(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025255
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】樹脂材料供給機構、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20240216BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
H01L21/56 C
B29C45/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128559
(22)【出願日】2022-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】吉田 周平
(72)【発明者】
【氏名】安井 飛翔
【テーマコード(参考)】
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F206AC01
4F206AD03
4F206AD05
4F206AD19
4F206AG03
4F206AH33
4F206AH37
4F206AL21
4F206AP06
4F206AR14
4F206AR15
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JF01
4F206JF48
4F206JL02
4F206JP11
4F206JP13
4F206JP14
4F206JQ90
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061DA03
5F061DA04
5F061DA08
5F061DA13
5F061DA14
5F061DD02
5F061DE06
(57)【要約】
【課題】樹脂タブレットの総重量を高精度に測定することが可能な樹脂材料供給機構を提供する。
【解決手段】樹脂材料を順次送り出す送出部と、前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料の重量を一括して測定する総重量測定部と、前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料を、前記樹脂材料を成形型へと搬送する搬送機構へと受け渡す受渡部と、前記送出部と、前記総重量測定部と、前記受渡部と、の間で前記樹脂材料を移動させる移動部と、を具備する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を順次送り出す送出部と、
前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料の重量を一括して測定する総重量測定部と、
前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料を、前記樹脂材料を成形型へと搬送する搬送機構へと受け渡す受渡部と、
前記送出部と、前記総重量測定部と、前記受渡部と、の間で前記樹脂材料を移動させる移動部と、
を具備する樹脂材料供給機構。
【請求項2】
前記総重量測定部は、複数の前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された複数の前記樹脂材料を排出する、
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項3】
前記送出部により送り出された前記樹脂材料の重量を個別に測定し、前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された前記樹脂材料を排出する個別重量測定部をさらに具備する、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項4】
前記総重量測定部及び前記受渡部は、前記移動部の移動経路に沿って並ぶように配置されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項5】
前記移動部は、
複数の前記樹脂材料に対応するように形成され、前記樹脂材料を載置可能な複数の第一載置部と、
前記第一載置部に載置される複数の前記樹脂材料の下方にそれぞれ形成される複数の溝部と、
を具備し、
前記総重量測定部は、
複数の前記溝部に対応するように形成され、前記溝部に挿入可能であり、前記樹脂材料を下方から支持可能な複数の支持部と、
複数の前記支持部を一括して昇降可能な昇降部と、
を具備する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項6】
前記移動部は、前記第一載置部に載置された前記樹脂材料の転動を防止する第一転動防止部を具備し、
前記総重量測定部は、前記支持部に支持された前記樹脂材料の転動を防止する第二転動防止部を具備し、
前記支持部の上面には、断面視V字状の第二載置部が形成される、
請求項5に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の樹脂材料供給機構を具備する樹脂成形装置。
【請求項8】
基板を載置する下型と、
サイドブロック、及び前記サイドブロックに対して上下に昇降可能となるように設けられたキャビティブロックによって、キャビティを形成する上型と、
前記下型と前記上型とをクランプするクランプ機構と、
プランジャによって前記キャビティへと前記樹脂材料を供給するトランスファ機構と、
前記基板に配置されたチップの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて算出された前記キャビティの樹脂充填率と前記プランジャの位置との関係を用いて、前記プランジャが所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御を行う制御部と、
を具備し、
前記樹脂材料の体積は、前記樹脂材料供給機構の前記総重量測定部によって測定された複数の前記樹脂材料の重量に基づいて算出される、
請求項7に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
前記基板に配置されたチップの体積を測定するチップ体積測定部と、
前記チップ体積測定部及び前記総重量測定部の測定結果に基づいて、前記樹脂充填率と前記プランジャの位置との関係を算出する算出部と、
をさらに具備する、
請求項8に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
基板に配置されたチップの体積を測定するチップ体積測定工程と、
前記樹脂材料の体積を測定する樹脂体積測定工程と、
測定された前記チップの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて、キャビティの樹脂充填率とプランジャの位置との関係を算出するプランジャ位置算出工程と、
前記プランジャが所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料供給機構、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プレスユニットで必要とされる複数の樹脂タブレットの重量を、個別に測定する技術が開示されている。具体的には、特許文献1には、円柱状の樹脂タブレットを個別に収容するポット部と、ポット部に収容された樹脂タブレットの重量を個別に測定するロードセルと、ポット部に収容された樹脂タブレットを排出するための排出シャッターと、を具備する樹脂材料供給機構が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の樹脂材料供給機構では、ポット部に収容された樹脂タブレットの重量が基準となる重量の条件を満たさない場合、樹脂タブレットは不良品であると判断される。不良品であると判断された樹脂タブレットは、排出シャッターによって外部へと排出される。このようにして、基準となる重量の条件を満たす樹脂タブレットが選別され、プレスユニットへと供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、樹脂タブレットを複数用いて樹脂成形が行われるため、個別に重量が測定された樹脂タブレットの測定誤差が累積し、複数の樹脂タブレットの総重量の誤差が大きくなるおそれがある。
【0006】
特に、樹脂成形品の高精度化のために、樹脂成形に用いられる樹脂タブレットの総重量に基づいてプランジャの位置等を制御する樹脂成形装置では、使用する樹脂タブレットの総重量を高精度に調整する必要がある。しかし、特許文献1に記載の樹脂材料供給機構は樹脂タブレットの総重量の誤差が大きくなるおそれがあるため、上述のような樹脂成形装置に適用することが困難である。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、樹脂タブレットの総重量を高精度に測定することが可能な樹脂材料供給機構、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂材料供給機構は、樹脂材料を順次送り出す送出部と、前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料の重量を一括して測定する総重量測定部と、前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料を、前記樹脂材料を成形型へと搬送する搬送機構へと受け渡す受渡部と、前記送出部と、前記総重量測定部と、前記受渡部と、の間で前記樹脂材料を移動させる移動部と、を具備するものである。
【0009】
また、本発明に係る樹脂成形装置は、前記樹脂材料供給機構を具備するものである。
【0010】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、基板に配置されたチップの体積を測定するチップ体積測定工程と、樹脂材料の体積を測定する樹脂体積測定工程と、測定された前記チップの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて、キャビティの樹脂充填率とプランジャの位置との関係を算出するプランジャ位置算出工程と、前記プランジャが所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、樹脂タブレットの総重量を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面模式図。
【
図2】一実施形態に係る樹脂成形モジュールの構成を示した正面断面図。
【
図3】(a)一実施形態に係る下型を型面側(上方)から見た構成を示した平面模式図。(b)一実施形態に係る上型を型面側(下方)から見た構成を示した底面模式図。
【
図4】(a)カル部同士を連結する連結溝を示した平面模式図。(b)カル部同士がキャビティを介して連結された例を示した平面模式図。
【
図5】(a)型締め機構によりクランプされた際にキャビティの深さが浅くなる様子を示した正面断面図。(b)プランジャにより樹脂が供給された際にキャビティの深さが深くなる様子を示した正面断面図。
【
図6】樹脂成形品の製造方法の一例を示したフローチャート。
【
図7】第一制御態様に係るクランプ荷重、プランジャ位置及びプランジャ荷重の時間変化を示した図。
【
図8】充填率対応制御の具体例を示したフローチャート。
【
図9】(a)型締めされた状態の下型及び上型を示した正面断面図。(b)クランプ荷重が低下された状態の下型及び上型を示した正面断面図。
【
図10】第二制御態様に係るクランプ荷重、プランジャ位置及びプランジャ荷重の時間変化を示した図。
【
図13】送出部、個別重量測定部、移動部及びチャックを示した正面図。
【
図14】移動部及び総重量測定部を示した拡大斜視図、並びに、一部拡大側面図。
【
