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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025304
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02N 11/08 20060101AFI20240216BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240216BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20240216BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
F02N11/08 L
B60R16/02 645D
F02N11/08 X
H02H7/00 L
H02H7/00 K
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128655
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 祐希
(72)【発明者】
【氏名】森本 昌介
(72)【発明者】
【氏名】山根 陽樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雄太
【テーマコード(参考)】
5G053
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA16
5G053BA01
5G053DA01
5G053EC01
5G053FA05
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503EA09
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】システムの低コスト化と信頼性を両立する。
【解決手段】車両の制御装置は、低電圧バッテリ11と電装品9との間を電気的に接続又は遮断すると共に、並列に接続された第1リレー14a及び第2リレー14bを有するリレー機構14と、コントローラ20と、を備える。コントローラ20は、スタータ8の作動要求時には、第1リレー14a及び第2リレー14bを同時に遮断させてDCDCコンバータ7から電装品9に電力供給させる一方、スタータ8の非作動要求時には、DCDCコンバータ7から出力される直流電力を低下させる出力低下制御と、第1リレー14aを接続しかつ第2リレー14bを遮断させるように制御信号を出力する工程、及び、第1リレー14aを遮断させかつ第2リレー14bを接続するように制御信号を出力する工程を行って各工程における充電電流に基づいてリレー機構14の故障を診断する故障診断制御と、を実行する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源として車両に搭載されるエンジン及びモータと、
前記エンジンを始動させるスタータと電気的に接続され、該スタータに直流電流を供給して作動させることで前記エンジンを始動させる低電圧バッテリと、
前記モータと電気的に接続され、該モータに直流電力を供給する高電圧バッテリと、
前記高電圧バッテリと電気的に接続され、該高電圧バッテリから出力される直流電力を降圧するDCDCコンバータと、
前記DCDCコンバータ及び前記低電圧バッテリを接続する電気経路と、
前記電気経路を介して前記DCDCコンバータ及び前記低電圧バッテリのそれぞれと接続された前記車両の電装品と、
前記電気経路に設けられ、前記低電圧バッテリと前記車両の電装品との間を電気的に接続又は遮断するリレー機構と、
前記低電圧バッテリの充電電流を検出する電流センサと、
前記電流センサの検出信号に基づいて、前記DCDCコンバータ、前記スタータ及び前記リレー機構を制御するコントローラと、を備えた車両の制御装置であって、
前記リレー機構は、並列に接続された第1リレー及び第2リレーを有し、
前記コントローラは、前記スタータの作動要求時には、前記第1リレー及び前記第2リレーを同時に遮断させつつ、前記DCDCコンバータを介して前記高電圧バッテリから前記電装品への電力供給がなされた状態で前記スタータが作動するよう、前記リレー機構、前記DCDCコンバータ及び前記スタータに制御信号を出力し、
前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時には、
少なくとも前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値以上である場合に、前記DCDCコンバータから出力される直流電力を、前記充電電流が前記第1閾値未満の場合に比して低下させるよう、前記DCDCコンバータに制御信号を出力する出力低下制御と、
所定の故障診断条件が成立した場合、前記第1リレーを接続しかつ前記第2リレーを遮断させるように前記リレー機構に制御信号を出力する工程と、前記第1リレーを遮断させかつ前記第2リレーを接続するように前記リレー機構に制御信号を出力する工程と、を実行すると共に、各工程における前記低電圧バッテリの充電電流に基づいて、前記リレー機構の故障を診断する故障診断制御と、を実行する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の制御装置において、
前記コントローラは、所定の第1期間にわたって前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値以上である場合に、前記出力低下制御を実行する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記出力低下制御の非実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第1電圧とし、前記出力低下制御の実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第2電圧とすると、
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低く設定され、
前記コントローラは、前記出力低下制御の開始時には、前記第1電圧から前記第2電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に、前記DCDCコンバータの出力電圧を低下させる
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1又は3に記載の車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記低電圧バッテリの充電量又は充電率が第2閾値以上となるまで、前記出力低下制御を継続する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記出力低下制御の非実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第1電圧とし、前記出力低下制御の実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第2電圧とすると、
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低く設定され、
前記コントローラは、前記出力低下制御の終了時には、前記第2電圧から前記第1電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に、前記DCDCコンバータの出力電圧を増加させる
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記低電圧バッテリの充電量又は充電率が第2閾値以上に至る前に、前記出力低下制御を開始してから所定の第2期間が経過しかつ、前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値未満である場合には、前記出力低下制御を終了する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時に第2の故障診断条件が成立した場合に、前記第1リレー及び前記第2リレーを双方とも遮断させるように、前記リレー機構に制御信号を出力する工程を実行すると共に、該工程における前記低電圧バッテリの充電電流に基づいて、前記リレー機構の故障を診断する第2の故障診断制御を実行し、
前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時に、前記故障診断制御よりも前記第2の故障診断制御を優先して実行する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の車両の制御装置において、
前記コントローラは、前記車両の停車時かつ前記電装品への電力供給を停止する際に、前記故障診断制御を実行する
ことを特徴とする車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンと、走行用モータと、スタータ(モータジェネレータ)と、第1バッテリと、走行用モータに接続された高電圧バッテリと、車両の電装品と、第1バッテリ及びスタータを接続する第1電源回路と、コンバータを介して高電圧バッテリ及び電装品を接続する第2電源回路と、第1電源回路及び第2電源回路の間に設けられるリレーと、を備えた車両が開示されている。この車両のリレーは、例えばスタータによるエンジン始動時に、電気的な接続を遮断するように構成されている。その際、スタータには、第1電源回路を介して第1バッテリから電力が供給されることになる。
【0003】
そして、前記特許文献1に係る車両は、高電圧バッテリ及び第1バッテリとは別に、第2バッテリを更に備えている。この第2バッテリは、エンジン始動時等におけるリレーの遮断時に、高電圧バッテリ及び第1バッテリに代わって電装品に電力供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-232674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されているように構成した場合、電装品への確実な電力供給こそ可能になるものの、第2バッテリを追加した分だけ高コスト化を招くため、不都合である。
【0006】
