(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025253
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電子写真機器用帯電ロール
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20240216BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240216BHJP
F16C 13/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G03G15/02 101
G03G15/00 551
F16C13/00 B
F16C13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128556
(22)【出願日】2022-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154483
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 和寛
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 仁宏
(72)【発明者】
【氏名】末永 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】村井 愛実
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
3J103
【Fターム(参考)】
2H171FA24
2H171FA26
2H171FA27
2H171GA01
2H171QB03
2H171QB07
2H171TA02
2H171UA03
2H171UA07
2H171UA10
2H171UA12
2H171UA22
2H171VA02
2H171VA04
2H171VA06
2H200FA19
2H200HB12
2H200HB43
2H200HB45
2H200HB47
2H200MA03
2H200MA13
2H200MA17
2H200MA20
2H200MB01
2H200MC01
2H200MC06
3J103AA02
3J103AA13
3J103AA24
3J103AA51
3J103AA62
3J103AA85
3J103GA57
3J103GA58
3J103GA60
3J103HA04
3J103HA20
3J103HA41
3J103HA46
3J103HA53
(57)【要約】
【課題】放電特性の均一性に優れる電子写真機器用帯電ロールを提供する。
【解決手段】弾性体層14の外周面に周方向yに対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成され、溝幅w
1が4μm以上30μm以下、溝深さdが2μm以上12μm以下、弾性体層14の外周面のうち溝部22以外の部分である平面部24の幅w
2が4μm以上30μm以下であり、周方向yに対し溝部22の延びる方向の角度θと、溝部22の溝幅w
1と平面部24の幅w
2の比w
2/w
1と、の関係が特定の関係にあり、表層16はバインダーポリマー16aおよび粗さ形成用粒子18を含み、粗さ形成用粒子18は平面部24上および溝部22上にそれぞれ配置された帯電ロール10とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、前記軸体の外周面上に形成された弾性体層と、前記弾性体層の外周面上に形成された表層と、を備え、
前記弾性体層の外周面には、周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部が軸方向に規則的に形成されており、
前記溝部の溝幅w1が4μm以上30μm以下であり、
前記溝部の溝深さが2μm以上12μm以下であり、
前記弾性体層の外周面のうち前記溝部以外の部分である平面部の幅w2が4μm以上30μm以下であり、
周方向に対し前記溝部の延びる方向の角度θと、前記溝部の溝幅w1と前記平面部の幅w2の比w2/w1と、の関係が以下の(A)~(C)の関係にあり、
前記表層は、バインダーポリマーおよび粗さ形成用粒子を含んでおり、
前記粗さ形成用粒子は、前記弾性体層の前記平面部上および前記溝部上にそれぞれ配置されている、電子写真機器用帯電ロール。
(A)-5°≦θ≦+5°のとき、0.7≦w2/w1≦1.3
(B)-22°≦θ<-5°または+5°<θ≦+22°のとき、1.0≦w2/w1≦2.0
(C)-46°≦θ<-22°または+22°<θ≦+46°のとき、1.2≦w2/w1≦2.6
【請求項2】
前記溝部上の領域における前記表層の表面粗さRzが2μm以上16μm以下であり、前記表層全体の表面粗さRzが5μm以上26μm以下である、請求項1に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項3】
前記粗さ形成用粒子の平均粒子径が、3μm以上30μm以下である、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項4】
前記粗さ形成用粒子の材質が、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種である、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項5】
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みよりも、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みが厚い、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項6】
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みと、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みの差が、4μm以上16μm以下である、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項7】
前記弾性体層が、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含む、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項8】
前記表層のバインダーポリマーが、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種である、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項9】
前記粗さ形成用粒子は、1種類の粒子で構成されている、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項10】
前記弾性体層の外周面には、周方向に対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部とが交差する網目状の溝部が形成されている、請求項1または請求項2に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【請求項11】
前記溝部上の領域における前記表層の表面粗さRzが2μm以上16μm以下であり、前記表層全体の表面粗さRzが5μm以上26μm以下であり、
前記粗さ形成用粒子の平均粒子径が3μm以上30μm以下であり、
前記粗さ形成用粒子の材質が、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種であり、
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みよりも、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みが厚くあり、
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みと、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みの差が、4μm以上16μm以下であり、
前記弾性体層が、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含み、
前記表層のバインダーポリマーが、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種であり、
前記粗さ形成用粒子は、1種類の粒子で構成されており、
前記弾性体層の外周面には、周方向に対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部とが交差する網目状の溝部が形成されている、請求項1に記載の電子写真機器用帯電ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器において好適に用いられる電子写真機器用帯電ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真機器の帯電ロールとしては、芯金などの軸体の外周面上にゴム弾性を有する弾性体層を有し、その弾性体層の外周面上に表層を有するものが知られている。また、帯電ロールでは、例えば荷電特性などから、表層のバインダーポリマーに粗さ形成用粒子を添加することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表層に添加された粗さ形成用粒子は凝集しやすいことから、粗さ形成用粒子を添加する粗さ形成方法においては表面粗さの均一性が低下しやすい。特に、粒径の異なる2種以上の粗さ形成用粒子を用いて表面凹凸を形成しようとすると、粒径の異なる粒子ごとに凝集するため、表面粗さの均一性が特に低下しやすい。表面粗さの均一性が低下すると、帯電ロールの放電特性の均一性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、放電特性の均一性に優れる電子写真機器用帯電ロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子写真機器用帯電ロールは、軸体と、前記軸体の外周面上に形成された弾性体層と、前記弾性体層の外周面上に形成された表層と、を備え、前記弾性体層の外周面には、周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部が軸方向に規則的に形成されており、前記溝部の溝幅w1が4μm以上30μm以下であり、前記溝部の溝深さが2μm以上12μm以下であり、前記弾性体層の外周面のうち前記溝部以外の部分である平面部の幅w2が4μm以上30μm以下であり、周方向に対し前記溝部の延びる方向の角度θと、前記溝部の溝幅w1と前記平面部の幅w2の比w2/w1と、の関係が以下の(A)~(C)の関係にあり、前記表層は、バインダーポリマーおよび粗さ形成用粒子を含んでおり、前記粗さ形成用粒子は、前記弾性体層の前記平面部上および前記溝部上にそれぞれ配置されているものである。
