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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025310
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20240216BHJP
   H02K 11/20 20160101ALI20240216BHJP
【FI】
B60S1/08 Z
H02K11/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128666
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 修
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 圭介
【テーマコード(参考)】
3D225
5H611
【Fターム(参考)】
3D225AA01
3D225AC01
3D225AE02
3D225AG02
5H611BB01
5H611UA04
5H611UB01
(57)【要約】
【課題】小型化および軽量化が図られたモータ装置を提供する。
【解決手段】導電体98,99には、それぞれ一対のかしめ突起98f,99cが設けられ、コンタクトプレート100,101の長手方向と交差する短手方向の両側には、折り曲げられた一対のかしめ突起98f,99cがそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け凹部100b,101bがそれぞれ設けられ、これにより導電体98,99とコンタクトプレート100,101とが、互いに電気的に接続される。したがって、従前のような接続孔が不要となり、コンタクトプレート100,101の長手方向と交差する短手方向の寸法を小さくできる。よって、ワイパモータのさらなる小型化や軽量化を実現することが可能となる。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータ部と、
前記回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、
を備えたモータ装置であって、
前記減速機構を収容するハウジングと、
前記ハウジングの開口部を閉塞するカバーと、
前記カバーの内側に装着される組付プレートと、
前記組付プレートに装着される第1導電部材と、
一側が前記第1導電部材に接続され、他側が通電部材に接触される第2導電部材と、
を有し、
前記第1導電部材には、一対のかしめ突起が設けられ、
前記第2導電部材の長手方向と交差する短手方向の両側には、折り曲げられた前記一対のかしめ突起がそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け部が設けられている、
モータ装置。
【請求項2】
前記通電部材は、前記減速機構の減速ギヤにより回転される導電性を備えたリレープレートであり、
前記第2導電部材は、前記リレープレートに摺接し、かつ前記減速ギヤの回転に伴い互いに通電状態または非通電状態となる少なくとも2つのコンタクトプレートである、
請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
少なくとも2つの前記コンタクトプレートに設けられる前記引っ掛け部が、それぞれ前記コンタクトプレートの長手方向において異なる位置に設けられている、
請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記引っ掛け部が、前記第2導電部材の短手方向に窪んでいる、
請求項1に記載のモータ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記第2導電部材の前記引っ掛け部に、前記かしめ突起が押し付けられる弾性変形部が設けられている、
モータ装置。
【請求項6】
前記第2導電部材の縦弾性係数が、前記第1導電部材の縦弾性係数よりも大きい、
請求項5に記載のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸を有するモータ部と、回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、を備えたモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
減速機構を備えたモータ装置は、例えば、自動車等の車両に搭載されるワイパ装置の駆動源に用いられる。これにより、小型でありながら高出力の駆動源を実現でき、車両側の比較的小さなスペースにも容易に搭載可能となる。このような、車両に搭載されるモータ装置が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載されたモータ装置(ワイパ用モータ)は、モータ部(モータ本体)および減速機構部(減速部)を備えている。減速機構部を形成するハウジングおよびカバー(ハウジングカバー)の内部には、減速機構が収容されている。また、カバーの内側には、複数のターミナル部材および3つのコンタクト部材が組付けられた組付プレート(ユニットプレート)が装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-118856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたモータ装置では、組付プレートに組み付けられるターミナル部材およびコンタクト部材は、以下のように互いに接続される。つまり、コンタクト部材に接続孔を設けるとともに、当該接続孔にターミナル部材の起立部を挿通し、この状態で起立部をカシメ治具によりV字状に割りカシメする。これにより、割りカシメ部が接続孔から抜けなくなり、ターミナル部材およびコンタクト部材が互いに接続される。
【0006】
このように、特許文献1に記載の技術では、コンタクト部材に接続孔を設ける必要があるため、当該コンタクト部材の板厚方向と交差する幅方向の寸法を大きくする必要があった。したがって、隣り合うコンタクト部材の接点部の間隔も広くなり、これに伴い3つのコンタクト部材の接点部が摺接される可動接点(リレープレート)や、当該可動接点が装着される回転体も比較的大型となっていた。
【0007】
