(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002527
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】温風暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/04 20220101AFI20231228BHJP
H01T 23/00 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
F24H3/04 301
H01T23/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101765
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡田 卓也
【テーマコード(参考)】
3L028
【Fターム(参考)】
3L028AA02
3L028AC01
(57)【要約】
【課題】簡単な構造にすることができると共に、イオン発生器を高温に晒されることを抑制することができる、温風暖房装置を提供する。
【解決手段】この温風暖房装置10は、ケーシング20と、燃焼部31と、送風手段と、吸気口26と、吹出口27と、吸気口26から取り入れた空気を、燃焼部31を経由して、送風手段に導く第1送風路R1と、送風手段から吹出される空気を吹出口27に導く第2送風路R2と、ケーシング20内に配置され電極及び高電圧供給部を有するイオン発生器40とを備え、更に、吸気口26から取り入れた空気を、燃焼部31を経由することなく、送風手段に導く第3送風路R3を備え、イオン発生器40が第3送風路R3に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
加熱手段を収容する燃焼部と、
送風手段と、
前記ケーシングに空気を取り入れる吸気口と、
前記ケーシングから空気を吹出す吹出口と、
前記吸気口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由して、前記送風手段に導く第1の送風路と、
前記送風手段から吹出される前記空気を、前記吹出口に導く第2の送風路と、
前記ケーシングの内部に配置され、電極及び高電圧供給部を有するイオン発生器とを備えた温風暖房装置において、
前記吸気口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由することなく、前記送風手段に導く第3の送風路を備え、
前記イオン発生器が、前記第3の送風路に配置されていることを特徴とする温風暖房装置。
【請求項2】
前記ケーシングの内部に配置され、前記燃焼部及び前記送風手段を有する燃焼室を備え、
前記燃焼室には、短絡孔が形成されており、
前記第3の送風路は、前記短絡孔で前記第1の送風路と連通されており、
前記イオン発生器は、前記第3の送風路の、前記吸気口から前記短絡孔までの間に配置されている請求項1記載の温風暖房装置。
【請求項3】
前記ケーシングの内部に配置され、前記燃焼部及び前記送風手段を有する燃焼室を備え、
前記ケーシングは、複数の壁部を有すると共に、前記燃焼室の、前記送風手段が位置する部分に、前記送風手段を冷却する冷却孔を有しており、
前記第3の送風路は、前記冷却孔で前記第1の送風路と連通されており、
前記イオン発生器は、前記冷却孔に対向する前記ケーシングの壁部に固定されている請求項1記載の温風暖房装置。
【請求項4】
前記ケーシングは一対の側壁部を有しており、一方の前記側壁部に、前記イオン発生器を固定するための固定フランジが設けられており、
前記イオン発生器は、前記電極及び前記高電圧供給部を有する本体と、該本体を収容保持する長尺状のケースとを有しており、
前記ケースの長手方向の片側部分で、前記固定フランジを挟み込むようにして、一方の前記側壁部に前記ケースが固定される請求項2又は3記載の温風暖房装置。
【請求項5】
