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特開2024-25245ギヤダンパ、これを組み込んだバランサ装置、及びその駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025245
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】ギヤダンパ、これを組み込んだバランサ装置、及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/00 20060101AFI20240216BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20240216BHJP
   F16H 57/12 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F02B77/00 L
F16H1/06
F16H57/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128527
(22)【出願日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179970
【弁理士】
【氏名又は名称】桐山 大
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】岩田 直也
【テーマコード(参考)】
3J009
【Fターム(参考)】
3J009DA11
3J009EA11
3J009EA21
3J009EA50
3J009EB01
3J009EB14
3J009EB30
3J009FA10
(57)【要約】
【課題】回転伝達経路に、動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、駆動ギヤと従動ギヤとの間の歯同士の衝突を和らげ、あるいは無くすこと。
【解決手段】バランサ装置11は、ピストン103に連結されるクランクシャフト105の動力をバランスシャフト12の回転駆動力として利用するために、クランクシャフト105に固定したドライブギヤ107と、バランスシャフト12に固定したドリブンギヤ33とを同一のギヤ比で噛み合わせ、バランスシャフト12をクランクシャフト105と逆方向に回転させる。ドリブンギヤ33は、バランスシャフト12に弾性体32を介して結合されている。クランクシャフト105の角加速度に変動が生ずるタイミングで、ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける方向に偏心を生じさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスシャフトの外周側に弾性体を介して結合され、クランクシャフトに固定されたドライブギヤと同一のギヤ比で噛み合うドリブンギヤと、
前記ドリブンギヤの円周上一か所で、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心を生じさせる偏心発生部と、
を備えるギヤダンパ。
【請求項2】
前記弾性体の内周側に前記バランスシャフトと嵌め合いをなすシャフト孔を備え、
前記偏心発生部は、前記バランスシャフトに対する前記シャフト孔の偏心によって実現されている、
請求項1に記載のギヤダンパ。
【請求項3】
前記偏心発生部は、前記ドリブンギヤの周上にアンバランスに配置された薄肉部によって実現されている、
請求項1に記載のギヤダンパ。
【請求項4】
前記薄肉部は、前記ドリブンギヤの周上の一か所に設けられている、
請求項3に記載のギヤダンパ。
【請求項5】
前記薄肉部は、底を有する穴である、
請求項3又は4に記載のギヤダンパ。
【請求項6】
前記薄肉部は、貫通孔である、
請求項3又は4に記載のギヤダンパ。
【請求項7】
ピストンに連結されるクランクシャフトに固定されたドライブギヤから動力を伝達されて前記クランクシャフトと逆方向に回転するバランスシャフトと、
前記バランスシャフトの外周側に弾性体を介して結合され、前記クランクシャフトに固定されたドライブギヤと同一のギヤ比で噛み合うドリブンギヤと、
前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングで、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心を生じさせる偏心発生部と、
を備えるバランサ装置。
【請求項8】
直列二気筒等間隔燃焼エンジンに用いられる、
請求項7に記載のバランサ装置。
【請求項9】
前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングは、角加速度が増加から減少に転ずるタイミングである、
請求項7又は8に記載のバランサ装置。
【請求項10】
前記弾性体の内周側に前記バランスシャフトと嵌め合いをなすシャフト孔を備え、
前記偏心発生部は、前記バランスシャフトに対する前記シャフト孔の偏心によって実現されている、
請求項7又は8に記載されたバランサ装置。
【請求項11】
