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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025298
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】シート固定装置及びシート固定方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 5/14 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
E04D5/14 H
E04D5/14 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128645
(22)【出願日】2022-08-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】503276034
【氏名又は名称】栄和化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 久貢
(57)【要約】      (修正有)
【課題】下地の表側に対する固定ディスクの裏側の接着強度を向上させる。
【解決手段】下地Bの表側に沿って敷設される防水シートCの一部を固定する固定ディスク1、固定ディスク1の表面に沿って設けられる被覆シート2と、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との間に対向して積層するように設けられるメッシュシート3、被覆シート2の表側面から固定ディスク1を介してメッシュシート3に向け加熱するヒータH、を備え、メッシュシート3は、シート状に織り込まれた金属メッシュ3a、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目に形成される接合被膜3b、を有し、接合被膜3bは、ヒータHによる加熱で溶融して固定ディスク1の裏側と下地Bの表側に対する接着面となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、
前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、
前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側との間に対向して積層するように設けられるメッシュシートと、
前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱するヒータと、を備え、
前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、
前記接合被膜は、前記ヒータによる加熱で溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とするシート固定装置。
【請求項2】
前記メッシュシートの前記接合被膜が、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、前記ヒータによる誘導加熱で溶融されることを特徴とする請求項1記載のシート固定装置。
【請求項3】
前記下地の表側に沿って敷設した前記防水シートの防水表面に対し、前記固定ディスクが固定され、
前記メッシュシートが、前記固定ディスクよりも大きく形成され、
前記被覆シートは、前記固定ディスクの前記表面、前記固定ディスクから突出する前記メッシュシートの外周部及び前記防水シートの前記防水表面の一部を覆うように接着固定される保護シートであることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項4】
前記下地の表側に対して固定した前記固定ディスクの前記表面を覆うように前記防水シートが敷設され、
前記メッシュシートが、前記固定ディスクよりも大きく形成され、
前記被覆シートは、前記防水シートの一部として形成され、前記防水シートの防水裏面が前記固定ディスクから突出する前記メッシュシートの外周部を介して前記固定ディスクの前記表面に接合固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項5】
下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、
前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、
前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクに向けて加熱するヒータと、
前記被覆シートにおいて前記固定ディスクを覆う部位よりも外側の部位に設置されるセット治具と、
前記セット治具に組み付けられる前記ヒータに代えて設置される押さえ治具と、を備え、
前記押さえ治具は、前記セット治具に組み付けられた状態で、前記ヒータによる前記被覆シートの加熱部位と圧接する押圧面を有することを特徴とする治具装置。
【請求項6】
固定ディスクの裏側と下地の表側との間にメッシュシートを対向して積層するように配置する挟み込み工程と、
前記下地の表側に対して防水シートの一部を前記固定ディスクで固定するディスク固定工程と、
前記固定ディスクの表面に沿って被覆シートを配置する重ね合わせ工程と、
ヒータで前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱する加熱工程と、を含み、
前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、
前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記接合被膜が溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とするシート固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根,屋上,ベランダ,バルコニーなどやその他の構造物などを防水する防水工法において、防水対象面となる下地に対し、防水シートの一部を固定ディスクにより固定するために用いられるシート固定装置、及び、シート固定装置に用いる治具装置、並びに、下地に対し防水シートの一部を固定ディスクによる機械的固定工法を用いて固定するためのシート固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械的固定工法の後付工法として、アンカー部材が防水シートを貫通して下地に対し固定される固定部材と、固定部材のディスクと防水シートとの間に配置されて防水シートと緩衝材とが摩擦により連動することで防水シートから受ける力を吸収する緩衝材と、ディスクを覆い防水シートに固定される防水部材(パッチ)と、を備えたシート固定装置がある(例えば、特許文献1参照)。
下地上に防水シートが配置された後、弾性変形可能なゴム材やバネからなる緩衝材を介してディスクが配置され、ディスクの貫通穴を通したビスのねじ込みで、ディスクが下地に固定され、そして、ディスクを覆うようにパッチが配置され、パッチの下面を防水シート及びディスクの上面に熱融着又は溶剤で溶着し固定されている。強風の負圧により防水シートが引き上げられた時には、ディスクの下面縁部に沿って配置した緩衝材が弾性変形し、防水シートが直接接触しないので、ディスクの外周部の角による防水シートの破損を防いでいる。
また、機械的固定工法の先付工法として、接合部に防水シートを接合固定させる固定部材と、固定部材のうち接合部よりも中央側の箇所を下地に支持させるアンカー部材と、固定部材において外端部よりも中央部が曲げ変形し難くなるように規制する規制機構と、が備えられたシート固定ユニットがある(例えば、特許文献2参照)