そこで、第2バッテリを追加する代わりに、リレーの遮断時に、コンバータを介して高電圧バッテリから電装品に電力供給することが考えられる。しかしながら、そのように構成した場合、スタータが作動していないとき、つまりリレー接続時には、高電圧バッテリから第1バッテリに大電流が流れるため、リレーにも大電流が流れることになる。
【0007】
特に、第1バッテリによってスタータを作動させた後にリレーを接続した直後は、第1バッテリのSOCが低下しているため、高電圧バッテリから第1バッテリに流れる充電電流は、過渡的に高くなる。過渡的に生じる大電流によって、リレーが故障する可能性がある。
【0008】
こうした課題に対し、耐久性に優れたリレーを用いることが考えられる。しかしながら、そうしたリレーを用いることは、システムの低コスト化が困難になるため不都合である。
【0009】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、システムの低コスト化と信頼性を両立することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らは、耐久性(特に、耐電流性)の低い安価なリレーを複数にわたり用意するとともに、それらを並列接続することで低コスト化することを検討した。複数のリレーを用いることで、1つのリレーを用いる場合よりも大きな電流が流せるようになる。
【0011】
しかしながら、各リレーには、製造バラツキが有る。また、各リレーの経年劣化も考えられる。そのため、いずれか1つのリレーに電流が偏り、そのリレーの耐電流基準値を超過する可能性がある。このことは、システムの信頼性を確保する上で不都合である。
【0012】
そこで、本願発明者らは、リレーを通過する電流が所定閾値以上の場合には、電装品の作動電圧以上となる範囲内で、DCDCコンバータの出力電圧を低下させることを検討した。ところが、本願発明者らが実験検証を重ねた結果、DCDCコンバータの出力電圧を低下させるだけでは、リレー故障を抑制するには不十分であることが分かった。
【0013】
すなわち、本願発明者らが実験検証を通じて得た知見によれば、上述したリレーの製造バラツキ及び経年劣化に加え、リレーを通過する電流の検出誤差等、DCDCコンバータの出力電圧を低下させようとしたときに懸念される制御性も要因となり、極めて稀ではあるが、リレーの耐電流基準値を超過することが新たに分かった。
【0014】
こうした要因に対応するための方策として、DCDCコンバータの出力電圧をさらに低下させることも考えられるが、各電装品の作動電圧以上に保ち、それらの作動を保障するためには、DCDCコンバータの出力電圧をそれ以上低下させることは困難である。
【0015】
以上の知見に基づき、本願発明者らは、安価なリレーの並列接続によってシステムの低コスト化を図りつつも、そうした場合に想定される、電流の偏りに伴うリレー故障については、上述したようにDCDCコンバータの出力電圧を低下させるとともに、複数のリレーを並列接続したときに特有の故障診断技術を実装することを新たに着想した。これにより、本願発明者らは、システムの低コスト化を図りつつも、システムの信頼性を担保するに至った。
【0016】
具体的に、本開示の第1の態様は、駆動源として車両に搭載されるエンジン及びモータと、前記エンジンを始動させるスタータと電気的に接続され、該スタータに直流電流を供給して作動させることで前記エンジンを始動させる低電圧バッテリと、前記モータと電気的に接続され、該モータに直流電力を供給する高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリと電気的に接続され、該高電圧バッテリから出力される直流電力を降圧するDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータ及び前記低電圧バッテリを接続する電気経路と、前記電気経路を介して前記DCDCコンバータ及び前記低電圧バッテリのそれぞれと接続された前記車両の電装品と、前記電気経路に設けられ、前記低電圧バッテリと前記車両の電装品との間を電気的に接続又は遮断するリレー機構と、前記低電圧バッテリの充電電流を検出する電流センサと、前記電流センサの検出信号に基づいて、前記DCDCコンバータ、前記スタータ及び前記リレー機構を制御するコントローラと、を備えた車両の制御装置に係る。
【0017】
そして、前記第1の態様によれば、前記制御装置において、前記リレー機構は、並列に接続された第1リレー及び第2リレーを有し、前記コントローラは、前記スタータの作動要求時には、前記第1リレー及び前記第2リレーを同時に遮断させつつ、前記DCDCコンバータを介して前記高電圧バッテリから前記電装品への電力供給がなされた状態で前記スタータが作動するよう、前記リレー機構、前記DCDCコンバータ及び前記スタータに制御信号を出力し、前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時には、少なくとも前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値以上である場合に、前記DCDCコンバータから出力される直流電力を、前記充電電流が前記第1閾値未満の場合に比して低下させるよう、前記DCDCコンバータに制御信号を出力する出力低下制御と、所定の故障診断条件が成立した場合、前記第1リレーを接続しかつ前記第2リレーを遮断させるように前記リレー機構に制御信号を出力する工程と、前記第1リレーを遮断させかつ前記第2リレーを接続するように前記リレー機構に制御信号を出力する工程と、を実行すると共に、各工程における前記低電圧バッテリの充電電流に基づいて、前記リレー機構の故障を診断する故障診断制御と、を実行する。
【0018】
前記第1の態様によると、第1リレー及び第2リレーを並列接続したことで、システムの低コスト化を図ることができる。そして、スタータの作動要求時には。第1リレーと第2リレーを双方とも電気的に遮断させるとともに、DCDCコンバータから電装品に電力供給を行うことで、従来知られているような低電圧バッテリを複数設ける構成と比較して、システムのさらなる低コスト化を図ることができる。
【0019】
また、低電圧バッテリの充電電流、すなわちリレー機構を通過する電流に応じてDCDCコンバータの出力電圧を低下させる出力低下制御を行うことで、前述のようにシステムを低コスト化した場合における、電流の偏りに伴うリレー故障を抑制することができる。
【0020】
その上で、出力低下制御の制御性等に起因して、極めて稀ではあるが、リレーが故障してしまった場合には、上述した故障診断制御によって、リレーが故障していることを、従来よりも確実に診断することができる。この故障診断制御では、第1リレーと第2リレーを互い違いに開閉したときの充電電流に基づいて、各リレーの故障を診断する。故障診断制御を実装したことで、システムの信頼性を担保することができる。
【0021】
例えば、コントローラは、第1リレー及び第2リレーの非故障時に想定される充電電流からのズレに基づいて、各リレーの故障を診断してもよい。
【0022】
また、本開示の第2の態様によれば、前記コントローラは、所定の第1期間にわたって前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値以上である場合に、前記出力低下制御を実行してもよい。
【0023】
前記第2の態様によると、充電電流が一時的に過大となったのではなく、継続的に過大であると判断されるときに、出力低下制御が実行される。これにより、出力低下制御の実行する機会を最小限に抑制することができる。そのことで、DCDCコンバータの出力変動を抑制することができる。
【0024】
また、本開示の第3の態様によれば、前記出力低下制御の非実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第1電圧とし、前記出力低下制御の実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第2電圧とすると、前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低く設定され、前記コントローラは、前記出力低下制御の開始時には、前記第1電圧から前記第2電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に、前記DCDCコンバータの出力電圧を低下させる、としてもよい。
【0025】
前記第3の態様によると、出力低下制御の開始時に、DCDCコンバータの出力電圧を徐々に低下させる。これにより、DCDCコンバータの出力電圧の急変を抑制することができる。これにより、音響デバイスの音量、照明デバイスの光量等、各電装品の作動状態の急変を抑制することができる。
【0026】
また、本開示の第4の態様によれば、前記コントローラは、前記低電圧バッテリの充電量又は充電率が第2閾値以上となるまで、前記出力低下制御を継続する、としてもよい。
【0027】
前記第4の態様によると、低電圧バッテリの充電量又は充電率が所定以上に高まるまで出力低下制御を継続することで、出力低下制御終了後に低電圧バッテリに流れる充電電流を低く抑えることができる。これにより、第1リレー及び第2リレーの故障を抑制する上で有利になる。
【0028】
また、本開示の第5の態様によれば、前記出力低下制御の非実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第1電圧とし、前記出力低下制御の実行時に前記DCDCコンバータから出力される直流電力の目標電圧を第2電圧とすると、前記第2電圧は、前記第1電圧よりも低く設定され、前記コントローラは、前記出力低下制御の終了時には、前記第2電圧から前記第1電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に、前記DCDCコンバータの出力電圧を増加させる、としてもよい。
【0029】
前記第5の態様によると、出力低下制御の終了時に、DCDCコンバータの出力電圧を徐々に増加させる。これにより、DCDCコンバータの出力電圧の急変を抑制することができる。これにより、音響デバイスの音量、照明デバイスの光量等、各電装品の作動状態の急変を抑制することができる。
【0030】
また、本開示の第6の態様によれば、前記コントローラは、前記低電圧バッテリの充電量又は充電率が第2閾値以上に至る前に、前記出力低下制御を開始してから所定の第2期間が経過しかつ、前記低電圧バッテリの充電電流が第1閾値未満である場合には、前記出力低下制御を終了する、としてもよい。
【0031】
