IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 茂手木 雅之の特許一覧

特開2024-25234移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法
<>
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図1
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図2
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図3
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図4
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図5
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図6
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図7
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図8
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図9
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図10
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図11
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図12
  • 特開-移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025234
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20240216BHJP
   B62D 35/00 20060101ALI20240216BHJP
   H05F 3/04 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
B62D37/02 Z
B62D35/00 C
H05F3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128505
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】517300132
【氏名又は名称】茂手木 雅之
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】茂手木 雅之
【テーマコード(参考)】
5G067
【Fターム(参考)】
5G067AA18
5G067DA01
5G067DA18
(57)【要約】
【課題】
自動車、鉄道、自動二輪車などの移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の燃費改善方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
移動体の負圧を軽減する負圧軽減装置であって、負圧軽減装置は、移動体を構成する対象部品の静電気を取得する静電気取得装置と、プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、静電気取得装置と第1の基幹線または第2の基幹線との間に位置し、取得した静電気の電流の極性を揃える整流器と、第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、第1の放電装置を、移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、第2の放電装置を、移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置する、負圧軽減装置である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の負圧を軽減する負圧軽減装置であって、
前記負圧軽減装置は、
前記移動体を構成する対象部品の静電気を取得する静電気取得装置と、
プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、
マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、
前記静電気取得装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記取得した静電気の電流の極性を揃える整流器と、
前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、
前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、
