(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025289
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】スクリュー圧縮機及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
F04C 18/16 20060101AFI20240216BHJP
F04C 29/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F04C18/16 B
F04C29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128626
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】野崎 務
(72)【発明者】
【氏名】土屋 豪
(72)【発明者】
【氏名】千葉 紘太郎
(72)【発明者】
【氏名】頼金 茂幸
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA03
3H129AA17
3H129AB01
3H129BB32
3H129BB33
3H129BB42
3H129CC05
3H129CC16
(57)【要約】
【課題】リード角が変化するロータ構造を有する一対のスクリューロータの組立性を改善することができるスクリュー圧縮機及びその組立方法を提供する。
【解決手段】スクリュー圧縮機1は、互いに噛み合って平行な回転軸線A1、A2の周りに回転可能にケーシング4に収容される雄雌両ロータ2、3を備える。雄雌両ロータ2、3は、螺旋状の歯21a、31aを有するロータ歯部21、31と、吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33とを含む。雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31は、リード角が変化するように構成されている。雄雌両ロータ2、3の各々は、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2の間の距離を拘束するために組立時に用いられる位置決め治具100と係合する係合部25、35を吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33のいずれか一方に有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合い回転する一対のスクリューロータと、
前記一対のスクリューロータを互いの回転軸線が平行な状態で収容するケーシングとを備え、
前記一対のスクリューロータの各々は、
螺旋状の歯を有するロータ歯部と、
前記ロータ歯部における軸方向の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた第1シャフト部及び第2シャフト部とを含み、
前記ロータ歯部は、前記回転軸線に直交する平面と前記歯の歯先線とのなす角であるリード角が前記ロータ歯部の前記軸方向の全長のうちの少なくとも一部分において変化するように構成され、
前記一対のスクリューロータの各々は、前記一対のスクリューロータの前記回転軸線の間の距離を拘束するために組立時に用いられる位置決め治具と係合する係合部を前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方に有している
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記係合部は、前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方の円筒面の一部が平面状に切り取られた平面取りである
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項3】
請求項2に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記一対のスクリューロータは、前記平面取りの前記軸方向の幅が互いに等しくなるよう構成されている
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項4】
請求項2に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記一対のスクリューロータは、互いに噛み合う状態において、前記平面取りが互いに平行になるような回転位置を有している
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項5】
請求項4に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記一対のスクリューロータは、互いに噛み合う状態において、前記平面取りが互いに対向するような回転位置を有している
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項6】
請求項2に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記一対のスクリューロータの各々は、前記係合部としての前記平面取りを2つ有し、
前記一対のスクリューロータの各々における前記平面取りの2つは、前記回転軸線に対して軸対称の位置に形成されている
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項7】
請求項1に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記係合部は、前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方の円筒面上に設けられたキー溝である
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項8】
請求項7に記載のスクリュー圧縮機であって、
前記一対のスクリューロータは、互いに噛み合う状態において、前記キー溝が互いに対向するような回転位置を有している
ことを特徴とするスクリュー圧縮機。
【請求項9】
螺旋状の歯を有するロータ歯部と前記ロータ歯部における軸方向の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた第1シャフト部及び第2シャフト部とを含む一対の雄ロータ及び雌ロータが噛み合って互いに平行な回転軸線の周りに回転可能にケーシングに収容され、かつ、前記ロータ歯部は前記回転軸線に直交する平面と前記歯の歯先線とのなす角であるリード角が前記ロータ歯部の前記軸方向の全長のうちの少なくとも一部分において変化するように構成されたスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方に設けられた第1係合部を有する前記雄ロータと前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方に設けられた第2係合部を有する前記雌ロータとを所定の回転位置で噛み合わせ、
前記雄ロータと前記雌ロータの前記回転軸線の間の距離を拘束するための位置決め治具を前記雄ロータの前記第1係合部と前記雌ロータの前記第2係合部に係合させ、
前記雄ロータと前記雌ロータとを噛み合わせた状態かつ前記位置決め治具を前記雄ロータの前記第1係合部と前記雌ロータの前記第2係合部に係合させた状態で、前記雄ロータ及び前記雌ロータを同時に前記ケーシングの内部へ挿入して前記ケーシングに取り付け、
前記位置決め治具を前記雄ロータ及び前記雌ロータから取り外す
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項10】
請求項9に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記雄ロータの前記第1係合部及び前記雌ロータの前記第2係合部は、前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方の円筒面の一部が平面状に切り取られた平面取りであり、
前記位置決め治具は、前記平面取りに係合する板状部材である
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項11】
請求項10に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記位置決め治具は、
前記雄ロータの前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部における前記第1係合部を含む部分に対して挿入可能で前記第1係合部に係合する第1溝部又は第1孔部と、
前記雌ロータの前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部における前記第2係合部を含む部分に対して挿入可能で前記第2係合部に係合する第2溝部又は第2孔部とを有する
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項12】
請求項9に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記雄ロータの前記第1係合部及び前記雌ロータの前記第2係合部は、前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方の円筒面上に設けられたキー溝であり、
前記位置決め治具は、前記雄ロータの前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部における前記第1係合部を含む部分に対して挿入可能な第1孔部と、前記雌ロータの前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部における前記第2係合部を含む部分に対して挿入可能な第2孔部とを有する板状部材である
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項13】
請求項12に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記板状部材は、前記第1孔部が前記雄ロータの前記第1係合部にキーを介して係合されると共に、前記第2孔部が前記雌ロータの前記第2係合部にキーを介して係合される
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項14】
請求項12に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記板状部材は、前記第1孔部の周縁に前記第1孔部の内側に突き出る第1突起部を有すると共に、前記第2孔部の周縁に前記第2孔部の内側に突き出る第2突起部を有し、
前記板状部材は、前記第1孔部の前記第1突起部が前記雄ロータの前記第1係合部に係合されると共に、前記第2孔部の前記第2突起部が前記雌ロータの前記第2係合部に係合される
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【請求項15】
請求項9に記載のスクリュー圧縮機の組立方法であって、
前記位置決め治具は、前記雄ロータの前記第1係合部を有する前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部に取り付けられる第1歯車と、前記雌ロータの前記第2係合部を有する前記第1シャフト部又は前記第2シャフト部に取り付けられ、前記第1歯車と噛み合う第2歯車とを備え、
前記第1歯車は、第1取付具を前記雄ロータの前記第1係合部に係合させることで前記雄ロータに固定され、
前記第2歯車は、第2取付具を前記雌ロータの前記第2係合部に係合させることで前記雄ロータに固定され、
前記第1歯車と前記第2歯車とを噛み合わせることで、前記雄ロータと前記雌ロータとを前記所定の回転位置で噛み合わせる
ことを特徴とするスクリュー圧縮機の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のスクリューロータを備えるスクリュー圧縮機及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリュー圧縮機は、空気圧縮機や冷凍空調用圧縮機として、広く普及している。近年、省エネ化が強く求められており、高いエネルギ効率や大風量(高性能)であることが益々重要になっている。
【0003】
スクリュー圧縮機には、互いに噛み合いながら回転する雄雌一対のスクリューロータを備えるツインロータ型のものがある。ツインロータ型のスクリュー圧縮機は、両スクリューロータの歯溝とそれらを取り囲むケーシングの内壁面とによって形成された複数の作動室の容積が両スクリューロータの回転に伴い増減することで気体を吸い込み圧縮するものである。