前記偏心発生部は、前記ドリブンギヤの周上にアンバランスに配置された薄肉部によって実現されている、
請求項7又は8に記載されたバランサ装置。
【請求項12】
ピストンに連結されるクランクシャフトに固定されたドライブギヤからドリブンギヤを介して動力を伝達されたバランスシャフトが前記クランクシャフトと逆方向に回転する工程と、
前記バランスシャフトの回転時、前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングで、前記バランスシャフトに弾性体を介して結合された前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心させる工程と、
を備えるバランサ装置の駆動方法。
【請求項13】
前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングは、角加速度が増加から減少に転ずるタイミングである、
請求項12に記載のバランサ装置の駆動方法。
【請求項14】
前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングは、角加速度が減少から増加に転ずるタイミングである、
請求項12に記載のバランサ装置の駆動方法。
【請求項15】
前記弾性体の内周側に設けられた前記バランスシャフトと嵌め合いをなすシャフト孔を偏心させることで、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心させる、
請求項13又は14に記載されたバランサ装置の駆動方法。
【請求項16】
前記ドリブンギヤの周上にアンバランスに配置された薄肉部によって、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心させる、
請求項13又は14に記載されたバランサ装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ギヤダンパ、これを組み込んだバランサ装置、及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力伝達系の振動を減衰するための手法として、動力伝達系にギヤダンパを介在させることがある。ギヤダンパは、回転軸側と歯車側との間に弾性体を介在させた動力伝達体であり、例えばエンジンの振動を減衰するバランサ装置に適用することができる。
【0003】
レシプロエンジンでは、ピストンの上下動に伴う重心位置の変動によって振動が発生する。このとき問題になる振動は、一次振動及び二次振動である。
【0004】
一次振動は、クランクシャフトが一回転する間に一回発生する振動である。
【0005】
このような一次振動は、単気筒エンジン、及びパラレルツインと呼ばれる直列二気筒エンジンのうちの360度クランクエンジンに発生する。直列二気筒360度クランクエンジンは、二つの気筒が同じ位相で上下動して360度間隔で燃焼を生じさせるエンジンである。直列二気筒等間隔燃焼エンジンとも呼ばれる。これらの単気筒及び直列二気筒等間隔燃焼エンジンでは、クランクシャフトが360度回転する間にピストンの重心位置が一回変化し、一次振動が発生する。
【0006】
一次振動は、直列二気筒の270度クランクエンジンにも発生するが、こちらに関しては説明を省略する。
【0007】
二次振動は、クランクシャフトが一回転する間に二回発生する振動である。直列二気筒の180度クランクエンジンや四気筒エンジンなどに発生する。こちらに関しても説明は省略する。
【0008】
こうしてエンジンに発生する一次振動や二次振動などの振動を減衰するのがバランサ装置である。バランサ装置は、クランクシャフトからの動力によってバランスシャフトを回転させ、エンジンに発生する振動を減衰させる。一次振動を減衰するバランサ装置は、一本のバランスシャフトをクランクシャフトと同じ回転数で逆方向に回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08-074976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ギヤとギヤとを噛み合せて二軸間で動力を伝達するためには、互いに噛み合う二つのギヤの間にバックラッシュを設けることが不可欠である。その一方でバックラッシュは、ギヤの歯同士の衝突によって発生する歯打ち音の発生原因になる。
【0011】
レシプロエンジンに設けたバランサ装置では、動力の伝達を担う二つのギヤ、つまりクランクシャフト側の駆動ギヤとバランスシャフト側の従動ギヤとの間に歯同士の衝突が発生する。このような歯同士の衝突は、特許文献1に記載されているように、クランクシャフトの角加速度が変動するタイミング、より詳しくは角加速度が増加から減少に転ずるとき、あるいは減少から増加に転ずるときに発生する(特許文献1の段落[0005]参照)。
【0012】
駆動ギヤと従動ギヤとの歯同士の衝突は、歯打ち音による騒音を生じさせ、フリクションの増加によるエネルギーロスを引き起こす。改善に向けた対策が求められる。
【0013】