本発明の目的は、小型化および軽量化が図られたモータ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、回転軸を有するモータ部と、前記回転軸の回転を減速する減速機構を有する減速機構部と、を備えたモータ装置であって、前記減速機構を収容するハウジングと、前記ハウジングの開口部を閉塞するカバーと、前記カバーの内側に装着される組付プレートと、前記組付プレートに装着される第1導電部材と、一側が前記第1導電部材に接続され、他側が通電部材に接触される第2導電部材と、を有し、前記第1導電部材には、一対のかしめ突起が設けられ、前記第2導電部材の長手方向と交差する短手方向の両側には、折り曲げられた前記一対のかしめ突起がそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1導電部材には、一対のかしめ突起が設けられ、第2導電部材の長手方向と交差する短手方向の両側には、折り曲げられた一対のかしめ突起がそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け部が設けられ、これにより第1導電部材および第2導電部材が、互いに電気的に接続される。したがって、従前のような接続孔が不要となり、第2導電部材の長手方向と交差する短手方向の寸法を小さくできる。よって、モータ装置のさらなる小型化や軽量化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両に搭載されるワイパ装置の概要を示す図である。
図2】ワイパモータをカバー側から見た斜視図である。
図3】ワイパモータを出力軸側から見た斜視図である。
図4】ワイパモータの内部構造を示す斜視図である。
図5】カバーの内側を示す斜視図である。
図6】組付プレートを表側から見た斜視図である。
図7】組付プレートを裏側から見た斜視図である。
図8】導電体およびコンタクトプレートの接続部を示す拡大斜視図である。
図9】導電体およびアースプレートの接続部を示す拡大斜視図である。
図10】かしめ作業前の斜視図である。
図11】かしめ作業後の斜視図である。
図12】組付プレートを減速機構側から見た平面図である。
図13】実施の形態2の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図である。
図14図13の接続部のかしめ作業前の拡大断面図である。
図15図13の接続部のかしめ作業後の拡大断面図である。
図16】実施の形態3の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図である。
図17】実施の形態4の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図である。
図18】実施の形態5の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図である。
図19図18の接続部のかしめ作業前の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1は車両に搭載されるワイパ装置の概要を示す図を、図2はワイパモータをカバー側から見た斜視図を、図3はワイパモータを出力軸側から見た斜視図を、図4はワイパモータの内部構造を示す斜視図を、図5はカバーの内側を示す斜視図を、図6は組付プレートを表側から見た斜視図を、図7は組付プレートを裏側から見た斜視図を、図8は導電体およびコンタクトプレートの接続部を示す拡大斜視図を、図9は導電体およびアースプレートの接続部を示す拡大斜視図を、図10はかしめ作業前の斜視図を、図11はかしめ作業後の斜視図を、図12は組付プレートを減速機構側から見た平面図をそれぞれ示している。
【0013】
<ワイパ装置の概要>
図1に示されるように、自動車等の車両10の前方側におけるエンジンルーム(図示せず)には、ワイパ装置20が搭載されている。ワイパ装置20は、運転席側および助手席側に対応して設けられた一対のワイパ部材30を揺動させる。ワイパ部材30は、略棒状に形成されたワイパアーム31を備え、当該ワイパアーム31の長手方向基端側は、車両10に回動自在に設けられたピボット軸11に固定されている。また、ワイパアーム31の長手方向先端側には、ワイパブレード32が装着されている。これにより、ワイパ装置20を駆動することで、ワイパアーム31がフロントガラス12上で揺動される。
【0014】
ワイパ装置20は、ワイパモータ(モータ装置)40を備えている。また、ワイパモータ40は、出力軸41を備え、当該出力軸41と一対のピボット軸11との間には、出力軸41の回転運動を一対のピボット軸11の揺動運動に変換するリンク機構42が設けられている。これにより、ワイパモータ40の作動に伴い、出力軸41の回転運動がリンク機構42を介してピボット軸11の揺動運動となり、ワイパブレード32がそれぞれの下反転位置と上反転位置との間の払拭範囲13において、往復払拭動作する。
【0015】
<ワイパモータ>
図2ないし図4に示されるように、ワイパ装置20を形成するワイパモータ40は、モータ部50および減速機構部60を備えている。モータ部50は、鋼板を深絞り加工等することで段付きの有底筒状に形成されたヨーク51を有し、当該ヨーク51の径方向内側には、合計4つのマグネット(図示せず)が固定されている。また、それぞれのマグネットの径方向内側には、微小隙間(エアギャップ)を介して、アーマチュアコア52が回転自在に設けられている。
【0016】
アーマチュアコア52の回転中心には、丸鋼棒からなる回転軸53が固定されている。回転軸53は、アーマチュアコア52の回転に伴い、アーマチュアコア52と一緒に回転される。また、回転軸53の先端側(図4の左側)には、一対のウォーム54が一体に設けられ、それぞれのウォーム54の捻れ方向は、互いに逆向きとなっている。
【0017】
さらに、回転軸53の長手方向におけるウォーム54とアーマチュアコア52との間には、コンミテータ55が固定されている。コンミテータ55の外周部分には、合計3つのブラシ(図示せず)が摺接される。このように、ワイパモータ40は、ブラシ付きの電動モータであり、エンジンルーム等に設置されるバッテリ等(図示せず)からの駆動電流の供給により、正方向または逆方向に回転駆動される。
【0018】