(A)-5°≦θ≦+5°のとき、0.7≦w2/w1≦1.3
(B)-22°≦θ<-5°または+5°<θ≦+22°のとき、1.0≦w2/w1≦2.0
(C)-46°≦θ<-22°または+22°<θ≦+46°のとき、1.2≦w2/w1≦2.6
【0007】
前記溝部上の領域における前記表層の表面粗さRzは2μm以上16μm以下であり、前記表層全体の表面粗さRzは5μm以上26μm以下であるとよい。前記粗さ形成用粒子の平均粒子径は、3μm以上30μm以下であるとよい。前記粗さ形成用粒子の材質は、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種であるとよい。前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みよりも、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みが厚いとよい。前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みと、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みの差は、4μm以上16μm以下であるとよい。前記弾性体層は、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含むとよい。前記表層のバインダーポリマーは、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種であるとよい。前記粗さ形成用粒子は、1種類の粒子で構成されているとよい。前記弾性体層の外周面には、周方向に対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部とが交差する網目状の溝部が形成されているとよい。
【0008】
(1)本発明に係る電子写真機器用帯電ロールは、軸体と、前記軸体の外周面上に形成された弾性体層と、前記弾性体層の外周面上に形成された表層と、を備え、前記弾性体層の外周面には、周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部が軸方向に規則的に形成されており、前記溝部の溝幅w1が4μm以上30μm以下であり、前記溝部の溝深さが2μm以上12μm以下であり、前記弾性体層の外周面のうち前記溝部以外の部分である平面部の幅w2が4μm以上30μm以下であり、周方向に対し前記溝部の延びる方向の角度θと、前記溝部の溝幅w1と前記平面部の幅w2の比w2/w1と、の関係が以下の(A)~(C)の関係にあり、前記表層は、バインダーポリマーおよび粗さ形成用粒子を含んでおり、前記粗さ形成用粒子は、前記弾性体層の前記平面部上および前記溝部上にそれぞれ配置されているものである。
(A)-5°≦θ≦+5°のとき、0.7≦w2/w1≦1.3
(B)-22°≦θ<-5°または+5°<θ≦+22°のとき、1.0≦w2/w1≦2.0
(C)-46°≦θ<-22°または+22°<θ≦+46°のとき、1.2≦w2/w1≦2.6
【0009】
(2)上記(1)において、前記溝部上の領域における前記表層の表面粗さRzは2μm以上16μm以下であり、前記表層全体の表面粗さRzは5μm以上26μm以下であるとよい。
【0010】
(3)上記(1)または上記(2)において、前記粗さ形成用粒子の平均粒子径は、3μm以上30μm以下であるとよい。
【0011】
(4)上記(1)から上記(3)のいずれかにおいて、前記粗さ形成用粒子の材質は、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種であるとよい。
【0012】
(5)上記(1)から上記(4)のいずれかにおいて、前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みよりも、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みが厚いとよい。
【0013】
(6)上記(1)から上記(5)のいずれかにおいて、前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みと、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みの差は、4μm以上16μm以下であるとよい。
【0014】
(7)上記(1)から上記(6)のいずれかにおいて、前記弾性体層は、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含むとよい。
【0015】
(8)上記(1)から上記(7)のいずれかにおいて、前記表層のバインダーポリマーは、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種であるとよい。
【0016】
(9)上記(1)から上記(8)のいずれかにおいて、前記粗さ形成用粒子は、1種類の粒子で構成されているとよい。
【0017】
(10)上記(1)から上記(9)のいずれかにおいて、前記弾性体層の外周面には、周方向に対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部とが交差する網目状の溝部が形成されているとよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子写真機器用帯電ロールによれば、軸体と、前記軸体の外周面上に形成された弾性体層と、前記弾性体層の外周面上に形成された表層と、を備え、前記弾性体層の外周面には、周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部が軸方向に規則的に形成されており、前記溝部の溝幅w1が4μm以上30μm以下であり、前記溝部の溝深さが2μm以上12μm以下であり、前記弾性体層の外周面のうち前記溝部以外の部分である平面部の幅w2が4μm以上30μm以下であり、周方向に対し前記溝部の延びる方向の角度θと、前記溝部の溝幅w1と前記平面部の幅w2の比w2/w1と、の関係が上記の(A)~(C)の関係にあり、前記表層は、バインダーポリマーおよび粗さ形成用粒子を含んでおり、前記粗さ形成用粒子は、前記弾性体層の前記平面部上および前記溝部上にそれぞれ配置されていることから、放電特性の均一性に優れる。
【0019】
前記溝部上の領域における前記表層の表面粗さRzが2μm以上16μm以下であり、前記表層全体の表面粗さRzが5μm以上26μm以下であると、感光体と帯電ロールとの間に適切な放電空間と放電の起点を形成することができる。
【0020】
前記粗さ形成用粒子の平均粒子径が3μm以上30μm以下であると、適切な凹凸が形成されやすい。これにより、放電特性の均一性を向上することができる。
【0021】
前記粗さ形成用粒子の材質が、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種であると、誘電率の高い材料で前記粗さ形成用粒子が構成されるため、ロール表面の帯電性が向上する。
【0022】
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みよりも、前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みが厚いと、溝部上の粗さ形成用粒子の上での放電量と平面部上の粗さ形成用粒子の上での放電量を同じに調整し、放電特性の均一性を向上することができる。
【0023】
前記平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みと前記溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚みの差が4μm以上であると、平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの表面の電荷量が相対的に大きくなり、黒点画像が発生しない環境幅が広がる。また、上記厚みの差が16μm以下であると、適切な厚みに維持されるため、適切な凹凸が形成されやすい。これにより、放電特性の均一性を向上することができる。
【0024】
前記弾性体層がイソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含むと、圧縮永久歪が小さく、帯電ロールのセット時における変形部に対応するスジ画像の発生が抑えられる。
【0025】
前記表層のバインダーポリマーが、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種であると、誘電率の高い材料で前記バインダーポリマーが構成されるため、ロール表面の帯電性が向上する。また、圧縮永久歪が小さく、帯電ロールのセット時における変形部に対応するスジ画像の発生が抑えられる。
