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特開2024-2533液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法
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  • 特開-液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法 図1
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  • 特開-液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002533
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20231228BHJP
   B05B 17/06 20060101ALI20231228BHJP
   B05B 12/08 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B06B1/06 A
B05B17/06
B05B12/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101775
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】西村 宜敏
【テーマコード(参考)】
4D074
4F035
5D107
【Fターム(参考)】
4D074AA02
4D074BB03
4D074DD08
4D074DD23
4D074DD35
4D074DD43
4D074DD50
4D074DD65
4F035AA01
4F035BB35
5D107BB02
5D107CC01
5D107CD01
5D107CD06
5D107DE01
(57)【要約】
【課題】液体の残量を精度良く判定することができる液体霧化装置を提供する。
【解決手段】液体霧化装置2は、液体に対して振動を与えることにより、液体を霧化する振動子10と、振動子10に駆動電圧を印加することにより、振動子10を駆動する駆動部24と、振動子10に印加される駆動電圧を制御するためのLDO出力電圧を検出する定電圧制御部26と、振動子10を流れる駆動電流を検出する電流検出部28と、定電圧制御部26の検出結果、及び、電流検出部28の検出結果のいずれかを選択的に用いることにより、収容部4における液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する判定部40とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された液体を霧化するための液体霧化装置であって、
前記液体に対して振動を与えることにより、前記液体を霧化する振動子と、
前記振動子に駆動電圧を印加することにより、前記振動子を駆動する駆動部と、
前記振動子に印加される前記駆動電圧を制御するためのLDO(Low Drop Out)出力電圧を検出する電圧検出部と、
前記振動子を流れる駆動電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部の検出結果、及び、前記電流検出部の検出結果のいずれかを選択的に用いることにより、前記収容部における前記液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する判定部と、を備える
液体霧化装置。
【請求項2】
前記電圧検出部は、前記液体が前記収容部に収容されている状態で、前記液体霧化装置が起動された時の前記LDO出力電圧を初期LDO出力電圧として検出し、
前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が閾値未満である場合には、前記電圧検出部の検出結果を用いることにより、前記液体の残量が前記所定量を超えるか否かを判定し、前記初期LDO出力電圧が前記閾値以上である場合には、前記電流検出部の検出結果を用いることにより、前記液体の残量が前記所定量を超えるか否かを判定する
請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項3】
前記液体霧化装置は、さらに、前記液体が前記収容部に収容されていない状態での前記LDO出力電圧を無水LDO出力電圧として予め記憶する記憶部を備え、
前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が前記閾値未満である場合であって、(i)前記無水LDO出力電圧と現在の前記LDO出力電圧との差分の絶対値が、前記無水LDO出力電圧と前記初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合未満である場合には、前記液体の残量が前記所定量以下であると判定し、(ii)前記無水LDO出力電圧と現在の前記LDO出力電圧との差分の絶対値が、前記無水LDO出力電圧と前記初期LDO出力電圧との差分の絶対値の前記第1の割合以上である場合には、前記液体の残量が前記所定量を超えると判定する
請求項2に記載の液体霧化装置。
【請求項4】
前記液体霧化装置は、さらに、前記液体が前記収容部に収容されていない状態での前記駆動電流を無水駆動電流として予め記憶する記憶部を備え、
前記電流検出部は、前記液体が前記収容部に収容されている状態で、前記液体霧化装置が起動された時の前記駆動電流を初期駆動電流として検出し、
