(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025240
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ナノバブル生成攪拌子
(51)【国際特許分類】
B01F 33/25 20220101AFI20240216BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20240216BHJP
B01F 23/232 20220101ALI20240216BHJP
B01F 25/421 20220101ALI20240216BHJP
B01F 31/20 20220101ALI20240216BHJP
B01F 33/501 20220101ALI20240216BHJP
【FI】
B01F33/25
B01F23/2375
B01F23/232
B01F25/421
B01F31/20
B01F33/501
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128518
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森谷 始旦
【テーマコード(参考)】
4G035
4G036
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AC01
4G036AB11
(57)【要約】
【課題】液体及び気体とともに容器に入れて振るだけで、ナノバブルを効率的に発生させることができるナノバブル生成撹拌子。
【解決手段】液体及び気体とともに容器に入れて振ることでナノバブルを生成させる、ナノバブル生成攪拌子であって、軸方向Xの一端側及び他端側のそれぞれに開口部11,21を有し、一端側に位置する一端開口部11と他端側に位置する他端開口部21とをつなぐ縦流路41を内部に有しており、縦流路41,42は、一端開口部11から他端開口部21に向かう流路の途中又は他端開口部21から一端開口部11に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部44を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体及び気体とともに容器に入れて振ることでナノバブルを生成させる、ナノバブル生成攪拌子であって、
軸方向の一端側及び他端側のそれぞれに開口部を有し、該一端側に位置する一端開口部と該他端側に位置する他端開口部とをつなぐ縦流路を内部に有しており、
前記縦流路は、前記一端開口部から前記他端開口部に向かう流路の途中又は前記他端開口部から前記一端開口部に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部を有する、ナノバブル生成攪拌子。
【請求項2】
前記縦流路として、前記一端開口部から前記他端開口部に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部を有する第1の縦流路と、前記他端開口部から前記一端開口部に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部を有する第2の縦流路とを有する、請求項1に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項3】
前記縦流路は、前記一端開口部と前記他端開口部との間に、該縦流路を流れる流体の一部を、前記軸方向と直交する径方向に流す横方向流路を有している、請求項1又は2に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項4】
前記横方向流路は、前記縦流路と前記ナノバブル生成攪拌子の外周面に開口する開口部との間を連通する、請求項3に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項5】
前記横方向流路は、前記流路分岐部の近傍に設けられている、請求項3又は4に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項6】
前記軸方向に沿う外周部を有し、該外周部に、該軸方向に沿って延びる複数本の凸条部が形成されており、周方向に隣り合う凸条部間に溝部が形成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項7】
前記縦流路の内面に、前記軸方向に沿って延びる縦リブが設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項8】
中心軸の周囲に、複数の前記縦流路が環状に配列した外側環状配列部と、該外側環状配列部よりも前記中心軸寄りに位置し、複数の前記縦流路が環状に配列した内側環状配列部とを有している、請求項1~7のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項9】
前記外側環状配列部を構成する前記縦流路と前記内側環状配列部を構成する前記縦流路との間を、中心軸に直交する径方向に連通する内側横方向流路を有している、請求項8に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項10】