この点特許文献1は、クランクシャフトの角加速度が増加から減少に転ずるクランク角として、同文献1の図7に示される20度から180度間隔の角度を挙げ、減少から増加に転ずるクランク角として110度から180度間隔の角度を挙げている(特許文献1の段落[0023][0024]、図7参照)。その上で特許文献1では、「入力側又は出力側の歯車に周期的に発生する角加速度の変化タイミングに応じて、出力側又は入力側の歯車に他のタイミングよりも回転抵抗を多く付与する回転抵抗付与手段」を設けることが提案されている(特許文献1の段落[0007][0025]-[0027]参照)。
【0014】
この出願の発明者は、クランクシャフト側の駆動ギヤとバランスシャフト側の従動ギヤとの間の歯同士の衝突という現象に接し、回転伝達経路に、特許文献1に記載された回転抵抗付与手段のような動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、ギヤの歯同士の衝突を和らげ、あるいは無くすことができる手法の開発に向けて創作活動を重ねた。
【0015】
本開示の課題は、回転伝達経路に、動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、駆動ギヤと従動ギヤとの間の歯同士の衝突を和らげ、あるいは無くすことである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ギヤダンパの一態様は、バランスシャフトの外周側に弾性体を介して結合され、クランクシャフトに固定されたドライブギヤと同一のギヤ比で噛み合うドリブンギヤと、前記ドリブンギヤの円周上一か所で、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心を生じさせる偏心発生部と、を備える。
【0017】
バランサ装置の一態様は、ピストンに連結されるクランクシャフトに固定されたドライブギヤから動力を伝達されて前記クランクシャフトと逆方向に回転するバランスシャフトと、前記バランスシャフトの外周側に弾性体を介して結合され、前記クランクシャフトに固定されたドライブギヤと同一のギヤ比で噛み合うドリブンギヤと、前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングで、前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心を生じさせる偏心発生部と、を備える。
【0018】
バランサ装置の駆動方法の一態様は、ピストンに連結されるクランクシャフトに固定されたドライブギヤからドリブンギヤを介して動力を伝達されたバランスシャフトが前記クランクシャフトと逆方向に回転する工程と、前記バランスシャフトの回転時、前記クランクシャフトの角加速度に変動が生ずるタイミングで、前記バランスシャフトに弾性体を介して結合された前記ドリブンギヤを前記ドライブギヤに近づける方向に偏心させる工程と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、回転伝達経路に、動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、駆動ギヤと従動ギヤとの間の歯同士の衝突を和らげ、あるいは無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態のバランサ装置を組み込んだ単気筒エンジンの(A)は構造を説明する模式図、(B)は吸気、圧縮、燃焼、排気のサイクルとクランク角との関係を示すグラフ。
図2】本実施の形態のバランサ装置を組み込んだ直列二気筒等間隔燃焼エンジンの(A)は構造を説明する模式図、(B)は吸気、圧縮、燃焼、排気のサイクルとクランク角との関係を示すグラフ。
図3】バランサ装置に組み込まれたギヤダンパを示す斜視図。
図4】ギヤダンパに設けられた弾性体を示す斜視図。
図5】ギヤダンパが備える第1の実施の形態の偏心発生部をその機能とともに示す模式図。
図6】ギヤダンパが備える第2の実施の形態の偏心発生部をその機能とともに示す模式図。
図7】直列二気筒等間隔燃焼エンジンにおいて、クランクシャフトの回転状態と歯打ち音との関係を示すグラフ。
図8】歯打ち音の発生メカニズムを説明するために、(A)はピストンが上死点に向かっているとき、(B)はピストンが上死点に到達したとき、(C)はピストンが下死点に向かっているとき、(D)はピストンが下死点に到達したときのドライブギヤの歯車とドリブンギヤの歯車との状態をそれぞれ示す模式図。
図9】単気筒エンジンに適用した場合におけるドライブギヤとドリブンギヤとの歯同士の衝突の緩和タイミングを説明するための模式図。
図10】直列二気筒等間隔燃焼エンジンに適用した場合におけるドライブギヤとドリブンギヤとの歯同士の衝突の緩和タイミングを説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施の形態は、パラレルツインと呼ばれる二気筒直列エンジンへの適用例である。つぎの項目に沿って説明する。
【0022】
1.構成
(1)バランサ装置を適用するエンジン
(1-1)単気筒エンジン
(1-2)直列二気筒等間隔燃焼エンジン
(1-3)一次振動
(2)バランサ装置
(3)ギヤダンパ