【0004】
ツインロータ型のスクリュー圧縮機の効率向上の手法の一つとして、スクリューロータのリード角又はリードを従来のスクリューロータよりも相対的に大きくしたものがある。リード角は、スクリューロータの軸線に直交する平面とスクリューロータのつる巻き線との成す角度である。リードは、スクリューロータのつる巻き線が1回転するときに軸方向に進む距離である。ツインロータ型のスクリュー圧縮機においては、リード角(リード)が相対的に大きい場合、圧縮開始から吐出に至るまでの圧縮行程に相当する回転角度の範囲が小さくなる。このため、圧縮の開始から完了に至るまでの時間が短縮されるので、効率低下の要因となる内部漏れを低減することができる。一方、リード角(リード)が相対的に小さい場合、同時に形成される作動室(圧縮室)の数が多くなるので、振動や騒音の要因となる加振力を低減することができる。
【0005】
流体機械においては、リード角が相対的に大きい場合の利点と相対的に小さい場合の利点を併せ持つために、リード角(リード)を軸方向の位置で変化させるロータ構造、すなわち、ピッチが変化するロータ構造を採用したものがある。例えば、特許文献1には、吸入側端から吐出側端に向けて、大リードの部分、中リードの部分、小リードの部分と切り替わるように構成された一対のロータアセンブリを備えたドライスクリューポンプが開示されている。特許文献2には、吸込端面から吐出端面に向かって軸方向にピッチが変化する一対のスクリューロータ(雄スクリューロータ及び雌スクリューロータ)を備えたスクリュー圧縮機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-183572号公報
【特許文献2】特開2021-60003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ツインロータ型のスクリュー圧縮機において、リード角が軸方向の位置によらずに一定であるロータ構造(等ピッチのロータ構造)が採用されている場合、圧縮機の組立は一般的に次のような手順で行われる。先ず、一方のスクリューロータをケーシングのボア内に格納する。次に、ケーシングに格納されている一方のスクリューロータを回転させながら他方のスクリューロータの軸方向一端側を噛み合わせることで、他方のスクリューロータをケーシングのボア内に格納する。
【0008】
しかし、リード角(リード)が変化するロータ構造(ピッチ変化のロータ構造)が採用されている場合には、「ケーシングに格納されている一方のスクリューロータを回転させながら他方のスクリューロータの軸方向一端側を噛み合わせることで、他方のスクリューロータをケーシングのボア内に格納する」という等ピッチのロータ構造の組立手順が幾何学的に成立しない。したがって、ピッチ変化のロータ構造の場合には、上述の組立方法とは異なる手順を用いる必要がある。具体的には、次のような手順で組立を行う。先ず、一対のスクリューロータを事前に噛み合わせる。次に、両スクリューロータの噛合い状態を維持しながら、両スクリューロータを同時にケーシングのボア内に格納する。
【0009】
特許文献1に記載のドライスクリューポンプのように、縦断面が矩形状の歯溝を有する一対のスクリューロータを備える場合には、リードが変化するロータ構造であっても、一対のスクリューロータは両中心軸線が傾くことなく平行な状態で噛み合うので、両スクリューロータの噛み合わせが一意に決まる。そのため、両スクリューロータを同時にケーシングに格納することは容易である。
【0010】
それに対して、特許文献2に記載のスクリュー圧縮機のように、一対のスクリューロータがピッチ変化のロータ構造を有すると共に縦断面が曲線状の歯溝を有する場合には、両スクリューロータは、両回転軸線が平行でなく傾いた状態で噛み合うことが起こり得るので、両回転軸線間の距離を拘束しない限り噛合わせが一意に決まらない。このため、両スクリューロータを同時にケーシングのボア内に格納することは難しい。このため、ピッチ変化のロータ構造を有すると共に縦断面が曲線状の歯溝を有する一対のスクリューロータを備えるスクリュー圧縮機について組立性を改善したいという要求がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、リード角が変化するロータ構造を有する一対のスクリューロータの組立性を改善することができるスクリュー圧縮機及びその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、互いに噛み合い回転する一対のスクリューロータと、前記一対のスクリューロータを互いの回転軸線が平行な状態で収容するケーシングとを備え、前記一対のスクリューロータの各々は、螺旋状の歯を有するロータ歯部と、前記ロータ歯部における軸方向の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた第1シャフト部及び第2シャフト部とを含み、前記ロータ歯部は、前記回転軸線に直交する平面と前記歯の歯先線とのなす角であるリード角が前記ロータ歯部の前記軸方向の全長のうちの少なくとも一部分において変化するように構成され、前記一対のスクリューロータの各々は、前記一対のスクリューロータの前記回転軸線の間の距離を拘束するために組立時に用いられる位置決め治具と係合する係合部を前記第1シャフト部及び前記第2シャフト部のいずれか一方に有している。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリュー圧縮機の組立時に、一対のスクリューロータの各々に設けた係合部に位置決め治具を係合させて一対のスクリューロータの回転軸線間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線が平行な状態の一対のスクリューロータを同時にケーシングの内部へ挿入することができるので、一対のスクリューロータの組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する一対のスクリューロータの組立性を改善することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をII-II矢視から見た断面図である。
【
図3】スクリューロータにおけるリード角とリードの関係を示す説明図である。
【
図4】第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの正常な噛合い状態を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの非正常の噛合い状態を示す断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の雄ロータをVII-VII矢視から見た断面図である。
【
図8】第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの治具を用いた組立方法を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す第2の実施形態に係る一方のスクリューロータ(雄ロータ)の構造を示す外観図である。
【
図11】
図10に示す第2の実施形態に係る雄ロータをXI-XI矢視から見た断面図である。
【
図12】
図9に示す第2の実施形態に係る他方のスクリューロータ(雌ロータ)の構造を示す外観図である。
【
図13】第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの治具を用いた組立方法を示す斜視図である。
【
図14】第2の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具を示す正面図かつ当該治具に応じた一対のスクリューロータ(吐出側シャフト部)の構造を示す断面図である。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【
図16】本発明の第4の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【
図17】第4の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具を示す正面図かつ当該治具に応じた一対のスクリューロータ(吐出側シャフト部)の構造を示す断面図である。
【
図18】本発明の第5の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【
図19】第5の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるスクリュー圧縮機の実施形態について図面を用いて例示説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機を示す断面図である。
図2は
図1に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機をII-II矢視から見た断面図である。
図1及び
図2中、左側がスクリュー圧縮機の軸方向の吸込側、右側が軸方向の吐出側である。
【0016】
図1及び
図2において、スクリュー圧縮機1は、互いに噛み合い回転する一対のスクリューロータとしての雄ロータ2及び雌ロータ3と、雄ロータ2及び雌ロータ3を噛み合った状態で回転可能に収容するケーシング4とを備えている。雄ロータ2及び雌ロータ3は、互いの回転軸線A1、A2が平行となるように配置されている。雄ロータ2は、その軸方向(
図1及び
図2中、左右方向)の一方側と他方側がそれぞれ吸込側軸受6と吐出側軸受7、8とにより回転自在に支持されている。雌ロータ3は、その軸方向の一方側と他方側がそれぞれ吸込側軸受10と吐出側軸受11、12とにより回転自在に支持されている。
【0017】
雄ロータ2は、螺旋状の捩じれた雄歯21a(ローブ)を有するロータ歯部21と、ロータ歯部21の軸方向の両側端部に設けられた吸込側シャフト部22及び吐出側シャフト部23とで構成されている。ロータ歯部21は、軸方向の一方端(
図1及び
図2中、左端)及び他方端(
図1及び
図2中、右端)にそれぞれ、軸方向(回転軸線A1)に垂直な吸込側端面21b及び吐出側端面21cを有している。ロータ歯部21では、雄歯21aが吸込側端面21bから吐出側端面21cまで延在しており、雄歯21a間に歯溝が形成されている。吸込側シャフト部22は、例えば、ケーシング4の外側に延出しており、回転駆動源(図示せず)に接続されている。雄ロータ2のロータ歯部21は、雄歯21aの捩じれ具合が軸方向で変化するロータ構造を有している。雄ロータ2の雄歯21aの捩じれ具合の詳細については後述する。
【0018】
雌ロータ3は、螺旋状の捩じれた雌歯31a(ローブ)を有するロータ歯部31と、ロータ歯部31の軸方向の両側端部に設けられた吸込側シャフト部32及び吐出側シャフト部33とで構成されている。ロータ歯部31は、軸方向一端(
図2中、左端)及び他方端(
図2中、右端)にそれぞれ、軸方向(回転軸線A2)に垂直な吸込側端面31b及び吐出側端面31cを有している。ロータ歯部31では、雌歯31aが吸込側端面31bから吐出側端面31cまで延在しており、雌歯31a間に歯溝が形成されている。雌ロータ3のロータ歯部31は、吸込側端面31b及び吐出側端面31cの軸方向位置が雄ロータ2のロータ歯部21の吸込側端面21b及び吐出側端面21cの軸方向位置と一致するように配置される。雄ロータ2のロータ歯部21に噛み合う雌ロータ3のロータ歯部31も、雌歯31aの捩じれ具合が軸方向で変化するロータ構造を有している。雌ロータ3の雌歯31aの捩じれ具合の詳細についても、後述する。
【0019】
ケーシング4は、メインケーシング41と、メインケーシング41の吐出側(
図1及び
図2中、右側)に取り付けられた吐出側ケーシング42とを備えている。ケーシング4の内部には、雄ロータ2のロータ歯部21および雌ロータ3のロータ歯部31を互いに噛み合った状態で収容する収容室45が形成されている。収容室45は、2つの円筒状空間が部分的に重なるようにメインケーシング41に形成されたボアの軸方向一方側(
図1及び
図2中、右側)の開口を吐出側ケーシング42で閉塞することによって構成されている。収容室45を形成する内壁面は、雄ロータ2のロータ歯部21の径方向外側を覆う略円筒状の第1内周面46と、雌ロータ3のロータ歯部31の径方向外側を覆う略円筒状の第2内周面47と、雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31の吸込側端面21b、31bに対向する軸方向一方側(
図1及び
図2中、左側)の吸込側内壁面48と、雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31の吐出側端面21c、31cに対向する軸方向他方側(
図1及び