2パーツ以上から構成され、パーツ同士の接合部付近に、前記流路分岐部、請求項3に記載の前記横方向流路、及び請求項9に記載の前記内側横方向流路のいずれか1以上が形成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項11】
前記軸方向に沿う流路が、中心軸の周囲に環状に複数形成された第1部と、該軸方向に沿う流路が、中心軸の周囲に環状に複数形成された第2部とを有し、第1部と第2部は、第1部における前記流路が第2部における前記流路の複数に跨り且つ第2部における前記流路が第1部における前記流路の複数に跨るように一体化している、請求項1~10のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項12】
第1部と第2部が、別パーツを結合して形成されている、請求項11に記載のナノバブル生成攪拌子。
【請求項13】
容器と該容器内に収容されるナノバブル生成攪拌子とを備えるナノバブル生成容器であって、
前記ナノバブル生成攪拌子が、請求項1~12のいずれか1項に記載のナノバブル生成攪拌子であり、
前記容器を、液体、気体及び前記ナノバブル生成攪拌子を収容した状態で振ることによって、前記液体中にナノバブルを生じさせる、ナノバブル生成容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブル生成攪拌子及びそれを用いたナノバブル生成容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水等の液体中に、微小な泡を生じさせる技術が知られている。微小な泡として、粒子径が1μm~100μmであるマイクロバブル、及び粒子径が1μm未満のナノバブルが知られている。近年、ナノバブルの研究が進められており、ナノバブルには、マイクロバブルとは異なる性質があることも報告されている。例えば、透明な水中に分散されたマイクロバブルは白濁して見えるのに対して、ナノバブルは、可視光線の波長よりも小さいため光を散乱させず水は透明にしか見えないことが挙げられる。また、液体中に分散させたときに、マイクロバブルは、収浮力によって浮上していき、収縮して消失するのに対して、ナノバブルは、体積が極めて小さく、無視できる程度の浮力のため、ブラウン運動によってランダムに振動し、長期間上昇せずに液体中に保持されるという違いもある。
【0003】
化粧水等の製品にナノバブルを含めるためには、加圧溶解方式、旋回流方式、微細孔方式等によって予めナノバブルを発生させた内容液を容器に充填することが考えられる。しかし、生成した微小バブルがナノバブルであっても、製品の滞留期間が長い等の理由で、消費者が当該製品を使用する迄に、ナノバブルの量が大きく低下し、ナノバブルの効果が十分に得られない可能性がある。例えば、充填直後のナノバブルの量に対して1年経過後の量は半分以下に減少するとの報告がある。
【0004】
他方、消費者が使用する際に、マイクロバブル又はナノバブルを発生させることが可能なナノバブル生成機構付きの容器も知られている。
例えば、特許文献1には、ピストンとピストンガイドと排出口とを有し、液体が、ピストンとピストンガイドとの隙間を通って排出口に届けられる間に、該液体に剪断圧壊を発生させてナノバブルを生成させるようにしたスプレー装置が記載されている。また特許文献2には、容器本体と該容器本体の開口部を覆う蓋体とを備え、更に容器本体内に複数の貫通孔が形成された孔形成体を備えたボトルが記載されている。また特許文献3には、ナノバブル化粧料用外用組成物が開示されており、それを収容する容器の一例として、中空構造の中空体でかつ液体が通過する孔を中空構造の壁面に複数個設けたナノバブル発生攪拌玉を収容した容器が記載されている。
さらにトリガータイプのスプレー容器におけるトリガーを引く力又はシャワーヘッドに加わる水道の水圧を利用し、高速の旋回流を発生させること等によって、ナノバブルを発生させる方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-30171号公報
【特許文献2】特許第6916959号公報
【特許文献3】国際公開第2022/010000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のスプレー装置は、大きなせん断力を加えることが難しく、発生するナノバブルの量が不十分であった。また特許文献1に記載のスプレー装置は、前述した特殊な構成を有しており、そのような特殊な構成を有するスプレー装置を用いない製品に適用できない欠点もあった。また、ピストン及びピストンガイド等を含むバブルの発生機構を、薬剤を収納するボトル容器の開口部に装着される部材に設けているため、該部材のボトル部へのセット性にも影響を与えてしまう課題があった。
特許文献2に記載のボトルは、筒状体である孔形成体に容器本体内に延びるチューブを挿通した状態で、ボトルを振ることによりバブルを発生させるものである。そのため、ボトルに、孔形成体以外のものをセットしなければならず、生産性が低い欠点があった。また特許文献2のボトル及び特許文献3に記載のナノバブル発生攪拌玉は、どの程度のナノバブルを生成させ得るか不明であり、ナノバブルを効率よく高濃度に発生させる観点で劣るものであった。