前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が前記閾値以上である場合であって、(i)現在の前記駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値が、前記初期駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合未満である場合には、前記液体の残量が前記所定量以下であると判定し、(ii)現在の前記駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値が、前記初期駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値の前記第2の割合以上である場合には、前記液体の残量が前記所定量を超えると判定する
請求項2又は3に記載の液体霧化装置。
【請求項5】
振動子を用いて収容部に収容された液体に対して振動を与えることにより、前記液体を霧化するための液体霧化装置の制御方法であって、
(a)前記振動子に駆動電圧を印加することにより、前記振動子を駆動するステップと、
(b)前記振動子に印加される前記駆動電圧を制御するためのLDO出力電圧を検出するステップと、
(c)前記振動子を流れる駆動電流を検出するステップと、
(d)前記(b)の検出結果、及び、前記(c)の検出結果のいずれかを選択的に用いることにより、前記収容部における前記液体の残量が所定量を超えるか否かを判定するステップと、を含む
液体霧化装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された液体を霧化するための液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
収容部に収容された液体を霧化するための液体霧化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液体霧化装置は、振動子と、駆動回路と、電圧検出部と、判定部とを備えている。
【0003】
振動子は、収容部に収容された液体に対して振動を与えることにより、当該液体を霧化する。駆動回路は、振動子に駆動電圧を印加することにより、振動子を駆動する。電圧検出部は、振動子に印加される駆動電圧を制御するためのLDO(Low Drop Out)出力電圧を検出する。判定部は、電圧検出部により検出されたLDO出力電圧に基づいて、収容部における液体の残量を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-307560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の液体霧化装置では、当該液体霧化装置の機体毎に、駆動回路に含まれるコイルのインダクタンス値にばらつきがあるため、駆動回路から出力される駆動電圧にもばらつきが生じ、駆動電圧を調整するためにLDO出力電圧にもばらつきが生じる。その結果、判定部により液体の残量を精度良く判定することができないという課題が生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、液体の残量を精度良く判定することができる液体霧化装置、及び、液体霧化装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る液体霧化装置は、収容部に収容された液体を霧化するための液体霧化装置であって、前記液体に対して振動を与えることにより、前記液体を霧化する振動子と、前記振動子に駆動電圧を印加することにより、前記振動子を駆動する駆動部と、前記振動子に印加される前記駆動電圧を制御するためのLDO(Low Drop Out)出力電圧を検出する電圧検出部と、前記振動子を流れる駆動電流を検出する電流検出部と、前記電圧検出部の検出結果、及び、前記電流検出部の検出結果のいずれかを選択的に用いることにより、前記収容部における前記液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0008】
本態様によれば、駆動部に含まれるコイルのインダクタンス値にばらつきがある場合であっても、電圧検出部の検出結果と電流検出部の検出結果とを適宜使い分けることによって、判定部により液体の残量を精度良く判定することができる。
【0009】
例えば、本発明の一態様に係る液体霧化装置において、前記電圧検出部は、前記液体が前記収容部に収容されている状態で、前記液体霧化装置が起動された時の前記LDO出力電圧を初期LDO出力電圧として検出し、前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が閾値未満である場合には、前記電圧検出部の検出結果を用いることにより、前記液体の残量が前記所定量を超えるか否かを判定し、前記初期LDO出力電圧が前記閾値以上である場合には、前記電流検出部の検出結果を用いることにより、前記液体の残量が前記所定量を超えるか否かを判定するように構成してもよい。
【0010】
本態様によれば、判定部により液体の残量をより精度良く判定することができる。
【0011】
