(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025290
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/533 20210101AFI20240216BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20240216BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20240216BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20240216BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/538
H01G11/70
H01G11/74
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128628
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】松井 雄
【テーマコード(参考)】
5E078
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AA15
5E078AB02
5E078AB13
5E078FA02
5E078KA07
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043EA07
5H043EA32
5H043EA35
5H043JA01E
5H043JA09E
5H043LA02E
(57)【要約】
【課題】タブ折れやタブ認識不良の発生が抑制された電池を提供する。
【解決手段】ここで開示される電池は、帯状の第1電極22と、帯状の第2電極とが、帯状のセパレータを介して積層され、捲回されてなる捲回電極体を備える。第1電極22は、突出方向PDに突出した第1タブ27と第2タブ28A~28Cとを有し、第1タブ27の突出方向PDに距離L(ただし、L=3~10mm)の位置における幅をW1(mm)とし、第2タブ28Aの突出方向PDに距離Lの位置における幅をW2(mm)とし、第1タブ27の根元の幅をW3(mm)としたときに、次の関係式:(W3/W1)>1.5;(W2/W1)>1.2;をいずれも満たす。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の第1電極と、帯状の第2電極とが、帯状のセパレータを介して積層され、捲回方向に捲回されてなる捲回電極体を備え、
前記第1電極は、前記捲回方向に延びる端辺から、前記捲回方向と直交する突出方向に突出した複数のタブを有し、
複数の前記タブは、第1タブと、複数の第2タブと、を有し、
ここで、前記第1タブの、前記端辺に連なる根元から前記突出方向に距離L(ただし、L=3~10mm)の位置における幅を、W1(mm)とし、
前記第2タブの、前記端辺に連なる根元から前記突出方向に前記距離Lの位置における幅を、W2(mm)とし、
前記第1タブの前記根元の幅を、W3(mm)としたときに、
前記W1と前記W2と前記W3とが、次の関係式(1)、(2):
(W3/W1)>1.5 …式(1);
(W2/W1)>1.2 …式(2);
を満たす、電池。
【請求項2】
前記捲回電極体は、扁平形状であり、
前記第1タブおよび複数の前記第2タブは、積層されて集電部材に接合されている、
請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1タブは、前記捲回方向の始端に近い第1縁部と、前記捲回方向の終端に近い第2縁部と、を有し、
前記第2縁部は、段差部を有する、
請求項1または2に記載の電池。
【請求項4】
前記第1タブは、前記捲回方向の始端に近い第1縁部と、前記捲回方向の終端に近い第2縁部と、を有し、
前記第2縁部は、第1直線部と、第2直線部と、第3直線部と、を有し、
前記第1直線部および前記第3直線部は、前記突出方向に延び、
前記第2直線部は、前記第1直線部および前記第3直線部を連結し、前記捲回方向に延びている、
請求項1または2に記載の電池。
【請求項5】
前記第1タブは、前記捲回方向の始端に近い第1縁部と、前記捲回方向の終端に近い第2縁部と、を有し、
前記第1縁部は、前記突出方向に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部は、前記突出方向の先端に向かうにつれて、前記捲回方向の終端に近づく方向に傾斜している、
請求項1または2に記載の電池。
【請求項6】
前記捲回電極体は、扁平形状であり、
1枚の前記第1電極に、前記第2タブが20個以上設けられている、
請求項1または2に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極集電体の上に正極活物質層を備える帯状の正極と、負極集電体の上に負極活物質層を備える帯状の負極とが、帯状のセパレータを介して積層され、捲回方向に捲回されてなる捲回電極体を備えた電池が知られている。正極および/または負極(電極)は、例えば、次の工程:集電体の捲回方向に延びる端辺を間欠的に切除し、端辺に複数のタブを形成する工程;電極を巻芯に巻き取り、所定の長さ(巻き取り長)に切断する捲回工程;を含む製造方法で作製される。上記捲回工程は、例えば、電極に設けられたタブの位置を検出装置で検出するタブ認識工程と、タブ認識工程で検出されたタブの捲回方向の位置を基準とし、所定の巻き取り長だけ離れたカット位置で電極を切断する切断工程と、を含んでいる。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、端辺から突出した複数のタブが、端辺に対して略垂直で且つ端辺と直交する方向の長さが2mm以上である直線部を有する検出用タブと、直線部を有しない複数のノーマルタブと、を含むことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、本発明者の検討によれば、2つのタブ認識センサを備える検出装置を用いてタブ認識工程を行う場合、上記技術には改善の余地があった。このことについて、
図14(1)~(3)を参照して詳しく説明する。
図14(1)は、タブ認識工程を説明する模式的な説明図である。
図14(1)に示す例では、検出装置が2つのタブ認識センサS1、S2を備えている。2つのタブ認識センサS1、S2は、タブの端辺に連なる根元から突出方向に距離Lの個所を検出可能なように、捲回の進行方向WDに所定の距離をあけて配置されている。2つのタブ認識センサS1、S2は、例えば非接触式センサの一種であるフォトセンサである。2つのタブ認識センサS1、S2は、例えばレーザ光を出射する出射部と、タブを挟むように出射部と対向配置され、出射部からのレーザ光を受光する受光部と、を備えている。
【0006】
この検出装置では、当該2つのタブ認識センサS1、S2によって、検出用タブとノーマルタブとが識別される。すなわち、特許文献1に開示されるような検出用タブは、距離Lの個所の幅W1がノーマルタブの幅W2に比べて相対的に狭くなっている。そのため、
図14(2)に示すように、検出用タブが捲回の進行方向WDに進み、タブ認識センサS1がON状態となったときに、もう一方のタブ認識センサS2はOFF状態のままである。このように片側のタブ認識センサS1のみがON状態となったときに、検出装置で検出用タブが認識される。
【0007】
これに対し、ノーマルタブは、距離Lの個所の幅W2が検出用タブの幅W1に比べて相対的に広くなっている。そのため、
図14(3)に示すように、ノーマルタブが捲回の進行方向WDに進み、タブ認識センサS1がON状態となったときに、もう一方のタブ認識センサS2もON状態となる。このように両方のタブ認識センサS1、S2がいずれもON状態となったときに、検出装置でノーマルタブが認識される。
【0008】