前記第6の態様によると、充電電流が一時的に第1条件を満たした場合、充電電流の検出誤差が想定以上に大きかった場合等、想定外の事象が起こった結果、低電圧バッテリの充電量又は充電率が十分に増加しないときであっても、出力低下制御を強制的に終了させることができる。これにより、出力低下制御からの復帰を確実に行うことができ、出力低下制御の制御性を高めることができる。
【0032】
また、本開示の第7の態様によれば、前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時に第2の故障診断条件が成立した場合に、前記第1リレー及び前記第2リレーを双方とも遮断させるように、前記リレー機構に制御信号を出力する工程を実行すると共に、該工程における前記低電圧バッテリの充電電流に基づいて、前記リレー機構の故障を診断する第2の故障診断制御を実行し、前記コントローラは、前記スタータの非作動要求時に、前記故障診断制御よりも前記第2の故障診断制御を優先して実行する、としてもよい。
【0033】
前記第7の態様によると、第2の故障診断制御を行うことで、DCDCコンバータ及び電装品と、低電圧バッテリと、を各リレーによって遮断できるか否かを判定することができる。DCDCコンバータ及び電装品と低電圧バッテリとを正常に遮断させることは、スタータによる電圧降下の影響を避ける上で有用である。スタータによる電圧降下の影響を避けることは、各電装品を正常に機能させる上で有用である。
【0034】
一方、第1の態様に係る故障診断制御は、DCDCコンバータ及び電装品と、低電圧バッテリと、を各リレーによって接続できるか否かを判定することができる。仮に、DCDCコンバータ及び電装品と、低電圧バッテリとを正常に接続することができず、電気的に遮断された状態にあったとしても、スタータによる電圧降下の影響は、電装品には及ばない。したがって、第2の故障診断制御を優先的に行うことで、スタータによる電圧降下の影響を、可能な限り速やかにかつより確実に抑制することができる。
【0035】
また、本開示の第8の態様によれば、前記コントローラは、前記車両の停車時かつ前記電装品への電力供給を停止する際に、前記故障診断制御を実行する、としてもよい。
【0036】
第1の態様に係る故障診断制御制御は、第1リレー及び第2リレーを互い違いに作動させることになるため、リレー機構に大電流が流れてしまうと、一方のリレーに過度の電流が流れる可能性がある。各リレーの故障を抑制するためには、そうした可能性を排除することが有用である。
【0037】
前記第8の態様によると、本開示に係るコントローラは、第1リレー及び第2リレーの各々に大電流が流れないと想定されるタイミングで故障診断制御を実行する。これにより、故障診断制御時に各リレーの故障を抑制する上で有利になる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように、本開示によれば、システムの低コスト化と信頼性を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、ハイブリッド自動車を示している。
図2図2は、車両の制御装置のブロック図である。
図3図3は、第1制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。
図4図4は、第1制御が実行される際のタイムチャートである。
図5図5は、第2制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。
図6図6は、第2制御が実行される際のタイムチャートである。
図7図7は、第3制御及び第4制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。
図8図8は、第3制御及び第4制御が実行される際のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、車両の制御装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する制御装置は、例示である。
【0041】
(ハイブリッド自動車)
図1に、開示する技術を適用した自動車1(車両の一例)を示す。この自動車1は、電力を利用した走行が可能なハイブリッド自動車である。自動車1は、前輪2F及び後輪2Rの合計4つの車輪を有している。
【0042】
自動車1には、駆動源として、エンジン3及びモータ4が搭載されている。これらが協働して、後輪2Rを駆動する。それにより、自動車1は走行する。自動車1は、後輪駆動車両である。モータ4はまた、駆動源としてだけでなく、回生時には発電機としても利用される。なお、図1におけるエンジン3、モータ4等、各種要素の配置及びサイズは、概念的なものに過ぎず、これに限定されるものではない。
【0043】
この自動車1は、高電圧バッテリ5(図1の「Hi-Bat」)を搭載している。高電圧バッテリ5は、モータ4と電気的に接続されており、該モータ4に直流電力を供給する。モータ4は、高電圧バッテリ5から直流電力が供給されることにより、自動車1の走行用のトルクを発生させる。高電圧バッテリ5には、不図示の給電口を介して接続される。高電圧バッテリ5は、外部電源によって充電される。自動車1は、いわゆるプラグインハイブリッド車である。なお、自動車1は、給電口を省略したハイブリッド車(例えば、いわゆるマイルドハイブリッド車)であってもよい。
【0044】
自動車1には、エンジン3、モータ4の他、駆動系の装置として、インバータ6、DCDCコンバータ7、スタータ8が備えられている。自動車1にはまた、制御系の装置として、コントローラ20が備えられている。
【0045】
加えて、自動車1には、自動車1の電装品9として、照明デバイス9a、音響デバイス9b、ワイパー9cが備えられている。自動車1にはまた、高電圧バッテリ5の他、スタータ8、電装品9等に電力を供給するための低電圧バッテリ11が備えられている。
【0046】
(駆動系の装置)
エンジン3は、例えば化石燃料を燃焼させる内燃機関である。エンジン3はまた、吸気、圧縮、膨張、排気の各サイクルを繰り返すことで回転動力を発生させる、いわゆる4サイクルエンジンである。
【0047】
-エンジンに関連した構成-
エンジン3は、火花点火式エンジンである。なお、エンジン3は、圧縮着火式エンジンであってもよい。エンジン3は、複数の気筒を有している。なお、エンジン3の気筒数は、特定の数に制限されない。
【0048】
エンジン3は、スタータ8及び第1低電圧ケーブル31を介して、車載されている低電圧バッテリ11(図1の「Lo-Bat」)と接続されている。低電圧バッテリ11は、いわゆる鉛蓄電池である。低電圧バッテリ11は、12Vの起電力を有する。低電圧バッテリ11とスタータ8とを結ぶ第1低電圧ケーブル31には、スタータリレー13が介設している。スタータリレー13は、第1低電圧ケーブル31によって形成される電気的な経路を開閉する。
【0049】
詳しくは、スタータリレー13は、コントローラ20から受けた制御信号に基づいて接点を開閉することで、スタータ8及び低電圧バッテリ11の間を電気的に接続(継電、通電)又は遮断(切り離し)する。以下、スタータリレー13がスタータ8及び低電圧バッテリ11を電気的に接続した状態を「接続状態」と呼称するとともに、電気的に遮断した状態を「遮断状態」と呼称する。スタータリレー13は、前記制御信号に基づいて接続状態及び遮断状態のいずれかにスイッチする。
【0050】
低電圧バッテリ11は、前記接続状態ではスタータ8と電気的に接続される。この接続状態では、低電圧バッテリ11は、スタータ8に直流電力を供給することで、該スタータ8を作動させる。スタータ8を作動させることで、エンジン3を始動させることができる。
【0051】
後述のように、低電圧バッテリ11は、第2低電圧ケーブル32を介して後述のDCDCコンバータ7とも接続されている。第2低電圧ケーブル32は、スタータリレー13と低電圧バッテリ11の間の第1低電圧ケーブル31に接続された一端部と、DCDCコンバータ7に接続された他端部と、を有している。DCDCコンバータ7は、高電圧バッテリ5から供給される直流電力を降圧した上で低電圧バッテリ11に供給する。DCDCコンバータ7は、直流電力を低電圧バッテリ11に供給することで、低電圧バッテリ11を充電する。
【0052】
図1に示すように、第1低電圧ケーブル31及び第2低電圧ケーブル32によって形成される第1電気経路41は、スタータ8(より具体的にはスタータリレー13)と、低電圧バッテリ11と、DCDCコンバータ7と、を相互に接続するY回路を形成する。これにより、低電圧バッテリ11からスタータ8へ電力を供給したり、DCDCコンバータ7から低電圧バッテリ11に電力を供給したりすることが可能になる。
【0053】
-モータに関連した構成-
モータ4は、三相の交流によって駆動する永久磁石型の同期モータである。モータ4は、不図示のK0クラッチを介して、エンジン3と直列に配置されている。本実施形態に係る自動車1は、エンジン3、K0クラッチ、モータ4及び不図示の自動変速機の順番で直列に配置された、いわゆるP2式のハイブリッド車である。K0クラッチを分離状態にすることで、エンジン3を自動変速機から切り離すことができる。
【0054】
モータ4は、インバータ6及び高電圧ケーブル33を介して、駆動電源として車載されている高電圧バッテリ5と接続されている。高電圧ケーブル33には、コンタクタ90が介設している。コンタクタ90は、高電圧ケーブル33によって形成される第2電気経路42を開閉する。
【0055】
高電圧バッテリ5は、インバータ6に高電圧の直流電力を供給する。インバータ6は、その直流電力を3相の交流に変換してモータ4に通電する。それにより、モータ4が回転駆動する。また、モータ4は、回生エネルギを、高電圧バッテリ5へ供給する。
【0056】
高電圧バッテリ5は、高電圧ケーブル33を介してDCDCコンバータ7とも接続されている。DCDCコンバータ7は、高電圧バッテリ5と電気的に接続されている。上述したように、DCDCコンバータ7は、高電圧バッテリ5から出力される直流電力を降圧する。本実施形態に係るDCDCコンバータ7は、高電圧の直流電力を、所定の基本電圧の直流電力に降下させ出力する。基本電圧は、例えば13.5V以上かつ15.0V以下の範囲内に設定してもよい。
【0057】
DCDCコンバータ7は、出力電圧の目標値(目標電圧)を、前記基本電圧よりも低い値に変更することができる。DCDCコンバータ7による目標電圧の変更は、例えば、コントローラ20からの制御信号に基づいて行われるようになっている。
【0058】