例えば、本発明の一態様に係る液体霧化装置において、前記液体霧化装置は、さらに、前記液体が前記収容部に収容されていない状態での前記LDO出力電圧を無水LDO出力電圧として予め記憶する記憶部を備え、前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が前記閾値未満である場合であって、(i)前記無水LDO出力電圧と現在の前記LDO出力電圧との差分の絶対値が、前記無水LDO出力電圧と前記初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合未満である場合には、前記液体の残量が前記所定量以下であると判定し、(ii)前記無水LDO出力電圧と現在の前記LDO出力電圧との差分の絶対値が、前記無水LDO出力電圧と前記初期LDO出力電圧との差分の絶対値の前記第1の割合以上である場合には、前記液体の残量が前記所定量を超えると判定するように構成してもよい。
【0012】
本態様によれば、初期LDO出力電圧が閾値未満である場合には、電圧検出部の検出結果を用いることにより、判定部により液体の残量をより精度良く判定することができる。
【0013】
例えば、本発明の一態様に係る液体霧化装置において、前記液体霧化装置は、さらに、前記液体が前記収容部に収容されていない状態での前記駆動電流を無水駆動電流として予め記憶する記憶部を備え、前記電流検出部は、前記液体が前記収容部に収容されている状態で、前記液体霧化装置が起動された時の前記駆動電流を初期駆動電流として検出し、前記判定部は、前記初期LDO出力電圧が前記閾値以上である場合であって、(i)現在の前記駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値が、前記初期駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合未満である場合には、前記液体の残量が前記所定量以下であると判定し、(ii)現在の前記駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値が、前記初期駆動電流と前記無水駆動電流との差分の絶対値の前記第2の割合以上である場合には、前記液体の残量が前記所定量を超えると判定するように構成してもよい。
【0014】
本態様によれば、初期LDO出力電圧が閾値以上である場合には、電流検出部の検出結果を用いることにより、判定部により液体の残量をより精度良く判定することができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る液体霧化方法は、振動子を用いて収容部に収容された液体に対して振動を与えることにより、前記液体を霧化するための液体霧化装置の制御方法であって、(a)前記振動子に駆動電圧を印加することにより、前記振動子を駆動するステップと、(b)前記振動子に印加される前記駆動電圧を制御するためのLDO出力電圧を検出するステップと、(c)前記振動子を流れる駆動電流を検出するステップと、(d)前記(b)の検出結果、及び、前記(c)の検出結果のいずれかを選択的に用いることにより、前記収容部における前記液体の残量が所定量を超えるか否かを判定するステップと、を含む。
【0016】
本態様によれば、上述と同様に、液体の残量を精度良く判定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様に係る液体霧化装置等によれば、液体の残量を精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る液体霧化装置の概略断面図である。
図2】実施の形態に係る液体霧化装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態に係る液体霧化装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
(実施の形態)
[1.液体霧化装置の概要]
図1を参照しながら、実施の形態に係る液体霧化装置2の概要について説明する。図1は、実施の形態に係る液体霧化装置2の概略断面図である。
【0021】
図1に示すように、実施の形態に係る液体霧化装置2は、収容部4と、吸水芯6と、メッシュ板8と、振動子10とを備えている。液体霧化装置2は、例えば霧化した液体を室内に拡散させることにより、室内を加湿するための加湿器として用いられる。
【0022】
収容部4は、液体を収容するための容器である。収容部4の上端部には、開口部12が形成されている。収容部4に収容される液体は、例えば水である。
【0023】
吸水芯6は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維で形成されており、収容部4の開口部12を挿通するように配置されている。吸水芯6の略下半分は、収容部4の内部に配置されている。液体が収容部4に収容されている状態では、吸水芯6の略下半分は、収容部4内の液体に浸漬される。また、吸水芯6の略上半分は、収容部4の開口部12から収容部4の外部に突出している。吸水芯6を構成するPET繊維の毛細管現象により、収容部4内の液体は、吸水芯6の略下半分から略上半分へと吸い上げられる。
【0024】
メッシュ板8は、吸水芯6の略上半分の上端面に支持されている。メッシュ板8は、ドーム部14と、ドーム部14の外周部から径方向外側に延在するフランジ部16とを有している。ドーム部14には、複数の微小孔18が形成されている。微小孔18の直径は例えば約5μmであり、微小孔18の数は例えば約500個である。これらの複数の微小孔18により、ドーム部14はメッシュ状に形成されている。なお、説明の都合上、図1では、微小孔18の大きさを実際の大きさよりも大きく誇張して図示してある。吸水芯6の略下半分から略上半分へと吸い上げられた液体は、メッシュ板8と吸水芯6の略上半分の上端面との間の隙間に供給される。
【0025】