したがって、特許文献1に開示される技術では、検出用タブとノーマルタブで距離Lの個所の幅に違いを持たせることが必要である。しかし、本発明者の検討によれば、検出装置で検出しやすいように検出用タブの幅W1を小さくし過ぎると、検出用タブの「コシ」が弱くなり、タブ折れが発生することが判明した。また一方で、検出用タブの根元を太くし過ぎると、検出用タブの幅W1が大きくなり、ノーマルタブの幅W2との違いを検出装置で検出し難いことが判明した。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、タブ折れやタブ認識不良の発生が抑制された電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、帯状の第1電極と、帯状の第2電極とが、帯状のセパレータを介して積層され、捲回方向に捲回されてなる捲回電極体を備える電池が提供される。上記第1電極は、上記捲回方向に延びる端辺から、上記捲回方向と直交する突出方向に突出した複数のタブを有し、複数の上記タブは、第1タブと、複数の第2タブと、を有し、ここで、上記第1タブの、上記端辺に連なる根元から上記突出方向に距離L(ただし、L=3~10mm)の位置における幅を、W1(mm)とし、上記第2タブの、上記端辺に連なる根元から上記突出方向に上記距離Lの位置における幅を、W2(mm)とし、上記第1タブの上記根元の幅を、W3(mm)としたときに、上記W1と上記W2と上記W3とが、次の関係式(1)、(2):(W3/W1)>1.5…式(1);(W2/W1)>1.2…式(2);を満たす。
【0011】
本発明では、上記式(1)を満たすことで、第1タブの根元の幅が広く確保されている。これにより、例えば特許文献1に開示される検出用タブに比べて、相対的に第1タブの「コシ」が強くなり、タブ折れの発生を抑制できる。また、上記式(2)を満たすことで、第1タブの幅W1と第2タブの幅W2とに明確な差をつけることができる。これにより、検出装置で第1タブを検出しやすくなり、タブ認識不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
【
図4】
図4は、
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。
【
図5】
図5は、封口板に取り付けられた電極体群を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、正極第2集電部および負極第2集電部が取り付けられた電極体を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、捲回電極体の構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、一実施形態に係る正極の模式的な平面図である。
【
図9】
図9は、正極タブ群の模式的な部分側面図である。
【
図11】
図11は、封口板アッセンブリを模式的に示す斜視図である。
【
図13】
図13は、変形例に係る検出用タブの模式的な平面図である。
【
図14】
図14(1)は、タブ認識工程を説明する模式的な説明図であり、
図14(2)は、検出用タブの識別を説明する模式的な説明図であり、
図14(3)は、ノーマルタブの識別を説明する模式的な説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、ここで開示される技術のいくつかの好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、本発明を特徴付けない電池の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、本明細書において、範囲を示す「A~B」の表記は、A以上B以下の意と共に、「Aより大きい」および「Bより小さい」の意を包含するものとする。
【0014】
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス全般を指す用語であって、一次電池と二次電池とを包含する概念である。また、本明細書において「二次電池」とは、電解質を介して正極と負極の間で電荷担体が移動することによって繰り返し充放電が可能な蓄電デバイス全般をいう。電解質は、液状電解質(電解液)、ゲル状電解質、固体電解質のいずれであってもよい。二次電池は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池(化学電池)と、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(物理電池)と、を包含する。
【0015】
<電池100>
図1は、電池100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う模式的な縦断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う模式的な縦断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う模式的な横断面図である。以下の説明において、図面中の符号L、R、F、Rr、U、Dは、左、右、前、後、上、下を表し、図面中の符号X、Y、Zは、電池100の短辺方向、短辺方向と直交する長辺方向、上下方向を、それぞれ表すものとする。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、電池100の設置形態を何ら限定するものではない。
【0016】
図2に示すように、電池100は、電池ケース10と、電極体群20と、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部50と、負極集電部60と、正極絶縁部材70と、負極絶縁部材80と、を備えている。図示は省略するが、電池100は、ここではさらに電解液を備えている。電池100は、ここではリチウムイオン二次電池である。電池100は、リチウムイオン二次電池等の二次電池であることが好ましい。
【0017】
電池ケース10は、電極体群20を収容する筐体である。電池ケース10は、ここでは扁平かつ有底の直方体形状(角形)の外形を有する。電池ケース10の材質は、従来から使用されているものと同じでよく、特に制限はない。電池ケース10は、金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金等からなることがより好ましい。
図2に示すように、電池ケース10は、開口12hを有する外装体12と、開口12hを塞ぐ封口板(蓋体)14と、を備えている。
【0018】
外装体12は、
図1に示すように、略矩形状の底壁12aと、底壁12aの長辺から延び相互に対向する一対の長側壁12bと、底壁12aの短辺から延び相互に対向する一対の短側壁12cと、を備えている。底壁12aは、開口12hと対向している。短側壁12cの面積は、長側壁12bの面積よりも小さい。封口板14は、外装体12の開口12hを塞ぐように外装体12に取り付けられている。封口板14は、外装体12の底壁12aと対向している。封口板14は、平面視において略矩形状である。電池ケース10は、外装体12の開口12hの周縁に封口板14が接合(例えば溶接接合)されることによって、一体化されている。電池ケース10は、気密に封止(密閉)されている。
【0019】
図2に示すように、封口板14には、注液孔15と、ガス排出弁17と、2つの端子引出孔18、19と、が設けられている。注液孔15は、外装体12に封口板14を組み付けた後に電解液を注液するためのものである。注液孔15は、封止部材16により封止されている。ガス排出弁17は、電池ケース10内の圧力が所定値以上になったときに破断して、電池ケース10内のガスを外部に排出するように構成されている。端子引出孔18、19は、封口板14の長辺方向Yの両端部にそれぞれ形成されている。端子引出孔18、19は、封口板14を上下方向Zに貫通している。端子引出孔18、19は、それぞれ、封口板14に取り付けられる前の(かしめ加工前の)の正極端子30および負極端子40を挿通可能な大きさの内径を有する。
【0020】
正極端子30および負極端子40は、それぞれ電池ケース10を構成する封口板14に固定されている。正極端子30は、封口板14の長辺方向Yの一方側(
図1、
図2の左側)に配置されている。負極端子40は、封口板14の長辺方向Yの他方側(
図1、
図2の右側)に配置されている。
図1に示すように、正極端子30および負極端子40は、封口板14の外側の表面に露出している。
図2に示すように、正極端子30および負極端子40は、端子引出孔18、19を挿通して封口板14の内部から外部へと延びている。正極端子30および負極端子40は、ここでは、かしめ加工により、封口板14の端子引出孔18、19を囲む周縁部分に、かしめられている。正極端子30および負極端子40の外装体12の側の端部(
図2の下端部)には、かしめ部30c、40cが形成されている。
【0021】
