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  • 特開-軸受構造 図1
  • 特開-軸受構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025279
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】軸受構造
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/58 20060101AFI20240216BHJP
   F16C 35/067 20060101ALI20240216BHJP
   F16C 33/64 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F16C33/58
F16C35/067
F16C33/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128599
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 孝一
【テーマコード(参考)】
3J117
3J701
【Fターム(参考)】
3J117AA01
3J117DA02
3J117DB07
3J117DB10
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA54
3J701BA56
3J701DA09
3J701DA20
3J701FA35
(57)【要約】
【課題】軸受をハウジングによって十分に支持することができ、シュー研削を行うことができ、さらにクリープを十分に抑制することができる軸受構造を提供する。
【解決手段】本発明にかかる軸受構造100は、軸受102と軸受を支持するハウジング104とを備える軸受構造において、軸受は、ハウジングに圧入されていて、外輪106と、内輪108と、外輪と内輪の間を転動する転動体110とを有し、外輪の外周面116には、軸方向の両端に位置し周方向に連続する連続部118、120と、連続部に挟まれた中央部122とが形成されていて、中央部には、軸方向に延びる複数の横溝130が周方向に離間して形成されていて、ハウジングには、軸受の中央部に当接して中央部を支持する中央支持部124と、軸受の連続部に対向して連続部と接触しない退避部126、128とが形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受と該軸受を支持するハウジングとを備える軸受構造において、
前記軸受は、前記ハウジングに圧入されていて、外輪と、内輪と、該外輪と該内輪の間を転動する転動体とを有し、
前記外輪の外周面には、軸方向の両端に位置し周方向に連続する連続部と、該連続部に挟まれた中央部とが形成されていて、
前記中央部には、軸方向に延びる複数の横溝が周方向に離間して形成されていて、
前記ハウジングには、
前記軸受の中央部に当接して該中央部を支持する中央支持部と、
前記軸受の連続部に対向して該連続部と接触しない退避部とが形成されていることを特徴とする軸受構造。
【請求項2】
前記横溝は、負荷圏の範囲に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の軸受構造。
【請求項3】
前記外輪の外周面には、前記横溝の端部位置に周方向に延びていて、前記連続部と前記中央部とを区画する縦溝が形成されていて、
前記横溝は、転造加工で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の軸受構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外輪と内輪の間を転動体が転動する軸受と、軸受を支持するハウジングとを備える軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受構造において、軸受がハウジングに嵌合され、軸受内輪にシャフトが挿入されて内輪がシャフトとともに回転する構造の場合、外輪クリープの発生することがあり得る。このような軸受構造では、一例として、ハウジングから外力を受けると、外輪軌道が転動体から力を受けて、外輪軌道の内部に転動歪が生じ、この転動歪が転動体の公転運動とともに転動体の移動方向に伝播する。このような歪伝播により、外輪がハウジングに対して相対的に移動しまうのが、いわゆる外輪歪クリープと呼ばれるもので、固定輪に散見されるクリープ現象である。本発明はこのような固定輪のクリープ防止に係わるものである。
【0003】
特許文献1には、転がり軸受装置が記載されている。この転がり軸受装置は、外輪が回転し、内輪を固定された軸に組み込む構造であって、軸の外周面または内輪の内周面に、軸方向に貫通した複数の溝を設けている。また特許文献1では、軸の外周面のうち負荷圏となる部位に、転動体同士の周方向の間隔より狭い間隔で複数の溝を設けることで、軸の外周面の溝と溝の間の部分が、内輪の内周面の周方向歪伝播の動きに追従し易くなるため、軸と内輪の相対的移動運動であるクリープを抑制することができる、としている。
【0004】
このようにして特許文献1では、内輪が回転する構造であれば、固定輪である外輪の外周面またはハウジングの内周面に、上記のような軸方向に貫通した複数の溝を設けることにより、外輪のクリープを抑制できる、としている。
【0005】