【0026】
前記粗さ形成用粒子が1種類の粒子で構成されていると、弾性体層の凹凸形状を帯電ロールの表面凹凸に反映しやすいため、帯電ロールの表面凹凸を制御しやすい。また、粗さ形成用粒子の凝集を制御しやすいため、表面粗さの均一性を向上することができる。さらに、粗さ形成用粒子を覆うバインダーポリマーの厚みを調整しやすいため、放電特性の均一性を向上することができる。
【0027】
前記弾性体層の外周面には、周方向に対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部とが交差する網目状の溝部が形成されていると、表面粗さの均一性が向上する。これにより、放電特性の均一性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子写真機器用帯電ロールの外観模式図(a)と、そのA-A線断面図(b)である。
【
図2】弾性体層の外周面に形成された溝部の形状を示す弾性体層の外観模式図である。
【
図3】弾性体層の外周面に形成された溝部の形状の変形例を示す弾性体層の外観模式図である。
【
図5】弾性体層の外周面に形成された溝部の形状の変形例を示す弾性体層の外観模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る電子写真機器用帯電ロール(以下、単に帯電ロールということがある。)について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子写真機器用帯電ロールの外観模式図(a)と、そのA-A線断面図(b)である。
図2は、弾性体層の外周面に形成された溝部の形状を示す弾性体層の外観模式図である。
図3は、弾性体層の外周面に形成された溝部の形状の変形例を示す弾性体層の外観模式図である。
図4は、表層の拡大断面図である。
【0030】
帯電ロール10は、軸体12と、軸体12の外周面上に形成された弾性体層14と、弾性体層14の外周面上に形成された表層16と、を備える。弾性体層14は、帯電ロール10のベースとなる層(基層)である。表層16は帯電ロール10の表面に現れる層となっている。なお、特に図示しないが、必要に応じて、抵抗調整層等の中間層が、弾性体層14と表層16の間に形成されていてもよい。
【0031】
軸体12は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを例示することができる。軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。つまり、弾性体層14は、接着剤層(プライマー層)を介して軸体12に接着されていてもよい。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行っても良い。
【0032】
図2、
図3において、x(方向)は帯電ロール10の軸方向であり、y(方向)は帯電ロール10の周方向である。
図2、
図3に示すように、弾性体層14の外周面には、周方向yに対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成されている。より具体的には、
図2の弾性体層14の外周面には、周方向yに対し0°の方向に沿って延びる(周方向に沿って延びる)2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成されている。
図2において、一の溝部22は、周回してつながっており、螺旋状にはなっていない。
図3の弾性体層14の外周面には、周方向yに対し0°以外の±46°以内の方向(θの方向)に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成されている。
図3において、周回してつながっている溝部22は、螺旋状にはなっておらず、2以上である。
図3において、螺旋状になっている溝部22は、全体につながっていることから、1つである。規則的とは、軸方向xに一定の間隔で溝部22が形成されていることをいう。弾性体層14の外周面において、溝部22以外の部分は平面部24である。
図4に示すように、平面部24は、溝部22の底面221よりも径方向外側に突出している。弾性体層14は、相対的に径方向内側に配置される溝部22の底面221と相対的に径方向外側に配置される平面部24とにより、外周面に表面凹凸が形成されたものとなっている。そして、周方向yに対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成されているため、弾性体層14の外周面には、均一な表面凹凸が形成されている。周方向yに対し±46°以内の方向とは、周方向yに対し、-46°以上0°以下および0°以上46°以下の範囲の方向をいう。
【0033】
溝部22の延びる方向が周方向yに対し±46°以内の方向としているのは、周方向yに対し溝部22の延びる方向の角度が大きくなる(絶対値で46°を超える角度になる)と、感光体と帯電ロール10の摺擦時に、溝部22によって形成された凸部のエッジ(端縁)が帯電ロール10の回転方向(周方向y)にせん断応力を受けやすくなり、凸部が摩耗しやすいためである。凸部が摩耗すると、耐久時に凹凸間で荷電性の差が大きくなり、スジ画像が発生しやすくなる。電子写真機器の寿命が延び、帯電ロール10にもより長い耐久性が求められていると、上記摩耗の影響は大きい。
【0034】
溝部22の延びる方向を、周方向yに対し±46°以内の方向とすると、溝部22によって形成された凸部の幅と溝部22の幅(溝幅)のどちらかが大きくなりすぎたときに、帯電ロール10の1周内における凸部と溝部22の帯電差が見えやすくなり、帯電ムラに影響しやすい。このため、凸部の幅と溝部22の幅(溝幅)の比を特定範囲とし、帯電ムラの影響を抑えている。
【0035】
溝部22の溝幅w1は、4μm以上30μm以下である。また、溝部22の溝深さdは、2μm以上12μm以下である。平面部24の幅w2は、4μm以上30μm以下である。そして、周方向yに対し溝部22の延びる方向の角度θと、溝部22の溝幅w1と平面部24の幅w2の比w2/w1と、の関係が特定の関係にある。
【0036】
溝部22の溝幅w1が4μm未満であると、溝幅w1が小さすぎて、粗さ形成用粒子18が溝部22に入らなくなる。このため、平面部24上の粗さ形成用粒子18bに起因する表面粗さRzと溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する表面粗さRzの差が小さくなり、帯電不足による横スジが発生する。小さい溝幅w1に収まる大きさの粗さ形成用粒子18を用いると、十分な放電を確保する粗さが形成できなくなる。また、この観点から、溝部22の溝幅w1は、用いる粗さ形成用粒子18の平均粒子径の大きさに合わせて、5μm以上、10μm以上、20μm以上などにするとよい。
【0037】
溝部22の溝幅w1が30μm超であると、上記するように、画像不良(縦スジ)が発生しやすい。また、溝部22の溝幅w1が30μm超であると、溝幅w1が大きすぎて、粗さ形成用粒子18を溝部22に均一に配置できなくなる。大きい溝幅w1に合う大きさの粗さ形成用粒子18を用いると、粗さ形成用粒子18に起因する凸部が大きくなりすぎて、表面粗さが大きくなりすぎ、適切な表面粗さにすることができない。これにより、均一な放電特性が得られない。また、溝幅w1が大きすぎると、溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆うバインダーポリマー16aが感光体に接触しやすくなるため、平面部24上の粗さ形成用粒子18bを覆うバインダーポリマー16aおよびその下の粗さ形成用粒子18bの摩耗だけでなく溝部22上の粗さ形成用粒子18aを覆うバインダーポリマー16aおよびその下の粗さ形成用粒子18aの摩耗も発生するため、耐久時に表層16の表面全体が摩耗し、画像にムラが発生する。また、この観点から、溝部22の溝幅w1は、用いる粗さ形成用粒子18の平均粒子径の大きさに合わせて、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下などにするとよい。
【0038】
溝部22の溝深さdが2μm未満であると、溝深さdが小さすぎて、平面部24上の粗さ形成用粒子18bに起因する表面粗さRzと溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する表面粗さRzの差が小さくなりすぎて、帯電不足による横スジが発生する。小さい溝深さdに合わせて小さい粗さ形成用粒子18を用いると、十分な放電を確保する粗さが形成できなくなる。また、この観点から、溝部22の溝深さdは、用いる粗さ形成用粒子18の平均粒子径の大きさに合わせて、3μm以上、5μm以上、10μm以上などにするとよい。
【0039】
溝部22の溝深さdが12μm超であると、溝深さdが大きすぎて、溝部22に配置する粗さ形成用粒子18によって溝部22上に表面粗さを形成することができない。このため、耐久後の画像に黒点(カブリ)が発生する。また、溝部22の溝深さdが12μm超であると、溝深さdが大きすぎて、平面部24上の粗さ形成用粒子18bに起因する表面粗さRzと溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する表面粗さRzの差が大きくなりすぎて、帯電性の差が大きくなるため、画像不良(縦スジ)が発生しやすい。大きい溝深さdに合わせて大きい粗さ形成用粒子18を用いると、平面部24上の粗さ形成用粒子18bに起因する表面粗さRzと溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する表面粗さRzの差が大きくなりすぎて、放電しにくくなる。また、この観点から、溝部22の溝深さdは、用いる粗さ形成用粒子18の平均粒子径の大きさに合わせて、10μm以下、8μm以下などにするとよい。
【0040】