図2に示すように、正極端子30は、電池ケース10の内部で、正極集電部50を介して電極体群20の正極22(
図7参照)の正極タブ群23と電気的に接続されている。正極端子30は、正極絶縁部材70およびガスケット90によって封口板14と絶縁されている。正極端子30は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。
【0022】
負極端子40は、電池ケース10の内部で、負極集電部60を介して電極体群20の負極24(
図7参照)の負極タブ群25と電気的に接続されている。負極端子40は、負極絶縁部材80およびガスケット90によって封口板14と絶縁されている。負極端子40は、金属製であることが好ましく、例えば銅または銅合金からなることがより好ましい。負極端子40は、2つの導電部材が接合され一体化されて構成されていてもよい。負極端子40は、例えば、負極集電部60と接続される部分が銅または銅合金からなり、封口板14の外側の表面に露出する部分がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなっていてもよい。
【0023】
図1に示すように、封口板14の外側の面には、板状の正極外部導電部材32および負極外部導電部材42が取り付けられている。正極外部導電部材32は、正極端子30と電気的に接続されている。負極外部導電部材42は、負極端子40と電気的に接続されている。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、複数の電池100を相互に電気的に接続する際に、バスバーが付設される部材である。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、金属製であることが好ましく、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることがより好ましい。正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は、外部樹脂部材92によって封口板14と絶縁されている。ただし、正極外部導電部材32および負極外部導電部材42は必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。
【0024】
図5は、封口板14に取り付けられた電極体群20を模式的に示す斜視図である。電極体群20は、ここでは3つの捲回電極体20a、20b、20cを有する。ただし、1つの電池ケース10の内部に配置される捲回電極体の数は特に限定されず、2つ以上(複数)であってもよいし、1つであってもよい。電極体群20は、ここでは樹脂製シートからなる電極体ホルダ29(
図3参照)に覆われた状態で、電池ケース10の内部に配置されている。
【0025】
図6は、捲回電極体20aを模式的に示す斜視図である。
図7は、捲回電極体20aの構成を示す模式図である。なお、以下では捲回電極体20aを例として詳しく説明するが、捲回電極体20b、20cについても同様の構成とすることができる。
図7に示すように、捲回電極体20aは、正極22と負極24とセパレータ26とを有する。捲回電極体20aは、ここでは、帯状の正極22と帯状の負極24とが2枚の帯状のセパレータ26を介して積層され、捲回軸WLを中心として捲回されて構成されている。正極22および負極24の一方は、第1電極の一例であり、正極22および負極24の他方は、第2電極の一例である。
【0026】
捲回電極体20aは、ここでは扁平形状である。とりわけ高容量タイプの電池100において、捲回電極体20aは、扁平形状であることが好ましい。これにより、捲回電極体20aの電池ケース10への収容性を向上して、電池100を小型化できる。電池100は、扁平形状の捲回電極体20aと、直方体形状(角形)の電池ケース10と、を備えることが好ましい。
図2、
図7からわかるように、捲回電極体20aは、捲回軸WLが長辺方向Yと略平行になる向きで、電池ケース10の内部に配置されている。言い換えれば、捲回電極体20aは、捲回軸WLが底壁12aと平行になり、短側壁12cと直交する向きで電池ケース10の内部に配置されている。捲回電極体20aの両端面(言い換えれば、正極22と負極24とが積層された積層面、
図7の長辺方向Yの両端面)は、短側壁12cと対向している。電池100は、電極体群20の左右に正極タブ群23と負極タブ群25とが位置する、所謂、横タブ構造である。ただし、電池100は、電極体群20の上下に正極タブ群23と負極タブ群25とが位置する、所謂、上タブ構造であってもよい。
【0027】
図3に示すように、捲回電極体20aは、外装体12の底壁12aおよび封口板14と対向する一対の湾曲部(R部)20rと、一対の湾曲部20rを連結し、外装体12の長側壁12bに対向する平坦部20fと、を有する。平坦部20fは、長側壁12bに沿って延びている。
【0028】
正極22は、
図7に示すように、正極集電体22cと、正極集電体22cの少なくとも一方の表面上に固着された正極活物質層22aおよび正極保護層22pと、を有する。ただし、正極保護層22pは必須ではなく、他の実施形態において省略することもできる。正極集電体22cは、帯状である。正極集電体22cは、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。正極集電体22cは、ここでは金属箔、具体的にはアルミニウム箔である。正極22は、第1電極の一例である。
【0029】
正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)には、複数の正極タブ22tが設けられている。複数の正極タブ22tは、それぞれ長辺方向Yの一方側(
図7の左側)に向かって突出している。複数の正極タブ22tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の正極タブ22tは、正極22の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。ただし、正極タブ22tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の右端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。正極タブ22tは、正極集電体22cの一部であり、金属箔(アルミニウム箔)からなっている。正極タブ22tの少なくとも一部は、正極活物質層22aおよび正極保護層22pが形成されずに正極集電体22cが露出した集電体露出部である。正極タブ22tは、タブの一例である。
【0030】
正極活物質層22aは、
図7に示すように、帯状の正極集電体22cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。正極活物質層22aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物)を含んでいる。正極活物質層22aの固形分全体を100質量%としたときに、正極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。正極活物質層22aは、正極活物質以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等の炭素材料を使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVdF)等を使用し得る。
【0031】
正極保護層22pは、
図7に示すように、長辺方向Yにおいて正極集電体22cと正極活物質層22aとの境界部に設けられている。正極保護層22pは、ここでは正極集電体22cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の左端部)に設けられている。ただし、正極保護層22pは、長辺方向Yの両端部に設けられていてもよい。正極保護層22pは、正極活物質層22aに沿って、帯状に設けられている。正極保護層22pは、無機フィラー(例えば、アルミナ)を含んでいる。正極保護層22pの固形分全体を100質量%としたときに、無機フィラーは、概ね50質量%以上、典型的には70質量%以上、例えば80質量%以上を占めていてもよい。正極保護層22pは、無機フィラー以外の任意成分、例えば、導電材、バインダ、各種添加成分等を含んでいてもよい。導電材およびバインダは、正極活物質層22aに含み得るとして例示したものと同じであってもよい。