前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置する、
ことを特徴とする負圧軽減装置。
【請求項2】
前記静電気取得装置は、
前記取得した静電気の電流について、前記整流器で極性を揃えて導線を介して前記第1の基幹線または前記第2の基幹線に流し、
前記負圧軽減装置は、
前記第1の放電装置から、プラスの静電気を前記第1の方向に流れる空気中に放電し、
前記第2の放電装置から、マイナスの静電気を前記第2の方向に流れる空気中に放電し、
前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、
ことを特徴とする請求項1に記載の負圧軽減装置。
【請求項3】
前記負圧軽減装置は、
前記第1の方向に流れるプラスの極性に帯電した空気と、前記第2の方向に流れるマイナスの極性に帯電した空気とが、前記移動体において負圧が発生する箇所に流れた際に、それぞれの極性に帯電した空気を引きつけ合うことで、前記負圧が発生する箇所に空気を充填して負圧を軽減する、
ことを特徴とする請求項2に記載の負圧軽減装置。
【請求項4】
前記移動体は自動車である、
ことを特徴とする請求項3に記載の負圧軽減装置。
【請求項5】
前記対象部品として、
エアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクのうちいずれか一以上を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の負圧軽減装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の負圧軽減装置を備えた自動車。
【請求項7】
移動体の負圧を軽減する負圧軽減装置であって、
前記負圧軽減装置は、
静電気を発生させる静電気発生装置と、
プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、
マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、
前記静電気発生装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記発生した静電気の電流の極性を揃える整流器と、
前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、
前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、
前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置する、
ことを特徴とする負圧軽減装置。
【請求項8】
前記静電気発生装置は、
前記発生させた静電気の電流について、前記整流器で極性を揃えて導線を介して前記第1の基幹線または前記第2の基幹線に流し、
前記負圧軽減装置は、
前記第1の放電装置から、プラスの静電気を前記第1の方向に流れる空気中に放電し、
前記第2の放電装置から、マイナスの静電気を前記第2の方向に流れる空気中に放電し、
前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、
ことを特徴とする請求項7に記載の負圧軽減装置。
【請求項9】
前記負圧軽減装置は、
前記第1の方向に流れるプラスの極性に帯電した空気と、前記第2の方向に流れるマイナスの極性に帯電した空気とが、前記移動体において負圧が発生する箇所に流れた際に、それぞれの極性に帯電した空気を引きつけ合うことで、前記負圧が発生する箇所に空気を充填して負圧を軽減する、
ことを特徴とする請求項8に記載の負圧軽減装置。
【請求項10】
移動体の静電気を利用することで前記移動体の負圧を軽減する方法であって、
前記移動体を構成する対象部品の静電気を取得する静電気取得装置と、
プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、
マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、
前記静電気取得装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記取得した静電気の電流の極性を揃える整流器と、
前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、
前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有する負圧軽減装置を前記移動体に設置し、
前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記移動体の後方において、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、
ことを特徴とする移動体の負圧軽減方法。
【請求項11】
静電気を利用することで移動体の負圧を軽減する方法であって、
静電気を発生させる静電気発生装置と、
プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、
マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、