振動子10は、例えば圧電素子で構成された超音波振動子である。振動子10は、例えば円環状に形成され、メッシュ板8のフランジ部16に支持されている。振動子10に駆動電圧が印加された際には、振動子10は、メッシュ板8を例えば100kHz程度の共振周波数で振動させる。これにより、振動子10は、メッシュ板8と吸水芯6の略上半分の上端面との間の隙間に供給された液体に対して振動を与え、当該液体を霧化する。その結果、霧化された液体は、メッシュ板8のドーム部14の複数の微小孔18を通して、液体霧化装置2の外部に拡散される。
【0026】
[2.液体霧化装置の機能構成]
図2を参照しながら、実施の形態に係る液体霧化装置2の機能構成について説明する。図2は、実施の形態に係る液体霧化装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、実施の形態に係る液体霧化装置2は、機能構成として、振動子駆動回路20と、コントローラ22とを備えている。
【0028】
振動子駆動回路20は、駆動部24と、振動子10と、定電圧制御部26と、電流検出部28とを有している。駆動部24は、電源回路30と、駆動パルス生成部32と、駆動波形生成部34とを有している。
【0029】
電源回路30は、定電圧制御部26、電流検出部28及び駆動パルス生成部32で使用する電源電圧を生成する。また、電源回路30は、電源電圧の印加・停止を制御する機能を有しており、外部信号で電源電圧を印加・停止することができる。
【0030】
駆動パルス生成部32は、駆動電圧の波形を生成するための駆動パルス(例えば矩形波)を生成する。駆動パルス生成部32は、生成した駆動パルスを駆動波形生成部34に出力する。
【0031】
駆動波形生成部34は、定電圧制御部26からのLDO(Low Drop Out)出力電圧、及び、駆動パルス生成部32からの駆動パルスに基づいて、振動子10を駆動するための所定の波形(例えば正弦波)の駆動電圧を生成する。駆動波形生成部34は、生成した駆動電圧を振動子10に印加する。なお、駆動波形生成部34は、電子部品としてコイル等を含んでいる。
【0032】
振動子10は、駆動波形生成部34からの駆動電圧が印加されることにより駆動され、メッシュ板8(図1参照)を例えば100kHz程度の共振周波数で振動させる。振動子10が駆動されている間、振動子10には駆動電流が流れる。
【0033】
定電圧制御部26には、振動子10に印加される駆動電圧の波形の振幅が一定になるように、当該駆動電圧がフィードバックされる。具体的には、定電圧制御部26は、例えば可変出力電圧タイプのLDOで構成されており、振動子10に印加される駆動電圧の波形の振幅の変動に応じて、駆動波形生成部34に出力するLDO出力電圧を可変することにより、振動子10に印加される駆動電圧の波形の振幅が一定になるように制御する。すなわち、LDO出力電圧は、振動子10に印加される駆動電圧を制御するための電圧である。また、定電圧制御部26は、可変するLDO出力電圧を検出する電圧検出部としても機能する。定電圧制御部26は、LDO出力電圧の検出結果を示す信号(以下、「電圧検出信号」という)をコントローラ22のコンバータ部36(後述する)に出力する。他に、定電圧制御部26は、LDO出力電圧の印加・停止を制御する機能を有しており、外部信号でLDO出力電圧を印加・停止することができる。
【0034】
電流検出部28は、振動子10を流れる駆動電流を検出する。電流検出部28は、駆動電流の検出結果を示す信号(以下、「電流検出信号」という)をコントローラ22のコンバータ部36に出力する。
【0035】
コントローラ22は、コンバータ部36と、メモリ38と、判定部40と、噴霧制御部42と、タイマ44と、通信部46とを有している。
【0036】
コンバータ部36は、定電圧制御部26からの電圧検出信号、及び、電流検出部28からの電流検出信号を、アナログ信号からデジタル信号に変換する。コンバータ部36は、デジタル信号に変換した電圧検出信号及び電流検出信号を判定部40に出力する。
【0037】
メモリ38は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)で構成され、各種データを記憶する。
【0038】
判定部40は、メモリ38に記憶された各種データを参照し、且つ、コンバータ部36からの電圧検出信号及び電流検出信号のいずれかを選択的に用いることにより、収容部4(図1参照)における液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する。ここで、所定量は、「0」であってもよいし、「0」に近い値(例えば、収容部4の満水量を「100」とした場合において、「5」程度)であってもよい。なお、所定量が「0」である場合には、判定部40は、実質上、液体が収容部4内に存在するか否かを判定することになる。また、所定量が「0」に近い値である場合には、判定部40は、実質上、液体が収容部4内に十分に存在するか否かを判定することになる。判定部40は、判定結果を示す信号(以下、「残量判定信号」という)を噴霧制御部42に出力する。
【0039】
