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特開2024-25285液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025285
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240216BHJP
   F17C 9/00 20060101ALI20240216BHJP
   B65D 88/06 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F17C13/00 302Z
F17C9/00 A
B65D88/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128622
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】小形 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋介
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
【Fターム(参考)】
3E170AA03
3E170AB29
3E172AA02
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB13
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB05
3E172BB06
3E172BB10
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD01
3E172BD05
3E172EB03
3E172EB10
3E172EB18
(57)【要約】
【課題】タンク本体内から液化二酸化炭素を払い出した後にタンク本体内に残留する、液化二酸化炭素に含まれる不純物による影響を抑える。
【解決手段】液化二酸化炭素貯留タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能なタンク本体と、タンク本体に一体に設けられて、タンク本体の底部から凹む凹部を有するサンプと、サンプ内を加熱可能な加熱部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化二酸化炭素を貯留可能なタンク本体と、
前記タンク本体に一体に設けられて、前記タンク本体の底部から凹む凹部を有するサンプと、
前記サンプ内を加熱可能な加熱部と、
を備える液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項2】
前記加熱部は、前記タンク本体内の前記液化二酸化炭素よりも高温の加熱流体を、前記タンク本体の外部から供給する
請求項1に記載の液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項3】
前記加熱部は、前記タンク本体の外部から前記タンク本体の内部に延び、先端部が前記サンプの内部に配置され、前記加熱流体を前記タンク本体の外部から送り込む配管を備える
請求項2に記載の液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項4】
前記タンク本体内の前記液化二酸化炭素を前記タンク本体外に払い出す払出配管と、
前記タンク本体内に配置され、前記タンク本体内の前記液化二酸化炭素を、前記払出配管を通して前記タンク本体外に送り出すポンプと、を備え、
前記ポンプは、前記配管とともに前記サンプ内に配置されている
請求項3に記載の液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項5】
前記加熱部は、前記サンプ内を加熱するヒーターを備える
請求項1又は2に記載の液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項6】
前記加熱部は、前記タンク本体内の前記液化二酸化炭素、及び前記液化二酸化炭素に混在する不純物、の沸点よりも高い温度で前記サンプ内を加熱する
請求項1又は2に記載の液化二酸化炭素貯留タンク。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の液化二酸化炭素貯留タンクの内部から前記タンク本体内に貯留された前記液化二酸化炭素を払い出す、液化二酸化炭素の払出方法であって、
前記タンク本体内に貯留された前記液化二酸化炭素を、前記タンク本体の外部に払い出すステップと、
前記液化二酸化炭素を前記タンク本体の外部に払い出した後、前記サンプ内を加熱するステップと、を含む
液化二酸化炭素の払出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された燃料タンクは、液化ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)を燃料タンクに積み込むための積込配管(パイプライン)と、燃料タンクから液化ガスを払い出すための払出配管(パイプライン)とを備えている。払出配管の下端部には、タンク内の液化ガスを吸い出すためのポンプが設けられている。このような構成では、タンク内の液化ガスは、ポンプによって吸い出され、払出配管を通してタンクの外部に払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-528119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたような構成のように、タンク内の液化ガスを払い出すに際し、払出配管の下端部に設けられたポンプを用いると、液化ガスの払い出し後、タンク内には、ポンプよりも下方に、液化ガスの一部が残留する。