シート固定ユニットの固定部材が下地に載置され、規制機構の板バネを挿通支持させたアンカー部材が下地に捻じ込まれ、アンカー部材を介して固定部材を下地に支持する。固定部材の平坦面には、ホットメルト接着剤が塗布されて接合部を形成している。次に、固定部材に沿って防水シートが敷設され、防水シート越しに誘導加熱装置を固定部材の平坦面に当て付けて、防水シートの下面及び接合部(ホットメルト接着剤)が溶融されて固定部材の平坦面に熱融着し接合固定されている。強風の負圧により防水シートのうち固定部材で固定されていない箇所が浮き上がって波打つ現象(フラッタリング)が発生した時には、固定部材の曲げ変形可能な各部位(外端部)が曲げ変形することにより、防水シートから接合部に作用する力が低減されて、接合部からの防水シートの剥離や接合部の外端部近傍での防水シートの破れ等が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-034825号公報
【特許文献2】特開2019-031782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、強風の負圧により防水シートのうち固定されていない箇所が浮き上がって波打つ現象(フラッタリング)は、猛烈な台風などの通常想定していない最大風速の暴風が吹く時にも発生する。
しかし乍ら、特許文献1及び特許文献2は、下地に対するディスクや固定部材(固定ディスク)の接着強度が不足するため、猛烈な台風などの暴風が吹くと、下地から防水シートと共に固定ディスクが浮き上がって防水シートの破断原因になるという問題があった。
詳しく説明すると、特許文献1の後付工法には、強風の負圧に伴う緩衝材の弾性(潰れ)変形の限界よりも強い暴風が吹くと、固定ディスクの外周部の角に対し、圧縮限界まで潰れ変形した緩衝材を挟んで防水シートが接触するため、防水シートが破損してしまう。
特許文献2に記載の先付工法には、強風の負圧に伴う固定ディスクの曲げ変形の限界よりも強い暴風が吹くと、接合部から防水シートが剥離することや、接合部の外端部近傍で防水シートが破れてしまう。
また、防水対象面となる下地の面積が広くなることに伴って固定ディスクによるシート固定箇所が増える。それでも後付工法の場合は、露出した固定ディスクをパッチ(保護シート)で覆いヒータにより加熱して加熱接合するため、ヒータによる加熱固定済み箇所と、まだヒータにより加熱接合が行われていない未加熱未固定箇所と、を作業者が容易に見分けることができた。しかし、先付工法の場合は、多数の固定ディスクのすべてが防水シートで覆われてしまうため、ヒータによる加熱固定済み箇所と、まだヒータにより加熱接合が行われていない未加熱未固定箇所と、を作業者が容易に見分け難く、未加熱未固定箇所が残ってしまうことがあった。
このような状況下で、ヒータにより加熱接合されてない未加熱未固定箇所を作業者が容易に見付けて対処可能な装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係るシート固定装置は、下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側との間に対向して積層するように設けられるメッシュシートと、前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱するヒータと、を備え、前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、前記接合被膜は、前記ヒータによる加熱で溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とする。
さらに、このような課題を解決するために本発明に係る治具装置は、下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクに向けて加熱するヒータと、前記被覆シートにおいて前記固定ディスクを覆う部位よりも外側の部位に設置されるセット治具と、前記セット治具に組み付けられる前記ヒータに代えて設置される押さえ治具と、を備え、前記押さえ治具は、前記セット治具に組み付けられた状態で、前記ヒータによる前記被覆シートの加熱部位と圧接する押圧面を有することを特徴とする。
また、このような課題を解決するために本発明に係るシート固定方法は、固定ディスクの裏側と下地の表側との間にメッシュシートを対向して積層するように配置する挟み込み工程と、前記下地の表側に対して防水シートの一部を前記固定ディスクで固定するディスク固定工程と、前記固定ディスクの表面に沿って被覆シートを配置する重ね合わせ工程と、ヒータで前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱する加熱工程と、を含み、前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記接合被膜が溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態(第一実施形態)に係るシート固定装置の全体構成を示す説明図であり、図1(a)が部分的な縦断正面図で更に要部を部分拡大して示し、図1(b)が部分的な一部切欠平面図である。
図2】本発明の実施形態(第一実施形態)に係る治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す説明図であり、図2(a)が加熱工程の部分的な縦断正面図、図2(b)が押圧工程の部分的な縦断正面図である。
図3】本発明の実施形態(第二実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
図4】本発明の実施形態(第三実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
図5】本発明の実施形態(第四実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
図6】本発明の実施形態(第五実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す説明図であり、図6(a)が部分的な縦断正面図で更に要部を部分拡大して示し、図6(b)が部分的な一部切欠平面図である。
図7】本発明の実施形態(第六実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
図8】本発明の実施形態(第七実施形態)に係るシート固定装置及び治具装置並びにシート固定方法の全体構成を示す部分的な縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るシート固定装置Aは、図1図8に示すように、建物の屋根,屋上,ベランダ,バルコニーなどやその他の構造物などを防水する防水工法に用いられ、防水対象面となる下地Bに対して、防水シートCの一部を固定ディスク1により取り付ける固定構造である。
下地Bの材料としては、金属製,軽量発砲コンクリートなどを含むコンクリート製,木質製などが挙げられる。
防水シートCは、耐久性,加熱接着や溶剤による溶着接合性の点から塩化ビニル樹脂やその他の合成樹脂からなり、厚さが1.0~2.0mmの塩化ビニル樹脂系シートを用いることが好ましい。防水シートCの構造は単層体でも良いが、寸法安定性や強度の点から複数のシート層の間にガラス繊維やポリエステル繊維の織物や不織布などの繊維層が積層された複合シートや補強複合シートを用いることが好ましい。
このような下地Bに対する防水シートCの取り付けに固定ディスク1を用いる防水工法は、機械的工法(絶縁防水工法)と呼ばれ、一般的には下地Bの下地面に沿って断熱材Dが敷設される場合が多い。断熱材Dは、スチレン樹脂,イソシアヌレート樹脂,硬質ウレタン樹脂,フェノール樹脂などで形成される。
この場合には、下地Bの表側に沿って敷設される断熱材Dに対し、防水シートCの一部を固定ディスク1により固定するシート固定装置Aとなる。
【0008】
この種の機械的固定工法は、図1(a)(b)~図5に示されるような防水シートCの敷設後に固定ディスク1を固定する後付工法(後付固定工法)と、図6(a)(b)~図8に示されるような防水シートCの敷設前に固定ディスク1を固定する先付工法(先付固定工法)と、がある。