【0032】
図8は、正極22の模式的な平面図である。以下の説明において、
図8の符号W、PDは、正極22の捲回方向、正極22の捲回方向と直交する突出方向を、それぞれ表すものとする。なお、捲回方向Wは、正極22の長手方向と一致する方向である。符号Ws、Weは、捲回方向の始端側、終端側をそれぞれ表している。また、突出方向PDは、検出用タブ27が突出する方向である。突出方向PDは、正極22の長手方向に対して垂直な方向であり、かつ、ここでは電池100の長辺方向Yと一致する方向である。なお、以下では、正極22を例として詳しく説明するが、負極24(詳しくは、後述する負極タブ24t)についても同様の構成とすることができる。
【0033】
図8に示すように、正極22は、捲回方向Wに沿って延びる端辺22eを有している。複数の正極タブ22tは、正極22の端辺22eから突出方向PD(
図8の上方)に突出している。なお、端辺22eと正極タブ22tの境界(端辺22eと正極タブ22tとが接続するコーナー部)は、ここでは角に丸み(R)が無い。ただし、端辺22eと正極タブ22tの境界は、角丸形状(角R形状)であってもよい。複数の正極タブ22tは、検出用タブ27と、複数のノーマルタブ28A~28Cと、を含んでいる。言い換えれば、正極22の端辺22eには、検出用タブ27と、複数のノーマルタブ28A~28Cと、が形成されている。検出用タブ27は、第1タブの一例であり、ノーマルタブ28A~28Cは、第2タブの一例である。
【0034】
図4に示すように、複数の正極タブ22t(詳しくは、検出用タブ27およびノーマルタブ28A~28Cを含む全ての正極タブ22t)は、長辺方向Yの一方の端部(
図4の左端部)で積層され、正極タブ群23を構成している。複数の正極タブ22tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。これにより、電池ケース10への収容性を向上して電池100を小型化することができる。正極タブ群23は、正極集電部50を介して正極端子30と電気的に接続されている。複数の正極タブ22tは、折り曲げられ、正極端子30と電気的に接続されていることが好ましい。正極タブ群23には、後述する正極第2集電部52が付設(詳しくは接合)されている。正極第2集電部52は、集電部材の一例である。
【0035】
検出用タブ27は、捲回工程において、帯状の正極22を所定の巻き取り長に切断する際、例えば
図14(1)に示すようなタブ認識センサS1、S2を有する検出装置で識別され、カット位置の判断基準となるタブである。このため、検出用タブ27は、
図8に示すように、端辺22eに対して略垂直に設けられた直線部(後述する第1直線部27e1)を有することが好ましい。これにより、捲回時に正極22が捲回方向と交差する方向に動いて「巻きずれ」が発生した際にも、検出装置で検出される検出用タブ27の位置が変化しにくくなる。したがって、正極22を正確な位置で切断することができる。検出用タブ27は、ここでは1つである。検出用タブ27は1つであることが好ましい。ただし、検出用タブ27は、2つ以上(複数)であってもよい。
【0036】
図8に示すように、正極22の捲回方向Wにおいて、検出用タブ27は、ここでは所定の巻き取り長における先頭(最も始端側Ws)に配置されている。検出用タブ27は、複数の正極タブ22tのなかで、正極22の捲回方向の始端部(言い換えれば、捲回電極体20aの捲回軸WLの近傍)に配置されていることが好ましい。検出用タブ27は、正極22の捲回始端部から2周以内の位置、好ましくは1周以内の位置に配置されていることが好ましい。検出用タブ27は、正極22のカット位置の最も近くに配置されていることが好ましい。なかでも、検出用タブ27は、複数の正極タブ22tのなかで、最も始端側Ws(捲回電極体20aの捲回軸WLの最も近く)に配置されていることが好ましい。これにより、捲回方向Wにおいて、所定の巻き取り長における2番目の正極タブ22t(ここではノーマルタブ28A)から後尾のタブまでの位置ズレを、例えば公差±0.5mm程度にまで、小さく抑えることができる。
【0037】
検出用タブ27は、正極22の端辺22eに連なる根元から突出方向PDに延びている。なお、「根元」とは、端辺22eと検出用タブ27との境界部である。検出用タブ27の形状は、後述する式(1)、(2)を満たす限りにおいて、特に限定されない。また、検出用タブ27が2つ以上(複数)の場合は、それぞれ異なる形状であってもよい。検出用タブ27は、ここでは捲回方向Wに非対称な形状で設けられている。検出用タブ27は、捲回方向Wに非対称な形状であることが好ましい。これにより、検出用タブ27の強度を向上することができる。検出用タブ27は、捲回方向Wの始端側Wsに近い第1縁部27sと、捲回方向Wの終端側Weに近い第2縁部27eと、第1縁部27sと第2縁部27eとを連結する先端部27tと、を有している。
【0038】
先端部27tは、検出用タブ27のうちで端辺22eから最も離れた部位(突出方向PDの先端部)である。先端部27tは、捲回方向Wに沿って延びている。先端部27tは、端辺22eと平行に延びている。第1縁部27sと第2縁部27eとは、検出用タブ27の捲回方向Wの中心線Mwに対して、非対称に設けられている。
【0039】
第1縁部27sは、
図8に示すように、ここでは突出方向PDに対して傾斜する傾斜部27s1からなっている。傾斜部27s1は、端辺22eに連なる根元から先端部27tの始端側Wsの端部まで延びている。傾斜部27s1は、直線状であることが好ましい。傾斜部27s1は長さが5mm以上であることが好ましく、8mm以上であることがより好ましい。第1縁部27sは、端辺22eに対して略垂直に設けられた直線部を有しないことが好ましい。これにより、捲回時に空気抵抗が大きくなることを防止できる。したがって、例えば捲回工程で正極22を巻き取る速度が上昇しても、検出用タブ27の根元付近が破れにくくなり、正極22を素早く巻き取ることができる。
【0040】
傾斜部27s1は、先端部27tに向かうにつれて、捲回方向Wの終端に近づく方向(終端側We)に傾斜している。第1縁部27sは、傾斜部27s1を有することが好ましい。これにより、例えば検出用タブ27の形成時や正極22の捲回時に、検出用タブ27の根元付近が破れにくくなり、検出用タブ27の強度を向上することができる。特に限定されるものではないが、傾斜部27s1の端辺22eに対する角度は、80°±2°程度でありうる。
【0041】
第2縁部27eは、
図8の平面視において、右上方の部分が切り欠かれた略L字形状を有している。第2縁部27eは、第1直線部27e1と、第2直線部27e2と、傾斜部27e3と、を有している。第1直線部27e1は、正極22の端辺22eに対して略垂直(90°±5°)に設けられている。第1直線部27e1の端辺22eに対する角度は、90°±2°であることが好ましい。第1直線部27e1は、ここでは突出方向PDに沿って延びている。第1直線部27e1は、先端部27tの終端側Weの端部から第2直線部27e2の始端側Wsの端部まで垂直に延びている。第1直線部27e1の端辺22eに直交する方向の長さ(ここでは突出方向PDの長さと同じ)は、2mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましい。第1直線部27e1の長さは、3~20mmであることが好ましく、5~15mm(10±5mm)であることがより好ましい。
【0042】
傾斜部27e3は、第1直線部27e1よりも捲回方向Wの終端側Weに位置している。傾斜部27e3は、端辺22eに連なる根元から第2直線部27e2の終端側Weの端部まで延びている。傾斜部27e3は、突出方向PDに対して傾斜している。傾斜部27e3は、傾斜部27s1とは反対に、先端部27tに向かうにつれて、捲回方向Wの始端に近づく方向(始端側Ws)に傾斜している。これにより、例えば検出用タブ27の形成時や正極22の捲回時に、検出用タブ27の根元付近が破れにくくなり、検出用タブ27の強度を向上することができる。特に限定されるものではないが、傾斜部27e3の端辺22eに対する角度は、80°±2°程度でありうる。
【0043】
第2直線部27e2は、第1直線部27e1の一端と傾斜部27e3の一端とを連結している。第2直線部27e2は、ここでは捲回方向Wに沿って延びている。第2直線部27e2は、端辺22eと平行に延びている。第1直線部27e1と第2直線部27e2とのなす角は、ここでは直角である。第1直線部27e1と第2直線部27e2とのなす角は、直角であることが好ましい。ただし、第1直線部27e1と第2直線部27e2とのなす角度は、直角に限定されず、鋭角であってもよいし、鈍角であってもよい。