平面部24の幅w2を溝部22の溝幅w1と同じく4μm以上30μm以下とするのは、溝部22の溝幅w1と幅の範囲を同じにすることで均一帯電性を確保するためである。平面部24の幅w2としては、溝部22の溝幅w1に合わせて、より好ましくは、5μm以上、10μm以上、20μm以上、25μm以下、20μm以下、15μm以下、10μm以下などとするとよい。
【0041】
溝部22の延びる方向の角度θと、幅の比w2/w1と、の関係は、以下の(A)~(C)の関係にある。以下の関係にあることで、溝部22によって形成された凸部(平面部24)の摩耗によるスジ画像の発生や、帯電ロール10の1周内における凸部と溝部22の帯電差による帯電ムラが抑えられる。
(A)-5°≦θ≦+5°のとき、0.7≦w2/w1≦1.3
(B)-22°≦θ<-5°または+5°<θ≦+22°のとき、1.0≦w2/w1≦2.0
(C)-46°≦θ<-22°または+22°<θ≦+46°のとき、1.2≦w2/w1≦2.6
【0042】
溝部22の角度は、弾性体層14の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される溝部100点の周方向yに対する角度の平均から算出する。溝部22の溝幅w1は、弾性体層14の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される溝部22の100点の溝幅w1の平均から算出する。溝部22の溝深さdは、弾性体層14の径方向の断面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される溝部22の100点の溝深さdの平均から算出する。平面部24の溝幅w2は、弾性体層14の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される平面部24の100点の幅w2の平均から算出する。
【0043】
弾性体層14は、架橋ゴムを含有する。弾性体層14は、未架橋ゴムを含有する導電性ゴム組成物により形成される。架橋ゴムは、未架橋ゴムを架橋することにより得られる。未架橋ゴムは、極性ゴムであってもよいし、非極性ゴムであってもよい。
【0044】
極性ゴムは、極性基を有するゴムであり、極性基としては、クロロ基、ニトリル基、カルボキシル基、エポキシ基などを挙げることができる。極性ゴムとしては、具体的には、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、アクリルゴム(アクリル酸エステルと2-クロロエチルビニルエーテルとの共重合体、ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)などを挙げることができる。極性ゴムのうちでは、体積抵抗率が特に低くなりやすいなどの観点から、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)がより好ましい。
【0045】
ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン-アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン-エチレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)などを挙げることができる。
【0046】
ウレタンゴムとしては、分子内にエーテル結合を有するポリエーテル型のウレタンゴムを挙げることができる。ポリエーテル型のウレタンゴムは、両末端にヒドロキシル基を有するポリエーテルとジイソシアネートとの反応により製造できる。ポリエーテルとしては、特に限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどを挙げることができる。ジイソシアネートとしては、特に限定されるものではないが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどを挙げることができる。
【0047】
非極性ゴムとしては、シリコーンゴム(Q)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などが挙げられる。非極性ゴムのうちでは、低硬度でへたりにくい(弾性回復性に優れる)などの観点から、シリコーンゴムがより好ましい。
【0048】
弾性体層14は、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含むとよい。弾性体層14がイソプレンゴム、ニトリルゴム、ヒドリンゴムのうちのいずれか1種以上を含むと、圧縮永久歪が小さく、帯電ロール10のセット時における変形部に対応するスジ画像の発生が抑えられる。
【0049】
架橋剤としては、硫黄架橋剤、過酸化物架橋剤、脱塩素架橋剤を挙げることができる。これらの架橋剤は、単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0050】
硫黄架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、塩化硫黄、チウラム系加硫促進剤、高分子多硫化物などの従来より公知の硫黄架橋剤を挙げることができる。
【0051】
過酸化物架橋剤としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどの従来より公知の過酸化物架橋剤を挙げることができる。
【0052】
脱塩素架橋剤としては、ジチオカーボネート化合物を挙げることができる。より具体的には、キノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-メチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-イソプロピルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、5,8-ジメチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネートなどを挙げることができる。
【0053】
架橋剤の配合量としては、ブリードしにくいなどの観点から、未架橋ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1~2質量部の範囲内、より好ましくは0.3~1.8質量部の範囲内、さらに好ましくは0.5~1.5質量部の範囲内である。
【0054】
架橋剤として脱塩素架橋剤を用いる場合には、脱塩素架橋促進剤を併用しても良い。脱塩素架橋促進剤としては、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(以下、DBUと略称する。)もしくはその弱酸塩を挙げることができる。脱塩素架橋促進剤は、DBUの形態として用いても良いが、その取り扱い面から、その弱酸塩の形態として用いることが好ましい。DBUの弱酸塩としては、炭酸塩、ステアリン酸塩、2-エチルヘキシル酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、フェノール樹脂塩、2-メルカプトベンゾチアゾール塩、2-メルカプトベンズイミダゾール塩などを挙げることができる。
【0055】
脱塩素架橋促進剤の含有量としては、ブリードしにくいなどの観点から、未架橋ゴム100質量部に対して、0.1~2質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3~1.8質量部の範囲内、さらに好ましくは0.5~1.5質量部の範囲内である。
【0056】
弾性体層14には、導電性付与のため、導電剤を配合することができる。導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物が挙げられる。導電性金属酸化物としては、導電性チタン酸化物、導電性亜鉛酸化物、導電性スズ酸化物などが挙げられる。イオン導電剤としては、4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤などが挙げられる。また、弾性体層14には、必要に応じて、各種添加剤を適宜添加しても良い。添加剤としては、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などを挙げることができる。
【0057】
弾性体層14は、架橋ゴムの種類、イオン導電剤の配合量、電子導電剤の配合などにより、所定の体積抵抗率に調整することができる。弾性体層14の体積抵抗率は、用途などに応じて102~1010Ω・cm、103~109Ω・cm、104~108Ω・cmの範囲などに適宜設定すればよい。
【0058】
弾性体層14の厚みは、特に限定されるものではなく、用途などに応じて0.1~10mmの範囲内などで適宜設定すればよい。
【0059】
表層16は、バインダーポリマー16aと、粗さ形成用粒子18と、を含む。
【0060】
バインダーポリマー16aは、表層16を構成するベースポリマーである。バインダーポリマー16aとしては、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂(PVB)、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、フッ素ゴムとフッ素樹脂の混合物、シリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリルポリマー、アクリルグラフトシリコーンポリマー、ニトリルゴム、ウレタンゴムなどを挙げることができる。
【0061】
バインダーポリマー16aは、ポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種が好ましい。表層16のバインダーポリマー16aがポリウレタン、ポリアミドのうちのいずれか1種であると、誘電率の高い材料でバインダーポリマー16aが構成されるため、ロール表面の帯電性が向上する。また、圧縮永久歪が小さく、帯電ロール10のセット時における変形部に対応するスジ画像の発生が抑えられる。ポリウレタンには、ウレタン樹脂、ウレタンゴム、ウレタンエラストマーが含まれる。ポリアミドは、変性されたものであってもよい。変性ポリアミドとしては、N-メトキシメチル化ナイロンなどのアルコキシ化ポリアミドなどを挙げることができる。