後付工法及び先付工法のどちらも下地Bを覆う防水シートCは、所定間隔毎に配置された複数の固定ディスク1により点状に固定されており、これら固定箇所を除く大部分は下地Bに対して固定されていない。
このため、防水シートCの非固定箇所は、台風などの強風や暴風に伴う風圧により持ち上げられて波打つ状態(フラッタリング,フラッタリング現象)が発生すると、固定箇所に負荷がかかって破損や破断などの原因となる。
このような問題点を解決するため、本発明の実施形態に係るシート固定装置Aは、下地Bの表側に沿って敷設される防水シートCの一部を固定するために設けられる固定ディスク1と、固定ディスク1の表面1aに沿って設けられる防水性の被覆シート2と、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との間にそれぞれ対向して積層するように設けられるメッシュシート3と、を主要な構成要素として備えている。
更に加えて、固定ディスク1の裏面1bに沿って設けられる補強層4を備えることが好ましい。
また、被覆シート2の表側面2bから固定ディスク1やメッシュシート3などに向けて加熱するヒータHを備えている。ヒータHの使用時には、治具装置Jを用いることが好ましい。
【0009】
固定ディスク1は、アルミニウム,ステンレス,鋼材などの金属を含む導電材料(導電体)又はそれに類似する硬質材料により、フラットな円形や多角形などの板状に形成される。特に固定ディスク1は、その表面1a及び裏面1bが扁平で外周面1cを有し、且つ耐蝕性や強度に優れたアルミニウム板やステンレス板などを用いることが好ましい。また固定ディスク1の材料としては、マルテンサイト系やフェライト系ステンレスなどのような磁性体を用いることも可能である。
固定ディスク1の形状としては、図1(a)(b)~図4図6(a)(b)~図8に示される比較的に肉厚なプレートタイプと、図8に示される比較的に肉薄な椀状の曲板タイプなどがある。固定ディスク1の厚みは、約1.0~1.6mm、詳しくは1.1~1.5mmに設定することが好ましい。固定ディスク1の大きさ(直径)は、約55~65mm、詳しくは60~65mmに設定することが好ましい。
固定ディスク1の中央には、ビス,ボルトなどの締結部材やアンカー,釘などの固定部材からなる固定具1sが挿通される固定孔1dを開穿する。固定孔1dの形状は、固定具1sの頭部と嵌合して固定ディスク1の裏面1bから厚み方向へ突出する座ぐり1eを折曲成形することが好ましい。これにより、固定ディスク1の強度アップが図れる。
【0010】
固定ディスク1の具体例として図1図8に示される場合には、下地Bに沿って敷設された断熱材Dの所定箇所、又は断熱材Dに沿って敷設した防水シートCの所定箇所に対し、固定ディスク1が後述するメッシュシート3を介して配置され、固定ディスク1の固定孔1dに挿通した固定具1sで、固定ディスク1が下地Bや断熱材Dなどに対して移動不能に取り付けられる。この取付け状態では、固定ディスク1の裏面1bから突出した座ぐり1eが、直接的に後述するメッシュシート3や断熱材Dに嵌入されるか、又はメッシュシート3や防水シートCを貫通して断熱材Dに嵌入される。これにより、断熱材Dや防水シートCに対して固定ディスク1が位置ズレ不能に固定される。
さらに図示例の場合、固定ディスク1は、表面1aに貫通状又は凹状の窪み部1fを有している。詳しく説明すると、固定ディスク1の固定孔1dと外周面1cとの間には、貫通状又は凹状の窪み部1fが複数形成されている。複数の窪み部1fは、対称形状となるように4個,6個,8個など、それぞれ周方向へ所定間隔毎に配置される。複数の窪み部1fとしては、加工性に優れた円形の貫通孔が好ましい。複数の窪み部1fの大きさは、直径を約3~5mmに設定することが好ましい。
【0011】
被覆シート2は、防水シートCと同様な材料で防水シートCと別個又は一体的に形成され、固定ディスク1の表面1aを覆うように配置して、その裏側面2aが固定ディスク1の表面1aと厚み方向に対向して密閉状に接合固定される。固定ディスク1の表面1aに沿って重ね合わされた被覆シート2の表側面2bは、後述するヒータHと厚み方向に対向するように配置される。このため、被覆シート2において固定ディスク1を覆う重ね合わせ部位2cは、重ね合わせ部位2cよりも外側の環状部位2dや、環状部位2dよりも外側の周囲部位2eに比べて厚み方向に最も突出して、その表側面2bが全体的に階段形状となる。
また図示例のように固定ディスク1が表面1aに貫通状又は凹状の窪み部1fを有する場合、被覆シート2は、後述するヒータHによる加熱で窪み部1fに入り込む凹部2fを有する。詳しく説明すると、被覆シート2において複数の窪み部1fを覆う部位が、ヒータHの加熱によって固定ディスク1の複数の窪み部1fに入り込む凹部2fとなる。
さらに、被覆シート2の詳細な構成は、後付工法と先付工法で異なる。
図1(a)(b)~図5に示した後付工法で用いられる被覆シート2は、防水シートCと別個に固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される保護シート2′であり、固定ディスク1の表面1aと、その周囲に配置される防水シートCの防水表面Caの一部とに亘って、これらを覆うように配置され、その裏側面2aが全体的に接合固定される。
被覆シート2となる保護シート2′の外周端面2оは、防水シートCの防水表面Caに亘り、シーラ2sで密閉されている。
また、図6(a)(b)~図8に示した先付工法で用いられる被覆シート2は、下地Bを覆うように敷設される防水シートCの一部として形成され、固定ディスク1の表面1aと対向する裏側面2aが部分的に接合固定される。
【0012】
さらに、少なくとも固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aとの間には、後述するヒータHのよる加熱で溶融可能な接着材料からなる接着層gを形成することが好ましい。
接着層gの接着材料としては、ホットメルト接着剤などの熱可塑性接着剤を用いることが好ましい。具体例としては、ポリエステル樹脂系接着剤やポリアミド(ナイロン)系接着剤など、詳しくは融点又はR&B軟化点が100~160℃のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。また、その他の例として熱硬化性接着剤、例えば150℃以上で硬化開始するアクリル樹脂系接着剤を用いることも可能である。
接着層gの形成方法は、スプレー,刷毛やローラー,浸漬塗布により被覆するか、又はフィルムを積層するか、若しくは液状接着剤の塗工後にディスク形状にプレス加工することなども可能である。
接着層gの具体例として図1図8に示される場合には、固定ディスク1の表面1aに加えて、固定ディスク1の裏面1b及び外周面1cや複数の窪み部1fの内面にもホットメルト接着剤などからなる接着層gを積層形成している。
【0013】
メッシュシート3は、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との間に挟み込むように配置され、固定ディスク1よりも大きく形成することが好ましい。固定ディスク1が円形の板状に形成される場合には、メッシュシート3が固定ディスク1よりも大径な円形の薄板状となる。
メッシュシート3は、シート状に織り込まれた金属メッシュ3aと、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目に形成される接合被膜3bと、を有する。
金属メッシュ3aは、アルミニウム,ステンレス,鋼材などの金属を含む導電材料(導電体)又はそれに類似する硬質材料からなる線材が用いられ、縦線と横線が一定間隔を保ちながら一本ずつ相互に交わる平織りや、縦線と横線が一定間隔を保ちながら相互に二本以上ずつ乗り越える綾織りなどの織り方で、少なくとも金属メッシュ3aの厚み方向へは屈曲変形可能に作成される。
金属メッシュ3aとなる線材の太さは、約0.1mm~0.3mm、詳しくは約0.15mm~0.2mmに設定することが好ましい。
