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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002524
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】粉体含有化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20231228BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231228BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20231228BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/25
A61K8/29
A61K8/27
A61K8/73
A61K8/37
A61Q1/12
A61Q1/10
A61Q1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101761
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100136696
【弁理士】
【氏名又は名称】時岡 恭平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB082
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB282
4C083AB352
4C083AB381
4C083AB382
4C083AB432
4C083AB472
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC371
4C083AC372
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC402
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC512
4C083AC582
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC812
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC862
4C083AC901
4C083AC902
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD211
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD331
4C083AD332
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB07
4C083CC12
4C083CC14
4C083DD17
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF04
(57)【要約】
【課題】粉体の分散性を向上するとともに、肌への付着性に優れる粉体含有化粧料を提供することを目的とする。また、粉体含有化粧料の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の粉体含有化粧料は、次の成分(A)~(D):(A)ジェミニ型界面活性剤;(B)タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上の粉体;(C)油剤;および、(D)多糖類、を含有する。粉体含有化粧料の製造方法は、成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製する工程、前記混合物スラリーを成型する工程、および、前記混合物スラリーから、前記水性溶媒を除去する工程、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(D):
(A)ジェミニ型界面活性剤;
(B)タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上の粉体;
(C)油剤;および、
(D)多糖類、
を含有する、粉体含有化粧料。
【請求項2】
成分(A)の少なくとも1種が、次の成分(A1)~(A3):
(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル;
(A2)式(1):
【化1】
[式中、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、ここで、RおよびRの少なくとも1つは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基であり;および、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のヒドロキシアルキル基である。]
で表される化合物;および、
(A3)式(I): X-Y-X (I)
[式中、Xは、それぞれ独立して、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基とカルボニル基とからなる炭素数10~20のアシル基と、該アシル基とアミノ基を介して結合するアミノ酸とを有する、N-アシルアミノ酸残基であり;および、Yは、2つのXを連結するスペーサーである。]
で表される化合物、またはその塩、
からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の粉体含有化粧料。
【請求項3】
成分(D)が、25℃で粉末状の多糖類である、請求項1または2に記載の粉体含有化粧料。
【請求項4】
成分(D)の少なくとも1種が、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択されるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項5】
成分(C)の少なくとも1種が、25℃において固形状またはペースト状の油剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項6】
成分(C)の含有量が、粉体含有化粧料全量に対して、1質量%以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項7】
成分(B)が、タルクと、酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上とにより構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項8】
成分(A)の少なくとも1種が、(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、または、(A2)式(1)で表される化合物、である、請求項1~7のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項9】
成分(A)と成分(B)の比率((A)/(B))が、質量比で、0.001~0.5である、請求項1~8のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項10】
成分(A)と成分(D)の比率((A)/(D))が、質量比で、1~1000である、請求項1~9のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項11】
粉体含有化粧料が、成分(E)として、25℃で液状の1価または2価のアルコールをさらに含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項12】
粉体含有化粧料が、固形の化粧料である、請求項1~11のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項13】
成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製し、該混合物スラリーを成型した後、該水性溶媒を除去して得られる、請求項1~12のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料の製造方法であって、
成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製する工程、
前記混合物スラリーを成型する工程、および、
前記混合物スラリーから、前記水性溶媒を除去する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を安定に配合することができる粉体含有化粧料、および、該粉体含有化粧料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料組成物中に粉体を含有する粉体含有化粧料が知られている。粉体含有化粧料は、化粧料を肌に塗布した後に肌に粉体が付着することで、化粧膜が形成され、粉体による化粧効果を発現することができる。そのため、粉体を含有する化粧料において、肌に粉体が付着すること(優れた付着性)は非常に重要である。粉体含有化粧料の粉体として、特に、タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛は、肌への付着性を高める作用があり、汎用されている。しかしながら、これらの粉体を用いると、肌への付着性がよくなるのと引き換えに、粉体が凝集しやすくなるといった問題が生じる場合があり、粉体を均一な分散状態にすることは容易ではない。
【0003】
また、粉体含有化粧料の一形態として、粉体含有化粧料が成形されて固形となった固形粉末化粧料が知られている。固形粉末化粧料は、一般に、金皿等の容器に粉末状の組成物を充填した後、加圧する乾式成形法、および、粉体と油剤を含む化粧料基材に揮発性成分を添加してスラリー状にして、金皿等の容器に充填した後、溶媒を除去して成形する湿式成形法などによって、成形され得る。このうち、湿式成形法で得られる固形粉末化粧料は、スラリーから溶媒が除去される際に、粉体がより高密度に充填されるため、なめらかな使用感を得ることができる。しかしながら、粉体が凝集したままであると、外観上の異物として確認される凝集物の発生(黒ブツとも称される)、使用感の悪化(粉によるキシミ感)、化粧料の外観色と塗布色とが異なる現象、化粧膜に色ムラが発生する現象等の問題を引き起こしてしまう。特に、タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛などの粉体を配合し、さらに、付着性を高めるために、界面活性剤、および油剤を配合すると、凝集がより生じやすくなり、肌への付着性を向上させながら、粉体凝集を抑制し、これらを両立するのは容易ではなかった。
【0004】
そこで、粉体を安定的に分散させる手法として、表面処理剤の検討や、界面活性剤または水溶性高分子の配合、粘土鉱物の添加など、様々な分散技術が開発されている。例えば、特許文献1および2では、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルを配合して、粉体を分散させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-164462号公報
【特許文献2】特開2021-063041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の事情の下、本出願人は、粉体の分散性および肌への付着性を向上するために、ジェミニ型界面活性剤に着目して、粉体含有化粧料の製剤の開発を行い、本発明に至った。
【0007】
本発明は、粉体の分散性を向上するとともに、肌への付着性に優れる粉体含有化粧料を提供することを目的とする。本発明はまた、粉体含有化粧料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、下記に挙げる実施態様を含むが、これらに限定されるものではない。
[1] 次の成分(A)~(D):
(A)ジェミニ型界面活性剤;
(B)タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上の粉体;
(C)油剤;および、
(D)多糖類、
を含有する、粉体含有化粧料。
[2] 成分(A)の少なくとも1種が、次の成分(A1)~(A3):
(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル;
(A2)式(1):
【化1】
[式中、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、ここで、RおよびRの少なくとも1つは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基であり;および、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のヒドロキシアルキル基である。]
で表される化合物;
(A3)式(I): X-Y-X (I)
[式中、Xは、それぞれ独立して、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基とカルボニル基とからなる炭素数10~20のアシル基と、該アシル基とアミノ基を介して結合するアミノ酸とを有する、N-アシルアミノ酸残基であり;および、Yは、2つのXを連結するスペーサーである。]
で表される化合物、またはその塩、
からなる群から選択されるものである、[1]に記載の粉体含有化粧料。
[3] 成分(D)が、25℃で粉末状の多糖類である、[1]または[2]に記載の粉体含有化粧料。