ワイパ装置20を形成する減速機構部60は、ギヤケース70およびギヤカバー80を備えている。なお、ギヤケース70は、本発明におけるハウジングに相当し、ギヤカバー80は、本発明におけるカバーに相当する。そして、ギヤケース70の内部には、減速機構SD(図4参照)が収容されている。減速機構SDは、回転軸53に設けられた一対のウォーム54と、これらのウォーム54にそれぞれ噛み合わされる一対のカウンタギヤ61と、これらのカウンタギヤ61に噛み合わされる単一の平歯車62とから形成されている。
【0019】
一対のカウンタギヤ61の大径歯部61aには、一対のウォーム54がそれぞれ噛み合わされている。これにより、一対のカウンタギヤ61は、アーマチュアコア52の矢印R1の方向への回転に伴い、それぞれ同じ方向である矢印R2の方向に回転される。また、一対のカウンタギヤ61の小径歯部61bには、平歯車62の歯部62aが噛み合わされている。これにより、平歯車62は、一対のカウンタギヤ61により矢印R3の方向に回転される。
【0020】
これにより、アーマチュアコア52(回転軸53)の高速回転が、一対のウォーム54および一対のカウンタギヤ61により減速されて、平歯車62が低速で回転される。これにより、高トルク化された回転力が、平歯車62の回転中心に固定された出力軸41から、リンク機構42(図1参照)に向けて出力される。なお、平歯車62は、本発明における減速ギヤに相当する。
【0021】
<ギヤケース>
図3に示されるように、減速機構部60を形成するギヤケース70は、溶融されたアルミニウム素材を鋳型に流し込むことで、略お椀状に形成されている。ギヤケース70は、ケース底壁71と、当該ケース底壁71の外縁部から起立するように設けられたケース側壁72と、を備えている。そして、ケース側壁72には、モータ部50(ヨーク51)が、一対の第1固定ねじS1により固定されている。これにより回転軸53に一体に設けられた一対のウォーム54(図4参照)が、ギヤケース70の内部に配置される。
【0022】
ここで、ギヤケース70のケース底壁71には、合計3つの取り付け脚73が一体に設けられている。よって、ワイパモータ40は、これらの取り付け脚73を介して車両10に固定されている。また、ケース底壁71の略中央部分において、平歯車62に固定された出力軸41が、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して回転自在に支持されている。さらに、一対のカウンタギヤ61の中心軸61cにおいても、ギヤケース70のケース底壁71に回転自在に支持されている。
【0023】
<ギヤカバー>
図2および図5に示されるように、減速機構部60を形成するギヤカバー80は、溶融されたプラスチック素材を金型に流し込むことで、略お椀状に形成されている。具体的には、ギヤカバー80は、カバー底壁81と、当該カバー底壁81の外縁部から起立するように設けられたカバー側壁82と、を備えている。そして、ギヤカバー80を、ギヤケース70の開口部を閉塞するように突き合わせた状態において、これらの内部に形成される中空部(図示せず)に、減速機構SD(図4参照)が収容されている。
【0024】
図2に示されるように、ギヤカバー80は、合計4つの第2固定ねじS2により、ギヤケース70に固定されている。また、ギヤカバー80のカバー側壁82には、中空のコネクタ接続部83が一体に設けられている。そして、コネクタ接続部83の内部には、組付プレート90の第1コネクタ部92(図6および図7参照)が装着されている。そして、コネクタ接続部83には、車両10側の外部コネクタ(図示せず)が接続される。これにより、車両10のバッテリ等(図示せず)からワイパモータ40に駆動電流が供給される。
【0025】
さらに、ギヤケース70とギヤカバー80との接続部分、およびギヤケース70とヨーク51との接続部分は、Oリング等のシール部材(図示せず)を介して互いに密封されている。これにより、これらの接続部分からワイパモータ40の内部への雨水等の進入が阻止される。
【0026】
図5に示されるように、ギヤカバー80の内側で、かつカバー底壁81およびカバー側壁82には、それぞれ固定爪81a,82aが一体に設けられている。これらの固定爪81a,82aは、ギヤカバー80の内側に組付プレート90を装着するためのもので、固定爪81a,82aには、組付プレート90が引っ掛けられて固定されている。これにより、ギヤカバー80に対して組付プレート90がガタつくことなく固定される。
【0027】
ここで、カバー底壁81には、減速機構SDを形成する一対のカウンタギヤ61の中心軸61c(図4参照)を支持する一対のカウンタギヤ支持凹部81bが設けられている。なお、減速機構SDを形成する平歯車62(図4参照)は、組付プレート90に設けられた支持ピン95aにより支持されている。また、カバー底壁81には、平歯車62が摺接される複数の摺接リブ81cが設けられている。これらの摺接リブ81cは、一対のカウンタギヤ61よりも大径の平歯車62が傾斜することを抑制する。これにより、ギヤケース70の内部において減速機構SDがガタつくことが抑えられる。
【0028】
<組付プレート>
図5ないし図7に示されるように、組付プレート90は、プラスチック等の樹脂材料(絶縁体)により略板状に形成されている。組付プレート90は、回転軸53(図4参照)の軸方向に延びており、略長方形形状に形成されたプレート本体91を備えている。また、プレート本体91の長手方向一側(図6の左側)には、略箱形状に形成された第1コネクタ部92が一体に設けられている。さらに、組付プレート90の長手方向他側(図6の右側)には、略箱形状に形成された第2コネクタ部93およびコンデンサケース94が一体に設けられている。
【0029】
また、組付プレート90の短手方向一側(図中下側)には、プレート本体91から突出するようにして、略舌形状に形成された舌片部95が一体に設けられている。舌片部95には、平歯車62(図4参照)を回転自在に支持する支持ピン95aが一体に設けられている。なお、支持ピン95aは、プレート本体91の表面91a側に突出されている。
【0030】
<導電体>
組付プレート90には、その長手方向に沿うようにして合計4本の導電体96,97,98,99が装着されている。これらの導電体96,97,98,99は、本発明における第1導電部材に相当し、それぞれ比較的肉厚でかつ導電性に優れた細長い銅板(黄銅製)を屈曲させて形成されている。
【0031】
