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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025377
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】回転電機システム
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/32 20060101AFI20240216BHJP
【FI】
H02K1/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128758
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】上口 聡
(72)【発明者】
【氏名】中村 玄
(72)【発明者】
【氏名】後延 洋泰
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601DD01
5H601DD11
5H601GA02
5H601GA22
5H601GE14
5H601GE19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡素な構成でロータの冷却通路に気体を円滑に流通させる。
【解決手段】回転電機システムは、ロータの内部に圧縮エアが流通する冷却通路41を備える。冷却通路41は、圧縮エアが導入される入口413と、圧縮エアが導出される出口414とを有する。冷却通路41の出口414が、冷却通路41の入口413に対してロータの軸中心から径方向外方に配置される。これにより、ロータが回転したときに働く遠心力によって、冷却通路41内に入口413から出口414に向けて負圧を発生させることで、冷却通路の出口に向けて気体の流れを促進することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を有するロータと、
前記ロータを囲むステータと、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、
を備え、
前記ロータの内部に冷却用の気体が流通する冷却通路を備えた回転電機システムであって、
前記冷却通路は、前記気体が導入される入口と、前記気体が導出される出口と、を有し、前記入口と前記出口とは軸方向に互いに離間した位置に配置され、
前記出口が、前記入口に対して軸中心から径方向外方に配置される、回転電機システム。
【請求項2】
請求項1記載の回転電機システムにおいて、
前記ロータは、前記ハウジングに支持される本体部と、
前記本体部から径方向外方に向けて拡径して前記磁石を保持する拡径部と、
を備え、
前記冷却通路が前記拡径部に配置される、回転電機システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の回転電機システムにおいて、
前記冷却通路は、前記ロータの軸中心から径方向にオフセットして配置され、前記ロータの周方向に等間隔離間するように前記ロータに複数配置される、回転電機システム。
【請求項4】
請求項2記載の回転電機システムにおいて、
前記ロータは、前記ロータの軸方向の一方を向く第1壁面と、
前記軸方向の他方を向く第2壁面と、
を有し、
前記入口が前記第1壁面に開口し、前記出口が前記第2壁面に開口する、回転電機システム。
【請求項5】
請求項4記載の回転電機システムにおいて、
前記第1壁面は、前記軸方向における前記拡径部の一方の環状端面であり、前記第2壁面は、前記軸方向における前記拡径部の他方の環状端面である、回転電機システム。
【請求項6】
請求項1記載の回転電機システムにおいて、
前記気体の流れを整流可能な複数のフィンを有した整流構造を備え、
前記複数のフィンが、前記ロータの前記軸中心を囲むように前記ロータの周方向に間隔を置いて配置され、前記ロータの軸方向において、前記入口及び前記出口の少なくともいずれか一方と前記複数のフィンとが向かい合う、回転電機システム。
【請求項7】
請求項1記載の回転電機システムにおいて、
前記冷却通路は、前記入口と接続され前記ロータの軸方向と平行に延在する平行部と、
前記平行部の下流端から前記出口に向かって径方向外方に傾斜した傾斜部とを備える、回転電機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータと、ステータとを備え、電力が供給されることでロータが回転駆動する回転電機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インナーステータと、アウタロータとを有した回転電機システムが開示されている。アウタロータは、インナーステータの内部に配置される。アウタロータのハブ中心には、センターシャフトが連結される。センターシャフトの中心には、ブロアから供給された空気が流通する導入通路部を備える。導入通路部は、センターシャフトの軸方向に沿って延在した後、ハブの孔を通じて径方向外方に開口する。
【0003】
導入通路部に空気が供給されると、空気がセンターシャフトに沿って軸方向に流通してハブの孔から径方向外方へ流れた後、アウタロータの外側に配置された鉄芯に沿って軸方向に流れて空間内に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-148047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の回転電機システムでは、導入通路部からインナーステータとアウタロータとの間に空気を導入するとき、空気の流通経路が、軸方向、径方向、軸方向と複雑になるため、流通抵抗が増加して円滑に流通させることが難しい。センターシャフトがアウタロータと共に回転すると、回転によって生じる遠心力に起因して空気の圧送効率が低下する。そのため、ブロア等の送風装置を用いて空気を供給する必要があり、装置の大型化及び製造コストが増加するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様は、磁石を有するロータと、前記ロータを囲むステータと、前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジングと、を備え、前記ロータの内部に冷却用の気体が流通する冷却通路を備えた回転電機システムであって、前記冷却通路は、前記気体が導入される入口と、前記気体が導出される出口と、を有し、前記入口と前記出口とは軸方向に互いに離間した位置に配置され、前記出口が、前記入口に対して軸中心から径方向外方に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ロータが回転したときに働く遠心力によって、冷却通路内に入口から出口に向けて負圧を発生させることで、冷却通路の出口に向けて気体の流れを促進することができる。これにより、簡素な構成でロータの冷却通路に気体を円滑に流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係る回転電機システムを含む複合動力システムの外観斜視図である。
図2図2は、図1の複合動力システムを構成する回転電機システムの外観斜視図である。
図3図3は、図2の回転電機システムの概略側面断面図である。
図4図4は、図3の回転電機システムの回転シャフト近傍の拡大断面図である。
図5図5は、図3に示す回転電機システムの入口側整流部材の近傍を示す要部拡大図である。
図6図6は、図3に示す回転電機システムの出口側整流部材の近傍を示す要部拡大図である。
図7図7は、入口側整流部材を軸方向から見た正面図である。
図8図8は、出口側整流部材を軸方向から見た正面図である。
図9図9は、入口側整流部材の外観斜視図である。
図10図10は、出口側整流部材の外観斜視図である。
図11図11は、回転電機ハウジングに設けられる電流変換器の模式的構成図である。
図12図12は、回転電機ハウジングを構成する第2サブハウジングと、エンジンハウジングにおけるインナハウジングの概略斜視図である。
図13図13は、複合動力システムを構成するガスタービンエンジンの概略側面断面図である。
図14図14は、図13のガスタービンエンジンの要部拡大図である。
図15図15は、外部に設けた圧縮ポンプを気体供給源とする場合の概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係る回転電機システム10は、内燃機関と一体的に組み合わされた複合動力システム400に用いられる。図1は、本実施形態に係る複合動力システム400の概略全体斜視図である。
【0011】
以下における「左」、「右」、「下」及び「上」のそれぞれは、特に図3図6図13図14における左方、右方、下方及び上方を指す。しかしながら、これらの方向は、説明を簡素化して理解を容易にするための便宜的な方向付けである。すなわち、明細書に記載した方向が、複合動力システムを実使用するときの方向であるとは限らない。
【0012】
複合動力システム400は、回転電機システム10と、ガスタービンエンジン200とを備える。回転電機システム10の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線と、ガスタービンエンジン200の直径中心を通り長手方向(軸線方向)に沿って延在する軸線とは一致する。換言すれば、回転電機システム10とガスタービンエンジン200とは、同一軸線上に並列配置される。