噴霧制御部42は、判定部40からの残量判定信号に基づいて、電源回路30及び定電圧制御部26を制御し、噴霧動作の作動・停止を制御する。具体的には、噴霧制御部42は、判定部40により収容部4における液体の残量が所定量以下であると判定された場合には、噴霧動作を停止するため、振動子10への駆動電圧の印加を停止するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を停止し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を停止するように制御する。また、噴霧制御部42は、判定部40により収容部4における液体の残量が所定量を超えると判定された場合には、噴霧動作を作動し続けるために、振動子10への駆動電圧の印加を継続するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を印加し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を印加するように制御する。
【0040】
タイマ44は、例えば液体霧化装置2の累積運転時間等の計測や、電圧・電流検出の時間指定等、多岐に渡る用途に用いられる。
【0041】
通信部46は、例えばパーソナルコンピュータ等の端末装置(図示せず)との間で、各種データを送受信する。なお、ユーザは、端末装置を用いて、例えば液体霧化装置2のリモート操作等を行うことができる。
【0042】
[3.液体霧化装置の動作]
図3を参照しながら、実施の形態に係る液体霧化装置2の動作について説明する。図3は、実施の形態に係る液体霧化装置2の動作の流れを示すフローチャートである。なお、以下の説明では、説明の都合上、電圧及び電流の各値については、単位を省略して数値のみ表記する。
【0043】
図3に示すように、まず、液体霧化装置2が起動されていない状態で、ユーザは、収容部4に液体を例えば満水量まで注ぎ、収容部4内の液体を有水状態にしておく(S101)。次いで、ユーザは、液体霧化装置2を起動する(S102)。これにより、駆動部24からの駆動電圧が振動子10に印加され、振動子10による収容部4内の液体の霧化が開始される。
【0044】
ここで、定電圧制御部26は、液体が収容部4に収容されている状態で、液体霧化装置2が起動された時のLDO出力電圧を、初期LDO出力電圧として検出する。また、電流検出部28は、液体が収容部4に収容されている状態で、液体霧化装置2が起動された時の駆動電流を、初期駆動電流として検出する。判定部40は、定電圧制御部26により検出された初期LDO出力電圧、及び、電流検出部28により検出された初期駆動電流を、コンバータ部36を介して取得する(S103)。判定部40は、取得した初期LDO出力電圧を示すデータ、及び、初期駆動電流を示すデータを、メモリ38に記憶してもよいし、判定部40が保持していてもよい。
【0045】
その後、振動子10による収容部4内の液体の霧化が継続されるのに従い、収容部4における液体の残量が初期の有水状態から徐々に減少していく。この時、定電圧制御部26は、現在のLDO出力電圧を検出し、電流検出部28は、現在の駆動電流を検出する(S104)。判定部40は、定電圧制御部26により検出された現在のLDO出力電圧を示す電圧検出信号、及び、電流検出部28により検出された現在の駆動電流を示す電流検出信号を、コンバータ部36を介して取得する。なお、判定部40は、電圧検出信号及び電流検出信号を、所定の時間間隔で取得する。
【0046】
判定部40は、初期LDO出力電圧を示すデータ、及び、閾値を示すデータを使用して、初期LDO出力電圧が閾値未満であるか否かを判定する(S105)。閾値を示すデータは、予めメモリ38に記憶されていてもよいし、判定部40により予め保持されていてもよい。
【0047】
以下、例えば、初期LDO出力電圧が「500」、閾値が「850」である場合について説明する。このように初期LDO出力電圧が閾値未満である場合には(S105でYES)、判定部40は、定電圧制御部26の検出結果を用いることにより、液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する。
【0048】
具体的には、判定部40は、現在のLDO出力電圧を示す電圧検出信号を定電圧制御部26から取得し、且つ、無水LDO出力電圧を示すデータを使用する。無水LDO出力電圧は、液体が収容部4に収容されていない状態(無水状態)でのLDO出力電圧であり、無水LDO出力電圧を示すデータは、予めメモリ38に記憶されていてもよいし、判定部40により予め保持されていてもよい。そして、判定部40は、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値が、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合未満であるか否かを判定する(S106)。なお、第1の割合を示すデータは、予めメモリ38に記憶されていてもよいし、判定部40により予め保持されていてもよい。
【0049】
例えば、無水LDO出力電圧が「1000」、初期LDO出力電圧が「500」、現在のLDO出力電圧が「900」、第1の割合が「0.25」である場合について考える。この場合、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値は、「100(=|1000-900|)」となり、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合は、「125(=|1000-500|×0.25)」となる。そのため、判定部40は、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値が、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合未満であると判定する(S106でYES)。この場合、判定部40は、収容部4における液体の残量が所定量以下である(すなわち、液体が収容部4内に十分に存在しない)と判定する(S107)。