前記送風手段は、前記加熱手段を停止した状態で空気を送風すると共に、前記イオン発生器を経由して空気を送風可能とされている請求項1記載の温風暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン発生器を備える温風暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バーナで加熱した温風を吹出す温風暖房装置がある。この温風暖房装置には、イオンを発生させるイオン発生器を備えるものも存在している。このようなイオン発生器は、所定濃度のイオンを発生させるために、温風暖房装置内において、空気の流れがある場所に配置する必要がある。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、枠体内に送風路を設け、送風路内にバーナの燃焼室を配置し、対流ファンによって送風路に吹込まれた室内空気は高温となって温風吹出口から室内に吹き出すと共に、送風路内に臨ませて高圧電源装置に接続した電極を配置し、該電極をマイナス高電圧に、また、送風路をプラス高電圧に接続し、電極から発生したマイナスイオンを温風吹出口から吹き出す、温風暖房機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の温風暖房機の場合、イオン発生器を構成する部材のうち、電極は、送風路内に臨ませて配置される一方、高圧電源装置は枠体に配置されており、各部材が別々の箇所に配置されているため、温風暖房機の構造が複雑であった。また、電極は、送風路内に臨ませて配置されているので、高温に晒されやすかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、簡単な構造にすることができると共に、イオン発生器を高温に晒されることを抑制することができる、温風暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、ケーシングと、加熱手段を収容する燃焼部と、送風手段と、前記ケーシングに空気を取り入れる吸気口と、前記ケーシングから空気を吹出す吹出口と、前記吸気口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由して、前記送風手段に導く第1の送風路と、前記送風手段から吹出される前記空気を、前記吹出口に導く第2の送風路と、前記ケーシングの内部に配置され、電極及び高電圧供給部を有するイオン発生器とを備えた温風暖房装置において、前記吸気口から取り入れた前記空気を、前記燃焼部を経由することなく、前記送風手段に導く第3の送風路を備え、前記イオン発生器が、前記第3の送風路に配置されていることを特徴とする。
【0008】
上記発明によれば、イオン発生器は、その電極及び高電圧供給部が共に、燃焼部を経由しない第3の送風路に配置されているので、簡単な構造で、イオン発生器を備えた温風暖房装置を提供することができる。また、イオン発生器が配置される第3の送風路は、燃焼部を経由しないので、イオン発生器が高温に晒されることを抑制することができる。
【0009】
本発明に係る温風暖房装置においては、前記ケーシングの内部に配置され、前記燃焼部及び前記送風手段を有する燃焼室を備え、前記燃焼室には、短絡孔が形成されており、前記第3の送風路は、前記短絡孔で前記第1の送風路と連通されており、前記イオン発生器は、前記第3の送風路の、前記吸気口から前記短絡孔までの間に配置されていることが好ましい。
【0010】
上記態様によれば、イオン発生器は、第3の送風路の、吸気口から短絡孔までの間に配置されているので、イオン発生器を、燃焼室及び第1の送風路から離間させやすくして、イオン発生器が高温に晒されることを、より適切に抑制することができる。また、イオン発生器が高温に晒されることが抑制されることで、イオン発生器の耐熱性を高めることができるので、イオン発生器の電極の劣化等を抑制して、長期に渡って適切な濃度のイオンを吹出すことができる。更に、短絡孔を介して、第3の送風路を第1の送風路に確実に連通させることができるので、第3の送風路内にて、イオン発生器で発生するイオンを、第1の送風路へとスムーズに流入させて、第2の送風路内を流れて吹出口から吹出される空気と共に、吹出口から吹出すことができ、吹出口から吹出される温風や空気中のイオン濃度を十分に確保することができる。
【0011】
本発明に係る温風暖房装置においては、前記ケーシングの内部に配置され、前記燃焼部及び前記送風手段を有する燃焼室を備え、前記ケーシングは、複数の壁部を有すると共に、前記燃焼室の、前記送風手段が位置する部分に、前記送風手段を冷却する冷却孔を有しており、前記第3の送風路は、前記冷却孔で前記第1の送風路と連通されており、前記イオン発生器は、前記冷却孔に対向する前記ケーシングの壁部に固定されていることが好ましい。