【0007】
したがって、本発明の課題は、ナノバブルを簡単且つ高濃度に発生させ得るナノバブル生成攪拌子、及びそれを用いた構成の簡易なナノバブル生成容器を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体及び気体とともに容器に入れて振ることでナノバブルを生成させる、ナノバブル生成攪拌子に関する。
前記ナノバブル生成攪拌子は、軸方向の一端側及び他端側のそれぞれに開口部を有し、該一端側に位置する一端開口部と該他端側に位置する他端開口部とをつなぐ縦流路を内部に有していることが好ましい。
前記縦流路は、前記一端開口部から前記他端開口部に向かう流路の途中又は前記他端開口部から前記一端開口部に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部を有することが好ましい。
【0009】
本発明は、容器と該容器内に収容されるナノバブル生成攪拌子とを備えるナノバブル生成容器に関する。ナノバブル生成攪拌子は、前記のナノバブル生成攪拌子であることが好ましい。ナノバブル生成容器は、前記の容器を、液体、気体及び前記ナノバブル生成攪拌子を収容した状態で振ることによって、液体中にナノバブルを生じさせることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のナノバブル生成攪拌子によれば、液体及び気体とともに容器に入れて振るだけで、ナノバブルを効率的に発生させることができる。
本発明のナノバブル生成容器は、構成が簡易でありながら、ナノバブルを効率的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明のナノバブル生成攪拌子の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す攪拌子の(a)正面図及び(b)平面図である。
【
図4】
図4は、
図1のA-A線に沿う断面を模式的に示す模式断面図である。
【
図5】
図5は、本発明のナノバブル生成容器の一実施形態を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本発明のナノバブル生成攪拌子の第2実施形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【
図7】
図7は、本発明のナノバブル生成攪拌子の第3実施形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態のナノバブル生成攪拌子の変形例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明のナノバブル生成攪拌子の更に他の実施形態を示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)乃至(d)は、ナノバブル生成攪拌子の表面に設ける凸条部又は突起部の他の例を示す撹拌子の外周面展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明のナノバブル生成攪拌子(以下「撹拌子」ともいう)は、例えば、
図5に示すように、液体92及び気体93とともに容器91に入れて手で振ることでナノバブルを生成させることができるものである。「液体及び気体とともに容器に入れる」という表現には、容器91内に、気体93を含むヘッドスペースが生じるように液体92を収容し、且つ且つ容器91内に、撹拌子1を収容する場合も含まれる。容器91内に液体92と撹拌子1を入れる順序には特に制限はなく、撹拌子1を、液体92の充填前、充填中及び充填後のいずれに入れてもよい。気体93は、好ましくは空気であり、液体92を充填する作業環境中に存在する空気等であって、容器91内に自然に流入した空気であってもよい。気体93は、窒素ガス等の空気以外のガスでもよく、空気と他のガスとの混合ガス、空気以外のガスどうしの混合ガス等であってもよい。
図5中、符号1が容器91内に収容された撹拌子を示す。
【0013】
図1乃至
図3には、本発明のナノバブル生成攪拌子の第1実施形態が示されている。
第1実施形態の撹拌子1Aは、
図2(a)に示すように、軸方向Xの一端側及び他端側のそれぞれに開口部を有している。より具体的には、撹拌子1Aは、円筒状の本体部30を有しており、本体部30の中心軸3に沿う方向である軸方向Xの一端側に位置する端部域10に複数の開口部11,12を有し、軸方向Xの他端側に位置する端部域20にも複数の開口部21,22を有している。一端側に位置する開口部11と他端側に位置する開口部21とは、撹拌子1A内に形成された縦流路によって連通しており、一端側に位置する開口部11と他端側に位置する開口部21とは、撹拌子1A内に形成された縦流路によって連通している。縦流路は、おおむね軸方向Xに沿って延びる流路である。
本実施形態における撹拌子1Aは、本体部30の両側に、凸曲面状の端部域10,20を有しており、その端部域10,20のそれぞれに、中心軸3からの距離又は形状が異なる複数種類の開口部11,12が形成されている。中心軸3は、撹拌子1Aやその本体部30が円柱状又は回転体形状である場合の中心軸に限られず、横断面の中心を結ぶ直線等であってもよい。