【0050】
なお、この場合、噴霧制御部42は、噴霧動作を停止するために、振動子10への駆動電圧の印加を停止するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を停止し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を停止するように制御する。液体霧化装置2の運転を停止する場合には(S108でYES)、図3のフローチャートを終了する。
【0051】
ステップS106に戻り、例えば、無水LDO出力電圧が「1000」、初期LDO出力電圧が「500」、現在のLDO出力電圧が「800」、第1の割合が「0.25」である場合について考える。この場合、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値は、「200(=|1000-800|)」となり、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合は、「125(=|1000-500|×0.25)」となる。そのため、判定部40は、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値が、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合以上であると判定する(S106でNO)。この場合、判定部40は、収容部4における液体の残量が所定量を超えている(すなわち、液体が収容部4内に十分に存在する)と判定する(S109)。
【0052】
なお、この場合、噴霧制御部42は、噴霧動作を作動し続けるために、振動子10への駆動電圧の印加を継続するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を印加し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を印加するように制御する。液体霧化装置2の運転を継続する場合には(S108でNO)、上述したステップS104に戻る。
【0053】
次に、ステップS105において、液体霧化装置2が、上述した初期LDO出力電圧が「900」である液体霧化装置2とは別の機体であり、例えば、初期LDO出力電圧が「900」、閾値が「850」である場合について説明する。これは、液体霧化装置2の機体毎に、駆動波形生成部34に含まれるコイルのインダクタンス値のばらつきがあるため、初期LDO出力電圧のばらつきが生じることに起因している。
【0054】
このように初期LDO出力電圧が閾値以上である場合には(S105でNO)、判定部40は、電流検出部28の検出結果を用いることにより、液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する。
【0055】
具体的には、判定部40は、現在の駆動電流を示す電流検出信号を定電圧制御部26から取得し、且つ、無水駆動電流を示すデータをメモリ38から読み出す。無水駆動電流は、液体が収容部4に収容されていない状態での駆動電流であり、無水駆動電流を示すデータは、予めメモリ38に記憶されている。そして、判定部40は、現在の駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値が、初期駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合未満であるか否かを判定する(S110)。なお、第2の割合を示すデータは、予めメモリ38に記憶されていてもよいし、判定部40により予め保持されていてもよい。
【0056】
例えば、無水駆動電流が「100」、初期駆動電流が「400」、現在の駆動電流が「150」、第2の割合が「0.33」である場合について考える。この場合、現在の駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値は、「50(=|150-100|)」となり、初期駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合は、「99(=|400-100|×0.33)」となる。そのため、判定部40は、現在の駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値が、初期駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合未満であると判定する(S110でYES)。この場合、判定部40は、収容部4における液体の残量が所定量以下である(すなわち、液体が収容部4内に十分に存在しない)と判定する(S111)。
【0057】
なお、この場合、噴霧制御部42は、噴霧動作を停止するために、振動子10への駆動電圧の印加を停止するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を停止し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を停止するように制御する。液体霧化装置2の運転を停止する場合には(S108でYES)、図3のフローチャートを終了する。
【0058】