図2中、右側)の吐出側内壁面49とで構成されている。雄雌両ロータ2、3のロータ歯部21、31とそれを取り囲むケーシング4の内壁面(第1内周面46、第2内周面47、吸込側内壁面48、吐出側内壁面49)とによって複数の作動室C1、C2、C3、C4が形成される。
【0020】
メインケーシング41の吸込側端部には、雄ロータ2側の吸込側軸受6及び雌ロータ3側の吸込側軸受10が配設されている。吐出側ケーシング42には、雄ロータ2側の吐出側軸受7、8及び雌ロータ3側の吐出側軸受11、12が配設されている。吐出側ケーシング42には、吐出側軸受7、8及び吐出側軸受11、12を覆う吐出側カバー43が取り付けられている。
【0021】
ケーシング4には、
図1に示すように、作動室Cに気体を吸い込むための吸込流路51が設けられている。吸込流路51は、ケーシング4の外部と収容室45(作動室)とを連通させるものである。また、ケーシング4には、作動室からケーシング4外へ圧縮気体を吐出するための吐出流路52が設けられている。吐出流路52は、収容室45(作動室)とケーシング4の外部とを連通させるものである。吐出流路52は、ケーシング4の吐出側内壁面49に形成された吐出ポート52aを有している。
【0022】
このように構成されたスクリュー圧縮機1においては、
図2に示す雄ロータ2が図示しない駆動源により駆動されると、雄ロータ2に噛み合っている雌ロータ3も共に回転する。これにより、雄雌両ロータ2、3の回転に伴って作動室の容積が増加することで外部から
図1に示す吸込流路51を介して気体を吸い込み、作動室の容積が
図2に示すC1、C2、C3、C4のように順次縮小していくことで気体を圧縮する。スクリュー圧縮機1は、吸込流路51を介して吸い込んだ気体を所定の圧力まで圧縮し、最終的に、
図1に示す吐出流路52を介して外部へ吐出する。
【0023】
次に、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータのロータ構造(歯の捩じれ具合)について
図2及び
図3を用いて説明する。
図3はスクリューロータにおけるリード角とリードの関係を示す説明図である。ここでは、雌ロータの雌歯の捩じれ具合のみを具体的に説明し、雄ロータの雄歯の捩じれ具合の説明は簡略化する。雄雌両ロータは噛み合った状態で回転するので、雄ロータ2の雄歯の捩じれ具合は雌ロータの雌歯の捩じれ具合と同様になる。
【0024】
以下の説明において、
図2に示す雌ロータ3のロータ歯部31の歯先点の集合である歯先をヘリックス線と称する。また、雌ロータ3のヘリックス線において、吐出側端面31cに近い側を先行側と称し、吸込側端面31bに近い側を後続側と称する。
【0025】
雌ロータ3は、ロータ歯部31の吸込側端面31bから吐出側端面31cに向かってリード角が徐々に大きくなるように構成されている。雌ロータ3(ロータ歯部31)のリード角とは、雌ロータ3の各歯先点におけるヘリックス線の傾きを表すものであり、ロータ歯部31のヘリックス線上の1点(歯先点)を通りロータ歯部31の軸方向(回転軸線A2)に直交する平面と当該ヘリックス線とのなす角をいう。すなわち、
図2に示すように、雌ロータ3のヘリックス線の傾き線Lh(各歯先点におけるヘリックス線に対する接線)と雌ロータ3の吸込側端面31bに平行な基準線Ldとに挟まれた角度である。雌ロータ3の回転軸線A2に平行な或る基線Lb上に位置する雌ロータ3の吸込側端面31bの歯先点及び先行側の歯先点におけるリード角を
図2に示す。各歯先点における各基準線Ldに対するヘリックス線の傾き線Lhの傾き(すなわちリード角)は、吐出側端面31cに接近するほど大きくなっている(φ1<φ2<φ3)。換言すると、雌ロータ3は、ロータ歯部31の吸込側端面31bから吐出側端面31cまでの全長に亘ってリード角が徐々に大きくなるよう構成されている。
【0026】
本説明において、雌ロータ3のヘリックス線を1回転させたと仮定したときに軸方向に進む長さをリードと規定する。リード角とリードの関係を
図3に示す。
図3に示す関係から明らかなように、雌ロータ3は、軸方向の吸込側から吐出側に向かってリードが大きくなるように構成されていると換言することができる。また、雌ロータ3は、ロータ歯部31の吸込側端面31bから吐出側端面31cまでの全長に亘ってリードが徐々に変化するように構成されている。
【0027】
軸方向の吸込側から吐出側に向かってリード角(リード)が大きくなるロータ構造を有する雌ロータ3は、雌歯31aの捩れが吸込側から吐出側に向かうにつれて緩和される構造となっている。この場合、軸方向(回転軸線A2)に垂直な断面の雌ロータ3の歯形が軸方向の任意の位置において略同一であるという条件下において、ヘリックス線の延伸方向に対して垂直な断面における雌ロータ3の歯先厚さt1が吸込側から吐出側に向かってリード角(リード)の大きさに応じて相対的に厚くなる。また、雌ロータ3のヘリックス線に沿って延びるシール線Sfの長さは、同じ回転位置にある等リード角(等リード)の雌ロータの場合に比べて短くなる。
【0028】
歯先厚さt1が厚くなるということは、雌ロータ3における隣接する作動室間の境界の幅(距離)が大きくなることを意味する。すなわち、ケーシング4の第2内周面47(収容室45の内壁面)と雌ロータ3の歯先との間に形成された隙間(外径隙間と称する)の幅が大きくなり、隣接する作動室間の漏れ流路の長さが長くなることを意味する。このため、隣接する作動室間の外径隙間を経由する圧縮気体の流動抵抗が増加するので、当該外径隙間を介した圧縮気体の漏洩を抑制することができる。
【0029】
また、雌ロータ3の歯先のシール線Sfの長さが短くなるということは、圧縮気体が漏出する領域である外径隙間の全長が短くなることを意味する。このため、隣接する作動室間の外径隙間を経由する圧縮気体の漏れを抑制することができる。
【0030】
雌ロータ3と同様に、雌ロータ3に噛み合う雄ロータ2も、軸方向の吸込側から吐出側に向かってリード角が大きくなるように構成されており、ロータ歯部21の吸込側端面21bから吐出側端面21cまでの全長に亘ってリード角が徐々に変化するように構成されている。すなわち、雄ロータ2も、軸方向の吸込側から吐出側に向かってリードが大きくなるように構成されており、ロータ歯部21の吸込側端面21bから吐出側端面21cまでの全長に亘ってリードが徐々に変化するように構成されている。つまり、雄ロータ2においても、雄歯21aの捩れが吸込側から吐出側に向かうにつれて緩和される構造となっている。この場合、雄ロータ2のヘリックス線に沿って延びるシール線Smの長さは、同じ回転位置にある等リード角(等リード)の雄ロータの場合に比べて短くなる。
【0031】
このように、本実施の形態のスクリュー圧縮機1においては、雌ロータ3の歯先厚さt1が等リードの雌ロータの場合と比べて厚くなると共に、雄ロータ2及び雌ロータ3の歯先のシール線Sm、Sfの長さが等リードの雄ロータ及び雌ロータの場合と比べて短くなる。これら2つの構造的な差異により、隣接する作動室間の外径隙間を経由する圧縮気体の漏れを抑制することができる。
【0032】
次に、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法について
図2、
図4、
図5を用いて説明する。
図4は第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの正常な噛合い状態を示す断面図である。
図5は第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの非正常の噛合い状態を示す断面図である。
【0033】
第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機1は、
図2に示すように、リード角が軸方向の吸込側(
図2中、左側)から吐出側(
図2中、右側)に向かって徐々に変化するロータ構造(不等リードのロータ構造)を有する雄雌両ロータ2、3を備えている。この場合、リード角が一定のロータ構造(等リードのロータ構造)を有する一対のスクリューロータを備えたスクリュー圧縮機の組立手順を採用することはできない。したがって、不等リードのロータ構造の場合には、等リードのロータ構造の場合の組立方法とは異なる手順を用いる必要がある。
【0034】
スクリュー圧縮機1は、例えば、次の手順によって組み立てられる。先ず、
図2に示すメインケーシング41に雄ロータ2側の吸込側軸受6及び雌ロータ3側の吸込側軸受10を配置する。次に、雄ロータ2と雌ロータ3をケーシング4の内部へ挿入する前に噛み合わせる。次いで、雄雌両ロータ2、3の噛合い状態を維持しながら雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4の収容室45(メインケーシング41のボア)へ挿入し、雄雌両ロータ2、3の吸込側シャフト部22、32を同時にメインケーシング41に配置した吸込側軸受6、10に取り付ける。
【0035】
本実施形態に係るスクリュー圧縮機1の組立においては、
図4に示すように、雄ロータ2の回転軸線A1と雌ロータ3の回転軸線A2とが傾くことなく平行な状態で雄ロータ2の吸込側端面21b及び吐出側端面21cの位置と雌ロータ3の吸込側端面31b及び吐出側端面31cの位置とが一致するように、雄雌両ロータ2、3を噛み合わせる必要がある。しかし、
図5に示すように、雄雌両ロータ2、3は両回転軸線A1、A2が平行でなく傾いた状態で噛み合うことが起こり得る。雄雌両ロータ2、3が、
図4に示す正常な噛合い状態ではなく、
図5に示す非正常の噛合い状態である場合には、雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入してケーシングに取り付けることは難しい。
【0036】
本実施形態に係るスクリュー圧縮機1においては、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束しない限り、雄雌両ロータ2、3の噛合わせが一意に決まらない。そこで、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機1の組立方法は、位置決め治具100(後述の
図6及び
図8参照)を用いることで、
図4に示す雄雌両ロータ2、3の正常な噛合い状態を容易に実現しようとするものである。
【0037】
次に、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法について、組立に用いる治具の構造及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造と共に、
図6~
図8を用いて説明する。
図6は第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図7は
図6に示す第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機の雄ロータをVII-VII矢視から見た断面図である。
図8は第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの治具を用いた組立方法を示す斜視図である。
【0038】
図6及び
図7に示すように、雄ロータ2の吐出側シャフト部23及び雌ロータ3の吐出側シャフト部33には、位置決め治具100に係合する第1係合部25及び第2係合部35が設けられている。雄ロータ2の第1係合部25は、吐出側シャフト部23の円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。雌ロータ3の第2係合部35も、雄ロータ2の第1係合部25と同様に、吐出側シャフト部33の円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。
【0039】
雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35は、
図6に示すように、雄ロータ2の吐出側端面21cからの軸方向の位置と雌ロータ3の吐出側端面31cからの軸方向の位置とが略同じになるように構成されている。また、雄ロータ2の第1係合部25としての平面取りと雌ロータ3の第2係合部35としての平面取りは、軸方向(回転軸線A1、A2の延在方向)の幅W(
図1参照)が略一定で互いに等しくなるように構成されている。さらに、雄ロータ2の第1係合部25としての平面取りと雌ロータ3の第2係合部35としての平面取りは、正常に噛み合う雄ロータ2及び雌ロータ3が所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、互いに平行且つ対向するように形成されている。例えば、雄ロータ2の第1係合部25は、
図7に示すように、雄ロータ2の吐出側端面21cにおける或る歯先21tの角度位置に対応した位置に設けられている。一方、雌ロータ3の第2係合部35は、
図6に示すように、雄ロータ2の吐出側端面21cにおける或る歯先に噛み合う雌ロータ3の吐出側端面31cにおける歯底の角度位置に対応した位置に設けられている。すなわち、雄ロータ2と雌ロータ3は、互いに噛み合う状態において、第1係合部25としての平面取りと第2係合部35としての平面取りとが互いに平行で且つ対向するような回転位置を有している。