【0012】
上記態様によれば、イオン発生器が、ケーシングの複数の壁部のうち、冷却孔に対向する壁部に固定されているので、イオン発生器を、燃焼室及び第1の送風路から離間させやすくして、イオン発生器が高温に晒されることを、より適切に抑制することができる。また、イオン発生器が高温に晒されることが抑制されることで、イオン発生器の耐熱性を高めることができるので、イオン発生器の電極の劣化等を抑制して、長期に渡って適切な濃度のイオンを吹出すことができる。更に、冷却孔を介して、第3の送風路を第1の送風路に確実に連通させることができるので、第3の送風路内にて、イオン発生器で発生するイオンを、第1の送風路へとスムーズに流入させて、第2の送風路を流れて吹出口から吹出される空気と共に、吹出口から吹出すことができ、吹出口から吹出される温風や空気中のイオン濃度を十分に確保することができる。
【0013】
本発明に係る温風暖房装置においては、前記ケーシングは一対の側壁部を有しており、一方の前記側壁部に、前記イオン発生器を固定するための固定フランジが設けられており、前記イオン発生器は、前記電極及び前記高電圧供給部を有する本体と、該本体を収容保持する長尺状のケースとを有しており、前記ケースの長手方向の片側部分で、前記固定フランジを挟み込むようにして、一方の前記側壁部に前記ケースが固定されることが好ましい。
【0014】
上記態様によれば、イオン発生器は、そのケースの長手方向の片側部分で、固定フランジを挟み込むようにして、固定フランジにケースが固定されているので、イオン発生器を、ケーシングの一方の側壁部に対して十分な強度で安定して固定することができると共に、同イオン発生器を、ケーシングの一方の側壁部に片寄らせた状態で固定することができ、第3の送風路を流通する空気の流れの邪魔になりにくく、イオンを発生させやすくすることができる。また、固定フランジを、ケースの長手方向の片側部分で挟み込むだけの簡単な作業で、イオン発生器を一方の側壁部に固定することができるので、ケーシングに対するイオン発生器の組付け作業性を高めることができる。更に、ケーシングの内部に、イオン発生器の固定スペースに余裕がない場合でも、固定フランジを利用してイオン発生器を確実に固定することができる。
【0015】
本発明に係る温風暖房装置においては、前記送風手段は、前記加熱手段を停止した状態で空気を送風すると共に、前記イオン発生器を経由して空気を送風可能とされていることが好ましい。
【0016】
上記態様によれば、送風手段は、加熱手段を停止した状態で空気を送風すると共に、前記イオン発生器を経由して空気を送風可能とされているので、通常は暖房運転をしない夏場等においても、温風暖房装置を、イオンを発生させるための装置として利用することができ、温風暖房装置の付加価値を高めることができる。また、送風手段がONの状態で、加熱手段及びイオン発生器のОN・OFFが適宜切り替わることで、(1)暖房運転による温風とイオン、(2)常温の空気とイオン、(3)暖房運転による温風のみ、を吹出口から吹出すことができるので、使用者の希望に応じて温風暖房装置を適切に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、イオン発生器は、燃焼部を経由しない第3の送風路に配置されているので、簡単な構造でイオン発生器を備えた温風暖房装置を提供できると共に、イオン発生器が高温に晒されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る温風暖房装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】同温風暖房装置において、ケーシングの正面壁部を外した状態の正面図である。
【
図4】同温風暖房装置において、ケーシングの一方の側壁部を外した状態の側面図である。
【
図5】同温風暖房装置において、ケーシングにイオン発生器を固定する前の、要部拡大斜視図である。
【
図6A】同温風暖房装置を構成するイオン発生器を示しており、その側面図である。
【
図6B】同温風暖房装置を構成するイオン発生器を示しており、その底面図である。
【
図7】同温風暖房装置において、ケーシングの一方の側壁部に、イオン発生器を固定した状態を示しており、