図1に示すように、第2電気経路42は、コンタクタ90とインバータ6とを結ぶ途中でDCDCコンバータ7へ分岐している。この第2電気経路42は、高電圧バッテリ5(より詳細にはコンタクタ90)と、モータ4(より詳細にはインバータ6)と、DCDCコンバータ7と、を相互に接続するY回路を形成する。これにより、高電圧バッテリ5とモータ4との間で電力を送受したり、高電圧バッテリ5からDCDCコンバータ7に電力を供給したりすることが可能になる。
【0059】
DCDCコンバータ7(その出力側)は、第1低電圧ケーブル31及び第2低電圧ケーブル32を介して低電圧バッテリ11と接続されている。言い換えると、第1低電圧ケーブル31及び第2低電圧ケーブル32によって形成される第1電気経路41は、低電圧バッテリ11及びDCDCコンバータ7を相互に接続する電気経路を構成している。
【0060】
-その他のデバイスに関連した構成-
第1電気経路41のうち第2低電圧ケーブル32によって構成される部分は、電装品9に直流電力を供給するための部分経路41aを構成する。電装品9は、第1電気経路41の部分経路41aを介して低電圧バッテリ11及びDCDCコンバータ7のそれぞれと接続されている。
【0061】
すなわち、本実施形態に係る電装品9は、低電圧バッテリ11及びDCDCコンバータ7のそれぞれから電力供給を受けることができる。これにより、低電圧バッテリ11から電装品9への電力供給と、DCDCコンバータ7から電装品9への電力供給と、を使い分けることが可能になる。
【0062】
本実施形態では、電装品9として照明デバイス9a、音響デバイス9b及びワイパー9cを例示するが、本開示に係る電装品9は、これらのデバイスには限定されない。低電圧バッテリ11から電力供給を受ける任意のデバイスを、電装品9に含めることができる。
【0063】
例えば、照明デバイス9aには、ヘッドライト、ウインカー、ブレーキライト等、自動車1における主な照明機器が含まれる。音響デバイス9bには、いわゆるカーオーディオに加え、ウインカー音等、種々のサウンドを発するためのデバイスも含まれる。
【0064】
なお、部分経路41aは、ヒューズ等を含んだ中継機構15を介して各電装品9と接続されている。部分経路41aはまた、中継機構15を介してコントローラ20とも接続されている。
【0065】
部分経路41aはまた、DCDCコンバータ7及びCAN12(Controller Area Network)も接続している(CAN12については、図2にのみ図示)。それにより、DCDCコンバータ10は、CAN12に低電圧の直流電力を供給する。
【0066】
第1電気経路41には、リレー機構14が設けられている。このリレー機構14は、コントローラ20から受けた制御信号に基づいて設定を開閉することで、低電圧バッテリ11と電装品9との間を電気的に接続又は遮断する。
【0067】
詳しくは、リレー機構14は、部分経路41aにおいて、第1低電圧ケーブル31及び第2低電圧ケーブル32の接続部から、第2低電圧ケーブル32と電装品9との接続部(より詳細には、第2低電圧ケーブル32と、電装品9用の中継機構15との接続部)へと至る途中に設けられている。
【0068】
さらに詳しくは、リレー機構14は、部分経路41aにおいて、第1低電圧ケーブル31及び第2低電圧ケーブル32の接続部から、第2低電圧ケーブル32及びコントローラ20の接続部(より詳細には、第2低電圧ケーブル32と、コントローラ20用の中継機構15との接続部)へと至る途中に設けられている。
【0069】
リレー機構14は、コントローラ20から受けた制御信号に基づいて接点を開閉することで、電装品9及びコントローラ20と、低電圧バッテリ11とlの間を電気的に接続又は遮断する。
【0070】
リレー機構14の接続状態では、電装品9は、低電圧バッテリ11から電力供給を受けることができる。リレー機構14の遮断状態では、電装品9は、低電圧バッテリ11から電力供給を受けることができず、DCDCコンバータ7のみから電力供給を受けることができる。
【0071】
詳しくは後述するが、本実施形態に係るリレー機構14は、並列に接続された第1リレー14a及び第2リレー14bを有している。リレー機構14を接続状態にするためには、第1リレー14a及び第2リレー14bの少なくとも一方を接続状態にする必要がある。リレー機構14を遮断状態にするためには、第1リレー14a及び第2リレー14bを双方とも遮断状態にする必要がある。
【0072】
リレー機構14の故障を診断するためには、リレー機構14を通過する電流を用いることが考えられる。リレー機構14を通過する電流とは、DCDCコンバータ7から出力されて低電圧バッテリ11に入力される充電電流に他ならない。
【0073】
そこで、本実施形態に係る制御装置は、低電圧バッテリ11の充電電流を検出する充電電流センサ51を備えている。この充電電流センサ51は、低電圧バッテリ11の入力端子に設けられている。充電電流センサ51は、コントローラ20と電気的に接続されており、充電電流の検出結果に対応した電気信号をコントローラ20に入力する。
【0074】
なお、図1に例示した各構成要素のうち、少なくともリレー機構14及びコンタクタ90は、自動車1のエンジンルームに収容されている。これにより、リレー機構14及びコンタクタ90の動作音を、エンジンルームによって遮音することができる。
【0075】
(車両の制御装置)
図2は、車両の制御装置のブロック図である。自動車1には、運転者の操作に応じて、エンジン3及びモータ4などを制御し、自動車1の走行をコントロールするために、上述したコントローラ20が設置されている。
【0076】
コントローラ20は、プロセッサ、メモリ、インターフェースなどのハードウエアと、データベースや制御プログラムなどのソフトウエアとで構成されている。なお、図2の制御装置には、一つのコントローラ20が示されているが、制御装置のコントローラは、駆動源(エンジン3及びモータ4)の作動を主に制御するモジュールと、電装品9等、それ以外の要素を主に制御するモジュールとに分かれていてもよい。複数のモジュールに分かれる場合、各モジュールは、CAN12によって接続されていて、互いに電気通信可能に構成される。
【0077】
駆動力制御装置は、車両の走行に関係する各種のパラメータを計測するセンサを備えている。具体的に、制御装置は、前述の充電電流センサ51、エンジン回転センサ52、SOCセンサ53、水温センサ54、モード切替センサ55、ブレーキペダルセンサ57、及び、IGセンサ58を備えている。これらのセンサは、CAN12を介してコントローラ20と電気的に接続されている。
【0078】
エンジン回転センサ52は、エンジン3の回転数(エンジン回転数)を検出し、その検出値に対応する信号を出力する。SOCセンサ53は、低電圧バッテリ11のSOCに対応する信号を出力する。水温センサ54は、エンジン3の冷却水の温度に対応する信号を出力する。
【0079】
モード切替センサ55は、運転者が操作するモード切替スイッチ56の操作に対応する信号(スイッチ操作信号)を出力する。モード切替スイッチ56は、自動車1の走行モードを、後述のHEVモード又はEVモードに切り替えるためのスイッチである。
【0080】
ブレーキペダルセンサ57は、運転者が操作をするブレーキペダル18(図1参照)の操作に対応する信号(ブレーキ操作信号)を出力する。
【0081】
IGセンサ58は、運転者が操作をするプッシュボタン19(図1参照)の操作に対応する信号を出力する。プッシュボタン19は、いわゆるパワースイッチ、イグニッションスイッチであり、電源を投入又は遮断したり、エンジン3を始動又は停止したりする際に操作されるスイッチである。
【0082】
コントローラ20は、これらのセンサが出力した信号を、CAN12を介して受ける。コントローラ20は、CAN12を通じて、エンジン3、インバータ6、DCDCコンバータ7、スタータリレー13、リレー機構14、電装品9へ制御信号を出力する。これにより、コントローラ20は、上述した各センサの信号に基づいて、エンジン3、モータ4、DCDCコンバータ7、スタータ8、リレー機構14、及び、電装品9を制御する。
【0083】
例えば、コントローラ20は、自動車1の走行モードを、少なくともEVモードとHEVモードとに切り替えることができる。EVモードは、Electric Vehicleモードであって、モータ4のみが車両走行用のトルクを出力するモードである。HEVモードは、Hybrid Electric Vehicleモードであって、エンジン3及びモータ4の両方が車両走行用のトルクを出力するモードである。
【0084】
HEVモードとEVモードとの切り替えは、例えばエンジン水温と、高電圧バッテリ5のSOCと、に基づいてコントローラ20が自動的に行ってもよい。HEVモードとEVモードとの切り替えは、モード切替センサ55が出力するスイッチ操作信号に基づいて、運転者の意思を反映するようにコントローラ20が行ってもよい。自動車1は、HEVモードで起動することもできるし、EVモードで起動することもできる。HEVモードで起動する場合、コントローラ20は、自動車1の起動直後にエンジン3を始動させる。EVモードで起動する場合、コントローラ20は、自動車1の起動直後にエンジン3を始動させない。
【0085】
(第1制御~第4制御の概略)
その他、本実施形態に係るコントローラ20は、所定条件が成立したときに様々な制御を行うことができる。例えば、コントローラ20は、スタータ8の作動要求時には、所定の第1制御を実行する。第1制御は、リレー機構14、DCDCコンバータ7、及び、スタータリレー13を関連して作動させる制御であり、エンジン3を始動させる際に行われるように設定されている。
【0086】
この第1制御において、コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bを同時に遮断させつつ、DCDCコンバータ7を介して高電圧バッテリ5から電装品9への電力供給がなされた状態でスタータ8が作動するよう、リレー機構14、DCDCコンバータ7及びスタータ8(具体的にはスタータリレー13)に制御信号を出力する。
【0087】
コントローラ20はまた、スタータ8の非作動要求時には、コントローラ20から入力される制御信号に基づいて、第2制御(出力低下制御)と、第3制御(故障診断制御)と、第4制御(第2の故障診断制御)と、を実行する。第2制御、第3制御及び第4制御は、スタータ8の非作動要求時に行われるという点で共通しているものの、それぞれの実行タイミングは独立している。第2制御、第3制御及び第4制御は、それぞれ、事前に設定された条件が成立したときに開始される。なお、「スタータ8の非作動要求時にあること」は、「スタータリレー13が遮断状態にあること」と言い換えることもできる。
【0088】