図7に示されるように、合計4つの導電体96,97,98,99のうちの3本の導電体96,97,98が、第1コネクタ部92からプレート本体91を横切って第2コネクタ部93の所まで延びている。これに対し、他の1本の導電体99は、第1コネクタ部92からプレート本体91の第1コネクタ部92寄りの部分に装着される一対のコンタクトプレート100,101の所まで延びている。すなわち、合計4本の導電体96,97,98,99のうちの1本の導電体99のみが、その他の3本に比べて短くなっている。
【0032】
具体的には、長尺の導電体96,97,98のうちの2本の導電体96,97は、長手方向一側に外部コネクタ側端子96a,97aが設けられ、長手方向他側にモータ側端子96b,97bが設けられ、外部コネクタ側端子96a,97aとモータ側端子96b,97bとの間に、導電本体96c,97cが設けられている。そして、外部コネクタ側端子96a,97aは、第1コネクタ部92に支持され、モータ側端子96b,97bは、第2コネクタ部93に支持されている。また、導電本体96c,97cは、プレート本体91の裏面91bに設けられた第1装着溝91c,第2装着溝91dに装着されている。
【0033】
さらに、長尺の導電体96,97,98のうちの他の1本の導電体98は、長手方向一側に外部コネクタ側端子98aが設けられ、長手方向他側にアース接続部98bが設けられ、外部コネクタ側端子98aとアース接続部98bとの間に、導電本体98cが設けられている。そして、外部コネクタ側端子98aは、第1コネクタ部92に支持され、アース接続部98bは、プレート本体91の裏面91bに設けられた第3装着溝91eの長手方向他側(図7の左側)の部分に配置されている。また、導電本体98cは、第3装着溝91eに装着されている。
【0034】
さらに、短尺の導電体99は、長手方向一側に外部コネクタ側端子99aが設けられ、長手方向他側に導電本体99bが設けられている。そして、外部コネクタ側端子99aは、第1コネクタ部92に支持され、導電本体99bは、プレート本体91の裏面91bに設けられた第4装着溝91fに装着されている。
【0035】
ここで、図6および図7に示されるように、第1コネクタ部92の部分においては、外部コネクタ側端子96a,97a,98a,99aの板厚方向は、出力軸41の軸方向D1の方向と一致し、外部コネクタ側端子96a,97a,98a,99aの幅方向は、プレート本体91の幅方向D2の方向と一致している。また、プレート本体91の部分においては、導電本体96c,97c,98c,99bの板厚方向は、プレート本体91の幅方向D2の方向と一致し、導電本体96c,97c,98c,99bの幅方向は、出力軸41の軸方向D1の方向と一致している。
【0036】
すなわち、合計4つの導電体96,97,98,99は、それぞれ外部コネクタ側端子96a,97a,98a,99aの部分と、導電本体96c,97c,98c,99bの部分とで、互いに90度となるように屈曲されている。これにより、プレート本体91の幅方向寸法を小さくしている。なお、これらの導電体96,97,98,99は、互いに短絡しないように組付プレート90に組み付けられている。
【0037】
長尺の2本の導電体96,97における導電本体96c,97cのモータ側端子96b,97b寄りの部分には、それぞれコンデンサ接続部96d,97dが一体に設けられている。また、長尺の他の1本の導電体98における導電本体98cのアース接続部98b寄りの部分には、一対のコンデンサ接続部98d,98eが一体に設けられている。これらのコンデンサ接続部96d,97d,98d,98e(合計4カ所)は、それぞれ導電本体96c,97c,98cの幅方向に突出され、かつプレート本体91の表面91a側に露出されている。
【0038】
そして、合計4カ所のコンデンサ接続部96d,97d,98d,98eには、合計3つのコンデンサCDのリード端子がそれぞれ電気的に接続されている。ここで、コンデンサCDは、モータ部50(図4参照)が発生する電気ノイズを、ワイパモータ40の外部に放出させないようにする機能を有する。これにより、車載機器に悪影響を与えること(例えば、ラジオノイズの発生等)を防ぐことができる。なお、合計3つのコンデンサCDは、コンデンサケース94の内側に収容されている。
【0039】
また、長尺の導電体98における導電本体98cの外部コネクタ側端子98a寄りの部分には、プレート本体91の表面91a側に突出するようにして、一対のかしめ突起98fが一体に設けられている。さらに、短尺の導電体99の導電本体99bには、プレート本体91の表面91a側に突出するようにして、一対のかしめ突起99cが一体に設けられている。また、導電体98のアース接続部98bには、プレート本体91の表面91a側に突出するようにして、一対のかしめ突起98gが一体に設けられている。
【0040】
ここで、図8に示されるように、導電本体98c,99bのかしめ突起98f,99cは、長尺および短尺の導電体98,99のそれぞれに、コンタクトプレート100,101を固定し、かつ互いに電気的に接続する機能を有する。具体的には、図10および図11の網掛部分に示されるように、それぞれのかしめ突起98f,99cは、所定の押圧力Fで塑性変形可能となっている。これにより、長尺および短尺の導電体98,99は、コンタクトプレート100,101に固定され、かつ互いに電気的に接続される。なお、図8は、かしめ突起98f,99cがかしめられる前の状態(折り曲げられる前の状態)を示している。
【0041】
また、図9に示されるように、アース接続部98bのかしめ突起98gは、長尺の導電体98に、アースプレート102の基端側(一側)を固定し、かつ互いに電気的に接続する機能を有する。具体的には、一対のかしめ突起98gは、かしめ突起98f,99cと同様に、所定の押圧力(図示せず)で塑性変形可能となっている。これにより、長尺の導電体98は、アースプレート102に固定され、かつ互いに電気的に接続される。なお、図9においても、かしめ突起98gがかしめられる前の状態(折り曲げられる前の状態)を示している。
【0042】
ここで、アースプレート102の先端側(他側)は、アルミニウム製のギヤケース70のケース側壁72(図3参照)の内側に電気的に接触される。これにより、モータ部50が発生する電気ノイズは、コンデンサCD,アースプレート102およびギヤケース70の取り付け脚73(図3参照)を介して、車両10に逃がされる(アースされる)。なお、アースプレート102は、本発明における第2導電部材に相当し、ギヤケース70のケース側壁72の内側は、本発明における通電部材に相当する。
