシールドへ向かう光の少なくとも一部を遮る庇部33(遮光部)を備える。
これによって、液晶ディスプレイ2の出射光OLがフロントウインドシールド7の入射することが低減されるため、フロントウインドシールド7における出射光OLの反射をさらに低減することができる。
【0040】
(5)庇部33は、反射板3の上端部32に設けられる。
フロントウインドシールド7は、反射板3の上端部32の上側に延在しているため、庇部33を反射板3の上端部32に設けることで、液晶ディスプレイ2からフロントウインドシールド7に向かう光を効果的に遮ることができる。
【0041】
なお、変形例1では、遮光部として、反射板3に取り付けた庇部を説明したが、この態様に限定されない。例えば、庇部は、インストルメントパネル5の上面51に設けても良い。庇部は、例えば、インストルメントパネル5の上面51の一部を隆起させて設けても良く、あるいはインストルメントパネル5とは別体の部材を上面51に取り付けても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 表示装置
2 液晶ディスプレイ
3 反射板
31 反射面
32 上端部
33 庇部
5 インストルメントパネル
51 上面
52 収容部
53 開口部
61 メータ
62 ステアリングホイール
63 ステアリングメンバ
64 空調ダクト
7 フロントウインドシールド
71 帯状部
8 ダッシュパネル
VR 車室
EP アイポイント
OL 出射光
OP 光路
Vi 虚像
LS 視線
図1
図2
図3
図4
図5