(4)偏心発生部
(4-1)第1の実施の形態
(4-2)第2の実施の形態
2.作用効果
(1)歯同士の衝突
(2)衝突の緩和(バランサ装置の駆動方法)
(3)各種エンジンへの適用例
(3-1)単気筒エンジン
(3-2)直列二気筒等間隔燃焼エンジン
(4)その他の作用効果
3.変形例
【0023】
1.構成
(1)バランサ装置を適用するエンジン
本実施の形態のバランサ装置11が適用されるエンジン101は、単気筒エンジン101A、より好ましくは直列二気筒の360度クランクエンジン、いわゆる直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bである。
【0024】
(1-1)単気筒エンジン
図1(A)に示すエンジン101は、単気筒エンジン101Aである。単気筒エンジン101Aは、一つのシリンダ102のみを備え、シリンダ102内に往復移動自在にピストン103を組み込んでいる。ピストン103は、コネクティングロッド104を介してクランクシャフト105に連結されている。ピストン103によって規定されるシリンダ102内の空間は、燃焼室106である。
【0025】
燃焼室106内ではピストン103の往復運動によって吸気、圧縮、燃焼、排気の各行程が繰り返され、このときのピストン103の往復運動がコネクティングロッド104を介してクランクシャフト105に伝達され、クランクシャフト105の回転運動として出力される。
【0026】
図1(B)に示すように、ピストン103が上死点に位置しているときのクランクシャフト105の回転位置、つまりクランク角を0度とすると、ピストン103が下降して下死点に到達したときのクランアングルは180度である。その間に燃焼室106では吸気行程が行なわれる。
【0027】
その後ピストン103は再び上死点を目指して移動することで圧縮行程が行なわれ、ピストン103が上死点に達すると燃焼行程が行なわれる。図1(B)中、符号fは燃焼を示している。このときのクランク角は360度、つまりクランクシャフト105は一回転している。
【0028】
燃焼fによって燃焼室106内では燃焼気体の膨張が発生し、ピストン103は再び下死点に向けて下降する。ピストン103が下死点に到達したときのクランク角は540度である
【0029】
下死点に到達したピストン103は再び上昇し、排気行程が行なわれる。ピストン103が上死点に到達すると、吸気、圧縮、燃焼、排気のサイクルが完了する。このときのクランク角は720度、つまりクランクシャフト105は二回転している。
【0030】
図7に基づいて後述するように、クランクシャフト105側のドライブギヤ107とバランスシャフト12側のドリブンギヤ33との間で生ずる歯打ち音は、燃焼室106内の燃焼のタイミングでの発生が支配的である。単気筒エンジン101Aは、ピストン103の往復運動に伴うクランクシャフト105の二回転、つまり720度に一度の割合で燃焼を生じ、そのタイミングで比較的大きな歯打ち音を発生させる。
【0031】
(1-2)直列二気筒等間隔燃焼エンジン
図2(A)に示すエンジン101は、直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bである。このエンジン101は、二つのシリンダ102を直列に配列している。こうしたシリンダ102の配列から、直列二気筒はパラレルツインとも呼ばれている。
【0032】
図2(B)に示すように、直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bでは、二つのシリンダ102間でクランクシャフト105を同一位相で駆動し、吸気、圧縮、燃焼、排気の各行程からなるサイクルを360度ずらして実行している。つまり1番シリンダと2番シリンダとに等間隔の360度間隔で燃焼fを発生させている。これにちなんで直列二気筒360度クランクエンジンとも呼ばれている。
【0033】
1番シリンダと2番シリンダとの間の同一位相駆動及び360度ごとの燃焼fについては、図2(B)中に示すクランク角の曲線及び燃焼fの位置を参照することで、容易に理解することができよう。
【0034】
このように直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bは、ピストン103の往復運動に伴うクランクシャフト105の一回転、つまり360度に一度の割合で燃焼を生ずるので、そのタイミングで比較的大きな歯打ち音を発生させる。
【0035】
直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bにおける
A.シリンダ102の内部にピストン103を往復運動自在に設け、コネクティングロッド104を介してピストン103とクランクシャフト105とを連結する基本構造
B.吸気、圧縮、燃焼、排気の各行程からなるサイクル、及び
C.各行程とクランク角との関係
については、単気筒エンジン101と共通しているため、説明は省略する。
【0036】
(1-3)一次振動