【0013】
以下、回転電機システム10及びガスタービンエンジン200のそれぞれの軸線方向の左端を、第1端と表記することもある。同様に、回転電機システム10及びガスタービンエンジン200のそれぞれの軸線方向の右端を、第2端と表記することもある。すなわち、回転電機システム10において、ガスタービンエンジン200から離間する左端部は第1端である。回転電機システム10において、ガスタービンエンジン200に近接する右端部は第2端である。また、ガスタービンエンジン200において、回転電機システム10に近接する左端部は第1端である。ガスタービンエンジン200において、回転電機システム10から離間する右端部は第2端である。この定義に従えば、図示例では、ガスタービンエンジン200は、回転電機システム10の第2端に配設されている。回転電機システム10は、ガスタービンエンジン200の第1端に配設されている。
【0014】
複合動力システム400は、例えば、飛翔体、船舶又は自動車等において、推進の動力源として利用される。飛翔体の好適な具体例としては、ドローン又はマルチコプタ等が挙げられる。複合動力システム400は、飛翔体に搭載されたときには、例えば、プロップ、ダクテッドファン等を回転付勢する動力駆動源とされる。複合動力システム400は、船舶に搭載されたときには、スクリューの回転力発生装置とされる。複合動力システム400は、自動車に搭載されたときには、モータを回転付勢する動力駆動源とされる。
【0015】
複合動力システム400は、航空機、船舶又は建物等において、補助電源の動力源として利用することもできる。この他、複合動力システム400をガスタービン発電設備として利用することも可能である。
【0016】
後述するように、ガスタービンエンジン200は内燃機関である。また、ガスタービンエンジン200は、圧縮エア(ガス)を供給するガス供給装置である。
【0017】
先ず、回転電機システム10について説明する。図2は、回転電機システム10の概略全体斜視図である。図3は、回転電機システム10の概略側面断面図である。回転電機システム10は、回転電機12(例えば、発電機)と、回転電機12を収容した回転電機ハウジング14とを備える。
【0018】
回転電機ハウジング14は、メインハウジング16と、第1サブハウジング18と、第2サブハウジング20とを有する。メインハウジング16は略円筒形状をなし、第1端及び第2端の双方が開放端である。第1サブハウジング18は、メインハウジング16の第1端(左開放端)に連結される。第2サブハウジング20は、メインハウジング16の第2端(右開放端)に連結される。以上により、メインハウジング16の第1端及び第2端が閉塞される。
【0019】
メインハウジング16は、左右方向に沿って延在する厚肉の側壁を有する。メインハウジング16の側壁の内部には、収容室22が形成されている。回転電機12の大部分は、収容室22に収容されている。
【0020】
メインハウジング16の側壁の内部には、螺旋状の冷却ジャケット24が形成されている。冷却ジャケット24には、冷却媒体が流通する。冷却媒体の具体例としては、冷却水が挙げられる。この場合、冷却ジャケット24はウォータジャケットである。
【0021】
メインハウジング16の側壁の外面(外側壁)には、第1端の縁部近傍に、第1ケーシング26及び第2ケーシング28が設けられる。第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16の一部を構成する。すなわち、第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16と一体的に配置される。後述するように、第1ケーシング26は端子ケーシングである。第2ケーシング28は、測定器ケーシングである。
【0022】
第1サブハウジング18には、回転パラメータ検出器を保持する保持部材が連結される。本実施形態では、回転パラメータ検出器としてレゾルバ132を例示する。従って、以降は、検出器の保持部材を「レゾルバホルダ30」と表記する。後述するように、レゾルバホルダ30には、ネジを介してキャップカバー32が連結される。
【0023】
回転電機12は、ロータ34と、ロータ34の外周を囲むステータ36と、整流構造37とを備える。
【0024】
ロータ34は、磁石38と、回転シャフト39と、拡径部40と、冷却通路41と、第1及び第2磁石ホルダ70a、70bとを含む。回転シャフト39は、内シャフト42と、中空筒状の外シャフト44とを有する。外シャフト44の本体部44aの両端は開放端である。すなわち、本体部44aは、左開口端441(図5参照)と、右開口端442(図6参照)とを有する。左開口端441は、本体部44aの軸方向一端である左端に配置される。右開口端442は、本体部44aの軸方向他端である右端に配置される。
【0025】
内シャフト42は、外シャフト44の内部に挿抜可能に挿入される。内シャフト42は、外シャフト44に比して長尺である。内シャフト42は、円柱部421と、左端部422(図5参照)と、右端部423(図6参照)とを有する。左端部422は、円柱部421の左方に連なる。従って、左端部422は、内シャフト42の、ガスタービンエンジン200から離間する端部(第1端)である。右端部423は、円柱部421の右方に連なる。従って、右端部423は、内シャフト42の、ガスタービンエンジン200に近接する端部(第2端)である。円柱部421の直径は、左端部422及び右端部423よりも小さい。また、右端部423の直径は、左端部422よりも小さい。
【0026】
左端部422の一部は、外シャフト44の左開口端441から露出する。左開口端441から露出した部分は、後述する突出先端46である。なお、図示の例では、内シャフト42の右端部423と、外シャフト44の右開口端442とが面一である。しかしながら、右端部423が、右開口端442から第2端に向かって若干寄った位置であってもよい
【0027】
図5に示すように、内シャフト42の左端部422には、第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54が右方に向かってこの順で配置される。第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54の外径は、この順で大きくなる。第2外ネジ部54の外径は外シャフト44の内径に比して大きい。このため、第2外ネジ部54の右端は、外シャフト44の左開口端441の縁部に堰き止められる。従って、内シャフト42の、第2外ネジ部54よりも左方の部分が、外シャフト44内に挿入されることはない。
【0028】
鍔部50には、レゾルバロータ56が装着される。第1外ネジ部48には小キャップナット58がネジ止めされる。レゾルバロータ56の右端は、ストッパ部52に堰き止められる。レゾルバロータ56の左端は、小キャップナット58で押圧される。以上により、レゾルバロータ56が鍔部50に位置決め固定される。
【0029】
第2外ネジ部54には大キャップナット60が螺合される。大キャップナット60の右端は、外シャフト44の左開口端441の外周壁を覆う。これにより、内シャフト42の左端部422が、外シャフト44の左開口端441に拘束される。なお、第1外ネジ部48及び第2外ネジ部54はいずれも、いわゆる逆ネジである。従って、小キャップナット58及び大キャップナット60は、螺合時に反時計回りに回転される。螺合の後、小キャップナット58及び大キャップナット60のネジ山の一部を変形させることが好ましい。これにより、小キャップナット58及び大キャップナット60が弛緩することが防止される。
【0030】
図6に示すように、内シャフト42の第2端である右端部423には、連結孔62が形成される。連結孔62は、第1端である左端部422に向かって延在する。連結孔62の内周壁には、雌ネジ部64が刻設される。連結孔62には、出力シャフト204の左端が挿入される。出力シャフト204の左端は、雌ネジ部64に螺合されることで内シャフト42に結合される。出力シャフト204は、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224を保持している(図13参照)。
【0031】
図3に示すように、外シャフト44は、本体部44aと、中間部44bと、冷却通路41とを有する。本体部44aは、外シャフト44の軸方向に延在する。本体部44aの左端及び右端がそれぞれ第1及び第2サブハウジング18、20に回転可能に支持される。本体部44aの右開口端442の外周壁には、第1内スプライン66が形成されている。第1内スプライン66は、回転電機システム10の軸線方向(左右方向)に沿って延在する。
【0032】
拡径部40は、外シャフト44の中間部44bと、第1及び第2磁石ホルダ70a、70bの一部と、第1及び第2保持プレート45a、45bと、磁石38とから構成される。中間部44bは、外シャフト44の軸方向中央に配置される。ロータ34の軸方向において、中間部44bは、本体部44aの左端と右端との間の中間部位に配置される。中間部44bは、本体部44aから径方向外方に拡径する。外シャフト44の外径は、中間部44bが最大である。
【0033】