特許文献2には、内輪が軸に取り付けられて軸と一体に回転し、外輪がハウジングに支持されている構造の転がり軸受が記載されていて、外輪の外周面の一部にDカットによる逃げ面を形成し、その逃げ面では外輪外径がハウジングと接触しないようになっている。
【0006】
この転がり軸受では、外輪の外周面に形成されたDカットの逃げ面が非負荷圏に位置してクリープが発生しても、クリープにより外輪の逃げ面がハウジングの負荷圏位置に入ると、外輪の外周面とハウジングの間に隙間が形成されることになるので、外輪の外周面が波状に変形しても、逃げ面の部分がハウジングに接触しないため、転動体の通過運動に伴う外輪の外周面に生じた波状変形が外輪をクリープさせる進行波として伝播することが途切れてしまうので、それ以降はクリープを抑制することができる、としている。
【0007】
特許文献3には、転がり軸受が記載されている。この転がり軸受は、外輪の幅方向の両端の間(すなわち幅方向中央)に全周にわたる環状溝を形成してハウジングと接触しないようにして、外輪の幅方向の両端だけでハウジングへの接触面を確保している。特許文献3では、外輪の弾性変形を主に環状溝の範囲だけで生じさせることができるため、弾性変形がハウジングにほとんど伝わらず、外輪とハウジングとの間におけるクリープの発生が抑制される、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-154379号公報
【特許文献2】国際公開第2020/059695号
【特許文献3】特許第6867281号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、内輪が回転する構造において、外輪の外周面の幅方向全面に、軸方向に貫通した複数の溝を設けているため、クリープの抑制は可能であるものの、シュー研削を行うことができないという欠点があった。ここでシュー研削とは、仕上げられた外輪外周面の円周2箇所に超硬の回転ガイド(これをシューという)を押し付けて、被研削物である外輪を回転させ、研削する方法のことである。このシュー研削は、外輪外径と軌道との偏肉を小さくするために広く用いられている。
【0010】
ところが、特許文献1では、外輪の外周面の幅方向全面に、軸方向に貫通した複数の溝を設けているため、外周面にシューを当てようとすると、その溝がシューと断続接触してしまうので振動等が発生し、外輪の外周面を寸法の基準面として用いることができない、という不都合が発生する。このため、外輪の内周面を研削した後に、つまり外輪の焼き入れ後に、外輪の外周面に溝を形成しなければならないことになり、加工が手間でありコストもかかってしまう。
【0011】
特許文献2では、外輪の外周面の一部に幅方向全面に亘りDカットによる逃げ面を形成しているため外周面の連続性がないので、外輪の外周面を寸法の基準面として用いることができず、シュー研削を行うことができない。また、外輪の逃げ面が負荷圏に位置するため、軸受の荷重をハウジングによって十分に支持することができない(Dカット部分が外側に膨らむような歪みを招くと予想される)。さらにDカットの加工後は、外輪の外周面を加工基準面とするような加工が一切できないため、手直しができない。
【0012】
特許文献3では、外輪の幅方向の両端をカットせず両端だけでハウジングへの接触面を確保しているため、シュー研削は可能であるものの、外輪の幅方向の両端を通じて、転動歪が転動体の通過とともに転動体の移動方向に伝播することになり、クリープを十分に抑制することはできない。また、外輪の幅方向の両端の間に形成された環状溝がハウジングと接触しないため、軸受の荷重をハウジングによって十分に支持することができない(軌道溝が外側に膨らむような歪みを生じると予想される)。なお外輪の環状溝そのものはクリープを抑制する機能を有するが、上記のように外輪の幅方向の両端を通じて転動歪が伝播するため、クリープを抑制することの効果は薄いという報告事例がある。
【0013】
本発明は、このような課題に鑑み、軸受をハウジングによって十分に支持することができ、シュー研削を行うことができ、さらにクリープを十分に抑制することができる軸受構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明にかかる軸受構造の代表的な構成は、軸受と軸受を支持するハウジングとを備える軸受構造において、軸受は、ハウジングに圧入されていて、外輪と、内輪と、外輪と内輪の間を転動する転動体とを有し、外輪の外周面には、軸方向の両端に位置し周方向に連続する連続部と、連続部に挟まれた中央部とが形成されていて、中央部には、軸方向に延びる複数の横溝が周方向に離間して形成されていて、ハウジングには、軸受の中央部に当接して中央部を支持する中央支持部と、軸受の連続部に対向して連続部と接触しない退避部とが形成されていることを特徴とする。
【0015】
上記構成では、外輪の外周面には、軸方向の両端に位置する連続部と、連続部に挟まれた中央部とが形成されている。外輪の連続部は、周方向に連続している。このため、外輪の連続部を基準面としてシューを当てた状態で、外輪の内周面を砥石で研削するシュー研削を行うことができる。また外輪の連続部は、ハウジングの退避部に対向することになるのでハウジングと接触することはない。このため、外輪の連続部では、外輪軌道の内部に生じた転動歪が転動体の通過とともに転動体の移動方向に伝播することがなく、クリープを十分に抑制することができる。
【0016】