[4] 成分(D)の少なくとも1種が、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択されるものである、[1]~[3]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[5] 成分(C)の少なくとも1種が、25℃において固形状またはペースト状の油剤である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[6] 成分(C)の含有量が、粉体含有化粧料全量に対して、1質量%以上である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[7] 成分(B)が、タルクと、酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上とにより構成される、[1]~[6]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[8] 成分(A)の少なくとも1種が、(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、または、(A2)式(1)で表される化合物、である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[9] 成分(A)と成分(B)の比率((A)/(B))が、質量比で、0.001~0.5である、[1]~[8]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[10] 成分(A)と成分(D)の比率((A)/(D))が、質量比で、1~1000である、[1]~[9]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[11] 粉体含有化粧料が、成分(E)として、25℃で液状の1価または2価のアルコールをさらに含有する、[1]~[10]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[12] 粉体含有化粧料が、固形の化粧料である、[1]~[11]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[13] 成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製し、該混合物スラリーを成型した後、該水性溶媒を除去して得られる、[1]~[12]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料。
[14] [1]~[12]のいずれか1項に記載の粉体含有化粧料の製造方法であって、
成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製する工程、
前記混合物スラリーを成型する工程、および、
前記混合物スラリーから、前記水性溶媒を除去する工程、
を含む、方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、粉体の分散性を向上するとともに、肌への付着性に優れた粉体含有化粧料を提供することができる。本発明はまた、粉体の分散性を向上するとともに、肌への付着性に優れた粉体含有化粧料の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粉体含有化粧料は、次の成分(A)~(D):
(A)ジェミニ型界面活性剤;
(B)タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上の粉体;
(C)油剤;および、
(D)多糖類、
を含有する。
なお、本明細書中、(A)~(D)および(E)は成分の標識記号であり、以下、成分(A)などともいう。
【0011】
成分(A)
成分(A)は、ジェミニ型界面活性剤である。ジェミニ型界面活性剤とは、一疎水鎖一親水基型の界面活性剤2分子が、スペーサーを介して共有結合により結合した構造を有する界面活性剤である。すなわち、ジェミニ型界面活性剤は、(界面活性剤部分)-(スペーサー部分)-(界面活性剤部分)、の構造を有する。ジェミニ型界面活性剤は、多くの場合、1つの分子において、同界面活性剤部分の界面張力低下能と比べ、より高い界面張力低下能を有する(または低CMCである)ことが知られており、高い界面活性を得ることができる。ジェミニ型界面活性剤は、粉体を肌に付着しやすくし、化粧持ちのよい粉体含有化粧料を得ることができる。また、ジェミニ型界面活性剤によって、粉体を含む成分を良好に固形に成型することができるため、耐衝撃性のよい粉体含有化粧料を得ることができる。ジェミニ型界面活性剤の詳細については、例えば、オレオサイエンス、2011年、11巻、9号、p.313-318、「Gemini Surfactant:その化学構造と界面物性」を参照することができる。ジェミニ型界面活性剤としては、これに限定されるものではないが、例えば、下記の成分(A1)~(A3)の物質を挙げることができる。
【0012】
成分(A)は、その少なくとも1種が、次の成分(A1)~(A3):
(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル;
(A2)式(1)で表される化合物;および、
(A3)式(I)で表される化合物、またはその塩、
からなる群から選択されるものであることが好ましい。
以下、成分(A1)~(A3)について説明する。
【0013】
成分(A1)
成分(A1)のベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、分子内にホスホコリンと類似の構造(-N(CH(CH-O-PO -)の基(以下「ホスホリルコリン類似基」と称する)を有する化合物であり、具体的には、下記の構造を有する化合物である。
2245-N(CH-(CH-O-PO -C1837
【0014】
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、上記の構造で示すように、疎水基としてのベヘニル基が第4級アンモニウム塩と結合した界面活性剤部分(第1の一疎水鎖一親水基型界面活性剤に相当)と、疎水基としてのステアリル基がリン酸基と結合した界面活性剤部分(第2の一疎水鎖一親水基型界面活性剤に相当)とが、スペーサーであるアルキレン鎖を介して共有結合している。そのため、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、ジェミニ型界面活性剤となる。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、カチオン性部分とアニオン性部分との両方を含むため、両性界面活性剤として分類される。ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、このような構造を有するために、肌への親和性が非常に高い一方、比較的分子量が小さいために、粉体と相互作用して粉体表面に結合しやすくなり、粉体を凝集させにくくし、粉体を良好に組成物中に分散できると考えられる。また、粉体の分散性が向上することによって、粉体が肌に均一に付着することを助ける役割を担うと考えられる。ゆえに、成分(A1)を粉体含有化粧料に配合した場合、粉体が肌に付着しやすく(化粧膜が形成しやすく)、また、粉きしみのなさや、粉感のなさ(化粧膜の均一性)といった効果が得られやすい。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、親油性、親水性のバランスがよく、撥水・撥油性に優れるため、化粧持ちの向上といった効果を付与することができる。ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、市販のものを用いることができる。
【0015】
成分(A2)
成分(A2)は、式(1):
【化2】
[式中、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、ここで、RおよびRの少なくとも1つは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基であり;および、RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のヒドロキシアルキル基である。]
で表される化合物(以下、本明細書において「PC化合物」と称する)である。
【0016】
成分(A2)は、上記の構造で示すように、ホスホリルコリン類似基を含有する化合物(PC化合物)である。PC化合物は、上記の構造で示すように、疎水基としてのRが第4級アンモニウム塩と結合した界面活性剤部分(第1の一疎水鎖一親水基型界面活性剤に相当)と、疎水基としてのRがリン酸基と結合した界面活性剤部分(第2の一疎水鎖一親水基型界面活性剤に相当)とが、スペーサーであるアルキレン鎖を介して共有結合している。そのため、PC化合物は、ジェミニ型界面活性剤となる。
【0017】
式(1)において、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、すなわち、Rは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基、または炭素数12~22の飽和炭化水素基である。また、Rは、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基であり、すなわち、Rは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基、または炭素数12~22の飽和炭化水素基である。ただし、RおよびRの少なくとも1つは、炭素数12~22の不飽和炭化水素基である。すなわち、RおよびRの両方が、炭素数12~22の不飽和炭化水素基であるか、Rが炭素数12~22の不飽和炭化水素基であって、Rが炭素数12~22の飽和炭化水素基であるか、あるいは、Rが炭素数12~22の飽和炭化水素基であって、Rが炭素数12~22の不飽和炭化水素基である。RおよびRの両方が、炭素数12~22の飽和炭化水素基となる場合はない。
【0018】
およびRは、そのうちの一方が炭素数12~22の不飽和炭化水素基であり、他方が炭素数12~22の飽和炭化水素基であることが好ましい一態様である。この場合、粉体の分散性がより向上し得る。すなわち、Rが炭素数12~22の不飽和炭化水素基であって、Rが炭素数12~22の飽和炭化水素基であるか、あるいは、Rが炭素数12~22の飽和炭化水素基であって、Rが炭素数12~22の不飽和炭化水素基であることが好ましい。さらに、Rが炭素数12~22の不飽和炭化水素基であって、Rが炭素数12~22の飽和炭化水素基であることがより好ましい。その場合、粉体の分散性がより高まりやすくなる。また、RおよびRのうちの一方が、炭素数18の不飽和炭化水素基であり、RおよびRのうちの他方が、炭素数22の飽和炭化水素基であることも好ましい。なお、飽和炭化水素基は、例えば、アルキル基と呼ばれるものであってよい。不飽和炭化水素基は、例えば、アルケニル基またはアルキニル基と呼ばれるものであってよい。
【0019】
およびRにおいて(以下のRおよびRについての説明は、特に断りのない限り、それぞれ独立して適用される)、炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、および環状のいずれであってもよい。RおよびRの不飽和または飽和炭化水素基は、好ましくは、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基であり、より好ましくは、直鎖状の炭化水素基である。特に、RおよびRの両方が、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基であることが好ましく、その両方が直鎖状の炭化水素基であることがより好ましい。炭素数12~22の不飽和または飽和炭化水素基は、1価の脂肪族アルコールからヒドロキシ基(OH)を除いた構造を有する炭化水素基(例えば、脂肪族の、アルキル基、アルケニル基)であってもよい。RおよびRにおける飽和炭化水素基の炭素数は、16~22がより好ましく、18~22がさらに好ましい。
【0020】
およびRにおける炭素数12~22の飽和炭化水素基としては、これに限定されるものではないが、直鎖状のものとしては、例えば、ラウリル基(炭素数12;ドデシル基とも呼ばれる)、ミリスチル基(炭素数14;テトラデシル基とも呼ばれる)、セチル基(炭素数16;ヘキサデシル基とも呼ばれる)、ステアリル基(炭素数18;オクタデシル基とも呼ばれる)、ベヘニル基(炭素数22;ドコシル基とも呼ばれる)などが挙げられ、分岐鎖状のものとしては、例えば、イソステアリル基(炭素数18;16-メチルヘプタデシル基とも呼ばれる)などが挙げられる。このうち、ステアリル基、およびベヘニル基が好ましく、ベヘニル基がより好ましい。
【0021】
およびRにおける炭素数12~22の不飽和炭化水素基において、不飽和は、炭素-炭素二重結合の不飽和、および炭素-炭素三重結合の不飽和のいずれであってもよいが、好ましくは、炭素-炭素二重結合の不飽和である。炭素-炭素二重結合を有する不飽和炭化水素基は、アルケニル基とも称せられる。不飽和の数は、1~3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。不飽和の数が2つ以上の場合、その全てが、炭素-炭素二重結合の不飽和であることが好ましい。RおよびRにおける不飽和炭化水素基の炭素数は、16~22が好ましい。
【0022】
式(1)において、RおよびRの少なくとも1つが、炭素数18の不飽和炭化水素基であることがより好ましい。その場合、粉体の分散性をさらに向上することができる。さらに、RおよびRの少なくとも1つが、炭素-炭素二重結合を1~3個有する炭素数18の不飽和炭化水素基であることがさらに好ましい。それにより、粉体の分散性をさらに向上することができる。炭素-炭素二重結合の数は1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。炭素数18の不飽和炭化水素基としては、例えば、オレイル基、エライジル基、リノレイル基(多価不飽和)、リノレリル基(多価不飽和)などが挙げられ、このうち、オレイル基がより好ましい。オレイル基は、シス-9-オクタデセニル基とも呼ばれる。
【0023】
およびRは、例えば、そのうちの一方が、オレイル基であり、他方が、オレイル基、ベヘニル基、およびステアリル基からなる群から選択される1つの基であることが好ましい一態様である。
【0024】
およびRの具体的な組み合わせとしては、これに限定されるものではないが、(R、R)と表記した場合、例えば、(オレイル基、ベヘニル基)、(ベヘニル基、オレイル基)、(オレイル基、ステアリル基)、(ステアリル基、オレイル基)、(オレイル基、オレイル基)、などの組み合わせを挙げることができる。このうち、(オレイル基、ベヘニル基)、(ベヘニル基、オレイル基)の組み合わせがより好ましい。
【0025】
式(1)において、RおよびR(以下のRおよびRについての説明は、特に断りのない限り、それぞれ独立して適用される)は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基、および炭素数1~6のヒドロキシアルキル基からなる群から選択される。ここで、前記アルキル、ヒドロキシアルキルにおけるアルキル部分は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。好ましくは、アルキル部分は、直鎖状である。RおよびRは、同一でも異なっていてもよいが、PC化合物の製造の観点から、同一であることがより好ましい。
【0026】