【0040】
図6及び
図8に示す位置決め治具100は、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束して雄ロータ2の吸込側端面21b及び吐出側端面21cの位置と雌ロータ3の吸込側端面31b及び吐出側端面31cの位置を揃えると共に、雄雌両ロータ2、3の回転を規制する機能を有するものである。位置決め治具100は、例えば、厚みが一定で一方向に延びる板状部材であり、延在方向の一方側端部に設けた第1切欠き部102及び延在方向の他方側端部に設けた第2切欠き部103を有している。位置決め治具100は、第1切欠き部102が雄ロータ2の第1係合部25(平面取り)に係合すると共に、第2切欠き部103が雌ロータ3の第2係合部35(平面取り)に係合するように構成されており、第1切欠き部102と第2切欠き部103との間に位置する本体部101が雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束する部分である。
【0041】
本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、
図6に示すように、第1に、雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35を互いにほぼ対向するように位置させることで、雄ロータ2を所定の第1回転位置にすると共に、雌ロータ3を所定の第2回転位置にする。第2に、雄ロータ2と雌ロータ3をこのような回転位置において噛み合わせる。第3に、雄ロータ2と雌ロータ3とを噛み合わせた状態で、位置決め治具100の本体部101を雄ロータ2の吐出側シャフト部23と雌ロータ3の吐出側シャフト部33との間に挿入し、位置決め治具100の第1切欠き部102及び第2切欠き部103を雄ロータ2の第1係合部25及び雌ロータ3の第2係合部35に係合させる。すなわち、
図8に示すように、位置決め治具100の本体部101の両端面を雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35とで挟み込むように係合させる。雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35とに挟み込まれた位置決め治具100の本体部101によって、雄ロータ2の回転軸線A1と雌ロータ3の回転軸線A2と間の距離が拘束されると共に雄雌両ロータ2、3の回転が規制され、雄ロータ2の吸込側端面21b及び吐出側端面21cと雌ロータ3の吸込側端面31b及び吐出側端面31cにおける軸方向の位置が揃えられる。この雄雌両ロータ2、3の位置決め治具100との係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2、3の正常な噛合い状態を維持することができる。
【0042】
次に、雄ロータ2の第1係合部25及び雌ロータ3の第2係合部35を位置決め治具100の第1切欠き部102及び第2切欠き部103に係合させた状態で、雄雌両ロータ2、3を同時にメインケーシング41の収容室45(ボア)内へ挿入し、吸込側軸受6、10を介してメインケーシング41に取り付ける。その後、位置決め治具100を雄ロータ2及び雌ロータ3から取り外し、メインケーシング41に吐出側ケーシング42を取り付ける。このように、雄ロータ2の第1係合部25及び雌ロータ3の第2係合部35を位置決め治具100に係合させることで、容易に雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4の収容室45(ボア)へ挿入することが可能となる。
【0043】
上述したように、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機1は、互いに噛み合い回転する雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)と、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)を互いの回転軸線A1、A2が平行な状態で収容するケーシング4とを備える。雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータの各々)は、螺旋状の歯21a、31aを有するロータ歯部21、31と、ロータ歯部21、31における軸方向の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33(第1シャフト部及び第2シャフト部)とを含む。ロータ歯部21、31は、回転軸線A1、A2に直交する平面と歯21a、31aの歯先線とのなす角であるリード角φがロータ歯部21、31の軸方向の全長のうちの少なくとも一部分において変化するように構成されている。雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータの各々)は、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)は、回転軸線A1、A2の間の距離を拘束するために組立時に用いられる位置決め治具100と係合する係合部25、35を吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33(第1シャフト部及び第2シャフト部)のいずれか一方に有している。
【0044】
この構成によれば、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータの各々)に設けた係合部25、35に位置決め治具100を係合させて雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)の回転軸線A1、A2間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)を同時にケーシング4の内部へ挿入することができるので、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)の組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)の組立性を改善することができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、雄ロータ2及び雌ロータ3(各スクリューロータ)の係合部25、35は、吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33(第1シャフト部及び第2シャフト部)のいずれか一方の円筒面の一部が平面状に切り取られた平面取りである。
【0046】
この構成によれば、雄雌両ロータ2、3の係合部25、35の構造が簡素であるので、係合部25、35の加工が容易である。
【0047】
また、本実施の形態においては、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)は、係合部25、35としての平面取りの軸方向の幅が互いに等しくなるよう構成されている。
【0048】
この構成によれば、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)の係合部25、35に係合させる位置決め治具100を板状部材として構成することが可能となり、位置決め治具100の構造を簡素化することができる。
【0049】
また、本実施の形態においては、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)が互いに噛み合う状態において係合部25、35としての平面取りが互いに平行になるような回転位置を有している。
【0050】
この構成によれば、雄ロータ2の平面取り25と雌ロータ3の平面取り25とが互いに平行になるような回転位置で雄ロータ2と雌ロータ3と噛み合わせることで、雄ロータ2と雌ロータ3を容易に正常な噛合い状態にすることができる。
【0051】
また、本実施の形態においては、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータ)が互いに噛み合う状態において係合部25、35としての平面取りが互いに対向するような回転位置を有している。
【0052】
この構成によれば、雄ロータ2の平面取り25と雌ロータ3の平面取り25とが互いに対向するような回転位置で雄ロータ2と雌ロータ3と噛み合わせることで、雄ロータ2と雌ロータ3を容易に正常な噛合い状態にすることができる。
【0053】
また、上述したように、第1の実施形態に係るスクリュー圧縮機1の組立方法は、螺旋状の歯21a,31aを有するロータ歯部21、31とロータ歯部21、31における軸方向の一方側及び他方側にそれぞれ設けられた吸込側シャフト部22、32及び吐出側シャフト部23、33(第1シャフト部及び第2シャフト部)とを含む一対の雄ロータ2及び雌ロータ3が噛み合って互いに平行な回転軸線A1、A2の周りに回転可能にケーシング4に収容され、かつ、ロータ歯部は回転軸線A1、A2に直交する平面と歯21a,31aの歯先線とのなす角φであるリード角がロータ歯部21、31の軸方向の全長のうちの少なくとも一部分において変化するように構成されたスクリュー圧縮機の組立方法であり、吸込側シャフト部22及び吐出側シャフト部23(第1シャフト部及び第2シャフト部)のいずれか一方に設けられた第1係合部25を有する雄ロータ2と吸込側シャフト部32及び吐出側シャフト部33(第1シャフト部及び第2シャフト部)のいずれか一方に設けられた第2係合部35を有する雌ロータ3とを所定の回転位置で噛み合わせ、雄ロータ2と雌ロータ3の回転軸線A1、A2の間の距離を拘束するための位置決め治具100を雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35に係合させ、雄ロータ2と雌ロータ3とを噛み合わせた状態かつ位置決め治具100を雄ロータ2の第1係合部25と雌ロータ3の第2係合部35に係合させた状態で、雄ロータ2及び雌ロータ3を同時にケーシン4グの内部へ挿入してケーシング4に取り付け、位置決め治具100を雄ロータ2及び雌ロータ3から取り外すものである。
【0054】
この方法によれば、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2及び雌ロータ3に設けた係合部25、35に位置決め治具100を係合させて雄ロータ2及び雌ロータ3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態の雄ロータ2及び雌ロータ3を同時にケーシング4の内部へ挿入することができるので、雄ロータ2及び雌ロータ3の組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2及び雌ロータ3の組立性を改善することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、雄ロータ2の第1係合部25及び雌ロータ3の第2係合部35は、吸込側シャフト部32及び吐出側シャフト部33(第1シャフト部及び第2シャフト部)のいずれか一方の円筒面の一部が平面状に切り取られた平面取りであり、位置決め治具100は、第1係合部25及び第2係合部35としての平面取りに係合する板状部材である。
【0056】
この方法によれば、雄雌両ロータ2、3の第1係合部25及び第2係合部35が簡素な構造の平面取りで構成されていると共に、位置決め治具100が簡素な板状部材で構成されているので、第1係合部25及び第2係合部35の加工や位置決め治具100の製作が容易である。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図9~
図13を用いて例示説明する。
図9は本発明の第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図10は
図9に示す第2の実施形態に係る一方のスクリューロータ(雄ロータ)の構造を示す外観図である。
図11は
図10に示す第2の実施形態に係る雄ロータをXI-XI矢視から見た断面図である。
図12は
図9に示す第2の実施形態に係る他方のスクリューロータ(雌ロータ)の構造を示す外観図である。
図13は第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの治具を用いた組立方法を示す斜視図である。なお、
図9~
図13において、
図1~
図8に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図9に示す第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第1の実施形態(
図6及び