図1のA-A矢視線における要部拡大断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(温風暖房装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る温風暖房装置の、一実施形態について説明する。
【0020】
図1~5等に示すように、この温風暖房装置10は、ケーシング20と、加熱手段を収容する燃焼部31と、送風手段(ここでは送風ファン32)と、ケーシング20に空気を取り入れる吸気口26と、ケーシング20から空気を吹出す吹出口27と、吸気口26から取り入れた空気を、燃焼部31を経由して、送風手段に導く第1の送風路R1(以下、単に「第1送風路R1」ともいう)と、送風手段から吹出される空気を、吹出口27に導く第2の送風路R2(以下、単に「第2送風路R2」ともいう)と、ケーシング20の内部に配置され、電極51及び高電圧供給部52(
図5~7参照)を有するイオン発生器40とを、主として備えている。
【0021】
また、
図2に示すように、温風暖房装置10は、吸気口26から取り入れた空気を、燃焼部31を経由することなく、送風手段に導く第3の送風路R3(以下、単に「第3送風路R3」ともいう)を備えており、前記イオン発生器40は、第3送風路R3に配置されている。
【0022】
更に
図2に示すように、この実施形態の温風暖房装置10は、ケーシング20の内部に、燃焼部31及び送風手段である送風ファン32を有する、燃焼室30を備えている。なお、この実施形態における前記加熱手段は、図示しないバーナとなっている。
【0023】
まず、ケーシング20や燃焼室30について詳述する。
【0024】
ケーシング20は、複数の壁部を有している。この実施形態におけるケーシング20は、正面側に配置された正面壁部21と、背面側に配置された背面壁部22と、これらの壁部21,22の両側に配置された一対の側壁部23,24と、各壁部の上端側に配置された天井壁部25とから構成されている。背面壁部22には、ケーシング20の外部の空気を吸気するための(空気を取り入れるための)、吸気口26が設けられている。前記吸気口26は、背面壁部22の長手方向の一端部から他端部に他端部に亘って、複数形成されている。一方、正面壁部21には、空気や、温風、イオンI(
図2参照)を吹出すための、吹出口27が形成されている。
【0025】
なお、天井壁部25には、少なくとも、(1)温風と共にイオンIを吹出口27から吹出すことが可能な「イオン発生暖房運転モード」、(2)イオンI及び常温の空気を吹出口27から吹出すことが可能な「イオン発生送風運転モード」、(3)温風のみを吹出口27から吹出すことが可能な「暖房運転モード」の、3つのモードをОN・OFF可能とする、スイッチ25aが設けられている(各モードについては後述する)。
【0026】
図2に示すように、前記燃焼室30は、加熱手段である図示しないバーナを有する燃焼部31を内装したバーナケース33と、該バーナケース33の下方に連設され、送風手段である送風ファン32を回転可能に支持するファンケース34とを有している。また、バーナケース33内の内部空間、及び、ファンケース34内の内部空間の少なくとも一部が、前記第1送風路R1をなしている。
【0027】
また、送風ファン32は、いわゆる対流ファンとなっており、ケーシング20の吹出口27に整合するように配置されている。前記ファンケース34内の内部空間であって、吹出口27に至るまでの部分が、前記第2送風路R2をなしている(
図2参照)。
【0028】
更に
図3に示すように、ケーシング20の一方の側壁部23と、燃焼室30を構成するバーナケース33及びファンケース34との間に、前記第3送風路R3が設けられている。なお、第3送風路R3内の温度は、少なくとも第1送風路R1内の温度よりも、低い温度となっている。
【0029】
また、燃焼室30の上流側には、所定の機能を有する複数の弁37a,37b,37cを有するガス供給部37が配置されており、燃焼部31へガスが適宜供給されるようになっている。更に、送風ファン32は、ファンケース34の側面に連設されたモータ34aによって回転するようになっている。そして、モータ34aにより送風ファン32が回転することで、ケーシング20の外部の空気が、吸気口26から燃焼室30の送風路R1内に吸い込まれると共に、燃焼部31へと送風され、燃焼部31内のバーナにより加熱された空気と、燃焼部31を経由せずバーナにより加熱されなかった空気とが混ざり、温風となる。その後、この温風が、送風ファン32によって第2送風路R2を流通して、吹出口27からケーシング20の外部へと吹出されるようになっている。