およびRにおいて、炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、直鎖状では、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、が挙げられ、分岐鎖状では、イソプロピル基、イソブチル基、などが挙げられる。炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基(-CH)、エチル基(-CHCH)、プロピル基(-CHCHCH)が好ましく、メチル基(-CH)がより好ましい。
【0027】
およびRにおいて、炭素数1~6のヒドロキシアルキル基とは、1個以上のヒドロキシ基で置換されたアルキル基であり、末端にヒドロキシ基(1~3個であり、好ましくは1~2個、より好ましくは1個) を有するヒドロキシアルキル基が好ましい。炭素数1~6のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、などが挙げられる。炭素数1~6のヒドロキシアルキル基としては、末端に1個のヒドロキシ基を有するヒドロキシエチル基(-CHCHOH)がより好ましい。
【0028】
およびRは、それぞれ独立して、メチル基またはヒドロキシエチル基であることが好ましい。その場合、粉体の分散性をより向上することができる。さらに、RおよびRは、その両方がメチル基であるか、あるいは、その両方がヒドロキシエチル基(特に-CHCHOH)であることがさらに好ましい。
【0029】
式(1)の化合物では、RおよびRの少なくとも1つが、炭素数18の不飽和炭化水素基であり、RおよびRが、それぞれ独立して、メチル基またはヒドロキシエチル基(特に-CHCHOH)であることが好ましい一態様である。その場合、粉体の分散性をより向上することができる。
【0030】
、R、RおよびRの具体的な組み合わせとしては、これに限定されるものではないが、(R、R、R、R)と表記した場合、例えば、(オレイル基、メチル基、メチル基、ベヘニル基)、(ベヘニル基、メチル基、メチル基、オレイル基)、(オレイル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、ベヘニル基)、(ベヘニル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、オレイル基)、などの組み合わせを挙げることができる。
【0031】
PC化合物の製造方法を説明する。式(1)で表されるPC化合物は、式(2)で表されるアルコールと2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(以下、COPと略す)を有機塩基の存在下で反応させて得られる中間体を、式(3)で表される三級アミンにより開環することで得られる。得られるPC化合物は、再沈殿、再結晶等の一般的な精製方法により精製することができる。
【化3】
【化4】
式(2)および式(3)のR、R、RおよびRは、式(1)のものと同義である。
【0032】
式(1)で表されるPC化合物は、分子内にホスホリルコリンと類似の構造(-N(CH(CH-O-PO -)の基(以下「ホスホリルコリン類似基」と称する)を有する化合物である。ホスホリルコリン類似基は、極性基であり、親水基として機能する。また、ホスホリルコリン類似基の両側にはそれぞれ、不飽和または飽和の炭化水素基が結合しており、この炭化水素基が疎水基として機能する。そのため、PC化合物は、界面活性能も有し得る。PC化合物は、このような構造および特性を有するために、肌への親和性が非常に高い一方、比較的分子量が小さいために、粉体と相互作用して粉体表面に結合しやすくなり、粉体を凝集させにくくし、粉体を良好に組成物中に分散できると考えられる。また、粉体の分散性が向上することによって、粉体が肌に均一に付着することを助ける役割を担うとも考えられる。ゆえに、成分(A2)を粉体含有化粧料に配合した場合、粉体が肌に付着しやすく(化粧膜が形成しやすく)、また、粉きしみのなさや、粉感のなさ(化粧膜の均一性)といった効果が得られやすい。さらに、式(1)の化合物は、分子内の疎水性部分に不飽和結合が存在することで成分(C)の油剤への溶解性が高まり、成分(B)に均一に結合しやすくなることによって、粉体の分散性をより向上し、また、付着性の向上および化粧持ちの向上がなされるものである。また、PC化合物は、親油性、親水性のバランスがよく、撥水・撥油性に優れるため、化粧持ちの向上といった効果を付与することができる。
【0033】
成分(A2)は、単一の式(1)の化合物からなるものであってもよいし、構造の異なる複数の式(1)の化合物を含むもの(混合物)であってもよい。
【0034】
なお、成分(A1)のベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、上記の式(1)において、Rがベヘニル基、RおよびRがともにメチル基、およびRがステアリル基の化合物であるが、RおよびRの両方が飽和炭化水素基であるため、成分(A2)には含まれない。
【0035】
成分(A3)
成分(A3)は、式(I): X-Y-X (I)
[式中、Xは、それぞれ独立して、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基とカルボニル基とからなる炭素数10~20のアシル基と、該アシル基とアミノ基を介して結合するアミノ酸とを有する、N-アシルアミノ酸残基であり;および、Yは、2つのXを連結するスペーサーである。]
で表される化合物、またはその塩、である(以下、塩も含めて、N-アシルアミノ酸誘導体化合物と称することもある)。
【0036】
成分(A3)は、Xが界面活性剤部分となり、Yがスペーサーとなったジェミニ型界面活性剤である。N-アシルアミノ酸残基内においては、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基が疎水性部分となり、アミノ酸が親水性部分となる。N-アシルアミノ酸誘導体化合物は、アミノ酸由来の部分を有しており、アミノ酸は生体への親和性が高いため、肌に付着しやすく、化粧持ちのよい粉体含有化粧料を得ることができる。また、界面活性剤部分の鎖状炭化水素基によって、粉体を良好に分散させることができる。
【0037】
成分(A3)において、界面活性剤部分であるXは、2つ存在する。2つのXは、同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。Xは、N-アシルアミノ酸の残基により構成される。N-アシルアミノ酸は、アミノ酸のアミノ基にカルボニル基を介して炭化水素基が結合した化合物である。この結合は、アシル基と、アミノ酸のアミノ基とのアミド結合によって形成され得る。N-アシルアミノ酸誘導体化合物においては、N-アシルアミノ酸が、飽和または不飽和の鎖状炭化水素基とカルボニル基とからなる炭素数10~20のアシル基と、該アシル基とアミノ基を介して結合するアミノ酸とにより構成される。アシル基は、炭素数が10~20であり、したがって、アシル基中の炭化水素基の炭素数は、カルボニル分の炭素1つが差し引かれて、9~19である。そのため、N-アシルアミノ酸は、炭素数9~19の飽和または不飽和の鎖状炭化水素基と、カルボニル基とからなるアシル基(ここで、アシル基全体で炭素数10~20である)、であるとも言える。
【0038】
式(I)のXにおける飽和または不飽和の鎖状炭化水素基は、直鎖状または分岐鎖状のいずれであってもよいが、好ましくは直鎖状である。飽和または不飽和の炭化水素基は、1価の脂肪族アルコールからヒドロキシ基(OH)を除いた構造を有する炭化水素基(例えば、脂肪族の、アルキル基、アルケニル基)であってもよい。炭化水素基の炭素数は、11~17がより好ましく、11~15がさらに好ましい。ここで、炭化水素基の炭素数には、カルボニル基の炭素(1個)が含まれない。飽和または不飽和の鎖状炭化水素基は、飽和炭化水素基であることが好ましい。一方、不飽和炭化水素の場合、不飽和は、炭素-炭素二重結合の不飽和、および炭素-炭素三重結合の不飽和のいずれであってもよいが、好ましくは、炭素-炭素二重結合の不飽和である。炭素-炭素二重結合を有する不飽和炭化水素基は、アルケニル基とも称せられる。不飽和の数は、1~3個が好ましく、1個または2個がより好ましく、1個がさらに好ましい。不飽和の数が2つ以上の場合、その全てが、炭素-炭素二重結合の不飽和であることが好ましい。
【0039】
飽和または不飽和の鎖状炭化水素基(R)はカルボニル基(C=O)と結合してアシル基(R-C(=O)-)を形成する。このアシル基が、N-アシルアミノ酸中のアミノ酸部分のアミノ基(-NH、または-NH-)とアミド結合(-C(=O)-N-)を形成して、N-アシルアミノ酸を形成する。この炭化水素基が結合したアシル基は、アルキロイル基と称されることもある。該アシル基の炭素数は、10~20であってよく、12~18がより好ましく、12~16がさらに好ましい。ここで、該アシル基の炭素数は、カルボニル基の炭素を含めた数であり、すなわち、炭化水素基の炭素数とカルボニル基の炭素数の合計の数である。該アシル基の炭素数は、12であることがさらに好ましい。言い換えると、該アシル基は、ラウロイル基(飽和アルキル基を有する炭素数12のアシル基;ウンデシルカルボニル基)であることが好ましい。
【0040】
式(I)のXにおけるN-アシルアミノ酸の構成要素となるアミノ酸としては、これに限定されるものではないが、例えば、リジン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、プロリン、セリンなどが挙げられる。
【0041】
式(I)においては、N-アシルアミノ酸が、N-アシルアミノ酸の中の官能基(例えば、カルボキシ基、アミノ基など)の1つが、スペーサーのYと結合しており、N-アシルアミノ酸残基となって、存在している。
【0042】
スペーサーであるYは、上記2つのX(界面活性剤部分)を連結する化学構造を有する。Yは、Xと結合する官能基を少なくとも2つ有することが好ましい。式(I)のXとYとの結合は、共有結合であり、好ましくは、アミド結合である。Yは、有機化合物により構成され得る。Yを構成する化合物は、例えば、カルボン酸を2つ以上有する化合物、アミノ基を2つ以上有する化合物、などが挙げられる。また、Yは、アミノ酸で構成されてもよい。Yを構成する化合物として、例えば、2つのカルボン酸を有するものとして、例えば、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられ、例えば、2つのアミノ基を有する化合物として、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどが挙げられる。また、Yを構成するアミノ酸として、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸などが挙げられる。
【0043】
成分(A3)のN-アシルアミノ酸誘導体化合物は、好ましくは、界面活性剤部分のN-アシルアミノ酸におけるアシル基が、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基からなる群から選ばれ、アミノ酸が、リジン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、プロリン、セリンからなる群から選ばれ、また、スペーサーが、セバシン酸、リジン、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジンからなる群から選ばれた、化合物である。
【0044】
N-アシルアミノ酸誘導体化合物は、塩の形態であってもよい。塩は、化粧品として許容される塩であることが好ましい。塩は、薬学的に許容される塩であってもよい。塩は、カルボン酸とアルカリ金属とにより形成される塩が好ましい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。
【0045】
成分(A3)の好ましい具体例としては、セバコイルビスラウラミドリシンおよびその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、ジラウロイルグルタミン酸リシンおよびその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)などが挙げられる。これらは商業的に入手可能であるか、あるいは既知の方法により製造可能である。
【0046】
特に、セバコイルビスラウラミドリシン2Naは、ラウリン酸とL-リジンおよびセバシン酸に由来する化合物であり、下記の構造を有する(なお、リジンはリシンとも称される)。
【化5】
【0047】
また、ジラウロイルグルタミン酸リシンおよびジラウロイルグルタミン酸リシンNaは、ラウリン酸とグルタミン酸およびリジンに由来する化合物であり、下記の構造を有する。
【化6】
【0048】
成分(A3)は、単一の化合物であってもよいし、複数の化合物を含むもの(混合物)であってもよい。
【0049】
成分(A)は、上記の成分(A1)、成分(A2)および成分(A3)のうちの1つであってもよいし、それらのうちの2つであってもよいし、それら3つ全部であってもよい。成分(A)の少なくとも1種が、(A1)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、または、(A2)式(1)で表される化合物、であることが好ましい。それにより、付着性がより高い粉体含有化粧料を得ることができる。
【0050】
本組成物における成分(A)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、粉体分散性の観点および良好な使用感を得る観点から、本組成物全量(100質量%)に対して、例えば、0.0001~10質量%とすることができ、好ましくは0.001~7質量%とすることができる。さらに、成分(A)の含有量は、本組成物全量に対して、0.005~5質量%であることが好ましく、0.01~3質量%であることがより好ましく、0.05~2質量%であることがさらに好ましい。その場合、粉体分散性の高い組成物を得ることができる。
【0051】
成分(B)
成分(B)は、タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上の粉体である。タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛は、肌への付着性に優れており、付着性の良好な粉体含有化粧料を得ることができる。また、これらの粉体は、メーキャップ効果、紫外線散乱効果、使用性の向上などの粉体含有化粧料としての機能を高めることができる。
【0052】
タルクは、化粧料に通常使用されるタルクであれば、球状、板状、針状、不定形状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず用いることができる。タルクは、例えば、平均粒子径2~30μmのものを用いることができる。本明細書において、粉体の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した体積平均粒子径である。