第2制御は、主にDCDCコンバータ7及び低電圧バッテリ11に関連した制御であり、例えば、低電圧バッテリ11に充電電流が流れているとき、さらに例示すれば自動車1が走行しているときに行われるように設定されている。
【0089】
この第2制御において、コントローラ20は、少なくとも低電圧バッテリ11の充電電流が第1閾値以上である場合に、DCDCコンバータ7から出力される直流電力を、充電電流が第1閾値未満の場合に比して低下させるよう、DCDCコンバータ7に制御信号を出力する。
【0090】
第3制御は、主にリレー機構14及び低電圧バッテリ11にした制御であり、所定の故障診断条件が成立した場合(例えば、低電圧バッテリ11に充電電流が流れていてかつ、停車時等にエンジン3を停止させた場合)に行われるように設定されている。
【0091】
この第3制御において、コントローラ20は、第1リレー14aを通電させかつ第2リレーを遮断させるようにリレー機構14に制御信号を出力する工程と、前記第1リレーを遮断させかつ前記第2リレーを通電させるようにリレー機構14に制御信号を出力する工程と、を実行すると共に、各工程における低電圧バッテリ11の充電電流に基づいて、リレー機構14の故障を診断する。
【0092】
第4制御は、主にリレー機構14及び低電圧バッテリ11にした制御であり、第2の故障診断条件が成立した場合(例えば、低電圧バッテリ11に充電電流が流れていてかつ、走行モードをEVモードに切り替えた直後の停車時)に行われるように設定されている。
【0093】
コントローラ20は、スタータ8の非作動要求時に、第3制御よりも第4制御を優先して実行するように構成されている。仮に、故障診断条件と第2の故障診断条件とが双方とも成立しているとすると、コントローラ20は、第3制御よりも第4制御を先に開始するとともに、その第4制御が完了した後に、第3制御を開始する。
【0094】
この第4制御において、コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bを双方とも遮断させるように、リレー機構14に制御信号を出力する工程を実行すると共に、該工程における低電圧バッテリ11の充電電流に基づいて、リレー機構14の故障を診断する。
【0095】
以下、第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御のそれぞれの詳細について、順番に説明する。これらの制御のうち、第3制御と第4制御については、同時に説明する。
【0096】
(第1制御の詳細)
図3は、第1制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。図4は、第1制御が実行される際のタイムチャートである。図4の横軸が時間である。
【0097】
-第1制御の制御プロセス-
ステップS101において、コントローラ20は、プッシュボタン19の操作信号に基づいて、自動車1を起動するか否かを判定する。この判定がNOの場合、コントローラ20は、ステップS101の判定を繰り返す。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS102に進める
続くステップS102において、コントローラ20は、電気系の起動準備を行う。具体的に、コントローラ20は、コンタクタ90を接続するとともに、DCDCコンバータ7を起動する。コンタクタ90を接続して第2電気経路42を通電可能にすることで、高電圧バッテリ5から自動車1の各部への電力供給が可能になる。
【0098】
続くステップS103において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7からの電力供給を開始する(DCDCコンバータ7による降圧制御開始)。これにより、高電圧バッテリ5から電装品9へと電力供給したり、高電圧バッテリ5によって低電圧バッテリ11を充電したりすることが可能になる。
【0099】
より詳細には、ステップS103において、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の温度(例えば、鉛蓄電池として構成された場合における鉛の液温)と、低電圧バッテリ11のSOCとに基づいて、DCDCコンバータ7の目標電圧を決定する。コントローラ20は、低電圧バッテリ11の温度が低い場合、当該温度が高い場合と比べて、DCDCコンバータ7の目標電圧を高めに設定する。また、コントローラ20は、低電圧バッテリ11のSOCが低い場合、当該SOCが高い場合と比べて、DCDCコンバータ7の目標電圧を高めに設定する。
【0100】
ところが、自動車1の起動直後のように低電圧バッテリ11の温度が過度に低い場合において、さらに低電圧バッテリ11のSOCが低いものとすると、目標電圧が高めに設定されたことで充電電流が過度に大きくなってしまい、リレー機構14に過度な電流が流れる可能性がある。
【0101】
そこで、DCDCコンバータ7による電力供給の開始直後、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を、前述の基本電圧よりも低めに設定する。出力電圧を低めに設定することで、リレー機構14及び低電圧バッテリ11に突入電流が流れないようにすることができる。なお、出力電圧を低めに設定する処理は、充電電流の大きさが所定閾値以下になったタイミング(例えば、後述のステップS104の判定以前のタイミング)で終了する。この処理が終了すると、DCDCコンバータ7の出力電圧は、前記基本電圧に設定されることになる。
【0102】
続くステップS104において、コントローラ20は、スタータ8の始動が要求されたか否か(スタータ作動要求有り?)を判定する。この判定は、例えばモード切替センサ55、ブレーキペダルセンサ57及びIGセンサ58の検知信号に基づいて行うことができる。例えば、コントローラ20は、ブレーキペダル18が踏まれた状態でプッシュボタン19が所定回数操作された場合において、さらにHEVモードでの起動が要求されているときに、スタータ8の作動が要求されたものと判定する。ステップS104の判定がNOの場合、コントローラ20は、ステップS104の判定を繰り返す。ステップ104の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS105に進める。
【0103】
続くステップS105において、コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bを同時に遮断させる(同時に遮断状態にする)よう、リレー機構14に制御信号を入力する。これにより、低電圧バッテリ11と電装品9との間の電気的な接続は切り離される(遮断される)。一方、DCDCコンバータ7と低電圧バッテリ11との間の電気的な接続も切り離される(遮断される)と共に、DCDCコンバータ7と電装品9との間の電気的な接続は維持される。
【0104】
続くステップS106において、コントローラ20は、スタータリレー13を接続状態にするよう、スタータリレー13に制御信号を入力する。これにより、低電圧バッテリ11とスタータ8とが電気的に接続される。コントローラ20は、DCDCコンバータ7に制御信号を入力することで、DCDCコンバータ7を介して高電圧バッテリ5から電装品9への電力供給がなされた状態で、低電圧バッテリ11から供給される直流電力によってスタータ8を作動させる。
【0105】
言い換えると、ステップS104以前の期間、コントローラ20は、低電圧バッテリ11から電装品9への電力供給を行わせると共に、高電圧バッテリ5から低電圧バッテリ11に充電電流を供給させる。一方、ステップS105以降の期間、コントローラ20は、高電圧バッテリ5から電装品9への電力供給を行わせる。さらに、ステップS106の処理が実行されることで、コントローラ20は、低電圧バッテリ11からスタータ8への電力供給を行わせる。
【0106】
スタータリレー13の接続状態は、所定期間にわたって継続さるようになっている。当該所定時間後、コントローラ20は、スタータリレー13を接続状態から遮断状態に戻すよう、スタータリレー13に制御信号を入力する。ステップS106から続くステップS107及びステップS108の処理は、結果的に又は意図的に、スタータリレー13を遮断状態に戻した後に行われるようになっている。
【0107】
続くステップS107において、コントローラ20は、エンジン3の始動が完了したか否かを判定する。この判定は、エンジン3が完爆したときにYESとなり、完爆していないときにはNOとなる。エンジン3が完爆したか否かの判定は、エンジン回転センサ52の検出信号に基づいて行うことができる。ステップS107の判定がNOの場合、コントローラ20は、ステップS107の判定を繰り返す。ステップ107の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS108に進める。
【0108】
続くステップS108において、コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bを双方とも接続状態に戻すよう、リレー機構14に制御信号を入力する。
【0109】
スタータリレー13を遮断状態に戻すべく、該スタータリレー13に制御信号を入力したタイミングではなく、エンジン3が完爆したことが判定されたタイミングで、コントローラ20は、リレー機構14に制御信号を入力する。これにより、スタータリレー13の作動遅れを考慮してもなおスタータリレー13が確実に遮断状態に戻った状態で、第1リレー14a及び第2リレー14bを双方とも接続状態に戻すことができる。
【0110】
-第1制御のタイムチャート-
例えば、図4の時刻t11でDCDCコンバータ7が低電圧バッテリ11の充電を開始したものとする。この場合、充電を開始した直後は低電圧バッテリ11の温度は低く、SOCも低いものと考えられるため、DCDCコンバータ7の出力電圧は、基本電圧(図4の破線を参照)よりも若干低めに設定される。これにより、低電圧バッテリ11に突入電流が流れることを抑制することができる。低電圧バッテリ11の充電電流は、充電を開始した直後こそ大きな値となるものの、その後、相対的に小さな値に減少し、その値から徐々に減少していくことになる。
【0111】
また、時刻t11から時刻t12に至るまでの期間、第1リレー14a及び第2リレー14bは、接続状態に維持される。その期間中、スタータリレー13は遮断状態に維持される。
【0112】
その後、時刻t12において第1リレー14a及び第2リレー14bが遮断状態に切り替えられると、低電圧バッテリ11の端子電圧は急減し、低電圧バッテリ11の充電電流はゼロまで低下する。その際、スタータリレー13は、依然として遮断状態に維持される。