【0043】
<コンタクトプレート>
図8図10および図11に示されるように、一対のコンタクトプレート100,101は、合計4つの導電体96,97,98,99よりも薄肉で、かつ導電性に優れた細長い銅板(リン青銅製)を屈曲させて形成されている。一対のコンタクトプレート100,101は、本発明における第2導電部材に相当する。そして、コンタクトプレート100,101は、導電体96,97,98,99よりも高硬度となっており、コンタクトプレート100,101の縦弾性係数(ヤング係数)E1は、導電体96,97,98,99の縦弾性係数E2よりも大きくなっている(E1>E2)。なお、アースプレート102においても、コンタクトプレート100,101と同様に、リン青銅製となっている。
【0044】
一対のコンタクトプレート100,101は、プレート本体100a,101aを備えている。そして、これらのプレート本体100a,101aの基端側(一側)には、かしめ突起98f,99cがそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け凹部100b,101bがそれぞれ設けられている。これらの引っ掛け凹部100b,101bは、本発明における引っ掛け部に相当し、それぞれ2つずつ設けられている。具体的には、これらの引っ掛け凹部100b,101bは、コンタクトプレート100,101の長手方向と交差する短手方向(幅方向)の両側に、窪むように設けられている。
【0045】
これにより、図8に示されるように、2つずつ設けられた引っ掛け凹部100b,101bの内部に、折り曲げられた2つずつのかしめ突起98f,99cがそれぞれ入り込んで引っ掛けられ、互いに確実に電気的に接続される。また、かしめ突起98f,99cが引っ掛け凹部100b,101bに入り込むため、隣り合うコンタクトプレート100,101を、互いに短絡させずに近接配置可能となっている。よって、組付プレート90のコンタクトプレート100,101が装着される部分の小型化が図れ、ひいてはワイパモータ40の全体を小型化可能としている。
【0046】
なお、かしめ突起98f,99cのかしめ作業を行うには、図10の破線矢印に示されるように、所定の押圧力Fでかしめ突起98f,99cを、引っ掛け凹部100b,101bに向けて折り曲げるようにする。その際には、作業者の手作業によらず、組み立てロボット等によりかしめることができる。これにより、図11の破線矢印Mに示されるように、それぞれのかしめ突起98f,99cが互いに向き合うように折り曲げられて、引っ掛け凹部100b,101bの内部にそれぞれ入り込んで引っ掛けられる。なお、かしめ突起98f,99cのかしめ作業は、作業者の手作業でもよく、電工ペンチ等の工具を用いることもできる。
【0047】
また、図8および図12に示されるように、長尺の導電体98とコンタクトプレート100との接続部CN1と、短尺の導電体99とコンタクトプレート101との接続部CN2とは、コンタクトプレート100,101の長手方向(図中上下方向)において、それぞれ異なる位置に配置されている。すなわち、引っ掛け凹部100b(かしめ突起98f)および引っ掛け部101b(かしめ突起99c)は、それぞれコンタクトプレート100,101の長手方向において異なる位置に設けられている。これによっても、かしめ作業の作業性を低下させずに、隣り合うコンタクトプレート100,101を、互いに近接配置可能としている。
【0048】
なお、コンタクトプレート100におけるプレート本体100aの基端側には、アース接続部100c(図8参照)が一体に設けられている。このアース接続部100cにおいても、アースプレート102と同様に、アルミニウム製のギヤケース70のケース側壁72(図3参照)の内側に電気的に接触される。また、図9に示されるように、アースプレート102の基端側にも、一対の引っ掛け凹部(引っ掛け部)102aが設けられている。これらの引っ掛け凹部102aにおいても、アースプレート102の長手方向と交差する短手方向(幅方向)の両側に、窪むように設けられている。
【0049】
図8図10および図11に示されるように、プレート本体100a,101aの先端側(他側)には、摺接凸部100d,101cが一体に設けられている。これらの摺接凸部100d,101cは、平歯車62とともに回転されるリレープレートRP(図4参照)に接触してその上を摺接する。ここで、リレープレートRPは、本発明における通電部材に相当し、導電性に優れた黄銅等により形成されている。そして、リレープレートRPは、略円盤状に形成されたプラスチック(絶縁体)製のリレーホルダRHに保持(固定)されている。リレープレートRPが固定されたリレーホルダRHは、ギヤケース70の内部に設けられ、平歯車62とともに回転される。
【0050】
ここで、それぞれの摺接凸部100d,101cが、平歯車62の回転に伴いリレープレートRP上を摺接すると、互いに「短絡状態(通電状態)」となる。また、それぞれの摺接凸部100d,101cが、平歯車62の回転に伴いリレープレートRP以外の部分を摺接すると、互いに「非通電状態」となる。すると、車両10側の外部コネクタ(図示せず)を介して、摺接凸部100d,101cの「短絡状態」や「非通電状態」を示す信号が、車載コントローラ(図示せず)に送られる。
【0051】
これにより、車載コントローラは、ワイパスイッチ(図示せず)がオフ操作された信号、および上記「短絡状態」を示す信号の検知に基づいて、ワイパモータ40への通電を停止する。これにより、ワイパモータ40の駆動が停止されて、一対のワイパブレード32(図1参照)がフロントガラス12上の下反転位置で停止される(オートストップ機能)。
【0052】