【0053】
酸化チタンは、化粧料に通常使用される酸化チタンであれば、球状、板状、針状、不定形状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等に特に限定されずに用いることができる。また、酸化チタンは、ルチル型であっても、アナターゼ型であってもよい。酸化チタンは、例えば、平均粒子径10~1,000nmのものを用いることができる。
【0054】
酸化亜鉛は、化粧料に通常使用される酸化亜鉛であれば、球状、板状、針状、不定形状等の形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等に特に限定されずに用いることができる。酸化亜鉛は、例えば、平均粒子径10~5,000nmのものを用いることができる。
【0055】
タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛の粉体は、それぞれ、表面が表面処理剤によって処理された粉体(表面処理粉体)であってもよい。表面処理によって、粉体の凝集をより抑制することができる。また、表面処理によって、粉体の付着性を高めることができる。さらに、表面処理によって、粉体の機能性(使用感等)を高めることも可能である。表面処理としては、例えば、フッ素化合物処理、シリカ処理、アルミナ処理、水酸化アルミニウム処理、シリコーン処理(メチコン処理、ハイドロゲンジメチコン処理など)、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、界面活性剤処理、レシチン処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などが挙げられる。これらの表面処理は、単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0056】
また、タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛の粉体は、上記の成分(A)によって処理されていてもよい。その場合、粉体の付着性がより向上し得る。成分(A)で処理された粉体としては、例えば、ジラウロイルグルタミン酸リシンNaで処理された酸化チタンなどを挙げることができる。
【0057】
表面処理剤の処理量は未処理粉体に対して0.1~30質量%が好ましく、より好ましくは0.5~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0058】
表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒に表面処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、いずれか1つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0059】
タルク、酸化チタン、および酸化亜鉛の粉体は、それぞれ、それらの1つが母材(本体)となって他の材料がその母材に被覆された被覆粉体であってもよい。被覆によって、粉体の凝集をより抑制することができる。また、被覆によって、粉体の付着性を高めることができる。さらに、被覆によって、粉体の機能性(使用感等)を高めることも可能である。
【0060】
成分(B)のタルク、酸化チタン、および酸化亜鉛は、1種で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の粉体を配合する場合、それぞれの粉体の特徴を兼ね備えた粉体含有化粧料を得ることができる。例えば、メーキャップ効果、紫外線防止効果、使用感などを高めることができる。
【0061】
成分(B)は、タルクと、酸化チタンおよび酸化亜鉛からなる群から選択される1種以上により構成されることが好ましい。すなわち、成分(B)の粉体は、タルクを必ず含むことが好ましく、成分(B)は、タルクおよび酸化チタンの2種で構成されるか、タルクおよび酸化亜鉛の2種で構成されるか、あるいは、タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛の3種で構成されることが好ましい。この場合、付着性の高い粉体含有化粧料をさらに得やすくすることができる。さらに、付着性向上の観点から、成分(B)は、タルクおよび酸化チタンを必ず含むことがより好ましく、成分(B)は、タルクおよび酸化チタンの2種で構成されるか、タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛の3種で構成されることがさらに好ましい。
【0062】
本粉体含有化粧料において、成分(B)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、0.1~99質量%であることが好ましい。成分(B)の含有量が0.1質量%以上になることで、粉体による上記効果をより高めることができる。また、成分(B)の含有量が99質量%以下になることで、粉体が安定に配合された組成物を容易に得ることができる。成分(B)の含有量は、0.5~95質量%であることがより好ましく、1~90質量%であることがさらに好ましい。なお、表面処理された粉体(タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛)の場合、それぞれの含有量は、表面処理成分を含めた量であり、同様に、被覆された粉体(タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛)の場合、それぞれの含有量は、被覆成分を含めた量である。ただし、成分(A)で処理された粉体(タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛)の場合は、その粉体全量のうち処理成分(A)を除いた量を成分(B)の量とし、処理成分(A)は成分(A)の量として計算する。すなわち、粉体処理に用いられた処理成分(A)は、成分(B)の含有量には含まれず、成分(A)の含有量に含まれる。このように粉体含有化粧料中の成分(A)の総量が計算される。
【0063】
さらに、成分(B)の含有量においては、タルクを含む場合、タルクの含有量は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、1~60質量%が好ましく、2~50質量%がより好ましく、5~40質量%がさらに好ましい。また、酸化チタンを含む場合、酸化チタンの含有量は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%がさらに好ましい。また、酸化亜鉛を含む場合、酸化亜鉛の含有量は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、1~50質量%が好ましく、2~40質量%がより好ましく、5~30質量%がさらに好ましい。
【0064】
また、成分(B)が、タルクと酸化チタンを含む場合、タルクと酸化チタンの比率(タルク:酸化チタン)は、質量比で、1:0.01~100であることが好ましく、1:0.05~50であることがより好ましく、1:0.1~10であることがさらに好ましい。また、成分(B)が、タルクと酸化亜鉛を含む場合、タルクと酸化亜鉛の比率(タルク:酸化亜鉛)は、質量比で、1:0.01~100であることが好ましく、1:0.05~50であることがより好ましく、1:0.1~10であることがさらに好ましい。
【0065】
ここで、成分(A)と成分(B)との比率((A)/(B))は、質量比で、0.001~0.5であることが好ましい。成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の比がこの範囲になることで、成分(A)が成分(B)の粉体の表面に良好に結合することができ、粉体の分散性をさらに向上させることができる。粉体の効果をより得る観点および使用感の観点から、この比率((A)/(B))は、0.001~0.3が好ましく、0.002~0.2がより好ましい。なお、上述したように、成分(A)で処理された成分(B)を用いた場合は、その原料(材料)のうちの処理成分(A)の量が成分(A)の量に加えられ、処理成分(A)を除いた残りの量が成分(B)の量に加えられて、この比率((A)/(B))が計算される。
【0066】
成分(C)
成分(C)は、油剤である。油剤としては、化粧料に通常使用される油剤であれば、特に限定されるものでなく、液状、ペースト状、半固形状、固形状等の種々の油剤を用いることができる。油剤により、粉体の付着性、および化粧持ちを高めることができる。また、耐衝撃性を向上することができる。
【0067】
成分(C)の油剤としては、例えば、天然または合成の、エステル油、炭化水素油、シリコーン油、高級アルコール、脂肪酸などを挙げることができる。油剤は、1種で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、油剤は、2種以上で用いられる。
【0068】
成分(C)の少なくとも1種が、25℃において固形状またはペースト状の油剤であることが好ましい。それにより、粉体の付着性、化粧持ち、耐衝撃性をさらに向上することができる。
【0069】
25℃において固形状またはペースト状の油剤は、25℃で固形状の油剤(以下「油剤(C1)」という)、および、25℃でペースト状の油剤(以下「油剤(C2)」という)が含まれる。油剤(C2)において、ペースト状とは、液体とは異なるが、固体とも異なり不定形な状態、すなわち固体と液体の中間の状態を意味する(例えば、糊状、ワックス状、半練り状)。例えば、ペースト状は、B型粘度計による粘度測定によって、粘度が測定可能上限よりも高くて測定不能であるが、不定形な状態であってもよく、また、流動性を有する状態であってもよい。25℃でペースト状の油剤(C2)は、25℃で液状の油剤(以下「油剤(C3)」という)と、粘度の測定が可能かどうかで区別し得る。液状の油剤は粘度が高くなると、ペースト状に近づくが、本明細書においては、粘度の測定が可能であれば、液状と考え、粘度が測定限界を超えれば、ペースト状と考える。例えば、B型粘度計における粘度の測定上限は、測定機器やそのメーカーによっても異なるが、例えば、2,000,000mPa・sである。油剤(C2)は、融点が30℃以上61℃未満の油剤であることが好ましい。ペースト状は、半固形状と同義である。また、固形状とは、流動性がなく成型された形状を取り得る、固体の状態であることを意味する。本粉体含有化粧料では、25℃で固形状の油剤(C1)を配合してもよいし、25℃でペースト状の油剤(C2)を配合してもよいし、あるいは、その両方を配合してもよい。もちろん、本粉体含有化粧料は、25℃で液状の油剤を含んでもよく、液状の油剤は単独で、あるいは、25℃において固形状またはペースト状の油剤と組み合わせて用いてもよい。
【0070】
25℃で固形状の油剤(C1)としては、これに限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸グリセリル、キャンデリラロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコール、バチルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、水添パーム油、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、などを挙げることができる。これらは1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
25℃でペースト状の油剤(C2)としては、これに限定されるものではないが、例えば、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ワセリン、ステアリン酸水添ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ポリヒドロキシステアリン酸、シア脂、水添ヤシ油、水添ポリイソブテン(25℃においてペースト状のもの)、コメヌカ油脂肪酸フィトステリルなどを挙げることができる。これらは1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0072】
25℃で液状の油剤(C3)としては、これに限定されるものではないが、例えば、流動パラフィン(ミネラルオイルとも称される)、軽質流動イソパラフィン、ジカプリン酸PG、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、オレイン酸エチル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、スクワラン、オクチルドデカノール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、イソヘキサデカン、イソドデカン、ウンデカン、トリデカンホホバ油、マカデミアンナッツ油、メドウフォーム油、オリーブ油、イソステアリン酸、ジメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメリト酸トリトリデシル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスチル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ジカプリン酸プロピレングリコール、トコフェロール、リンゴ酸ジイソステアリル、高重合ジメチルポリシロキサン(100万CS)、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、水添ポリイソブテン、ポリシリコーン-15、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)などを挙げることができる。これらは1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0073】
成分(C)の含有量は、複数の油剤が含まれる場合は、その合計量を意味する。上記のように、成分(C)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、1質量%以上であることが好ましい。それにより、粉体の付着性、化粧持ち、耐衝撃性を向上することができる。成分(C)の含有量は、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。成分(C)の含有量の上限は、特に限定されるものではないが、粉体の機能が発揮するように、例えば、50質量%以下であってよく、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。上記の観点から、成分(C)の含有量は、本粉体含有化粧料全量に対して、1~50質量%が好ましく、3~40質量%がより好ましく、5~30質量%がさらに好ましい。