前記静電気発生装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記発生した静電気の電流の極性を揃える整流器と、
前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、
前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、
前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、
前記移動体の後方において、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、
ことを特徴とする移動体の負圧軽減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道、自動二輪車などの移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道、自動二輪車などの移動体が移動する際には、移動する速度の二乗に応じた空気抵抗を受けることが知られている。そして、移動体の車体前方は、進行方向に対しては正の空気の圧力(正圧)、車体後方は負の空気の圧力(負圧)を受ける。そのため、移動体は、これらの正圧および負圧の空気抵抗に勝る駆動力を出さないと前へ移動することができない。これを、移動体が自動車の場合を例として、模式的に示すのが図13である。
【0003】
このように空気抵抗は移動体の燃費を悪化させる要因の一つであって、燃費を改善するために空気抵抗の低減を図ることが行われている。そして空気抵抗の低減を図るために、各種のパーツを移動体に設置して空気抵抗を低減させるなどの方法を採ることがある。たとえば下記非特許文献1に示すように、あえて乱流を生じさせることで空気抵抗を減らすボルテックスジェネレータ(Voltex generator)などがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小池勝、永吉恒久、濱本直樹、”ボルテックスジェネレータによる空気抵抗低減の研究”、「三菱自動車テクニカルレビュー2004」、三菱自動車工業株式会社、2004年4月1日発行、No.16、p.13-p.18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に示すようなボルテックスジェネレータは、あえて乱流を生じさせて負圧を低減させることで空気抵抗を減らしている。しかし、移動体にボルテックスジェネレータを設置すること自体が空気抵抗を発生させるものである。
【0006】
そこで大きな空気抵抗を発生させずに、移動体の燃費を改善することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑み、移動体の燃費を改善するための、移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法を発明した。
【0008】
第1の発明は、移動体の負圧を軽減する負圧軽減装置であって、前記負圧軽減装置は、前記移動体を構成する対象部品の静電気を取得する静電気取得装置と、プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、前記静電気取得装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記取得した静電気の電流の極性を揃える整流器と、前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置する、負圧軽減装置である。
【0009】
本発明のように、移動体の静電気を利用する構成とすることで移動体の負圧を軽減し、それによって移動体の燃費を改善することができる。また、車体の外部に備える放電装置は小型化が容易なので、それ自体による空気抵抗も大きくない。
【0010】
上述の発明において、前記静電気取得装置は、前記取得した静電気の電流について、前記整流器で極性を揃えて導線を介して前記第1の基幹線または前記第2の基幹線に流し、前記負圧軽減装置は、前記第1の放電装置から、プラスの静電気を前記第1の方向に流れる空気中に放電し、前記第2の放電装置から、マイナスの静電気を前記第2の方向に流れる空気中に放電し、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、負圧軽減装置のように構成することができる。
【0011】
上述の発明において、前記負圧軽減装置は、前記第1の方向に流れるプラスの極性に帯電した空気と、前記第2の方向に流れるマイナスの極性に帯電した空気とが、前記移動体において負圧が発生する箇所に流れた際に、それぞれの極性に帯電した空気を引きつけ合うことで、前記負圧が発生する箇所に空気を充填して負圧を軽減する、負圧軽減装置のように構成することができる。
【0012】
負圧軽減装置としてはこれらの各発明のように構成するとよい。
【0013】
本発明の負圧軽減装置は、移動体が自動車のときに用いるとよい。
【0014】