中間部44bの外周には、複数個の磁石38が保持される。ロータ34において、磁石38が最も径方向外方に配置される。磁石38の左端は、第1磁石ホルダ70aによって保持される。磁石38の右端は、第2磁石ホルダ70bによって保持される。第1磁石ホルダ70aは、円筒部711aと、押さえ部712aとを有する。第2磁石ホルダ70bは、円筒部711bと、押さえ部712bとを有する。各円筒部711a、711bは、外シャフト44の本体部44aの外周面に装着される。各押さえ部712a、712bは、円筒部711a、711bの端部から径方向外方へそれぞれ突出する。各押さえ部712a、712bは、円筒部711a、711bに対して直交した円環状である。
【0034】
図4に示すように、第1磁石ホルダ70aは、磁石38の左端に向かい合う。第1磁石ホルダ70aの押さえ部712aは、第1保持プレート45aを介して磁石38の左端を保持する。押さえ部712aと中間部44bとの間に第1保持プレート45aが配置される。
【0035】
押さえ部712aは、第1上流側孔部713aを有する。第1上流側孔部713aは、冷却通路41の一部を構成する。第1上流側孔部713aは、回転シャフト39の軸方向に延在して押さえ部712aを貫通する。第1上流側孔部713aは、第1保持プレート45aの第2上流側孔部451aと連通する。第2上流側孔部451aは、回転シャフト39の軸方向に延在して第1保持プレート45aを貫通する。第2上流側孔部451aは、冷却通路41の一部を構成する。第1上流側孔部713a及び第2上流側孔部451aは、回転シャフト39の軸方向に沿って直線上に配置される。
【0036】
第2磁石ホルダ70bは、磁石38の右端に向かい合う。第2磁石ホルダ70bの押さえ部712bは、第2保持プレート45bを介して磁石38の右端を保持する。押さえ部712bと中間部44bとの間に第2保持プレート45bが配置される。
【0037】
押さえ部712bは、第1下流側孔部713bを有する。第1下流側孔部713bは、冷却通路41の一部を構成する。第1下流側孔部713bは、回転シャフト39の軸方向に延在して押さえ部712bを貫通する。第1下流側孔部713bは、第2保持プレート45bの第2下流側孔部451bと連通する。第2下流側孔部451bは、回転シャフト39の軸方向に延在して第2保持プレート45bを貫通する。第2下流側孔部451bは、冷却通路41の一部を構成する。第1下流側孔部713b及び第2下流側孔部451bは、回転シャフト39の軸方向に沿って直線上に配置される。
【0038】
第1及び第2磁石ホルダ70a、70bの各円筒部711a、711bは、本体部44aの外周面に保持される。第1及び第2磁石ホルダ70a、70b及び磁石38は、ロータ34の一部として回転シャフト39と共に回転する。隣接する磁石38同士では、互いに異なる極性が外方を向いている。磁石38は、回転シャフト39が回転することに伴って、回転シャフト39の回転中心を中心として、所定の円周上を移動する。ロータ34において、磁石38を含む中間部44b、第1及び第2磁石ホルダ70a、70b、第1及び第2保持プレート45a、45bと本体部44aとの境界が段付状に形成される。
【0039】
拡径部40は、ロータ34の左方に向かう第1壁面44cを有する。第1壁面44cは、拡径部40の左端を構成する第1磁石ホルダ70aの押さえ部712aに配置される。第1壁面44cは、環状端面である。拡径部40は、ロータ34の右方に向かう第2壁面44dを有する。第2壁面44dは、拡径部40の右端を構成する第2磁石ホルダ70bの押さえ部712bに配置される。第2壁面44dは、環状端面である。
【0040】
ロータ34の磁石38の径方向外方に気体流路72を有する。気体流路72は、磁石38の径方向外方に配置されるステータ36(電磁コイル110)と磁石38との間のクリアランスである。気体流路72は、環状であり回転シャフト39の回転軸方向に沿って延在する。気体流路72は、磁石38の左端と右端との間に配置される。気体流路72には、冷却用の気体である圧縮エアが流通する。圧縮エアは、後述するガスタービンエンジン200から供給される。
【0041】
冷却通路41は、冷却用の気体である圧縮エアが流通する流路である。圧縮エアは、後述するガスタービンエンジン200から供給される。ガスタービンエンジン200は、冷却通路41及び気体流路72へ圧縮エアを供給可能な気体供給機構である。ガスタービンエンジン200は、ロータ34とは別に設けられる。
【0042】
冷却通路41は、回転シャフト39の中間部44b、第1及び第2磁石ホルダ70a、70bの内部に配置される。図7及び図8に示す回転シャフト39の軸線と垂直な断面において、冷却通路41は円形状である。冷却通路41は、外シャフト44の回転軸方向に延在する。冷却通路41は、ロータ34の内部に配置されるロータ内冷却通路である。
【0043】
図7及び図8に示すように、冷却通路41は複数設けられる。複数の冷却通路41は、ロータ34(外シャフト44)の回転軸中心から径方向にオフセットして配置される。複数の冷却通路41は、ロータ34の回転軸を中心として周方向に互いに等間隔離間する。回転シャフト39の回転軸を中心とした外シャフト44の同一円上に複数の冷却通路41が配置される。冷却通路41の数量は、例えば、4つ以上であると好ましい。以下、8つの冷却通路41をロータ34に備える場合について説明する。
【0044】
図4に示すように、冷却通路41は、ロータ34において拡径部40の第1及び第2壁面44c、44dに開口する。冷却通路41は、第1及び第2開口部411、412を有する(図5及び図6参照)。
【0045】
図5に示すように、第1開口部411は、冷却通路41の上流端に配置される。すなわち、第1開口部411は、圧縮エアが導入される入口413である。第1開口部411は、拡径部40の第1壁面44cに配置される。冷却通路41の上流端である第1開口部411が、ロータ34(第1磁石ホルダ70a)の外面に開口する。第1開口部411は、第1磁石ホルダ70aの第1上流側孔部713aに配置される。
【0046】
図6に示すように、第2開口部412は、冷却通路41の下流端に配置される。すなわち、第2開口部412は、冷却通路41を流れた圧縮エアが流出する出口414である。第2開口部412は、拡径部40の第2壁面44dに配置される。第2開口部412を介して冷却通路41の下流端である第2開口部412が、ロータ34(第2磁石ホルダ70b)の外面に開口する。第2開口部412は、第2磁石ホルダ70bの第1下流側孔部713bに配置される。
【0047】
図5及び図6に示すように、第1及び第2開口部411、412は、ロータ34の回転軸中心から径方向にオフセットして配置される。ロータ34の径方向において、第2開口部412は、磁石38の内周と外周の間に位置してもよい。
【0048】
図4に示すように、冷却通路41は、平行部455と、傾斜部456とを備える。平行部455は、外シャフト44の回転軸方向に沿って延在する。平行部455は、外シャフト44の回転軸と平行に配置される。平行部455は、中間部44bに配置される。平行部455は、磁石38の径方向内方に配置される。図5に示すように、平行部455の上流端は、第1開口部411(入口413)である。平行部455の上流端は、第1磁石ホルダ70aの第1上流側孔部713aと、第1保持プレート45aの第2下流側孔部451aによって構成される。なお、冷却通路41は、冷却通路41の上流端から下流端に向けて螺旋状に形成してもよい。
【0049】
図4に示すように、傾斜部456の上流端は、平行部455の下流端に接続される。図6に示すように、傾斜部456は、平行部455の下流端(右端)から第2開口部412(出口414)に向けて、平行部455に対して径方向外方へと傾斜する。傾斜部456の下流端は、第2開口部412(出口414)である。傾斜部456は、第2磁石ホルダ70bの第1下流側孔部713bと、第2保持プレート45bの第2下流側孔部451bによって構成される。
【0050】
なお、傾斜部456の位置は、平行部455の下流端に配置される場合に限定されない。冷却通路41の延在方向における一部に傾斜部456が配置されていればよい。冷却通路41において複数の傾斜部456を配置してもよい。冷却通路41が平行部455を備えず、上流端から下流端まで冷却通路41の延在方向にわたって全て傾斜部456で構成してもよい。
【0051】
図5に示すように、回転シャフト39の本体部44aの左端は、第1ベアリング74を介して第1サブハウジング18に回転可能に支持される。第1ベアリング74は、外シャフト44と第1サブハウジング18との間に挿入される。具体的には、第1サブハウジング18は、メインハウジング16に向かって突出した円柱状突部76を有する。円柱状突部76には、第1挿入孔78が形成されている。第1挿入孔78には、第1ベアリング74を保持した第1ベアリングホルダ80が挿入される。従って、第1ベアリング74が第1挿入孔78に配置される。
【0052】
第1挿入孔78は、左右方向に沿って延在している。第1挿入孔78の左端は、第1挿入孔78の右端よりも出力シャフト204から離間する。以下、第1挿入孔78の左端を「第1遠位端781」とも表記する。その一方で、第1挿入孔78の右端は、第1挿入孔78の左端(第1遠位端781)よりも出力シャフト204に近接する。以下、第1挿入孔78の右端を「第1近位端782」とも表記する。
【0053】