【0014】
本実施形態の撹拌子1Aについて更に説明すると、撹拌子1Aは、
図1及び
図3に示すように、異なるパーツからなる第1部31及び第2部32を有している。
図3に示すように、パーツP1からなる第1部31には、
図3に示すように、軸方向Xに沿う流路として、第1流路13と第2流路14が形成されている。第1流路13は、中心軸3の周囲に環状に複数形成されており、それぞれ、前記一方の端部域10に開口する一端開口部11と連通している。第2流路14も、中心軸3の周囲に環状に複数形成されており、それぞれ、前記一方の端部域10に開口する一端開口部12と連通している。一端開口部11及びそれに連通する第1流路13は、一端開口部12及びそれに連通する第2流路14に比して中心軸3から遠い位置に形成されている。
パーツP2からなる第2部32にも、軸方向Xに沿う流路として、第1部31におけるのと略同様の第1流路23と第2流路24が形成されている。第1流路23は、中心軸3の周囲に環状に複数形成されており、それぞれ、前記他方の端部域20に開口する他端開口部21と連通している。第2流路24も、中心軸3の周囲に環状に複数形成されており、それぞれ、前記他方の端部域20に開口する他端開口部22と連通している。第2部32においても、他端開口部21及びそれに連通する第1流路23は、他端開口部22及びそれに連通する第2流路24に比して中心軸3から遠い位置に形成されている。
【0015】
第1部31及び第2部32は、パーツP1とパーツP2とを結合させることによって、
図1に示すように一体化している。またパーツP1とパーツP2とを結合させる際には、
図2(b)及び
図4に示すように、第1部31における第1流路13が第2部32における第1流路23の複数に跨り且つ第2部32における第1流路23が第1部31における第1流路13の複数に跨るように、中心軸3周りの位置合わせを行う。
これにより、第1部31と第2部32とが一体化した撹拌子1Aの内部には、
図2(b)及び
図4(a)に示すように、軸方向Xにおける一端側に位置する一端開口部11と他端側に位置する他端開口部21とをつなぐ縦流路として、一端開口部11から他端開口部21に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部43を有する複数の第1の縦流路41と、
図4(b)に示すように、他端開口部21から一端開口部11に向かう流路の途中に、該流路を複数に分岐させる流路分岐部44を有する複数の第2の縦流路42とが形成されている。
【0016】
パーツP1とパーツP2との結合力を高める観点から、互いに結合させるパーツP1及びパーツP2には、中心軸3に沿って突出する嵌合凸部33及び該嵌合凸部33が嵌合する嵌合凹部34を形成することが好ましい。またパーツP1とパーツP2には、中心軸3周りの位置合わせ用の、係合凸部35及び該係合凸部35が係合する被係合部36を形成することが好ましい。嵌合凸部33及び係合凸部35を設ける位置は、適宜変更可能であり、例えば、パーツどうしの結合力を高める目的及び/又は中心軸3周りの位置合わせの目的で、互いに結合させる2つのパーツのうちの一方の外周壁部に嵌合凸部又は係合凸部を設け、他方の外周壁部に、それらに対応する嵌合凹部又は係合凹部を設けることもできる。外周壁部に設ける嵌合凸部等は、例えば、撹拌子の周方向に一つのみ設けてもよいが、所定の間隔をあけて複数設けることが好ましい。パーツP1とパーツP2は、嵌合凸部及び嵌合凹部を設けることなく、接着剤、融着等により結合されていてもよく、位置合わせ用の、係合凸部35及び被係合部36も無くてもよい。
【0017】
第1の縦流路41は、
図4(a)に示すように、第1部31の1つの第1流路13と、第2部32において撹拌子1の周方向Yに隣り合う2つの第1流路23とが軸方向Xに連続されて形成されており、その2つの第1流路23どうし間に存する隔壁26の第1部31側の端部が、第1の縦流路41における流路分岐部43となっている。
第2の縦流路42は、
図4(b)に示すように、第2部32の1つの第1流路23と、第1部31において撹拌子1の周方向Yに隣り合う2つの第1流路13とが軸方向Xに連続して形成されており、その2つの第1流路13どうし間に存する隔壁25の第2部32側の端部が、第2の縦流路44における流路分岐部44となっている。
【0018】
本実施形態の撹拌子1によれば、液体及び気体とともに容器に入れて上下や左右に振ったときに、液体及び気体を攪拌して、液体と気体の混合が促進される。また撹拌子1入りの容器を振ることによって、撹拌子1内を液体及び気体の混合流が流通する。
液体と気体の混合流が、一端開口部11から他端開口部21に向かって流れたときには、一端開口部11から流入した混合流は、第1の縦流路41内において流路分岐部44に勢い良く衝突したのち他端開口部21から流出する。これにより、混合流中の気泡に剪断力及び機械的破砕力が働き、分散と混合が行われることで効果的にナノバブルを生じる。そのため、本実施形態の撹拌子1によれば、例えば、液体92及び気体93とともに容器91に入れて手で振るという簡単な動作によってナノバブルを効果的に発生させることができる。
【0019】