上述の発明において、前記対象部品として、エアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクのうちいずれか一以上を含む、負圧軽減装置のように構成することができる。
【0015】
本発明の負圧軽減装置は各種の移動体に設置可能であるが、自動車に用いるとよい。また、自動車には静電気が発生する対象部品が多数あるが、上述の発明の部品を対象とすると効果が高い。
【0016】
また、本発明の負圧軽減装置を備えた自動車としてもよい。
【0017】
第7の発明は、移動体の負圧を軽減する負圧軽減装置であって、前記負圧軽減装置は、静電気を発生させる静電気発生装置と、プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、前記静電気発生装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記発生した静電気の電流の極性を揃える整流器と、前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置する、負圧軽減装置である。
【0018】
静電気が発生しない、または少量しか静電気が発生しない移動体の場合には、本発明のように、静電気を発生させてそれを利用する構成とすることで、第1の発明と同様に、移動体の負圧を軽減し、それによって移動体の燃費を改善することができる。また、車体の外部に備える放電装置は小型化が容易なので、それ自体による空気抵抗も大きくない。
【0019】
上述の発明において、前記静電気発生装置は、前記発生させた静電気の電流について、前記整流器で極性を揃えて導線を介して前記第1の基幹線または前記第2の基幹線に流し、前記負圧軽減装置は、前記第1の放電装置から、プラスの静電気を前記第1の方向に流れる空気中に放電し、前記第2の放電装置から、マイナスの静電気を前記第2の方向に流れる空気中に放電し、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、負圧軽減装置のように構成することができる。
【0020】
上述の発明において、前記負圧軽減装置は、前記第1の方向に流れるプラスの極性に帯電した空気と、前記第2の方向に流れるマイナスの極性に帯電した空気とが、前記移動体において負圧が発生する箇所に流れた際に、それぞれの極性に帯電した空気を引きつけ合うことで、前記負圧が発生する箇所に空気を充填して負圧を軽減する、負圧軽減装置のように構成することができる。
【0021】
負圧軽減装置としてはこれらの各発明のように構成するとよい。
【0022】
第10の発明は、移動体の静電気を利用することで前記移動体の負圧を軽減する方法であって、前記移動体を構成する対象部品の静電気を取得する静電気取得装置と、プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、前記静電気取得装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記取得した静電気の電流の極性を揃える整流器と、前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有する負圧軽減装置を前記移動体に設置し、前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記移動体の後方において、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、移動体の負圧軽減方法である。
【0023】
本発明の方法を用いることで、第1の発明と同様に、移動体の静電気を利用して移動体に発生する負圧を軽減することができ、結果として燃費を改善することができる。
【0024】
第11の発明は、静電気を利用することで移動体の負圧を軽減する方法であって、静電気を発生させる静電気発生装置と、プラスの静電気の電流が流れる第1の基幹線と、マイナスの静電気の電流が流れる第2の基幹線と、前記静電気発生装置と前記第1の基幹線または前記第2の基幹線との間に位置し、前記発生した静電気の電流の極性を揃える整流器と、前記第1の基幹線を流れる静電気を放電する第1の放電装置と、前記第2の基幹線を流れる静電気を放電する第2の放電装置と、を有しており、前記第1の放電装置を、前記移動体に沿って第1の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記第2の放電装置を、前記移動体に沿って第2の方向に流れる空気中に静電気を放電可能な位置に設置し、前記移動体の後方において、前記第1の方向の空気中における静電気と、前記第2の方向の空気中における静電気とを引きつけ合わせる、移動体の負圧軽減方法である。
【0025】
本発明の方法を用いることで、第7の発明と同様に、静電気を発生させてそれを利用することにより移動体に発生する負圧を軽減することができ、結果として燃費を改善することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法を用いることで、静電気を利用して移動体の負圧を軽減し、結果的に燃費を改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の負圧軽減装置の全体の構成の一例を模式的に示す概念図である。