【0062】
粗さ形成用粒子18は、表層16の表面に粗さを付与するための粒子である。つまり、表層16の表面に凹凸を付与するための粒子である。
図4に示すように、粗さ形成用粒子18は、弾性体層14の平面部24上および溝部22上にそれぞれ配置されている。弾性体層14の平面部24と溝部22の底面221との間の段差により、平面部24上の粗さ形成用粒子18b(平面部24上に配置される粗さ形成用粒子18b)と溝部22上の粗さ形成用粒子18a(溝部22上に配置される粗さ形成用粒子18a)とは、同じ粒子径であっても、径方向外側への突出度合が異なっている。弾性体層14の平面部24と溝部22の底面221との間の段差により、平面部24上の粗さ形成用粒子18bが溝部22上の粗さ形成用粒子18aよりも径方向外側に突出している。
【0063】
径方向外側により突出している、平面部24上の粗さ形成用粒子18bに起因する凸部が感光体に接触する部分となり、径方向のより内側にある、溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する凸部は感光体に接触しない部分となる。溝部22上の粗さ形成用粒子18aに起因する凸部は、放電の起点となる。表層16は、平面部24上の粗さ形成用粒子18bを含むことで、感光体と帯電ロール10との間に適切な放電空間が確保される。また、表層16は、溝部22上の粗さ形成用粒子18aを含むことで、放電の起点が確保される。このように、表層16の表面凹凸は、感光体と帯電ロール10との間における放電空間を増加させ、放電を促す。これにより、帯電性を向上させ、横スジやムラなどの画像不具合を抑えることができる。本発明に係る帯電ロール10では、弾性体層14の平面部24と溝部22の底面221との間に段差があることで、表層16に含まれる粗さ形成用粒子18が同じ粒子径であっても、容易に感光体と帯電ロール10との間に適切な放電空間と放電の起点を形成することができる。
【0064】
溝部22上の領域Mにおける表層16の表面粗さRzは、2μm以上16μm以下とすることが好ましい。また、表層16全体の表面粗さRzは、5μm以上26μm以下とすることが好ましい。これにより、感光体と帯電ロール10との間に適切な放電空間と放電の起点を形成することができる。
【0065】
溝部22上の領域Mにおける表層16の表面粗さRzが2μm未満であると、この表面粗さRzが小さすぎて放電の起点が不十分であり、放電が不十分となって、耐久後の画像において黒点(カブリ)が抑えられないことがある。また、この観点から、この表面粗さRzは、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。一方、溝部22上の領域Mにおける表層16の表面粗さRzが16μm超であると、表層16全体の表面粗さRzが大きくなりすぎて、放電しにくくなり、耐久後の画像において黒点(カブリ)が抑えられないことがある。また、この観点から、この表面粗さRzは、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下である。
【0066】
表層16全体の表面粗さRzが5μm未満であると、この表面粗さRzが小さすぎて放電の起点が不十分であり、放電が不十分となって、耐久後の画像において黒点(カブリ)が抑えられないことがある。また、この観点から、この表面粗さRzは、より好ましくは7μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。一方、表層16全体の表面粗さRzが26μm超であると、この表面粗さRzが大きくなりすぎて、放電しにくくなり、耐久後の画像において黒点(カブリ)が抑えられないことがある。また、この観点から、この表面粗さRzは、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
【0067】
表面粗さRzは、10点平均粗さであり、JIS B0601(1994)に準拠して、任意の5か所で測定された値の平均値である。表層16全体の表面粗さRzは、レーザー顕微鏡(例えばキーエンス製「VK-9510」など)を用いて観察することにより測定することができる。400倍で撮影した画像において、解析プログラム(プログラム名 KEYENCE VK Analyzer解析アプリケーション)における面粗さモードにて算出された値を表層16全体の表面粗さRzとすることができる。溝部22上の領域における表層16の表面粗さRzは、レーザー顕微鏡(例えばキーエンス製「VK-9510」など)を用いて観察することにより測定することができる。撮影した画像において、解析プログラム(プログラム名 KEYENCE VK Analyzer解析アプリケーション)における面粗さモードにて溝部0.01mm2を選択して算出された値を溝部22上の領域における表層16の表面粗さRzとすることができる。
【0068】
表層16の表面粗さRzは、溝部22の溝幅w1、溝深さd、平面部24の幅w2、粗さ形成用粒子18の粒子径、バインダーポリマー16aの厚みなどを調整することにより調整することができる。
【0069】
粗さ形成用粒子18としては、樹脂製粒子、無機粒子など、帯電ロールの表層16に添加される粗さ形成用粒子18として用いられる粒子が用いられる。粗さ形成用粒子18の材質は、特に限定されるものではない。粗さ形成用粒子18の材質としては、ポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種が好ましい。粗さ形成用粒子18の材質がポリウレタン、ポリアミド、アクリル樹脂のうちのいずれか1種であると、誘電率の高い材料で粗さ形成用粒子18が構成されるため、ロール表面の帯電性が向上する。
【0070】
粗さ形成用粒子18の大きさは、特に限定されるものではないが、適切な凹凸が形成され、放電特性の均一性を向上することができるなどの観点から、平均粒子径3μm以上30μm以下が好ましい。より好ましくは平均粒子径5μm以上30μm以下、さらに好ましくは平均粒子径10μm以上30μm以下が好ましい。粗さ形成用粒子18の平均粒子径は、表層16の表面をレーザー顕微鏡にて観察し、表面観察時に見える粗さ形成用粒子18の直径を粒径とし、任意の20点の平均で表す。
【0071】
粗さ形成用粒子18は、1種類の粒子で構成されていてもよいし、2種類以上の粒子で構成されていてもよい。1種類の粒子とは、第1に、材質の同じ粒子をいう。材質が同じであるとは、ポリマー製の粒子において、広い範囲で、例えばポリウレタンに含まれるものどうしを同じものといってもよいし、狭い範囲で、モノマーの構成が同じものを同じものといってもよい。より好ましくは、狭い範囲で、モノマーの構成が同じものを同じものとするとよい。また、1種類の粒子とは、第2に、粒子径の同じ粒子をいう。粒子径が同じであるとは、粒子径が均一であることをいう。例えば、任意の位置の50か所について、粗さ形成用粒子18の直径を測定し、その平均をμとし、その偏差をσとし、μ/σが4.97以下である場合をいう。粗さ形成用粒子18の直径は、レーザー顕微鏡(例えばキーエンス製「VK-9510」など)を用いて粒子の直径を観察することにより測定することができる。
【0072】
粗さ形成用粒子18は、好ましくは1種類の粒子で構成されているとよい。粗さ形成用粒子18が材質や粒子径の異なる2種類以上の粒子で構成されていると、粗さ形成用粒子18の材質や粒子径による放電特性への影響の違いをさらに考慮して粗さ形成用粒子18を覆うバインダーポリマー16aの厚みを調整する必要が生じる。粗さ形成用粒子18が材質や粒子径の面で1種類の粒子で構成されていると、粗さ形成用粒子18を覆うバインダーポリマー16aの厚みを調整しやすい。これにより、放電特性の均一性を向上することができる。また、粒子径の大きく異なる2種類の粒子を含む場合、大きさの異なる粒子それぞれが凝集しやすく分散性が低下しやすい。粗さ形成用粒子18が粒子径の面で1種類の粒子で構成されていると、粗さ形成用粒子18の凝集を制御しやすいため、表面粗さの均一性を向上することができる。また、粗さ形成用粒子18が粒子径の面で1種類の粒子で構成されていると、弾性体層14の凹凸形状を帯電ロールの表面凹凸に反映しやすいため、帯電ロールの表面凹凸を制御しやすい。
【0073】
表層16において、バインダーポリマー16aの厚みは、所定の厚みとすることが好ましい。溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt1は、平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt2よりも厚くすることが好ましい。こうすることで、溝部22上の粗さ形成用粒子18の上での放電量と平面部24上の粗さ形成用粒子18の上での放電量を同じに調整し、放電特性の均一性を向上することができる。これにより、黒点画像の発生を抑えることができる。これは、平面部24上の粗さ形成用粒子18の存在する部分は感光体と接地することで溝部22上の粗さ形成用粒子18の存在する部分よりも放電量に劣るため、各位置で放電量を同じにするためには、溝部22上の粗さ形成用粒子18の存在する部分よりも平面部24上の粗さ形成用粒子18の存在する部分の膜厚を薄くして静電容量を大きくし、表面の電荷量を多くする必要があるからである。
【0074】
溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt1と平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt2の差(t1-t2)は、4μm以上16μm以下であることが好ましい。上記厚みの差(t1-t2)が4μm以上であると、平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの表面の電荷量が相対的に大きくなり、黒点画像が発生しない環境幅が広がる。この観点から、上記厚みの差(t1-t2)は、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上である。また、上記厚みの差(t1-t2)が16μm以下であると、適切な厚みに維持されるため、適切な凹凸が形成されやすい。これにより、放電特性の均一性を向上することができる。この観点から、上記厚みの差(t1-t2)は、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは12μm以下である。