【0005】
タンク内に液化二酸化炭素を収容する場合、液化二酸化炭素に、例えば、水、油等の不純物が含まれていると、タンクから液化二酸化炭素を払い出した後、タンク内には、液化二酸化炭素とともに不純物も残留することになる。さらに、タンク内から液化二酸化炭素を払い出した後、例えばタンク内の温度上昇、圧力低下等によって、タンク内に残留した液化二酸化炭素が蒸発することがある。すると、液化二酸化炭素よりも沸点が高い不純物は、液化二酸化炭素中にそのまま残る。その結果、液状態のまま残留する液化二酸化炭素に対する不純物の濃度が高まる。不純物が、例えば、タンクの材質に悪影響を及ぼす可能性のある物質である場合、不純物による悪影響の度合いが高まってしまう。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、タンク本体内から液化二酸化炭素を払い出した後にタンク本体内に残留する、液化二酸化炭素に含まれる不純物による影響を抑えることができる液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る液化二酸化炭素貯留タンクは、タンク本体と、サンプと、加熱部と、を備える。前記タンク本体は、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記サンプは、前記タンク本体に一体に設けられている。前記サンプは、前記タンク本体の底部から凹む凹部を有する。前記加熱部は、前記サンプ内を加熱可能である。
【0008】
本開示に係る液化二酸化炭素の払出方法は、上記したような液化二酸化炭素貯留タンクの内部から前記タンク本体内に貯留された前記液化二酸化炭素を払い出す。前記液化二酸化炭素の払出方法は、液化二酸化炭素を払い出すステップと、サンプ内を加熱するステップと、を含む。前記液化二酸化炭素を払い出すステップは、前記タンク本体内に貯留された前記液化二酸化炭素を、前記タンク本体の外部に払い出す。前記サンプ内を加熱するステップは、前記液化二酸化炭素を前記タンク本体の外部に払い出した後、前記サンプ内を加熱する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法によれば、タンク本体内から液化二酸化炭素を払い出した後にタンク本体内に残留する、液化二酸化炭素に含まれる不純物による影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図2図1のII-II線に沿う縦断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素の払出方法の手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施形態の第一変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図5】本開示の実施形態の第二変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図6】本開示の実施形態のさらに他の変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素貯留タンク、液化二酸化炭素の払出方法について、図1から図3を参照して説明する。
(液化二酸化炭素貯留タンクの全体構成)
図1に示すように、この実施形態における液化二酸化炭素貯留タンク1Aは、タンク本体2と、サンプ5Aと、払出配管7Aと、加熱部10Aと、を主に備えている。
タンク本体2は、例えば液化二酸化炭素等の液化ガスを貯留可能である。タンク本体2は、船舶の船体、洋上浮体設備の浮体本体、陸上の液化ガス貯蔵施設等に設置される。
【0012】
図1図2に示すように、タンク本体2は、例えば、円筒状をなしている。液化二酸化炭素貯留タンク1Aは、筒状部3と、鏡板部4と、を備えている。筒状部3は、その中心軸方向Dcに延びている。この実施形態において、中心軸方向Dcは、上下方向Dvに交差する方向となっている。中心軸方向Dcは、水平方向に沿っていてもよいが、水平方向に対して傾斜していてもよい。この実施形態において、筒状部3は、円筒状に形成され、その中心軸方向Dcに直交する断面形状が円形をなしている。鏡板部4は、筒状部3の中心軸方向Dcの両端部にそれぞれ配置されている。各鏡板部4は、半球状で、筒状部3の中心軸方向Dcの開口を閉塞している。
なお、タンク本体2は、その中心軸方向Dcを上下方向Dvに沿わせるように配置してもよい。また、タンク本体2は、円筒状に限られるものではなく、球形、方形等、他の形状であってもよい。
【0013】
サンプ5Aは、タンク本体2に一体に設けられている。本実施形態のサンプ5Aは、タンク本体2の筒状部3の下端部を含む位置に一体に設けられている。サンプ5Aは、タンク本体2の内面のうち、中心軸方向Dcと垂直な断面視で最も下方に位置する底部2bから上下方向Dvの下方に凹むように形成されている。本実施形態のサンプ5Aは、更に中心軸方向Dcに延びる底部2bのうち上下方向Dvの最も下方に位置する部分に配置されている。例えば、底部2bが下方に向かって湾曲したり、中心軸方向Dcで傾斜したりしている場合、サンプ5Aは、底部2bのうち最も低い位置を含むように形成されている。なお、本実施形態の底部2b及びサンプ5Aは、筒状部3が断面円形をなしているため、タンク本体2の頂部の鉛直下方に配置されているが、底部2b及びサンプ5Aの配置は、タンク本体2の頂部の鉛直下方に限られない。
【0014】