外シャフト44の本体部44aの左端には、第1遠位端781に位置する第1外ストッパ81と、第1近位端782に位置する第1内ストッパ82とが装着される。第1ベアリング74は、第1外ストッパ81と第1内ストッパ82とで挟持される。第1外ストッパ81及び第1内ストッパ82による挟持によって、第1ベアリング74が位置決め固定されている。第1外ストッパ81と円柱状突部76との間には、クリアランスが形成されている。
【0054】
回転シャフト39の左端部の先端は、第1ベアリング74の内孔に通された後、第1挿入孔78を通過する。回転シャフト39の左端部の先端は、さらに、円柱状突部76の外方(中空凹部118)に露出する。以下、回転シャフト39の、第1ベアリング74の左端から突出した部位を「突出先端46」と表記する。突出先端46には、内シャフト42の左端部422のうち、第1外ネジ部48、鍔部50、ストッパ部52及び第2外ネジ部54が含まれる。
【0055】
図6に示すように、回転シャフト39の右端は、第2ベアリング84を介して第2サブハウジング20に回転可能に支持される。図6に示すように、第2ベアリング84は、外シャフト44と、略円板形状をなす第2サブハウジング20との間に挿入される。
【0056】
図4に示すように、整流構造37は、メインハウジング16の内部に収容される。整流構造37は、メインハウジング16内を流通する圧縮エアの流れを整流可能である。整流構造37は、入口側整流部材851と、出口側整流部材852とを備える。
【0057】
図5に示すように、入口側整流部材851は、気体流路72及び冷却通路41へ流入する圧縮エアを整流する。入口側整流部材851は、第1空間853aに配置される。第1空間853aは、第1磁石ホルダ70a、第1ベアリング74、第1サブハウジング18、後述する絶縁基材112で囲まれた空間である。入口側整流部材851は、冷却通路41の入口413(第1開口部411)に向かい合う。入口側整流部材851は、気体流路72の入口に向かい合う。すなわち、入口側整流部材851は、冷却通路41及び気体流路72の上流端に向かい合う。入口側整流部材851は、第1サブハウジング18の円柱状突部76に向かい合う。入口側整流部材851は、磁石38と第1ベアリング74との間に配置される。入口側整流部材851は、絶縁基材112の内側に配置されている。
【0058】
図7に示すように、入口側整流部材851は、円筒状の第1ボディ854aと、複数の入口側フィン855aとを有する。
【0059】
図5に示ように、第1ボディ854aの外周面は、後述する絶縁基材112に当接して保持される。第1ボディ854aの左端は、円柱状突部76の端面に当接して保持される。第1ボディ854aの右端は、後述する電磁コイル110の左端に当接して保持される。第1ボディ854aは、第1磁石ホルダ70aの径方向外方に配置される。第1ボディ854aは、気体流路72より径方向外方に配置される。
【0060】
これにより、メインハウジング16の内部において、入口側整流部材851が、非回転部材である絶縁基材112、円柱状突部76、電磁コイル110によって軸方向及び径方向に保持される。
【0061】
第1ボディ854aの左端は、複数の連通孔856を有する。連通孔856は、第1ボディ854aを径方向に貫通する。複数の連通孔856は、第1ボディ854aの周方向に沿って互いに離間する(図9参照)。第1空間853aに入口側整流部材851を配置したとき、絶縁基材112と第1サブハウジング18との間のクリアランスと連通孔856とが向かい合う(図5参照)。クリアランスと連通孔856とが連通する。
【0062】
複数の入口側フィン855aは、第1空間853aに供給される圧縮エアの流れをロータ34の周方向(回転方向)に整流する。
【0063】
図7に示すように、複数の入口側フィン855aは、第1ボディ854aの内周面に配置される。各入口側フィン855aは、連通孔856よりも磁石38に近い位置に配置される。各入口側フィン855aは、第1ボディ854aの内周面から径方向内方に突出する。複数の入口側フィン855aは、ロータ34(本体部44a)の回転軸中心を囲むように配置される。複数の入口側フィン855aは、第1ボディ854aの周方向に沿って等間隔離間する。各入口側フィン855aは、ロータ34の拡径部40(第1壁面44c)、第1磁石ホルダ70aの押さえ部71bに向かい合う(図5参照)。
【0064】
冷却通路41の各第1開口部411の中心を互いに繋いだ第1仮想円D1と複数の入口側フィン855aとが軸方向に向かい合う。気体流路72の左端と複数の入口側フィン855aとが軸方向に向かい合う(図5参照)。
【0065】
図9に示すように、各入口側フィン855aは、方向変換部857aと、第1フィン端858aと、第2フィン端859aとを有する。方向変換部857aは、第1ボディ854aの軸方向一端から他端に向けて、第1ボディ854aの軸方向から周方向へ向きを変えるように湾曲する。第1フィン端858aは、第1ボディ854aの軸方向における方向変換部857aの一端部に配置される。第1フィン端858aは、入口側フィン855aの上流端である。第1フィン端858aは、第1ボディ854aの軸方向に向かう。第2フィン端859aは、第1ボディ854aの軸方向における方向変換部857aの他端部に配置される。第2フィン端859aは、入口側フィン855aの下流端である。第2フィン端859aは、第1フィン端858aに向けて第1ボディ854aの周方向へ延在する。
【0066】
図5に示す入口側整流部材851が第1空間853aに配置されるとき、第1フィン端858aが、第1ベアリング74及び円柱状突部76に向かい合う。第2フィン端859aが、拡径部40の第1壁面44cに向かい合う。第2フィン端859aが、気体流路72及び冷却通路41の第1開口部411(入口413)に向かい合う。
【0067】
方向変換部857aは、第1フィン端858aから第2フィン端859aに向けて、回転シャフト39の回転方向Rへ向けて湾曲する。以下、図7に示す回転シャフト39の左端から見て、ロータ34の回転方向Rが反時計回りである場合について説明する。入口側整流部材851に圧縮エアが供給されたとき、複数の入口側フィン855aの方向変換部857aによって圧縮エアが下流側(右方)に向かってロータ34の回転方向Rへ向きを変える。
【0068】
図6に示すように、出口側整流部材852は、気体流路72及び冷却通路41から流出する圧縮エアを整流する。出口側整流部材852は、第2空間853bに配置される。第2空間853bは、第2磁石ホルダ70b、第2サブハウジング20、後述する絶縁基材112で囲まれた空間である。出口側整流部材852は、拡径部40の冷却通路41の出口414(第2開口部412)に向かい合う。出口側整流部材852は、気体流路72の出口に向かい合う。すなわち、出口側整流部材852は、冷却通路41及び気体流路72の下流端に向かい合う。出口側整流部材852は、第2サブハウジング20の円筒形状部87に向かい合う。出口側整流部材852は、磁石38と第2ベアリング84との間に配置される。出口側整流部材852は、絶縁基材112の内側に配置されている。
【0069】
図8に示すように、出口側整流部材852は、円筒状の第2ボディ854bと、複数の出口側フィン855bとを有する。図6に示すように、第2ボディ854bの外周面は、後述する絶縁基材112に当接して保持される。第2ボディ854bの右端は、第2サブハウジング20の円筒形状部87の端面に当接して保持される。第2ボディ854bの左端は、後述する電磁コイル110の右端に当接して保持される。第2ボディ854bは、第2磁石ホルダ70bの径方向外方に配置される。第2ボディ854bは、気体流路72より径方向外方に配置される。
【0070】
これにより、メインハウジング16の内部において、出口側整流部材852は、非回転部材である絶縁基材112、円筒形状部87、電磁コイル110によって軸方向及び径方向に保持される。複数の出口側フィン855bは、冷却通路41及び気体流路72から流出する圧縮エアの流れをロータ34の軸方向に向けて整流する。
【0071】
図8に示すように、複数の出口側フィン855bは、第2ボディ854bの内周面に配置される。各出口側フィン855bは、第2ボディ854bの内周面から径方向内方に突出する。複数の出口側フィン855bは、ロータ34の回転軸中心を囲むように配置される。複数の出口側フィン855bは、第2ボディ854bの周方向に沿って等間隔離間する。各出口側フィン855bは、ロータ34の拡径部40(第2壁面44d)、第2磁石ホルダ70bの押さえ部71bに向かい合う。
【0072】
図8に示す冷却通路41の各第2開口部412の中心を互いに繋いだ第2仮想円D2と複数の出口側フィン855bとが軸方向に向かい合う。気体流路72の右端と複数の出口側フィン855bとが軸方向に向かい合う(図6参照)。
【0073】
図10に示すように、各出口側フィン855bは、方向変換部857bと、第1フィン端858bと、第2フィン端859bとを有する。方向変換部857bは、第2ボディ854bの軸方向一端から他端に向けて、第2ボディ854bの軸方向から周方向に向けて向きを変えるように湾曲する。第1フィン端858bは、第2ボディ854bの軸方向における方向変換部857bの一端部に配置される。第1フィン端858bは、出口側フィン855bの上流端である。第1フィン端858bは、第2ボディ854bの軸方向に向かう。第2フィン端859bは、第2ボディ854bの軸方向における方向変換部857bの他端部に配置される。第2フィン端859bは、出口側フィン855bの下流端である。第2フィン端859bは、第1フィン端858bに向けて第2ボディ854bの周方向へ延在する。