図15】(a)支持部が溝部に挿入された状態を示した側面図。(b)支持部が溝部に挿入された状態を示した正面一部断面図。(c)支持部によって樹脂タブレットが持ち上げられた状態を示した側面図。(b)支持部によって樹脂タブレットが持ち上げられた状態を示した正面一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印F及び矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向及び後方向と定義して説明を行う。
【0014】
<樹脂成形装置1の全体構成>
まず、
図1を用いて、樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子素子(以下、単に「チップ2a」と称する)を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、トランスファーモールド法を利用して樹脂成形を行う樹脂成形装置1を例示している。
【0015】
樹脂成形装置1は、構成要素として、供給モジュール10、樹脂成形モジュール20及び搬出モジュール30を具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0016】
<供給モジュール10>
供給モジュール10は、チップ2aを装着した基板の一種であるリードフレーム(以下、単に「基板2」と称する)、及び樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール20へと供給するものである。なお、本実施形態では基板2としてリードフレームを例示しているが、リードフレーム以外にも、その他種々の基板(ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等)を用いることが可能である。供給モジュール10は、主としてフレーム送出部11、フレーム測定部12、フレーム供給部13、樹脂材料供給機構200、ローダ17及び制御部18を具備する。
【0017】
フレーム送出部11は、インマガジンユニット(不図示)に収容された樹脂封止されていない基板2を、フレーム測定部12に送り出すものである。フレーム測定部12は、基板2に装着されたチップ2aの体積を測定するものである。なお、フレーム測定部12は、本願のチップ体積測定部の実施の一形態である。フレーム測定部12についての詳細は後述する。フレーム測定部12における測定が完了した基板2は、フレーム供給部13に送り出される。フレーム供給部13は、フレーム測定部12から基板2を受け取り、受け取った基板2を適宜整列させてローダ17に受け渡すものである。
【0018】
樹脂材料供給機構200は、樹脂タブレットTを後述するローダ17へと供給するものである。樹脂材料供給機構200は、樹脂タブレットTの重量を測定することができる。なお、樹脂材料供給機構200についての詳細は後述する。なお、ローダ17は、本願の搬送機構の実施の一形態である。
【0019】
ローダ17は、フレーム供給部13及び樹脂材料供給機構200から受け取った基板2及び樹脂タブレットTを、樹脂成形モジュール20に搬送するものである。
【0020】
制御部18は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。なお、制御部18は、本願の算出部の実施の一形態である。制御部18によって、供給モジュール10、樹脂成形モジュール20及び搬出モジュール30の動作が制御される。また、制御部18を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。
【0021】
なお本実施形態においては、制御部18を供給モジュール10に設けた例を示しているが、制御部18をその他のモジュールに設けることも可能である。また、制御部18を複数設けることも可能である。例えば、制御部18をモジュールごとや装置ごとに設け、各モジュール等の動作を互いに連動させながら個別に制御することも可能である。
【0022】
<樹脂成形モジュール20>
樹脂成形モジュール20は、基板2に装着されたチップ2aを樹脂封止するものである。本実施形態においては、樹脂成形モジュール20は2つ並べて配置される。2つの樹脂成形モジュール20によって基板2の樹脂封止を並行して行うことで、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。樹脂成形モジュール20は、主として成形型(下型110及び上型140)及び型締め機構190(
図2参照)を具備する。
【0023】
成形型(下型110及び上型140)は、溶融した樹脂材料を用いて、基板2に装着されたチップ2aを樹脂封止するものである。成形型は、上下一対の型、すなわち、下型110及び上型140(
図2等参照)を具備する。成形型には、ヒータ等の加熱部(不図示)が設けられる。
【0024】
型締め機構190(
図2参照)は、下型110を上下に移動させることによって、成形型(下型110及び上型140)を型締め又は型開きするものである。
【0025】
<搬出モジュール30>
搬出モジュール30は、樹脂封止された基板2を樹脂成形モジュール20から受け取って搬出するものである。搬出モジュール30は、主としてアンローダ31及び基板収容部32を具備する。
【0026】
アンローダ31は、樹脂封止された基板2を保持して基板収容部32へと搬出するものである。基板収容部32は、樹脂封止された基板2を収容するものである。
【0027】
<樹脂成形装置1の動作の概要>
次に、
図1及び
図2を用いて、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法)の概要について説明する。
【0028】
供給モジュール10において、フレーム送出部11は、インマガジンユニット(不図示)に収容された基板2を、フレーム測定部12に送り出す。フレーム測定部12は、受け取った基板2のチップ2aの体積を測定した後、基板2をフレーム供給部13に送り出す。フレーム供給部13は、受け取った基板2を適宜整列させて、ローダ17に受け渡す。
【0029】
また、樹脂材料供給機構200は、樹脂成形モジュール20における一回の樹脂成形に必要な個数の樹脂タブレットTの総重量を測定し、ローダ17に受け渡す。ローダ17は、受け取った基板2と樹脂タブレットTを樹脂成形モジュール20の成形型に搬送する。
【0030】
樹脂成形モジュール20において、型締め機構190は、成形型を型締めする。そして、成形型の加熱部(不図示)によって樹脂タブレットTを加熱して溶融させ、生成された溶融樹脂を用いて基板2を樹脂封止する。
【0031】
樹脂封止が完了した後、型締め機構190は成形型を型開きする。そして、樹脂封止された基板2を離型させる。その後、アンローダ31は、基板2を成形型から搬出し、搬出モジュール30の基板収容部32に収容する。この際、樹脂成形された基板2の不要部分(カル、ランナ等の不要樹脂)は適宜除去される。このようにして、樹脂封止された基板2(樹脂成形品)が製造される。
【0032】
<樹脂成形モジュール20の詳細な構成>
次に、樹脂成形モジュール20の構成について、より詳細に説明する。
図2に示すように、樹脂成形モジュール20は、主として下型設置部100、下型110、下型キャビティ調整機構120、上型設置部130、上型140、皿バネ150、上型キャビティ調整機構160、エアベント開閉機構170、トランスファ機構180及び型締め機構190を具備する。
【0033】
<下型設置部100>
図2に示す下型設置部100は、下型110が設けられる部分である。下型設置部100は、主として下型可動ベース部101及び下型取付部102を具備する。
【0034】
下型可動ベース部101は、下型設置部100の下部を形成するものである。下型取付部102は、下型110が取り付けられる部分である。下型取付部102は、下型可動ベース部101の上部に設けられる。
【0035】
<下型110>
図2、
図3(a)及び
図9に示す下型110は、成形型の下部を形成するものである。下型110は、主として下型サイドブロック111、ポットブロック112、下型キャビティブロック113、下型ピラー114及び下型弾性部材115を具備する。本実施形態の下型110では、
図3(a)に示すように、中央にポットブロック112があり、その左右に下型キャビティブロック113が配置され、下型キャビティブロック113のさらに外側に下型サイドブロック111が配置されている。
【0036】
下型サイドブロック111は、下型110の外周部分を形成するものである。下型サイドブロック111は、下型取付部102の上面に設けられる。
【0037】
ポットブロック112は、供給モジュール10から供給された樹脂タブレットTが収容される部分である。ポットブロック112には、樹脂タブレットTを収容するための貫通孔(ポット)が複数形成される。ポットブロック112は、左右を下型キャビティブロック113に挟まれて配置される。ポットブロック112は、下型取付部102の上面に設けられる。
【0038】
なお、
図3(a)には、説明の簡略化のため、2つの貫通孔(ポット)が形成されたポットブロック112を例示しているが、ポットの個数はこれに限るものではない。ポットは、樹脂成形に必要な樹脂タブレットTの個数に応じて任意の個数だけ形成することが可能である。例えば、後述する樹脂材料供給機構200(
図12等参照)から供給される8個の樹脂タブレットTを収容可能な8個のポットを形成することも可能である。
【0039】
下型キャビティブロック113は、基板2が載置される部分である。下型キャビティブロック113は、下型サイドブロック111とポットブロック112の間に配置される。下型キャビティブロック113は、下型サイドブロック111及びポットブロック112に対して上下方向に相対的に移動可能となるように配置されている。
【0040】
下型ピラー114は、下型キャビティブロック113から下方に向かって延びるように配置される部材である。下型ピラー114の上端は、下型キャビティブロック113の下部に固定される。
【0041】
下型弾性部材115は、下型キャビティブロック113に対して上方に向かって力を付与するものである。下型弾性部材115は、例えば圧縮コイルばね等により形成される。下型弾性部材115は、下型キャビティブロック113と下型取付部102との間に配置される。下型弾性部材115の付勢力によって、下型キャビティブロック113には、常に上向きの力が付与される。
【0042】
<下型キャビティ調整機構120>
図2に示す下型キャビティ調整機構120は、下型キャビティブロック113の位置を調整するものである。下型キャビティ調整機構120は、主として下型第一楔形部材121、下型第二楔形部材122及び下型楔形部材駆動部123を具備する。
【0043】
下型第一楔形部材121及び下型第二楔形部材122は、互いに向き合う面にテーパ部が形成された一対の部材である。下型第二楔形部材122は、下型第一楔形部材121の上側に配置される。下型第二楔形部材122は、下型ピラー114の下方に配置される。下型ピラー114の下端が下型第二楔形部材122に当接することによって、下型キャビティブロック113の下方への移動が規制される。これによって、下型キャビティブロック113の位置が規定される。
【0044】
下型楔形部材駆動部123は、下型第一楔形部材121を水平方向(左右方向)に移動させるものである。下型楔形部材駆動部123は、例えばサーボモータやエアシリンダ等により形成される。下型楔形部材駆動部123は、適宜の動力伝達部材を介して下型第一楔形部材121に連結される。下型楔形部材駆動部123を駆動させることにより、下型第一楔形部材121を左右方向に任意に移動させることができる。
【0045】
このように構成された下型キャビティ調整機構120によって、下型キャビティブロック113の位置を調整することができる。具体的には、下型楔形部材駆動部123を駆動させて下型第一楔形部材121を左右方向に移動させると、下型第一楔形部材121と接している下型第二楔形部材122がテーパ部に沿って上下に変位することになる。下型第二楔形部材122が上下に変位することで、下型ピラー114の下方への移動が規制される位置が変位することになり、ひいては下型キャビティブロック113の位置を調整することができる。