【0074】
また、粉体含有化粧料が、25℃において固形状またはペースト状の油剤を含む場合、25℃において固形状またはペースト状の油剤の含有量(複数ある場合はその合計量)は、本粉体含有化粧料全量に対して、0.001~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.3~5質量%がさらに好ましく、0.5~5質量%がよりさらに好ましい。
【0075】
成分(D)
成分(D)は、多糖類である。多糖類としては、化粧料に通常使用される多糖類であれば、特に限定されるものでなく、天然または合成の種々の多糖類を用いることができる。本粉体含有化粧料においては、多糖類の配合により、粉体の凝集を著しく抑制することができる。また、多糖類により、耐衝撃性も向上することができる。上述したように、これまで、粉体を含有する粉体含有化粧料においては、付着性のよい粉体(特に、タルク、酸化チタンおよび酸化亜鉛)を配合し、さらに、付着性を高めるために、界面活性剤、および油剤を配合すると、それと引き換えに、凝集がより生じやすくなり、肌への付着性を向上させながら、粉体凝集を抑制し、これらを両立するのは非常に難しかった。しかしながら、本発明では、多糖類を含有することで、肌への付着力、粉体分散性(凝集抑制)に優れ、化粧持ちがよく、なめらかな使用感に優れる粉体含有化粧料を得られることを見出したものである。
【0076】
多糖類は、通常、糖分子が高分子化した高分子物質(ポリマー)である。多糖類は、天然の多糖類が容易に入手できて好ましい。天然の多糖類は、植物由来(種子や樹液、果実等)、海藻由来、および微生物由来のものがあるが、いずれを用いてもよい。多糖類は、天然の多糖類を処理(例えば、水素添加、メチル化などのアルキル化等)したものであってもよい。多糖類は、化粧品原料として市販されているものを使用することができ、これらは、25℃において、固体の形態、または液体の形態であり得る。特に、多糖類は、固体の状態、特に、粉末状であることが好ましい。
【0077】
成分(D)は、25℃で粉末状の多糖類であることが好ましい。成分(D)の多糖類が粉末であると、粉体の凝集をさらに抑制することができる。粉体の凝集抑制のメカニズムとしては、ポリマー(高分子)である多糖類が粉体の表面と相互作用して立体障害を発生させて凝集を阻害する、または、粉体と粉体との間に別の粉末が入ることによって粉体の凝集を抑制するなどが推測されるが、このメカニズムに限定されるものではない。なお、粉末状とは、成分(D)である多糖類が、粉体含有化粧料の製造段階前での形態を意味しており、製造後の粉体含有化粧料中においては、粉末の形態でなくてよい。
【0078】
多糖類としては、ガム類やセルロース類を挙げることができ、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、グリコシルトレハロース・加水分解水添デンプン混合水溶液、寒天、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、グァーガム、などを挙げることができる。これらは1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記に挙げた多糖類のうち、25℃で粉末状のものが好ましい。それにより、粉体の凝集をさらに抑制することができる。なお、本明細書では、多糖類(例えば、キサンタンガム)を水などで膨潤させたもの(原料)は、膨潤前の純分が固形の粉末であれば、粉末の多糖類として分類されるものとする。また、本明細書では、液体状態のまま製造される多糖類は、例えば、グリコシルトレハロース・加水分解水添デンプン混合水溶液は、トウモロコシデンプンを酵素反応および水素添加して得られる物質であるが、多糖類の原料が(固体を介さずに)液体として得られるため、液体の多糖類として分類されるものとする。
【0079】
成分(D)の少なくとも1種が、キサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択されるものであることが好ましい。それにより、粉体の凝集をさらに効果的に抑制することができる。
【0080】
本粉体含有化粧料において、成分(D)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、0.0001~10質量%であることが好ましい。成分(D)の含有量が、この範囲になることで、多糖類による上記効果をより高めることができる。成分(D)の含有量は、0.005~0.5質量%であることがより好ましく、0.001~1質量%であることがさらに好ましい。なお、多糖類(例えば、キサンタンガム)を水などで膨潤させたもの(原料)は、その純分(固形分)が多糖類含有量となる。また、液体状態で製造された多糖類(例えば、グリコシルトレハロース・加水分解水添デンプン混合水溶液)は、その全量が多糖類含有量となる。なお、液体状態で製造された多糖類は、例えば、乾燥させると固体が生じ得るが、このときの固形分(乾燥後の固体の質量/乾燥前の液体状態の質量、の%比率)は、例えば、10~80質量%であってよい。
【0081】
ここで、成分(A)と成分(D)との比率((A)/(D))は、質量比で、1~1000であることが好ましい。成分(D)の含有量に対する成分(A)の含有量の比がこの範囲となることで、粉体の凝集をさらに効果的に抑制して、粉体の分散性をさらに向上させることができる。粉体の凝集を抑制する観点から、成分(A)と成分(D)との比率((A)/(D))は、質量比で、3~700が好ましく、5~500がより好ましい。
【0082】
成分(E)
本粉体含有化粧料は、成分(E)として、25℃で液状の1価または2価のアルコールをさらに含有することが好ましい。成分(E)は、25℃で液状の1価のアルコール、または25℃で液状の2価のアルコールである。25℃で液状の1価または2価のアルコールを配合することにより、成分(A)~(D)を安定して配合することができ、粉体の凝集をさらに抑制することができるとともに、粉体の付着性をさらに向上することができる。液状の1価または2価のアルコールは、水溶性のものであることが好ましい。本明細書において、アルコールの水溶性は、例えば、1質量%の濃度で水に溶解するものであってよく、さらに、5%、10%、30%、または50%(いずれも質量%)で水に溶解するものが好ましく、任意の比率で水と混和するものがより好ましい。1価または2価のアルコールは、炭素数が、好ましくは1~12であり、より好ましくは1~8であり、さらに好ましくは2~6である、アルコールであってよい。
【0083】
25℃で液状の1価のアルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、およびフェノキシエタノールなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。1価のアルコールとしては、エタノールがより好ましい。液状の2価のアルコールとしては、例えば、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびエチルヘキシルグリセリンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。成分(E)は、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびエタノールからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。液状の1価または2価のアルコールは、1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0084】
成分(E)の含有量(複数ある場合はその合計量)は、これに限定されるものではないが、粉体の付着性と分散性を両立させる観点から、本粉体含有化粧料全量(100質量%)に対して、0.1~20質量%であることが好ましく、0.5~10質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。
【0085】
粉体(成分(B)以外の粉体)
本粉体含有化粧料は、成分(B)以外の粉体を含有していてもよい。粉体の配合により、メーキャップ効果、紫外線散乱効果、使用性の向上などの効果をさらに付与することができる。
【0086】
粉体は、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等の形態により特に限定されない。粉体としては、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類などが挙げられる。
【0087】
無機粉体類としては、これに限定されるものではないが、金属酸化物粉体、炭酸金属塩粉体、ケイ酸金属塩粉体等を含み得て、無機粉体類の具体例としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)(タルク・ケイフッ化カリウム焼成物)、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、ガラス末、およびホウケイ酸などが挙げられる。
【0088】
光輝性粉体類としては、これに限定されるものではないが、化学処理された雲母を含み得て、光輝性粉体類の具体例としては、例えば、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン(酸化チタン被覆雲母)、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、およびアルミニウムパウダーなどが挙げられる。なお、本明細書において、酸化チタン処理粉体などの、成分(B)で処理された成分(B)以外の粉体は、粉体の本体が成分(B)でないため、成分(B)に含めないものとする。
【0089】
有機粉体類としては、例えば、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム等の金属石鹸粉体、N-アシルリジン、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルクロスポリマーなどの架橋型ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレン、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー、などが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0090】
有色顔料類としては、例えば、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青(グンジョウ)等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、例えば、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
【0091】
その他の成分
上記成分の他、本粉体含有化粧料は、粉末化粧料に通常使用される成分、例えば、界面活性剤、水、防腐剤、酸化防止剤、美容成分、抗菌剤、キレート剤(EDTAなど)等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0092】
固形粉末化粧料
粉体含有化粧料は、固形の化粧料であることが好ましい。粉末を含有する固形の化粧料は、固形粉末化粧料と称される。本明細書において、固形粉末化粧料とは、粉末を含有し、成形されて固形状となった化粧料を意味する。したがって、流動性のある液体の化粧料は固形粉末化粧料には含まれない。ただし、固形状態と同様に成形性を有するものであれば、湿潤した半固形状(例えば、半練り状、ワックス状)の化粧料も固形粉末化粧料に含まれる。固形粉末化粧料は、一体化した固形状であってよい。固形粉末化粧料は、耐衝撃性があって、割れ、欠け、ひびなどが発生しにくいことが重要であるが、固形粉末化粧料においては、上記の成分を用いることにより、耐衝撃性が高く、割れ、欠け、ひびなどの発生を抑制することができる。なお、粉体含有化粧料は、固形粉末化粧料以外の形態(例えば、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、粉体分散懸濁液、粉体分散ペースト、粉末化粧料など)であってももちろんよい。
【0093】
本粉体含有化粧料は、皮膚化粧料、または毛髪化粧料であり得る。本粉体含有化粧料は、皮膚化粧料(皮膚用の粉体含有化粧料)であることが特に好ましい。また、本粉体含有化粧料は、スキンケア製品およびメイク製品を含め、粉体を含有するあらゆる用途の化粧料に適用可能である。
【0094】
皮膚化粧料としては、特に限定されるものではなく、粉体含有化粧料(特に固形粉末化粧料)としての種々の用途の化粧料として利用することができる。例えば、メーキャップ化粧料、ファンデーション(例えば、固形ファンデーション、油性固形ファンデーション)、チーク、アイシャドウ、アイカラー、コンシーラー、おしろい、口紅、化粧用下地、日焼け止め、スキンケア化粧料、乳液(例えば固形乳液)、クリーム(例えば固形クリーム)などの化粧料が例示される。皮膚化粧料の使用方法としては、手や指につけて塗布する方法、コットンで使用する方法、固形の化粧料を直接塗布する方法などが挙げられる。
【0095】
粉体含有化粧料の製造
上記の粉体含有化粧料は、上記した成分を混合することにより製造することができる。例えば、成分(A)~(D)、および、成分(E)および他の粉体などを含むその他の成分を混合し、成形機によって成形することによって、粉体含有化粧料を得ることができる。成形された固形の粉体含有化粧料は、固形粉末化粧料となる。
【0096】
本粉体含有化粧料は、好ましくは、成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製する工程、前記混合物スラリーを成型する工程、および、前記混合物スラリーから、前記水性溶媒を除去する工程、を含む、方法によって製造することができる。それにより、粉体が良好に分散されて、凝集が生じにくい粉体含有化粧料を得ることができる。また、耐衝撃性の高い粉体含有化粧料(固形粉末化粧料)を得ることができる。成分(E)およびその他の成分を用いる場合は、成分(A)~(D)の混合の際に、それらの成分も混合することができる。
【0097】
混合物スラリーの調製にあっては、まず、粉体含有化粧料の原料成分(成分(A)~(D)、および、成分(E)および他の粉体を含むその他の成分)、および、水性溶媒を混合して、混合物のスラリーを調製する。好ましくは、粉体含有化粧料の原料成分を混合し、この混合物を粉砕処理した後、粉砕処理した粉末混合物に水性溶媒を加えることができる。それにより、粉体の分散性がより向上する。粉体含有化粧料の原料成分は、水性溶媒中で分散され、スラリー形態の混合物が形成される。成分(C)は、加熱して混合することが好ましい。それにより、成分(C)がより分散されて混合されるため、成分(C)による粉体の分散性および付着性を向上することができる。