接合被膜3bは、塩化ビニル樹脂(PVC)などの熱可塑性樹脂がディッピングによって、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目を覆うように被覆形成されて、金属メッシュ3aの厚みよりも若干厚くなる。詳しく説明すると、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目を熱可塑性樹脂の貯留スペースとして、PVCなどのコート材料を浸漬成形(ディップコーティング:浸漬塗布成形や浸漬塗装)することにより、表面のみの一般的なコーティングなどに比べて多量のコート材料が均一厚みで一体的に保持される。浸漬成形時にコート材料の液ダレが発生しないように金属メッシュ3aの網目は、各網目の間隔を約1mm~3mm、詳しくは約1mm~2mm程度に設定することが好ましい。また、金属メッシュ3aから接合被膜3bの剥離を防止するために、金属メッシュ3aを加熱活着型接着剤でプライマー処理した後にPVCなどのコート材料を浸漬成形することが好ましい。これにより、接合被膜3bのコート材料は、後述するヒータHによる加熱で溶融して固定ディスク1の裏側と下地Bの表側に対する接着面3cとなる。
さらに必要に応じて、メッシュシート3の裏側には、アルミニウム,ステンレスなどの導電材料(導電体)からなる発熱層3dと、ガラス繊維などの芯材の表面にホットメルト接着剤などの接着剤をコートした補強シート3eとが積層され、接着剤による貼り付け又は液溶着でメッシュシート3と発熱層3dと補強シート3eを一体化することも可能である。
【0014】
補強層4は、防水シートCと同様な材料からなる単層体,防水シートCよりも強度や耐久性に優れた織物などからなる積層体などで、固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される。特に、補強層4は、アルミ箔などの導電材料からなる層を一体的に設けるか又は積層して、電磁誘導により発熱させることが好ましい。
なお、補強層4の材料は、前述した織物や導電材料と異なる補強体を組み合わせることで強度や耐久性が向上した補強構造となるように変更することも可能である。
このため、補強層4は、固定ディスク1の裏面1bに沿って配置されることにより、固定ディスク1の外周面1cから径方向へ突き出る突出部4aを有する。
補強層4において防水シートCや被覆シート2と対向する面には、ホットメルト接着剤などの接着剤からなる接着部(図示しない)が形成され、後述するヒータHのよる加熱で溶融接合させることが好ましい。
【0015】
ヒータHは、被覆シート2の表側から加熱して、メッシュシート3の接合被膜3bなどを溶融させる熱源である。
ヒータHとしては、電磁誘導の原理を利用して金属などを加熱させる誘導加熱装置Hi,熱風ヒータ,熱線ヒータなどが挙げられる。特に、誘導加熱装置Hiの先端部に平滑な加熱面(照射部)Haを突出形成したものが用いられ、加熱面Haを被覆シート2の表側面2bに圧接させることが好ましい。
加熱面Haは、金属などの耐熱性に優れた硬質材料や、シリコーンゴムなどの耐熱性に優れ且つ弾性変形可能な材料で、固定ディスク1と略同じ大きさの円形状、又は固定ディスク1よりも大きな円形状に形成される。
ヒータHの一例として図1図8に示される場合には、被覆シート2の重ね合わせ部位2cの表側面2bと対向するように誘導加熱装置Hiが組み付けられ、誘導加熱装置Hiの加熱面Haを、被覆シート2の重ね合わせ部位2cの表側面2bに当接させている。このため、誘導加熱装置Hiの重量により、被覆シート2において固定ディスク1を覆う重ね合わせ部位2cの裏側面2aが、固定ディスク1の表面1aに圧接される。誘導加熱装置Hiの外周面には、段部Hbが形成されて、加熱面Haを有する先端部が基端部よりも小さくなるようにしている。
また、ヒータHの他の例として図示しないが、誘導加熱装置Hiの加熱面Haと被覆シート2の重ね合わせ部位2cの表側面2bとの間に、空気やそれ以外の絶縁性ガスからなる空間部を形成することや、ガラス,プラスチックなどの非導電材料(絶縁体)からなるスペーサーを挟んで誘導加熱装置Hiの加熱面Haを被覆シート2の重ね合わせ部位2cの表側面2bに当接させることも可能である。この際、空間部の間隔やスペーサーの厚み寸法は、誘導加熱装置Hiの加熱面Haから誘導加熱が、被覆シート2の重ね合わせ部位2cの表側面2bまで確実に照射される範囲内に設定される。さらに、誘導加熱装置Hiの外周面に段部Hbを形成しなくともよい。
【0016】
治具装置Jは、固定ディスク1の表面1aに沿って設けられる被覆シート2を、ヒータH(誘導加熱装置Hi)で加熱(誘導加熱)する際に用いるものであり、図2(a)(b)に基づいて詳細に説明する。
治具装置Jは、被覆シート2において固定ディスク1を覆う重ね合わせ部位2cよりも外側の環状部位2d及び周囲部位2eに設置されるセット治具J1と、セット治具J1に対しヒータHに代えて設置される押さえ治具J2と、を主要な構成要素として備えている。
セット治具J1は、硬質ゴムなどのゴム材,プラスチック,板状の紙材,木材やガラスなどの非導電材料(絶縁体)で、その中央に誘導加熱装置Hiの先端に突設した加熱面Haが挿入される貫通孔Jaを有する円柱状又は角柱状に形成される。セット治具J1において被覆シート2の環状部位2dや周囲部位2eと対向するセット治具J1の一端面には、環状部位2dや周囲部位2eの階段形状と嵌め合う凹凸面Jbが形成される。セット治具J1の他端面には、誘導加熱装置Hiの外周面に形成された段部Hbと係合する係止部Jcを形成することが好ましい。
押さえ治具J2は、セット治具J1に組み付けられるヒータHの代用品であり、比重が大きい金属などで、ヒータHの加熱面Haを有する先端部と同じ形状及びサイズに形成され、その先端面には、セット治具J1に組み付けられた状態で、ヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hと圧接する押圧面Jpを有する。
押さえ治具J2の基端面は、重しJ3が載せられる平滑な載置面Jqを有することが好ましい。押さえ治具J2の外周面は、誘導加熱装置Hiの段部Hbに相当する係止段部Jrを形成することが好ましい。
一方、先付工法では、固定ディスク1が防水シートCで覆われるため、作業者が固定ディスク1の配置箇所を見失い易く、セット治具J1の設置に困難する可能性もある。そこで、このような場合には、磁性体からなる固定ディスク1とマグネット(磁石:図示しない)を用い、防水シートCで固定ディスク1が覆われた後に、防水シートCを挟んで固定ディスク1に対しマグネットを吸い付けることが好ましい。これにより、マグネットが目印となって固定ディスク1の配置箇所を発見し易くなって、固定ディスク1に対するセット治具J1の設置作業も容易になる。
【0017】
そして、本発明の実施形態に係るシート固定装置Aを用いられるシート固定方法は、図1(a)(b)~図2(a)(b)などに示されるように、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との間にメッシュシート3をそれぞれ対向して積層するように配置する挟み込み工程と、防水シートCの一部を固定ディスク1で固定するディスク固定工程と、固定ディスク1の表面1aに沿って被覆シート2を配置する重ね合わせ工程と、ヒータHで被覆シート2の表側面2bから固定ディスク1を介してメッシュシート3に向け加熱する加熱工程と、を主要な工程として含んでいる。
さらに、ヒータHで加熱された被覆シート2の表側面2bを固定ディスク1の表面1aに向けて加圧する押圧工程を含むことが好ましい。
加熱工程では、図2(a)に示されるように、ヒータHの加熱により、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融して、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側に対する接着面3cとなる。
押圧工程では、図2(b)に示されるように、ヒータHに代えて押さえ治具J2や重しJ3を用いることにより、ヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hが、固定ディスク1の表面1aに対して加圧される。