【0113】
その後、時刻t13においてスタータリレー13が接続状態に切り替えられると、スタータ8が作動する。スタータ8の作動に伴って、それまでゼロに保たれていたエンジン回転数が上昇を開始する。その際、低電圧バッテリ11の端子電圧は、一時的に急減した後、若干上昇する。その際、第1リレー14a及び第2リレー14bは遮断状態に維持されると共に、低電圧バッテリ11の充電電流はゼロのまま推移する。
【0114】
その後、時刻t14においてスタータリレー13が遮断状態に切り替えられると、スタータ8の作動が停止する。これにより、低電圧バッテリ11の端子電圧は、一時的に急増した後、略一定のまま推移する。その際、第1リレー14a及び第2リレー14bは遮断状態に維持されると共に、低電圧バッテリ11の充電電流はゼロのまま推移する。
【0115】
その後、時刻t15において、エンジン3が完爆したものとコントローラ20が判定すると、第1リレー14a及び第2リレー14bが双方とも接続状態に切り替えられる。これにより、低電圧バッテリ11の端子電圧は、DCDCコンバータ7の出力電圧まで増大した後、増大後の値のまま推移する。その際、低電圧バッテリ11の充電電流は、ゼロから急増する。
【0116】
(第2制御の詳細)
図5は、第2制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。図6は、第2制御が実行される際のタイムチャートである。図6の横軸が時間である。
【0117】
-第2制御の制御プロセス-
ステップS201において、コントローラ20は、充電電流センサ51の検出信号に基づいて、低電圧バッテリ11の充電電流を読み込む。
【0118】
続くステップS202、ステップS203及びステップS204において、コントローラ20は、少なくとも充電電流が第1閾値以上である場合に、DCDCコンバータ7から出力される直流電力を、充電電流が第1閾値未満の場合に比して低下させる(より詳細には、徐々に低下させる)よう、DCDCコンバータ7に制御信号を出力する。
【0119】
詳しくは、ステップS202において、コントローラ20は、充電電流が第1閾値以上であるか否かを判定する。この判定がNOの場合、コントローラ20は、図5に例示する制御プロセスからリターンする。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS202からステップS203に進める。第1閾値は、事前に設定されており、コントローラ20に記憶されている。
【0120】
続くステップS203において、コントローラ20は、所定の第1期間にわたって充電電流が第1閾値以上であるか否か(第1閾値以上であることが第1期間にわたって続いているか否か)を判定する。この判定がNOの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS201に戻す。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS203からステップS204に進める。第1期間は、事前に設定されており、コントローラ20に記憶されている。なお、ステップS203は、省略してもよい。
【0121】
続くステップS204において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7に制御信号を出力することで、DCDCコンバータ7から出力される直流電力を、充電電流が第1閾値未満の場合に比して低下させる。
【0122】
詳しくは、第2制御の非実行時にDCDCコンバータ7から出力される直流電力の目標電圧を第1電圧(=基本電圧)とし、第2制御の実行時にDCDCコンバータ7から出力される直流電力の目標電圧を第2電圧とすると、コントローラ20は、第2電圧を第1電圧よりも低く設定する。目標電圧の低下量は、好ましくは0.5V~1.5V、さらに好ましくは1Vに設定してもよい。第2電圧は、低電圧バッテリ11の起電力よりも高く設定すればよい。第2電圧は、少なくとも電装品9の作動電圧以上に設定されている。
【0123】
そして、コントローラ20は、出力低下制御としての第2制御の開始時(つまり、ステップS204の実行時)には、第1電圧から第2電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に出力電圧を低下させる。
【0124】
なお、「連続的に出力電圧を低下させる」とは、図6に例示するように、出力電圧を直線状に低下させることを言う。この場合の変化率とは、直線の傾きを言う。一方、「段階的に出力電圧を低下させる」とは、図示は省略するが、出力電圧を階段状に低下させることを言う。この場合の変化率とは、段差の高さを言う。
【0125】
続くステップS205において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧が第2電圧に到達したか否かを判定する。ステップS205の判定がNOの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS204に戻す。ステップS205の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS205からステップS206に進める。
【0126】
ステップS206において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を第2電圧に保持する。それに併せて、コントローラ20は、第2電圧に保持している期間中の、低電圧バッテリ11の充電量又はSOC(充電率)をモニタする。このモニタは、例えばSOCセンサ53の検出信号に基づいて行うことができる。コントローラ20は、前記出力電圧が第2電圧に到達してからの、低電圧バッテリ11の充電量又はSOC(充電率)の増加量をモニタしてもよい。
【0127】
続くステップS207において、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が第2閾値を上回ったか否かを判定する。この判定がNOの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS207からステップS208に進める。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS207からステップS209に進める。第2閾値は、事前に設定されており、コントローラ20に記憶されている。
【0128】
ステップS208において、コントローラ20は、出力低下制御としての第2制御を開始してから(つまり、ステップS204を開始してから)所定の第2期間が経過したか否かを判定する。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS209に進める。この判定がNOの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS206に戻す。第2期間は、事前に設定されており、コントローラ20に記憶されている。
【0129】
ステップS202において、コントローラ20は、充電電流が第1閾値未満であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS210に進める。この判定がNOの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS206に戻す。
【0130】
ステップS210において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7に制御信号を入力することで、出力低下制御としての第2制御の終了時(つまり、ステップS210の実行時)には、第2電圧から第1電圧に向かって、所定の変化率で連続的に又は段階的に、DCDCコンバータ7の出力電圧を徐々に増加させる。
【0131】
なお、「連続的に出力電圧を上昇させる」とは、図6に例示するように、出力電圧を直線状に増加させることを言う。この場合の変化率とは、直線の傾きを言う。一方、「段階的に出力電圧を増加させる」とは、図示は省略するが、出力電圧を階段状に増加させることを言う。この場合の変化率とは、段差の高さを言う。
【0132】
DCDCコンバータ7の出力電圧が第1電圧(=基本電圧)に到達すると、第2制御が完了する。ステップS206~ステップS210に例示したように、コントローラ20は、基本的には、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が第2閾値以上となるまで、第2制御を継続する。
【0133】
同じくステップS206~ステップS210に例示したように、コントローラ20は、例外的な処理として、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が第2閾値以上に至る前に、第2制御を開始してから所定の第2期間が経過しかつ低電圧バッテリ11の充電電流が第1閾値未満の場合には、タイムアウトしたものとして、第2制御を強制的に終了する。
【0134】
-第2制御のタイムチャート-
例えば、図6の時刻t21で充電電流が第1閾値以上となり、その後、時刻t22で充電電流が第1閾値以上となってから第1期間が経過したものとする。この場合、コントローラ20は、第1期間が経過したことを受けて、第1フラグを0から1に変更する。第1フラグが0から1になったとき、コントローラ20は、第2制御を開始する。第1フラグが1の最中、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を第2電圧に向けて連続的に又は段階的に低下させる。DCDCコンバータ7の出力電圧の低下に伴って、充電電流も単調に低下する。充電電流を低下させることで、リレー機構14が保護される。
【0135】
その後、時刻t23でDCDCコンバータ7の出力電圧が第2電圧に到達したものとする。この場合、コントローラ20は、前記出力電圧が第2電圧に到達したことを受けて、第1フラグを1から0に戻すと共に、第2フラグを1から0に変更する。第1フラグを0に戻したことで、出力電圧の低下が停止する。また、第1フラグと第2フラグが両方とも0の場合、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を第2電圧に保持するハンチング防止制御を実行する。ハンチング防止制御を実行することで、この出力電圧を低電圧バッテリ11の起電力よりも高く保つことができる。そのことで、DCDCコンバータ7と低電圧バッテリ11との間の放電方向を一定に保ち、電気的なハンチングを防止することができる。