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、導電体98,99には、それぞれ一対のかしめ突起98f,98g,99cが設けられ、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102の長手方向と交差する短手方向の両側には、折り曲げられた一対のかしめ突起98f,98g,99cがそれぞれ引っ掛けられる引っ掛け凹部100b,101b,102aがそれぞれ設けられ、これにより導電体98,99と、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102とが、互いに電気的に接続される。したがって、従前のような接続孔が不要となり、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102の長手方向と交差する短手方向の寸法を小さくできる。よって、ワイパモータ40のさらなる小型化や軽量化を実現することが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、減速機構SDを形成する平歯車62により回転される導電性を備えたリレープレートRPを備え、当該リレープレートRPに摺接し、かつ平歯車62の回転に伴い互いに通電状態または非通電状態となる一対のコンタクトプレート100,101を有している。これにより、ワイパスイッチのオフ操作により、一対のワイパブレード32をフロントガラス12上の下反転位置で停止させるオートストップ機能を、ワイパモータ40に付加することができる。
【0054】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、一対のコンタクトプレート100,101に設けられる引っ掛け凹部100b,101bが、それぞれコンタクトプレート100,101の長手方向において異なる位置に設けられている。これにより、かしめ作業の作業性を低下させることなく、隣り合うコンタクトプレート100,101を互いに近接配置することが可能となる。したがって、これによっても、ワイパモータ40のさらなる小型化や軽量化を実現することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、引っ掛け凹部100b,101b,102aを、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102の短手方向に窪むように設けたので、これにより、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102の幅寸法を、より小さくすることが可能となる。したがって、これによっても、ワイパモータ40のさらなる小型化や軽量化を実現することができる。
【0056】
さらに、本実施の形態に係るワイパモータ40によれば、コンタクトプレート100,101およびアースプレート102の幅寸法を小さくして、その周辺の構成部品を小型化できるため、製造エネルギーの省力化を図ることが可能となる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)において、特に目標7(手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る)に貢献することができる。
【0057】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0058】
図13は実施の形態2の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図を、図14図13の接続部のかしめ作業前の拡大断面図を、図15図13の接続部のかしめ作業後の拡大断面図をそれぞれ示している。
【0059】
図13ないし図15に示されるように、実施の形態2のワイパモータ(モータ装置)200では、実施の形態1のワイパモータ40に比して、長尺の導電体98とコンタクトプレート100との接続部CN1の接続構造および短尺の導電体99とコンタクトプレート101との接続部CN2の接続構造(図8参照)が異なっている。また、実施の形態1のワイパモータ40に比して、コンタクトプレート100,101の並び順が逆になっている。
【0060】
具体的には、一方のコンタクトプレート100の幅方向両側に設けられる引っ掛け凹部100bに、それぞれ折り曲げ部201が追加して設けられ、他方のコンタクトプレート101の幅方向両側に設けられる引っ掛け凹部101bにも、それぞれ折り曲げ部202が追加して設けられている。
【0061】
そして、これらの折り曲げ部201,202の外側の部分に、かしめ突起98f,99cが対向するようにして配置され、折り曲げ部201,202は、かしめ突起98f,99cと同じ方向に一緒に折り曲げられる部分となっている。なお、それぞれの折り曲げ部201,202は、本発明における弾性変形部に相当する。
【0062】
具体的には、かしめ突起98f,99cのかしめ作業を行うには、図14の破線矢印に示されるように、所定の押圧力Fでかしめ突起98f,99cを、引っ掛け凹部100b,101bに向けて折り曲げるようにする。すると、図15に示されるように、かしめ突起98f,99cの塑性変形とともに、折り曲げ部201,202においても、かしめ突起98f,99cと同じ方向に塑性変形される(折り曲げられる)。
【0063】
これにより、それぞれの折り曲げ部201,202に対して、かしめ突起98f,99cがそれぞれ押し付けられて、導電体98,99とコンタクトプレート100,101とが、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0064】
このとき、図15の実線矢印RT1,RT2に示されるように、折り曲げられたかしめ突起98f,99cおよび折り曲げ部201,202は、それぞれスプリングバックの作用により戻ろうとする(起立しようとする)。ところが、コンタクトプレート100,101はリン青銅製(縦弾性係数E1)となっており、導電体98,99は黄銅製(縦弾性係数E2)となっている(E1>E2)。
【0065】
これにより、折り曲げ部201,202の戻ろうとする矢印RT2の方向への力f2が、かしめ突起98f,99cの戻ろうとする矢印RT1の方向への力f1よりも大きくなる(f2>f1)。したがって、かしめ作業後において、折り曲げ部201,202がかしめ突起98f,99cに押し付けられ、ひいては導電体98,99およびコンタクトプレート100,101は、より確実に電気的に接続される。
【0066】
以上のように形成された実施の形態2のワイパモータ200においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、コンタクトプレート100,101の引っ掛け凹部100b,101bに、かしめ突起98f,99cが押し付けられる折り曲げ部201,202を設けたので、導電体98,99およびコンタクトプレート100,101を、それぞれより確実に電気的に接続することが可能となる。
【0067】