単気筒エンジン101Aでは、クランクシャフト105が360度回転する間にピストン103の重心位置が一回変化し、このような重心の変化によって一次振動が発生する。この点は直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bもクランク角が同位相であることから単気筒エンジン101Aと同様で、クランクシャフト105が360度回転する間にピストン103の重心位置が一回変化して一次振動が発生する。
【0037】
その一方で、これらの単気筒エンジン101A及び直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bでは二次振動は問題とならず、偶力による振動も発生しない。クランク角に位相差が発生しないからである。
【0038】
(2)バランサ装置
図1(A)及び図2(A)に示すように、本実施の形態のバランサ装置11は、単気筒エンジン101A及び直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bを適用対象として、エンジン101に発生する一次振動を減衰する。したがって一本のバランスシャフト12をクランクシャフト105と同じ回転数で逆方向に回転させる構造を基本としている。
【0039】
バランサ装置11は、クランクシャフト105に固定されたドライブギヤ107によってバランスシャフト12に動力を伝達し、クランクシャフト105とは逆方向にバランスシャフト12を回転させる。クランクシャフト105の回転をバランスシャフト12に伝達するのはギヤダンパ31である。
【0040】
(3)ギヤダンパ
図3に示すように、クランクシャフト105とバランスシャフト12とは、それぞれの軸A1、A2を平行に配置し、同一の端部側に設けたドライブギヤ107とギヤダンパ31とを噛み合わせている。ギヤダンパ31は、バランスシャフト12の一端側に固定した弾性体32を介してドリブンギヤ33を結合している。ドリブンギヤ33は、クランクシャフト105に固定されたドライブギヤ107と噛みあい、クランクシャフト105の回転をバランスシャフト12に伝達する金属製のギヤである。ドリブンギヤ33はドライブギヤ107と同一のギヤ比で噛み合い、バランスシャフト12をクランクシャフト105と同一の角速度で回転させる。
【0041】
図4に示すように、弾性体32は、断面をL字形状にした一対のサポート34の間に、弾性材料35を充填している。一対のサポート34は、例えばアルミやステンレスなどの金属製の部材で、互いの長辺34Lを対面させて、互いの短辺34Sを同一平面内に配置している。この場合の平面は、ギヤダンパ31の軸A3(図5参照)と直交する平面である。説明の便宜上、一対のサポート34のうち、内周側に位置するものは内周サポート34A、外周側に位置するものは外周サポート34Bと呼ぶ。
【0042】
弾性材料35は、例えば合成ゴムなどの高分子系材料である。合成ゴムとしては、例えば水添ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどを用いることが可能である。
【0043】
弾性体32は、バランスシャフト12の外周面に設けられた段部状の部分(図示せず)に、内周サポート34Aの長辺34Lと短辺34Sとによって形成される段部状の部分を嵌め合わせ、ドリブンギヤ33の内周面に設けられた段部状の部分(図4参照)に、外周サポート34Bの長辺34Lと短辺34Sとによって形成された段部状の部分を嵌め合わせ、バランスシャフト12とドリブンギヤ33とを結合している。このとき弾性材料35は圧縮されて弾性変形し、バランスシャフト12とドリブンギヤ33との結合状態を強固にする。
【0044】
(4)偏心発生部
レシプロエンジン(エンジン101)では、主にシリンダ102内で発生する燃焼動作の影響で、クランクシャフト105の角速度に変動が生ずる。詳細は図7及び図8に基づいて後述するが、本実施の形態のバランサ装置11は、クランクシャフト105の角加速度に変動が生ずるタイミングで、ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける方向に偏心させる偏心発生部36を備えている。
【0045】
(4-1)第1の実施の形態
偏心発生部36の第1の実施の形態を図5に基づいて説明する。
【0046】
図5に示すように、弾性体32は、その内周側にバランスシャフト12と嵌め合いをなすシャフト孔37を備えている。偏心発生部36は、バランスシャフト12に対するシャフト孔37の偏心によって、ギヤダンパ31を偏心させている。
【0047】
より詳しくは、ギヤダンパ31は軸A3を有している。この軸A3は、弾性体32及びドリブンギヤ33の中心をなす軸である。これに対して弾性体32の一部をなす内周サポート34Aは、バランスシャフト12と嵌め合いをなすに際して、バランスシャフト12の軸A2にギヤダンパ31の軸A3を一致させず、軸A2に対して軸A3を偏心させる。そこでバランスシャフト12の軸A2には、ギヤダンパ31の軸A3からずれた軸A4が一致することになる。軸A4は、図5中、弾性体32の真の軸A3よりもやや下方に位置する軸である。
【0048】
すると図5中、ギヤダンパ31は、バランスシャフト12に対してやや下方にずれた位置に固定される。その結果ドライブギヤ107に対するドリブンギヤ33のバックラッシュは、図5中、上方位置では小さく、下方位置では大きくなる。両ギヤ107、33の間のバックラッシュについては後述する。