【0136】
また、ハンチング防止制御を実行したことで、充電電流は、時刻t21~時刻t22に比して緩やかに低下する。また、コントローラ20は、ハンチング防止制御の実行中に新たに充電された、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率をモニタする。
【0137】
その後、時刻t24で低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が第2閾値に到達したものとする。コントローラ20は、第2閾値に到達したことを受けて、第2フラグを0から1に戻す。第2フラグが1に戻ったことを受けて、コントローラ20は、ハンチング防止制御を終了する。その際、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率のモニタ結果をリセットする。それに併せて、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を第1電圧(=基本電圧)に向けて連続的に又は段階的に上昇させる。DCDCコンバータ7の出力電圧の上昇に伴って、充電電流も単調に上昇する。しかしながら、低電圧バッテリ11を所定量充電したことで、充電電流の上昇は、結果的に抑制される。これにより、リレー機構14を保護することができる。
【0138】
なお、仮に、時刻t24を過ぎても低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が第2閾値に到達せず、それでいて充電電流が第1閾値未満の場合(つまり、充電電流が過大ではないとみなせる場合)を考える。この場合において、時刻t25で、第2制御を開始してからの経過時間が第2期間に到達したものとする。この場合、コントローラ20は、図6の最下段に破線で示したように、第3フラグを0から1に変更する。第3フラグが1に変更された場合、コントローラ20は、DCDCコンバータ7の出力電圧を第1電圧に向けて上昇させることで、第2制御を強制的に終了する。
【0139】
(第3制御の詳細)
図7は、第3制御の制御プロセスを例示するフローチャートである。図8は、第3制御が実行される際のタイムチャートである。図7のフローチャートのうち、ステップS301~S304が第4制御に関連し、ステップS306~ステップS312が第3制御と関連している。図8の横軸が時間である。
【0140】
-第4制御の制御プロセス-
ステップS301において、コントローラ20は、第4制御の実行条件(第2の故障診断条件)が成立しているかを判定する。コントローラ20は、少なくともスタータ8の非作動要求時であって、EVモードでの起動直後かつ停車時、すなわち、エンジン3の始動を伴わない起動直後であってかつ自動車1の停車時であるときに、第4制御の実行条件が成立したと判定する。
【0141】
第4制御の実行条件が成立する場合(ステップS301:YES)、該第4制御を開始するべく、コントローラ20は、制御プロセスをステップS302に進める。一方、第4制御の実行条件が非成立の場合(ステップS301:NO)、第3制御の実行条件(故障診断条件)を判定するべく、コントローラ20は、制御プロセスをステップS306に進める。このように、コントローラ20は、第3制御よりも第4条件を優先的に行うように構成されている。
【0142】
第4制御を構成するステップS302において、コントローラ20は、第1リレー14aと第2リレー14bを双方とも遮断させる(部分経路41aを開く)ように、リレー機構14に制御信号を出力する。
【0143】
続くステップS303~ステップS304において、コントローラ20は、ステップS302における低電圧バッテリ11の充電電流に基づいて、リレー機構14の故障を診断する。
【0144】
具体的に、ステップS303において、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の充電電流を読み込むと共に、該充電電流が第4閾値以上であるか否かを判定する。第4閾値は、予め設定されており、コントローラ20に記憶されている。
【0145】
第1リレー14aと第2リレー14bが双方とも正常に動作する場合、部分経路41aの通電が遮断されて、充電電流はゼロに到達することになる。一方、第1リレー14a及び第2リレー14bの少なくとも一方が故障していた場合、部分経路41aを完全に遮断することができず、充電電流は所定以上の値となる。ゆえに、ステップS303を行うことで、コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bの少なくとも一方が遮断状態にならないこと(部分経路41aを開くことができない:CLOSE故障)を判定することができる。
【0146】
そこで、ステップS303の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS304に進め、CLOSE故障が発生していると判定する。CLOSE故障が発生した場合、コントローラ20は、制御プロセスをさらにステップS305に進める。このステップS305において、コントローラ20は、ディスプレイ等の表示手段を介して、CLOSE故障が発生していることを乗員に報知する。
【0147】
一方、ステップS303の判定がNOの場合、コントローラ20は、ステップS304とステップS305をスキップして制御プロセスを終了する。
【0148】
-第3制御の制御プロセス-
ステップS306において、コントローラ20は、第3制御の実行条件(故障診断条件)が成立しているかを判定する。コントローラ20は、少なくともスタータ8の非作動要求時であって、停車時かつプッシュボタン19の操作による自動車1の電源OFF指示時(例えば、プッシュボタン19の操作によるシャットダウン指示後かつ、DCDCコンバータ7の稼動停止直前)であるとき、或いは、停車時かつ電装品9への電力供給を停止するときに、第3制御の実行条件が成立したと判定する。
【0149】
第3制御の実行条件が成立する場合(ステップS306:YES)、該第3制御を開始するべく、コントローラ20は、制御プロセスをステップS307に進める。一方、第4制御の実行条件が非成立の場合(ステップS306:NO)、コントローラ20は、図7に例示する制御プロセスを終了する。
【0150】
第3制御を構成するステップS307において、コントローラ20は、第1リレー14aを接続し(部分経路41aを閉じる)かつ第2リレー14bを遮断させる(部分経路41aを開く)ように、リレー機構14に制御信号を出力する。
【0151】
続くステップS308において、コントローラ20は、ステップS307における低電圧バッテリ11の充電電流に基づいて、リレー機構14、特に第1リレー14aの故障を診断する。具体的に、ステップS308において、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の充電電流を読み込むと共に、該充電電流が第3閾値未満であるか否かを判定する。第3閾値は、予め設定されており、コントローラ20に記憶されている。
【0152】
第1リレー14aが正常に動作する場合、部分経路41aが電気的に接続されて、充電電流は所定以上の値となる。一方、第1リレー14aが故障していた場合、部分経路41aを完全に接続することができず、充電電流は所定未満の値となる。ゆえに、ステップS308を行うことで、コントローラ20は、第1リレー14aが接続状態にならないこと(部分経路41aを閉じることができない:OPEN故障)を判定することができる。
【0153】
そこで、ステップS308の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS309に進め、第1リレー14aにOPEN故障が発生していると判定する。OPEN故障が発生している場合、コントローラ20は、制御プロセスを前述のステップS305に進め、第1リレー14aにOPEN故障が発生していることを乗員に報知する。
【0154】
一方、ステップS308の判定がNOの場合、コントローラ20は、第1リレー14aにOPEN故障が発生していないと判定する。この場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS310に進めると共に、第1リレー14aを遮断し(部分経路41aを開く)かつ第2リレー14bを接続する(部分経路41aを閉じる)ように、リレー機構14に制御信号を出力する。
【0155】
続くステップS311において、コントローラ20は、ステップS310における低電圧バッテリ11の充電電流に基づいて、リレー機構14、特に第2リレー14bの故障を診断する。具体的に、ステップS311において、コントローラ20は、低電圧バッテリ11の充電電流を読み込むと共に、該充電電流が第3閾値未満であるか否かを判定する。
【0156】
第2リレー14bが正常に動作する場合、部分経路41aが電気的に接続されて、充電電流は所定以上の値となる。一方、第2リレー14bが故障していた場合、部分経路41aを完全に接続することができず、充電電流は所定未満の値となる。ゆえに、ステップS311を行うことで、コントローラ20は、第2リレー14bが接続状態にならないこと(部分経路41aを閉じることができない:OPEN故障)を判定することができる。
【0157】
そこで、ステップS311の判定がYESの場合、コントローラ20は、制御プロセスをステップS312に進め、第2リレー14bにOPEN故障が発生していると判定する。OPEN故障が発生している場合、コントローラ20は、制御プロセスを前述のステップS305に進め、第1リレー14aにOPEN故障が発生していることを乗員に報知する。
【0158】
-第3制御及び第4制御のタイムチャート
例えば、図8の時刻t31でDCDCコンバータ7が低電圧バッテリ11の充電を開始したものとする。この場合、充電を開始した直後は低電圧バッテリ11の温度は低く、SOCも低いものと考えられるため、DCDCコンバータ7の出力電圧は、基本電圧(図4の破線を参照)よりも若干低めに設定される。これにより、低電圧バッテリ11に突入電流が流れることを抑制することができる。低電圧バッテリ11の充電電流は、充電を開始した直後こそ大きな値となるものの、その後、相対的に小さな値に減少し、その値から徐々に減少していくことになる。
【0159】
その後、時刻t31から時刻t32に至る途中で、自動車1がEVモードで起動したものとする。そして、時刻t32で、エンジン3の始動を伴うことなく、EVモードのまま停車したものとする。