【0030】
また、吸気口26からケーシング20内に取り入れられた空気の一部は、燃焼部31を経由せずに、第3送風路R3へと送風されるようになっており、第3送風路R3内に配置されたイオン発生器40によってイオンIが発生するようになっている。
【0031】
更に
図2に示すように、燃焼室30には、短絡孔35が形成されており、第3送風路R3は、短絡孔35で第1送風路R1と連通されている。具体的には
図3や
図4に示すように、燃焼室30を構成するバーナケース33の側面(側壁部23に対向する面)及び正面(正面壁部21に対向する面)には、丸穴状をなした複数の短絡孔35が形成されている。また、イオン発生器40は、第3送風路R3の、前記吸気口26から短絡孔35までの間に配置されるようになっている。これらの短絡孔35によって、第1送風路R1と第3送風路R3とが互いに連通されて、第3送風路R3内にてイオン発生器40により発生したイオンIを、第1送風路R1内へと導くことが可能となっている。
【0032】
更に
図2に示すように、燃焼室30の、送風手段である送風ファン32が位置する部分に、送付手段を冷却する冷却孔36が形成されている。具体的には
図4に示すように、燃焼室30を構成するファンケース34の側面に、スリット状をなした複数の冷却孔36が形成されている。また、イオン発生器40は、第3送風路R3の、前記吸気口26から冷却孔36までの間に配置されるようになっている。これらの冷却孔36によって、第1送風路R1と第3送風路R3とが互いに連通されて、ファンケース34内の送風ファン32が冷却されると共に、第3送風路R3内にてイオン発生器40により発生したイオンIを、第1送風路R1内へと導くことが可能となっている。
【0033】
ケーシング20を構成する一方の側壁部23の説明に戻ると、
図3や
図5に示すように、一方の側壁部23の、正面壁部21側の端部には、折り曲げ部28が屈曲形成されている。この折り曲げ部28の高さ方向所定位置に、ここでは
図3に示すように、燃焼室30を構成する燃焼部31と送風ファン32との間の位置に、イオン発生器40を固定するための、薄肉板状をなした固定フランジ29が設けられている。
図5に示すように、この固定フランジ29の上方からは、固定フランジ29よりも幅狭の突片29aが突設されている。更に固定フランジ29には、一対の固定孔29b,29bが形成されている。
【0034】
また、一方の側壁部23は、第3送風路R3に面するように配置されていると共に、燃焼室30に設けた短絡孔35(特にバーナケース33の側面に形成した短絡孔35)や冷却孔36に対向して配置されている。この側壁部23に、イオン発生器40が固定されるようになっている。なお、イオン発生器40としては、側壁部23以外にも、ケーシング20の正面壁部21や背面壁部22に固定されていてもよい。
【0035】
更に、この実施形態の温風暖房装置10では、送風手段は、加熱手段を停止した状態で空気を送風すると共に、イオン発生器40を経由して空気を送風可能とされている。そのため、送風手段がONの状態で、上記加熱手段及びイオン発生器40のON・OFFが適宜切り替わることで、(1)温風と共にイオンIを吹出口27から吹出すことが可能な「イオン発生暖房運転モード」、(2)イオンI及び常温の空気を吹出口27から吹出すことが可能な「イオン発生送風運転モード」、(3)温風のみを吹出口27から吹出すことが可能な「暖房運転モード」の、3つのモードを選択可能となっている。
【0036】
すなわち、加熱手段を停止した状態で、送風手段のみを動作させた場合には、ケーシング外部の空気を、第3送風路R3の内部に送風可能となるので、該空気がイオン発生器40の電極51の周囲に供給される。その結果、第3送風路R3内においてイオン発生器40によってイオンIが発生し、このイオンIを、短絡孔35や冷却孔36を介して第1送風路R1へと導き、第2流通路R2を流通させて、常温の空気と共に吹出口27から吹出すことが可能となる。これが上記(2)の「イオン発生送風運転モード」となっている。なお、上記(1)の「イオン発生暖房運転モード」及び上記(3)の「暖房運転モード」については後述する。
【0037】
次に、イオン発生器40について、