【0046】
<上型設置部130>
図2及び
図9に示す上型設置部130は、上型140が設けられる部分である。上型設置部130は、主として上型固定ベース部131、上型取付部132及びヒータプレート133を具備する。
【0047】
上型固定ベース部131は、上型設置部130の上部を形成するものである。上型取付部132は、上型140が取り付けられる部分である。上型取付部132は、複数の部材を組み合わせて形成される。上型取付部132は、上型固定ベース部131の下部に設けられる。上型取付部132の外周部には、後述する上型140(上型ベース部141)を下方から支持する支持部132aが設けられる。ヒータプレート133は、上型140を加熱するためのものである。ヒータプレート133は、上型取付部132の底面に設けられる。
【0048】
<上型140>
図2、
図3(b)及び
図9に示す上型140は、成形型の上部を形成するものである。上型140は、主として上型ベース部141、上型サイドブロック142、上型キャビティブロック143、上型サポート145及び上型ピラー146を具備する。本実施形態では、
図3(b)に示すように、中央にカルブロック144があり、その左右に上型キャビティブロック143が配置され、上型キャビティブロック143の外周(カルブロック側を除く)に上型サイドブロック142が配置されている。
【0049】
上型ベース部141は、後述する上型サイドブロック142を支持する部材である。上型ベース部141は、上下に所定の厚さを有する板状に形成される。上型ベース部141の外周部分は、上型取付部132の支持部132aによって下方から支持される。これによって上型ベース部141は、上型設置部130に対して上下方向に移動可能となるように支持されている。
【0050】
上型サイドブロック142は、上型140が形成するキャビティCの側面を形成するものである。なお、上型サイドブロック142は、本願のサイドブロックの実施の一形態である。上型サイドブロック142は、樹脂成形品(キャビティC)に対応する位置に開口部が形成された枠状に形成される。上型サイドブロック142は、上型ベース部141の下面に設けられる。上型サイドブロック142には、エアベント溝142aが形成される。
【0051】
図2に示すエアベント溝142aは、キャビティC内の空気を外部に排出するためのものである。エアベント溝142aは、上型サイドブロック142の下面の適宜の位置に形成される。
【0052】
上型キャビティブロック143は、上型140が形成するキャビティCの上面を形成するものである。なお、上型キャビティブロック143は、本願のキャビティブロックの実施の一形態である。上型キャビティブロック143は、上型サイドブロック142の内側(より詳細には、上型サイドブロック142の開口部の内側)に配置される。上型キャビティブロック143は、上型サイドブロック142に対して上下方向に相対的に移動可能となるように配置されている。
【0053】
カルブロック144は、下型110のポットブロック112に対向する位置に配置され、上型140が形成するキャビティCの側面を形成するものである。カルブロック144の下面には、樹脂材料をキャビティCへと案内するための溝状のカル部144a及びランナ部144bが形成される(
図3(b)参照)。なお、
図2では、樹脂の流れを容易に理解できるように、ポットブロック112の貫通孔(ポット)がカル部144a、ランナ部144bを経て後述するキャビティCへ連通している様子を模式的に示している。
【0054】
上型サポート145は、上型設置部130と接することで上型140の上方への移動を規制し、上型140の位置を規定するものである。上型サポート145は、上型ベース部141の上面に固定される。上型サポート145は、上型ベース部141の上面の適宜の位置に複数設けられる。
【0055】
上型ピラー146は、上型キャビティブロック143から上方に向かって延びるように配置される部材である。上型ピラー146の下端は、上型キャビティブロック143の上部に固定される。上型ピラー146は、上型ベース部141を貫通するように配置される。
【0056】
なお、
図2には、上型140の下面(キャビティCを形成する面)に離型フィルムFを吸着させた状態を示している。
【0057】
<皿バネ150>
皿バネ150は、上型140に対して下方に向かって力を付与するものである。皿バネ150は、上型設置部130(ヒータプレート133)の下面と、上型140(上型ベース部141)の上面と、の間に配置される。皿バネ150の付勢力によって、上型140には、常に上型設置部130から離れる方向(下方)に向かう力が付与される。
【0058】
<上型キャビティ調整機構160>
上型キャビティ調整機構160は、上型キャビティブロック143の位置を調整するものである。上型キャビティ調整機構160は、上型キャビティブロック保持部材161、上型キャビティブロック駆動部162、規制部材163、上型弾性部材164、上型第一楔形部材165、上型第二楔形部材166及び上型楔形部材駆動部167を具備する。
【0059】
上型キャビティブロック保持部材161は、上型キャビティブロック143を保持するものである。上型キャビティブロック保持部材161は、正面視において中空の枠状に形成される。上型キャビティブロック保持部材161は、複数の部材(上下の板状部材とその上下の板状部材を繋ぐ複数の円柱状部材等)を組み合わせて形成される。上型キャビティブロック保持部材161は、上型固定ベース部131を上下に貫通するように配置される。上型キャビティブロック保持部材161は、上型固定ベース部131に対して上下に移動可能となるように設けられる。上型キャビティブロック保持部材161の下面には、上型ピラー146の上端が固定される。これによって、上型キャビティブロック保持部材161は、上型ピラー146を介して上型キャビティブロック143を保持することができる。
【0060】
上型キャビティブロック駆動部162は、上型キャビティブロック保持部材161を垂直方向(上下方向)に移動させるものである。上型キャビティブロック駆動部162は、例えばサーボモータやエアシリンダ等により形成される。上型キャビティブロック駆動部162は、上型キャビティブロック保持部材161の上部に設けられる。上型キャビティブロック駆動部162を駆動させることにより、上型キャビティブロック保持部材161(ひいては上型キャビティブロック143)を上型設置部130に対して上下方向に任意に移動させることができる。
【0061】
規制部材163は、上型キャビティブロック保持部材161と接することで、上型キャビティブロック保持部材161の移動を規制するものである。規制部材163は、複数の部材(板状部材等)を組み合わせて形成される。規制部材163は、上型キャビティブロック保持部材161を左右に跨ぐ上方部と、上型キャビティブロック保持部材161の内側に配置される中央部とを含む。規制部材163の中央部は、上型キャビティブロック保持部材161の下部(底部)に対して上方から接することができるように配置されている。規制部材163は、上型キャビティブロック保持部材161の下部に対して上方から接することで、上型キャビティブロック保持部材161の上方への移動を規制することができる。これによって、キャビティCの深さを規定することができる。
【0062】
上型弾性部材164は、規制部材163に対して上方に向かって力を付与するものである。上型弾性部材164は、例えば圧縮コイルばね等により形成される。上型弾性部材164は、規制部材163と上型取付部132との間に配置される。上型弾性部材164の付勢力によって、規制部材163には、常に上向きの力が付与される。
【0063】
上型第一楔形部材165及び上型第二楔形部材166は、互いに向き合う面にテーパ部が形成された一対の部材である。上型第二楔形部材166は、上型第一楔形部材165の下側に配置される。上型第一楔形部材165及び上型第二楔形部材166は、上型キャビティブロック保持部材161の内側に配置される。より具体的には、上型第一楔形部材165及び上型第二楔形部材166は、上型固定ベース部131と規制部材163との間に配置される。上型第二楔形部材166は、規制部材163の上面に固定される。
【0064】
上型楔形部材駆動部167は、上型第一楔形部材165を水平方向(左右方向)に移動させるものである。上型楔形部材駆動部167は、例えばサーボモータやエアシリンダ等により形成される。上型楔形部材駆動部167は、適宜の動力伝達部材を介して上型第一楔形部材165に連結される。上型楔形部材駆動部167を駆動させることにより、上型楔形部材駆動部167を左右方向に任意に移動させることができる。
【0065】
このように構成された上型キャビティ調整機構160によって、上型キャビティブロック143の位置を調整することができる。具体的には、上型キャビティブロック駆動部162を駆動させて上型キャビティブロック保持部材161を下方に移動させると、規制部材163と上型キャビティブロック保持部材161の下部との間に隙間ができる。すなわち、この隙間を利用して規制部材163が上下に移動することができるようになる。この状態で、上型楔形部材駆動部167を駆動させて上型第一楔形部材165を左右方向に移動させると、上型第一楔形部材165と接している上型第二楔形部材166がテーパ部に沿って上下に変位することになる。また上型第二楔形部材166と共に、規制部材163も上下に変位する。規制部材163を所定の位置に調整した後、再び上型キャビティブロック駆動部162を駆動させて、上型キャビティブロック保持部材161が規制部材163と接するまで上方に移動させる。このように規制部材163を上下に変位させることで、上型キャビティブロック保持部材161の上方への移動が規制される位置が変位することになるため、上型キャビティブロック143の位置を調整することができる。
【0066】
<エアベント開閉機構170>
図2に示すエアベント開閉機構170は、キャビティCと外部とを連通するエアベント溝142aを開閉するものである。エアベント開閉機構170は、主としてエアベントピン171及びエアベント駆動部172を具備する。
【0067】
エアベントピン171は、エアベント溝142aを閉塞するためのものである。エアベントピン171は、エアベント溝142aと連通された上型サイドブロック142内の貫通孔に、上下に移動可能に設けられる。
【0068】
エアベント駆動部172は、エアベントピン171を上下方向に移動させるものである。エアベント駆動部172は、例えばサーボモータやエアシリンダ等により形成される。エアベント駆動部172は、適宜の動力伝達部材を介してエアベントピン171に連結される。エアベント駆動部172を駆動させることにより、エアベントピン171を上下方向に任意に移動させることができる。例えば、エアベントピン171を下方に移動させることで、エアベント溝142aを閉塞することができる。
【0069】
<トランスファ機構180>
トランスファ機構180は、キャビティCへと樹脂材料を供給するものである。トランスファ機構180は、主としてトランスファ駆動部181、プランジャ182及びプランジャ荷重測定部183を具備する。
【0070】
トランスファ駆動部181は、後述するプランジャ182を垂直方向(上下方向)に移動させるもの(駆動源)である。トランスファ駆動部181は、例えばサーボモータやエアシリンダ等により形成される。トランスファ駆動部181は、ポットブロック112の下方において、下型可動ベース部101に設けられる。
【0071】
プランジャ182は、ポットブロック112に収容された樹脂タブレットT(樹脂材料)を射出してキャビティCへと供給するものである。プランジャ182は、ポットブロック112内に上下に移動(昇降)可能となるように配置される。
【0072】
プランジャ荷重測定部183は、プランジャ182に加わる力(プランジャ荷重)を測定するものである。プランジャ182に加わる力とは、具体的には、トランスファ駆動部181がプランジャ182を押す力である。プランジャ荷重測定部183は、例えばロードセル等により形成される。プランジャ荷重測定部183は、トランスファ駆動部181とプランジャ182との間に設けられる。