【0044】
第1直線部27e1と第2直線部27e2とは、段差部27dを構成している。第2縁部27eは、段差部27dを有することが好ましい。これにより、後述の式(1)、(2)を満たす検出用タブ27、詳しくは、幅狭の部分(幅W1の部分)と根元付近の幅広の部分(幅W3の部分)と、を有する検出用タブ27を好適に実現できる。
【0045】
検出用タブ27は、根元から先端部27tまでの垂直高さ(タブ高さ)が、概ね13~22mm、典型的には15~20mm、例えば17.5mmであってもよい。また、突出方向PDにおいて、検出用タブ27の根元から第2直線部27e2までの垂直高さは、距離Lよりも短いことが好ましい。検出用タブ27の根元から第2直線部27e2までの垂直高さは、例えば2mm以下、さらには1mm以下でありうる。
【0046】
検出用タブ27の、端辺22eに連なる根元から突出方向PDに距離Lの位置における幅W1(mm)は、15~30mmが好ましく、15~25mmが好ましく、20~25mmがさらに好ましい。なお、検出用タブ27が2つ以上(複数)である場合は、複数の検出用タブ27のうち、距離Lの位置における幅が最も小さいタブにおける距離Lの幅をW1とすることが好ましい。また、検出用タブ27の根元の幅W3(mm)は、25~45mmが好ましく、30~40mmがより好ましい。
【0047】
ここで、距離Lは、3~10mmである限り、任意の値である。距離Lは、例えば
図14(1)に示すような検出装置において、タブ認識センサS1、S2が配置される突出方向PDの位置に応じて、予め定められている。距離Lは、3~8mmの範囲内が好ましく、3~6mmの範囲内がより好ましく、3~5mmの範囲内がさらに好ましい。
【0048】
図8に仮想線で示すように、検出用タブ27は、突出方向PDの先端部(
図8の上端部)に、領域Awを有する。領域Awは、検出用タブ27とノーマルタブ28A~28Cとが積層され、後述する正極第2集電部52が接合される部位である。領域Awは、距離Lよりも突出方向PDの先端側に形成されていることが好ましい。領域Awは、捲回方向Wの長さが10mm以上であり、かつ突出方向PDの長さが3mm以上であるとよい。これにより、検出用タブ27と正極端子30との導通接合部を十分に確保することができ、電気抵抗を低減することができる。
【0049】
ノーマルタブ28A~28Cは、複数の正極タブ22tのなかで、検出用タブ27を除くタブである。ノーマルタブ28A~28Cは、ここでは3つである。ただし、ノーマルタブは、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。高容量タイプの電池100では、1枚の正極22にノーマルタブが10個以上設けられていることが好ましく、20個以上設けられていることがより好ましい。これにより、電気抵抗を低減することができ、電池の出力特性を向上することができる。また、電池100の充放電時に根元付近に熱が集中することを抑制できる。
【0050】
図8に示すように、正極22の捲回方向Wにおいて、ノーマルタブ28A~28Cは、ここでは所定の巻き取り長における2番目以降、すなわち、2番目から最後までの正極タブ22tを構成している。ノーマルタブ28A~28Cの形状は、後述する式(1)、(2)を満たす限りにおいて、特に限定されない。また、複数のノーマルタブ28A~28Cは、それぞれ異なる形状であってもよい。ノーマルタブ28A~28Cは、四角形、三角形等の多角形状であってもよいし、半円形状等であってもよい。ノーマルタブ28A~28Cの形状は、例えば、平面視で等脚台形等の台形状、長方形状、正方形状等であってもよい。複数のノーマルタブ28A~28Cは、ここでは、それぞれ捲回方向Wに対称な形状で設けられている。
【0051】
ノーマルタブ28A~28Cは、
図8に示すように、端辺22eに対して略垂直に設けられた直線部を有しないことが好ましい。ノーマルタブ28A~28Cの形状は、略台形状であることが好ましい。これにより、検出用タブ27の形成時等に、根元に応力が集中しにくくなり、根元付近が切れにくくなる。また、捲回工程においてタブ折れが発生しにくくなる。さらに、根元に電流が集中しにくくなり、電池100の充放電時に根元付近に熱が集中したり根元付近で抵抗が増大したりすることを抑制することができる。なお、本明細書において、「略台形状」とは、完全な台形状に加えて、2辺を接続するコーナー部、例えば端辺22eとノーマルタブ28A~28Cとの境界、および/または、ノーマルタブ28A~28Cの先端部が丸みを帯びた角丸形状(角R形状)をも包含する用語である。
【0052】
複数のノーマルタブ28A~28Cのサイズ(例えば、根元から先端部28tまでの垂直高さ(タブ高さ)、および/または、捲回方向Wのタブ長さ)は、同じであってもよく、相互に異なっていてもよい。
図8に示すように、ノーマルタブ28Aと、ノーマルタブ28B~28Cとは、ここではサイズが異なっている。ノーマルタブ28Aは、ここではノーマルタブ28B~28Cよりも小さい。ノーマルタブ28Aのタブ高さは、検出用タブ27と略同じである。ノーマルタブ28B~28Cのタブ高さは、ノーマルタブ28Aよりも大きい。これにより、捲回後に複数の正極タブ22tを束ねて折り曲げる場合に、正極タブ22tの先端部の位置を揃えやすくなる。
【0053】
ノーマルタブ28Aは、捲回方向Wの始端側Wsに近い第1縁部28sと、捲回方向Wの終端側Weに近い第2縁部28eと、第1縁部28sと第2縁部28eとを連結する先端部28tと、を有している。第1縁部28sと第2縁部28eとは、ここではノーマルタブ28Aの捲回方向Wの中心線Mwに対して、対称に設けられている。第1縁部28sおよび第2縁部28eは、
図8に示すように、突出方向PDに対して傾斜する傾斜部であることが好ましい。第1縁部28sは、検出用タブ27の第1縁部27s(傾斜部27s1)と同様に、先端部28tに向かうにつれて、捲回方向Wの終端に近づく方向(終端側We)に傾斜している。第2縁部28eは、第1縁部28sとは反対に、先端部28tに向かうにつれて、捲回方向Wの始端に近づく方向(始端側Ws)に傾斜している。特に限定されるものではないが、第1縁部28sおよび第2縁部28eの端辺22eに対する角度は、80°±2°程度でありうる。第1縁部28sおよび第2縁部28eは、端辺22eに対して垂直に設けられた直角部を有しないことが好ましい。これにより、捲回時に空気抵抗が大きくなることを防止できる。
【0054】
ノーマルタブ28Aの、端辺22eに連なる根元から突出方向PDに距離Lの位置における幅W2(mm)は、20~40mmが好ましく、20~35mmがより好ましく、25~30mmがさらに好ましい。なお、幅W2は、複数のノーマルタブ28A~28Cのうち、距離Lの位置における幅が最も小さいタブにおける距離Lの位置における幅とすることが好ましい。幅W2は、複数のノーマルタブ28A~28Cのうち、検出用タブ27と捲回方向Wに隣り合うノーマルタブ28Aの幅としてもよい。
【0055】
また、
図8に示すように、ノーマルタブ28Bの、端辺22eに連なる根元から突出方向PDに距離Lの位置における幅をW4(mm)としたときに、ノーマルタブ28Aの幅W2(mm)と、ノーマルタブ28Bの幅W4(mm)とは、次の関係式:W4≧W2を満たすことが好ましい。また、ノーマルタブ28Cの、端辺22eに連なる根元から突出方向PDに距離Lの位置における幅をW5(mm)としたときに、ノーマルタブ28Aの幅W2(mm)と、ノーマルタブ28Cの幅W5(mm)とは、次の関係式:W5≧W2を満たすことが好ましい。
【0056】
ここで、本実施形態では、検出用タブ27の幅W1(mm)と、検出用タブ27の根元の幅W3(mm)と、ノーマルタブ28Aの幅W2(mm)とが、次の関係式:(W3/W1)>1.5…式(1);(W2/W1)>1.2…式(2);をいずれも満たしている。上記式(1)を満たすことで、検出用タブ27の根元の幅を広く確保できる。これにより、検出用タブ27の「コシ」が強くなり、タブ折れの発生やタブの損傷を抑制できる。また、上記式(2)を満たすことで、検出用タブ27の幅W1とノーマルタブ28Aの幅W2に明確な差をつけることができる。これにより、検出装置で検出用タブ27を検出しやすくなり、タブ認識不良を抑制できる。したがって、正極22を正確にカットすることができ、意図した形状等の正極22ないし捲回電極体20aを備えた電池100を実現できる。