【0098】
水性溶媒は、成型後に除去する観点から、揮発性溶媒(水または有機溶媒)が好ましい。水性溶媒としては、特に水が好ましい。水は、精製水であってよい。また、水以外の水性溶媒としては、これに限定されるものではないが、例えば、アルコール類、ケトン類などを挙げることができる。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトンなどを挙げることができる。水性溶媒は、1種でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、水とエタノールの混合溶媒を水性溶媒として用いてもよい。水性溶媒の量は、粉体含有化粧料の原料成分全量に対して、質量比(水性溶媒:原料成分)で、0.3~10:1が好ましく、0.3~5:1がより好ましく、0.5~3:1がさらに好ましい。それにより、粉体の分散性をさらに向上することができる。
【0099】
混合物スラリーは、加熱混合されてもよいし加熱混合されなくてもよい。また、混合物スラリーは、混合機による混合によって温度が室温以上になっていてもよい。それにより、粉体を含む成分が分散されて、分散性の良好な粉体含有化粧料を製造することができる。混合時の温度は、例えば、20~70℃であってよく、さらに、20~40℃であってもよい。
【0100】
次に、上記の混合物スラリーを成型する。混合物スラリーの成型は、粉体含有化粧料を成型できる適宜の成型機によって行うことができる。また、混合物スラリーを化粧料の容器に充填して成型してもよい。混合物スラリーは流動性を有するため、容易に容器に充填することができる。混合物スラリーは、加熱された状態で、充填してもよい。
【0101】
そして、混合物スラリーの成型後、上記の水性溶媒を除去する。水性溶媒は、揮発性を有するものであれば、加熱によって、容易に除去することができる。加熱温度は、30~90℃であることが好ましく、30~60℃であることがより好ましい。加熱によって、水性溶媒が除去された後、成型物を冷却することによって、最終品である粉体含有化粧料(固形粉末化粧料)を得ることができる。容器に充填して成型を行った場合は、容器に充填された固形粉末化粧料を得ることができる。
【0102】
上記の製造方法によって得た粉体含有化粧料は、水性溶媒を使用せずに同一の原料成分を混合して製造した粉体含有化粧料よりも、粉体の分散性がよく、粉体が凝集しにくい。また、固形となったときに、耐衝撃性も向上し得る。このような相違を、成分の構成のみで表すことは、困難であり、不可能・非実際的事情があると言える。したがって、本明細書において、成分(A)~(D)および水性溶媒を混合した混合物スラリーを調製し、該混合物スラリーを成型した後、該水性溶媒を除去して得られる、粉体含有化粧料、の発明が開示される。
【実施例0103】
以下、本発明に係る粉体含有化粧料を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0104】
PC化合物の合成およびNMR測定
成分(A2)のPC化合物を以下の合成例に従って合成した。得られたPC化合物を、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を含む重クロロホルムに溶解させた後、JNM-AL600(日本電子社製)を用いて化合物の分析を行った。
【0105】
合成例1(PC化合物1の合成)
(R、R、R、R)=(オレイル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、ベヘニル基)の組合せ
温度計、滴下漏斗及び攪拌機を備えた1L丸型フラスコに、原料アルコールとしてベヘニルアルコール65.3g(0.2mol)、トリエチルアミン20.2g(0.2mol)及びテトラヒドラフラン280gを加え、4℃に冷却して攪拌、混合した。次いで、2-クロロ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン28.5g(0.2mol)とテトラヒドラフラン60gの混合溶液を、滴下漏斗を用いて上記の冷却した混合溶液に滴下した。滴下は、冷却した混合溶液を攪拌しながら、反応温度が10℃を超えないように冷却し、2時間かけて徐々に行った。滴下終了後、さらに1時間攪拌し続けた。続いて、副生成物として析出したトリエチルアミン塩酸塩を濾別した。得られた濾液の全量を、攪拌機を備えた2Lの丸底フラスコに投入し、3級アミンとしてN,N-ジエタノールオレイルアミン142g(0.4mol)とアセトニトリル380gを加え、70℃で12時間攪拌した。その後、反応液を冷却することにより得られた析出物を濾別し、70℃で減圧乾燥することで粗結晶を得た。得られた粗結晶を、テトラヒドラフランとアセトニトリルの混合溶媒にて再結晶し、白色結晶15.7g(収率10%)を得た。
以下に、得られたPC化合物1のH-NMR、31P-NMRの分析の結果を示す。
H-NMR(δ(ppm)):0.88(t、J(HH)=6.6Hz、6H、)、1.21-1.39(m、60H)、1.58-1.63(m、2H)、1.65-1.73(m、2H)、1.93-2.1(m、4H)、3.6-3.65(m、4H)、3.7-3.75(m、2H)、3.8-3.85(m、4H)、3.95-4,05(m、4H)4.51-4.55(m、2H)、5.3-5.4(m、2H)
31P-NMR(δ(ppm)):-2.1(s)
【0106】
合成例2(PC化合物2の合成)
(R、R、R、R)=(オレイル基、メチル基、メチル基、ベヘニル基)の組合せ
原料アミンとしてN,N-ジエタノールオレイルアミンの代わりにN,N-ジメチルオレイルアミン118.2g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶72.8g(収率50%)を得た。
以下に、得られたPC化合物2のH-NMR、31P-NMRの分析の結果を示す。
H-NMR(δ(ppm)):0.88(t、J(HH)=7.2Hz、6H、)、1.2-1.34(m、48H)、1.54-1.61(m、2H)、1.63-1.7(m、2H)、1.93-2.09(m、4H)、3.36(s、6H)、3.43-3.47(m、2H)、3.78-3.87(m、4H)、4.29-4.32(m、2H)、5.3-5.4(m、2H)
31P-NMR(δ(ppm)):0.39(s)
【0107】
合成例3(PC化合物3の合成)
(R、R、R、R)=(ベヘニル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシエチル基、オレイル基)の組合せ
原料アルコールとしてベヘニルアルコールの代わりに、オレイルアルコール53.6g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N-ジエタノールオレイルアミンの代わりにN,N-ジエタノールベヘニルアミン165.4g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶15.5g(収率10%)を得た。
以下に、得られたPC化合物3のH-NMR、31P-NMRの分析の結果を示す。
H-NMR(δ(ppm)):0.88(t、J(HH)=6.6Hz、6H、)、1.2-1.38(m、64H)、1.58-1.64(m、2H)、1.67-1.72(m、2H)、1.93-2.09(m、4H)、3.7-3.76(m、4H)、3.83-3.86(m、2H)、3.92-3.96(m、4H)、4.0-4,05(m、2H)4.17-4.25(m、4H)、5.3-5.4(m、2H)
31P-NMR(δ(ppm)):-1.1(s)
【0108】
合成例4(PC化合物4の合成)
(R、R、R、R)=(ベヘニル基、メチル基、メチル基、オレイル基)の組合せ
原料アルコールとしてベヘニルアルコールの代わりに、オレイルアルコール53.6g(0.2mol)を用い、更に原料アミンとしてN,N-ジエタノールオレイルアミンの代わりにN,N-ジメチルベヘニルアミン141.4g(0.4mol)を用いた以外は合成例1と同様の操作を行い、白色結晶43.6g(収率30%)を得た。
以下に、得られたPC化合物4のH-NMR、31P-NMRの分析の結果を示す。
H-NMR(δ(ppm)):0.88(t、J(HH)=7.2Hz、6H、)、1.3-1.5(m、60H)、1.5-1.6(m、2H)、1.65-1.7(m、2H)、1.95-2.02(m、4H)、3.3(s、6H)、3.3-3.46(m、2H)、3.78-3.84(m、4H)、4.27-4.31(m、2H)、5.31-5.38(m、2H)
31P-NMR(δ(ppm)):0.56(s)
【0109】
実施例1~29、比較例1~5
固形粉末化粧料
以下に示す固形粉末化粧料(ファンデーション)を製造した。成分(A2)のPC化合物は、上記により製造されたPC化合物1~4を用いた。その他の原料は、商業的に入手したものを用いた。
【0110】
表1~3に、実施例1~29および比較例1~5の固形粉末化粧料の成分およびその配合量(質量%)、製剤の評価等の結果を示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
表1~3に記載の実施例および比較例において、特記すべき原料名等を以下に示す。
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル:Vinoveil(登録商標)-BS-100P(日油株式会社製)。ジラウロイルグルタミン酸リシンNa:ペリセア(登録商標)L-30(旭化成ファインケム株式会社製)。タルク(板状、粒径15μm):EX-15(株式会社ヤマグチマイカ製)。タルク(不定形、粒径8~11μm):ハイフィラーK-5(松村産業株式会社製)。カラギーナン(粉末):GENUVISCO type PJ-JPE(CP Kelco Inc.)。ジェランガム(粉末):ケルコゲル(CP Kelco U.S., Inc.)。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(粉末):メトローズ60SH4000(信越化学工業株式会社製)。
【0115】
なお、表1~3では、PC化合物にけるR、R、RおよびRの各基を、「C18H35(不飽和)」(オレイル基を意味する)、「CH2CH2OH」(ヒドロキシエチル基を意味する)、「CH3」(メチル基を意味する)、「C22H45」(ベヘニル基を意味する)、で表している。
【0116】
表1~表3に示す実施例および比較例は、以下の方法により製造した。
【0117】
実施例1~5、7~29の製造方法
(1)成分(B)およびマイカを混合して、混合物を得た。
(2)上記(1)で得られた混合物に、成分(A)および(C)を80℃に加熱した混合物を加え、混合物を得た。
(3)成分(D)および(E)を混合し、混合物を得た。
(4)上記(3)で得られた混合物を、上記(2)で得られた混合物に加え、混合物を得た。
(5)上記(4)で得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
(6)上記(5)で得られた粉末状の組成物を、水性溶媒としての水と、水:組成物の質量比が1:1の割合で混合し、スラリーを得た。
(7)上記(6)で得られたスラリーを容器に充填成型した。
(8)上記(7)で得られた成型物を加熱(40℃)して、成型物から水を除去することにより、固形粉末化粧料を得た。
【0118】
実施例6の製造方法
(1)成分(B)およびマイカを混合して、混合物を得た。
(2)上記(1)で得られた混合物に、80℃に加熱した成分(C)を加え、混合物を得た。
(3)成分(A)、(D)および(E)を混合し、混合物を得た。
(4)上記(3)で得られた混合物を、上記(2)で得られた混合物に加え、混合物を得た。
(5)上記(4)で得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
(6)上記(5)で得られた粉末状の組成物を、水性溶媒としての水と、水:組成物の質量比が1:1の割合で混合し、スラリーを得た。
(7)上記(6)で得られたスラリーを容器に充填成型した。
(8)上記(7)で得られた成型物を加熱(40℃)して、成型物から水を除去することにより、固形粉末化粧料を得た。
【0119】
比較例1~5の製造方法
比較例1~4は、成分(A)、成分(B)、成分(C)または成分(D)のいずれかを配合しないこと以外は、上記実施例1と同様の方法により、各比較例の固形粉末化粧料を得た。比較例5は、成分(D)を(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー・イソヘキサデカン・ポリソルベート80・水混合物に置き換えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、比較例5の固形粉末化粧料を得た。なお、比較例5で使用した原料「(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー・イソヘキサデカン・ポリソルベート80・水混合物」は、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーと、イソヘキサデカンと、ポリソルベート80と、水の混合物であり、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの含有量は、混合物全量に対して40質量%である。
【0120】
評価
表1~3に示す実施例および比較例の製剤の評価は、以下の方法により行った。
【0121】
粉体の凝集抑制(均一な分散性)
上記の実施例および比較例の各試料について、ファンデーション用マットを用いて固形粉末化粧料を10回擦った時に、化粧料表面にできる、または見つけられる粉体の凝集体を目視にて確認した。
◎:凝集体が全くない。
〇:凝集体が試料中、1~2個ある。
△:凝集体が試料中、3~5個ある。
×:凝集体が試料中、6個以上ある。
【0122】
付着性
各試料について専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準(評点)にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
具体的には各試料を肌に適量塗布し、塗布時の化粧料の付着力の高さを評価した。
(絶対基準)
付着性を
3:非常に感じる。
2:感じる。
1:やや感じる。
0:感じない。
(判定基準)
◎:2.5点以上。
〇:2点以上、2.5点未満。
△:1点以上、2点未満。
×:1点未満。
【0123】
化粧持ち
各試料について専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準(評点)にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