サンプ5Aは、例えば、周壁部5wと、底板部5dと、を備えている。周壁部5wは、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。周壁部5wの上端は、タンク本体2の下端部に接合され、タンク本体2内の底部2bから上方に向かって開口している。周壁部5wは、タンク本体2から下方に突出している。底板部5dは、周壁部5wの下端の開口を下方から塞いでいる。このような周壁部5w、及び底板部5dにより、タンク本体2の底部2bから下方に凹む凹部5hが形成されている。本実施形態のサンプ5Aは、図2に示すように、最も下方に位置する底部2bの位置を基準として対称な位置(図2中、左右対称な位置)にそれぞれ周壁部5wが対向配置されている。なお、サンプ5Aにより形成される凹部5hの容積は、タンク本体2の大きさや形状等に応じて設定される。
【0015】
払出配管7Aは、タンク本体2内に連通している。本実施形態において、払出配管7Aは、タンク本体2の外部からタンク本体2の頂部を貫通し、タンク本体2の内部に延びている。払出配管7Aの先端部は、タンク本体2内の下部に配置されている。払出配管7Aの先端部には、ポンプ8Aが設けられている。ポンプ8Aは、タンク本体2内に配置されている。ポンプ8Aは、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lを吸い込み、払出配管7Aを通してタンク本体2の外部に送り出す。このようにして、タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lが、払出配管7Aを通して、をタンク本体2の外部に払い出される。ここで、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lを、ポンプ8A及び払出配管7Aによりタンク本体2の外部に払い出した後には、タンク本体2内で、ポンプ8Aよりも上下方向Dvの下方に、液化二酸化炭素Lが残留する。残留した液化二酸化炭素Lは、サンプ5A内に溜まる。
【0016】
加熱部10Aは、サンプ5A内を加熱可能である。加熱部10A内は、サンプ5A内の液化二酸化炭素Lを加熱する。加熱部10Aは、配管11Aを備えている。配管11Aは、タンク本体2の外部からタンク本体2の頂部を貫通し、タンク本体2の内部に延びている。本実施形態では、配管11Aの先端部11sは、サンプ5Aの内部に配置されている。配管11Aの基端部(図示せず)は、加熱流体を供給する加熱流体供給源(図示せず)に接続されている。配管11Aは、加熱流体供給源から供給される加熱流体を、タンク本体2の外部からサンプ5Aの内部に送り込む。
【0017】
加熱流体供給源は、加熱流体として、例えば二酸化炭素ガスを供給する。加熱流体供給源は、加熱、又は加圧により、加熱流体を温度上昇させる。配管11Aを通してタンク本体2の外部の加熱流体供給源からサンプ5A内に供給される加熱流体の温度は、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lよりも高温である。さらに、加熱流体は、タンク本体2内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素Lに混在する不純物、の沸点よりも高い温度とすることができる。また、加熱流体の温度は、液化二酸化炭素Lや不純物の気化を促進できる温度であれば、液化二酸化炭素Lや不純物の沸点よりも高い温度に限られず、例えば、-50℃~80℃程度とすることができる。
このような加熱流体が、配管11Aを通してサンプ5Aの内部に送り込まれることで、サンプ5A内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素Lに混在する不純物が加熱される。
【0018】
(液化二酸化炭素の払出方法の手順)
図3は、本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素の払出方法の手順を示すフローチャートである。図3に示すように、本開示の実施形態に係る液化二酸化炭素Lの払出方法S10は、液化二酸化炭素Lを払い出すステップS11と、サンプ5A内を加熱するステップS12と、を含む。
【0019】
液化二酸化炭素Lを払い出すステップS11では、タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lを、タンク本体2の外部に払い出す。これには、ポンプ8Aを作動させ、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lを吸い込み、払出配管7Aを通してタンク本体2の外部に送り出す。タンク本体2に設けられた液位計(図示せず)等により、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lの残量を検出する。オペレータは、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lの残量が、予め設定した下限値に到達した場合、ポンプ8Aの作動を停止させ、液化二酸化炭素Lの払い出しを完了する。
この状態で、タンク本体2内には、ポンプ8Aよりも下方に、液化二酸化炭素Lが残留している。これにより、サンプ5A内には、液化二酸化炭素Lが溜まっている。
【0020】
この後、サンプ5A内を加熱するステップS12を実行する。サンプ5A内を加熱するステップS12は、液化二酸化炭素Lを払い出すステップS11を完了した後、直ちに行ってもよいが、液化二酸化炭素Lを払い出すステップS11を完了した後、適宜の時間を空けて行ってもよい。
【0021】