【0160】
時刻t32において、コントローラ20は、第3制御を開始する。コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bが遮断状態に切り替えられるように、リレー機構14に制御信号を出力する。第1リレー14a及び第2リレー14bが双方とも正常に遮断状態に切り替わった場合、部分経路41aは電気的に切り離される。この場合、充電電流はゼロまで急減する(図8の最下段の実線を参照)。充電電流の減少に伴って、低電圧バッテリ11の端子電圧は、DCDCコンバータ7の出力電圧よりも低下する。
【0161】
一方、第1リレー14a及び第2リレー14bの少なくとも一方が遮断状態に切り替わらなかった場合、部分経路41aの切り離しには至らない。この場合、充電電流は減少しない、又は、充電電流は少なくともゼロよりも大きな値となる(図8の最下段の破線を参照)。この場合、コントローラ20は、乗員に対し、前述のCLOSE故障が発生していることを報知する。なお、このタイムチャートでは、CLOSE故障が発生していないものとする。
【0162】
その後、EVモードでの停車中の時刻t33において、コントローラ20は、第3制御を終了する。コントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bが双方とも接続状態に切り替えられるように、リレー機構14に制御信号を出力する。この場合、部分経路41aの再接続に伴って、充電電流は、部分経路41aの切り離し時に比して増加する。充電電流の減少に伴って、低電圧バッテリ11の端子電圧は、DCDCコンバータ7の出力電圧まで増加する。
【0163】
なお、時刻t32から時刻t33にかけて、スタータリレー13は、遮断状態に保たれる。すなわち、時刻t32から時刻t33にかけて行われる第3制御は、低電圧バッテリ11とスタータ8とを電気的に切り離した状態で行われるようになっている。
【0164】
その後、EVモードでの停車中の時刻t34において、プッシュボタン19が操作されて自動車1の電源OFFが指示されたものとする。この場合、コントローラ20は、自動車1をシャットダウンする(例えば、DCDCコンバータ7からの電力供給を停止する)前に、第4制御を開始する。コントローラ20は、第4制御の第1工程として、第1リレー14aを接続しかつ、第2リレー14bを遮断するよう、リレー機構14に制御信号を出力する。第1リレー14aが正常に接続状態になっている場合、部分経路41aは電気的な接続を維持する。この場合、充電電流は所定以上に保たれる(図8の最下段の実線を参照)。充電電流が保たれているため、低電圧バッテリ11の端子電圧は、DCDCコンバータ7の出力電圧と同じ値に維持される。
【0165】
一方、第1リレー14aが接続状態になっていない場合、部分経路41aが電気的に切り離されることになる。これは、第4制御を優先して行ったことで、少なくとも第2リレー14bが遮断状態にあることは保証されているためである。
【0166】
この場合、部分経路41aの切り離しに伴って、充電電流はゼロまで急減する(図8の最下段の破線を参照)。この場合、コントローラ20は、乗員に対し、第1リレー14aにOPEN故障が発生していることを報知する。なお、このタイムチャートでは、OPEN故障が発生していないものとする。
【0167】
その後、時刻t35において、コントローラ20は、第4制御の第2工程として、第1リレー14aを遮断しかつ、第2リレー14bを接続するよう、リレー機構14に制御信号を出力する。第2リレー14bが正常に接続状態になっている場合、部分経路41aは電気的な接続を維持する。この場合、充電電流は所定以上に保たれる(図8の最下段の実線を参照)。充電電流が保たれているため、低電圧バッテリ11の端子電圧は、DCDCコンバータ7の出力電圧と同じ値に維持される。
【0168】
一方、第2リレー14bが接続状態になっていない場合、部分経路41aが電気的に切り離されることになる。これは、第4制御を優先して行ったことで、少なくとも第1リレー14aが遮断状態にあることは保証されているためである。
【0169】
この場合、部分経路41aの切り離しに伴って、充電電流はゼロまで急減する(図8の最下段の破線を参照)。この場合、コントローラ20は、乗員に対し、第2リレー14bにOPEN故障が発生していることを報知する。なお、このタイムチャートでは、OPEN故障が発生していないものとする。
【0170】
その後、時刻t36において、コントローラ20は、DCDCコンバータ7からの電力供給を停止するとともに、コンタクタ90を電気的に遮断する。これにより、自動車1のシャットダウンが完了する。
【0171】
(まとめ)
以上説明したように、図1に例示したように第1リレー14a及び第2リレー14bを並列接続したことで、システムの低コスト化を図ることができる。そして、スタータ8の作動要求時には、第1リレー14aと第2リレー14bを双方とも電気的に遮断させるとともに、DCDCコンバータ7から電装品9に電力供給を行うことで、従来知られているような低電圧バッテリ11を複数設ける構成と比較して、システムのさらなる低コスト化を図ることができる。
【0172】
また、図5及び図6に例示したように、低電圧バッテリ11の充電電流、すなわちリレー機構14を通過する電流に応じてDCDCコンバータ7の出力電圧を低下させる出力低下制御(第2制御)を行うことで、前述のようにシステムを低コスト化した場合における、電流の偏りに伴うリレー故障を抑制することができる。
【0173】
その上で、出力低下制御の制御性等に起因して、極めて稀ではあるが、リレーが故障してしまった場合には、図7及び図8に例示した故障診断制御(第3制御)によって、リレーが故障していることを、従来よりも確実に診断することができる。この故障診断制御では、第1リレー14aと第2リレー14bを互い違いに開閉したときの充電電流に基づいて、各リレー14a,14bの故障を診断する。故障診断制御を実装したことで、システムの信頼性を担保することができる。
【0174】
なお、図8の実線及び破線に例示したように、コントローラ20は、例えば第1リレー14a及び第2リレー14bの非故障時に想定される充電電流からのズレに基づいて、各リレー14a,14bの故障を診断することができる。
【0175】
また、図5のステップS203に例示したように、充電電流が一時的に過大となったのではなく、継続的に過大であると判断されるときに、出力低下制御が実行される。これにより、出力低下制御の実行する機会を最小限に抑制することができる。そのことで、DCDCコンバータ7の出力変動を抑制することができる。
【0176】
また、図5のステップS204に例示したように、出力低下制御の開始時に、DCDCコンバータ7の出力電圧を徐々に低下させる。これにより、DCDCコンバータ7の出力電圧の急変を抑制することができる。これにより、音響デバイス9bの音量、照明デバイス9aの光量、及び、ワイパー9cの動作速度等、各電装品9の作動状態の急変を抑制することができる。
【0177】
また、図5のステップS207に例示したように、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が所定以上に高まるまで出力低下制御を継続することで、出力低下制御終了後に低電圧バッテリ11に流れる充電電流を低く抑えることができる。これにより、第1リレー14a及び第2リレー14bの故障を抑制する上で有利になる。
【0178】
また、図5のステップS210に例示したように、出力低下制御の終了時に、DCDCコンバータ7の出力電圧を徐々に増加させる。これにより、DCDCコンバータ7の出力電圧の急変を抑制することができる。これにより、音響デバイス9bの音量、照明デバイス9aの光量、及び、ワイパー9cの動作速度等、各電装品9の作動状態の急変を抑制することができる。
【0179】
また、充電電流が一時的に第1条件を満たした場合、充電電流の検出誤差が想定以上に大きかった場合等、想定外の事象が起こった結果、低電圧バッテリ11の充電量又は充電率が十分に増加しないときであっても、出力低下制御を強制的に終了させることができる。これにより、出力低下制御からの復帰を確実に行うことができ、出力低下制御の制御性を高めることができる。
【0180】
また、図7のステップS301~ステップS304に例示したように、第2の故障診断制御(第4制御)を行うことで、DCDCコンバータ7及び電装品9と、低電圧バッテリ11と、を各リレー14a,14bによって遮断できるか否かを判定することができる。DCDCコンバータ7及び電装品9と低電圧バッテリ11とを正常に遮断させることは、スタータ8による電圧降下の影響を避ける上で有用である。スタータ8による電圧降下の影響を避けることは、各電装品9を正常に機能させる上で有用である。
【0181】
一方、第1の故障診断制御(第3制御)は、DCDCコンバータ7及び電装品9と、低電圧バッテリ11と、を各リレー14a,14bによって接続できるか否かを判定することができる。仮に、DCDCコンバータ7及び電装品9と、低電圧バッテリ11とを正常に接続することができず、電気的に遮断された状態にあったとしても、スタータ8による電圧降下の影響は、電装品9には及ばない。したがって、第2の故障診断制御を優先的に行うことで、スタータ8による電圧降下の影響を、可能な限り速やかにかつより確実に抑制することができる。
【0182】
また、第1の故障診断制御制御は、第1リレー14a及び第2リレー14bを互い違いに作動させることになるため、リレー機構14に大電流が流れてしまうと、一方のリレーに過度の電流が流れる可能性がある。各リレー14a,14bの故障を抑制するためには、そうした可能性を排除することが有用である。
【0183】
そこで、図7のステップS306を用いて説明したように、本実施形態に係るコントローラ20は、第1リレー14a及び第2リレー14bの各々に大電流が流れないと想定されるタイミングで故障診断制御を実行する。これにより、故障診断制御時に各リレー14a,14bの故障を抑制する上で有利になる。
【符号の説明】
【0184】
1 自動車(車両)
3 エンジン
4 モータ
5 高電圧バッテリ
7 DCDCコンバータ
8 スタータ
9 電装品
11 低電圧バッテリ
14 リレー機構
14a 第1リレー
14b 第2リレー
20 コントローラ
41 第1電気経路(電気経路)
41a 部分経路
51 充電電流センサ(電流センサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8