【0073】
なお、本実施形態においては、トランスファ駆動部181とプランジャ182との間には、各プランジャ182によって樹脂材料に付与される力(ひいては、キャビティC内の樹脂圧力)の均一化を図るための弾性部材等(等圧機構)が配置されていない。このためプランジャ182は、トランスファ駆動部181の出力に比例した移動量だけ移動することになる。例えばトランスファ駆動部181として伸縮可能なロッドを有するエアシリンダを用いて、プランジャ182を下方から押し上げる場合には、トランスファ駆動部181のロッドの移動量と同じ量だけプランジャ182も移動する。また例えばトランスファ駆動部181が適宜の減速機構を介してプランジャ182を移動させる場合には、トランスファ駆動部181の出力に対して減速機構の減速比を乗じた移動量だけプランジャ182が移動する。
【0074】
<カル部144aの形状>
このように、プランジャ182がトランスファ駆動部181の出力に比例した移動量だけ移動する構成であるため、複数のプランジャ182でキャビティCへと樹脂材料を供給する場合には、キャビティC内の樹脂圧力が均一となるような構成であることが望ましい。本実施形態では、複数のプランジャ182(ポット)から共通のキャビティCへと樹脂材料を供給する構成となっており、キャビティCを介して樹脂圧力が均一となるようになっている。その他のキャビティC内の樹脂圧力を均一とする方法としては、例えば
図4(a)に示すように、カル部144a同士を連結する連結溝144cを形成する方法や、
図4(b)に示すように、キャビティCが複数ある場合、さらに、キャビティC同士を連結する連結溝144dを形成する(複数のカル部144aから共通のキャビティCへと樹脂材料を供給する)方法等がある。このようにカル部144a同士を連結する等することで、各プランジャ182のプランジャ荷重のばらつきによって樹脂材料に加わる圧力がばらつくのを抑制することができる。
【0075】
<型締め機構190>
図2に示す型締め機構190は、下型110を上昇させて、下型110と上型140とを型締め(クランプ)するものである。なお、型締め機構190は、本願のクランプ機構の実施の一形態である。型締め機構190は、主として固定盤191、支柱192、駆動機構193及びクランプ荷重測定部194を具備する。
【0076】
固定盤191は、地面に設置され、他の部材を支持する部分である。固定盤191の上部には、後述する駆動機構193を介して下型110(下型設置部100)が設けられる。
【0077】
支柱192は、上型140(上型設置部130)を支持するものである。支柱192は、固定盤191から上方に延びるように設けられる。支柱192の上部には、上型設置部130の上型固定ベース部131が固定される。これによって上型140(上型設置部130)は、下型110(下型設置部100)の上方に配置される。
【0078】
駆動機構193は、下型110(下型設置部100)を垂直方向(上下方向)に移動させるものである。駆動機構193は、例えばサーボモータ等の駆動源と、適宜の動力伝達機構等により形成される。駆動機構193は、固定盤191と下型設置部100との間に配置される。駆動機構193を駆動させることにより、下型設置部100を上下方向に任意に移動(昇降)させることができる。例えば駆動機構193により下型110を上型140に向かって上昇させることで、型締めすることができる。また駆動機構193により下型110を上型140から離れる方向に下降させることで、型開きすることができる。
【0079】
クランプ荷重測定部194は、型締め機構190によって下型110と上型140とを型締めする際の力(クランプ荷重)を測定するものである。クランプ荷重測定部194は、例えばロードセルや歪ゲージ等により形成される。クランプ荷重測定部194は、支柱192に設けられる。クランプ荷重測定部194は、支柱192に加わる荷重に基づいて、クランプ荷重を測定することができる。
【0080】
なお、
図2では、成形型に基板2と樹脂タブレットTが搬送された後で、下型110と上型140とが型締め(クランプ)された状態を示している。
【0081】
<樹脂成形品の製造方法の概要>
以下では、上述の如く構成された樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法について説明する。
【0082】
本実施形態では、樹脂成形モジュール20において樹脂成形を行う際に、製品の寸法精度(具体的には、成形された樹脂の厚みの寸法精度)の向上を図るための制御が行われる。この制御の理解を助けるため、まずは、樹脂成形装置1において製品の寸法がばらつく要因について、
図5を用いて説明する。
【0083】
図5(a)に示すように、型締め機構190によって下型110を上昇させて、下型110と上型140をクランプした場合、上型140のうち、上型サイドブロック142が下型110と接することになる。従って、型締め機構190によるクランプ荷重は、主に上型サイドブロック142に加わることになる。上型サイドブロック142にクランプ荷重が加わると、上型サイドブロック142が上下に圧縮されて微小ながら変形するため、キャビティCの深さ(上下方向の厚さ)が浅くなるおそれがある。
【0084】
また
図5(b)に示すように、トランスファ機構180のプランジャ182によってキャビティC内へと樹脂が供給された場合、キャビティC内の樹脂材料からの圧力が上型キャビティブロック143に上向きに作用する。このため、上型キャビティブロック143が上方へと押し上げられて微小ながら移動又は変形するため、キャビティCの深さが深くなるおそれがある。
【0085】
このように、樹脂成形装置1を用いた樹脂成形を行う場合、各部の動作に応じてキャビティCの深さが変化する可能性があるため、この変化を抑制することで、樹脂成形品の寸法精度の向上を図ることができる。以下では、このような寸法精度の向上を図ることが可能な樹脂成形品の製造方法(クランプ荷重とプランジャ荷重の制御態様)について説明する。
【0086】
図6のステップS10において、樹脂タブレットT及び基板2上のチップ2aの体積が測定される。以下、具体的に説明する。
【0087】
樹脂タブレットTの体積は、上述のように供給モジュール10の樹脂材料供給機構200において測定される樹脂タブレットTの総重量に基づいて算出される。具体的には、後述する樹脂材料供給機構200の総重量測定部250では、樹脂成形モジュール20における一回の樹脂成形に必要な個数の樹脂タブレットTの総重量が測定される。総重量測定部250により測定された樹脂タブレットTの重量と、樹脂タブレットTの比重から、樹脂タブレットTの体積が算出される。
【0088】
また基板2上のチップ2aの体積は、上述のように供給モジュール10のフレーム測定部12において測定される。フレーム測定部12では、任意の測定機器を用いて基板2上のチップ2aの体積を測定することができる。フレーム測定部12の一例として、基板2上のチップ2aの体積を測定する体積計が挙げられる。体積計は、レーザ光を用いて基板2上のチップ2aまでの距離を検出することで、チップ2aの形状(ひいては、体積)を測定するレーザ体積計である。なお、チップ2aの体積の測定方法は特に限定するものではなく、その他種々の機器を用いて測定することが可能である。例えば、各種方式の三次元スキャナー等を用いることが可能である。
【0089】
次に、
図6のステップS20において、キャビティCの所定の樹脂充填率におけるプランジャ182の位置を算出する。以下、具体的に説明する。
【0090】
制御部18は、予め記憶されている各部(上型サイドブロック142、上型キャビティブロック143、ポットブロック112、カルブロック144等)の寸法と、上型キャビティブロック143の上下位置に基づいてキャビティCの容量を算出する。なお、上型キャビティブロック143の上下位置は、上型楔形部材駆動部167の駆動量等に基づいて把握することができる。制御部18は、算出されたキャビティCの容量、並びにステップS10において測定された樹脂タブレットTとチップ2aの体積に基づいて、プランジャ182がどの位置まで上昇した時点で、キャビティCの容量のうち何%が溶融した樹脂材料で充填されたか(樹脂充填率)を算出することができる。
【0091】
本実施形態では、
図5に示すように、制御部18はキャビティCの樹脂充填率が0%、25%、50%、75%及び100%となるプランジャ182の位置(以下では、それぞれ位置P0、P25、P50、P75及びP100と称する)を算出する。
【0092】
なお、厳密には、プランジャ182が位置P0よりも低い位置にある状態では、キャビティCの樹脂充填率はプランジャ182の位置にかかわらず0%となるが、本実施形態ではプランジャ182が上昇してキャビティC内へ樹脂材料の供給され始める位置を、樹脂充填率が0%の位置P0と定義している。
【0093】
次に、
図6のステップS30において、基板2と樹脂タブレットTがそれぞれ樹脂成形モジュール20の成形型に搬送される。具体的には、基板2が下型110に載置されると共に、樹脂タブレットTがポットブロック112のポット内に収容される。
【0094】
次に、
図6のステップS40において、型締め機構190によって下型110と上型140とが型締めされる。具体的には、型締め機構190によって下型110が上昇し、下型110が上型140に下方から接触する。これによって、キャビティCが閉塞される。この際、
図9(a)に示すように、上型サポート145が上型設置部130(ヒータプレート133)に接する位置まで上型140が上昇する。
【0095】
以降、
図7に示すグラフを用いて、樹脂成形装置1の動作に伴うクランプ荷重(単位は例えばtonf、N等)、プランジャ位置(初期位置を0としたプランジャ182の上下位置、単位は例えばmm等)、プランジャ荷重(単位は例えばtonf、N等)の時間変化の一例についても併せて説明する。
【0096】
ステップS40において下型110と上型140とが型締めされることによって、
図7では時間t1においてクランプ荷重がCL1まで上昇している。
【0097】
次に、
図6のステップS50において、プランジャ182の上昇が開始される(
図7の時間t2)。
【0098】
次に、
図6のステップS60において、充填率対応制御が実行される。充填率対応制御とは、キャビティCの樹脂充填率に基づいて樹脂成形装置1の動作を制御するものである。
【0099】
充填率対応制御の一例を
図8に示している。
図8は、樹脂充填率に基づいてクランプ荷重及びプランジャ182の移動速度を制御する例を示したものである。
【0100】
具体的には、プランジャ182の位置が位置P50(樹脂充填率が50%となる位置)に到達した場合(ステップS61でYES)、クランプ荷重がCL1からCL2に上昇される(ステップS62)。
図7では、時間t3においてプランジャ182が位置P50に到達し、時間t3から時間t4にかけてクランプ荷重がCL1からCL2へと増加されている。
【0101】
また、プランジャ182の位置が位置P50(樹脂充填率が50%となる位置)に到達した場合(ステップS61でYES)、プランジャ182の移動速度が調整される(ステップS62)。
図7では、時間t3においてプランジャ182の時間変化(プランジャ位置のグラフの傾斜)が緩やかになっている。すなわち、プランジャ182の移動速度が遅くなるように調整されている。
【0102】
次に、プランジャ182の位置が位置P100(樹脂充填率が100%となる位置)に到達した場合(ステップS63でYES)、プランジャ182が停止される(ステップS64)。
図7では、時間t5においてプランジャ182が位置P100に到達し、プランジャ182の移動(上昇)が停止されている。
【0103】
なお、
図8では樹脂充填率が50%に到達したことを契機としてクランプ荷重及びプランジャ182の移動速度を1回だけ調整する例を示したが、調整回数はこれに限るものではなく、複数回の調整を行うことも可能である。例えば、樹脂充填率が25%、50%、75%(プランジャ182が位置P25、P50及びP75)に到達するごとにクランプ荷重等を調整することも可能である。またこの調整の契機となる樹脂充填率は上記の例に限るものではなく、任意に設定することが可能である。