【0075】
溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt1は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。上記厚みt1が5μm以上であると、放電箇所の抵抗が均一となりやすく、放電特性が均一になりやすい。また、この観点から、上記厚みt1は、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上である。そして、上記厚みt1が20μm以下であると、溝部22上の表層16の表面に適度な粗さが確保され、放電領域を確保することができる。また、この観点から、上記厚みt1は、より好ましくは18μm以下、さらに好ましくは15μm以下である。
【0076】
平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt2は、1.0μm以上4.0μm以下であることが好ましい。上記厚みt2が1.0μm以上であると、放電箇所の抵抗が均一となりやすく、放電特性が均一になりやすい。また、この観点から、上記厚みt2は、より好ましくは1.5μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上である。そして、上記厚みt2が4.0μm以下であると、表層16の表面に適度な粗さが確保され、放電領域を確保することができる。また、この観点から、上記厚みt2は、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下である。
【0077】
バインダーポリマー16aの厚みt1,t2は、レーザー顕微鏡(例えばキーエンス製「VK-9510」など)を用いて断面を観察することにより測定することができる。例えば、溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの任意の位置の5か所について、バインダーポリマー16aの厚みを測定し、その平均によってt1を表すことができる。また、平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの任意の位置の5か所について、バインダーポリマー16aの厚みを測定し、その平均によってt2を表すことができる。
【0078】
溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt1を平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みt2よりも厚くするには、溝部22上の粗さ形成用粒子18が持つ表面エネルギーの不安定さと、溝部22のベースゴムが持つエネルギーの不安定さの両方を利用するとよい。すなわち、溝部22上の粗さ形成用粒子18がバインダーポリマー16aを多くまとって安定化しようとする点と、溝部22のベースゴムがバインダーポリマー16aを多くまとって安定化しようとする点を利用するとよい。
【0079】
粗さ形成用粒子18の表層16における含有量は、特に限定されるものではないが、粗さ形成用粒子18の分散性が向上し、均一な帯電性を確保しやすいなどの観点から、表層16のバインダーポリマー16aの100質量部に対し、3質量部以上50質量部以下であることが好ましい。より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。
【0080】
表層16には、導電性付与のため、導電剤を配合することができる。導電剤としては、電子導電剤、イオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、導電性金属酸化物が挙げられる。導電性金属酸化物としては、導電性チタン酸化物、導電性亜鉛酸化物、導電性スズ酸化物などが挙げられる。イオン導電剤としては、4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤などが挙げられる。また、表層16には、必要に応じて、各種添加剤を適宜添加しても良い。添加剤としては、可塑剤、レベリング剤、充填剤、加硫促進剤、加工助剤、離型剤などを挙げることができる。
【0081】
表層16の体積抵抗率は、帯電性などの観点から、半導電領域に設定するとよい。具体的には、例えば、1.0×107~1.0×1010Ω・cmの範囲内に設定するとよい。体積抵抗率は、JIS K6911に準拠して測定することができる。
【0082】
弾性体層14は、例えば、次のようにして形成することができる。まず、軸体12をロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、未架橋の導電性ゴム組成物を注入して、加熱・硬化(架橋)させた後、脱型するか、あるいは、軸体12の表面に未架橋の導電性ゴム組成物を押出成形するなどにより、軸体12の外周に弾性体層14を形成する。
【0083】
弾性体層14の外周面に溝部22を形成する方法としては、研磨、型成形などが挙げられる。いずれの方法においても、弾性体層14の外周面に規則的な溝部22を形成することができる。研磨による場合、周回する溝部22を形成する場合には、プランジ式法で行うとよい。螺旋状の溝部22を形成する場合には、トラバース式法で行うとよい。トラバース式法は、例えば、弾性体層14を有するロール体を軸中心に一定速度で回転させながら、弾性体層14の外周面に接触させた砥石を一定速度で一方の軸方向に移動させることにより、弾性体層14の外周面に軸方向に沿って規則的に螺旋を描く溝部22を形成することができる。
【0084】
表層16は、表層16の形成材料を用い、これを弾性体層14の外周面に塗工し、乾燥処理などを適宜行うことにより形成することができる。表層16の形成材料は、希釈溶媒を含んでもよい。希釈溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、イソプロピルアルコール(IPA),メタノール,エタノールなどのアルコール系溶媒、ヘキサン,トルエンなどの炭化水素系溶媒、酢酸エチル,酢酸ブチルなどの酢酸系溶媒、ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、水などが挙げられる。
【0085】
以上の構成の帯電ロール10によれば、弾性体層14の外周面に周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向に規則的に形成され、その溝部22の溝幅w1・溝深さdおよび平面部24の幅w2が特定範囲にあり、周方向に対し溝部22の延びる方向の角度θと、溝部22の溝幅w1と平面部24の幅w2の比w2/w1と、の関係が特定の関係にあることで、粗さ形成用粒子18を弾性体層14の平面部24上および溝部22上の両方に均一にバランスよく配置でき、適切な表面粗さを形成して弾性体層14の平面部24上と溝部22上の間に適切な粗さ差を形成して、適切な放電量に調整することができる。このため、放電特性の均一性に優れる。さらに、溝部22上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みを平面部24上の粗さ形成用粒子18を覆っているバインダーポリマー16aの厚みよりも厚くすることで、放電量を均一にすることができる。このため、放電特性の均一性に優れる。
【0086】
本発明に係る帯電ロール10は、全体的に平坦な弾性体層の外周面に大きさの異なる大小2種類の粗さ形成用粒子を配置することで帯電ロールに表面凹凸を形成するのではなく、弾性体層14の外周面に所定の凹凸形状を形成しておき、そこに所定の大きさの比較的均一な粗さ形成用粒子18を配置することで帯電ロール10に表面凹凸を形成するものである。粗さ形成用粒子18は、弾性体層14の溝部22上だけでなく平面部24上にも配置する。これにより、弾性体層14の表面凹凸の段差が帯電ロール10の表面凹凸として現れる。粗さ形成用粒子18が比較的均一であると、弾性体層14の表面凹凸が帯電ロール10の表面に反映されやすい。弾性体層14の溝部22上だけでなく平面部24上にも粗さ形成用粒子18を配置するには、粗さ形成用粒子18の大きさに対し、溝部22の溝幅w1が大きすぎても小さすぎてもよくない。溝部22の溝幅w1が所定の大きさであることで、溝部22上だけでなく平面部24上にも確実に均一に粗さ形成用粒子18を配置することができる。同様に、平面部24の幅w2が大きすぎても小さすぎてもよくない。平面部24上にも確実に均一に粗さ形成用粒子18を配置するには、所定の面積比であるとよい。そして、本発明では、弾性体層14の外周面に所定の凹凸形状を形成しているが、これにより、全体的に平坦な弾性体層の外周面と比較して、弾性体層の外周面の表面積をより大きくすることができる。これにより、放電しやすさが向上する。これは、例えば弾性体層14の溝部22が表層16のバインダーポリマー16aによって埋まっていても発揮される効果である。この効果は、これまでにはない知見である。この点からも、本発明の構成による利点がある。
【0087】
溝部22の延びる方向は、周方向yに対し±46°以内の方向としている。これにより、感光体と帯電ロール10の摺擦時に、溝部22によって形成された凸部のエッジ(端縁)が帯電ロール10の回転方向(周方向y)のせん断応力を受けにくく、凸部の摩耗が抑えられ、耐久時において、凸部の摩耗による凹凸間の荷電性の差は小さく抑えられるため、スジ画像の発生が抑えられる。このとき、溝部22によって形成された凸部の幅と溝部22の幅(溝幅)のどちらかが大きくなりすぎたときに、帯電ロール10の1周内における凸部と溝部22の帯電差が見えやすくなり、帯電ムラに影響しやすいが、凸部の幅と溝部22の幅(溝幅)の比を特定範囲としているため、帯電ムラの発生が抑えられる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0089】