図2】本発明の負圧軽減装置を自動車に取り付けて走行した状態を模式的に示す図である。
図3】本発明の負圧軽減装置を自動車に取り付けた状態の一例を模式的に示す概念図である。
図4】エアクリーナボックスに静電気取得装置と導線を取り付けた状態を示す図である。
図5】オートマチックトランスミッションのオイルパンに静電気取得装置と導線を取り付けた状態を示す図である。
図6】オイルフィルタに静電気取得装置と導線を取り付けた状態を示す図である。
図7】自動車のフロントバンパー下端部に、プラスの基幹線と接続した放電装置を設置した状態を示す図である。
図8】自動車のボンネット前端部付近に、マイナスの基幹線と接続した放電装置を設置した状態を示す図である。
図9】本発明の負圧軽減装置の負圧軽減の効果を測定するため、車体後方に取り付けた測定装置を示す図である。
図10】測定装置による負圧の測定結果を示す表である。
図11】対象部品Pと静電気取得装置の代わりに静電気発生装置Eを備えた場合の構成の一例を模式的に示す概念図である。
図12】対象部品Pに加えて、静電気発生装置Eを備えた場合の構成の一例を模式的に示す概念図である。
図13】自動車に発生する空気抵抗を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の負圧軽減装置1は、移動体または移動体の部品に発生する静電気を利用して、移動体の走行時に発生する負圧を軽減し、燃費を改善する装置である。負圧軽減装置1は、移動体に設置する。本発明の負圧軽減装置1の構成の一例を図1に模式的に示す。なお、本明細書の以下の説明では、移動体として自動車Mの場合を説明するが、自動車Mに限定するものではなく、鉄道、自動二輪車などであってもよい。
【0029】
負圧軽減装置1は、自動車Mの部品であって静電気を発生させる対象部品Pから静電気を取得する静電気取得装置10と、プラス(正)、マイナス(負)の極性ごとに電流を流す基幹となる導線(基幹線11)と、静電気取得装置10で取得した静電気の電流を基幹線11に流す導線12と、静電気取得装置10と基幹線11との間に位置し、静電気の電流の極性を揃える、ダイオードなどの整流器13と、各基幹線11を流れる静電気を放電する放電装置14とを有する。整流器13としてダイオードを用いる場合、小型、小電流だと電流のボトルネックになることから、40A・800V、70A・400Vのように、比較的、大電流のものが好ましい。
【0030】
自動車Mに、プラス、マイナスの極性ごとに電流を流す基幹線11a、11bを、たとえばエンジンルームから車内にかけてあらかじめ設置しておく。また対象部品P、たとえばエアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクなどには、これらの対象部品Pに発生した静電気を取得するための静電気取得装置10を取り付ける。対象部品Pは上記に限られるものではなく、静電気が発生する部品であればよい。また、静電気取得装置10としては、対象部品Pに発生した静電気を取得するための装置であれば如何なる物であってもよく、たとえば除電ブラシ、導電性粘着剤付きの金属製テープ(たとえばアルミテープ)、ステンレス製の網(メッシュ)などがある。静電気取得装置10として除電ブラシを用いた場合、対象部品Pに発生した静電気はいずれかの極性の電荷が多いので、除電ブラシにある他方の極性の電荷が対象部品Pに集まり中和される。エンジンなどの対象部品Pが動いている場合など、中和に必要な他方の極性の電荷が不足し続ける場合、除電ブラシなどの静電気取得装置10に取り付けられた導線12を通して他方の極性の電荷が集まり続けるため、静電気による電流が発生して、それを取得できる。
【0031】
対象部品Pに静電気取得装置10を取り付ける。また、導線12の一端を静電気取得装置10に取り付け、他の一端を基幹線11に接続する。さらに、導線12の経路上であって、静電気取得装置10と基幹線11との間に、静電気の電流の極性を揃えるダイオード13を設ける。これにより、対象部品Pに発生した静電気を静電気取得装置10で取得し、取得した静電気の電流の極性をダイオード13で揃えて、導線12を介して静電気の電流を基幹線11a、11bに流す。基幹線11a、11bは、プラス、マイナスの極性ごとの導線であるので、各基幹線11a、11bにはいずれかの極性の静電気が流れることとなる。静電気取得装置10は、導線12を介して基幹線11a、11bと接続してそれぞれの極性の静電気を流すことが好ましいが、静電気取得装置10をプラス、マイナスのいずれか一方の極性の基幹線11a、11bに導線12を接続していずれか一方の極性の静電気を流すようにしてもよい。
【0032】
また、それぞれの極性ごとの基幹線11a、11bに接続した放電装置14a、14bを車体外部の、車体に衝突する異なる方向からの空気の流れで大気中に放電可能となる位置に設置する。たとえばマイナスの極性の静電気が流れる基幹線11bに接続した放電装置14bは、車体のボンネット前端部付近に設置し、プラスの極性の静電気が流れる基幹線11aに接続した放電装置14aは、フロントバンパー下端部、フロントタイヤのディフューザー下部付近に設置する。これによってマイナスの基幹線11bに接続した放電装置14bは、マイナスの極性を帯びた電荷を車体の上方を流れる空気に沿って放電し、プラスの基幹線11aに接続した放電装置14aは、プラスの極性を帯びた電荷を車体の下方を流れる空気に沿って放電する。負圧軽減装置を自動車Mに取り付けて走行した状態を模式的に示すのが図2である。