図5~7を参照して詳述する。
【0038】
このイオン発生器40は、電極51及び高電圧供給部52を有する本体50と、該本体50を収容保持する長尺状のケース60とを有している。
【0039】
本体50は、一方向に長く延びる長尺状をなしており、該本体50に高電圧供給部52が設けられている。本体50の長手方向一端部の上方には、図示しない電源コネクタを差し込むための、差し込み口53が設けられている。また、本体50の下面であって、長手方向両端部からは、一対の電極51,51が垂設されている。
【0040】
そして、図示しない導通手段によって、電源コネクタを介して高電圧供給部52に高電圧が供給されると、第3送風路R3内にて一対の電極51,51内を流通する空気が、コロナ放電してイオンI(マイナスイオン)が発生するようになっている(
図2参照)。また、第3送風路R3は、短絡孔35や冷却孔36によって第1送風路R1に連通しているので、第3送風路R3内にて発生したイオンIは、第1送風路R1へと導かれると共に、第2送風路R2内を流通して、温風と共に(イオン発生暖房運転モードの場合)、又は、常温の空気(イオン発生送風運転モード)と共に、吹出口27から吹出されるようになっている(
図2参照)。
【0041】
そして、上記(1)の「イオン発生暖房運転モード」のスイッチ25aを動作させると、加熱手段、送風手段、及び、イオン発生器40が動作する。その結果、イオン発生器40によって第3送風路R3に発生したイオンIが、短絡孔35や冷却孔36から第1送風路R1へと導かれて、加熱手段で加熱された温風と共に、第2送風路R2を流通して吹出口27から吹出される。
【0042】
一方、上記(2)の「イオン発生送風運転モード」のスイッチ25aを動作させると、加熱手段は動作しないが、送風手段及びイオン発生器40が動作する。その結果、イオン発生器40によって第3送風路R3に発生したイオンIが、短絡孔35や冷却孔36から第1送風路R1へと導かれて、常温の空気と共に、第2送風路R2を流通して吹出口27から吹出される。
【0043】
更に、上記(3)の「暖房運転モード」のスイッチ25aを動作させると、イオン発生器40は動作しないが、加熱手段及び送風手段が動作する。その結果、加熱手段により加熱され第1送風路R1を流通した温風と、短絡孔35や冷却孔36から第1送風路R1に流入した第3送風路R3の空気とが混ざって、これが第2送風路R2を流通して吹出口27から吹出される。
【0044】
更に、本体50の下面からは、下方及び側方が開口し、一対の電極51,51を囲む、電極囲み枠54が設けられている。この電極囲み枠54によって、一対の電極51,51への空気流通を許容しながらも、一対の電極51,51の保護が図られている。
【0045】
一方、ケース60は、下方が開口した長尺箱状をなし、上記本体50を収容保持可能とされた枠状体61と、この枠状体61の長手方向他端部に(枠状体61の長手方向の片側部分ともいえる)、スリット63を介して連設された、略L字状をなした固定片62とからなる。枠状体61の内側であって、長手方向両端部側からは、撓み変形可能な一対の係合爪64,65が延設されている。
図6Bに示すように、枠状体61内に収容された本体50の長手方向両端部に、一対の係合爪64,65が係合することで、ケース60に本体50が収容保持される。また、
図6Aに示すように、固定片62の下端部には、ネジやビス等の固定具67を締め付け固定するための、固定孔66が形成されている。
【0046】
そして、この実施形態の場合、ケース60の長手方向の片側部分で、固定フランジ29を挟み込むようにして、一方の側壁部23にケース60が固定されるようになっている。
【0047】
すなわち、ケース60のスリット63に、固定フランジ29を差し込んで、同固定フランジ29の上方に設けた突片29aを、固定片62の上部内面に係止させた後、固定片62の固定孔66、及び、固定フランジ29の固定孔29bを、固定具67で締め付け固定する(
図7参照)。その結果、固定フランジ29が、ケース60の枠状体61の長手方向他端部と固定片62とで挟持された状態で、側壁部23にケース60が固定されて、ひいては、ケーシング20の内部の第3送風路R3に位置するように、イオン発生器40が固定されるようになっている。
【0048】