【0104】
このように樹脂充填率に応じてクランプ荷重を段階的に増加させることで、キャビティCの深さの変化を抑制することができる。具体的には、樹脂充填率の増加に伴って、樹脂材料が上型キャビティブロック143を上方へと押し上げる力が増加するため、キャビティCの深さが深くなる(
図5(b)参照)。そこで、上述のように樹脂充填率に応じてクランプ荷重を増加させることで、キャビティCの深さを浅くすることで(
図5(a)参照)、キャビティCの深さの変化の傾向(深さの増加と減少)を相殺し、キャビティCの深さの変化を抑制することができる。
【0105】
また樹脂充填率に応じてプランジャ182の移動速度を調整することで、樹脂材料の未充填等の発生を抑制することができる。具体的には、キャビティC内を流動する樹脂材料は、比較的流動し易い部分(例えば、基板2のチップ2aが設けられていない部分等)と比較的流動し難い部分(例えば、基板2のチップ2a部分等)を流動するため、樹脂の回りを良くするため、流動速度を調整することが望ましい場合がある。そこで、上述のように樹脂充填率に応じてプランジャ182の移動速度を調整することで、樹脂の回りの向上を図ることができる。
【0106】
また本実施形態においては、樹脂タブレットT及び基板2のチップ2aの体積を実際に測定した値に基づいて樹脂充填率(樹脂充填率に対応するプランジャ182の位置)を算出しているため、樹脂タブレットTごとの体積のばらつき等にかかわらず、キャビティCの樹脂充填率を精度良く把握することができる。これによって、キャビティCの深さの変化をより精度よく抑制することができる。
【0107】
なお、樹脂充填率に対する適切なクランプ荷重の値や適切なプランジャ182の移動速度は、予め実験や数値解析等で決定することができる。
【0108】
次に、
図6のステップS70において、キャビティ制御が実行される。キャビティ制御とは、後述する圧力調整制御の前に、上型キャビティブロック143の位置を調整するものである。
【0109】
具体的には、
図9(a)に示すように下型110と上型140とがクランプされた状態において、
図9(b)に示すようにクランプ荷重が低下される。この際、上型キャビティブロック駆動部162で上型キャビティブロック保持部材161を下方に向かって押さえながら、クランプ荷重が低下される。
図7では、時間t6においてクランプ荷重がCL2からCLdownへと低下されている。この際、クランプ荷重が低下することでキャビティCの深さが深くなるおそれがあるが、上型キャビティブロック駆動部162で上型キャビティブロック保持部材161を下方に向かって押さえているため、キャビティCが深くなるのを抑制することができる。
【0110】
クランプ荷重が低下すると、
図9(b)に示すように、皿バネ150によって上型140が上型設置部130から離れる方向に相対的に移動するため、規制部材163と上型キャビティブロック保持部材161との間に若干の隙間(
図9(b)のA部分参照)が形成される。
【0111】
このような隙間が形成されることで、上型第二楔形部材166の可動域が確保される。すなわち、上型第二楔形部材166が上下に移動できるようになる。この状態で上型楔形部材駆動部167を駆動させることで、上型キャビティブロック143の位置を任意に調整することができる。
【0112】
例えば
図7に示した例では、上型キャビティブロック143を若干下降させている。これによって、キャビティCの深さを若干浅くすることができ、後述する圧力調整制御(ステップS80)、第一最終調整制御(ステップS90)及び第二最終調整制御(ステップS100)において、キャビティC内の樹脂材料に高い圧力を付与し易くなる。
【0113】
次に、
図6のステップS80において、圧力調整制御が実行される。圧力調整制御とは、クランプ荷重を調整して、キャビティC内の樹脂材料に加わる圧力を上昇させるものである。
【0114】
具体的には、
図7に示すように、クランプ荷重をCLdownから、CLM(予め設定されたクランプ荷重)まで増加させる(時間t7)。この際、プランジャ182は停止されている。このため、クランプ荷重が増加してキャビティCが浅くなろうとするのを、キャビティCに充填された樹脂材料が支えることになるため、キャビティCの深さの変化が抑制される。また、これによってキャビティC内の樹脂材料に加わる圧力が上昇し、樹脂の未充填等の発生が抑制され、樹脂成形品の精度を向上させることができる。なお
図7には、キャビティC内の圧力の増加に伴ってプランジャ荷重が増加している様子が現れている。
【0115】
次に、
図6のステップS90において、第一最終調整制御が実行される。第一最終調整制御とは、クランプ荷重を予め設定された最終クランプ荷重となるように調整するものである。
【0116】
具体的には、
図7に示すように、クランプ荷重をCLMからCLf(最終クランプ荷重)まで増加させる(時間t8)。この際、プランジャ182は停止されている。このため、クランプ荷重が増加してキャビティCが浅くなろうとするのを、キャビティCに充填された樹脂材料が支えることになるため、キャビティCの深さの変化が抑制される。また、これによってキャビティC内の樹脂材料に加わる圧力が上昇し、樹脂の未充填等の発生が抑制され、樹脂成形品の精度を向上させることができる。
【0117】
次に、
図6のステップS100において、第二最終調整制御が実行される。第二最終調整制御とは、プランジャ荷重を予め設定された最終プランジャ荷重となるように調整するものである。
【0118】
具体的には、
図7に示すように、プランジャ荷重がTrfとなるように、プランジャ182を移動させる(時間t9)。
図7に示した例では、第一最終調整制御が完了した時点(時間t8)におけるプランジャ荷重がTrfに満たないため、プランジャ182を上昇させてプランジャ荷重をTrfまで増加させている。
【0119】
なお、例えば第一最終調整制御が完了した時点(時間t8)におけるプランジャ荷重がTrfよりも大きい場合には、ステップS100においてプランジャ182を下降させてプランジャ荷重をTrfまで低下させる。また、第一最終調整制御が完了した時点(時間t8)におけるプランジャ荷重がTrfである場合には、ステップS100においてプランジャ182を移動させることなく、プランジャ荷重をTrfに保持する。このように、最終的なプランジャ荷重を予め設定された値となるように調整することで、樹脂成形品の精度の向上を図ることができる。
【0120】
なお、第二最終調整制御のようにプランジャ182を移動させると、キャビティC内の樹脂材料に加わる圧力を効率的に調整できる反面、キャビティC内の樹脂材料の量が変化してキャビティCの深さが変化し易い。そこで本実施形態においては、第一最終調整制御において予めクランプ力を最終クランプ力まで増加させ、これに伴ってプランジャ荷重を最終プランジャ荷重に近い値まで増加させている。これによって、第二最終調整制御におけるプランジャ182の移動量を小さく抑えることができるため、キャビティCの深さの変化を抑制することができる。
【0121】
次に、
図6のステップS110において、クランプ荷重及びプランジャ荷重を保持しながら、キュア時間(硬化時間)が経過するまで待機する。
【0122】
次に、
図6のステップS120において、プランジャ182を下降させてプランジャ荷重を低下させると共に、型締め機構190によって下型110と上型140とが型開きされる。
【0123】
次に、
図6のステップS130において、樹脂成形(樹脂封止)が完了した基板2が成形型から搬出される。搬出された基板2は搬出モジュール30へ搬送される。
【0124】
以上のように、クランプ荷重とプランジャ荷重を適宜制御することで、キャビティCの深さの変化を抑制し、樹脂成形品の寸法精度の向上を図ることができる。
【0125】
<制御態様の別例>
以下では、樹脂成形品の製造方法(クランプ荷重とプランジャ荷重の制御態様)の別例について説明する。
【0126】
図10に示す例は、
図7に示すクランプ荷重等の制御態様の別例を示したものである。なお、以下では便宜上、
図7に示した制御態様を第一制御態様、
図10に示した制御態様を第二制御態様とそれぞれ称する。
図10に示す第二制御態様は、主に時間t6から時間t7にかけての制御内容(
図6のステップS70及びステップS80)が
図7の第一制御態様と異なっている。以下ではこの相違点について説明する。
【0127】
第一制御態様では、
図6のステップS70におけるキャビティ制御において、キャビティCの深さが浅くなるように上型キャビティブロック143の位置を調整したが、第二制御態様では、キャビティCの深さが深くなるように上型キャビティブロック143の位置を調整している。
【0128】
すなわち第二制御態様では、ステップS70においてクランプ荷重をCLdownへと低下させた状態で上型楔形部材駆動部167を駆動させ、上型キャビティブロック143を若干上昇させる。これによって、キャビティCの深さが若干深くなる。
【0129】
次に、
図6のステップS80において、圧力調整制御が実行される。ここで、上述のように第二制御態様では、ステップS70においてキャビティCの深さが深くなるように調整されている。このようにキャビティCの深さが深くなると、キャビティCの容量も変化(増加)するため、100%であった樹脂充填率が低下し、100%を下回ることになる。
【0130】
そこで制御部18は、この時点で再びキャビティCの樹脂充填率とプランジャ182の位置との関係を算出し直す。なお、この算出方法は、ステップS20と同様である。
【0131】
次に、クランプ荷重をCLdownからCLM2まで増加させる(時間t7)。この際、樹脂充填率が100%を下回っているため、プランジャ182を上昇させて樹脂材料をキャビティC内へと供給しながら、クランプ荷重CLを段階的に上昇させる。すなわち、前述の充填率対応制御(ステップS60)と同様に、プランジャ182が所定の樹脂充填率に相当する位置に到達したことを契機として、クランプ荷重を段階的に増加させる。またこの際、プランジャ182の移動速度を調整することも可能である。
図10に示す例では、クランプ荷重をCLM1、CLM2の2段階増加させた例を示している。
【0132】
このように圧力調整制御(ステップS80)においても、前述の充填率対応制御(ステップS60)と同様に樹脂充填率に応じてクランプ荷重を段階的に増加させることで、キャビティCの深さの変化を抑制することができる。但し、圧力調整制御において、前述の充填率対応制御を行わない構成とすることも可能である。
【0133】
また、上述の充填率対応制御(ステップS60)では、樹脂充填率に応じてクランプ荷重やプランジャ182の移動速度を調整する例を示したが、さらに別例として、樹脂充填率に応じてエアベント開閉機構170(
図2参照)の動作を制御することも可能である。例えば、樹脂充填率が所定の値となった場合(プランジャ182が所定の樹脂充填率に相当する位置に到達した場合)に、エアベントピン171を下降させてエアベント溝142aを閉塞することもできる。これによって、エアベント溝142aの開閉を、樹脂充填率に応じて精度よく制御することができる。
【0134】
また、上述の充填率対応制御(ステップS60)では、各樹脂充填率(0%、25%、50%、75%及び100%)に対応するプランジャ182の位置を契機として各部を制御する例を示したが、制御方法はこれに限るものではなく、例えばこれらの位置を基準とした他の位置を契機とする制御を行うことも可能である。
【0135】
例えば、プランジャ182を上昇させる際(樹脂材料をキャビティCに供給する際)に、樹脂充填率が0%のプランジャ182の位置P0を基準として、プランジャ182が位置P0から所定の距離(たとえば、5mm等)だけ下の位置に到達したことを契機として、プランジャ182の移動速度を調整する、エアベント溝142aを閉塞する等の制御が可能である。
【0136】