【0018】
次に、本発明の実施形態に係るシート固定装置Aを、後付工法に用いた第一実施形態~第四実施形態と、先付工法に用いた第五実施形態~第七実施形態について説明する。
図1(a)(b)~図2(a)(b)に示される第一実施形態のシート固定装置A1は、固定ディスク1(第一固定ディスク11)の裏面1bと、防水シートC(第一防水シートC1)との間に、固定ディスク1よりも大径なメッシュシート3(第一メッシュシート31)が配置され、下地B,断熱材Dに対して移動不能に取り付けられた固定ディスク1の表面1aから防水シートCの防水表面Caの一部に亘って、被覆シート2となる保護シート2′(第一保護シート21)を被せた後付工法である。図示例では、固定ディスク1として肉厚なプレートタイプを用いている。
ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融されて、固定ディスク1の裏面1bと防水シートCの防水表面Caとを接着固定すると同時に、被覆シート2(保護シート2′)の環状部位2dの裏側面2aとメッシュシート3の外周部3оが溶着接合され、被覆シート2(保護シート2′)の周囲部位2eの裏側面2aは、防水シートCの防水表面Caと溶剤で溶着接合される。
【0019】
これに加えて、少なくとも固定ディスク1の表面1aと被覆シート2(保護シート2′)の裏側面2aとの間に接着層gを形成した場合には、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で接着層gが溶融される。このため、被覆シート2(保護シート2′)の重ね合わせ部位2cの裏側面2aと、固定ディスク1の表面1aとが接着層gで接合固定される。
さらに、図示例のように固定ディスク1が表面1aに貫通状又は凹状の窪み部1fを有する場合には、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、被覆シート2(保護シート2′)の重ね合わせ部位2cの一部が熱変形して、複数の窪み部1fにそれぞれ入り込み、被覆シート2(保護シート2′)の重ね合わせ部位2cにおいて窪み部1fを除いて覆う他の部位よりも落ち込んだ凹部2fとなる。このため、凹部2fの裏側は、溶融した接着層gで窪み部1fの内面に対し、凹凸状に接合固定される。
さらに図示例のように、固定ディスク1の裏面1b及び外周面1cや複数の窪み部1fの内面にも接着層gを積層形成した場合には、加熱面Haからの誘導加熱で、接着層gが溶融されて、被覆シート2(保護シート2′)の重ね合わせ部位2cよりも外側の環状部位2dの裏側面2aと、固定ディスク1の外周面1cとが接着層gで接合固定される。
【0020】
その取り付け手順としては、図1(a)(b)のように、防水シートCの上にメッシュシート3を挟んで固定ディスク1が配置され、ビス,ボルトなどの固定具1sで打ち抜いて孔開け加工され、下地B,断熱材D及び防水シートCに対して固定ディスク1が固定具1sで移動不能に取り付けられる。これにより、固定ディスク1が座ぐり1eの有無に関係なく、メッシュシート3の金属メッシュ3aがホツレることがなく強度の低下を防ぐことができる。またメッシュシート3の裏面を防水シートCの防水表面Caに積層して接着剤で貼り付け又は液溶着で一体化すれば、防水シートCに対する位置ズレも防止できる。特に固定ディスク1が座ぐり1eを有する場合には、座ぐり1eに似た形状の窪みが防水シートCのビス孔に向け突出形成されて固定具1sと圧接するため、固定具1sが抜け止めされる。
これに続いて、固定ディスク1に被覆シート2(保護シート2′)を被せた後は、図2(a)のように、保護シート2′の上に治具装置Jのセット治具J1が設置されて、セット治具J1の貫通孔JaにヒータH(誘導加熱装置Hi)の加熱面Haを挿入して組み付け、加熱面Haからの加熱(誘導加熱)により、保護シート2′の重ね合わせ部位2cや固定ディスク1を通して、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融され、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目の接着面3cを挟んで固定ディスク1の裏面1bと防水シートCの防水表面Caとが接着固定される。
これにより、下地Bの表側の防水シートCに対する固定ディスク1の裏側の接着強度を向上させることや、防水シートCの破断強度を向上させることが可能である。
【0021】
その後は、図2(b)のように、セット治具J1の貫通孔JaからヒータHが取り外され、ヒータHに代えて押さえ治具J2が挿入して組み付けられ、押さえ治具J2の載置面Jqに重しJ3を載せることにより、押さえ治具J2及び重しJ3の重量でヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hに対して、押さえ治具J2の押圧面Jpを強く圧接させることができる。
押さえ治具J2及び重しJ3は、ヒータHによる被覆シート2(保護シート2′)の加熱部位2hが冷えるまで組み付け状態が維持され、すべての固定ディスク1に対するヒータHの加熱作業が完了した時などの適当なタイミングで作業者が回収する。
【0022】
図3に示される第二実施形態のシート固定装置A2は、固定ディスク1(第二固定ディスク12)の裏面1bとメッシュシート3(第二メッシュシート32)との間に補強層4(第二補強層42)が配置され、被覆シート2となる保護シート2′(第二保護シート22)と補強層4の突出部4aを接合した構成が、前述した第一実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態と同じものである。
補強層4の突出部4aは、被覆シート2(保護シート2′)の環状部位2dと対向するように配置され、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、補強層4の突出部4aの表面側と、被覆シート2(保護シート2′)の環状部位2dの裏側面2aと、が段差状に接合固定される。
図2図7に示される例では、塩化ビニル樹脂系シートなどの可塑剤を含む防水シートC,スチレン製の断熱材Dが用いられ、防水シートCと断熱材Dの間には、絶縁層Eを積層している。
絶縁層Eは、ポリエチレンなどの発砲シート又はこれに類似するシート材料などからなり、防水シートCに含まれた可塑剤によりスチレン製の断熱材Dが浸食されることを防止している。
【0023】
図4に示される第三実施形態のシート固定装置A3は、固定ディスク1(第三固定ディスク13)の裏面1bとメッシュシート3(第三メッシュシート33)との間に配置された補強層4(第三補強層43)の突出部4a及びメッシュシート3の外周部3оを、被覆シート2となる保護シート2′(第三保護シート23)と防水シートC(第三防水シートC3)の間に接合した構成が、前述した第一実施形態や第二実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態や第二実施形態と同じものである。
補強層4の突出部4aとメッシュシート3の外周部3оは、被覆シート2(保護シート2′)の周囲部位2eの裏側面2aと、防水シートCの防水表面Caとの間に挟まれるように配置され、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で接合固定される。
【0024】
図5に示される第四実施形態のシート固定装置A4は、固定ディスク1(第四固定ディスク14)が肉薄な椀状の曲板タイプである構成が、前述した第一実施形態や第二実施形態や第三実施形態とは異なり、それ以外の構成は第一実施形態や第二実施形態や第三実施形態と同じものである。
図示例の場合には第二実施形態のように、肉薄な椀状の曲板タイプである固定ディスク1の裏面1bに沿って配置された補強層4(第四補強層44)と、防水シートC(第四防水シートC4)との間にメッシュシート3(第四メッシュシート34)を挟み込でいる。