【0074】
図6に示す出口側整流部材852が第2空間853bに配置されるとき、第2フィン端859bが、第2磁石ホルダ70b、拡径部40の第2壁面44dに向かい合う。第2フィン端859bが、気体流路72の右端及び冷却通路41の第2開口部412(出口414)に向かい合う。第1フィン端858bが、第2サブハウジング20の円筒形状部87に向かい合う。
【0075】
方向変換部857bは、第2フィン端859bから第1フィン端858aに向けて、回転シャフト39の回転方向へ向けて湾曲する。冷却通路41及び気体流路72から第2空間853bに圧縮エアが流出したとき、複数の出口側フィン855bの方向変換部857bによって、ロータ34の回転方向に旋回した圧縮エアが下流側に向かってロータ34の軸方向へ向きを変える。
【0076】
なお、入口側整流部材851、出口側整流部材852を冷却通路41の第1及び第2開口部411、412にそれぞれ配置する場合に限定されない。入口側整流部材851、出口側整流部材852のいずれか一方のみを冷却通路41に向かい合うように配置してもよい。
【0077】
図3に示すように、第2サブハウジング20は、図示しないボルトを介してメインハウジング16に連結される。第2サブハウジング20の中心は円筒形状部87を有する。図6に示すように、円筒形状部87には、第2挿入孔86が形成されている。第2挿入孔86は、左右方向に沿って延在している。第2挿入孔86の左端は、第2挿入孔86の右端よりも出力シャフト204から離間する。以下、第2挿入孔86の左端を「第2遠位端861」とも表記する。その一方で、第2挿入孔86の右端は、第2挿入孔86の左端(第2遠位端861)よりも出力シャフト204に近接する。以下、第2挿入孔86の右端を「第2近位端862」とも表記する。
【0078】
第2挿入孔86には、第2ベアリング84を保持した第2ベアリングホルダ88が挿入される。従って、第2ベアリング84が第2挿入孔86に配置される。第2ベアリング84は、第2遠位端861に位置する第2内ストッパ90と、第2近位端862に位置する第2外ストッパ92とで挟持される。この挟持に基づいて、第2ベアリング84が位置決め固定される。
【0079】
また、第2遠位端861では、第2内ストッパ90と第2ベアリングホルダ88との間にクリアランスが形成される。このクリアランスは、第3サブ分岐路941である。
【0080】
図2に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200を向く端面には、ガイド部材96が連結される。ガイド部材96は、裾部98と、縮径部100と、頂部102とを有する。第2サブハウジング20を向く裾部98は、大径且つ薄肉の円筒板形状である。ガスタービンエンジン200を向く頂部102は、小径且つ比較的長尺な円筒板形状である。裾部98と頂部102との間の縮径部100では、直径が漸次的に小さくなる。従って、ガイド部材96は、山形形状体又は無底カップ形状体である。縮径部100の外表面は、表面粗さが小さい平滑面とされている。
【0081】
裾部98の、第2サブハウジング20を向く端面には、導入口104が形成されている。また、縮径部100は中空である。すなわち、縮径部100の内部には中継室106が形成されている。導入口104は、圧縮エアの中継室106への入力口である。
【0082】
頂部102には、左右方向に沿って挿通孔108が形成されている。挿通孔108の直径(開口径)は、第2外ストッパ92の、回転シャフト39に沿って延在する部位の外径よりも大きい。このため、第2外ストッパ92の、挿通孔108内に進入した部位及び外周壁は、挿通孔108の内壁から離間する。換言すれば、第2外ストッパ92の外周壁と、挿通孔108の内壁との間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、第4サブ分岐路942である。中継室106は、挿通孔108及び第4サブ分岐路942に接近するに従って幅広となる。
【0083】
また、挿通孔108の直径(開口径)は、コンプレッサホイール222の、比較的小径な左端(小径円筒部242)の外径よりも大きい。このため、挿通孔108内に進入した小径円筒部242も、挿通孔108の内壁から離間する。換言すれば、小径円筒部242の外周壁と、挿通孔108の内壁との間にはクリアランスが形成されている。このクリアランスは、出口路943である。
【0084】
図3に示すように、第1挿入孔78と、第3サブ分岐路941とは、収容室22に連通する。このため、第1ベアリング74及び第2ベアリング84は、収容室22に曝されている。
【0085】
ステータ36は、ロータ34と共に回転電機12を構成する。ステータ36は、電磁コイル110と、複数個の絶縁基材112とを有する。電磁コイル110は、U相コイル、V相コイル、W相コイルの3種類を有し、絶縁基材112に巻回される。回転電機12が発電機である場合、回転電機12はいわゆる三相電源である。複数個の絶縁基材112は、円環形状に配列されている。この配列により、ステータ36に内孔が形成される。ステータ36の左端に配置される絶縁基材112の内周面によって入口側整流部材851が径方向に保持される。ステータ36の右端に配置される絶縁基材112の内周面によって出口側整流部材852が径方向に保持される。
【0086】
ステータ36は、収容室22に収容される。第2サブハウジング20はステータホルダとしての役割を果たす。すなわち、第2サブハウジング20には、円環状凹部114が形成される。円環状凹部114に、ステータ36に含まれる絶縁基材112が係合される。この係合により、ステータ36が位置決め固定される。さらに、ステータ36の内孔の左開口には、円柱状突部76が進入する。
【0087】
収容室22の内壁と電磁コイル110とは、互いに若干離間している。この離間により、メインハウジング16と電磁コイル110が電気的に絶縁される。
【0088】
図5に示すように、円柱状突部76の外周壁と絶縁基材112との間に第1空間853aを有する。磁石38の外壁と電磁コイル110の内壁との間には気体流路72を備える。第1空間853a及び気体流路72には圧縮エアが流通する。換言すれば、第1空間853a及び気体流路72は、圧縮エア流路の一部である。
【0089】
第1サブハウジング18は、円環形状に突出する円環状凸部116を有する。円環状凸部116の内方は、中空凹部118となっている。内シャフト42の左端部422の一部である突出先端46は、中空凹部118に進入している。
【0090】
円環状凸部116には、レゾルバホルダ30が設けられる。レゾルバホルダ30は、直径方向外方に向かって突出したフランジ状ストッパ120を有する。フランジ状ストッパ120は、円環状凸部116の内径よりも大径である。従って、フランジ状ストッパ120は、円環状凸部116に当接する。この当接により、レゾルバホルダ30が位置決めされる。レゾルバホルダ30は、この状態で、例えば、取付ボルト(図示せず)等を介して第1サブハウジング18に連結される。
【0091】
レゾルバホルダ30の、フランジ状ストッパ120の左方には、小円筒部122が設けられる。また、フランジ状ストッパ120の右方には、大円筒部124が設けられる。大円筒部124は、小円筒部122に比べて大径である。レゾルバホルダ30には、保持孔126が形成されている。保持孔126には、レゾルバステータ130の大部分が嵌合される。この嵌合により、レゾルバステータ130がレゾルバホルダ30に保持されている。
【0092】
大円筒部124が中空凹部118に進入し且つフランジ状ストッパ120が円環状凸部116に当接したとき、レゾルバステータ130の内孔に、レゾルバロータ56が位置する。レゾルバステータ130とレゾルバロータ56とで、レゾルバ132が構成される。レゾルバ132は、回転パラメータ検出器である。本実施形態では、レゾルバ132は、内シャフト42の回転角度を検出する。なお、上記したように、レゾルバロータ56は、内シャフト42の左端部422の鍔部50に保持されている。
【0093】
フランジ状ストッパ120には、係合孔134が形成されている。係合孔134には、送信コネクタ136が係合される。レゾルバステータ130と送信コネクタ136とは、信号線138を介して電気的に接続される。なお、送信コネクタ136には、受信器(図示せず)の受信コネクタが挿入される。送信コネクタ136と受信コネクタとを介して、レゾルバ132と受信器が電気的に接続される。受信器は、レゾルバ132が発した信号を受信する。
【0094】
小円筒部122には、複数個のタブ部140が設けられている(図1では省略している)。図3には、1個のタブ部140が示されている。さらに、小円筒部122には、キャップカバー32が被せられる。キャップカバー32は、小円筒部122の左開口を閉塞し、且つ内シャフト42の左端部422を遮蔽する。なお、キャップカバー32は、連結ボルト142を介してタブ部140に連結される。
【0095】