【0033】
図2に示すように、マイナスの基幹線11bに接続した放電装置14bから放電した静電気はマイナスの極性を帯びており、それが車体上方を流れる空気とともに車体後方に流れる。また、プラスの基幹線11aに接続した放電装置14aから放電した静電気はプラスの極性を帯びており、それが車体下方を流れる空気とともに車体後方に流れる。プラスの極性に帯電した空気と、マイナスの極性に帯電した空気とが、移動体において負圧が発生する負圧が発生する箇所である車体後方に流れた際に、極性の異なる静電気同士の間で発生する引力により、それぞれの極性に帯電した空気がお互いに引きつけあうことで、負圧が発生する箇所に空気が充填され負圧が軽減される。
【実施例0034】
より具体的に、自動車Mに本発明の負圧軽減装置1を設置した場合の一例を説明する。この場合の負圧軽減装置の構成の一例を図3に示す。図3では対象部品Pとして、エアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクとした場合を説明するが、それ以外の部品を対象としてもよく、静電気が発生する部品であればよい。
【0035】
エアクリーナーエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクの対象部品Pに、除電ブラシ、除電ひも、導電性粘着剤付きの金属製テープ(たとえばアルミテープ)、ステンレス製の網(メッシュ)、導電性塗料、導電性のコーティング剤などの静電気取得装置10a~10gを取り付ける。そしてこれらの静電気取得装置10a~10bにはそれぞれ導線12a~12gを接続する。
【0036】
図3では、エアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オートマチックトランスミッションのオイルパンに取り付けた静電気取得装置10a、10b、10eには、それぞれ導線12a、12b、12eをプラスの基幹線11aに接続する。また、静電気取得装置10a、10b、10eと、プラスの基幹線11aとの間ではプラスの極性に整流するダイオード13a、13b、13eを設け、基幹線11aにはプラスの電荷を有する静電気の電流が流れるように構成する。これによって、エアクリーナエレメント、エンジンのオイルパン、オートマチックトランスミッションのオイルパンに発生した静電気を除電ブラシなどの静電気取得装置10で取得し、取得した静電気による電流を導線12a、12b、12eを介して流し、ダイオード13a、13b、13eによりプラスの極性に整流して、基幹線11aにプラスの電荷を有する静電気の電流を流す。
【0037】
また、オイルフィルタ、ベルハウジングに取り付けた静電気取得装置10c、10dには、それぞれ導線12c、12dをマイナスの基幹線11bに接続する。また、静電気取得装置10c、10dと、マイナスの基幹線11bとの間ではマイナスの極性に整流するダイオード13c、13dを設け、基幹線11bにはマイナスの電荷を有する静電気の電流が流れるように構成する。これによって、オイルフィルタ、ベルハウジングに発生した静電気を除電ブラシなどの静電気取得装置10で取得し、取得した静電気による電流を導線12c、12dを介して流し、ダイオード13c、13dによりプラスの極性に整流して、基幹線11bにプラスの電荷を有する静電気の電流を流す。
【0038】
さらに、ガソリンタンクに取り付けた静電気取得装置10fには導線12fを接続し、プラスの基幹線11aに接続する。静電気取得装置10fと基幹線11aとの間にはプラスの極性に整流するダイオード13fを設ける。同様に、ガソリンタンクに取り付けた静電気取得装置10gには導線12gを接続し、マイナスの基幹線11bに接続する。静電気取得装置10gと基幹線11bとの間にはマイナスの極性に整流するダイオード13gを設ける。そして、基幹線11aにはプラスの電荷を有する静電気の電流が流れるように、基幹線11bにはマイナスの電荷を有する静電気の電流が流れるように構成する。これによって、ガソリンタンクに発生した静電気を除電ブラシなどの静電気取得装置10で取得し、取得した静電気による電流を導線12f、12gを介して流す。導線12fを介して流れる静電気による電流は、ダイオード13fによりプラスの極性に整流して基幹線11aに流す。また、導線12gを介して流れる静電気による電流は、ダイオード13gによりマイナスの極性に整流して基幹線11bに流す。
【0039】
図4は、エアクリーナエレメント(エアフィルター)を格納するハウジングであるエアクリーナーボックスに静電気取得装置10aと8sq(スケア)の太さの導線12aとを取り付けた状態を示す図である。なお、8sqはAWG8(アメリカンワイヤーゲージ)で換算される。図4では、エアクリーナのエレメント直後に静電気取得装置10aとしてのステンレスメッシュを設置し、導線12aをエアクリーナーボックスを貫通してステンレスメッシュなどの静電気取得装置10aに取り付け、エアクリーナエレメントに発生した静電気を静電気取得装置10aが取り出し、ダイオード13aでプラスの極性に整流して導線12aを介してプラスの基幹線11aに流すことができる。