【0049】
(4-2)第2の実施の形態
偏心発生部36の第2の実施の形態を図6に基づいて説明する。
【0050】
図6に示すように、ギヤダンパ31が有しているドリブンギヤ33には、その側面の一か所に薄肉部38を設けている。薄肉部38は、一例としては底を有する穴であり、別の一例としては貫通孔である。底を有する穴は、ドリブンギヤ33の肉を部分的に薄くした文字通りの薄肉形状を有している。貫通孔は、ドリブンギヤ33の肉を部分的になくした形態である。つまり薄肉部38は、肉に相当する部分を有する形状であっても(例えば底を有する穴)、肉に相当する部分を有しない形状であっても(例えば貫通孔)、いずれでもよい。
【0051】
図6では、ドリブンギヤ33の側面一か所にのみ薄肉部38が設けられている態様を示しているが、ドリブンギヤ33の周上にアンバランスに配置されていれば、薄肉部38は必ずしも一か所にのみ設けられている必要はない。薄肉部38は複数個所に設けられていてもよい。ドリブンギヤ33の周上にアンバランスに配置されているという意味は、ドリブンギヤ33が回転した際、局所的に遠心力に偏りを生じさせ得るような配置状態を意味している。
【0052】
前述したように、ドリブンギヤ33は弾性体32という弾性変形する部材を介してバランスシャフト12に結合されている。このためドリブンギヤ33は、いわばすきまバメをしたときのようなクリアランスを径方向に持つことになる。するとドリブンギヤ33は、薄肉部38を有していることによって、その回転時に局所的な遠心力の偏りを生じ、一回転するうちの一か所で、ドライブギヤ107に近づく方向に偏心するように回転する。そこで薄肉部38の配置位置は、クランクシャフト105の角加速度に変動が生ずるタイミングで、ドリブンギヤ33にドライブギヤ107に近づく方向への偏心が生ずるように定められる。これによって偏心発生部36が構成される。
【0053】
例えば図6に示す状態のとき、ドライブギヤ107とドリブンギヤ33との間のバックラッシュは、図6中、上方位置では小さく、下方位置では大きくなると仮定したとき、クランクシャフト105の角加速度に変動が生ずるタイミングに合わせて、薄肉部38の位置を図6に示す位置に合わせればよい。両ギヤ107、33の間のバックラッシュについては後述する。
【0054】
2.作用効果
(1)歯同士の衝突
図7は、直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bにおけるクランクシャフト105の回転状態と歯打ち音との関係を示すグラフである。横軸は、1番及び2番のシリンダ102の各行程と共にクランク角を示している。縦軸は、クランクシャフト105の角加速度の変動量と歯打ち音の大小とを示している。
【0055】
図7に示すように、レシプロエンジン(エンジン101)では、主にシリンダ102内で発生する燃焼の影響で、クランクシャフト105の角加速度に変動が発生する。
【0056】
図7のグラフを参照すると、クランクシャフト105の回転角速度は、クランク角が0度、360度、720度、1080度、1440度から20度程度進んだ20度、380度、740度、1100度、1460度のあたりで大きく変動していることがわかる。これは0度、720度、1440度での2番シリンダの燃焼、及び360度1080度での1番シリンダの燃焼が原因であると推定される。
【0057】
図7のグラフに示されているように、クランクシャフト105の回転角速度に変動が生ずると、これに呼応するように歯打ち音が発生することがわかる。つまり歯打ち音は、クランクシャフト105の回転角速度が大きく変動するタイミングで発生する。このときの歯打ち音は、ドライブギヤ107とドリブンギヤ33との歯107a、33a同士が衝突するときに発生する衝撃音である(図8(A)~(D)参照)。
【0058】
図7のグラフによれば、クランクシャフト105の回転角速度が減少から増加に転ずるときにも(クランク角が180度、540度、900度、1260度から20度程度進んだタイミング)、歯打ち音が発生することが示されている。このときの歯打ち音は、シリンダ102内の燃焼行程に起因すると推定されるクランクシャフト105の回転角速度が増加から減少に転ずるときの歯打ち音に比べて小さい。このため本実施の形態では、そのような比較的小さな歯打ち音については、特に対策をとっていない。
【0059】
図8(A)~(D)は、ドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの噛み合い状態を示す模式図である。両ギヤ107、33の間にはバックラッシュが設定されており、両者の歯107a、33aの間には余裕が設けられている。バックラッシュは二つの歯車の間で回転を伝達する場合に不可欠なもので、バックラッシュがなければ二つの歯車は噛み合ったまま回転することができない。図8(A)~(D)中、矢印はドライブギヤ107の歯107aの進行方向を示している。
【0060】