ステップS110に戻り、例えば、無水駆動電流が「100」、初期駆動電流が「400」、現在の駆動電流が「300」、第2の割合が「0.33」である場合について考える。この場合、現在の駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値は、「200(=|300-100|)」となり、初期駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合は、「99(=|400-100|×0.33)」となる。そのため、判定部40は、現在の駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値が、初期駆動電流と無水駆動電流との差分の絶対値の第2の割合以上であると判定する(S110でNO)。この場合、判定部40は、収容部4における液体の残量が所定量を超えている(すなわち、液体が収容部4内に十分に存在する)と判定する(S112)。
【0059】
なお、この場合、噴霧制御部42は、噴霧動作を作動し続けるために、振動子10への駆動電圧の印加を継続するように、噴霧制御部42から電源回路30へ外部信号を出力して電源電圧を印加し、且つ、噴霧制御部42から定電圧制御部26へ外部信号を出力してLDO出力電圧を印加するように制御する。液体霧化装置2の運転を継続する場合には(S108でNO)、上述したステップS104に戻る。
【0060】
[4.効果]
上述したように、液体霧化装置2の機体毎に、駆動波形生成部34に含まれるコイルのインダクタンス値のばらつきがあるため、初期LDO出力電圧のばらつきが生じる。そのため、仮に、判定部40が、コンバータ部36からの電圧検出信号のみを用いて、収容部4における液体の残量が所定量を超えるか否かを判定した場合には、次のような問題が生じる。
【0061】
例えば、初期LDO出力電圧が「500」である(すなわち、閾値「850」未満である)液体霧化装置2の機体では、無水LDO出力電圧が「1000」、第1の割合が「0.25」である場合、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合は、「125(=|1000-500|×0.25)」となる。そのため、現在のLDO出力電圧が「900」である場合には、判定部40は、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値が、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合未満であると判定することができる。
【0062】
一方、初期LDO出力電圧が「900」である(すなわち、閾値「850」以上である)液体霧化装置2の機体では、無水LDO出力電圧が「1000」、第1の割合が「0.25」である場合、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合は、「25(=|1000-900|×0.25)」となり、上記の「125」に比べて極端に小さい値となる。そのため、現在のLDO出力電圧が「900」である場合には、判定部40は、無水LDO出力電圧と現在のLDO出力電圧との差分の絶対値が、無水LDO出力電圧と初期LDO出力電圧との差分の絶対値の第1の割合以上であると判定してしまう。すなわち、実際の収容部4内の液体の残量が僅かであるにもかかわらず、判定部40は、収容部4における液体の残量が所定量を超えていると誤判定してしまう。
【0063】
これに対して、本実施の形態では、判定部40は、コンバータ部36からの電圧検出信号及び電流検出信号のいずれかを選択的に用いることにより、収容部4における液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する。
【0064】
例えば、初期LDO出力電圧が「900」である(すなわち、閾値「850」以上である)液体霧化装置2の機体では、上述した図3のフローチャートのステップS108~S110のように、判定部40は、コンバータ部36からの電流検出信号を用いて、収容部4における液体の残量が所定量を超えるか否かを判定する。これにより、液体霧化装置2の機体毎に、初期LDO出力電圧のばらつきが生じる場合であっても、判定部40は、液体の残量を精度良く判定することができる。
【0065】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態に係る液体霧化装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0066】
上記実施の形態では、収容部4に水を収容したが、これに限定されず、例えば収容部4にリラックス効果のある液体を収容してもよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、液体霧化装置2を加湿器に適用したが、これに限定されず、例えば除菌装置として適用してもよい。この場合、収容部4に収容される液体は、例えば次亜塩素酸水となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る液体霧化装置は、例えば室内を加湿するための加湿器等として適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
2 液体霧化装置
4 収容部
6 吸水芯
8 メッシュ板
10 振動子
12 開口部
14 ドーム部
16 フランジ部
18 微小孔
20 振動子駆動回路
22 コントローラ
24 駆動部
26 定電圧制御部
28 電流検出部
30 電源回路
32 駆動パルス生成部
34 駆動波形生成部
36 コンバータ部
38 メモリ
40 判定部
42 噴霧制御部
44 タイマ
46 通信部
図1
図2
図3