このように、位置P0を基準として、それ以下の位置にプランジャ182が到達したことを契機とした制御を行うことで、キャビティCに樹脂材料が供給される前のプランジャ182の位置に基づく制御を実行することができる。これによって、例えば樹脂材料がキャビティCへと供給され始める直前や、供給され始めるのと同時といったタイミング(樹脂充填率に依らないタイミング)でも、各部の制御を行うことができる。
【0137】
<樹脂材料供給機構200>
以下では、樹脂材料供給機構200の構成について説明する。本実施形態の樹脂材料供給機構200は、樹脂タブレットTの体積の算出に用いられる樹脂タブレットTの総重量の測定を高精度に行うことができる。
図11及び
図12に示すように、樹脂材料供給機構200は、主として送出部210、個別重量測定部220、移動部230、チャック240、総重量測定部250、受渡部260及び押出機構270を具備する。
【0138】
<送出部210>
送出部210は、円柱状の樹脂タブレットTを後述する個別重量測定部220へと順次送り出すものである。送出部210は、内側に収容された複数の樹脂タブレットTを一列に整列させながら、右方へと送り出すことができる。
【0139】
<個別重量測定部220>
図11に示す個別重量測定部220は、樹脂タブレットTの重量を個別に測定するものである。個別重量測定部220は、送出部210の右方に配置される。個別重量測定部220は、主として本体部221及び重量検出部222を具備する。
【0140】
本体部221は、樹脂タブレットTが載置される部分である。本体部221は、略直方体状に形成される。本体部221は、主として載置部221aを具備する。
【0141】
載置部221aは、本体部221の上面を下方に凹ませた溝状に形成される。載置部221aは、左右方向に延びるように形成される。載置部221aは、側面断面視V字状に形成される。載置部221aには、軸線を左右に向けた円柱状の樹脂タブレットTを載置することができる。側面断面視V字状に形成された載置部221aによって、載置部221aに載置された樹脂タブレットTの転動を防止することができる。
【0142】
重量検出部222は、本体部221に載置された樹脂タブレットTの重量を測定するものである。重量検出部222は、本体部221を下方から支持するように配置される。重量検出部222は、本体部221に加わる荷重を測定することができる。重量検出部222としては、例えばロードセルを用いることができる。なお、重量検出部222としては、ロードセルに限らず、圧電素子を用いた重量センサ、静電容量式の重量センサ等、重量を測定可能な種々の機器を使用することが可能である。
【0143】
また、個別重量測定部220は、樹脂タブレットTの重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、
図13に示すように、重量が測定された樹脂タブレットTを樹脂材料供給機構200の外部へと排出することができるように構成される。樹脂タブレットTの重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合とは、例えば樹脂タブレットTの重量が目標値と比較して許容誤差範囲を超えて大きい場合、又は、小さい場合である。この場合、この樹脂タブレットTは不良品であると判断することができる。このように、不良品と思われる樹脂タブレットTを排出することで、適切な重量の樹脂タブレットTを用いて樹脂成形を行うことができ、樹脂成型品の精度の向上を図ることができる。
【0144】
樹脂タブレットTを排出するための機構としては、種々の機構を採用することができる。例えば、本体部221の底面に開閉可能なシャッターを設けて、シャッターを介して樹脂タブレットTを下方へと排出する機構や、本体部221を回転させて樹脂タブレットTを落下させて排出する機構等を採用することができる。
【0145】
<移動部230>
図11から
図14に示す移動部230は、送出部210と、後述する総重量測定部250と、後述する受渡部260と、の間で樹脂タブレットTを移動させるものである。移動部230は、前後に長い直方体状に形成される。移動部230は、送出部210及び個別重量測定部220の右方に配置される。移動部230は、主として第一載置部231、溝部232及び第一転動防止部233を具備する。
【0146】
図14に示す第一載置部231は、移動部230の上面を下方に凹ませた溝状に形成される。第一載置部231は、移動部230の左端から右端に亘って延びるように形成される。第一載置部231は、側面断面視V字状に形成される。第一載置部231には、軸線を左右に向けた円柱状の樹脂タブレットTを載置することができる。側面断面視V字状に形成された第一載置部231によって、第一載置部231に載置された樹脂タブレットTの転動を防止することができる。また、第一載置部231によって樹脂タブレットTの位置決めを行うことができる。これによって樹脂タブレットTの芯の位置を一意に決めることができ、後述する押出機構270によって樹脂タブレットTを受渡部260へと受け渡す際の不具合(例えば、樹脂タブレットTと収容部261の側面との衝突など)の発生を防止することができる。第一載置部231は、移動部230の長手方向に沿って一定の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、
図11等に示すように、8つの第一載置部231が形成された移動部230を図示しているが、本発明はこれに限るものではなく、第一載置部231の個数は任意に変更することができる。
【0147】
図14に示す溝部232は、第一載置部231の底部をさらに下方に凹ませた溝状に形成される。溝部232は、移動部230の左端から右端に亘って延びるように形成される。
【0148】
第一転動防止部233は、第一載置部231に載置された樹脂タブレットTの転動を防止するためのものである。第一転動防止部233は、矩形平板状に形成される。第一転動防止部233は、移動部230の上面に固定される。第一転動防止部233は、第一載置部231の前後両側にそれぞれ配置される。第一転動防止部233を配置することで、第一載置部231に載置された樹脂タブレットTが、第一載置部231を乗り越えて前後に転動するのを防止することができる。
【0149】
移動部230は、適宜の移動機構(例えば、移動部230を前後方向に移動可能となるように案内するレール、移動部230をレールに沿って任意の位置まで移動させるサーボモータ等)により、前後方向に直線的に往復移動することができる。移動部230は、送出部210(個別重量測定部220)の右方から、後述する受渡部260の左方に亘って前後方向に移動することができる。すなわち移動部230は、送出部210から送り出される樹脂タブレットTの移動方向(左右方向)とは垂直な方向(前後方向)に沿う移動経路上を移動することができる。
【0150】
<チャック240>
図11及び
図13に示すチャック240は、樹脂タブレットTを受け渡すためのものである。チャック240は左右一対設けられる。一方のチャック240は、送出部210から送り出される樹脂タブレットTを挟んで保持し、個別重量測定部220の載置部221aに載置することができる。もう一方のチャック240は、個別重量測定部220に載置された樹脂タブレットTを挟んで保持し、移動部230の第一載置部231に載置することができる。
【0151】
<総重量測定部250>
図11、
図12及び
図14に示す総重量測定部250は、移動部230に載置された複数の樹脂タブレットTの重量を一括して測定するものである。総重量測定部250は、移動部230の右方(移動部230を挟んで個別重量測定部220の反対側)に配置される。総重量測定部250は、主として支持部251、第二転動防止部252、連結部253、重量検出部254及び移動部255を具備する。
【0152】
支持部251は、樹脂タブレットTを下方から支持するものである。支持部251は、長手方向を左右方向に向けた四角柱状に形成される。支持部251は、後述する連結部253の左側面から左方へと突出するように設けられる。支持部251は、主として第二載置部251aを具備する。
【0153】
第二載置部251aは、支持部251の上面を下方に凹ませた溝状に形成される。第二載置部251aは、支持部251の長手方向に沿って延びるように形成される。第二載置部251aは、側面断面視V字状に形成される。
【0154】
支持部251は、移動部230の第一載置部231に対応するように前後に複数並ぶように配置される。本実施形態では、8つの第一載置部231に対応するように、8つの支持部251が配置される。複数の支持部251同士の間隔は、複数の第一載置部231同士の間隔と同一となるように配置される。
【0155】
第二転動防止部252は、支持部251が支持する樹脂タブレットTの転動を防止するためのものである。第二転動防止部252は、長手方向を左右方向に向けた円柱状に形成される。第二転動防止部252は、後述する連結部253の左側面から左方へと突出するように設けられる。第二転動防止部252は、複数の支持部251にそれぞれ対応するように配置される。第二転動防止部252は、支持部251の上方に、前後一対配置される。
【0156】
連結部253は、複数の支持部251及び第二転動防止部252を連結するものである。連結部253は、前後に長い直方体状に形成される。連結部253の左側面には、支持部251及び第二転動防止部252が固定される。
【0157】
図11、
図12及び
図15に示す重量検出部254は、支持部251に支持された樹脂タブレットTの重量を測定するものである。重量検出部254は、連結部253の右側面に固定される。重量検出部254は、連結部253に加わる荷重を測定することができる。重量検出部254としては、例えばロードセルを用いることができる。なお、重量検出部254としては、ロードセルに限らず、圧電素子を用いた重量センサ、静電容量式の重量センサ等、重量を測定可能な種々の機器を使用することが可能である。
【0158】
移動部255は、連結部253を上下方向及び左右方向に移動させるものである。なお、移動部255は、本願の昇降部の実施の一形態である。移動部255は、重量検出部254を介して連結部253と連結される。移動部255は、適宜の移動機構(例えば、移動部255を上下方向及び左右方向に移動可能となるように案内するレール、移動部255をレールに沿って任意の位置まで移動させるサーボモータ等)により、上下方向及び左右方向に移動することができる。
【0159】
<受渡部260>
図11及び
図12に示す受渡部260は、送出部210により送り出された樹脂タブレットTをローダ17へと受け渡すものである。受渡部260は、前後に長い直方体状に形成される。受渡部260は、総重量測定部250と共に、移動部230の移動経路に沿って前後に並ぶように配置される。具体的には、受渡部260は、移動部230の右方、かつ、総重量測定部250の後方に配置される。これによって総重量測定部250及び受渡部260は、前後に移動する移動部230の移動経路に沿って並ぶように配置される。受渡部260は、主として収容部261及び回転軸262を具備する。
【0160】
収容部261は、樹脂タブレットTを収容する部分である。収容部261は、受渡部260の左側面に開口する凹状に形成される。収容部261は、移動部230の第一載置部231に対応するように前後に複数並ぶように配置される。本実施形態では、8つの第一載置部231に対応するように、8つの収容部261が形成される。複数の収容部261同士の間隔は、複数の第一載置部231同士の間隔と同一となるように形成される。
【0161】
回転軸262は、受渡部260を回転可能に支持するものである。回転軸262は、受渡部260の前後両端部に設けられる。受渡部260は、図示せぬ駆動源(エアシリンダ等)の動力によって、回転軸262を中心として回転することができる。
【0162】
受渡部260は、適宜の移動機構(例えば、受渡部260を上下方向に移動可能となるように案内するレール、受渡部260をレールに沿って任意の位置まで移動させるサーボモータ等)により、上下方向に直線的に往復移動することができる。受渡部260は、上方に移動した際に、収容部261に収容された樹脂タブレットTを、ローダ17に受け渡すことができる。