その他の例として図示しないが、第一実施形態や第三実施形態の図示例に記載の固定ディスク1を、肉厚なプレートタイプから肉薄な椀状の曲板タイプに置き換えることが可能である。また、後述する五実施形態~第七実施形態の図示例に記載の固定ディスク1を、肉厚なプレートタイプから肉薄な椀状の曲板タイプに置き換えることも可能である。
これらのように固定ディスク1として、肉厚なプレートタイプから肉薄な椀状の曲板タイプに置き換えても、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との間に、メッシュシート3を配置することにより、肉厚なプレートタイプと同様に、下地Bの表側に対する固定ディスク1の裏側の接着強度を向上させることや、防水シートCの破断強度を向上させることが可能である。
【0025】
図6(a)(b)に示される第五実施形態のシート固定装置A5は、固定ディスク1(第五固定ディスク15)の裏面1bと、断熱材Dとの間に、固定ディスク1よりも大径なメッシュシート3(第五メッシュシート35),発熱層3d及び補強シート3eが一体化された積層体を配置し、下地B及び断熱材Dに対して移動不能に取り付けられた固定ディスク1の表面1aと、断熱材Dの表面側とに亘って防水シートC(第五防水シートC5)を被せた先付工法である。このため、防水シートCの一部である固定ディスク1を覆う重ね合わせ部位2cが被覆シート2となる。ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融されて、固定ディスク1の裏面1bと断熱材Dの表面側を接着固定すると同時に、被覆シート2となる防水シートCの防水裏面Cbが、固定ディスク1の表面1aと、メッシュシート3の外周部3оとに対してそれぞれ溶着接合される。つまり、被覆シート2(防水シートC)の環状部位2dの裏側面2aは、メッシュシート3の外周部3оが溶着接合される。被覆シート2(防水シートC)の周囲部位2eの裏側面2aは、断熱材Dの表面側と溶剤で溶着接合される。
【0026】
また、少なくとも固定ディスク1の表面1aと被覆シート2(防水シートC)の裏側面2aとの間に接着層gを形成した場合には、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、接着層gが溶融される。このため、被覆シート2(防水シートC)の重ね合わせ部位2cの裏側面2aと、固定ディスク1の表面1aとが接着層gで接合固定される。
さらに、図示例のように固定ディスク1が表面1aに貫通状又は凹状の窪み部1fを有する場合には、前述した第一実施形態と同様になる。
その取り付け手順としては、断熱材Dの上にメッシュシート3,発熱層3d及び補強シート3eが一体化された積層体を挟んで固定ディスク1が配置され、ビス,ボルトなどの固定具1sで打ち抜いて孔開け加工され、下地B及び断熱材Dに対して固定ディスク1が固定具1sで移動不能に取り付けられる。
これに続いて、固定ディスク1に被覆シート2(防水シートC)を被せた後は、被覆シート2(防水シートC)の上に治具装置Jのセット治具J1が設置されて、セット治具J1にヒータH(誘導加熱装置Hi)を組み付け、加熱(誘導加熱)により、被覆シート2(防水シートC)の重ね合わせ部位2cや固定ディスク1を通して、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融され、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目の接着面3c,発熱層3d及び補強シート3eを挟んで固定ディスク1の裏面1bと断熱材Dの表面側とが接着固定される。
その後は、前述した第一実施形態と同様に、ヒータHに代えて押さえ治具J2が組み付けられ、押さえ治具J2及び重しJ3の重量でヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hに対して、押さえ治具J2の押圧面Jpを強く圧接させることができる。
【0027】
図7に示される第六実施形態のシート固定装置A6は、固定ディスク1(第六固定ディスク16)の裏面1bとメッシュシート3(第六メッシュシート36)との間に補強層4(第六補強層46)が配置され、被覆シート2となる防水シートC(第六防水シートC6)と補強層4の突出部4aを接合した構成が、前述した第五実施形態とは異なり、それ以外の構成は第五実施形態と同じものである。
補強層4の突出部4aは、被覆シート2(防水シートC)の環状部位2dと対向するように配置され、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、補強層4の突出部4aの表面側と、被覆シート2(防水シートC)の環状部位2dの裏側面2aと、が段差状に接合固定される。
【0028】
図8に示される第七実施形態のシート固定装置A7は、固定ディスク1(第七固定ディスク17)の裏面1bに沿って配置されたメッシュシート3(第七メッシュシート37)の外周部3оなどに対して、被覆シート2となる防水シートC(第七防水シートC7)を、固定ディスク1の表面1aと略同一平面になるように接合した構成が、前述した第五実施形態や第六実施形態とは異なり、それ以外の構成は第五実施形態や第六実施形態と同じものである。つまり、図示例では、第六実施形態のように固定ディスク1の裏面1bとメッシュシート3との間に補強層4(第七補強層47)を配置しているが、第五実施形態のように固定ディスク1の裏面1bとメッシュシート3との間に補強層4(第七補強層47)を配置しなくともよい。
固定ディスク1の外側には、固定ディスク1の厚みに相当する環状スペーサ4bを設けることで、固定ディスク1の表面1aと環状スペーサ4bの表面が略同一平面になるようにしている。環状スペーサ4bの表面には、ホットメルト接着剤などの接着部(図示しない)が形成され、加熱(誘導加熱)で溶融可能にしている。
これにより、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)で、被覆シート2(防水シートC)が固定ディスク1の表面1aと環状スペーサ4bの表面に亘って略同一平面に接合固定される。
【0029】
このような本発明の実施形態に係るシート固定装置A及びシート固定方法によると、ヒータHで被覆シート2の表側面2bから固定ディスク1を介してメッシュシート3に向け加熱することにより、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融して、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目の接着面3cを挟んで固定ディスク1の裏側と下地Bの表側とが接着固定される。
したがって、下地Bの表側に対する固定ディスク1の裏側の接着強度を向上させることができる。
その結果、猛烈な台風などの暴風が吹くと、下地から防水シートと共に固定ディスクが浮き上がり易い従来のものに比べ、下地Bの表側に対して固定ディスク1の裏側が金属メッシュ3aの接着面3cで位置ズレ不能に接着固定されるため、猛烈な台風などの暴風が吹いても防水シートCの破断を防止できる。
【0030】
さらに、図示例のように固定ディスク1が表面1aに貫通状又は凹状の窪み部1fを有し、被覆シート2がヒータHによる加熱で窪み部1fに入り込む凹部2fを有する場合には、ヒータHで被覆シート2の表側面2bから接着層gに向けて加熱することにより、接着層gが溶融して固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aが接合固定される。
これと同時に、被覆シート2において固定ディスク1の窪み部1fを覆う対向部位が、ヒータHによる加熱で熱変形して窪み部1fに入り込み、被覆シート2において窪み部1fを除いて覆う他の部位よりも落ち込んだ凹部2fとなる。
これにより、被覆シート2の裏側面2aにおいて凹部2fの裏側は、溶融した接着層gで窪み部1fの内面に対し、凹凸状に接合固定される。
したがって、固定ディスク1の表面1aと被覆シート2の裏側面2aを凹凸状に接合させながらヒータHの加熱処理による形跡を被覆シート2の表側面2bに残すことができる。