図8参照)の場合と異なる点は、位置決め治具100Aの構造が異なること及び位置決め治具100Aに係合する雄雌両ロータ2A、3Aの係合部25A、35Aの構造が異なることである。
【0059】
具体的には、本実施の形態に係る雄ロータ2Aは、
図10及び
図11に示すように、位置決め治具100A(
図9及び
図13参照)に係合する2つの第1係合部251A、252Aを吐出側シャフト部23Aに有している。両第1係合部25Aは、吐出側シャフト部23Aの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。一方の第1係合部251Aと他方の第1係合部252Aは、互いに平行になるように、雄ロータ2Aの回転軸線A1に対して軸対称の位置に形成されている。例えば、一方の第1係合部251Aは、
図11に示すように、雄ロータ2の吐出側端面21cにおける或る歯先21tの角度位置に対応した位置に設けられている。他方の第1係合部252Aは、一方の第1係合部251Aに対して180°の回転角度の位置に設けられている。両第1係合部251A、252Aは、軸方向(回転軸線A1の延在方向)の幅が略一定で互いに等しくなるように構成されている。
【0060】
図9及び
図12に示す雌ロータ3Aも、雄ロータ2Aと同様に、位置決め治具100Aに係合する2つの第2係合部351A、352Aを吐出側シャフト部33Aに有している。両第2係合部35Aは、吐出側シャフト部33Aの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。一方の第2係合部351Aと他方の第2係合部352Aは、互いに平行になるように、雌ロータ3Aの回転軸線A2に対して軸対称の位置に形成されている。両第2係合部351A、352Aは、軸方向(回転軸線A2の延在方向)の幅が略一定で互いに等しくなるように構成されている。
【0061】
雄ロータ2Aの両第1係合部25Aと雌ロータ3Aの両第2係合部35Aは、
図9に示すように、雄ロータ2Aの吐出側端面21cからの軸方向の位置と雌ロータ3Aの吐出側端面31cからの軸方向の位置が略同じになるように構成されている。また、雄ロータ2Aの第1係合部25Aとしての平面取りと雌ロータ3Aの第2係合部35Aとしての平面取りは、軸方向(回転軸線A1、A2の延在方向)の幅が互いに等しくなるように構成されている。雄ロータ2Aの一方の第1係合部251Aとしての平面取りと雌ロータ3Aの一方の第2係合部351Aとしての平面取りは、正常に噛み合う雄ロータ2A及び雌ロータ3Aが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、互いに平行且つ対向するように形成されている。すなわち、雄ロータ2Aと雌ロータ3Aは、互いに噛み合う状態において、一方の第1係合部251Aとしての平面取りと一方の第2係合部351Aとしての平面取りとが互いに平行で且つ対向するような回転位置を有している。
【0062】
位置決め治具100Aは、
図9に示すように、厚みが一定で一方向に延びる板状部材であり、延在方向の一方側端部に設けた第1係合溝102Aと、延在方向の他方側端部に設けた第2係合溝103Aとを有している。第1係合溝102Aは、雄ロータ2Aの吐出側シャフト部23Aにおける第1係合部251A、252Aの部分に係合するものであり、矩形状に形成されている。第2係合溝103Aは、雌ロータ3Aの吐出側シャフト部33Aにおける第2係合部351A、352Aの部分に係合するものであり、矩形状に形成されている。位置決め治具100Aは、第1係合溝102Aと第2係合溝103Aとの間に位置する本体部101Aが雄雌両ロータ2、3の吐出側シャフト部23A、33A間に挿入される部分である。位置決め治具100Aは、雄雌両ロータ2A、3Aの回転軸線A1、A2間の距離が所定よりも小さくなること及び大きくなることを阻止すると共に雄雌両ロータ2A、3Aの回転を規制する位置決め機能を有している。
【0063】
本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、
図9に示すように、先ず、雄ロータ2Aの一方の第1係合部251A(他方の第1係合部252Aの逆側)と雌ロータ3Aの一方の第2係合部351Aを互いにほぼ対向するように位置させることで、雄ロータ2Aを所定の第1回転位置にすると共に、雌ロータ3Aを所定の第2回転位置にする。第2に、雄ロータ2Aと雌ロータ3Aをこのような回転位置において噛み合わせる。第3に、雄ロータ2Aと雌ロータ3Aとを噛み合わせた状態で、位置決め治具100Aの第1係合溝102Aを雄ロータ2Aの吐出側シャフト部23Aにおける両第1係合部251A、252Aの部分に挿入して係合させると共に、第2係合溝103Aを雌ロータ3Aの吐出側シャフト部33Aにおける両第2係合部351A、352Aの部分に挿入して係合させる。雄ロータ2Aの第1係合部251A、252A及び雌ロータ3Aの第2係合部351A、352Aに対する位置決め治具100Aの係合によって、雄ロータ2Aの回転軸線A1と雌ロータ3Aの回転軸線A2と間の距離が2方向から拘束されると共に、雄雌両ロータ2A、3Aの回転が規制され、雄ロータ2Aの吸込側端面21b及び吐出側端面21cと雌ロータ3Aの吸込側端面31b及び吐出側端面31cにおける軸方向の位置が揃えられる。この雄雌両ロータ2、3の位置決め治具100との係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2A、3Aの正常な噛合い状態を維持することができる。
【0064】
次に、雄ロータ2Aの両第1係合部251A、252A及び雌ロータ3Aの両第2係合部351A、352Aを位置決め治具100Aの第1係合溝102A及び第2係合溝103Aに係合させた状態で、雄雌両ロータ2A、3Aを同時にメインケーシング41の収容室45(ボア)内へ挿入し、吸込側軸受6、10を介してメインケーシング41に取り付ける。その後、位置決め治具100Aを雄ロータ2A及び雌ロータ3Aから取り外し、メインケーシング41に吐出側ケーシング42を取り付ける。このように、雄ロータ2Aの両第1係合部251A、252A及び雌ロータ3Aの両第2係合部351A、352Aを位置決め治具100Aに係合させることで、容易に雄雌両ロータ2A、3Aを同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0065】
上述した第2の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第1の実施形態の場合と同様に、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2A及び雌ロータ3Aに設けた係合部25A、35Aに位置決め治具100Aを係合させて雄ロータ2A及び雌ロータ3Aの回転軸線A1、A2間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態の雄ロータ2A及び雌ロータ3Aを同時にケーシング4の内部へ挿入することができるので、雄ロータ2A及び雌ロータ3Aの組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2A及び雌ロータ3Aの組立性を改善することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機においては、雄ロータ2及び雌ロータ3(一対のスクリューロータの各々)は、係合部25A、35Aとしての平面取りを2つ有している。雄ロータ2における2つの平面取り251A、252A及び雌ロータ3における2つの平面取り351A、352Aは、回転軸線A1、A2に対して軸対称の位置に形成されている。
【0067】
この構成によれば、雄ロータ2の2つの平面取り251A、252A及び雌ロータ3の2つの平面取り351A、352Aの4つの係合部に対して位置決め治具100Aを係合させることで、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2間の距離の拘束及び雄雌両ロータ2、3の回転規制が第1の実施形態の場合よりも強化されるので、雄雌両ロータ2、3を第1の実施形態の場合よりも容易にケーシング4に組み付けることが可能となる。
【0068】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、位置決め治具100Aが雄ロータ2Aの吸込側シャフト部22又は吐出側シャフト部23A(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第1係合部25Aを含む部分に対して挿入可能で第1係合部25Aに係合する第1係合溝102A(第1溝部)と、雌ロータ3Aの吸込側シャフト部32又は吐出側シャフト部33A(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第2係合部35Aを含む部分に対して挿入可能で第2係合部35Aに係合する第2係合溝103A(第2溝部)とを有する。
【0069】
この方法によれば、位置決め治具100Aの第1係合溝102A(第1溝部)及び第2係合溝103A(第2溝部)をそれぞれ雄ロータ2Aの第1係合部25A及び雌ロータ3Aの第2係合部35Aに係合させるだけで、雄ロータ2A及び雌ロータ3Aを互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態にすることができるので、容易に雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4に組み付けることができる。
【0070】
[第2の実施形態の変形例]
次に、第2の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図14を用いて例示説明する。
図14は第2の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具を示す正面図かつ当該治具に応じた一対のスクリューロータ(吐出側シャフト部)の構造を示す断面図である。なお、
図14において、
図1~
図13に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0071】
図14に示す第2の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第2の実施形態(
図9参照)と異なる点は、位置決め治具100Bの構造が異なること及び位置決め治具100Bに係合する雄雌両ロータ2B、3Bの係合部25B、35Bの構造が異なることである。
【0072】
具体的には、本変形例に係る雄ロータ2Bは、位置決め治具100Bに係合する2つの第1係合部251B、252Bを吐出側シャフト部23Bに有している。両第1係合部251B、252Bは、吐出側シャフト部23Bの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。両第1係合部251A、252Aは、軸方向(回転軸線A1の延在方向)の幅が略一定で互いに等しくなるように構成されている。一方の第1係合部251Bと他方の第1係合部252Bは、雄ロータ2Bの回転軸線A1に対して軸対称の位置ではなく、所定の回転角度(例えば、90°)ずれた位置に形成されている。
【0073】
雌ロータ3Bも、雄ロータ2Bと同様に、位置決め治具100Bに係合する2つの第2係合部351B、352Bを吐出側シャフト部33Bに有している。両第2係合部351B、352Bは、吐出側シャフト部33Bの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである。両第2係合部351B、352Bは、軸方向(回転軸線A2の延在方向)の幅が略一定で互いに等しくなるように構成されている。一方の第2係合部351Bと他方の第2係合部352Bは、雌ロータ3Bの回転軸線A2に対して軸対称の位置ではなく、所定の回転角度(例えば、90°)ずれた位置に形成されている。
【0074】
雄ロータ2Bの両第1係合部251B、252Bと雌ロータ3Bの両第2係合部351B、352Bは、正常に噛み合う雄ロータ2B及び雌ロータ3Bが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、互いに同じ一方側(
図14中、上側)に位置するように形成されている。すなわち、雄ロータ2Bと雌ロータ3Bは、互いに噛み合う状態において、第1係合部251B、252Bとしての平面取りと第2係合部351B、352Bとしての平面取りとが互いに同じ一方側(
図14中、上側)に位置するような回転位置を有している。
【0075】