サンプ5A内を加熱するステップS12では、ステップS11で液化二酸化炭素Lをタンク本体2の外部に払い出した後、加熱部10Aにより、サンプ5A内を加熱する。本実施形態において、加熱部10Aは、配管11Aを通して、加熱流体供給源から供給される加熱流体を、タンク本体2の外部からサンプ5Aの内部に送り込む。加熱流体が、配管11Aを通してサンプ5Aの内部に送り込まれることで、サンプ5A内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素Lに混在する不純物が加熱される。例えば、加熱流体の温度が、液化二酸化炭素L、及び不純物の沸点よりも高ければ、サンプ5A内の液化二酸化炭素L、及び不純物を沸騰させて積極的に気化させることができる。また、加熱流体の温度が上記の沸点よりも低くても、サンプ5A内の液化二酸化炭素L及び不純物を加熱して蒸発を促進することができる。液化二酸化炭素L、及び不純物を蒸発(気化)させたガスは、タンク本体2内のガスをタンク本体2外に排出する排出管(図示せず)を通してタンク本体2外に排出される。
【0022】
加熱部10Aによる加熱は、例えば、サンプ5A内に溜まった液化二酸化炭素L、及び不純物の全てが気化するまで行ってもよいし、液化二酸化炭素L、及び不純物のサンプ5A内の液位が所定の下限レベルまで低下するまで行ってもよい。さらに、加熱部10Aによる加熱は、例えば、予め設定された時間が経過するまで継続して、その後停止するようにしてもよい。
【0023】
(作用効果)
上記実施形態の液化二酸化炭素貯留タンク1Aは、サンプ5A内を加熱可能な加熱部10Aを備えている。タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lをタンク本体2の外部に払い出した後、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lは、タンク本体2の底部2bから凹むサンプ5Aの凹部5hに集中的に溜まる。加熱部10Aにより、サンプ5A内を加熱すると、サンプ5Aの凹部5h内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が気化すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【0024】
また、上記実施形態では、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lよりも高温の加熱流体を、タンク本体2の外部から供給することによって、加熱部10Aは、サンプ5A内の液化二酸化炭素を容易に加熱して気化させることができる。
【0025】
また、上記実施形態では、タンク本体2の外部から配管11Aを通して送り込まれる加熱流体は、サンプ5Aの内部に配置された配管11Aの先端部11sからサンプ5A内に吐出される。吐出された加熱流体によって、サンプ5A内に溜まった液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物が直接的に加熱される。このようにして、液化二酸化炭素L、及び不純物を効率良く加熱することができる。
【0026】
また、上記実施形態では、加熱部10Aは、液化二酸化炭素L、及び不純物の沸点よりも高い温度でサンプ5A内を加熱する。これにより、サンプ5A内に溜まった液化二酸化炭素L、及び不純物を沸騰させ積極的に蒸発させることができる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を、より確実且つ迅速に抑えることが可能となる。
【0027】
上記実施形態の液化二酸化炭素Lの払出方法S10では、タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lをタンク本体2の外部に払い出した後、加熱部10Aにより、サンプ5A内を加熱する。これにより、タンク本体2の底部2bから凹むサンプ5Aの凹部5hに溜まった、液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が気化すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【0028】
(実施形態の第一変形例)
なお、上記実施形態において、加熱部10Aによって加熱されるサンプ5Aについて例示したが、サンプ5Aの位置、設置数等は、タンク本体2の大きさや形状等によって適宜変更可能である。
【0029】
図4は、本開示の実施形態の変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図4に示すように、本変形例における液化二酸化炭素貯留タンク1Bは、払出配管7Bの先端部に設けられたポンプ8Bが、サンプ5B内に配置されている。サンプ5Bは、タンク本体2に一体に設けられて、タンク本体2の底部2bから凹む凹部5hを有している。ポンプ8Bは、サンプ5Bの内部で、液化二酸化炭素Lを吸い上げる。なお、図4では、ポンプ8Bの全体がサンプ5B内に配置される場合を例示しているが、この配置に限られない。少なくともポンプ8Bの吸入口(図示せず)がサンプ5B内に配置されていればよい。
【0030】
本変形例では、加熱部10Bの配管11Bの先端部11tが、ポンプ8Bとともに、サンプ5Bの内部に配置されている。配管11Bは、サンプ5B内に加熱流体を吐出する。サンプ5B内の液化二酸化炭素Lは、配管11Bから吐出する加熱流体によって加熱される。
【0031】
このような構成では、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lは、ポンプ8Bによって吸い出され、払出配管7Bを通してタンク本体2外に送り出される。ポンプ8Bがサンプ5B内に配置されているので、ポンプ8Bは、サンプ5B内に溜まった液化二酸化炭素Lを吸い込んで、タンク本体2外に送り出す。これによって、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lをタンク本体2外に払い出した後に、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lの量を抑えることができる。