【0057】
なお、上記式(2)は、L=3~10mmの範囲内の全てで満たされる必要はなく、少なくともL=3~10mmの範囲内のいずれかの点(すなわち、タブ認識センサS1、S2で検出される任意の部分)で、満たしていればよい。上記式(2)は、L=3~10mm」の範囲内において、1mm以上の領域に亘って満たされることが好ましく、2mm以上の領域に亘って満たされることがより好ましい。これにより、例えば正極22が捲回方向Wと交差する方向に移動(蛇行)して「巻きずれ」が発生することがあっても、検出装置で検出用タブ27を精度よく検出できる。
【0058】
上記式(1)、すなわち(W3/W1)は、3以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。上記式(2)、すなわち(W2/W1)は、2以下が好ましく、1.7以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましい。このうち少なくとも1つを満たすことで、ここに開示された技術の効果を高いレベルで発揮できる。
【0059】
また、図示は省略するが、検出用タブ27の、根元から突出方向PDに1mmの位置における幅をW6(mm)としたときに、距離Lの位置における幅W1(mm)と上記幅W6(mm)とは、次の関係式:(W6/W1)>1.5;をさらに満たすことが好ましい。これにより、根元付近の幅広の部分(幅W3の部分)を突出方向PDに広く確保でき、検出用タブ27の強度をより良く向上することができる。したがって、上記した効果を高いレベルで発揮することができる。
【0060】
図9は、
図8の捲回電極体20aにおける正極タブ群23の模式的な部分側面図である。すなわち、
図9は、
図6の捲回電極体20aにおいて、正極第2集電部52を取り付ける前の複数の正極タブ22tを左方Lから見た部分側面図である。
図9に示すように、捲回電極体20aの正極タブ群23において、複数の正極タブ22t(詳しくは、検出用タブ27およびノーマルタブ28A~28C)の突出方向PDの先端(先端部27t、28t)は、上下方向Zにおける中点Mが揃っているとよい。言い換えれば、検出用タブ27の突出方向PDの先端は、上下方向Zにおける中点Mの位置が、封口板14側あるいは底壁12a側に偏っていないことが好ましい。これにより、複数の正極タブ22tを積層して正極第2集電部52を接合することが容易になる。
【0061】
負極24は、
図7に示すように、負極集電体24cと、負極集電体24cの少なくとも一方の表面上に固着された負極活物質層24aと、を有する。負極集電体24cは、帯状である。負極集電体24cは、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっている。負極集電体24cは、ここでは金属箔、具体的には銅箔である。負極24は、第1電極の一例である。
【0062】
負極集電体24cの長辺方向Yの一方の端部(
図7の右端部)には、複数の負極タブ24tが設けられている。複数の負極タブ24tは、それぞれ長辺方向Yの一方側(
図7の右側)に向かって突出している。複数の負極タブ24tは、セパレータ26よりも長辺方向Yに突出している。複数の負極タブ24tは、負極24の長手方向に沿って間隔を置いて(間欠的に)設けられている。ただし、負極タブ24tは、長辺方向Yの他方の端部(
図7の左端部)に設けられていてもよいし、長辺方向Yの両端部にそれぞれ設けられていてもよい。負極タブ24tは、負極集電体24cの一部であり、金属箔(銅箔)からなっている。負極タブ24tの少なくとも一部は、負極活物質層24aが形成されずに負極集電体24cが露出した集電体露出部である。負極タブ24tは、タブの一例である。
【0063】
負極活物質層24aは、
図7に示すように、帯状の負極集電体24cの長手方向に沿って、帯状に設けられている。負極活物質層24aは、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質(例えば、黒鉛等の炭素材料)を含んでいる。負極活物質層24aの固形分全体を100質量%としたときに、負極活物質は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上を占めていてもよい。負極活物質層24aは、負極活物質以外の任意成分、例えば、バインダ、分散剤、各種添加成分等を含んでいてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)等のゴム類を使用し得る。分散剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロール類を使用し得る。
【0064】
図4に示すように、複数の負極タブ24t(詳しくは、図示しない検出用タブおよびノーマルタブ)は、長辺方向Yの一方の端部(
図4の右端部)で積層され、負極タブ群25を構成している。負極タブ群25は、正極タブ群23と長辺方向Yに対称的な位置に設けられている。複数の負極タブ24tは、外方側の端が揃うように折り曲げられて湾曲している。これにより、電池ケース10への収容性を向上して電池100を小型化することができる。負極タブ群25は、負極集電部60を介して負極端子40と電気的に接続されている。複数の負極タブ24tは、折り曲げられ、負極端子40と電気的に接続されていることが好ましい。負極タブ群25には、後述する負極第2集電部62が付設(詳しくは接合)されている。負極第2集電部62は、集電部材の一例である。
【0065】
セパレータ26は、正極22の正極活物質層22aと、負極24の負極活物質層24aと、を絶縁する部材である。セパレータ26は、ここでは捲回電極体20aの外表面を構成している。セパレータ26としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる樹脂製の多孔性シートが好適である。セパレータ26は、樹脂製の多孔性シートからなる基材部と、基材部の少なくとも一方の表面上に形成された耐熱層(Heat Resistance Layer:HRL)と、を有することが好ましい。耐熱層は、無機フィラーを含む層である。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、チタニア等を使用し得る。
【0066】
電解液は従来と同様でよく、特に制限はない。電解液は、例えば、非水系溶媒と支持塩とを含有する非水電解液である。非水系溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のカーボネート類を含んでいる。支持塩は、例えば、LiPF6等のフッ素含有リチウム塩である。ただし、電解液は固体状(固体電解質)で、電極体群20と一体化されていてもよい。
【0067】
図10は、
図2の正極端子30の近傍を模式的に示す部分拡大断面図である。
図11は、封口板アッセンブリ、すなわち封口板14に、正極端子30と、負極端子40と、正極集電部50の正極第1集電部51と、負極集電部60の負極第1集電部61と、正極絶縁部材70と、負極絶縁部材80と、が取り付けられた合体物を模式的に示す斜視図である。
図12は、
図11の封口板アッセンブリを裏返した斜視図である。
図12は、封口板14の外装体12の側(内側)の面を示している。
【0068】
正極集電部50は、
図2に示すように、電池ケース10の内部に配置されている。正極集電部50は、複数の正極タブ22tからなる正極タブ群23と、正極端子30と、を電気的に接続する導通経路を構成している。正極集電部50は、正極第1集電部51と、正極第2集電部52と、を備えている。正極第1集電部51および正極第2集電部52は、正極集電体22cと同じ金属種、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。
【0069】
図10~
図12に示すように、正極第1集電部51は、封口板14の内側の面に取り付けられている。正極第1集電部51は、第1領域51aと、第2領域51bと、を有する。正極第1集電部51は、例えば、1つの部材をプレス加工等によって折り曲げることで構成されていてもよく、複数の部材を溶接接合等によって一体化することで構成されてもよい。正極第1集電部51は、ここでは、かしめ加工によって、封口板14に固定されている。
【0070】