位置決め治具100Bは、延在方向の一方側端部に設けた第1係合溝102Bと、延在方向の他方側端部に設けた第2係合溝103Bとを有している。第1係合溝102Bは、雄ロータ2Bの吐出側シャフト部23Bにおける両第1係合部251B、252Bの部分に係合するものであり、台形状に形成されている。第2係合溝103Bは、雌ロータ3Bの吐出側シャフト部33Bにおける両第2係合部351B、352Bの部分に係合するものであり、台形状に形成されている。位置決め治具100Bは、雄雌両ロータ2B、3Bの回転軸線A1、A2間の距離が所定よりも小さくなること及び大きくなることを阻止すると共に雄雌両ロータ2B、3Bの回転を規制する位置決め機能を有している。
【0076】
本変形例に係るスクリュー圧縮機の組立方法は、第2の実施形態の場合と同様である。雄ロータ2Bと雌ロータ3Bとを所定の回転位置で噛み合わせた状態で、位置決め治具100Bの第1係合溝102Bを雄ロータ2Bの吐出側シャフト部23Bにおける両第1係合部251B、252Bの部分に挿入して係合させると共に、第2係合溝103Bを雌ロータ3Bの吐出側シャフト部33Bにおける両第2係合部351B、352Bの部分に挿入して嵌合させる。これによって、雄ロータ2Bの回転軸線A1と雌ロータ3Bの回転軸線A2と間の距離が2方向から拘束されると共に、雄雌両ロータ2B、3Bの回転が規制される。この雄雌両ロータ2B、3Bの位置決め治具100Bとの係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2A、3Aの正常な噛合い状態を維持することができる。したがって、雄ロータ2Bの両第1係合部251B、252B及び雌ロータ3Bの両第2係合部351B、352Bを位置決め治具100Bに係合させることで、容易に雄雌両ロータ2B、3Bを同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0077】
上述した本変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第2の実施形態の場合と同様に、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2A及び雌ロータ3Aの組立性を改善することができる。
【0078】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図15を用いて例示説明する。
図15は本発明の第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図15において、
図1~
図14に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0079】
図15に示す第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第2の実施形態(
図9参照)と異なる点は、位置決め治具100Cの構造が異なること及び位置決め治具100Cの係合する雄雌両ロータ2C、3Cの係合部25C、35Cの構造が異なることである。
【0080】
具体的には、本実施の形態に係る雄ロータ2Cは、2つの第1係合部25Cを吐出側シャフト部23Cに有している。両第1係合部25Cは、吐出側シャフト部23Cの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りであり、吐出側シャフト部23Cの軸方向の先端から形成されている。両第1係合部25Cは、互いに平行になるように、雄ロータ2Cの回転軸線A1に対して軸対称の位置に形成されている。吐出側シャフト部23Cにおける両第1係合部25Cの部分は、位置決め治具100Cの後述の第1係合孔部102Cに挿入されて係合する部分である。
【0081】
雌ロータ3Cも、雄ロータ2Cと同様に、2つの第2係合部35Cを吐出側シャフト部33Cに有している。両第2係合部35Cは、吐出側シャフト部33Cの円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りであり、吐出側シャフト部33Cの軸方向の先端から形成されている。両第2係合部35Cは、互いに平行になるように、雌ロータ3Cの回転軸線A2に対して軸対称の位置に形成されている。吐出側シャフト部33Cにおける両第2係合部35Cの部分は、位置決め治具100Cの後述の第2係合孔部103Cに挿入されて係合する部分である。
【0082】
雄ロータ2Cの一方の第1係合部25Cと雌ロータ3Cの一方の第2係合部35Cは、正常に噛み合う雄ロータ2C及び雌ロータ3Cが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、互いに平行且つ対向するように形成されている。すなわち、雄ロータ2Cと雌ロータ3Cは、互いに噛み合う状態において、一方の第1係合部25Cとしての平面取りと一方の第2係合部35Cとしての平面取りとが互いに平行で且つ対向するような回転位置を有している。
【0083】
位置決め治具100Cは、厚みが一定で一方向に延びる板状部材であり、延在方向の一方側に設けた第1係合孔部102Cと、延在方向の他方側に設けた第2係合孔部103Cとを有している。第1係合孔部102Cは雄ロータ2Cの吐出側シャフト部23Cにおける両第1係合部25Cの部分に挿入されて係合するものであり、第2係合孔部103Cは雌ロータ3Cの吐出側シャフト部33Cにおける両第2係合部35Cの部分に挿入されて係合するものである。位置決め治具100Cは、雄雌両ロータ2C、3Cの回転軸線A1、A2間の距離が所定よりも小さくなること及び大きくなることを阻止すると共に雄雌両ロータ2C、3Cの回転を規制する位置決め機能を有している。
【0084】
本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、先ず、雄ロータ2Cの一方の第1係合部25Cと雌ロータ3Cの一方の第2係合部35Cを互いにほぼ対向するように位置させることで、雄ロータ2Cを所定の第1回転位置にすると共に、雌ロータ3Cを所定の第2回転位置にする。第2に、雄ロータ2Cと雌ロータ3Cをこのような回転位置において噛み合わせる。第3に、雄ロータ2Cと雌ロータ3Cとを噛み合わせた状態で、位置決め治具100Cの第1係合孔部102Cを雄ロータ2Cの吐出側シャフト部23Cにおける両第1係合部25Cの部分に挿入して係合させると共に、位置決め治具100Cの第2係合孔部103Cを雌ロータ3Cの吐出側シャフト部33Cにおける両第2係合部35Cの部分に挿入して係合させる。雄ロータ2Cの吐出側シャフト部23C及び雌ロータ3Cの吐出側シャフト部33Cに対する位置決め治具100Cの係合によって、雄ロータ2Cの回転軸線A1と雌ロータ3Cの回転軸線A2と間の距離が2方向から拘束されると共に、雄雌両ロータ2C、3Cの回転が規制される。この雄雌両ロータ2C、3Cの位置決め治具100Cとの係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2C、3Cの正常な噛合い状態を維持することができる。
【0085】
次に、雄ロータ2Cの両第1係合部25C及び雌ロータ3Cの両第2係合部35Cを位置決め治具100Cの第1係合孔部102C及び第2係合孔部103Cに係合させた状態で、雄雌両ロータ2C、3Cを同時にメインケーシング41の収容室45(ボア)内へ挿入して吸込側軸受6、10を介してメインケーシング41に取り付ける。その後、位置決め治具100Cを雄ロータ2C及び雌ロータ3Cから取り外し、メインケーシング41に吐出側ケーシング42を取り付ける。このように、雄ロータ2Cの両第1係合部25C及び雌ロータ3Aの両第2係合部35Cを位置決め治具100Cに係合させることで、容易に雄雌両ロータ2C、3Cを同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0086】
上述した第3の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第2の実施形態の場合と同様に、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2C及び雌ロータ3Cに設けた係合部25C、35Cに位置決め治具100Cを係合させて雄ロータ2C及び雌ロータ3Cの回転軸線A1、A2間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態の雄ロータ2C及び雌ロータ3Cを同時にケーシング4の内部へ挿入することができるので、雄ロータ2C及び雌ロータ3Cの組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2C及び雌ロータ3Cの組立性を改善することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、位置決め治具100Cが雄ロータ2Cの吸込側シャフト部22又は吐出側シャフト部23C(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第1係合部25Cを含む部分に対して挿入可能で第1係合部25Cに係合する第1係合孔部102C(第1孔部)と、雌ロータ3Cの吸込側シャフト部32又は吐出側シャフト部33C(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第2係合部35Cを含む部分に対して挿入可能で第2係合部35Cに係合する第2係合孔部103C(第2孔部)とを有する。
【0088】
この方法によれば、位置決め治具100Cの第1係合孔部102C(第1孔部)及び第2係合孔部103C(第2孔部)をそれぞれ雄ロータ2Cの第1係合部25C及び雌ロータ3Cの第2係合部35Cに係合させるだけで、雄ロータ2C及び雌ロータ3Cを互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態にすることができるので、容易に雄雌両ロータ2C、3Cを同時にケーシング4に組み付けることができる。
【0089】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図16を用いて例示説明する。
図16は本発明の第4の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図16において、
図1~
図15に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0090】
図16に示す第4の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第3の実施形態(
図15参照)と異なる点は、位置決め治具100Dの構造が異なること及び位置決め治具100Dに係合する雄雌両ロータ2D、3Dの係合部25D、35Dの構造が異なることである。
【0091】
具体的には、本実施形態に係る位置決め治具100Dは、厚みが一定で一方向に延在する板状部材である位置決め部材101Dと、位置決め部材101Dを雄ロータ2Dの吐出側シャフト部23D及び雌ロータ3Dの吐出側シャフト部33Dに取り付ける取付具としてのキー107とを備えている。位置決め部材101Dは、雄ロータ2Dの吐出側シャフト部23Dに嵌合される第1係合孔部102Dと、雌ロータ3Dの吐出側シャフト部33Dに嵌合される第2係合孔部103Dとを有している。第1係合孔部102D及び第2係合孔部103Dは、キー107に係合する溝部105を周縁の所定の位置(例えば、位置決め部材101Dの延在方向に直交する方向の一方側)に有している。第1係合孔部102Dは、溝部105に係合されたキー107を介して雄ロータ2Dの第1係合部25Dに係合される。第2係合孔部103Dは、溝部105に係合されたキー107を介して雌ロータ3Dの第2係合部35Dに係合される。位置決め部材101D及びキー107を含む位置決め治具100Dは、雄雌両ロータ2D、3Dの回転軸線A1、A2間の距離が所定よりも小さくなること及び大きくなることを阻止すると共に、雄雌両ロータ2D、3Dの回転を規制する位置決め機能を有している。
【0092】
雄ロータ2Dは、キー107に係合するキー溝としての第1係合部25Cを1つ吐出側シャフト部23Cに有している。キー溝としての第1係合部25Dは、吐出側シャフト部23Dの円筒面上の軸方向に延在している。雌ロータ3Dは、キー107に係合するキー溝としての第2係合部35Dを1つ吐出側シャフト部33Dに有している。キー溝としての第2係合部35Dは、吐出側シャフト部33Dの円筒面上の軸方向に延在している。
【0093】
雄ロータ2Dの第1係合部25D(キー溝)と雌ロータ3Dの第2係合部35D(キー溝)は、正常に噛み合う雄ロータ2C及び雌ロータ3Cが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、同じ方向(
図16中、上方)を向くように形成されている。すなわち、雄ロータ2Dと雌ロータ3Dは、互いに噛み合う状態において、第1係合部25Dとしてのキー溝と第2係合部35Dとしてのキー溝が互いに同じ方向(
図16中、上方)を向くような回転位置を有している。
【0094】