歯打ち音は、ドリブンギヤ33を駆動中(図8(A)参照)のドライブギヤ107の回転角速度が減少したとき、ドリブンギヤ33が慣性力によってドライブギヤ107の歯107aの駆動面DSを追い抜き(図8(B)参照)、さらに進行してドライブギヤ107の歯107aの非駆動面NSに衝突する(図8(C参照))ことによって発生するものと考えられる。このような現象が発生するのは、ドライブギヤ107とドリブンギヤ33との間にバックラッシュがあるからである。
【0061】
(2)衝突の緩和(バランサ装置の駆動方法)
本実施の形態では、クランクシャフト105に固定されたドライブギヤ107からドリブンギヤ33を介して動力を伝達され、バランスシャフト12がクランクシャフト105と逆方向に回転する(バランスシャフト12がクランクシャフト105と逆方向に回転する工程)。このようなバランスシャフト12の回転時、偏心発生部36は、クランクシャフト105の角加速度が増加から減少に転ずる360度ごとのタイミングで、ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける方向に偏心させている(ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける方向に偏心させる工程)。
【0062】
より詳細には、ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける方向に偏心させるのは、クランク角が0度、360度、720度、1080度、1440度から20度程度進んだ20度、380度、740度、1100度、1460度、………という360度ごとのタイミングである。
【0063】
これによってドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの間のバックラッシュが小さくなり、あるいはなくなり、両ギヤ107、33の歯107a、33a同士の衝突を防止することができる。
【0064】
このときギヤダンパ31は、弾性体32を介してバランスシャフト12にドリブンギヤ33を結合させている。このためギヤダンパ31とドライブギヤ107との間のバックラッシュが小さくなり、あるいはなくなったとしても、両ギヤ107、33の歯107a、33a同士の回転を阻止する力を弾性体32の弾性変形によって逃がすことができ、両ギヤ107、33の間の回転伝達を妨げないようにすることができる。
【0065】
したがって本実施の形態によれば、ドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの間の衝突を防止することができる。これによって歯打ち音による騒音を低減し、フリクションの増加によるエネルギーロスの発生を抑制することができる。
【0066】
(3)各種エンジンへの適用例
本実施の形態のバランサ装置11を単気筒エンジン101A、及び直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bに適用したときの作用効果について説明する。
【0067】
(3-1)単気筒エンジン
図9のグラフに示すように、単気筒エンジン101Aでは、(N1)で示す箇所に、クランクシャフト105の角加速度に比較的大きな変動が発生する。シリンダ102内で燃焼が行なわれる360度、1080度、………のクランク角から20度程度進んだ380度、1100度、………のクランク角のタイミングである。
【0068】
そこで図9のグラフ中、クランク角が(N1)で示す箇所になるタイミングで、偏心発生部36によるドリブンギヤ33の偏心を生じさせるように各部をセッティングする。これによってそのタイミングで発生するはずだった歯107a、33a同士の衝突、つまりドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの間の衝突を防止し、あるいは緩和することができる。
【0069】
このとき偏心発生部36は、クランクシャフト105の一回転、つまり360度回転する間に一度のタイミングでドリブンギヤ33に偏心を生じさせる。図9のグラフ中、(N1)及び(N2)で示すタイミングである。クランク角が(N2)のタイミングのときには、クランクシャフト105の角加速度に大きな変動は発生せず、大きな歯打ち音も発生しないが、本実施の形態のバランサ装置11によれば、(N2)のタイミングのときにもドリブンギヤ33に偏心を生じさせる。このため(N2)のタイミングでのドリブンギヤ33の偏心は、ドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの間の衝突を防止し、あるいは緩和する(N1)のタイミングでのドリブンギヤ33の偏心に付随して発生する現象であると理解すべきである。
【0070】
したがって単気筒エンジン101Aに本実施の形態のバランサ装置11を適用すれば、歯打ち音による騒音を低減し、フリクションの増加によるエネルギーロスの発生を抑制することができる。
【0071】
(3-2)直列二気筒等間隔燃焼エンジン