上記したように、メインハウジング16の左端近傍の側壁には、第1ケーシング26及び第2ケーシング28が一体的に設けられる。第1ケーシング26には、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が収容される。U相端子1441は、電磁コイル110のうちのU相コイルに電気的に接続される。V相端子1442は、電磁コイル110のうちのV相コイルに電気的に接続される。W相端子1443は、電磁コイル110のうちのW相コイルに電気的に接続される。U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443は、外部機器(外部負荷又は外部電源)が電気的に接続される電気端子部である。回転電機12で発生した電力は、外部機器に供給される。外部負荷としては、例えば、図示しないモータが挙げられる。また、外部機器としては、例えば、図11に示すバッテリ146が挙げられる。
【0096】
第2ケーシング28は、第1ケーシング26に隣接する。第2ケーシング28には、温度測定器であるサーミスタ148が収容されている。特に図示はしていないが、サーミスタ148の測定端子は、第2ケーシング28から引き出された後、電磁コイル110に接続されている。第2ケーシング28からは、サーミスタ148に接続されたハーネス149が外部に引き出される。
【0097】
第2ケーシング28の内部空間と第1ケーシング26の内部空間は、不図示の相互連通孔を介して連通している。また、第1ケーシング26の内部空間は、収容室22に連通している。
【0098】
図1及び図2に示すように、メインハウジング16の外周壁には電流変換器150が設けられる。電流変換器150は、第1ケーシング26よりもガスタービンエンジン200に寄っている。図11に示すように、電流変換器150は、変換回路152と、コンデンサ154と、制御回路156とを有する。これら変換回路152、コンデンサ154及び制御回路156は、機器ケース158内に収容される。機器ケース158は、例えば、メインハウジング16の外周壁の、第1中空管部1601、第2中空管部1602及び第3中空管部1603に干渉しない箇所に配置される(図1参照)。
【0099】
第1中空管部1601、第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部は、圧縮エアが流通する中継連通路である。すなわち、本実施形態では、回転電機ハウジング14に3個の中継連通路が形成されている。
【0100】
変換回路152は、パワーモジュール161を含む。変換回路152は、電磁コイル110に生じた交流電流を直流電流に変換する。このとき、コンデンサ154は、変換回路152によって変換された直流電流を電荷として一時的に蓄電する。変換回路152は、バッテリ146から送られた直流電流を交流電流に変換する機能も併せ持つ。この場合、コンデンサ154は、電磁コイル110に向けてバッテリ146から送られた直流電流を電荷として一時的に蓄電する。
【0101】
制御回路156は、コンデンサ154からバッテリ146に向かう直流電流、又は、その逆方向に向かう直流電流の電流密度等を制御する。なお、バッテリ146からの直流電流は、例えば、交流-直流変換器を介してモータ(いずれも図示せず)に供給される。
【0102】
次に、回転電機システム10に設けられる圧縮エア流路について説明する。
【0103】
図12に示すように、第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200を向く端面には、環状凹部からなる環状の集合流路162が形成される。後述するように、集合流路162には、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアの一部が流通する。集合流路162(環状凹部)の底壁には、上流連通孔164が3箇所に形成される。上流連通孔164は、圧縮エアの入力口である。
【0104】
第2サブハウジング20の内部には、エア中継路166が設けられる。エア中継路166は、第2サブハウジング20の直径方向に沿って放射状に延在する。エア中継路166は、直径方向外方において、上流連通孔164を介して集合流路162に連通する。また、第2サブハウジング20の、回転電機12に向く端面には、3個の第1下流連通孔1681~1683が形成される。第1下流連通孔1681~1683は、エア中継路166の第1の出力口である。集合流路162とエア中継路166とにより、分配路が形成される。
【0105】
第2サブハウジング20の、ガスタービンエンジン200に向く端面には、3個の第2下流連通孔1701~1703が形成される。第2下流連通孔1701~1703は、エア中継路166の第2の出力口である。第2下流連通孔1701~1703は、第1下流連通孔1681~1683よりも直径方向の内方に位置する。従って、エア中継路166を流通した圧縮エアは、第1下流連通孔1681~1683に進入する圧縮エアと、第2下流連通孔1701~1703に進入する圧縮エアとに分かれる。
【0106】
図2に示すように、メインハウジング16の側壁外面には、第1中空管部1601~第3中空管部1603が設けられている。第1下流連通孔1681~1683は、第1中空管部1601~第3中空管部1603にそれぞれ個別に開口する。このことから分かるように、エア中継路166は、集合流路162と、第1中空管部1601~第3中空管部1603の中空内部とを連通する。図3に示すように、第1中空管部1601~第3中空管部1603は、メインハウジング16の側壁内部に形成された冷却ジャケット24の直径方向外方に位置する。
【0107】
第1中空管部1601~第3中空管部1603は、メインハウジング16の軸線方向に沿って延在する。第1中空管部1601の中空内部は、第2ケーシング28の内部空間に連通する。第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部は、第1ケーシング26の内部空間に連通する。後述するように、第1中空管部1601の中空内部を流通した分流エアは、第2ケーシング28の内部空間に流入する。第2中空管部1602及び第3中空管部1603の中空内部を流通した分流エアは、第1ケーシング26の内部空間に流入する。このことから理解されるように、第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、第1中空管部1601~第3中空管部1603の、冷却ジャケット24の外方に位置する部位よりも下流に配設されている。
【0108】
上記したように、第1ケーシング26の内部空間と、第2ケーシング28の内部空間とは相互連通孔を介して連通している。また、第1ケーシング26の内部空間は収容室22に連通している。従って、第1中空管部1601~第3中空管部1603を流通した圧縮エアは、第1ケーシング26を経由して収容室22に流入する。
【0109】
本実施形態では、第1中空管部1601~第3中空管部1603を設ける場合を例示しているが、中空管部の個数は、圧縮エアから形成されるカーテンエアに必要とされる流量又は流速等に応じて適宜決定される。すなわち、中空管部の個数は3個に限定されない。また、中空管部の断面積も同様に、カーテンエアに必要とされる流量又は流速等に応じて適宜決定される。
【0110】
図5に示すように、収容室22に流入した圧縮エアは、その後、第1挿入孔78に向かう圧縮エアと、第2挿入孔86に向かう圧縮エアとに分かれる。具体的には、圧縮エアは、第1サブハウジング18とロータ34との間の第1空間853aを流通し、複数の連通孔856を通じて入口側整流部材851の内部へ導入される。このように、第1空間853aは、第1分岐路L(図3参照)である。圧縮エアの一部は、入口側整流部材851の左端から第1挿入孔78に向かう。第1挿入孔78に向かう圧縮エアは、第1ベアリング74に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。
【0111】
一方、圧縮エアの残りの一部は、入口側整流部材851の複数の入口側フィン855aを通過することで整流された後、気体流路72及び冷却通路41を流通して第2挿入孔86に向かう。気体流路72は、第1分岐路Lと分岐した第2分岐路Mである。
【0112】
具体的には、圧縮エアの残りの一部は、入口側整流部材851の左端から第1ボディ854aの内部を通過する。第1ボディ854aの左端から右端に向けて流れると、複数の入口側フィン855aの方向変換部857aによって軸方向に沿った流れから周方向に沿った圧縮エアの流れへと変化する。このとき、入口側整流部材851の下流側に圧縮エアが流出するとき、圧縮エアが旋回した旋回流となる。圧縮エアの旋回方向は、ロータ34の回転方向Rである(図7中、反時計回り)。旋回した圧縮エアが、複数の第1開口部411(入口413)から冷却通路41へと導入される。同時に、旋回した圧縮エアが、環状の気体流路72の左端から気体流路72へと導入される。
【0113】
冷却通路41及び気体流路72に沿って圧縮エアが流れた後、冷却通路41から第2開口部412(出口414)を通じて圧縮エアが第2空間853bに流出する。気体流路72の右端から圧縮エアが第2空間853bに流出する。第2空間853bにおいて、圧縮エアが出口側整流部材852の複数の出口側フィン855bの間を通過する。出口側フィン855bの方向変換部857bによって、圧縮エアの流れが、旋回した状態から軸方向に沿った流れへと変化する。軸方向に向かう圧縮エアは、冷却通路41及び気体流路72から第3サブ分岐路941(第2挿入孔86の第2遠位端861)に到達し、第2ベアリング84に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。このように、収容室22に流入した圧縮エアは、エアカーテンとして機能する。