本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、先ず、雄ロータ2Dの第1係合部25D(キー溝)と雌ロータ3Dの第2係合部35C(キー溝)とを同じ方向に向くようにすることで、雄ロータ2Dを所定の第1回転位置にすると共に、雌ロータ3Dを所定の第2回転位置にする。第2に、雄ロータ2Dと雌ロータ3Dをこのような回転位置において噛み合わせる。第3に、雄ロータ2Dと雌ロータ3Dとを噛み合わせた状態で、位置決め部材101Dの第1係合孔部102Dを雄ロータ2Cの吐出側シャフト部23Dに嵌合し、キー107を第1係合孔部102Dの溝部105と雄ロータ2Dの第1係合部25D(キー溝)に係合させると共に、位置決め部材101Dの第2係合孔部103Dを雌ロータ3Dの吐出側シャフト部33Dに嵌合し、キー107を第2係合孔部103Dの溝部105と雌ロータ3Dの第2係合部35D(キー溝)に係合させる。雄ロータ2Dの吐出側シャフト部23D及び雌ロータ3Dの吐出側シャフト部33Dに対する位置決め治具100Dの係合によって、雄ロータ2Dの回転軸線A1と雌ロータ3Dの回転軸線A2と間の距離が拘束されると共に、雄雌両ロータ2D、3Dの回転が規制される。この雄雌両ロータ2D、3Dの位置決め治具100Dとの係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2D、3Dの正常な噛合い状態を維持することができる。
【0095】
次に、雄ロータ2Dの吐出側シャフト部23D及び雌ロータ3Dの吐出側シャフト部33Dに対してキー107を介して位置決め治具100Dの第1係合孔部102D及び第2係合孔部103Dを係合させた状態で、雄雌両ロータ2D、3Dを同時にメインケーシング41の収容室45(ボア)内へ挿入してメインケーシング41に取り付ける。その後、位置決め治具100Dを雄ロータ2D及び雌ロータ3Dから取り外し、メインケーシング41に吐出側ケーシング42を取り付ける。このように、雄ロータ2Dの第1係合部25D及び雌ロータ3Dの第2係合部35Dに対してキー107を介して位置決め部材101Dを係合させることで、容易に雄雌両ロータ2D、3Dを同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0096】
上述した第4の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第3の実施形態の場合と同様に、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2D及び雌ロータ3Dに設けた係合部25D、35Dに位置決め治具100Dを係合させて雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの回転軸線A1、A2間の距離を拘束することで、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態の雄ロータ2D及び雌ロータ3Dを同時にケーシング4の内部へ挿入することができるので、雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの組立性を改善することができる。
【0097】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機においては、雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの係合部25D、35Dが吸込側シャフト部22又は吐出側シャフト部23D(第1シャフト部又は第2シャフト部)のいずれか一方の円筒面上に設けられたキー溝である。
【0098】
この構成によれば、位置決め治具100Dの位置決め部材101Dを雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの係合部25D、35Dに対してキー107を介して係合することが可能なので、位置決め治具100Dにより容易に雄雌両ロータ2D、3Dの回転を規制することができる。
【0099】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、雄ロータ2Dの第1係合部25D及び雌ロータ3Dの第2係合部35Dが吸込側シャフト部22、32又は吐出側シャフト部23D、33D(第1シャフト部又は第2シャフト部)のいずれか一方の円筒面上に設けられたキー溝であり、位置決め治具100Dは雄ロータ2Dの吸込側シャフト部22又は吐出側シャフト部23D(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第1係合部25Dを含む部分に対して挿入可能な第1係合孔部102D(第1孔部)と雌ロータ3Dの吸込側シャフト部32又は吐出側シャフト部33D(第1シャフト部又は第2シャフト部)における第2係合部35Dを含む部分に対して挿入可能な第2係合孔部103D(第2孔部)とを有する板状部材である。
【0100】
この方法によれば、位置決め治具100Dの第1係合孔部102D(第1孔部)及び第2係合孔部103D(第2孔部)をそれぞれ雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの吸込側シャフト部22、32又は吐出側シャフト部23D、33D(第1シャフト部又は第2シャフト部)に挿入するだけで、雄ロータ2D及び雌ロータ3Dを互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態にすることができるので、容易に雄雌両ロータ2D、3Dを同時にケーシング4に組み付けることができる。
【0101】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、板状部材としての位置決め部材101Dは、第1係合孔部102D(第1孔部)が雄ロータ2Dの第1係合部25Dにキー107を介して係合されると共に、第2係合孔部103D(第2孔部)が雌ロータ3Dの第2係合部35Dにキー107を介して係合される。
【0102】
この方法によれば、位置決め治具100Dの第1係合孔部102D(第1孔部)及び第2係合孔部103D(第2孔部)を雄ロータ2Dの第1係合部25D及び雌ロータ3Dの第2係合部35Dにキー107を介して係合するだけで、雄雌両ロータ2D、3Dの回転を容易に規制することができるので、容易に雄雌両ロータ2D、3Dを同時にケーシング4に組み付けることが可能となる。
【0103】
[第4の実施形態の変形例]
次に、第4の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機について
図17を用いて例示説明する。
図17は第4の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具を示す正面図かつ当該治具に応じた一対のスクリューロータ(吐出側シャフト部)の構造を示す断面図である。
図17において、
図1~
図16に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0104】
図17に示す第4の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第4の実施形態(
図16参照)と異なる点は、位置決め治具100Eの構成及び構造が異なること及び雄雌両ロータ2E、3Eの係合部25E、35Eの位置が異なることである。
【0105】
具体的には、位置決め治具100Eは、厚みが一定で一方向に延びる板状部材としての位置決め部材101Eのみを備え、取付具としてのキーを含んでいない。位置決め部材101Eは、雄ロータ2Eの吐出側シャフト部23Eに嵌合される第1係合孔部102Eと、雌ロータ3Eの吐出側シャフト部33Eに嵌合される第2係合孔部103Eとを有している。第1係合孔部102E及び第2係合孔部103Eは、雄ロータ2Eの第1係合部25E及び雌ロータ3Eの第2係合部35Eに係合する突起部105Eを周縁の所定の位置(例えば、互いに向かい合う位置)に有している。第1係合孔部102Eは突起部105Eが雄ロータ2Dの第1係合部25Dに係合されると共に、第2係合孔部103Eは突起部105Eが雌ロータ3Eの第2係合部35Eに係合される。位置決め治具100Dは、雄雌両ロータ2D、3Dの回転軸線A1、A2間の距離が所定よりも小さくなること及び大きくなることを阻止すると共に、雄雌両ロータ2D、3Dの回転を規制する位置決め機能を有している。
【0106】
雄ロータ2Eの第1係合部25Eとしてのキー溝と雌ロータ3Eの第2係合部35Eとしてのキー溝は、正常に噛み合う雄ロータ2E及び雌ロータ3Eが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、互いに向かい合うように形成されている。すなわち、雄ロータ2Eと雌ロータ3Eは、互いに噛み合う状態において、第1係合部25Eとしてのキー溝と第2係合部35Eとしてのキー溝とが互いに向かい合うような回転位置を有している。雄ロータ2Eの第1係合部25E(キー溝)及び雌ロータ3Eの第2係合部35E(キー溝)のそれ以外の構造は、第4の実施形態の場合と同様である。
【0107】
本変形例に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、雄ロータ2Eの第1係合部25E(キー溝)と雌ロータ3Eの第2係合部35E(キー溝)とを向かい合うようにすることで、雄ロータ2Eを所定の第1回転位置にすると共に、雌ロータ3Eを所定の第2回転位置にする。第2に、雄ロータ2Eと雌ロータ3Eをこのような回転位置において噛み合わせる。第3に、雄ロータ2Eと雌ロータ3Eとを噛み合わせた状態で、位置決め治具100Eの第1係合孔部102Eの突起部105Eを雄ロータ2Eの第1係合部25E(キー溝)に係合させつつ第1係合孔部102Eに雄ロータ2Eの吐出側シャフト部23Eを嵌合させると共に、位置決め治具100Eの第2係合孔部103Eの突起部105Eを雌ロータ3Eの第2係合部35E(キー溝)に係合させつつ第2係合孔部103Eに雌ロータ3Eの吐出側シャフト部33Eを嵌合させる。雄ロータ2Eの吐出側シャフト部23E及び雌ロータ3Eの吐出側シャフト部33Eに対する位置決め治具100Eの係合によって、雄ロータ2Eの回転軸線A1と雌ロータ3Eの回転軸線A2と間の距離が拘束されると共に、雄雌両ロータ2E、3Eの回転が規制される。この雄雌両ロータ2E、3Eの位置決め治具100Eとの係合によって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2E、3Eの正常な噛合い状態を維持することができる。
【0108】
上述した本変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第4の実施形態の場合と同様に、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2D及び雌ロータ3Dの組立性を改善することができる。
【0109】
また、本変形例に係るスクリュー圧縮機における雄ロータ2E及び雌ロータ3E(一対のスクリューロータ)は、互いに噛み合う状態において、第1係合部25Eとしてのキー溝と第2係合部35Eとしてのキー溝が互いに対向するような回転位置を有している。
【0110】
この構成によれば、雄ロータ2Eのキー溝25Eと雌ロータ3Eのキー溝35Eが互いに対向するような回転位置で雄ロータ2Eと雌ロータ3Eとを噛み合わせることで、雄ロータ2Eと雌ロータ3Eを容易に正常な噛合い状態にすることができる。
【0111】
また、本変形例に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、位置決め部材101Eとしての板状部材は、第1係合孔部102E(第1孔部)の周縁に第1係合孔部102E(第1孔部)の内側に突き出る突起部105E(第1突起部)を有すると共に、第2係合孔部103E(第2孔部)の内側に突き出る突起部105E(第2突起部)を有する。位置決め部材101Eとしての板状部材は、第1係合孔部102E(第1孔部)の第1突起部105Eが雄ロータ2Eの第1係合部25Eに係合されると共に、第2係合孔部103E(第2孔部)の突起部105E(第2突起部)が雌ロータ3Eの第2係合部35Eに係合される。
【0112】
この方法によれば、位置決め部材101Eを雄ロータ2Eの第1係合部25E及び雌ロータ3Eの第2係合部35Eに係合させるときにキーが不要なので、位置決め部材101Eの雄ロータ2Eの第1係合部25E及び雌ロータ3Eの第2係合部35Eに取り付ける手間を軽減することができる。
【0113】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図18を用いて例示説明する。
図18は本発明の第5の実施形態に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図18において、
図1~
図17に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0114】