具体的には各試料を肌に適量塗布し、塗布後8時間後にその化粧持ち(すなわち化粧効果の持続性)が十分であるかどうかを評価した。
(絶対基準)
3:化粧持ちがよく、化粧効果が長く持続して感じられる。
2:化粧持ちがよく化粧効果も十分感じられるが、僅かに不十分である。
1:化粧持ちがやや悪く、化粧効果の持続性がやや不十分である。
0:化粧持ちが非常に悪く化粧効果の持続性が不十分である。
(判定基準)
◎:2.5点以上。
〇:2点以上、2.5点未満。
△:1点以上、2点未満。
×:1点未満。
【0124】
耐衝撃性
各試料についてプラスティック製タイル上に40cmの高さから2度落下させた後、その状態を判定した(N=5)。
評価は落下後、崩壊の程度を確認し、以下の評価基準に従って評価し、各5サンプルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
3:変化なし。
2:欠けや隙間が僅かに観察される。
1:欠けや隙間がはっきり観察される。
0:抜け、割れが発生。
(判定基準)
◎:2.5点以上。
〇:2点以上、2.5点未満。
△:1点以上、2点未満。
×:1点未満。
【0125】
結果
実施例1~29の固形粉末化粧料は、全ての評価項目(粉体の凝集抑制(均一な分散性)、付着性、化粧持ち、耐衝撃性)において、×(不良)がなく、△以上(△、〇または◎)であり、良好な固形粉末化粧料が得られた。一方、比較例1は、付着性および耐衝撃性が悪く、比較例2は、耐衝撃性が悪く、比較例3は、化粧持ちが悪かった。また、多糖類を含まない比較例4は、粉体の凝集抑制 (均一な分散性)が悪かった。多糖類を他の高分子に置き換えた比較例5は、比較例4と比較すると、粉体の凝集抑制 (均一な分散性)の改善がみられたものの、化粧持ちが悪かった。
【0126】
実施例(処方例)
固形粉末化粧料として、以下の実施例を製造した。なお、以下の実施例において、含有量は配合率(質量%)を意味し、「残量」とあるのは、合計量が100質量%となる量であることを意味する。なお、成分(B)として表面処理されている粉体を用いる場合、成分(B)の量は、表面処理成分を含めた量である。スラリーの調製の際、いずれも、粉末状の組成物と水性溶媒を、質量比、1:1の割合で混合した。水性溶媒の除去の際、成型物を40℃で加熱した。
【0127】
実施例30:ファンデーション
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 0.1%
2.PC化合物1(成分A) 0.2%
3.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分A)(*1) 0.2%
4.タルク(成分B)(*2) 15.0%
5.水酸化Al・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa・塩化Mg処理酸化チタン(成分Aで処理した成分B)(平均粒子径0.25μm)(*3) 5.0%
6.水酸化Al・トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理酸化チタン
(平均粒子径0.25μm)(成分B)(*4) 3.0%
7.水酸化Al処理酸化チタン(平均粒子径0.25μm)(成分B)(*51)
2.0%
8.メチコン・水酸化Al・含水シリカ処理酸化チタン(平均粒子径0.030μm)(成分B)(*6) 2.0%
9.酸化亜鉛(成分B)(*7) 0.5%
10.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分B)(*8) 2.5%
11.ポリエチレンテレフタラート粉末 1.0%
12.窒化ホウ素(*9) 5.0%
13.合成金雲母(*10) 5.0%
14.ジメチコン処理合成金雲母(*11) 2.0%
15.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(*12)
7.0%
16.アモジメチコン処理マイカ(*13) 1.0%
17.マイカ 残量
18.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(*14) 2.0%
19.ナイロン 1.0%
20.シリカ(*15) 3.0%
21.ポリメタクリル酸メチル 1.0%
22.グリシン 0.1%
23.酸化鉄 2.0%
24.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 6.0%
25.ミネラルオイル(成分C) 0.2%
26.スクワラン(成分C) 0.2%
27.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 0.5%
28.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 0.8%
29.カルナウバロウ(成分C:固形) 0.2%
30.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C) 0.1%
31.キサンタンガム(成分D:粉末) 0.005%
32.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(成分D:粉末)(*16)0.003%
33.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(成分D:粉末)(*17)0.002%
34.ジプロピレングリコール(成分E) 4.0%
35.フェノキシエタノール(成分E) 0.3%
36.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、およびアセチルグルタミン酸の混合物(美容成分の混合物)
1.0%
(*1)ペリセア(登録商標)L-30(旭化成ファインケム株式会社製)
(*2)EX-15(株式会社ヤマグチマイカ製)
(*3)ASL-1 TiO2 MP-1133(大東化成工業株式会社製)(ジラウロイルグルタミン酸リシンNaの含有量:1質量%)
(*4)ITT-2 TiO2 CR-50(大東化成工業株式会社製)
(*5)TIPAQUE CR-50(石原産業株式会社製)
(*6)SMT-500SAS(テイカ株式会社製)
(*7)MZ-500(テイカ株式会社製)
(*8)XZ-300F-LP(堺化学工業株式会社製)
(*9)CCS102-JA BORON NITRIDE POWDER(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
(*10)PDM-10L(トピー工業株式会社製)
(*11)SA-PDM-10L(三好化成株式会社製)
(*12)SE-MA-23(三好化成株式会社製)
(*13)マイカ Y-2300WA3(株式会社ヤマグチマイカ製)
(*14)ミクロマイカ MK-200K(片倉コープアグリ株式会社製)
(*15)シリカマイクロビードP-1505(日揮触媒化成株式会社製)
(*16)メトローズ(登録商標)65SH4000(信越化学工業株式会社製)
(*17)メトローズ(登録商標)90SH15000(信越化学工業株式会社製)
【0128】
(製造方法)
A.成分4~23を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、24~30を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分3、31~36を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0129】
(評価)
実施例30のファンデーションは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は0.550%であった(成分5の粉体処理に用いられた成分(A)を加算)。また成分(B)の総量は29.95%であった(成分5の粉体処理に用いられた成分(A)は除外)。また成分(C)の総量は8.00%であった。また成分(D)の総量は0.0100%であった。また成分(E)の総量は4.30%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.0184であった。(A)/(D)は、55.0であった。
【0130】
実施例31:ファンデーション
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 0.5%
2.PC化合物1(成分A) 1.5%
3.タルク(成分B)(*2) 10.0%
4.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分B)
(*18) 5.0%
5.トリエトキシカプリリルシラン処理タルク(成分B)(*19) 3.0%
6.ジメチコン処理タルク(成分B)(*20) 2.0%
7.トリエトキシカプリリルシラン・水酸化Al処理酸化チタン(平均粒子径0.25μm)(成分B)(*21) 2.0%
8.水酸化Al・トリイソステアリン酸イソプロピルチタン処理酸化チタン
(平均粒子径0.25μm)(成分B)(*4) 3.0%
9.レシチン・水酸化Al処理酸化チタン(平均粒子径0.25μm)(成分B)
5.0%
10.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分B)(*8) 1.5%
11.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分B)(*22) 1.5%
12.ポリエチレンテレフタラート粉末 2.0%
13.窒化ホウ素(*9) 10.0%
14.合成金雲母(*10) 5.0%
15.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(*12)
5.0%
16.マイカ 残量
17.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素) 1.0%
18.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(*23) 1.0%
19.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー
(*24) 1.0%
20.シリカ(*15) 3.0%
21.シリカ(*25) 1.5%
22.シリカ(*26) 0.5%
23.HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー(98%)/
シリカ(2%)(*227) 1.0%
24.クロルフェネシン(成分E) 0.1%
25.酸化鉄 2.5%
26.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 5.0%
27.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 0.5%
28.フェニルトリメチコン(成分C) 0.5%
29.水添ポリイソブテン(成分C) 0.1%
30.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 0.3%
31.ワセリン(成分C:ペースト) 0.2%
32.ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(成分C:ペースト) 0.1%
33.コメヌカ油脂肪酸フィトステリル(成分C:ペースト) 0.2%
34.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)(成分C)
0.1%
35.キサンタンガム(成分D:粉末) 0.005%
36.ジプロピレングリコール(成分E) 1.8%
37.1,3-ブチレングリコール(成分E) 0.5%
38.エタノール(成分E) 0.2%
39.フェノキシエタノール(成分E) 0.1%
40.セイヨウニワトコ花エキス、チャ葉エキス、テンチャエキス、マツリカ花エキス、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシンの混合物(美容成分の混合物) 1.0%
(*18)SE-TA-EX(三好化成株式会社製)
(*19)OTS-2 TALK JA-46R(大東化成工業株式会社製)
(*20)SA-タルク JA-46R(三好化成株式会社製)
(*21)OTS-2 TiO2 MP-1133(大東化成工業株式会社製)
(*22)MZY-505S(テイカ株式会社製)
(*23)KSP-100(信越化学工業株式会社製)
(*24)KSP-101(信越化学工業株式会社製)
(*25)ゴッドボールD11-796C(鈴木油脂工業株式会社製)
(*26)コスメシリカCQ4(富士シリシア化学株式会社製)
(*27)CS-400(東色ピグメント株式会社製)
【0131】
(製造方法)
A.成分3~25を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、26~34を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分35~40を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0132】
(評価)
実施例31のファンデーションは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は2.00%であった。また成分(B)の総量は33.00%であった。また成分(C)の総量は7.00%であった。また成分(D)の総量は0.0050%であった。また成分(E)の総量は2.70%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.0606であった。(A)/(D)は、400.0であった。
【0133】
実施例32:ファンデーション
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 0.2%
2.PC化合物1(成分A) 0.1%
3.タルク(成分B)(*2) 45.8%
4.ジメチコン処理タルク(成分B)(*20) 10.0%
5.レシチン・水酸化Al処理酸化チタン(平均粒子径0.25μm)(成分B)
5.0%
6.アルミナ・ステアリン酸処理酸化チタン(70.0%)/ナイロン-12
(30.0%)(成分B)(*28) 6.0%
7.ステアリン酸・水酸化Al処理酸化チタン(成分B)(*29) 2.0%
8.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分B)(*8) 2.0%
9.酸化亜鉛(成分B)(*7) 1.0%
10.窒化ホウ素(*9) 2.0%
11.マイカ 残量
12.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素) 1.0%