【0114】
図6に示すように、ガイド部材96の裾部98には、3個の導入口104が形成されている。図6には、その中の1個が示されている。1個の導入口104は、第2下流連通孔1701に連なる(不図示)。別の1個の導入口104は、第2下流連通孔1702に連なる(図示)。また別の1個の導入口104は、第2下流連通孔1703に連なる(不図示)。従って、第2下流連通孔1701~1703から出力された圧縮エアは、導入口104を介してガイド部材96の縮径部100の中継室106に進入する。
【0115】
中継室106は、頂部102に形成された挿通孔108に連なる。ここで、中継室106は、挿通孔108及び第4サブ分岐路942に接近するにつれて幅広となっている。このため、圧縮エアが中継室106を流通するにつれて分流エアの圧力が低下する。
【0116】
中継室106の出口414は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に対面する。従って、中継室106に進入した圧縮エアは、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に接触する。圧縮エアは、その後、第4サブ分岐路942に向かう圧縮エアと、出口路943に向かう圧縮エアとに分かれる。その結果、第4サブ分岐路942に沿って第2挿入孔86の第2近位端862に向かう圧縮エアの圧力が低下する。
【0117】
第4サブ分岐路942から第2挿入孔86の第2近位端862に到達した圧縮エアは、第2ベアリング84に供給された潤滑油をシールするエアカーテンを形成する。また、出口路943に流入した圧縮エアは、シュラウドケース220における第1端(開口端)の内方に導出される。この圧縮エアは、コンプレッサホイール222に再吸引される。
【0118】
メインハウジング16には、排気路172(第1排出路)が形成されている。第1分岐路Lに到達した圧縮エアと、第2分岐路Mに到達した圧縮エアとは、排気路172を経てメインハウジング16の外方に排気される。
【0119】
回転電機システム10は、図示しない潤滑油流路を通じて第1及び第2ベアリング74、84に潤滑油が循環して冷却される。第1及び第2ベアリング74、84の潤滑及び冷却に使用された潤滑油は、メインハウジング16の外部に排出される。回転電機ハウジング14の内部に供給された圧縮エア及び潤滑油は、図示しない気液分離装置に回収される。気液混合物が潤滑油とエアとに分離される。潤滑油は、図示しない循環ポンプによって気液分離装置(不図示)から吐出され潤滑油流路に再供給される。一方、圧縮エアは、図示しない排出口を通じて大気に放出される。
【0120】
次に、ガスタービンエンジン200について説明する。図13に示すように、ガスタービンエンジン200は、エンジンハウジング202と、エンジンハウジング202内で回転する出力シャフト204とを備える。エンジンハウジング202は、インナハウジング2021と、アウタハウジング2022とを含む。インナハウジング2021は、回転電機システム10の第2サブハウジング20に連結される。アウタハウジング2022は、インナハウジング2021に連結される。アウタハウジング2022は、ハウジング本体である。
【0121】
図1及び図12に示すように、インナハウジング2021は、第1円環部206と、第2円環部208と、複数個の脚部210とを有する。第1円環部206は、第2サブハウジング20に連結される。第2円環部208の直径は、第1円環部206の直径よりも大きい。脚部210は、第1円環部206と第2円環部208とを連結する。図示例では、脚部210の個数は6個である。しかしながら、脚部210の個数は、ガスタービンエンジン200と回転電機システム10との間で要求される結合強度に応じて決定される。すなわち、脚部210の個数は、図示例の6個に限定されない。
【0122】
第2円環部208の中央開口からは、回転電機システム10に向かって円筒状カバー部212が突出する。脚部210の右端は、円筒状カバー部212の双方に連なっている。脚部210同士の間には、吸気空間214が形成される。
【0123】
図12及び図13に示すように、6個の脚部210の内部には、抽気通路216が個別に形成されている。抽気通路216の入口413は、脚部210の、円筒状カバー部212との連結箇所に個別に形成される。抽気通路216の出口414は、第1円環部206の、第2サブハウジング20を向く端面に、個別に形成される。抽気通路216の全ての出口414は、仮想円の円周上に位置する。従って、抽気通路216の全ての出口414は、円環形状に形成された集合流路162に重なる。すなわち、複数個の抽気通路216は全て、集合流路162に連通している。このように、集合流路162では、複数個の抽気通路216からの圧縮エアが流入して集合する。
【0124】
脚部210には、エア抜孔217が形成される。エア抜孔217は、円筒状カバー部212の内壁から外壁にわたって直線状に延在する。エア抜孔217は、円筒状カバー部212の内壁から脚部210の外壁にわたって延在することも可能である。エア抜孔217は、1個であってもよいし複数個であってもよい。また、エア抜孔217を形成することは必須ではない。
【0125】
図13に示すように、第2円環部208の右端面には、環状の係合凹部218が形成される。係合凹部218により、シュラウドケース220と、ディフューザ226とが位置決め固定される。
【0126】
ガスタービンエンジン200は、シュラウドケース220、コンプレッサホイール222、タービンホイール224、ディフューザ226、燃焼器228及びノズル230をさらに備える。
【0127】
シュラウドケース220は中空体であり、ガイド部材96に比して大型である。シュラウドケース220の小径な左端は、ガイド部材96を向く。シュラウドケース220の大径な右端は、インナハウジング2021の、円筒状カバー部212内に挿入される。シュラウドケース220は、右端から左端に向かうに従って漸次的に縮径するが、左端先端は、直径方向外方に向かって拡開するように湾曲する。
【0128】
シュラウドケース220の左端は、吸気空間214に露出する。シュラウドケース220の左端の内部には、ガイド部材96の頂部102が進入している。シュラウドケース220の、湾曲した側周壁には、環状の閉塞フランジ部232が設けられる。閉塞フランジ部232の外縁は、円筒状カバー部212及び脚部210の内壁に当接する。
【0129】
シュラウドケース220の側壁において、閉塞フランジ部232と、第1係合凸部238との間には、抽気口234が形成されている。抽気口234は、シュラウドケース220の側壁の内面から外面にわたって延在する。抽気口234は、圧縮エアがチャンバ236に進入するときのチャンバ236への入口413である。
【0130】
チャンバ236は、抽気口234と抽気通路216との間に介在する。すなわち、チャンバ236は、抽気口234と抽気通路216とを連通させる。また、チャンバ236は、エア抜孔217を介して大気に開放されている。
【0131】
シュラウドケース220の右端からは、第2円環部208に向かって第1係合凸部238が突出する。第1係合凸部238は、第2円環部208の係合凹部218に係合している。この係合と、閉塞フランジ部232の外縁が円筒状カバー部212及び脚部210の内壁に当接することとによって、シュラウドケース220がインナハウジング2021に位置決め固定される。同時に、脚部210、円筒状カバー部212及び第2円環部208と、シュラウドケース220の閉塞フランジ部232、側周壁及び第1係合凸部238とで囲まれるチャンバ236が形成される。チャンバ236は、シュラウドケース220を囲む環状をなす。
【0132】
コンプレッサホイール222及びタービンホイール224は、回転シャフト39及び出力シャフト204と一体的に回転することが可能である。すなわち、図6に示すように、コンプレッサホイール222は、左端に小径円筒部242を有する。小径円筒部242は、ガイド部材96に形成された挿通孔108に進入する。小径円筒部242の内壁には、第1外スプライン239が形成されている。第1外スプライン239は、外シャフト44の右開口端442に形成された第1内スプライン66に噛合する。
【0133】
外シャフト44の右開口端442は、小径円筒部242の中空内部に圧入されている。このため、小径円筒部242の左開口の内周壁は、外シャフト44の右開口端442の外周壁を、直径方向内方に向かって押圧している。コンプレッサホイール222は、上記の噛合及び圧入により、外シャフト44(回転シャフト39)に連結される。
【0134】
コンプレッサホイール222の直径中心には、左右方向に沿って延在する貫通孔240が形成されている。貫通孔240において、左端の内壁には、第2外スプライン246が刻設される。また、貫通孔240の、小径円筒部242の中空内部に連なる箇所の孔径は、他の箇所に比して若干小さい。このため、コンプレッサホイール222の、貫通孔240の小径円筒部242側の開口の近傍に、内フランジ部248が設けられる。内フランジ部248が設けられた部位では、貫通孔240の孔径(直径)は最小である。