【0040】
なお、図4は、わかりやすさのため、エアクリーナボックスを自動車Mの車体から取り外した状態で示している。エアクリーナボックスは、たとえば、上側エアクリーナボックスと下側エアクリーナボックスとから構成されており、下側エアクリーナーボックスにはエアクリーナーが取り付けられている。下側エアクリーナーボックスと上側エアクリーナボックスにはそれぞれ孔部が形成されており、各孔部はインテークダクトと連結している。下側エアクリーナーボックスの孔部と連結するインテークダクトから空気がエアクリーナボックス内部に流れ込み、エアクリナーエレメントで空気中のゴミなどを取り除き、濾過する。そして、上側エアクリーナーボックスの孔部からインテークダクトを通り、空気がエアクリーナーボックスの外部に排出される。本発明では、エアクリーナーエレメントと上側エアクリーナボックスの孔部との間に位置するように静電気取得装置10aとしてステンレス製のメッシュ(網)を設置する。また上側エアクリーナボックスを貫通した導線12aをステンレス製のメッシュ(網)に取り付けることで、ステンレス製のメッシュ(網)で取得した静電気を流すように構成する。たとえばステンレス製のメッシュ(網)は、エアクリーナーエレメントの上部であって、上側エアクリーナボックスの孔部よりも下方に取り付ける。ステンレス製のメッシュ(網)は平板状であってもよいし、上側エアクリーナボックスの内壁面に沿った形状であってもよい。図4(a)は、静電気取得装置10aとしてのステンレス製のメッシュをエアクリーナボックスの内側に、導線12aをエアクリーナボックスを貫通させて外側に取り出した状態を模式的に示す図である。図4(b)は、上側エアクリーナボックスと下側エアクリーナーボックスとを取り外した状態であって、ステンレス製のメッシュを上側エアクリーナボックスの内側に取り付けた状態をも私的に示す図である。
【0041】
図5は、オートマチックトランスミッションのオイルパンに静電気取得装置10bと8sqの太さの導線12bを取り付けた状態を示す図である。図5では、オートマチックトランスミッションのオイルパンの表面と導線12bとを、静電気取得装置10bとしての導電性粘着剤付きのアルミテープで貼付し、オイルパンまたはその内部に発生した静電気を静電気取得装置10bが取り出し、ダイオード13bでプラスの極性に整流して、導線12bを介してプラスの基幹線11aに流すことができる。
【0042】
図6は、オイルフィルタに静電気取得装置10cと8sqの太さの導線12cを取り付けた状態を示す図である。図6では、オイルフィルタの形状に合わせて、静電気取得装置10cとしてのステンレスメッシュを円筒状に形成し、オイルフィルタに被せて設置し、当該ステンレスメッシュに導線12cを取り付け、オイルまたはオイルフィルタの内部に発生した静電気を静電気取得装置10cが取り出し、ダイオード13cでマイナスの極性に整流して導線12cを介してマイナスの基幹線11bに流すことができる。
【0043】
なお、図4乃至図6の施工例では、必要に応じて、静電気漏れを防止するため、施工部分の外側を、フッ素樹脂テープ(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂を使用したフィルムに、シリコーン系粘着剤などの粘着剤を塗布したテープ)で被覆している。
【0044】
プラスの基幹線11aは静電気取得装置14aと接続し、マイナスの基幹線11bは静電気取得装置14bと接続している。そして、静電気取得装置14aは自動車Mのフロントバンパー下端部、フロントタイヤのディフューザー下部付近に設置した放電装置14(たとえば除電ブラシ)などから放電可能なように設置される。また、静電気取得装置14bは自動車Mのボンネット前端部付近に設置した放電装置14(たとえば除電ブラシ)から放電可能なように設置される。
【0045】
図7に自動車Mのフロントバンパー下端部に、プラスの基幹線11aと接続した放電装置14aを設置した状態を示す。図8に自動車Mのボンネット前端部付近に、マイナスの基幹線11bと接続した放電装置14bを設置した状態を示す。図7図8では放電装置14a、14bとして除電ブラシを用いた場合を示しているが、それに限るものではなく、放電できる装置であれば如何なる物であってもよい。また放電アンテナなどであってもよいし、棒形状の物であってもよい。静電気取得装置10に用いる除電ひも、導電性粘着剤付きの金属製テープ(たとえばアルミテープ)、ステンレス製の網(メッシュ)、導電性塗料、導電性のコーティング剤などであってもよい。
【0046】
以上のように、自動車Mの各部品(対象部品P)から静電気を取得する静電気取得装置10a~10gを接続し、プラス、マイナスのそれぞれの極性ごとに放電装置14a、14bから放電する。
【0047】