例えば上記実施形態では、弾性体層14の外周面には、周方向yに対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部22が軸方向xに規則的に形成されているが、
図5に示すように、弾性体層14の外周面には、周方向yに対し+46°以内の方向に沿って延びる溝部22(22a)と周方向に対し-46°以内の方向に沿って延びる溝部22(22b)とが交差する網目状の溝部が形成されていてもよい。これにより、表面粗さの均一性が向上し、放電特性の均一性を向上することができる。
【0090】
螺旋状になっている溝部22については、軸方向に沿って規則的に左ねじ様に螺旋を描く溝部のみを有する溝部であってもよいし、軸方向に沿って規則的に右ねじ様に螺旋を描く溝部のみを有する溝部であってもよいし、軸方向に沿って規則的に右ねじ様に螺旋を描く溝部と軸方向に沿って規則的に左ねじ様に螺旋を描く溝部とが交差する網目状の溝部が形成されていてもよい。
【0091】
螺旋状の交差する網目状の溝部は、例えば、上記砥石が一方の軸方向に移動した後、他方の軸方向に移動することにより、弾性体層14の外周面に軸方向に沿って規則的に右ねじ様に螺旋を描く溝部22aと軸方向に沿って規則的に左ねじ様に螺旋を描く溝部22bとが交差する網目状の溝部22を形成することができる。
【実施例0092】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
【0093】
(実施例1)
<導電性ゴム組成物の調製>
イソプレンゴム100質量部に対し、カーボンブラック30質量部、酸化亜鉛6質量部、ステアリン酸2質量部、硫黄1質量部、チアゾール系加硫促進剤0.5質量部、チラウム系加硫促進剤0.5質量部、重質炭酸カルシウム50質量部を配合し、50℃ に温度調節した密閉型ミキサーを用いて10分間混練し、導電性ゴム組成物を調製した。
【0094】
導電性ゴム組成物の材料として、以下の材料を準備した。
・イソプレンゴム(IR):JSR製「JSR IR2200」
・カーボンブラック:キャボットジャパン製「ショウブラックN762」
・酸化亜鉛:堺化学工業製「酸化亜鉛2種」
・ステアリン酸:日本油脂製「ステアリン酸さくら」
・硫黄:鶴見化学工業製「粉末硫黄」
・チアゾール系加硫促進剤:大内新興化学工業製「ノクセラーDM」
・チラウム系加硫促進剤:大内新興化学工業製「ノクセラーTRA」
・重質炭酸カルシウム:白石カルシウム製「ホワイトンB」、平均粒子径3.6μm
【0095】
<弾性体層の作製>
成形金型(パイプ状)に芯金(直径8mm)をセットし、上記組成物を注入し、180℃で30分加熱した後、冷却、脱型して、芯金の外周に、厚さ1.9mmの導電性ゴム弾性体からなる弾性体層を成形した。次いで、弾性体層を有するロール体を軸中心に一定速度で回転させながら、弾性体層の外周面に接触させた砥石を一定速度で一方の軸方向に移動させ、引き続き、弾性体層の外周面に接触させた砥石を一定速度で他方の軸方向に移動させることにより、弾性体層の外周面に軸方向に沿って規則的に右ねじ様に螺旋を描く溝部と軸方向に沿って規則的に左ねじ様に螺旋を描く溝部とが交差する網目状の溝部を形成した。各条件は以下のとおりである。
ロール体の回転速度・・・500rpm
砥石の移動速度・・・0.05m/s
砥石の周速度・・・72m/s
砥石粒度・・・#1500
溝のピッチ・・・0.3mm
【0096】
<表層の作製>
表に記載の配合組成(質量部)となるように粗さ形成用粒子とバインダーポリマーと、導電剤としてカーボンブラックを配合し、メチルエチルケトン(MEK)200質量部を加え、所定の攪拌速度で混合攪拌することにより、表層形成用の液状組成物を調製した。次いで、攪拌を続けながら、この液状組成物を弾性体層の外周面にロールコートし、熱処理を施すことにより、弾性体層の外周に厚さ1.0μmの表層を形成した。これにより、実施例1の帯電ロールを作製した。
【0097】
(実施例2)
<導電性ゴム組成物の調製>
NBR100質量部に対し、ステアリン酸0.7質量部、酸化亜鉛5質量部、ハイドロタルサイト2質量部、過酸化物架橋剤3質量部、カーボン20質量部を配合し、これらを攪拌機により撹拌、混合して、導電性ゴム組成物を調製した。
【0098】
導電性ゴム組成物の材料として、以下の材料を準備した。
・NBR:日本ゼオン製「Nipol 1041」
・ステアリン酸:日油製「ステアリン酸さくら」
・酸化亜鉛:堺化学工業製「酸化亜鉛2種」
・ハイドロタルサイト:協和化学工業製「DHT4A」
・過酸化物架橋剤:日油製「パークミルD40」
・カーボン:ケッチェンブラックインターナショナル製「ケッチェンブラックEC300J」
<弾性体層の作製>
加熱温度を170℃に変更し、実施例1と同様にして、導電性ゴム弾性体からなる弾性体層を成形した。次いで、実施例1と同様にして、研磨により弾性体層の外周面に網目状の溝部を形成した。
【0099】
<表層の作製>
実施例1と同様にして、弾性体層の外周に厚さ1.0μmの表層を形成した。これにより、実施例2の帯電ロールを作製した。
【0100】
(実施例3)
<導電性ゴム組成物の調製>
ヒドリンゴム100質量部に対し、加硫助剤を5質量部、カーボンを10質量部、加硫促進剤を0.5質量部、硫黄を2質量部、充填剤を50質量部添加し、これらを攪拌機により撹拌、混合して導電性ゴム組成物を調製した。
【0101】
導電性ゴム組成物の材料として、以下の材料を準備した。
・ヒドリンゴム(ECO、日本ゼオン製「Hydrin H1100」)
・加硫助剤(酸化亜鉛、三井金属製「酸化亜鉛2種」)
・カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル製「ケッチェンブラックEC300J」)
・加硫促進剤(2-メルカプトベンゾチアゾール、大内新興化学工業社製「ノクセラーM-P」)
・硫黄(鶴見化学工業社製、「サルファックスPTC」)
・充填剤(炭酸カルシウム、白石工業製「白艶華CC」)
<弾性体層の作製>
実施例1と同様にして、導電性ゴム弾性体からなる弾性体層を成形した。次いで、実施例1と同様にして、研磨により弾性体層の外周面に網目状の溝部を形成した。
【0102】
<表層の作製>
実施例1と同様にして、弾性体層の外周に厚さ1.0μmの表層を形成した。これにより、実施例3の帯電ロールを作製した。
【0103】
(実施例4,5,7,8)
表層材料を変更し、実施例3と同様にして、実施例4,5,7,8の帯電ロールを作製した。
【0104】
(実施例6)
弾性体層の外周面に軸方向に沿って規則的に左ねじ様に螺旋を描く溝部を形成し、実施例3と同様にして、実施例6の帯電ロールを作製した。
【0105】
(実施例9)
溝部の形成方向を周方向とした以外は実施例4と同様にして、実施例9の帯電ロールを作製した。
【0106】
(実施例10)
溝部の形成角度を変更した以外は実施例4と同様にして、実施例10の帯電ロールを作製した。
【0107】
(実施例11)
溝部の形成角度を変更した以外は実施例6と同様にして、実施例11の帯電ロールを作製した。
【0108】
(実施例12~15)
溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)を変更し、実施例9,10と同様にして帯電ロールを作製した。
【0109】
(実施例16~23)
溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)、溝部の形成角度を変更し、実施例10と同様にして帯電ロールを作製した。
【0110】
(比較例1~6)
溝部の溝幅、溝部の溝深さ、または平面部の幅を変更し、実施例4と同様にして帯電ロールを作製した。
【0111】
(比較例7~14)
溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)を変更し、実施例16~23と同様にして帯電ロールを作製した。
【0112】
(比較例15)
溝部の形成角度を変更し、実施例23と同様にして帯電ロールを作製した。
【0113】
表層材料として用いた材料は以下の通りである。
・バインダーポリマー(PA):鉛市製「ファインレジンFR-101」
・バインダーポリマー(PU):根上工業製「ART Resin UN-333」
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-1000透明」平均粒子径3μm
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-200透明 分級品」平均粒子径30μm
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-300透明」平均粒子径22μm
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-300透明 分級品」平均粒子径20μm
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-400透明」平均粒子径15μm
・粗さ形成用粒子(PU):根上工業製「アートパールC-600透明」平均粒子径11μm
・粗さ形成用粒子(PA):東レ製「TR-2」平均粒子径22μm
・粗さ形成用粒子(PMMA):根上工業製「アートパールGR-200透明」平均粒子径20μm
・カーボンブラック:東海カーボン製「シースト9H」
【0114】
帯電ロールの研磨した弾性体層の表面分析および断面分析を行い、溝部の溝幅、溝部の溝深さ、平面部の幅、溝部の角度を算出した。また、作製した帯電ロールについて、表面粗さRzおよび表層のバインダーポリマーの厚みを測定した。また、以下の評価を行った。
【0115】
(弾性体層の凹凸形状)