また、コンタクトプレート100,101の縦弾性係数E1が、導電体98,99の縦弾性係数E2よりも大きい(E1>E2)ので、折り曲げ部201,202の戻ろうとする矢印RT2の方向への力f2を、かしめ突起98f,99cの戻ろうとする矢印RT1の方向への力f1よりも大きくできる(f2>f1)。したがって、これによっても、導電体98,99およびコンタクトプレート100,101を、それぞれさらに確実に電気的に接続することが可能となる。
【0068】
<実施の形態3,4>
次に、本発明の実施の形態3,4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0069】
図16は実施の形態3の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図であり、図17は実施の形態4の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図である。
【0070】
図16に示されるように、実施の形態3のワイパモータ(モータ装置)300では、実施の形態1のワイパモータ40に比して、長尺の導電体98とコンタクトプレート100との接続部CN1の接続構造および短尺の導電体99とコンタクトプレート101との接続部CN2の接続構造(図8参照)が異なっている。なお、実施の形態3における接続部CN1の接続構造および接続部CN2の接続構造はいずれも同じであり、図16においては、接続部CN1の接続構造のみを示している。
【0071】
具体的には、ワイパモータ300では、コンタクトプレート100の幅方向両側に設けられる引っ掛け凹部100bを囲むようにして、それぞれ略半球状に形成された第1エンボス部301が追加して設けられている。これらの第1エンボス部301は、かしめ突起98fの先端側に向けて突出され、かつ第1エンボス部301の外側(図中左右側)の部分に、かしめ突起98fが対向するようにして配置されている。なお、それぞれの第1エンボス部301は、本発明における弾性変形部に相当する。
【0072】
そして、かしめ突起98fを、破線矢印のように所定の押圧力Fで押圧する(かしめ作業を行う)と、それぞれのかしめ突起98fが、第1エンボス部301に対してそれぞれ押し付けられて、第1エンボス部301がかしめ突起98fとともに弾性変形される。これにより、それぞれの第1エンボス部301に対して、かしめ突起98fがそれぞれ食い込むように接触して、導電体98とコンタクトプレート100とが、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0073】
このとき、実施の形態2と同様に、コンタクトプレート100はリン青銅製(縦弾性係数E1)であり、導電体98は黄銅製(縦弾性係数E2)であるため、導電体98およびコンタクトプレート100は、より確実に電気的に接続される。
【0074】
以上のように形成された実施の形態3のワイパモータ300においても、上述した実施の形態2と同様の作用効果を奏することができる。
【0075】
なお、図17に示される実施の形態4のワイパモータ(モータ装置)400のように、実施の形態3のワイパモータ300(図16参照)に比して、コンタクトプレート100の一対の引っ掛け凹部100b(図16参照)を省略するとともに、コンタクトプレート100のプレート本体100aに、単一の第2エンボス部401を設けることもできる。なお、実施の形態4においても、接続部CN1の接続構造および接続部CN2の接続構造はいずれも同じであり、図17においては、接続部CN1の接続構造のみを示している。
【0076】
この場合、二点鎖線(仮想線)で示される部分が、かしめ突起98fがかしめ作業後に引っ掛けられて固定される固定部402となり、当該固定部402は、本発明における引っ掛け部に相当する。また、第2エンボス部401は、本発明における弾性変形部に相当し、当該第2エンボス部401においても、かしめ突起98fの先端側に向けて突出されている。
【0077】
そして、かしめ突起98fを、破線矢印のように所定の押圧力Fで押圧する(かしめ作業を行う)と、それぞれのかしめ突起98fが、単一の第2エンボス部401に対してそれぞれ押し付けられて、第2エンボス部401の両側がかしめ突起98fとともに弾性変形される。これにより、第2エンボス部401に対してかしめ突起98fがそれぞれ食い込むように接触して、それぞれのかしめ突起98fが固定部402に固定される。よって、導電体98とコンタクトプレート100とが、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0078】
このとき、実施の形態3と同様に、コンタクトプレート100はリン青銅製(縦弾性係数E1)であり、導電体98は黄銅製(縦弾性係数E2)であるため、導電体98およびコンタクトプレート100は、より確実に電気的に接続される。
【0079】
以上のように形成された実施の形態4のワイパモータ400においても、上述した実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、コンタクトプレート100の引っ掛け凹部100b(図16参照)を省略するので、コンタクトプレート100の剛性を高めることが可能となる。
【0080】
<実施の形態5>
次に、本発明の実施の形態5について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
図18は実施の形態5の導電体およびコンタクトプレートの接続部(かしめ作業前)を示す拡大斜視図であり、図19図18の接続部のかしめ作業前の拡大断面図である。
【0082】
図18に示されるように、実施の形態5のワイパモータ(モータ装置)500では、実施の形態1のワイパモータ40に比して、長尺の導電体98とコンタクトプレート100との接続部CN1の接続構造および短尺の導電体99とコンタクトプレート101との接続部CN2の接続構造(図8参照)が異なっている。また、実施の形態2のワイパモータ200と同様に、実施の形態1のワイパモータ40に比して、コンタクトプレート100,101の並び順が逆となっている。なお、実施の形態5における接続部CN1の接続構造および接続部CN2の接続構造はいずれも同じであり、図18においては、接続部CN2の接続構造のみを示している。
【0083】