なお、出願人は、本発明の負圧軽減装置1による負圧の軽減を計測するため、図9に示すような測定装置を用いて、運転席と車体後部背面との気圧差を測定した。図9の計測装置では、車体後部背面に4φナイロンチューブとクイックジョイントを用いて、合計5箇所の測定ポイントとなる開口部を設けた。そして4φナイロンチューブを運転席まで伸ばして微差圧計に接続し、車体後部背面の5箇所の開口部の気圧の平均値と運転席の気圧との差を測定した。
【0048】
なお、負圧は高速走行時に発生しやすいので、高速道路で高速走行、ここでは時速80kmで走行した状態で測定を行った。図9の測定装置による負圧の測定結果が図10の表に示すとおりである。図10の表では、高速道路を時速80kmで走行した状態の負圧は、おおよそ、本発明の負圧軽減装置1を未施工の場合には-4~-5mmAq前後であるのに対し、本発明の負圧軽減装置1を施工した場合には-2~-4mmAq前後となっていることを示しており、本発明の負圧軽減装置1による負圧の軽減が確認できた。
【0049】
また、上述の測定の際に合わせて行った高速道路を時速80kmで走行した状態では、燃費がおよそ20%程度向上した。したがって、本発明の負圧軽減装置1によって負圧が軽減されたことにより、燃費が向上したことが確認できた。
【0050】
上述の説明では、対象部品Pとして、エアクリーナーエレメント、エンジンのオイルパン、オイルフィルタ、ベルハウジング、オートマチックトランスミッションのオイルパン、ガソリンタンクを説明したが、それ以外にも、オートマチックトランスミッションのトルクコンバータのハウジング、デファレンシャルギアボックスのハウジング、エアコンシステム、エンジンの冷却システム、ブレーキディスクなどのブレーキシステムなど、静電気が発生するほかの部品を対象部品としてもよい。
【0051】
好ましくは、静電気取得装置10は、静電気が発生する部品であっても、静電気を取得することでECUの制御に影響を与えない部品であるとよい。すなわち、ECUの制御として静電気の発生が考慮されている部品以外の部品から静電気を取得するとよい。
【0052】
あるいは、静電気が発生する部品に静電気取得装置10を設置し、その状態でECUの制御の設定を行うようにしてもよい。これによって、本発明の負圧軽減装置1を加味してECUの設定が行われるので、ECUの制御への影響が発生することもない。
【0053】
放電装置14を設置する箇所としては、たとえばドアミラー、ドアバイザーなどに取り付けてもよい。また、車体の前方に放電装置14を設置したが、車体後方の上方と下方にそれぞれ放電装置14a、14bのいずれかを設置してもよい。さらに、車体前方の上方と車体後方の下方、あるいは車体前方の下方と車体後方の上方にそれぞれ放電装置14a、14bのいずれかを設置してもよい。すなわち、車体の上方に流れる空気と、下方に分かれて流れる空気とに、それぞれ放電可能な位置に異なる極性の静電気を放電する放電装置14a、14bを設置し、それを車体後方またはドアミラー、ドアバイザーなどの後方でお互いに引き合わせて負圧を軽減させる箇所であれば、如何なる箇所に設置してもよい。
【実施例0054】
実施例1では、対象部品Pから静電気を取得する場合を説明していたが、静電気が発生しない、または少量しか静電気が発生しない移動体の場合には、静電気を発生させるためのバッテリー、発電装置などの静電気発生装置Eを搭載し、その電力で負圧を軽減させるに足りるプラス、マイナスの静電気を連続的に発生させることで、対象部品Pおよび静電気取得装置10を置き換えた負圧軽減装置1とすることもできる。この場合の構成の一例を図11および図12に示す。
【0055】
図11では、対象部品Pの代わりに静電気発生装置Eを備えた場合であり、静電気発生装置Eで発生した静電気について、一方のダイオードなどの整流器13でプラスの静電気に整流し、他方のダイオードなどの整流器13でマイナスの静電気に整流し、それぞれの導線12を介して、プラスの基幹線11、マイナスの基幹線11で電流を流し、それぞれ放電装置14を介して放電する場合を示している。
【0056】
図12では、実施例1における負圧軽減装置1に、さらに図11の静電気発生装置Eを備えた場合である。このように、静電気が発生する移動体の場合でも、負圧の軽減に必要な静電気をより多く得るため、静電気発生装置Eを合わせて備えた負圧軽減装置1としてもよい。
【実施例0057】
本発明の負圧軽減装置1は、自動車M以外の移動体に設置してもよく、たとえば鉄道、リニアモーターカー、自動二輪車に設置してもよい。鉄道、リニアモーターカーは自動車と同様に、車体前方と車体下方にそれぞれ放電装置14を設置する。自動二輪車の場合には、フロントカウルとアンダーカウル、ヘッドライトの上下などにそれぞれ放電装置14を設置するなどができる。
【0058】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の移動体に設置する負圧軽減装置および移動体の負圧軽減方法を用いることで、静電気を利用して移動体の負圧を軽減し、結果的に燃費を改善することが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1:負圧軽減装置
10:静電気取得装置
11:基幹線
12:導線
13:整流器
14:放電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13