しかも、本実施形態の撹拌子1は、第1の縦流路41及び第2の縦流路42を備え、一端開口部11から他端開口部21に向かう方向X1の混合流が流れた場合及び他端開口部21から一端開口部21に向かう方向X2の混合流が流れた場合のいずれにおいても、流路分岐部43又は44によって該混合流中の気泡が分散と混合を繰り返すことによって、液体92及び気体93とともに容器91に入れて上下や左右に複数回手で振るという簡単な動作によってナノバブルを一層効率的に発生させることができ、ナノバブルを高濃度に含有するナノバブル含有液が容易に得られる。
【0020】
さらに本実施形態の撹拌子1は、第1部31における第1流路23が第2部32における第1流路23の複数に跨り且つ第2部32における第1流路23が第1部31における第1流路13の複数に跨るようにして形成されているため、一端開口部11から他端開口部21に向かう方向X1の混合流が流れた場合及び他端開口部21から一端開口部21に向かう方向X2の混合流が流れた場合のいずれにおいても、混合流中の気泡を微小化できる構造を簡易な構成で実現することができる。
また第1部31及び第2部32を、別パーツを結合して形成する場合、射出成型等の従来の製造設備を用いて製造することができ、製造コストの抑制等も可能である。本実施形態の撹拌子1と同様の構成を有する撹拌子を、3Dプリンターにより第1部31及び第2部32を一体成形することによって製造してもよい。
【0021】
本実施形態における第1の縦流路41と第2の縦流路42とは、撹拌子1内を流れる、液体と気体の混合流の流れの向きが、軸方向Xに沿う一方向X1である場合と、軸方向Xに沿い、一方向X1とは逆向きの他方向X2である場合とに観念的に分けて説明するものであり、第1の縦流路41及び第2の縦流路42は、例えば、第1部31及び第2部32内の共通する第1流路13及び第2流路23によって形成されていてもよい。
【0022】
本発明における撹拌子は、軸方向Xに沿う一方向X1への流れを考えたときは流路の分岐部を有する一方、他方向X2への流れを考えたときには流路の分岐部を有さず流路の合流部のみを有する縦流路のみを有するものであってもよく、また一方向X1への流れを考えたときに流路の分岐部を有する第1の縦流路と、他方向X2への流れを考えたときに路の分岐部を有する第2の縦流路とを完全に独立した流路として備えるものであってもよい。
【0023】
本実施形態の撹拌子1における第1の縦流路41及び第2の縦流路42は、一端開口部11と他端開口部21との間に、各縦流路を流れる流体の一部を、中心軸3と直交する径方向に流す横方向流路51,52を有している。より具体的には、第1の縦流路41は、流路分岐部43の近傍に、第1の横方向流路51を有している。第1の横方向流路51は、第1の縦流路41と、攪拌子1の外周面に開口する周面開口部51aとの間を連通している。第2の縦流路42は、流路分岐部44の近傍に、第2の横方向流路52を有している。第2の横方向流路52は、第2の縦流路42と、攪拌子1の外周面に開口する周面開口部52aとの間を連通している。中心軸3と直交する径方向とは、中心軸3から離れる方向であり、中心軸3に直交する平面に対して平行な方向に限られず、該平面に対して角度を有する斜め上方又は斜め下方も含まれる。
【0024】
撹拌子1内に形成されている縦流路41,42が、横方向流路51,52を有していると、縦流路41,42内を流れる混合流に気泡を微細化させる力を一層効果的に加えることができ、ナノバブル及び高濃度のナノバブル含有液が一層効果的に得られる。
ナノバブルの生成効率を高める観点から、横方向流路51,52は、流路分岐部43,44の近傍に形成されていることが好ましく、第1の縦流路41については、少なくとも流路分岐部43よりも上流側の近傍、第2の縦流路42については、少なくとも流路分岐部44よりも上流側の近傍に形成されていることが好ましい。
本実施形態における横方向流路51,52は、互いに結合させるパーツP1及びパーツP2それぞれの外周壁部に、横方向流路形成用の凹部53を周方向に間欠的に形成しておき、パーツP1とパーツP2とを、一方の凹部53と他方の外周壁部の凹部53以外の部分54とが対向するように結合させて形成されている。そのため、横方向流路51,52は、パーツP1とパーツP2との接合部37付近に形成されている。
【0025】
なお、横方向流路51,52は、
図7に示す撹拌子1Cの横方向流路51のように、異なるパーツP1,P2の横方向流路形成用の凹部53どうしが対向して形成されていてもよく、また、パーツどうしの接合部以外の箇所に形成されていてもよい。
接合部37は、撹拌子の軸方向Xにおいて、結合したパーツどうしが相隣接している部位であり、パーツP1の外周壁部とパーツP2の外周壁部とは接合されていても接合されていなくてもよい。例えば、パーツP1とパーツP2とが、
図3の嵌合凸部33と嵌合凹部34との間のみで結合しており、外周壁部どうしは接合されていなくてもよい。
【0026】
本実施形態の撹拌子1Aは、
図2(b)に示すように、中心軸3の周囲に、上述した構成の第1及び第2の縦流路41,42が、複数、環状に配列した外側環状配列部45を有するとともに、外側環状配列部45よりも中心軸3寄りに、第1及び第2の縦流路41,42と同様の構成を有する第1及び第2の縦流路が、複数、環状に配列した内側環状配列部47を有している。