さらに、サンプ5B内に残留した液化二酸化炭素Lを、配管11Bから吐出する加熱流体によって加熱することで、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素L、及び不純物の量をさらに抑えることができる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【0032】
(実施形態の第二変形例)
図5は、本開示の実施形態の第二変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図5に示すように、本変形例における液化二酸化炭素貯留タンク1Cは、上記第一実施形態で示したサンプ5Aと、上記第二実施形態で示したサンプ5Bとの双方を備えている。
本変形例における加熱部10Cは、サンプ5Aの内部に先端部11sが配置された配管11Aと、サンプ5Bの内部に先端部11tが配置された配管11Bと、を備えている。加熱部10Cは、配管11A,11Bを通して、サンプ5A,5B内を加熱する。
このような構成でも、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【0033】
また、上記実施形態、及び実施形態の第一、第二変形例では、加熱部10A~10Cが、加熱流体をサンプ5A,5B内に送り込む配管11A,11Bを備えるようにしたが、これに限られない。
例えば、配管11A,11Bの先端部を、サンプ5A,5Bの上方に配置し、配管11A,11Bから吐出する加熱流体を、サンプ5A,5B内の液化二酸化炭素Lに対して上方から吹き付けるようにしてもよい。
【0034】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
図6は、本開示の実施形態の第三変形例に係る液化二酸化炭素貯留タンクの概略構成を示す断面図である。
図6に示すように、第三変形例における液化二酸化炭素貯留タンク1Dは、加熱部10Dとして、ヒーター15を備えている。ヒーター15は、サンプ5A内を加熱する。ヒーター15は、例えば、サンプ5Aの周壁部5wを覆うように配置されている。ヒーター15は、サンプ5Aの凹部5hの内周面を覆うように配置してもよい。ヒーター15は、サンプ5A内の液化二酸化炭素Lを加熱する。
【0035】
これにより、ヒーター15でサンプ5A内を加熱することによって、サンプ5Aの凹部5h内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が蒸発すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。
このような構成でも、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にサンプ5A内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。なお、この第三変形例におけるヒーター15は、上述した第一実施形態及び第一、第二変形例の構成と組み合わせて用いてもよい。
【0036】
<付記>
各実施形態に記載の液化二酸化炭素貯留タンク1A~1D、液化二酸化炭素Lの払出方法S10は、例えば以下のように把握される。
【0037】
(1)第1の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dは、液化二酸化炭素Lを貯留可能なタンク本体2と、前記タンク本体2に一体に設けられて、前記タンク本体2の底部2bから凹む凹部5hを有するサンプ5A,5Bと、前記サンプ5A,5B内を加熱可能な加熱部10A~10Dと、を備える。
【0038】
この液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dは、サンプ5A,5B内を加熱可能な加熱部10A~10Dを備えている。タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lをタンク本体2の外部に払い出した後、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lは、タンク本体2の底部2bから凹むサンプ5A,5Bの凹部5hに集中的に溜まる。加熱部10A~10Dにより、サンプ5A,5B内を加熱すると、サンプ5A,5Bの凹部5h内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が気化すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【0039】
(2)第2の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dは、(1)の液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Cであって、前記加熱部10A~10Dは、前記タンク本体2内の前記液化二酸化炭素Lよりも高温の加熱流体を、前記タンク本体2の外部から供給する。
【0040】
これにより、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lよりも高温の加熱流体を、タンク本体2の外部から供給することによって、加熱部10A~10Dは、サンプ5A,5B内の液化二酸化炭素を容易に加熱することができる。
【0041】
(3)第3の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Cは、(2)の液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Cであって、前記加熱部10A~10Cは、前記タンク本体2の外部から前記タンク本体2の内部に延び、先端部11sが前記サンプ5A,5Bの内部に配置され、前記加熱流体を前記タンク本体2の外部から送り込む配管11A,11Bを備える。