第1領域51aは、正極第1集電部51のうち、封口板14と電極体群20との間に配置される部位である。第1領域51aは、長辺方向Yに沿って延びている。第1領域51aは、封口板14の内側の表面に沿って水平に広がっている。封口板14と第1領域51aとの間には、正極絶縁部材70が配置されている。第1領域51aは、正極絶縁部材70によって封口板14と絶縁されている。第1領域51aは、ここでは、かしめ加工により、正極端子30と電気的に接続されている。
図10、
図12に示すように、第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔18に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔51hが形成されている。第2領域51bは、正極第1集電部51のうち、外装体12の短側壁12cと電極体群20との間に配置される部位である。第2領域51bは、第1領域51aの長辺方向Yの一方の端(
図10の左端)から外装体12の短側壁12cに向かって延びている。第2領域51bは、上下方向Zに沿って延びている。
【0071】
正極第2集電部52は、
図5、
図6に示すように、外装体12の短側壁12cに沿って延びている。正極第2集電部52は、
図6に示すように、集電板接続部52aと、傾斜部52bと、タブ接合部52cと、を有する。集電板接続部52aは、正極第1集電部51と電気的に接続される部位である。集電板接続部52aは、上下方向Zに沿って延びている。集電板接続部52aは、捲回電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。集電板接続部52aには、その周囲よりも厚みが薄い凹部52dが設けられている。凹部52dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔52eが設けられている。図示は省略するが、貫通孔52eには、正極第1集電部51との接合部が形成されている。接合部は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。正極第2集電部52には、ヒューズを設けてもよい。
【0072】
タブ接合部52cは、正極タブ群23に付設され、複数の正極タブ22tと電気的に接続される部位である。
図5、
図6に示すように、タブ接合部52cは、上下方向Zに沿って延びている。タブ接合部52cは、捲回電極体20a、20b、20cの捲回軸WLに対して略垂直に配置されている。タブ接合部52cの複数の正極タブ22tと接続される面は、外装体12の短側壁12cと略平行に配置されている。
図4に示すように、タブ接合部52cには、正極タブ群23との接合部Jが形成されている。接合部Jは、例えば、複数の正極タブ22tを重ねた状態で、超音波溶接、抵抗溶接、レーザ溶接等の溶接によって形成された溶接接合部である。溶接接合部は、複数の正極タブ22tを捲回電極体20a、20b、20cの短辺方向Xの一方側に寄せて配置されている。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。
【0073】
傾斜部52bは、集電板接続部52aの下端とタブ接合部52cの上端とを連結する部位である。傾斜部52bは、集電板接続部52aとタブ接合部52cとに対して傾斜している。傾斜部52bは、長辺方向Yにおいて、集電板接続部52aがタブ接合部52cよりも中央側に位置するように、集電板接続部52aとタブ接合部52cとを連結している。これにより、電極体群20の収容空間を広げて、電池100の高エネルギー密度化を図ることができる。傾斜部52bの下端(言い換えれば、外装体12の底壁12aの側の端部)は、正極タブ群23の下端よりも下方に位置することが好ましい。これにより、複数の正極タブ22tをより好適に折り曲げて、
図4に示すような湾曲形状の正極タブ群23を安定して形成することができる。
【0074】
負極集電部60は、
図2に示すように、電池ケース10の内部に配置されている。負極集電部60は、複数の負極タブ24tからなる負極タブ群25と、負極端子40と、を電気的に接続する導通経路を構成している。負極集電部60は、負極第1集電部61と、負極第2集電部62と、を備えている。負極第1集電部61および負極第2集電部62は、負極集電体24cと同じ金属種、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属からなっていてもよい。負極第1集電部61および負極第2集電部62の構成は、正極集電部50の正極第1集電部51および正極第2集電部52と同等であってよい。
【0075】
図10~
図12に示すように、負極第1集電部61は、封口板14の内側の面に取り付けられている。負極第1集電部61は、第1領域61aと、第2領域61bと、を有する。封口板14と第1領域61aとの間には負極絶縁部材80が配置されている。第1領域61aは、負極絶縁部材80によって封口板14と絶縁されている。
図12に示すように、第1領域51aにおいて、封口板14の端子引出孔19に対応する位置には、上下方向Zに貫通した貫通孔61hが形成されている。負極第2集電部62は、
図6に示すように、負極第1集電部61と電気的に接続される集電板接続部62aと、傾斜部62bと、負極タブ群25に付設され、複数の負極タブ24tと電気的に接続されるタブ接合部62cと、を有する。集電板接続部62aは、タブ接合部62cと連結される凹部62dを有する。凹部62dには、短辺方向Xに貫通した貫通孔62eが設けられている。
【0076】
正極絶縁部材70は、封口板14と正極第1集電部51とを絶縁する部材である。正極絶縁部材70は、使用する電解液に対する耐性と電気絶縁性とを有し、弾性変形が可能な樹脂材料からなり、例えば、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂、四フッ化エチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)等のフッ素化樹脂や、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等からなることが好ましい。
【0077】
正極絶縁部材70は、
図2に示すように、ベース部70aと、複数の突出部70bと、を有する。ベース部70aと突出部70bとは、ここでは一体成型されている。ベース部70aは、上下方向Zにおいて、封口板14と、正極第1集電部51の第1領域51aと、の間に配置される部位である。ベース部70aは、正極第1集電部51の第1領域51aに沿って水平に広がっている。
図10に示すように、ベース部70aは、上下方向Zに貫通した貫通孔70hを有する。貫通孔70hは、封口板14の端子引出孔18と対応する位置に形成されている。
【0078】
複数の突出部70bは、それぞれ、ベース部70aよりも電極体群20の側に突出している。
図12に示すように、長辺方向Yにおいて、複数の突出部70bは、ベース部70aよりも封口板14の中央側(
図12の右側)に設けられている。複数の突出部70bは、短辺方向Xに並んで配置されている。
図3に示すように、複数の突出部70bは、断面略コの字状に形成されている。複数の突出部70bは、ここでは電極体群20を構成する捲回電極体20a、20b、20cの湾曲部20rと対向している。これにより、捲回電極体20a、20b、20cの端面が突出部70bで押圧されて損傷することを回避することができる。突出部70bの数は、ここでは電極体群20を構成する捲回電極体20a、20b、20cの数と同数である。すなわち、3つである。これにより、捲回電極体20a、20b、20cと突出部70bとをより確実に対向させることができる。ただし、突出部70bの数は、電極体群20を構成する電極体の数と異なっていてもよく、例えば1つであってもよい。
【0079】
負極絶縁部材80は、
図2に示すように、電極体群20の長辺方向Yの中央CLに対して、正極絶縁部材70と対称になるよう配置されている。負極絶縁部材80の構成は、正極絶縁部材70と同様であってよい。負極絶縁部材80は、ここでは正極絶縁部材70と同様に、封口板14と負極第1集電部61との間に配置されるベース部80aと、複数の突出部80bと、を有する。
【0080】
<捲回電極体20aの製造方法>
図7に示すような、帯状の正極22と帯状の負極24とを帯状のセパレータ26とを備える捲回電極体20aは、例えば、次の製造方法によって製造することができる。すなわちまず、帯状の正極22と帯状の負極24と帯状のセパレータ26とを積層して、捲回方向に巻き取る巻き取りユニットと、帯状の正極22および/または帯状の負極24を所定の巻き取り長に切断する切断ユニットと、を備えた巻き取り装置を用意する。切断ユニットは、