13.シリカ(*26) 2.0%
14.メタクリル酸クロスポリマー、ポリイソプレン混合物(*30) 2.0%
15.ポリメチルシルセスキオキサン(*31) 0.5%
16.合成金雲母(*10) 1.0%
17.ヒドロキシアパタイト 1.0%
18.ヤシ脂肪酸・水酸化Mg処理硫酸Ba 1.0%
19.酸化鉄 1.5%
20.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(成分C) 2.0%
21.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(成分C:固形) 0.5%
22.ジカプリン酸プロピレングリコール(成分C) 3.5%
23.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(成分C) 1.5%
24.ジメチコン(成分C) 0.1%
25.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 0.5%
26.ワセリン(成分C:ペースト) 0.5%
27.ミツロウ(成分C:固形) 0.1%
28.カルナウバロウ(成分C:固形) 0.2%
29.ポリエチレン(成分C:固形) 0.1%
30.キサンタンガム1%膨潤物(成分D:粉末) 0.7%
31.(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー
0.001%
32.アセチルヒアルロン酸Na(成分D:粉末) 0.002%
33.グリコシルトレハロース・加水分解水添デンプン混合水溶液(成分D:液体)
0.001%
34.ジプロピレングリコール(成分E) 2.5%
35.フェノキシエタノール(成分E) 0.2%
36.L-プロリン、ナトリウム加水分解コンキオリン液、ゲンチアナエキス、加水分解シルク液、加水分解米エキス、海藻エキス、L-セリン、イワショウブ葉エキス、カワラヨモギ花エキス、ゲットウ葉エキス、サッカロミセスセレビシアエエキス、ザクロ果実エキス、ザクロ果皮エキス、テンニンカ果実エキス、ナス果実エキス、ハルパゴフィタム根エキス、パセリエキス、ローヤルゼリーエキス、ロサアルバ花エキス、アボカドエキス、アマチャズルエキス、カモミラ水、ムラサキシキブ果実エキス、リンゴエキス、レモングラス抽出液、一人静エキス、アスパラガスエキス、アルテミアエキス、グアバエキス、コーヒーエキス、タイソウエキス、ブドウ葉エキス、およびワレモコウエキスの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
(*28)MTXO70-NL(ハヤテマテリアル株式会社製)
(*29)MT-N1(テイカ株式会社製)
(*30)ガンツパールGMI-0804(アイカ工業株式会社製)
(*31)トスパール2000B*(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン株式会社製)
【0134】
(製造方法)
A.成分3~19を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、20~29を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分30~36を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水:エタノール=90:10)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0135】
(評価)
実施例32のファンデーションは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は0.30%であった。また成分(B)の総量は70.00%であった。また成分(C)の総量は9.00%であった。また成分(D)の総量は0.0100%であった(成分30のキサンタンガム1%膨潤物は固形分1%で換算して0.007%の配合量とした)。また成分(E)の総量は2.70%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.0043であった。(A)/(D)は、30.0であった。
【0136】
実施例33:おしろい
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 1.0%
2.PC化合物1(成分A) 1.5%
3.PC化合物2(成分A) 0.2%
4.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分A)(*1) 0.3%
5.タルク(成分B)(*2) 30.0%
6.水酸化Al・ジラウロイルグルタミン酸リシンNa・塩化Mg処理酸化チタン(成分Aで処理した成分B)(平均粒子径0.25μm)(*3) 0.5%
7.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(*12)
5.0%
8.マイカ 残量
9.シリカ(*25) 30.0%
10.ポリメタクリル酸メチル 5.0%
11.ポリエチレンテレフタラート粉末 3.0%
12.窒化ホウ素(*9) 5.0%
13.合成金雲母(*10) 3.0%
14.ジメチコン処理合成金金雲母(*11) 2.0%
15.ジカプリン酸プロピレングリコール(成分C) 3.0%
16.ミネラルオイル(成分C) 1.0%
17.スクワラン(成分C) 2.0%
18.メドウフォーム油(成分C) 1.0%
19.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 1.0%
20.水添ポリイソブテン(成分C)(*32) 0.299%
21.トコフェロール(成分C) 0.001%
22.ミツロウ(成分C:固形) 1.0%
23.セスキオレイン酸ソルビタン(成分C) 0.2%
24.キサンタンガム(成分D:粉末) 0.006%
25.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(成分D:粉末)(*16)0.001%
26.ジプロピレングリコール(成分E) 1.7%
27.フェノキシエタノール(成分E) 0.3%
28.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、およびアセチルグルタミン酸の混合物(美容成分の混合物)
1.0%
(*32)パールリーム18(日本油脂株式会社製)
【0137】
(製造方法)
A.成分5~14を混合して、混合物を得た。
B.成分1~3、15~23を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分4、24~28を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0138】
(評価)
実施例33のおしろいは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は3.005%であった(成分6の粉体処理に用いられた成分(A)を加算)。また成分(B)の総量は30.495%であった(成分6の粉体処理に用いられた成分(A)は除外)。また成分(C)の総量は9.50%であった。また成分(D)の総量は0.0070%であった。また成分(E)の総量は2.00%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.0985であった。(A)/(D)は、429.3であった。
【0139】
実施例34:チーク
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 2.0%
2.PC化合物1(成分A) 1.5%
3.PC化合物2(成分A) 0.5%
4.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分A)(*1) 1.0%
5.タルク(成分B)(*2) 32.0%
6.ジメチコン処理タルク(成分B)(*33) 4.0%
7.トリエトキシカプリリルシラン処理タルク(成分B) 1.0%
8.レシチン処理タルク(成分B) 10.0%
9.ジメチコン・水酸化Al処理酸化チタン(成分B)(平均粒子径0.25μm)
3.0%
10.マイカ 残量
11.シリカ(*15) 5.0%
12.赤226 1.0%
13.赤202 0.2%
14.黄4 0.1%
15.酸化鉄 2.0%
16.酸化チタン(55%)・シリカ(12%)被覆マイカ 2.0%
17.トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(成分C) 3.0%
18.ミネラルオイル(成分C) 3.0%
19.スクワラン(成分C) 2.0%
20.ジメチコン(成分C) 0.5%
21.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 1.0%
22.水添ポリイソブテン(成分C)(*34) 0.3%
23.水添ポリイソブテン(成分C)(*35) 0.699%
24.トコフェロール(成分C) 0.001%
25.ポリプロピレン(成分C:固形) 1.0%
26.ステアリン酸(成分C:固形) 0.1%
27.ベヘニルアルコール(成分C:固形) 0.1%
28.セスキオレイン酸ソルビタン(成分C) 0.3%
29.キサンタンガム(成分D:粉末) 0.009%
30.ヒドロキシプロピルメチルセルロース(成分D:粉末)(*15)0.001%
31.ジプロピレングリコール(成分E) 2.7%
32.1,3-ブチレングリコール(成分E) 1.0%
33.フェノキシエタノール(成分E) 0.3%
34.マツリカ花エキス、ブドウ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、ビフィズス菌培養溶解質、サトザクラ花エキス、ポリクオタニウム-51、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、およびアセチルグルタミン酸の混合物(美容成分の混合物)
1.0%
(*33)SA-タルク JA-13R(三好化成株式会社製)
(*341)パールリーム6(日本油脂株式会社製)
(*35)パールリーム24(日本油脂株式会社製)
【0140】
(製造方法)
A.成分5~16を混合して、混合物を得た。
B.成分1~3、17~28を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分4、29~34を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0141】
(評価)
実施例34のチークは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は5.00%であった。また成分(B)の総量は50.00%であった。また成分(C)の総量は12.00%であった。また成分(D)の総量は0.0100%であった。また成分(E)の総量は4.00%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.1000であった。(A)/(D)は、500.0であった。
【0142】
実施例35:アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A) 0.5%
2.PC化合物1(成分A) 0.5%
3.ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(成分A)(*1) 0.5%
4.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分B)
(*18) 15.0%
5.タルク(成分B)(*2) 15.0%
6.ハイドロゲンジメチコン処理酸化亜鉛(成分B)(*8) 0.5%
7.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(*12)
5.0%
8.マイカ 残量
9.シリカ(*15) 5.0%
10.合成金雲母(*10) 3.0%
11.窒化ホウ素(*9) 3.0%
12.酸化鉄 5.0%
13.酸化チタン(16%)被覆ホウケイ酸(Ca/Al) 3.0%
14.酸化チタン(20%)被覆ホウケイ酸(Ca/Al) 3.0%
15.酸化チタン(11%)被覆ホウケイ酸(Ca/Al) 3.0%
16.酸化チタン(13%)被覆合成金雲母 1.0%
17.酸化チタン(55%)被覆マイカ 5.0%
18.酸化チタン(55%)・シリカ(12%)被覆マイカ 5.0%
19.ミネラルオイル(成分C) 2.0%
20.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C:ペースト) 1.0%
21.水添ポリイソブテン(成分C)(*32) 0.499%
22.トコフェロール(成分C) 0.001%
23.カルナウバロウ(成分C:固形) 0.5%
24.セスキオレイン酸ソルビタン(成分C) 0.5%
25.キサンタンガム(成分D:粉末) 0.003%
26.ジプロピレングリコール(成分E) 2.7%
27.フェノキシエタノール(成分E) 0.3%
28.セイヨウニワトコ花エキス、チャ葉エキス、テンチャエキス、マツリカ花エキス、ノイバラ果実エキス、ハマナス花エキス、イザヨイバラエキス、ローヤルゼリーエキス、トウキ根エキス、センチフォリアバラ花エキス、ダマスクバラ花水、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、アセチルグルタミン酸、テアニン、グリシンの混合物(美容成分の混合物)
1.0%
【0143】
(製造方法)
A.成分4~18を混合して、混合物を得た。
B.成分1、2、19~24を80℃で加温し、溶解物(または分散物)を得た。
C.Aで得られた混合物に、Bを加え混合し、混合物を得た。
D.成分3、25~28を混合して、混合物を得た。
E.Cで得られた混合物に、Dで得られた混合物を加え、混合物を得た。
F.Eで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の組成物を得た。
G.Fで得られた粉末状の組成物を水性溶媒(水)と混合し、スラリーを得た。
H.Gで得られたスラリーを容器に充填成型した後、前記水性溶媒を除去することで固形粉末化粧料を得た。
【0144】
(評価)
実施例35のアイシャドウは、粉体の凝集を抑制し、付着性、化粧持ち、耐衝撃性に優れることが確認された。
ここで、成分(A)の総量は1.50%であった。また成分(B)の総量は30.50%であった。また成分(C)の総量は4.50%であった。また成分(D)の総量は0.0030%であった。また成分(E)の総量は3.00%であった。したがって、重量比の関係は次のとおりであった。(A)/(B)は、0.0492であった。(A)/(D)は、500.0であった。