その結果、固定ディスク1の表面1aに対して被覆シート2の裏側面2aが位置ズレ不能に接合され、両者の密着性を向上させて被覆シート2の動きが抑制され、両者間の剥離を長期に亘って防止できる。
さらに、被覆シート2の表側面2bに生じた凹部2fは、加熱作業を確認するための目印(指標)となるため、凹部2fの有無を確認するだけで、ヒータHによる未加熱不接合箇所を簡単に発見できて、作業性や保守性に優れる。
【0031】
特に、メッシュシート3の接合被膜3bが、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、ヒータHによる誘導加熱で溶融させることが好ましい。
この場合には、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目を熱可塑性樹脂の貯留スペースとして浸漬成形することにより、多量の熱可塑性樹脂が均一厚みで一体的に保持された接合被膜3bとなる。ヒータH(誘導加熱装置Hi)の加熱(誘導加熱)で被覆シート2の表側面2bから接合被膜3bを溶融することにより、金属メッシュ3aの表裏両面及び網目の接着面3cを挟んで固定ディスク1の裏側と下地Bの表側とが接着固定される。
したがって、簡単な誘導加熱作業で下地Bの表側に対する固定ディスク1の裏側の接着強度を確実に向上させることができる。
その結果、作業性に優れて防水シートCの破断強度が向上する。
【0032】
図1(a)(b)~図5に示される第一実施形態~第四実施形態のシート固定装置A1,A2,A3,A4によると、下地Bの表側に沿って敷設された防水シートC(C1,C2,C3,C4)の防水表面Caに対し、メッシュシート3(31,32,33,34)を挟んで固定ディスク1(11,12,13,14)が固定された後に、固定ディスク1の表面1a、メッシュシート3の外周部3о及び防水シートCの防水表面Caの一部に亘り、保護シート2′(21,22,23,24)が接合固定される。
したがって、防水シートCの敷設後に固定ディスク1を固定する後付工法で、固定ディスク1の裏側と、防水シートCの防水表面Caとの接着強度を向上させながら、被覆シート2となる保護シート2′との接合強度も向上させることができる。
その結果、強風の負圧に伴う緩衝材の弾性(潰れ)変形の限界よりも強い暴風が吹いた時に、固定ディスクの外周部の角に対し、圧縮限界まで潰れ変形した緩衝材を挟んで防水シートが接触して破損し易い従来の後付工法に比べ、防水シートCに対してメッシュシート3の外周部3оを挟んで保護シート2′が強固に接着固定されるため、暴風が吹いても防水シートCの破断を防止できる。
【0033】
図6(a)(b)~図8に示される第五実施形態~第七実施形態のシート固定装置A5,A6,A7によると、下地Bの表側に対しメッシュシート3(35,36,37)を挟んで固定ディスク1(15,16,17)が固定された後に、固定ディスク1の表面1aや下地Bの表側を覆うように、被覆シート2として防水シートC(C5,C6,C7)が敷設されることにより、防水シートCの一部が、メッシュシート3の外周部3оを挟んで下地Bの表側と接合固定される。
したがって、防水シートCの敷設前に固定ディスク1を固定する先付工法で、固定ディスク1の裏側と下地Bの表側との接着強度を向上させながら、被覆シート2となる防水シートCとの接合強度も向上させることができる。
その結果、強風の負圧に伴う固定ディスクの曲げ変形の限界よりも強い暴風が吹いた時に、接合部からの防水シートの剥離や接合部の外端部近傍で防水シートが破れ易い従来の先付工法に比べ、下地Bの表側に対してメッシュシート3の外周部3оを挟んで防水シートCが強固に接着固定されるため、暴風が吹いても防水シートCの破断を防止できる。
【0034】
また、図2(a)(b)に示される治具装置Jでは、固定ディスク1の上方に被覆シート2を挟んでヒータH(誘導加熱装置Hi)のセット治具J1が設置され、セット治具J1にヒータHの加熱面Haを組み付け、ヒータHにより被覆シート2が加熱(誘導加熱)されるとともに、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融されて接着面3cとなる。その後は、セット治具J1から取り外したヒータHに代えて押さえ治具J2が組み付けられ、押さえ治具J2の重量による加圧で、押さえ治具J2の押圧面JpがヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hと圧接する。これにより、押さえ治具J2の押圧面Jpで被覆シート2の加熱部位2hのみを固定ディスク1の表面1aに対して加圧し続けることが可能になる。
したがって、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)直後にヒータHが無くなっても、被覆シート2の加熱部位2hを集中して加圧保持することができる。
その結果、作業者は一つの加熱(誘導加熱)箇所に留まる必要が無くなり、次の加熱箇所に移動して次の加熱作業を開始でき、作業効率が著しく向上する。
特に、押さえ治具J2の上に重しJ3を載せた場合には、押さえ治具J2の重量に重しJ3の重量が追加されるため、ヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hに対して、押さえ治具J2の押圧面Jpをより強く圧接させることができる。
さらに、ヒータHによる被覆シート2と固定ディスク1との加熱接合作業が完了した後は、シート固定箇所にセット治具J1と押さえ治具J2が残る。このため、後付工法残り配置されたセット治具J1及び押さえ治具J2の位置関係から、作業者がまだヒータHにより加熱接合が行われていない未加熱未固定箇所を推測することが可能となる。
したがって、ヒータHにより加熱接合されてない未加熱未固定箇所を作業者が容易に見付けて対処することできる。
その結果、防水対象面となる下地の面積が広くなることに伴って固定ディスク1によるシート固定箇所が増えても、すべてのシート固定箇所をヒータHで確実に加熱処理できて、ヒータHにより加熱接合されてない未加熱未固定箇所が残らず、安全性が向上するとともに、未加熱未固定箇所を見付けるための手間も減少するので、作業性にも優れる。
また、先付工法の場合には、磁性体からなる固定ディスク1とマグネット(磁石)を用い、防水シートCによる固定ディスク1の被覆後に、防水シートCを挟んで固定ディスク1に対しマグネットを吸い付けることにより、固定ディスク1の配置箇所を発見し易くなって、セット治具J1の設置作業も容易になる。
【0035】
なお、前示の実施形態(第一実施形態~第六実施形態)や図示例では、下地Bと防水シートC又は固定ディスク1との間に断熱材Dを敷設したが、これに限定されず、下地Bに沿って断熱材Dが敷設されることなく直接的に防水シートCを敷設することや、下地Bに対して断熱材Dが敷設されることなく直接的に固定ディスク1を固定してもよい。
さらに、ヒータHとして誘導加熱装置Hiを用いたが、これに限定されず、誘導加熱装置Hiに代えて熱風ヒータや熱線ヒータなどを用いてもよい。
さらに図示例では、固定ディスク1に貫通状又は凹状の窪み部1fを形成したが、これに限定されず、窪み部1fを形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A シート固定装置
1 固定ディスク 1a 表面
2 被覆シート 2′ 保護シート
2a 裏側面 2b 表側面
2c 固定ディスクを覆う部位(重ね合わせ部位)
2d,2e 外側の部位(環状部位,周囲部位)
2h 加熱部位 3 メッシュシート
3a 金属メッシュ 3b 接合被膜
3c 接着面 3о 外周部3о
B 下地 C 防水シート
Ca 防水表面 Cb 防水裏面
H ヒータ J 治具装置
J1 セット治具 J2 押さえ治具
Jp 押圧面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、
前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、
前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側との間に対向して積層するように設けられるメッシュシートと、