また外輪の中央部がハウジングの中央支持部に当接して支持されているため、軸受の荷重をハウジングによって十分に支持することができる。さらに外輪の中央部には、軸方向に延びる複数の横溝が周方向に離間して形成されているため、転動歪が伝播され難くなり、クリープを十分に抑制することができる。したがって上記構成によれば、軸受をハウジングによって十分に支持することができ、シュー研削を行うことができ、さらにクリープを十分に抑制することができる。
【0017】
上記の横溝は、負荷圏の範囲に配置されているとよい。これにより、負荷圏の範囲において、外輪の中央部に形成された横溝によって円周方向の空間が区画されることで横溝だけはハウジングの中央支持部には接触しなくなるので、転動歪が負荷圏の範囲で伝播しようとすると、ここで伝播が途切れてしまい、クリープを抑制することができる。なお負荷圏の範囲を外輪の円周90~180°の範囲とし、さらに横溝を、転動体の周方向の間隔より狭い間隔で形成してもよい。このように横溝が負荷圏の範囲で配置されていれば、クリープを抑制するという機能を発揮することができる。
【0018】
上記の外輪の外周面には、横溝の端部位置に周方向に延びていて、連続部と中央部とを区画する縦溝が形成されていて、横溝は、転造加工で形成されているとよい。
【0019】
ここで横溝を切削で加工しようとすると、バイトまたは回転カッターで行うことになるが、いずれにしても連続部を削らずに中央部だけに溝を形成することは難しい。また横溝を転造で加工しようとすると、押しのけられた肉が溝の周囲に盛り上がるため、外輪の外周面の軸方向の両端に位置する連続部にも盛り上がりが生じてしまい、シュー研削の基準面としての精度を保てなくなる可能性がある。
【0020】
そこで、上記構成のように横溝を転造加工することとし、その加工前に連続部と中央部を区画する縦溝を形成しておくことにより、連続部を変形させることなく中央部に横溝を形成することが可能となった。縦溝は切削加工で形成することができる。そして、転造加工後に外輪の焼き入れを行った後、外輪全面をセンタレス等で研削すれば、その外輪の外周面の連続部をシュー研削の基準面として使用することができることになる。なお横溝を転造加工で形成することにより、横溝を切削で加工するよりも低コスト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、軸受をハウジングによって十分に支持することができ、シュー研削を行うことができ、さらにクリープを十分に抑制することができる軸受構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態における軸受構造を例示する図である。
図2図1の軸受構造の各断面を示す図である。
図3図1の軸受の外輪に対してシュー研削を行う様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態における軸受構造100を例示する図である。図1(a)は、軸受構造100の要部を示す図である。図1(b)は、図1(a)のA-A断面図である。図2は、図1の軸受構造100の各断面を示す図である。図2(a)は、図1(b)のB-B断面図である。図2(b)は、図1(a)のC-C断面図である。
【0025】
軸受構造100は、図1(a)に示すように軸受102と、軸受102を支持するハウジング104とを備える。軸受102は、ハウジング104に圧入されていて、図1(b)に示すように外輪106と、内輪108と、外輪106と内輪108の間を転動する転動体110とを有する。内輪108の内周面にはシャフト112が挿入されている。
【0026】
軸受構造100は、軸受102の外輪106がハウジング104に圧入され、内輪108がシャフト112とともに回転する構造である。このため、軸受構造100では、軸受102がハウジング104から図1(a)に示す外力(ラジアル荷重Fr)を受けると、シャフト112がラジアル荷重Frを受けて、その垂直反力Fnが内輪108から転動体110に伝達される。さらに、外輪106の内周面に設けられた外輪軌道114(図1(b)参照)は、転動体110から垂直反力Fnを受ける。
【0027】
外輪軌道114が転動体110から垂直反力Fnを受けることで、外輪軌道114の内部に転動歪が生じ、この転動歪が転動体110の通過とともに転動体110の移動方向に伝播してしまうと、外輪106がハウジング104に対して相対的に移動するクリープが発生することになる。
【0028】
そこで軸受構造100では、クリープを十分に抑制することができる構成を採用した。具体的には、軸受102の外輪106の外周面116には、図1(a)に示す連続部118、120と、中央部122とが形成されている。またハウジング104には、中央支持部124と、退避部126、128とが形成されている。
【0029】
外輪106の連続部118、120は、軸受102の軸方向の両端に位置していて、周方向に連続している。外輪106の中央部122は、連続部118、122に挟まれている。また中央部122には、軸方向に延びる複数の横溝130が周方向に離間して形成されている。
【0030】
さらに外輪106の外周面116には、図1(a)および図2(a)に示すように縦溝132、134が形成されている。縦溝132、134は、横溝130の端部位置に周方向に延びていて、連続部118、120と中央部122とを区画する。横溝130は、転造加工で形成されている。
【0031】