【0042】
これにより、タンク本体2の外部から配管11A,11Bを通して送り込まれる加熱流体は、サンプ5A,5Bの内部に配置された配管11A,11Bの先端部からサンプ5A,5B内に吐出される。吐出された加熱流体によって、サンプ5A,5B内に溜まった液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物を、直接的に加熱することができる。このようにして、液化二酸化炭素L、及び不純物を効率良く加熱することができる。
【0043】
(4)第4の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1B、1Cは、(3)の液化二酸化炭素貯留タンク1B、1Cであって、前記タンク本体2内の前記液化二酸化炭素Lを前記タンク本体2外に払い出す払出配管7Bと、前記タンク本体2内に配置され、前記タンク本体2内の前記液化二酸化炭素Lを、前記払出配管7Bを通して前記タンク本体2外に送り出すポンプ8Bと、を備え、前記ポンプ8Bは、前記配管11Bとともに前記サンプ5B内に配置されている。
【0044】
これにより、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lは、ポンプ8Bによって払出配管7Bを通してタンク本体2外に送り出される。このようなポンプ8Bがサンプ5B内に配置されている場合、ポンプ8Bは、サンプ5B内に溜まった液化二酸化炭素Lを吸い込んで、タンク本体2外に送り出す。これによって、タンク本体2内の液化二酸化炭素Lをタンク本体2外に払い出した後に、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lの量を抑えることができる。
さらに、サンプ5B内に残留した液化二酸化炭素Lを、配管11Bから吐出する加熱流体によって加熱することで、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lの量をさらに抑えることができる。
【0045】
(5)第5の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1Dは、(1)から(4)の何れか一つの液化二酸化炭素貯留タンク1Dであって、前記加熱部10Dは、前記サンプ5A内を加熱するヒーター15を備える。
【0046】
これにより、ヒーター15でサンプ5A内を加熱することによって、サンプ5Aの凹部5h内の液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が蒸発すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。
【0047】
(6)第6の態様に係る液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dは、(1)から(5)の何れか一つの液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dであって、前記加熱部10A~10Dは、前記タンク本体2内の前記液化二酸化炭素L、及び前記液化二酸化炭素Lに混在する不純物、の沸点よりも高い温度で前記サンプ5A,5B内を加熱する。
【0048】
これにより、加熱部10A~10Dは、液化二酸化炭素L、及び不純物の沸点よりも高い温度でサンプ5A,5B内を加熱することによって、サンプ5A,5B内に溜まった液化二酸化炭素L、及び不純物を沸騰させ積極的に蒸発させることができる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を、より確実且つ迅速に抑えることが可能となる。
【0049】
(7)第7の態様に係る液化二酸化炭素Lの払出方法S10は、(1)から(6)の何れか一つの液化二酸化炭素貯留タンク1A~1Dの内部から前記タンク本体2内に貯留された前記液化二酸化炭素Lを払い出す、液化二酸化炭素Lの払出方法S10であって、前記タンク本体2内に貯留された前記液化二酸化炭素Lを、前記タンク本体2の外部に払い出すステップS11と、前記液化二酸化炭素Lを前記タンク本体2の外部に払い出した後、前記サンプ5A,5B内を加熱するステップS12と、を含む。
【0050】
これにより、タンク本体2内に貯留された液化二酸化炭素Lをタンク本体2の外部に払い出した後、加熱部10A~10Dにより、サンプ5A,5B内を加熱する。これにより、タンク本体2の底部2bから凹むサンプ5A,5Bの凹部5hに溜まった、液化二酸化炭素L、及び液化二酸化炭素L中に混在する不純物の温度が上昇する。液化二酸化炭素Lと共に、不純物が蒸発すれば、タンク本体2内に残留する液化二酸化炭素Lに対する不純物が高まることが抑えられる。したがって、タンク本体2内から液化二酸化炭素Lを払い出した後にタンク本体2内に残留する、液化二酸化炭素Lに含まれる不純物による影響を抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
1A~1D…液化二酸化炭素貯留タンク 2…タンク本体 2b…底部 3…筒状部 4…鏡板部 5A,5B…サンプ 5d…底板部 5h…凹部 5w…周壁部 7A,7B…払出配管 8A,8B…ポンプ 10A~10D…加熱部 11A,11B…配管 11s,11t…先端部 15…ヒーター Dc…中心軸方向 Dv…上下方向 L…液化二酸化炭素 S10…払出方法 S11…液化二酸化炭素を払い出すステップ S12…サンプ内を加熱するステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6