具体的には、ワイパモータ500では、コンタクトプレート101の一対の引っ掛け凹部101b(図8参照)を省略する一方で、コンタクトプレート101のプレート本体101aには、単一の切り欠き傾斜部501が設けられている。当該切り欠き傾斜部501は、プレート本体101aの幅方向中央部を切り欠いて形成され、コンタクトプレート101の長手方向において、摺接凸部101c側とは反対側(図中上側)に登り坂となるように傾斜されている。
【0084】
ここで、二点鎖線(仮想線)で示される部分は、かしめ突起99cがかしめ作業後に引っ掛けられて固定される固定部502となっている。つまり、固定部502は、本発明における引っ掛け部に相当する。なお、切り欠き傾斜部501は、かしめ突起99cのかしめ作業時に弾性変形される部分であり、本発明における弾性変形部に相当する。
【0085】
そして、かしめ突起99cを、破線矢印のように所定の押圧力Fで押圧する(かしめ作業を行う)と、それぞれのかしめ突起99cが、単一の切り欠き傾斜部501に対してそれぞれ押し付けられて、切り欠き傾斜部501は、その傾斜角度が緩くなるようにかしめ突起99cとともに弾性変形される。これにより、切り欠き傾斜部501に対してかしめ突起99cがそれぞれ密着して、それぞれのかしめ突起99cが固定部502に固定される。よって、導電体99とコンタクトプレート101とが、それぞれ互いに電気的に接続される。
【0086】
このとき、実施の形態2と同様に、コンタクトプレート101はリン青銅製(縦弾性係数E1)であり、導電体99は黄銅製(縦弾性係数E2)であるため、導電体99およびコンタクトプレート101は、より確実に電気的に接続される。
【0087】
また、図19に示されるように、ワイパモータ500の組み立て後には、コンタクトプレート101の摺接凸部101cが押圧力F2で押圧されるため、破線矢印M1の方向にコンタクトプレート101は移動しようとする。その一方で、切り欠き傾斜部501がかしめ突起99cにより押圧力F1で押圧されるため、破線矢印M2の方向にコンタクトプレート101は移動しようとする。これは、切り欠き傾斜部501が、その摺接凸部101c側とは反対側に登り坂となるように傾斜しているためである。これにより、コンタクトプレート101が、その長手方向にずれることが抑えられる。なお、押圧力F1により、コンタクトプレート101の長手方向における摺接凸部101c側とは反対側が、プレート本体91に突き当てられる。
【0088】
以上のように形成された実施の形態5のワイパモータ500においても、上述した実施の形態4と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態5では、コンタクトプレート101が、その長手方向にずれることが抑えられるので、ワイパモータ500のオートストップ機能を、長期に亘り安定して機能させることが可能となる。
【0089】
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の各実施の形態では、モータ装置が、2つのコンタクトプレート100,101を有するワイパモータ40,200,300,400,500であるものを示したが、本発明はこれに限らず、3つ以上のコンタクトプレートがあるワイパモータにも適用することができる。この場合、オートストップ機能以外の他の機能、例えば、ワイパブレード32を下反転位置よりも下方にある格納位置に格納する機能を付加することが可能となる。
【0090】
また、上述の各実施の形態では、モータ部50がブラシ付きの電動モータであるものを示したが、本発明はこれに限らず、モータ部がブラシレスの電動モータ(ブラシレスモータ)にも適用することができる。
【0091】
さらに、上述の各実施の形態では、モータ装置が、ワイパモータ40,200,300,400,500であるものを示したが、本発明はこれに限らず、その他の車載機器、例えば、サンルーフ装置,パワーウィンド装置およびパワースライドドア装置の駆動源であるモータ装置にも適用することができる。
【0092】
その他、上述の各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0093】
10:車両,11:ピボット軸,12:フロントガラス,13:払拭範囲,20:ワイパ装置,30:ワイパ部材,31:ワイパアーム,32:ワイパブレード,40:ワイパモータ(モータ装置),41:出力軸,42:リンク機構,50:モータ部,51:ヨーク,52:アーマチュアコア,53:回転軸,54:ウォーム,55:コンミテータ,60:減速機構部,61:カウンタギヤ,61a:大径歯部,61b:小径歯部,61c:中心軸,62:平歯車(減速ギヤ),62a:歯部,70:ギヤケース(ハウジング),71:ケース底壁,72:ケース側壁(通電部材),73:取り付け脚,80:ギヤカバー(カバー),81:カバー底壁,81a:固定爪,81b:カウンタギヤ支持凹部,81c:摺接リブ,82:カバー側壁,82a:固定爪,83:コネクタ接続部,90:組付プレート,91:プレート本体,91a:表面,91b:裏面,91c:第1装着溝,91d:第2装着溝,91e:第3装着溝,91f:第4装着溝,92:第1コネクタ部,93:第2コネクタ部,94:コンデンサケース,95:舌片部,95a:支持ピン,96~99:導電体(第1導電部材),96a,97a,98a,99a:外部コネクタ側端子,96b,97b:モータ側端子,96c,97c,98c,99b:導電本体,96d,97d,98d,98e:コンデンサ接続部,98b:アース接続部,98f,98g,99c:かしめ突起,100,101:コンタクトプレート(第2導電部材),100a,101a:プレート本体,100b,101b:引っ掛け凹部(引っ掛け部),100c:アース接続部,100d,101c:摺接凸部,102:アースプレート(第2導電部材),102a:引っ掛け凹部(引っ掛け部),200:ワイパモータ(モータ装置),201,202:折り曲げ部(弾性変形部),300:ワイパモータ(モータ装置),301:第1エンボス部(弾性変形部),400:ワイパモータ(モータ装置),401:第2エンボス部(弾性変形部),402:固定部,500:ワイパモータ(モータ装置),501:切り欠き傾斜部(弾性変形部),502:固定部,CD:コンデンサ,CN1,CN2:接続部,RH:リレーホルダ,RP:リレープレート(通電部材),S1:第1固定ねじ,S2:第2固定ねじ,SD:減速機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19