仮に、横溝130を切削で加工しようとすると、バイトまたは回転カッターで行うことになるが、いずれにしても連続部118、120を削らずに中央部122だけに横溝130を形成することは難しい。また、横溝130を転造で加工しようとすると、押しのけられた肉が横溝130の周囲に盛り上がるため、連続部118、120にも盛り上がりが生じてしまい、後述するシュー研削(図3参照)の基準面としての精度を保てなくなる可能性がある。
【0032】
そこで軸受102では、横溝130を転造加工することとし、その転造加工前に、連続部118、120と中央部122を区画する縦溝132、134を切削加工などで形成する。その後、外輪106の外周面116に転造加工を行うことにより、連続部118、120を変形させることなく、中央部122に横溝130を形成することができる。
【0033】
また横溝130は、図1(b)に示すように転動体110の周方向の間隔より狭い間隔で形成される。一例として、転動体110の周方向のピッチ角度をθaとすると、横溝130のピッチ角度は、0.5θa~θaの範囲で設定される。さらに横溝130は、負荷圏の範囲に配置される。一例として、この負荷圏の範囲を示す角度をθbとすると、横溝130は、θbが90°~180°の範囲になるように中央部122の周方向に配置される。
【0034】
ハウジング104の中央支持部124は、図2(a)に示すように、外輪106の中央部122のうち横溝130が形成されていない部分に当接して支持している。一方、中央支持部124は、中央部122の横溝130によって円周方向の空間が区画されて、横溝130との間に隙間が生じるため、中央部122のうち横溝138が形成された部分だけには接触していない。
【0035】
ハウジング104の退避部126、128は、その内径が図1(a)および図2(a)に示すように、中央支持部124の内径よりも大きくなるように、中ぐり加工によって形成されている。これにより、退避部126、128は、図2(b)に示すように外輪106の連続部118、120に周方向にわたって接触せず、これに対向している。
【0036】
軸受構造100では、外輪106の連続部118、120は、ハウジング104の退避部126、128に対向することになるため、ハウジング104と接触することはない。このため、外輪106の連続部118、120では、外輪軌道114の内部に生じた転動歪が転動体110の通過とともに転動体110の移動方向に伝播することがなく、クリープを十分に抑制することができる。
【0037】
また、外輪106の中央部122がハウジング104の中央支持部124に当接して支持されているため、軸受102の荷重をハウジング104によって十分に支持することができる。また外輪106の中央部122には、軸方向に延びる複数の横溝130が周方向に離間して形成されているため、転動歪が伝播され難くなり、クリープを十分に抑制することができる。
【0038】
さらに横溝130が負荷圏の範囲に配置されているため、負荷圏の範囲において、横溝130とハウジング104の中央支持部124との間に隙間が形成され、横溝130だけは中央支持部124に接触しなくなる。このため、転動歪が負荷圏の範囲で伝播しようとすると、ここで伝播が途切れてしまい、クリープを抑制することができる。
【0039】
図3は、図1の軸受102の外輪106に対してシュー研削を行う様子を示す図である。外輪106は、上記したように、連続部118、120と中央部122を区画する縦溝132、134を切削加工などで形成した後、横溝130を転造加工する。そして転造加工後に焼き入れ(熱処理)を行い、その後、外輪106に対してシュー研削を行う。
【0040】
シュー研削では、図3(a)に示すように外輪106の一方の側をパッキングプレート136に固定する。そして、外輪106の外周面116の周方向に連続する連続部118を基準面として、連続部118にシュー138、140を当てた状態で、外輪106の内周面を砥石142(図3(b)参照)で研削する。すなわち外輪106の連続部118をシュー研削の基準面として使用することができる。なお、外輪106の他方の側にパッキングプレート136を固定し、外輪106の連続部120をシュー研削の基準面として使用してもよい。
【0041】
このようにして軸受102では、横溝130の転造加工後に外輪106の焼き入れを行った後、外輪106の連続部118、120を基準面としてシュー研削を行い、外輪106の内周面に外輪軌道114を形成することができる。
【0042】
したがって軸受構造100によれば、軸受102をハウジング104によって十分に支持することができ、シュー研削を行うことができ、さらにクリープを十分に抑制することができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、外輪と内輪の間を転動体が転動する軸受と、軸受を支持するハウジングとを備える軸受構造として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100…軸受構造、102…軸受、104…ハウジング、106…外輪、108…内輪、110…転動体、112…シャフト、114…外輪軌道、116…外輪の外周面、118、120…外輪の外周面の連続部、122…外輪の外周面の中央部、124…ハウジングの中央支持部、126、128…ハウジングの退避部、130…横溝、132、134…縦溝、136…パッキングプレート、138、140…シュー、142…砥石、Fr…ラジアル荷重、Fn…垂直反力
図1
図2
図3