また、イオン発生器40は、上述したように第3送風路R3に位置するように配置されるが、ケーシング20を構成する複数の壁部のうち、短絡孔35や冷却孔36に対向して配置された側壁部23に、イオン発生器40が固定されるようになっている。更に
図3~5に示すように、第3送風路R3の、吸気口26から短絡孔35までの間で、且つ、第3送風路R3の、吸気口26から冷却孔36までの間に、イオン発生器40が固定されるようになっている。特に、この実施形態の場合、
図4に示すように、バーナケース33の側面に形成した短絡孔35に、イオン発生器40の一部が重なるように、イオン発生器40が配置されている。
【0049】
ただし、イオン発生器は、例えば、ファンケース34の側面に形成した冷却孔36に、その一部が重なるように配置したり、側壁部23以外の正面壁部21や背面壁部22に固定したりしてもよく、第3送風路R3に配置されていれば、そのレイアウトは特に限定されない。
【0050】
更に、この実施形態の場合、上記のように、ケーシング20内の第3送風路R3に位置するようにイオン発生器40が固定された状態では、イオン発生器40の長手方向の一端部側がケーシング20の背面壁部22側に向けられ、イオン発生器40の長手方向の他端部側がケーシング20の正面壁部21側に向けられると共に、イオン発生器40の一側面がケーシング20の一方の側壁部23に対向して配置されるようになっている(
図4,5参照)。
【0051】
また、この温風暖房装置10は、イオン発生器40によって発生したイオンを放出するために、特段の構造(イオン放出用孔や、イオン放出用ファン、イオン放出用ファンモータ等)を有しないものとなっている。なお、イオン発生器の形状や構造、レイアウト等は、上記態様に限定されるものではない。
【0052】
(作用効果)
次に、上記構成からなる温風暖房装置10の作用効果について説明する。
【0053】
すなわち、温風暖房装置10の、「イオン発生暖房運転モード」のスイッチ25aをONにすると、加熱手段、送風手段、及び、イオン発生器40が動作する。そのため、ガス供給部37からガスが燃焼部31へと供給されると共に、送風ファン32によりケーシング外部の空気が、吸気口26から燃焼室30の第1送風路R1内に吸い込まれて燃焼部31へと送風され、燃焼部31の図示しないバーナにより加熱されて温風となる。また、吸気口26からケーシング20内に吸気された空気の一部は、第3送風路R3内に送風されて、イオン発生器40によってイオンIが生じ、このイオンIが、短絡孔35や冷却孔36を通過して第1送風路R1内へと流入する。その結果、送風ファン32によって、イオンIが温風と共に、第2送風路R2内を流通した後、吹出口27から吹出されるようになっている。
【0054】
一方、「イオン発生送風運転モード」のスイッチ25aをONにした場合には、送風手段及びイオン発生器40が動作する。そのため、第3送風路R3内にて、イオン発生器40によって生じたイオンIが、短絡孔35や冷却孔36を通過して第1送風路R1内へと流入すると共に、送風ファン32によって、ケース外部の常温の空気が、吸気口26から第1送風路R1内に吸い込まれ、その結果、イオンIが常温の空気と共に、第2送風路R2内を流通した後、吹出口27から吹出されるようになっている(
図2参照)。
【0055】
また、「暖房運転モード」のスイッチ25aをONにすると、加熱手段及び送風手段が動作する。そのため、ガス供給部37からガスが燃焼部31へと供給されると共に、送風ファン32によりケーシング外部の空気が、吸気口26から燃焼室30の第1送風路R1内に吸い込まれて燃焼部31へと送風され、燃焼部31の図示しないバーナにより加熱されて温風となり、この温風が、送風ファン32によって、第2送風路R2を流通した後、吹出口27から吹出されるようになっている。
【0056】
そして、この温風暖房装置10において、イオン発生器40は、一対の電極51,51及び高電圧供給部52が共に、燃焼部31を経由しない第3送風路R3に配置されているので、簡単な構造でもって、イオン発生器40を備えた温風暖房装置10を提供することができる。また、イオン発生器40が配置される第3送風路R3は、燃焼部31を経由しないので、イオン発生器40が高温に晒されることを抑制することができる。
【0057】
更に、この実施形態においては、イオン発生器40は、第3送風路R3の、吸気口26から短絡孔35までの間に配置されており、更に、ケーシング20を構成する複数の壁部のうち、短絡孔35や冷却孔36に対向する側壁部23に固定されている。