図14(1)に示すような2つのタブ認識センサS1、S2を備える検出装置と、正極22と負極24とセパレータ26とを切断する切断部と、を備えている。
【0081】
次に、2枚の帯状のセパレータ26の先端部を、巻き取りユニットの巻芯に固定する。すなわち、巻芯で2枚のセパレータ26を挟持する。次に、複数の正極タブ22tが設けられた帯状の正極22と、複数の負極タブ24tが設けられた帯状の負極24とを用意する。複数の正極タブ22tおよび/または複数の負極タブ24tは、検出用タブ27と、複数のノーマルタブ28A~28Cと、を含んでいる。
【0082】
次に、帯状の正極22と、帯状の負極24とを供給しながら巻芯を回転させて、正極22と負極24とをセパレータ26を介して捲回する。このとき、検出用タブ27を検出装置のタブ認識センサS1、S2で検出し、例えば第1直線部27e1の位置を基準位置とする。そして、切断ユニットの切断部により、基準位置から所定の巻き取り長にあるカット位置で、正極22および/または負極24を切断する。以上のようにして、捲回電極体20aを製造できる。
【0083】
<電池100の用途>
電池100は各種用途に利用可能であるが、例えば、乗用車、トラック等の車両に搭載されるモータ用の動力源(駆動用電源)として好適に用いることができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)等が挙げられる。電池100は、複数の電池100を所定の配列方向に複数個並べて、配列方向から拘束機構で荷重を加えてなる組電池としても好適に用いることができる。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を他の変形例に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形例を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【0085】
<変形例>
例えば、上記した実施形態では、検出用タブ27の第1縁部27sが、傾斜部27s1からなり、第2縁部27eが、略L字形状で段差部27dを有していた。しかしこれには限定されない。
図13は、変形例に係る検出用タブ127の模式的な平面図である。
【0086】
図13に示す検出用タブ127は、捲回方向Wに非対称な形状で設けられている。検出用タブ127は、捲回方向Wの始端側Wsに近い第1縁部127sと、捲回方向Wの終端側Weに近い第2縁部127eと、第1縁部127sと第2縁部127eとを連結する先端部127tと、を有している。第1縁部127sと第2縁部127eとは、検出用タブ127の捲回方向Wの中心線Mwに対して、非対称に設けられている。
【0087】
第1縁部127sは、直線部127s1からなっている。直線部127s1は、端辺122eに連なる根元から突出方向PDに沿って延びている。直線部127s1は、端辺122eに対して略垂直に設けられている。端辺122eと第1縁部127s(直線部127s1)との境界は、角丸形状(角R形状)である。端辺122eと第1縁部127sとの境界には、第1R部rs1が介在している。また、直線部127s1と先端部127tとの境界は、角丸形状(角R形状)である。直線部127s1と先端部127tとの境界には、第2R部rs2が介在している。
【0088】
第2縁部127eは、
図13の平面視において、階段形状を有している。第2縁部127eは、第1直線部127e1と、第2直線部127e2と、第3直線部127e3と、を有している。第1直線部127e1および第3直線部127e3は、端辺122eに対して略垂直に設けられている。第1直線部127e1および第3直線部127e3は、突出方向PDに沿って延びている。第2直線部127e2は、捲回方向Wに沿って延びている。第2直線部127e2は、端辺122eと平行に延びている。
【0089】
図13に示すように、第3直線部127e3の突出方向PDの長さt3は、第1直線部127e1の突出方向PDの長さt1よりも長いことが好ましい。言い換えれば、検出用タブ127は、根元から先端部127tまでの垂直高さ(タブ高さ)に対する、根元から第2直線部127e2までの垂直高さ(切り欠き高さ)の比が、次の式:(切り欠き高さ/タブ高さ)<0.5;を満たすことが好ましい。本発明者の検討によれば、第1直線部127e1と第2直線部127e2との境界を境に、検出用タブ127は正極活物質層の側に折れやすい傾向がある。第1直線部127e1と第3直線部127e3とが上記関係を満たすことで、検出用タブ127が正極活物質層の側に折れた場合にも、内部短絡の発生を防止できる。
【0090】
第1直線部127e1と第2直線部127e2との境界には、第1コーナー部re1が介在している。第2直線部127e2と第3直線部127e3との境界には、第2コーナー部re2が介在している。第3直線部127e3と端辺122eとの境界には、第3コーナー部re3が介在している。第1~第3コーナー部re1~re3は、角丸形状(角R形状)であることが好ましい。また、第3コーナー部re3の曲率半径は、第1コーナー部re1の曲率半径よりも大きいことが好ましい。一般に、曲率半径が大きい程、捲回工程においてタブ折れが発生しにくくなる。第1コーナー部re1の曲率半径と第3コーナー部re3の曲率半径とが上記関係を満たすことで、最も抑制したいタブ根元の折れを効果的に抑制できる。
【0091】
領域Awは、先の実施形態と同様に、検出用タブ127がノーマルタブ28A~28Cと積層され、正極第2集電部52が接合される部位である。領域Awは、第2直線部127e2よりも先端部127tの側に設けることが好ましい。タブ高さは、正極第2集電部52が接合される位置で決まるため、領域Awを先端部127t側で接合することにより、検出用タブ127のタブ高さを低く抑えて、低コスト化が図れる。
【0092】
以上の通り、ここで開示される技術の具体的な態様として、以下の各項に記載のものが挙げられる。
項1:帯状の第1電極と、帯状の第2電極とが、帯状のセパレータを介して積層され、捲回方向に捲回されてなる捲回電極体を備え、上記第1電極は、上記捲回方向に延びる端辺から、上記捲回方向と直交する突出方向に突出した複数のタブを有し、複数の上記タブは、第1タブと、複数の第2タブと、を有し、ここで、上記第1タブの、上記端辺に連なる根元から上記突出方向に距離L(ただし、L=3~10mm)の位置における幅を、W1(mm)とし、上記第2タブの、上記端辺に連なる根元から上記突出方向に上記距離Lの位置における幅を、W2(mm)とし、上記第1タブの上記根元の幅を、W3(mm)としたときに、上記W1と上記W2と上記W3とが、次の関係式(1)、(2):(W3/W1)>1.5 …式(1);(W2/W1)>1.2 …式(2);を満たす電池。
項2:上記捲回電極体は、扁平形状であり、上記第1タブおよび複数の上記第2タブは、積層されて集電部材に接合されている、項1に記載の電池。
項3:上記第1タブは、上記捲回方向の始端に近い第1縁部と、上記捲回方向の終端に近い第2縁部とを有し、上記第2縁部は、段差部を有する、項1または項2に記載の電池。
項4:上記第1タブは、上記捲回方向の始端に近い第1縁部と、上記捲回方向の終端に近い第2縁部と、を有し、上記第2縁部は、第1直線部と、第2直線部と、第3直線部と、を有し、上記第1直線部および上記第3直線部は、上記突出方向に延び、上記第2直線部は、上記第1直線部および上記第3直線部を連結し、上記捲回方向に延びている、項1~項3のいずれか一つに記載の電池。
項5:上記第1タブは、上記捲回方向の始端に近い第1縁部と、上記捲回方向の終端に近い第2縁部と、を有し、上記第1縁部は、上記突出方向に対して傾斜する傾斜部を有し、上記傾斜部は、上記突出方向の先端に向かうにつれて、上記捲回方向の終端に近づく方向に傾斜している、項1~項4のいずれか一つに記載の電池。
項6:上記捲回電極体は、扁平形状であり、1枚の上記第1電極に、上記第2タブが20個以上設けられている、項1~項5のいずれか一つに記載の電池。
【符号の説明】
【0093】
20 電極体群
20a、20b、20c 捲回電極体
22t 正極タブ
23 正極タブ群
27、127 検出用タブ
27s、127s 第1縁部
27e、127e 第2縁部
27d 段差部
27t、127t 先端部
28A、28B、28C ノーマルタブ
100 電池