図2(b)には、内側環状配列部47を構成する縦流路のうちの第1の縦流路を符号46で示した。
内側環状配列部47を構成する第1の縦流路46は、第1部31の1つの第2流路14と、第2部32において撹拌子1の周方向Yに隣り合う2つの第2流路24とが軸方向Xに連続して形成されており、内側環状配列部47を構成する第2の縦流路は、第2部32の1つの第2流路24と、第1部31において撹拌子1の周方向Yに隣り合う2つの第2流路14とが軸方向Xに連続して形成されている。内側環状配列部47を構成する第1及び第2の縦流路においても、第2部32の第2流路24どうし間に存する隔壁の第1部31側の端部又は第1部31の第2流路14どうし間に存する隔壁の第2部32側の端部が、縦流路における流路分岐部48となっている。
【0027】
中心軸3からの距離が異なる複数の縦流路から構成される外側環状配列部45及び内側環状配列部47を有することにより、撹拌子1中に効率的に多くの縦流路を配することができ、液体及び気体の混合流中の気泡を、より多く分散と混合することができ、一層効果的に微細化できるので、個々の撹拌子1によって生成されるナノバブルの量を一層効率的に増加させることができる。それにより、ナノバブルを高濃度に含有するナノバブル含有液が一層得られやすくなる。
【0028】
本実施形態の撹拌子1Aは、前述した外側環状配列部47を構成する縦流路と、前述した内側環状配列部45を構成する縦流路との間を、中心軸3に直交する径方向に連通する内側横方向流路を有している。本実施形態における内側横方向流路は、互いに結合させるパーツP1及びパーツP2のそれぞれにおける第1流路と第2流路との間を仕切る環状の隔壁55に、内側横方向流路形成用の凹部56を周方向に間欠的に形成しておき、パーツP1とパーツP2とを、凹部56の位置が一致するように結合させて形成されている。そのため、内側横方向流路は、パーツP1とパーツP2との接合部37付近に形成されている。
【0029】
外側環状配列部45及び内側環状配列部47を設け、その外側環状配列部45及び内側環状配列部47を構成する縦流路間を連通する内側横方向流路を設けることにより、撹拌子1内の流路の分岐部を増大し、より複雑に分散と混合させることで、液体及び気体の混合流中の気泡を一層効果的に微細化できる。そのため、個々の撹拌子1によって生成されるナノバブルの量を一層効率的に増加させることができ、ナノバブルを高濃度に含有するナノバブル含有液が一層得られやすくなる。
【0030】
本実施形態の撹拌子1Aにおいては、前述した流路分岐部43,44、周面に開口する横方向流路51及び内側横方向流路は、いずれも、パーツP1とパーツP2との接合部37付近に形成されている。
流路分岐部、周面に開口する横方向流路及び内側横方向流路のいずれか1以上を有する複雑な形状の撹拌子を製造する場合、それらを形成するための凹部や流路分岐部となる隔壁等の部分を設けた複数のパーツを結合して製造することによって、撹拌子を、射出成型等の汎用の製造設備を用いて製造することができ、製造コストの抑制等の観点で優れている。撹拌子は、2つのパーツから形成するのに代えて3つ以上のパーツから形成してもよい。
【0031】
なお、第1実施形態の撹拌子1Aは、第1部31及び第2部32それぞれの周方向に隣り合う第1流路13,23どうし間の隔壁25,26のうちの一部の隔壁における接合部7付近に、内側横方向流路形成用の凹部56と連続し、該凹部56と同程度の深さまで切りかかれた欠落部56aが形成されており、該一部の隔壁25,26については、該隔壁25,26の端部に加えて欠落部56aの一部が、流路分岐部44,45として機能する。斯かる流路分岐部44,45の存在によって、縦流路の分岐が一層複雑化するため、ナノバブル生成効率が一層向上するが、かかる欠落部56aは無くてもよい。
【0032】
図6には、本発明の撹拌子の第2実施形態が示されている。
第2実施形態の撹拌子1Bについては、第1実施形態の撹拌子1Aと異なる点について説明し、同様の点について説明を省略する。
第2実施形態の撹拌子1Bは、軸方向3に沿う外周部60を有している。軸方向3に沿う外周部60は、円筒状の本体部30の外周部である。
そして、その外周部60に、軸方向3に沿って延びる複数本の凸条部61が形成されており、周方向Yに隣り合う凸条部61間に溝部62が形成されている。
【0033】
第2実施形態の撹拌子1Bにおいても、液体及び気体とともに容器に入れて上下や左右に振ったときに、第1実施形態の撹拌子1Aと同様の作用によって、撹拌子1B内を流れる、液体及び気体の混合流中の気泡に、剪断力及び機械的破砕力が働き、分散と混合が行われることで、ナノバブル及びナノバブルを高濃度で含むナノバブル含有液が得られる。
さらに外周部60に、軸方向3に沿って延びる複数本の凸条部61を有することにより、撹拌子1Bの表面が粗い状態となり、撹拌子1Bの周囲に乱流が生じ、液体及び気体の混合流の攪拌が一層促進される。その攪拌された混合流が、撹拌子1Bの内部の縦流路を通ることで、分散と混合による剪断力が一層加わり、一層効率的にナノバブル及びナノバブルを高濃度で含むナノバブル含有液が得られる。
凸条部61は、周方向に隣り合う凸条部61間に溝部61が形成されるような間隔及び突出高さで設けることが好ましい。