【0163】
<押出機構270>
押出機構270は、移動部230に載置された樹脂タブレットTを押し出して、受渡部260へと受け渡すものである。押出機構270は、移動部230の左方(移動部230を挟んで受渡部260の反対側)に配置される。押出機構270は、主として押出部271及び支持部272を具備する。
【0164】
押出部271は、樹脂タブレットTを押し出す部分である。押出部271は、矩形平板状に形成される。押出部271は、板面が概ね水平となるように配置される。押出部271の前後幅は、移動部230に形成された複数(本実施形態では、8つ)の第一載置部231全体に亘るように形成される。
【0165】
なお、本実施形態の押出機構270として、平板状に形成された押出部271によって樹脂タブレットTを押し出す構成を例示しているが、本発明はこれに限るものではなく、種々の構成を採用することが可能である。例えば押出部271として、長手方向を左右方向に向けた円柱状の部材を用いることも可能である。この円柱状の部材を、複数の第一載置部231にそれぞれ対応するように、前後に複数並ぶように配置することで、第一載置部231に載置された樹脂タブレットTをまとめて押し出すことができる。
【0166】
支持部272は、押出部271を支持する部分である。支持部272は、長手方向を前後方向に向けた矩形板状に形成される。支持部272の右側面に、押出部271の左端部が固定される。
【0167】
押出機構270は、適宜の移動機構(例えば、支持部272を左右方向に移動可能となるように案内するレール、支持部272をレールに沿って移動させるエアシリンダ等)により、左右方向に移動することができる。
【0168】
<樹脂タブレットTの供給態様>
以下では、上述のように構成された樹脂材料供給機構200を用いてローダ17へと樹脂タブレットTを供給する様子について説明する。
【0169】
図12に示すように、送出部210に収容された複数の樹脂タブレットTは、一列に整列されながら送出部210の右端部へと移動する。送出部210の右端部へと到達した樹脂タブレットTは、チャック240によって個別重量測定部220に載置される。個別重量測定部220に載置された樹脂タブレットTは、重量検出部222によって重量が測定される。このように、重量検出部222によって、送出部210から送り出された単一の樹脂タブレットTの重量を測定することができる。
【0170】
重量検出部222によって測定された樹脂タブレットTの重量が予め設定された範囲を超過する場合、この樹脂タブレットTは不良品と考えられるため、個別重量測定部220から排出される。予め設定された範囲を超過しない重量の樹脂タブレットTは、チャック240によって移動部230の第一載置部231に載置される。
【0171】
移動部230を前後に適宜移動させながら、個別重量測定部220において重量が測定された樹脂タブレットTを移動部230へと載置することで、
図12に示すように、各第一載置部231に樹脂タブレットTを載置することができる。移動部230には、樹脂成形モジュール20における一回の樹脂成形に必要な個数の樹脂タブレットTが載置される。この際、
図13に示すように、第一載置部231の傾斜面、及び、第一載置部231の前後に設けられた第一転動防止部233によって、第一載置部231に載置された樹脂タブレットTの転動が防止される。
【0172】
移動部230の各第一載置部231に樹脂タブレットTが載置された後、
図15(a)及び
図15(b)に示すように、総重量測定部250が左方へと移動する。これによって、総重量測定部250に設けられた複数の支持部251が、移動部230の各溝部232に右方から挿入される。これによって、支持部251が各樹脂タブレットTの下方に位置する。またこれと同時に、総重量測定部250の第二転動防止部252が、各樹脂タブレットTの左右上方にそれぞれ位置する。
【0173】
この状態で、
図15(c)及び
図15(d)に示すように、総重量測定部250が上方へと移動する。これによって、総重量測定部250の各支持部251が複数の樹脂タブレットTを一括して上方へと持ち上げる。この際、支持部251に形成された第二載置部251aの傾斜面、及び、樹脂タブレットTの左右に配置された第二転動防止部252によって、樹脂タブレットTの転動が防止される。
【0174】
総重量測定部250によって複数の樹脂タブレットTが持ち上げられた状態で、重量検出部254によって、複数の樹脂タブレットTの重量が一括して測定される。これによって、樹脂成形モジュール20における一回の樹脂成形に用いられる複数の樹脂タブレットTの総重量を測定することができる。
【0175】
このように本実施形態では、樹脂材料供給機構200において、一回の樹脂成形に用いられる複数の樹脂タブレットTの総重量を一括して測定することができる。これによって、樹脂タブレットTの重量を個別に測定して合算する場合に比べて、測定誤差を小さく抑えることができ、樹脂タブレットTの総重量を高精度に測定することができる。
【0176】
総重量測定部250による樹脂タブレットTの重量の測定が終了した後、総重量測定部250は下方に移動し、樹脂タブレットTは再び移動部230の第一載置部231に載置される。その後、総重量測定部250は右方へと移動し、支持部251は移動部230の溝部232から退避する。
【0177】
その後、
図11及び
図12に示すように、移動部230は後方へと移動し、受渡部260と押出機構270の間で停止する。この状態で、押出機構270が右方へと移動することによって、押出部271によって各樹脂タブレットTが右方へと押し出され、受渡部260の各収容部261に収容される。
【0178】
樹脂タブレットTを収容した受渡部260は、収容部261が上方を向くように回転すると共に、上方へと移動し、各樹脂タブレットTをローダ17へと受け渡す。
【0179】
このように本実施形態の樹脂材料供給機構200は、樹脂タブレットTの個別の重量と、複数の樹脂タブレットTの総重量をそれぞれ測定することができる。樹脂タブレットTの重量に関する情報は制御部18に記憶され、管理することができる。
【0180】
また、樹脂材料供給機構200の変形例として、総重量測定部250から樹脂タブレットTを一括して樹脂材料供給機構200の外部へと排出することができるように構成することも可能である。例えば、総重量測定部250は、複数の樹脂タブレットTの重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された複数の樹脂タブレットTを一括して外部へと排出する。複数の樹脂タブレットTを排出するための機構としては、種々の機構を採用することができる。例えば、個別重量測定部220が樹脂タブレットTを排出する機構と同様の機構を採用することができる。
【0181】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0182】
例えば、上記実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール10等)は一例であり、適宜着脱や交換することが可能である。例えば、樹脂成形モジュール20の個数を変更することが可能である。また、本実施形態の樹脂成形装置1に用いた構成要素(供給モジュール10等)の構成や動作は一例であり、適宜変更することが可能である。
【0183】
また、上記実施形態においては、カル部144a及びランナ部144bがカルブロック144に形成されている例を示したが、例えば、ポットブロック112にカル部144a、ランナ部144bの一部が形成されていてもよい。また、上記実施形態においては、ポットブロック112には複数の貫通孔(ポット)が備えられている例を示したが、貫通孔は1つであってもよい。
【0184】
また、上記実施形態において例示した制御態様は一例であり、詳細な制御内容(例えば、クランプ荷重やプランジャ荷重の目標値や、制御タイミング等)は任意に変更することができる。例えば、上記実施形態では、第一最終調整制御(ステップS90)が完了した後で第二最終調整制御(ステップS100)を実行する例を示しているが、第一最終調整制御が完了する前に第二最終調整制御を開始することも可能である。
【0185】
また、上記実施形態においては、上型140に力を付与する付与部として皿バネ150を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の構成を採用することが可能である。例えば、付与部として各種の弾性部材や、エアシリンダ等のアクチュエータを用いることも可能である。
【0186】
また、上記実施形態においては、樹脂成形装置1が具備するフレーム測定部12において基板2のチップ2aの体積を測定する例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、樹脂成形装置1は、外部で体積が測定された基板2を用いて樹脂成形を行うことも可能である。この場合、樹脂成形装置1はフレーム測定部12を備える必要はない。
【0187】
また、上記実施形態においては、充填率対応制御の一例として、クランプ荷重を調整するクランプ力調整制御、プランジャ182の移動速度を調整するプランジャ速度調整制御、エアベント溝142aの開閉の切り替えを行うエアベント切替制御を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、樹脂成形に関する任意の動作を制御することが可能である。
【0188】
また、上記実施形態において例示した移動部230は一例であり、具体的な形状等は任意に変更することが可能である。例えば、第一載置部231を、樹脂タブレットTの側面(曲面)に対応する曲面状に形成することも可能である。また、移動部230に第一転動防止部233を必ずしも設ける必要はなく、例えば第一載置部231によって樹脂タブレットTの転動を十分に防止することができる場合には、第一転動防止部233の設置を省略してもよい。また、溝部232の形状も特に限定するものではなく、樹脂タブレットTを持ち上げるための支持部251が挿入できれば、形状や大きさ等を任意に変更することが可能である。
【0189】
また、上記実施形態において例示した総重量測定部250は一例であり、具体的な形状等は任意に変更することが可能である。例えば、樹脂タブレットTの転動を防止するための第二転動防止部252の形状、個数、配置等は任意に変更することが可能である。また、樹脂タブレットTを支持するための支持部251の形状や大きさ等は任意に変更することが可能である。例えば、支持部251に形成される第二載置部251aを、樹脂タブレットTの側面(曲面)に対応する曲面状に形成することも可能である。また、支持部251を複数の部材で構成することも可能である。
【0190】
また、上記実施形態において例示した樹脂材料供給機構200の各部の配置や向き等は特に限定するものではなく、樹脂成形装置1の形状や大きさ等に応じて任意に変更することが可能である。
【0191】
<付記>
本開示の第一側面の樹脂材料供給機構200は、
樹脂材料(樹脂タブレットT)を順次送り出す送出部210と、
前記送出部210により送り出された複数の前記樹脂材料の重量を一括して測定する総重量測定部250と、
前記送出部210により送り出された複数の前記樹脂材料を、前記樹脂材料を成形型(下型110及び上型140)へと搬送するローダ17(搬送機構)へと受け渡す受渡部260と、
前記送出部210と、前記総重量測定部250と、前記受渡部260と、の間で前記樹脂材料を移動させる移動部230と、
を具備する。
本開示の第一側面の樹脂材料供給機構200によれば、樹脂タブレットTの総重量を高精度に測定することができる。すなわち、複数の樹脂材料の重量を一括して測定することによって、樹脂材料の重量を個別に測定して合算する場合に比べて誤差が累積し難くなり、樹脂タブレットTの総重量を高精度に測定することができる。これによって、樹脂タブレットTの総重量に基づいて樹脂タブレットの体積を高精度に算出することができ、ひいては樹脂成型品の高精度化を図ることができる。
【0192】
第一側面に従う第二側面の樹脂材料供給機構200において、