【0058】
そのため、イオン発生器40を、燃焼室30及び第1送風路R1からなるべく離間した位置に固定することができ、イオン発生器40が高温に晒されることを、より適切に抑制することができる。
【0059】
また、イオン発生器40が高温に晒されることが抑制されることで、イオン発生器40の耐熱性を高めることができるので、イオン発生器40の電極51の劣化等を抑制して、長期に渡って適切な濃度のイオンを吹出すことができる。
【0060】
更に、短絡孔35や冷却孔36を介して、第3送風路R3を第1送風路R1に確実に連通させることができるので、第3送風路R3を流れるイオンIを、第1送風路R1へとスムーズに流入させることができ、吹出口27から吹出される温風や空気中のイオン濃度を十分に確保することができる。
【0061】
また、この実施形態においては、イオン発生器40は、ケース60の長手方向の片側部分で、ケーシング20側に設けた固定フランジ29を挟み込むようにして、固定フランジ29にケース60が固定されている。
【0062】
上記のように、固定フランジ29がケース60の長手方向の片側部分で挟み込まれる構造、ここでは、固定フランジ29が、ケース60の枠状体61の長手方向他端部と固定片62とで挟持される構造となっているので、ケーシング20の一方の側壁部23に対して、十分な強度でもってイオン発生器40を固定することができる。すなわち、対象物に対して、長尺部材の片側部分のみを固定する場合、強度不足となったり、固定状態が不安定になったりするため、長尺部材の両側部分でもって対象物に固定するのが通常であるが、この実施形態では、上記のように、固定フランジ29を、ケース60の長手方向の片側部分で挟み込むため、十分な強度で安定して且つ簡単な構造で、側壁部23にイオン発生器40を固定することができる。
【0063】
また、イオン発生器40を、ケーシング20の一方の側壁部23に片寄らせた状態で固定することできるので、第3送風路R3を流通する空気の流れの邪魔になりにくく、イオンIを発生させやすくすることができる。
【0064】
更に、固定フランジ29を、ケース60の長手方向の片側部分で挟み込むだけの簡単な作業で、イオン発生器40をケーシング20の側壁部23に固定することができるので、ケーシング20に対するイオン発生器40の組付け作業性を高めることができる。
【0065】
また、ケーシング20の内部に、イオン発生器40の固定スペースに余裕がない場合でも、固定フランジ29を利用して、イオン発生器40を確実に固定することができる。
【0066】
更に、この実施形態においては、イオン発生器40は、ケーシング20内の第3送風路R3に位置するように配置され、イオンIは、第3通路R3に連通する第1送風路R1や第2送風路R2を流通して、吹出口27から吹出されるようになっているので、イオン放出用孔や、イオン放出用ファン、イオン放出用ファンモータ等が不要となる。そのため、温風暖房装置10の構造を簡略化できると共に、製造コストを低減することができ、軽量化にも寄与することができる。
【0067】
また、この実施形態においては、送風手段は、加熱手段を停止した状態で空気を送風すると共に、イオン発生器40を経由して空気を送風可能とされている。
【0068】
この態様によれば、通常は暖房運転をしない夏場等においても、温風暖房装置10を、イオンを発生させるための装置として利用することができ、温風暖房装置10の付加価値を高めることができる。また、送風手段がONの状態で、加熱手段及びイオン発生器のОN・OFFが適宜切り替わることで、(1)暖房運転による温風とイオン、(2)常温空気とイオン、(3)暖房運転による温風のみ、を吹出口から吹出すことができるので、使用者の希望に応じて温風暖房装置10を適切に使用することができる。
【0069】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
10・・・温風暖房装置、20・・・ケーシング、23・・・側壁部、26・・・吸気口、27・・・吹出口、29・・・固定フランジ、30・・・燃焼室、31・・・燃焼部、32・・・送風ファン(送風手段)、35・・・短絡孔、36・・・冷却孔、40・・・イオン発生器、50・・・本体、51・・・電極、52・・・高電圧供給部、60・・・ケース、R1・・・第1送風路、R2・・・第2送風路、R3・・・第3送風路、I・・・イオン