【0034】
乱流を発生させてナノバブルの生成効率を向上させる観点から、
図6(c)に示すように、凸条部61は、外周部60の全周囲に分布していることが好ましい。同様の観点から、外周部60に形成する凸条部61の本数は、好ましくは10本以上であることが好ましい。
撹拌子1Bにおける凸条部61は、本体部30及び撹拌子1Bにおける軸方向Xの全長の50%以上の長さを有するが、
図11(a)に示すように、軸方向Xの長さが短い凸条部61aが軸方向Xに沿って複数個、間欠的に配列されてなる間欠凸条部61が、撹拌子の周方向Yに複数形成されていてもよい。
また撹拌子1Bの凸条部61及び
図11(a)に示す凸条部61は、いずれも、軸方向Xに平行に配置されているが、本発明の撹拌子の表面、好ましくは外周面に設ける凸条部は、必ずしも軸方向Xに平行に配置される必要はなく、例えば、
図11(b)及び(c)に示す凸条部61のように、軸方向Xに対して角度が付いていたり、波状になっていてもよい。波状は、ジグザグ形状の他、ジグザグ形状の各角部を円弧状とした連続波状、角部を有することなく向きが異なる円弧が長手方向に交互に連なった連続波状等であってもよい。軸方向X等の一方向に延びる凸条部61に代えて、一方向及びその直交方向、例えば軸方向X及び周方向Yのそれぞれに間隔を開けて配置された複数の突起部63を設けることもできる。斯かる突起部63の一例を
図11(d)に示した。
図11(a)乃至(d)は、攪拌子の表面に設ける凸条部又は突起部の一例を示す撹拌子の外周面展開図であり、円筒状の本体部の周方向における一部分の外周面、例えば半周分の外周面の展開図である。
凸条部61及び突起部63は、それぞれ、同じ形状が等間隔に配置される必要はなく、また、相互に異なる形状のものが組み合わされて、不規則又は不規則に配置されていてもよい。
【0035】
第2実施形態の撹拌子1Bは、一方の端部域10の開口部と他方の端部域20の開口部との間を連通する縦流路の内面に、軸方向Xに沿って延びる縦リブ65,66が形成されている。より具体的には、第1部31の第1流路13における、軸方向3と交差する径方向において相対向する面のそれぞれに縦リブ65が形成されており、第2部32の第1流路23の径方向において相対向する面のそれぞれにも同様の縦リブ65が形成されている。さらに第1部31の第2流路14における、軸方向3と交差する径方向において相対向する面のそれぞれに縦リブ66が形成されており、第2部32の第2流路24の径方向において相対向する面のそれぞれにも同様の縦リブ66が形成されている。
撹拌子1Bにおいても、
図4に示すように、第1部31の1つの第1流路13と第2部31の隣り合う2つの第1流路23とから、流路分岐部43を有する第1の縦流路41が形成されており、第2部32の1つの第1流路23と第1部31の隣り合う2つの第1流路13とから、流路分岐部44を有する第2の縦流路42が形成されている。
【0036】
第2実施形態の撹拌子1Bのように、内面に縦リブ65,66を有する縦流路を有すると、該縦流路内を流れる液体及び気体の混合流中の気泡に一層大きな機械的破砕力が働き、一層効率的にナノバブル及びナノバブルを高濃度で含むナノバブル含有液が得られる。
【0037】
図7及び
図8には、本発明の撹拌子の第3実施形態が示されている。
第3実施形態の撹拌子1Cについては、第1又は第2実施形態の撹拌子1A,1Bと異なる点について主に説明し、同様の点について説明を省略する。
第3実施形態の撹拌子1Cは、一方及び他方の端部域に形成された開口部の形状及び個数が、撹拌子1A,1Bと相違する。また外側環状配列部45を構成する縦流路41の内面に形成された縦リブ66が、径方向において相対向する2面ではなく、周方向Yに相対向する2面に形成されている。
【0038】
本発明の撹拌子の形成材料としては、例えば、合成樹脂、バイオプラスチック、セラミック、金属、これら2以上の組み合わせ等が挙げられる。これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリ乳酸等の合成樹脂及びバイオプラスチックが好ましい。
撹拌子の軸方向の全長は、効率的な混合、分散の観点から、好ましくは14mm以上、より好ましくは20mm以上である。上限は特にないが、例えば35mm以下、好ましくは30mm以下である。撹拌子の径方向の大きさは、口首部の内径が比較的小さいボトル容器等にも入れ易くする観点、容器内に複数入れた状態での攪拌性向上の観点等から、直径が、好ましくは20mm以下、より好ましくは16mm以下である。軸方向Xと直交する断面形状の輪郭が円弧状でない場合は、該輪郭に接する最小外接円の直径を直径とする。直径は、直径が最大となる部位(撹拌子1Aは本体部30)の直径であり、該直径に対する軸方向Xの全長の比は、好ましくは0.7以上、より好ましくは1.0以上であり、また好ましくは3.5以下、より好ましくは2.0以下である。
【0039】
本発明のナノバブル生成容器は、
図5に示すように、容器91と該容器91内に収容されるナノバブル生成攪拌子1とを備えている。好ましい実施形態としては、ナノバブル生成攪拌子1として、上述した撹拌子1A~1Cを含んでいる。
そして、本発明のナノバブル生成容器を用いてナノバブルを発生させるためには、