前記総重量測定部250は、複数の前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された複数の前記樹脂材料を排出する。
本開示の第二側面の樹脂材料供給機構200によれば、所望の重量と大きく異なる重量の樹脂タブレットTを一括して排出し、所望の重量に近い樹脂タブレットTを用いて樹脂成形を行うことができる。これによって、樹脂成型品の高精度化を図ることができる。
【0193】
第一又は第二側面に従う第三側面の樹脂材料供給機構200は、
前記送出部210により送り出された前記樹脂材料の重量を個別に測定し、前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された前記樹脂材料を排出する個別重量測定部220をさらに具備する。
本開示の第三側面の樹脂材料供給機構200によれば、所望の重量と大きく異なる重量の樹脂タブレットTを排出し、所望の重量に近い樹脂タブレットTを用いて樹脂成形を行うことができる。これによって、樹脂成型品の高精度化を図ることができる。
【0194】
第一から第三側面のいずれか1つに従う第四側面の樹脂材料供給機構200において、
前記総重量測定部250及び前記受渡部260は、前記移動部230の移動経路に沿って並ぶように配置されている。
本開示の第四側面の樹脂材料供給機構200によれば、総重量測定部250を適切な位置に配置し、樹脂材料供給機構200全体の省スペース化を図ることができる。
【0195】
第一から第四側面のいずれか1つに従う第五側面の樹脂材料供給機構200において、
前記移動部230は、
複数の前記樹脂材料に対応するように形成され、前記樹脂材料を載置可能な複数の第一載置部231と、
前記第一載置部231に載置される複数の前記樹脂材料の下方にそれぞれ形成される複数の溝部232と、
を具備し、
前記総重量測定部250は、
複数の前記溝部232に対応するように形成され、前記溝部232に挿入可能であり、前記樹脂材料を下方から支持可能な複数の支持部251と、
複数の前記支持部251を一括して昇降可能な移動部255(昇降部)と、
を具備する。
本開示の第五側面の樹脂材料供給機構200によれば、簡素な構成で、複数の樹脂材料の重量を一括して測定することができる。
【0196】
第五側面に従う第六側面の樹脂材料供給機構200において、
前記移動部230は、前記第一載置部231に載置された前記樹脂材料の転動を防止する第一転動防止部233を具備し、
前記総重量測定部250は、前記支持部251に支持された前記樹脂材料の転動を防止する第二転動防止部252を具備し、
前記支持部251の上面には、断面視V字状の第二載置部251aが形成される。
本開示の第六側面の樹脂材料供給機構200によれば、樹脂材料の転動を効果的に防止することができる。特に本実施形態では、樹脂タブレットTの下方に支持部251を挿入するためのスペースを確保するために、樹脂タブレットTが載置される第一載置部231の深さが浅くなり、樹脂タブレットTが転動し易くなることが想定される。そこで、移動部230の上面に第一転動防止部233を設けることで、樹脂タブレットTの転動を効果的に防止することができる。
【0197】
本開示の第七側面の樹脂成形装置1は、
第一から第六側面のいずれか1つに従う樹脂材料供給機構200を具備する。
本開示の第七側面の樹脂成形装置1によれば、樹脂タブレットTの総重量を高精度に測定することができる。これによって、樹脂タブレットTの総重量に基づいて樹脂タブレットの体積を高精度に算出することができ、ひいては樹脂成型品の高精度化を図ることができる。
【0198】
第七側面に従う第八側面の樹脂成形装置1は、
基板2を載置する下型110と、
上型サイドブロック142(サイドブロック)、及び前記上型サイドブロック142に対して上下に昇降可能となるように設けられた上型キャビティブロック143(キャビティブロック)によって、キャビティCを形成する上型140と、
前記下型110と前記上型140とをクランプする型締め機構190(クランプ機構)と、
プランジャ182によって前記キャビティCへと樹脂材料を供給するトランスファ機構180と、
前記基板2に配置されたチップ2aの体積及び前記樹脂材料(樹脂タブレットT)の体積に基づいて算出された前記キャビティCの樹脂充填率と前記プランジャ182の位置との関係を用いて、前記プランジャ182が所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御(ステップS60、第二制御態様におけるステップS80)を行う制御部18と、
を具備し、
前記樹脂材料の体積は、前記樹脂材料供給機構200の前記総重量測定部250によって測定された複数の前記樹脂材料の重量に基づいて算出される。
本開示の第八側面の樹脂成形装置1によれば、精度の高い樹脂成形品を製造することができる。すなわち、実際に用いられる樹脂タブレットT及び基板2のチップ2aの体積に基づいて樹脂充填率を精度良く把握することができるため、この樹脂充填率に基づく各部の制御を行うことができる。これによって樹脂成形品の精度の向上を図ることができる。
【0199】
第八側面に従う第九側面の樹脂成形装置1は、
前記基板2に配置されたチップ2aの体積を測定するフレーム測定部12(チップ体積測定部)と、
前記フレーム測定部12及び前記総重量測定部250の測定結果に基づいて、前記樹脂充填率と前記プランジャ182の位置との関係を算出する算出部(制御部18)と、をさらに具備する。
本開示の第九側面の樹脂成形装置1によれば、実際に測定したチップ2aと樹脂材料の体積に基づいてプランジャ182の位置(樹脂充填率)を把握することができるため、例えば樹脂材料(樹脂タブレットT)やチップ2aの体積がばらついていたとしても、精度の高い制御を行うことができる。
【0200】
本開示の第十側面の樹脂成形品の製造方法は、
第七から第九側面のいずれか1つに従う樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
基板2に配置されたチップ2aの体積を測定するチップ体積測定工程(ステップS10)と、
樹脂材料の体積を測定する樹脂体積測定工程(ステップS10)と、
測定された前記チップ2aの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて、前記キャビティCの樹脂充填率と前記プランジャ182の位置との関係を算出するプランジャ位置算出工程(ステップS20)と、
前記プランジャ182が所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御工程(ステップS60、第二制御態様におけるステップS80)と、を含む。
本開示の第十側面の樹脂成形品の製造方法は、精度の高い樹脂成形品を製造することができる。すなわち、実際に用いられる樹脂タブレットT及び基板2のチップ2aの体積に基づいて樹脂充填率を精度良く把握することができるため、この樹脂充填率に基づく各部の制御を行うことができる。これによって樹脂成形品の精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0201】
1 樹脂成形装置
17 ローダ
18 制御部
110 下型
140 上型
142 上型サイドブロック
180 トランスファ機構
182 プランジャ
190 型締め機構
200 樹脂材料供給機構
210 送出部
220 個別重量測定部
230 移動部
231 第一載置部
232 溝部
233 第一転動防止部
250 総重量測定部
251 支持部
252 第二転動防止部
255 移動部
260 受渡部
【手続補正書】
【提出日】2022-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を順次送り出す送出部と、
前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料の重量を一括して測定する総重量測定部と、
前記送出部により送り出された複数の前記樹脂材料を、前記樹脂材料を成形型へと搬送する搬送機構へと受け渡す受渡部と、
前記送出部と、前記総重量測定部と、前記受渡部と、の間で前記樹脂材料を移動させる移動部と、
を具備する樹脂材料供給機構。
【請求項2】
前記総重量測定部は、複数の前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された複数の前記樹脂材料を排出する、
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項3】
前記送出部により送り出された前記樹脂材料の重量を個別に測定し、前記樹脂材料の重量の測定結果が予め設定された範囲を超過する場合、重量が測定された前記樹脂材料を排出する個別重量測定部をさらに具備する、
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項4】
前記総重量測定部及び前記受渡部は、前記移動部の移動経路に沿って並ぶように配置されている、
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項5】
前記移動部は、
複数の前記樹脂材料に対応するように形成され、前記樹脂材料を載置可能な複数の第一載置部と、
前記第一載置部に載置される複数の前記樹脂材料の下方にそれぞれ形成される複数の溝部と、
を具備し、
前記総重量測定部は、
複数の前記溝部に対応するように形成され、前記溝部に挿入可能であり、前記樹脂材料を下方から支持可能な複数の支持部と、
複数の前記支持部を一括して昇降可能な昇降部と、
を具備する、
請求項1に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項6】
前記移動部は、前記第一載置部に載置された前記樹脂材料の転動を防止する第一転動防止部を具備し、
前記総重量測定部は、前記支持部に支持された前記樹脂材料の転動を防止する第二転動防止部を具備し、
前記支持部の上面には、断面視V字状の第二載置部が形成される、
請求項5に記載の樹脂材料供給機構。
【請求項7】
請求項1に記載の樹脂材料供給機構を具備する樹脂成形装置。
【請求項8】
基板を載置する下型と、
サイドブロック、及び前記サイドブロックに対して上下に昇降可能となるように設けられたキャビティブロックによって、キャビティを形成する上型と、
前記下型と前記上型とをクランプするクランプ機構と、
プランジャによって前記キャビティへと前記樹脂材料を供給するトランスファ機構と、
前記基板に配置されたチップの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて算出された前記キャビティの樹脂充填率と前記プランジャの位置との関係を用いて、前記プランジャが所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御を行う制御部と、
を具備し、
前記樹脂材料の体積は、前記樹脂材料供給機構の前記総重量測定部によって測定された複数の前記樹脂材料の重量に基づいて算出される、
請求項7に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
前記基板に配置されたチップの体積を測定するチップ体積測定部と、
前記チップ体積測定部及び前記総重量測定部の測定結果に基づいて、前記樹脂充填率と前記プランジャの位置との関係を算出する算出部と、
をさらに具備する、
請求項8に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
基板に配置されたチップの体積を測定するチップ体積測定工程と、
前記樹脂材料の体積を測定する樹脂体積測定工程と、
測定された前記チップの体積及び前記樹脂材料の体積に基づいて、キャビティの樹脂充填率とプランジャの位置との関係を算出するプランジャ位置算出工程と、
前記プランジャが所定の樹脂充填率に対応する位置に達したことを契機として樹脂成形に関する動作を制御する充填率対応制御工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。