図10のグラフに示すように、直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bでは、(N1)で示す箇所に、クランクシャフト105の角加速度に比較的大きな変動が発生する。1番及び2番の二つのシリンダ102内で燃焼が行なわれる0度、360度、720度、1080度、………のクランク角から20度程度進んだ20、380度、740度、1100度、………のクランク角のタイミングである。
【0072】
そこで図10のグラフ中、クランク角が(N1)で示す箇所になるタイミングで、偏心発生部36によるドリブンギヤ33の偏心を生じさせるように各部をセッティングする。このとき偏心発生部36は、クランクシャフト105の一回転、つまり360度回転する間に一度タイミングでドリブンギヤ33に偏心を生じさせる。その結果歯打ち音が発生するタイミングとドリブンギヤ33が偏心するタイミングとが一致し、そのタイミングで発生するはずだった歯107a、33a同士の衝突、つまりドライブギヤ107の歯107aとドリブンギヤ33の歯33aとの間の衝突が防止され、あるいは緩和される。
【0073】
したがって直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bに本実施の形態のバランサ装置11を適用すれば、歯打ち音による騒音を低減し、フリクションの増加によるエネルギーロスの発生を抑制することができる。
【0074】
(4)その他の作用効果
本実施の形態のギヤダンパ31、これを組み込んだバランサ装置11、及びバランサ装置11の駆動方法について説明した。これらのギヤダンパ31、バランサ装置11、及びバランサ装置11の駆動方法は、つぎのような作用効果も有している。
【0075】
本実施の形態では、バランスシャフト12に対するシャフト孔37の偏心によって偏心発生部36(第1の実施の形態)を実現しているので、特許文献1に記載された回転抵抗付与手段のような動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、偏心発生部36を実現することができる。したがってエンジン101の動力損失を抑えることができる。また部品点数の削減、構造の簡略化にも貢献する。
【0076】
本実施の形態では、ドリブンギヤ33をドライブギヤ107に近づける箇所に設けられた薄肉部38によって偏心発生部36(第2の実施の形態)を実現しているので、特許文献1に記載された回転抵抗付与手段のような動力伝達に抵抗を与える構造物を設けることなく、偏心発生部36を実現することができる。したがってエンジン101の動力損失を抑えることができる。また部品点数の削減、構造の簡略化にも貢献する。
【0077】
ギヤダンパ31、バランサ装置11、及びバランサ装置11の駆動方法は、単気筒エンジン101A、あるいは直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bに用いられる。したがってクランクシャフト105が二回転する間(単気筒エンジン101Aの場合)、あるいは一回転する間(直列二気筒等間隔燃焼エンジン101Bの場合)にドライブギヤ107とドリブンギヤ33とに発生する歯107a、33a同士の衝突(歯打ち音)を防止し、あるいは抑制することができる。
【0078】
3.変形例
実施に際しては、各種の変形や変更が可能である。
【0079】
例えば本実施の形態では、ギヤダンパ31を構成する弾性体32(サポート34及び弾性材料35)及びドリブンギヤ33について材料を示したが、これらの材料は例示にすぎず、実施に際しては別の材料によって弾性体32等を製造するようにしてもよい。
【0080】
また弾性体32として、一対のサポート34の間に弾性材料35を挟み込んだ形態のものを示したが、実施に際してはこれに限らず、あらゆる形態で弾性体32を実現することが可能である。例えばサポート34は設けず、弾性材料35だけで弾性体32を構成するようにしてもよい。またサポート34の形態も上記実施の形態で紹介したものに限らず、各種の形態が許容される。例えばバランスシャフト12との間だけに介在する形態でも、ドリブンギヤ33との間だけに介在する形態でもよく、その形状も断面L字形状のものに限られない。
【0081】
またバランスシャフト12に対してリムを固定し、リムとギヤダンパ31との間に各種形態の弾性体32を介在させるような構成であってもよい。つまり上記実施の形態に対して、構造物の追加、変更、削除が許容される。
【0082】
その他あらゆる変形や変更が許容される。
【符号の説明】
【0083】
11 バランサ装置
12 バランスシャフト
31 ギヤダンパ
32 弾性体
33 ドリブンギヤ
33a 歯
34 サポート
34A 内周サポート
34B 外周サポート
34L 長辺
34S 短辺
35 弾性材料
36 偏心発生部
37 シャフト孔
38 薄肉部
101 エンジン
101A 単気筒エンジン
101B 直列二気筒等間隔燃焼エンジン
102 シリンダ
103 ピストン
104 コネクティングロッド
105 クランクシャフト
106 燃焼室
107 ドライブギヤ
107a 歯
A1 軸(クランクシャフト)
A2 軸(バランスシャフト)
A3 軸(ギヤダンパ)
A4 軸
f 燃焼
DS 駆動面
NS 非駆動面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10