図5に示すように、容器91内に、液体92、気体93及びナノバブル生成攪拌子1を収容し、キャップで密閉した後、その容器を手に持ち上下や左右に複数回振る。それにより、液体及び気体が混合されるとともに、ナノバブル生成攪拌子1内を混合流が流通し、ナノバブルが効率的に発生する。これにより、ナノバブルを高濃度に含有するナノバブル含有液が得られる。容器91に収容するナノバブル生成攪拌子1は、好ましくは複数であり、例えば2個以上5個以下とすることができる。また、ナノバブル生成攪拌子1は、通常、他の部材を挿通したり、他の部材に固定しないフリー(自由)な状態で使用する。
【0040】
液体92の種類は特に制限されず、ナノバブルを含有させたい任意の液体を用いることができる。液体としては、水、肌に使用する化粧水、乳液又は美容液、洗顔料等の洗浄剤、手指の消毒剤等の消毒剤、衣類や住居等の洗浄剤等が挙げられる。
本発明の撹拌子又はナノバブル生成容器で生成したナノバブル又はナノバブル含有液の用途に特に制限はない。ナノバブルの機能としては、例えば、洗浄力増強効果が挙げられる。洗浄力増強機能を発揮させる用途としては、洗浄剤が挙げられる。水及び界面活性剤を含有する洗浄剤中にナノバブルを発生させることで、界面活性剤が少ない系でも、皮脂汚れ等の油脂を含む汚れ等に対して高い洗浄力を期待できる。
【0041】
本発明の撹拌子又はナノバブル生成容器で生成させるナノバブルは、粒子径が1μm未満であり、好ましくは粒子径が250nm以下であり、さらに好ましくは170nm以下である。
本発明の撹拌子又はナノバブル生成容器で得るナノバブル含有液は、ナノバブルの濃度が、好ましくは1.0×108個/mL以上、より好ましくは2.0×108個/mL以上である。
【0042】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。
例えば、
図9に示す撹拌子1のように、縦流路と外周面に開口する開口部とを連通する横方向流路を有しないものであってもよく、内側横方向流路を有しないものであってもよい。また
図10に示す攪拌子1のように、中心軸からの距離が等しい複数の縦流路からなる単一の環状配列部のみを有するものであってもよい。
また一端開口部と他端開口部とを連通する流路が、該流路内で軸方向に沿う3又は4つ以上の流路に分岐していてもよい。
【0043】
また外側環状配列部45を構成する縦流路と内側環状配列部47を構成する縦流路のうちのいずれか一方のみが内面に縦リブを有していてもよい。また縦流路内面の縦リブを、径方向において相対向する面の一方のみに有していてもよく、周方向において相対向する面の一方のみに有していてもよい。縦流路内面の縦リブは、必ずしも軸方向に沿って形成されている必要はない。
前述した各実施形態においては、外側環状配列部45又は内側環状配列部47等の環状配列部を構成する縦流路やその開口部は、撹拌子の周方向に等間隔に配置されていたが、必ずしも等間隔に配置しなくてもよい。
【0044】
前述したとおり、本発明の撹拌子は、複数のパーツを接合することなく、3Dプリンター等で一体成形することもできる。その場合、流路分岐部43,44、横方向流路51,52及び内側横方向流路等の、軸方向Xと非平行な流路を、軸方向Xにおける任意の位置に自由に配置することができ、より複雑な分岐を有する撹拌子の設計が可能となる。
【実施例0045】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)
図1乃至
図4に示す形状及び構成の撹拌子を製造した。
材質はアクリル樹脂とし、軸方向の全長は21.8mm、本体部の直径は16mmとした。
(実施例2)
図6に示す形状及び構成の撹拌子を製造した。
材質はアクリル樹脂とし、軸方向の全長は21.8mm、本体部の直径は16mmとした。
(実施例3)
図7に示す形状及び構成の撹拌子を製造した。
材質はアクリル樹脂とし、軸方向の全長は21.8mm、本体部の直径は16mmとした。
【0046】
(評価)
実施例1~3で製造した撹拌子のそれぞれについて、以下の方法によりナノバブル生成試験を行った。
(試験方法)
3個の撹拌子を、120mLの液体とともに、高さ150mm、内容積150mLのボトル容器内に収容してキャップで密閉した。ボトル容器内の液体部分を除く部分の容積は30mLであった。
このボトルを手に持ち、1秒間に1往復のペースで上下に15回振った。振り幅は5~15cm程度とした。その後、サンプル瓶に内容液を移し替え1日以上放置したのち、その液体についてナノバブルの濃度を以下の方法により測定した。
(ナノバブルの濃度の測定方法)
使用機種:NANOSIGHT NS300 (Malvern Panalytical)、積算回数:N=3
【0047】
実施例1のナノバブル濃度を100として実施例1~3の相対比較値を以下に示した。
実施例1:実施例2:実施例3 = 100:183:192
ナノバブルの濃度は、実施例1~3のいずれも5.0×107個/mL以上であった。
【0048】
上記の結果から、本発明の撹拌子及びそれを用いたナノバブル生成容器によれば、ナノバブルを効率的に生成させることができ、ナノバブルを高濃度に含有するナノバブル含有液を効率よく生成することができることが判る。