前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱するヒータと、を備え、
前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、
前記接合被膜は、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、前記ヒータによる加熱で溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とするシート固定装置。
【請求項2】
前記固定ディスクは、前記下地に向けて固定具が挿通される固定孔と、前記固定孔の周囲に前記固定ディスクの裏面から前記メッシュシートを貫通し前記下地に向け突出して嵌入される座ぐりと、を有する請求項1記載のシート固定装置。
【請求項3】
前記下地の表側に沿って敷設した前記防水シートの防水表面に対し、前記固定ディスクが固定され、
前記メッシュシートが、前記固定ディスクよりも大きく形成され、
前記被覆シートは、前記固定ディスクの前記表面、前記固定ディスクから突出する前記メッシュシートの外周部及び前記防水シートの前記防水表面の一部を覆うように接着固定される保護シートであることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項4】
前記下地の表側に対して固定した前記固定ディスクの前記表面を覆うように前記防水シートが敷設され、
前記メッシュシートが、前記固定ディスクよりも大きく形成され、
前記被覆シートは、前記防水シートの一部として形成され、前記防水シートの防水裏面が前記固定ディスクから突出する前記メッシュシートの外周部を介して前記固定ディスクの前記表面に接合固定されることを特徴とする請求項1又は2記載のシート固定装置。
【請求項5】
記被覆シートにおいて前記固定ディスクを覆う部位よりも外側の部位に設置されるセット治具と、
前記セット治具に組み付けられる前記ヒータに代えて設置される押さえ治具と、を備え、
前記押さえ治具は、前記セット治具に組み付けられた状態で、前記ヒータによる前記被覆シートの加熱部位と圧接する押圧面を有することを特徴とする請求項1記載のシート固定装置
【請求項6】
固定ディスクの裏側と下地の表側との間にメッシュシートを対向して積層するように配置する挟み込み工程と、
前記下地の表側に対して防水シートの一部を前記固定ディスクで固定するディスク固定工程と、
前記固定ディスクの表面に沿って被覆シートを配置する重ね合わせ工程と、
ヒータで前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱する加熱工程と、を含み、
前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、
前記接合被膜は、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、
前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記接合被膜が溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とするシート固定方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
このような課題を解決するために本発明に係るシート固定装置は、下地の表側に沿って敷設される防水シートの一部を固定する固定ディスクと、前記固定ディスクの表面に沿って設けられる被覆シートと、前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側との間に対向して積層するように設けられるメッシュシートと、前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱するヒータと、を備え、前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、前記接合被膜は、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、前記ヒータによる加熱で溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とする
た、このような課題を解決するために本発明に係るシート固定方法は、固定ディスクの裏側と下地の表側との間にメッシュシートを対向して積層するように配置する挟み込み工程と、前記下地の表側に対して防水シートの一部を前記固定ディスクで固定するディスク固定工程と、前記固定ディスクの表面に沿って被覆シートを配置する重ね合わせ工程と、ヒータで前記被覆シートの表側面から前記固定ディスクを介して前記メッシュシートに向け加熱する加熱工程と、を含み、前記メッシュシートは、シート状に織り込まれた金属メッシュと、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に形成される接合被膜と、を有し、前記接合被膜は、前記金属メッシュの表裏両面及び網目に浸漬成形されてなる熱可塑性樹脂であり、前記加熱工程では、前記ヒータの加熱により前記接合被膜が溶融して前記固定ディスクの裏側と前記下地の表側に対する接着面となることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
また、図2(a)(b)に示される治具装置Jでは、固定ディスク1の上方に被覆シート2を挟んでヒータH(誘導加熱装置Hi)のセット治具J1が設置され、セット治具J1にヒータHの加熱面Haを組み付け、ヒータHにより被覆シート2が加熱(誘導加熱)されるとともに、メッシュシート3の接合被膜3bが溶融されて接着面3cとなる。その後は、セット治具J1から取り外したヒータHに代えて押さえ治具J2が組み付けられ、押さえ治具J2の重量による加圧で、押さえ治具J2の押圧面JpがヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hと圧接する。これにより、押さえ治具J2の押圧面Jpで被覆シート2の加熱部位2hのみを固定ディスク1の表面1aに対して加圧し続けることが可能になる。
したがって、ヒータH(誘導加熱装置Hi)による加熱(誘導加熱)直後にヒータHが無くなっても、被覆シート2の加熱部位2hを集中して加圧保持することができる。
その結果、作業者は一つの加熱(誘導加熱)箇所に留まる必要が無くなり、次の加熱箇所に移動して次の加熱作業を開始でき、作業効率が著しく向上する。
特に、押さえ治具J2の上に重しJ3を載せた場合には、押さえ治具J2の重量に重しJ3の重量が追加されるため、ヒータHによる被覆シート2の加熱部位2hに対して、押さえ治具J2の押圧面Jpをより強く圧接させることができる。
さらに、ヒータHによる被覆シート2と固定ディスク1との加熱接合作業が完了した後は、シート固定箇所にセット治具J1と押さえ治具J2が残る。このため、残り配置されたセット治具J1及び押さえ治具J2の位置関係から、作業者がまだヒータHにより加熱接合が行われていない未加熱未固定箇所を推測することが可能となる。
したがって、ヒータHにより加熱接合されてない未加熱未固定箇所を作業者が容易に見付けて対処することできる。
その結果、防水対象面となる下地の面積が広くなることに伴って固定ディスク1によるシート固定箇所が増えても、すべてのシート固定箇所をヒータHで確実に加熱処理できて、ヒータHにより加熱接合されてない未加熱未固定箇所が残らず、安全性が向上するとともに、未加熱未固定箇所を見付けるための手間も減少するので、作業性にも優れる。
また、先付工法の場合には、磁性体からなる固定ディスク1とマグネット(磁石)を用い、防水シートCによる固定ディスク1の被覆後に、防水シートCを挟んで固定ディスク1に対しマグネットを吸い付けることにより、固定ディスク1の配置箇所を発見し易くなって、セット治具J1の設置作業も容易になる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2