溝部の溝幅は、弾性体層の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される任意の溝部100点の溝幅の平均から算出した。溝部の溝深さは、弾性体層の径方向の断面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される任意の溝部100点の溝深さの平均から算出した。平面部の幅は、弾性体層の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される任意の平面部100点の幅の平均から算出した。溝部の角度は、弾性体層の外周面をレーザー顕微鏡にて撮影し、撮影した画像に観察される任意の溝部100点の周方向に対する角度の平均から算出した。
【0116】
(表面粗さRz)
表面粗さRzは、10点平均粗さであり、JIS B0601(1994)に準拠して、任意の5か所で測定された値の平均値である。表層全体の表面粗さRzは、レーザー顕微鏡(キーエンス製「VK-9510」)を用いて観察することにより測定した。400倍で撮影した画像において、解析プログラム(プログラム名 KEYENCE VK Analyzer解析アプリケーション)における面粗さモードにて算出された値を表層全体の表面粗さRzとした。溝部上の領域における表層の表面粗さRzは、レーザー顕微鏡(キーエンス製「VK-9510」)を用いて観察することにより測定した。撮影した画像において、解析プログラム(プログラム名 KEYENCE VK Analyzer解析アプリケーション)における面粗さモードにて溝部0.01mm2を選択して算出された値を溝部の表面粗さRzとした。
【0117】
(バインダー厚)
レーザー顕微鏡(キーエンス製「VK-X100」)を用いて表層の径方向断面を400倍で観察することにより測定した。
図4に示すように、溝部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚み(バインダー厚t1)と、平面部上の粗さ形成用粒子を覆っているバインダーポリマーの厚み(バインダー厚t2)と、を測定した。それぞれ任意の位置の5箇所において測定し、それぞれその平均によって表した。
【0118】
(画像評価:ムラ)
作製した帯電ロールを実機(RICOH製「IM C8000」)のユニット(ブラック)に取り付け、10℃×10%RH環境下にて25%濃度ハーフトーンにて画出しを行い、100万枚耐久後の評価を行った。画像にムラがなかったものを良好「〇」、画像にムラが生じたものを不良「×」とした。
【0119】
(画像評価:横スジ)
作製した帯電ロールを実機(RICOH製「IM C8000」)のユニット(ブラック)に取り付け、10℃×10%RH環境下にて25%濃度ハーフトーンにて画出しを行い、100万枚耐久後の評価を行った。画像に横スジがなかったものを特に良好「○」、画像に横スジが現れ、画像の影響が大きかったものを不良「×」とした。
【0120】
(画像評価:黒点(カブリ))
作製した帯電ロールを実機(RICOH製「IM C8000」)のユニット(ブラック)に取り付け、10℃×10%RH環境下にて25%濃度ハーフトーンにて画出しを行い、100万枚耐久後の評価を行った。画像に黒点がなかったものを良好「○」、1点でも発見された場合を不良「×」とした。
【0121】
(画像評価:縦スジ)
作製した帯電ロールを実機(RICOH製「IM C8000」)のユニット(ブラック)に取り付け、10℃×10%RH環境下にて25%濃度ハーフトーンにて画出しを行い、100万枚耐久後の評価を行った。画像に縦スジがなかったものを良好「○」、画像に縦スジが現れ、画像の影響が大きかったものを不良「×」とした。
【0122】
(画像評価:凹凸形状に沿ったスジ)
作製した帯電ロールを実機(RICOH製「IM C8000」)のユニット(ブラック)に取り付け、10℃×10%RH環境下にて25%濃度ハーフトーンにて画出しを行い、100万枚耐久後の評価を行った。画像に凹凸形状に沿ったスジがなかったものを良好「○」、画像に凹凸形状に沿ったスジが現れ、画像の影響が大きかったものを不良「×」とした。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
比較例1は、溝幅が小さすぎて、粗さ形成用粒子が溝部に入らない。このため、平面部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さと溝部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さの差が小さく、帯電不足による横スジが発生している。なお、小さい溝幅に収まる大きさの粗さ形成用粒子を用いると、十分な放電を確保する粗さが形成できなくなる。比較例2は、溝幅が大きすぎて、帯電ロール表面の凹部と凸部の荷電性の差が画像に出やすくなり、縦スジが発生している。また、溝幅が大きすぎて、粗さ形成用粒子を溝部に均一に配置できていない。このため、耐久後のムラが発生した。なお、大きい溝幅に合う大きさの粗さ形成用粒子を用いると、粗さ形成用粒子に起因する凸部が大きくなりすぎて、表面粗さが大きくなりすぎ、適切な表面粗さにすることができない。これにより、均一な放電特性が得られない。また、比較例2は、溝幅が大きすぎて、溝部上の粗さ形成用粒子を覆うバインダーポリマーが感光体に接触しやすくなるため、平面部上の粗さ形成用粒子を覆うバインダーポリマーおよびその下の粗さ形成用粒子の摩耗だけでなく溝部上の粗さ形成用粒子を覆うバインダーポリマーおよびその下の粗さ形成用粒子の摩耗も発生し、耐久時に表層の表面全体が摩耗し、画像にムラが発生している。
【0128】
比較例3は、溝深さが小さすぎて、平面部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さと溝部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さの差が小さく、帯電不足による横スジが発生している。なお、小さい溝深さに合わせて小さい粗さ形成用粒子を用いると、十分な放電を確保する粗さが形成できなくなる。比較例4は、溝深さが大きすぎて、平面部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さと溝部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さの差が大きくなりすぎて、帯電性の差が大きくなり、画像不良(縦スジ)が発生している。なお、大きい溝深さに合わせて大きい粗さ形成用粒子を用いると、平面部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さと溝部上の粗さ形成用粒子に起因する表面粗さの差が大きくなりすぎて、放電しにくくなる。
【0129】
比較例5,6は、溝部の溝幅w1の適正範囲(4~30μm)に対し、平面部の幅w2が適正範囲(4~30μm)から外れている。このため、表面凹凸の均一性が低下し、耐久後にムラ画像が発生している。
【0130】
比較例7~10は、溝角度が周方向に対し±5°以内であり、溝角度が比較的小さい場合において、溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)が所定の範囲内に入っておらず、溝部の溝幅と平面部の幅のいずれか一方の割合が大きくなりすぎている。このため、溝部と平面部の荷電性の差が画像に出やすくなり、縦スジが発生している。
【0131】
比較例11~12は、溝角度が周方向に対し5°超22°以下であり、溝角度がやや大きい場合において、溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)が所定の範囲内に入っておらず、溝部の溝幅と平面部の幅のいずれか一方の割合が大きくなりすぎている。このため、溝部と平面部の帯電差が出て、耐久後にムラ画像が発生している。また、比較例12は、溝部の形成角度が周方向に対し±5°よりも大きくなっている場合において、溝部よりも平面部の幅が小さいほうに外れている。このため、周方向の回転により、凸部である平面部のエッジが摩耗しやすく、耐久時において、凸部の摩耗による凹凸間の荷電性の差が大きくなって、凹凸形状に沿ったスジ画像が発生している。
【0132】
比較例13~14は、溝角度が周方向に対し22°超46°以下であり、溝角度が比較的大きい場合において、溝部の溝幅と平面部の幅の比(w2/w1)が所定の範囲内に入っておらず、溝部の溝幅と平面部の幅のいずれか一方の割合が大きくなりすぎている。このため、溝部と平面部の帯電差が出て、耐久後にムラ画像が発生している。また、比較例14は、溝部の形成角度が周方向に対し±5°よりも大きくなっている場合において、溝部よりも平面部の幅が小さいほうに外れている。このため、周方向の回転により、凸部である平面部のエッジが摩耗しやすく、耐久時において、凸部の摩耗による凹凸間の荷電性の差が大きくなって、凹凸形状に沿ったスジ画像が発生している。
【0133】
比較例15は、溝角度が周方向に対し46°超であり、溝角度が大きすぎている。このため、周方向の回転により、溝部によって形成された凸部のエッジが摩耗しやすく、耐久時において、凸部の摩耗による凹凸間の荷電性の差が大きくなって、凹凸形状に沿ったスジ画像が発生している。
【0134】
一方、実施例は、弾性体層の外周面に周方向に対し±46°以内の方向に沿って延びる1または2以上の溝部が軸方向に規則的に形成されており、その溝部の溝幅・溝深さおよび平面部の幅が特定範囲にあり、また、周方向に対し溝部の延びる方向の角度θと、溝部の溝幅w1と平面部の幅w2の比w2/w1と、の関係が特定の関係にあり、表層はバインダーポリマーおよび粗さ形成用粒子を含んでおり、粗さ形成用粒子は弾性体層の平面部上および溝部上にそれぞれ配置されている。このため、実施例は、画像評価において、耐久後のムラ、横スジ、黒点(カブリ)、縦スジ、凹凸形状に沿ったスジの問題が抑えられており、放電特性の均一性に優れることがわかる。
【0135】
以上、本発明の実施形態・実施例について説明したが、本発明は上記実施形態・実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。