図18に示す第5の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法が第1の実施形態(
図6参照)と異なる点は、位置決め治具100Fの構成が異なることである。具体的には、位置決め治具100Fは、雄ロータ2の吐出側シャフト部23に取り付けられる第1歯車111と、雌ロータ3の吐出側シャフト部33に取り付けられて第1歯車111に噛み合う第2歯車112と、第1歯車111及び第2歯車112をそれぞれ雄ロータ2の吐出側シャフト部23及び雌ロータ3の吐出側シャフト部33に固定する取付具としての止めねじ117とで構成されている。第1歯車111及び第2歯車112は、止めねじ117がねじ込まれるねじ穴115を有している。ねじ穴115は、第1歯車111及び第2歯車112の径方向に延在するように構成されている。位置決め治具100Fは、第1歯車111と第2歯車112とが噛み合うことで、雄雌両ロータ2、3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束して雄ロータ2の吸込側端面21b及び吐出側端面21cの位置と雌ロータ3の吸込側端面31b及び吐出側端面31cの位置を揃える機能を有するものである。
【0115】
雄ロータ2の吐出側シャフト部23及び雌ロータ3の吐出側シャフト部33には、第1の実施形態(
図6参照)の場合と同様に、吐出側シャフト部23の円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである第1係合部25及び吐出側シャフト部33の円筒面の一部分が平面状に切り取られた平面取りである第2係合部35が設けられている。第1係合部25及び第2係合部35は、位置決め治具100Fの止めねじ117が押し当てられて係合する部分である。
【0116】
本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、第1歯車111を雄ロータ2の吐出側シャフト部23に嵌合して止めねじ117を雄ロータ2の第1係合部25に押し付けて係合することで固定する。同様に、第2歯車112を雌ロータ3の吐出側シャフト部33に嵌合して止めねじ117を雌ロータ3の第2係合部35に押し付けて係合することで固定する。雄ロータ2に取り付けた第1歯車111の止めねじ117と雌ロータ3に取り付けた第2歯車112の止めねじ117をほぼ対向させるように雄ロータ2と雌ロータ3とを配置し、第1歯車111と第2歯車112とを噛み合わせると共に、雄ロータ2と雌ロータ3を噛み合わせる。位置決め治具100Fの第1歯車111と第2歯車112との噛合いによって、雄ロータ2の回転軸線A1と雌ロータ3の回転軸線A2と間の距離が拘束され、雄ロータ2の吸込側端面21b及び吐出側端面21cと雌ロータ3の吸込側端面31b及び吐出側端面31cにおける軸方向の位置が揃えられる。これによって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2、3の正常な噛合い状態を維持することができる。
【0117】
次に、位置決め治具100Fの第1歯車111と第2歯車112とを噛み合わせた状態で、雄雌両ロータ2、3を同時にメインケーシング41の収容室45(ボア)内へ挿入してメインケーシング41に取り付ける。その後、位置決め治具100Fの第1歯車111及び第2歯車112を雄ロータ2及び雌ロータ3から取り外し、メインケーシング41に吐出側ケーシング42を取り付ける。このように、雄ロータ2の第1係合部25に止めねじ117を係合させることで吐出側シャフト部23に固定した第1歯車111と雌ロータ3の第2係合部35に止めねじ117を係合させることで吐出側シャフト部33に固定した第2歯車112とを噛み合わせることで、容易に雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0118】
上述した第5の実施形態に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、スクリュー圧縮機1の組立時に、雄ロータ2及び雌ロータ3に設けた係合部25、35に止めねじ117を係合させて位置決め治具100Fの第1歯車111と第2歯車112を雄ロータ2及び雌ロータ3に取り付けて噛み合わせることで、雄ロータ2及び雌ロータ3の回転軸線A1、A2間の距離を拘束することが可能となる。第1歯車111と第2歯車112の噛合いによって、互いに噛み合い両回転軸線A1、A2が平行な状態の雄ロータ2及び雌ロータ3を同時にケーシング4の内部へ挿入することができ雄ロータ2及び雌ロータ3の組立が容易になる。すなわち、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2D及び雌ロータ3の組立性を改善することができる。
【0119】
また、本実施の形態に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、位置決め治具100Fが、雄ロータ2の第1係合部25を有する吸込側シャフト部22又は吐出側シャフト部23(第1シャフト部又は第2シャフト部)に取り付けられる第1歯車111と、雌ロータ3の第2係合部35を有する吸込側シャフト部32又は吐出側シャフト部33(第1シャフト部又は第2シャフト部)に取り付けられ、第1歯車111と噛み合う第2歯車112とを備える。第1歯車111は第1取付具としての止めねじ117を雄ロータ2の第1係合部25に係合させることで雄ロータ2に固定され、第2歯車112は第2取付具としての止めねじ117を雌ロータ3の第2係合部35に係合させることで雌ロータ3に固定される。第1歯車111と第2歯車112とを噛み合わせることで、雄ロータ2と雌ロータ3とを所定の回転位置で噛み合わせる。
【0120】
この方法によれば、雄ロータ2に固定した第1歯車111と雌ロータ3に固定した第2歯車112とを噛み合わせることで、雄ロータ2の回転軸線A1と雌ロータ3の回転軸線A2と間の距離を容易に拘束することができるので、容易に雄雌両ロータ2、3を同時にケーシング4の内部へ挿入することが可能となる。
【0121】
[第5の実施形態の変形例]
次に、第5の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法について
図19を用いて例示説明する。
図19は第5の実施形態の変形例に係るスクリュー圧縮機における一対のスクリューロータの組立に用いる治具及び当該治具に応じた一対のスクリューロータの構造を示す斜視図である。
図19において、
図1~
図18に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0122】
図19に示す第5の実施形態の変形例が第5の実施形態と異なる点は、位置決め治具100Gの第1歯車111G及び第2歯車112Gを雄ロータ2Gの吐出側シャフト部23G及び雌ロータ3Gの吐出側シャフト部33Gに取り付ける取付具がキー117Gであること、及び、位置決め治具100Gのキー117Gに応じて雄ロータ2Gの第1係合部25G及び雌ロータ3Gの第2係合部35Gがキー溝であることである。位置決め治具100Gの第1歯車111G及び第2歯車112Gは、キー107に係合する溝部115Gを有している。雄ロータ2Gの第1係合部25G及び雌ロータ3Gの第2係合部35Gは、位置決め治具100Gのキー117Gに係合するキー溝である。雄ロータ2Gの第1係合部25G(キー溝)と雌ロータ3Gの第2係合部35G(キー溝)は、正常に噛み合う雄ロータ2G及び雌ロータ3Gが所定の回転位置(第1回転位置及び第2回転位置)のときに、同じ方向(
図19中、上方)を向くように形成されている。すなわち、雄ロータ2Gと雌ロータ3Gは、互いに噛み合う状態において、第1係合部25Gとしてのキー溝と第2係合部35Gとしてのキー溝が互いに同じ方向(
図19中、上方)を向くような回転位置を有している。
【0123】
本変形例に係るスクリュー圧縮機の組立方法においては、雄ロータ2Gの吐出側シャフト部23Gに第1歯車111Gを嵌合してキー117Gを雄ロータ2Gの第1係合部25G(キー溝)に係合させることで固定する。同様に、雌ロータ3Gの吐出側シャフト部33Gに第2歯車112Gを嵌合してキー117Gを雌ロータ3Gの第2係合部35G(キー溝)に係合させることで固定する。雄ロータ2Gに第1歯車111Gを固定するためのキー117Gと雌ロータ3Gに第2歯車112Gを固定するためのキー117Gが同じ方向に向くように雄ロータ2Gと雌ロータ3Gとを配置し、位置決め治具100Gの第1歯車111Gと第2歯車112Gとを噛み合わせる。第1歯車111Gと第2歯車112Gとの噛合いによって、雄ロータ2Gの回転軸線A1と雌ロータ3Gの回転軸線A2と間の距離が拘束され、雄ロータ2Gの吸込側端面21b及び吐出側端面21cと雌ロータ3Gの吸込側端面31b及び吐出側端面31cにおける軸方向の位置が揃えられる。これによって、両回転軸線A1、A2が平行となる雄雌両ロータ2G、3Gの正常な噛合い状態を維持することができる。このように、雄ロータ2Gの第1係合部25G(キー溝)にキー117Gを係合させることで吐出側シャフト部23Gに固定した第1歯車111Gと、雌ロータ3Gの第2係合部35G(キー溝)にキー117Gを係合させることで吐出側シャフト部33Gに固定した第2歯車112Gとを噛み合わせることで、容易に雄雌両ロータ2G、3Gを同時にケーシング4の収容室45(ボア)内へ挿入することが可能となる。
【0124】
上述した本変形例に係るスクリュー圧縮機及びその組立方法によれば、第5の実施形態の場合と同様に、リード角が変化するロータ構造を有する雄ロータ2G及び雌ロータ3Gの組立性を改善することができる。
【0125】
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上述した実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。すなわち、ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0126】
例えば、上述した実施の形態においては、雄ロータ2が回転駆動源に駆動される構成の例を示した。しかし、雌ロータ3が回転駆動源に駆動される構成も可能である。また、雄雌両ロータ2、3を同期させて駆動する構成も可能である。
【0127】
また、上述した実施形態においては、雄雌両ロータがロータ歯部21、31の吸込側端面21b、31bから吐出側端面21c、31cまでの全長に亘ってリード角(リード)が徐々に変化するように構成された例を示した。しかし、雄雌両ロータは、ロータ歯部21、31の全長の一部分のみにおいて、リード角(リード)が変化するように構成することも可能である。
【0128】
また、上述した実施形態においては、雄雌両ロータがロータ歯部21、31の吸込側から吐出側に向かってリード角(リード)が大きくなるように構成された例を示した。しかし、雄雌両ロータは、ロータ歯部21、31の吸込側から吐出側に向かってリード角(リード)が小さくなるように構成することも可能である。
【0129】
また、第1の実施形態においては、雄ロータ2の係合部25の形成位置を吐出端面21cの歯先21tを基に設定した例を示した。しかし、雄ロータ2の係合部25の形成位置は、吐出端面21cの異なる位置を基準として設定することも可能である。また、雌ロータ3の係合部35の形成位置を吐出端面31cの特定位置を基準にして設定することも可能である。この場合、雄ロータ2の係合部25の形成位置は、雌ロータ3の係合部35の位置を基準に設定される。
【符号の説明】
【0130】
1…スクリュー圧縮機、 2、2A、2B、2C、2D、2E、2G…雄ロータ(スクリューロータ)、 3、3A、3B、3C、3D、3E、3G…雌ロータ(スクリューロータ)、 4…ケーシング、 21…ロータ歯部、 21a…雄歯(歯)、 22…吸込側シャフト部、 23、23A、23B、23C、23D、23E、23G…吐出側シャフト部、 25、25A、25B、25C、25D、25E、25G…第1係合部、 251A、251B、252A、252B…第1係合部、 31…ロータ歯部、 31a…雌歯(歯)、 32…吸込側シャフト部、 33、33A、33B、33C、33D、33E、33G…吐出側シャフト部、 35、35A、35B、35C、35D、35E、35G…第2係合部、 351A、351B、352A、352B…第2係合部、 100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G…位置決め治具、 102A、102B…第1係合溝、 102C、102D、102E…第1係合孔部、 103A、103B…第2係合溝、 103C、103D、103E…第2係合孔部、 105E…突起部、 107…キー、 111、111G…第1歯車、 112、112G…第2歯車、 117…止ねじ(取付具)、 117G…キー(取付具)、 A1…回転軸線、 A2…回転軸線