【0135】
貫通孔240には、タービンホイール224に設けられた出力シャフト204が挿入される。出力シャフト204の左端先端は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242の左端先端と略同位置まで延出する。上記したように、外シャフト44の右開口端442の外周壁は、小径円筒部242の中空内部に挿入されている。このため、出力シャフト204の、貫通孔240から突出した左端は、回転シャフト39の連結孔62に進入する。出力シャフト204の左端には、雄ネジ部252が刻設されている。雄ネジ部252は、連結孔62の内壁に形成された雌ネジ部64に螺合される。この螺合により、回転シャフト39と出力シャフト204とが連結される。
【0136】
出力シャフト204の左端近傍には、第2内スプライン254が形成されている。第2内スプライン254は、貫通孔240の内周壁に形成された第2外スプライン246に噛合する。また、出力シャフト204の左端部は、内フランジ部248に圧入される。
【0137】
図13に示すように、コンプレッサホイール222と、タービンホイール224との間には、リング部材256が介装される。リング部材256は、例えば、ニッケル基合金等の耐熱性金属材からなる。
【0138】
図14に示すように、リング部材256には、コンプレッサホイール222からタービンホイール224に向かう嵌合孔258が形成される。また、リング部材256の外周壁には、複数個(例えば、3個)のラビリンス形成凸部264が形成される。ラビリンス形成凸部264は、リング部材256の直径方向外方に向かって突出し、且つ外周壁の周方向に沿って延在する。後述するように、ラビリンス形成凸部264は、燃焼器228で生成する燃焼済燃料(排気ガス)がコンプレッサホイール222に逆流することを防止する。
【0139】
コンプレッサホイール222の、タービンホイール224を向く右端面からは、環状突部268が突出する。リング部材256の左端面がコンプレッサホイール222の右端面に着座するとき、環状突部268が嵌合孔258に嵌合される。一方、タービンホイール224の、コンプレッサホイール222を向く左端面からは、出力シャフト204が延出する。また、左端面には、出力シャフト204を囲む嵌合凸部270が突出形成される。リング部材256の右端面がタービンホイール224の左端面に着座するとき、嵌合凸部270の頂面が嵌合孔258に嵌合する。以上により、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の各一部が嵌合孔258に嵌合される。リング部材256は、この状態で、コンプレッサホイール222とタービンホイール224とに挟持される。
【0140】
ラビリンス形成凸部264は、アウタハウジング2022(図13参照)の中空内部で中間プレート266に囲まれる。ラビリンス形成凸部264は、中間プレート266に形成された孔部272に挿入される。孔部272の内壁と、この内壁に当接したラビリンス形成凸部264とにより、ラビリンス流路が形成される。コンプレッサホイール222によって生じた圧縮エアは、コンプレッサホイール222の背面を経由してラビリンス形成凸部264に到達する。その一方で、タービンホイール224から燃焼ガスがラビリンス形成凸部264に到達する。燃焼ガスの圧力に比べて圧縮エアの圧力が高いので、燃焼ガスがラビリンス形成凸部264を通過してコンプレッサホイール222を囲む空間に流入することを抑制できる。
【0141】
図13に示すように、アウタハウジング2022の中空内部では、シュラウドケース220及びコンプレッサホイール222の各一部と、中間プレート266とがディフューザ226に囲繞される。ディフューザ226の左端には、第2係合凸部273が形成されている。第2係合凸部273は、シュラウドケース220の第1係合凸部238と一緒に、係合凹部218に係合される。この係合により、ディフューザ226がインナハウジング2021に位置決め固定される。
【0142】
アウタハウジング2022の中空内部では、タービンホイール224がノズル230に囲まれ、且つノズル230が燃焼器228に囲まれる。燃焼器228とアウタハウジング2022との間には、環状の燃焼エア流路274が形成される。燃焼エア流路274は、燃焼エアが流通する通路である。アウタハウジング2022の右端面には、燃料供給ノズル275が位置決め固定される。燃料供給ノズル275は、燃焼器228に燃料を供給する。
【0143】
燃焼器228には、燃焼エア流路274と燃焼器228の内部とを連通させるための中継孔276が形成されている。後述するように、コンプレッサホイール222によって圧縮された燃焼エアは、ディフューザ226、燃焼エア流路274及び中継孔276を経由して、燃焼器228の内部に到達する。燃焼器228には、図示しない微細孔も形成されている。微細孔から排出されたエアは、燃焼器228の内部を冷却するエアカーテンを形成する。
【0144】
ノズル230は、タービンホイール224の最も大径な部位を囲む部位を有する。この部位には、燃焼エアと一緒に燃焼した燃料をタービンホイール224に供給するための図示しない送出孔が形成されている。なお、以下では、燃焼した燃料を「燃焼済燃料」とも表記する。「燃焼済燃料」は、「燃焼ガス」又は「燃焼後の排気ガス」と同義である。
【0145】
アウタハウジング2022及びノズル230の右端では、排出口280が開口している。燃焼済燃料は、送出孔を通過してノズル230内に進行した後、回転するタービンホイール224によって、排出口280を介してアウタハウジング2022外に吹き出される。なお、特に図示はしていないが、排出口280には、燃焼済燃料を排出する排出管が設けられている。
【0146】
本実施形態に係る複合動力システム400は、基本的には以上のように構成される。次に、複合動力システム400の作用効果について説明する。以下、図7に示すロータ34の左端から見て、回転電機システム10のロータ34が反時計回り(回転方向R)に回転する場合について説明する。
【0147】
先ず、バッテリ146から直流電流が供給される。図2及び図11に示す電流変換器150の変換回路152は、この直流電流を交流電流に変換する。交流電流は、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を介して、電磁コイル110(U相コイル、V相コイル及びW相コイル)に供給される。交流電流が電磁コイル110を流れることで、ステータ36に交番磁界が生じる。このため、電磁コイル110と、ロータ34の磁石38との間に、吸引力と反発力とが交互に作用する。その結果、回転シャフト39が回転方向Rに回転を開始する。代替的に、図示しない公知のスタータによって回転シャフト39を回転させるようにしてもよい。
【0148】
ここで、図6に示すように、外シャフト44の右開口端442の外周壁に第1内スプライン66が形成され、且つコンプレッサホイール222の小径円筒部242の内壁に第1外スプライン239が形成されている。第1内スプライン66と第1外スプライン239とは、互いに噛合している。また、出力シャフト204に第2内スプライン254が形成され、且つコンプレッサホイール222の貫通孔240の内壁に第2外スプライン246が形成されている。第2内スプライン254と第2外スプライン246とは、互いに噛合している。このため、回転シャフト39の回転トルクが、コンプレッサホイール222を介して出力シャフト204に速やかに伝達される。
【0149】
すなわち、回転シャフト39が回転方向Rに回転を開始すると、回転シャフト39と一体的に出力シャフト204も回転を開始する。これに伴い、出力シャフト204に支持されたコンプレッサホイール222及びタービンホイール224が出力シャフト204と一体的に回転する。以上のように、第1内スプライン66と第1外スプライン239とを噛合させ、且つ第2内スプライン254と第2外スプライン246とを噛合させることにより、回転シャフト39の回転トルクを出力シャフト204に十分に伝達することができる。
【0150】
しかも、回転シャフト39の右端部が、コンプレッサホイール222の小径円筒部242の中空内部に圧入されている。また、出力シャフト204の左端部が、コンプレッサホイール222の内フランジ部248に圧入されている。このため、回転シャフト39の軸線と、出力シャフト204の軸線とが精度よく一致する。これにより、出力シャフト204が偏心しながら又は振動しながら回転することが十分に抑制される。
【0151】
加えて、図14に示すように、コンプレッサホイール222とタービンホイール224の間にリング部材256が介装されている。リング部材256の嵌合孔258には、コンプレッサホイール222の右端面の環状突部268と、タービンホイール224の左端面の嵌合凸部270とが嵌合している。これらの嵌合も、出力シャフト204の偏心回転(振動)を抑制することに寄与する。従って、振動を抑制するための機構を設ける必要がない。また、出力シャフト204を大径にする必要もない。これにより、複合動力システム400の小型化を図ることができる。
【0152】
さらに、コンプレッサホイール222の右端面と、リング部材256の左端面との間に摩擦力が発生する。リング部材256の右端面と、タービンホイール224の左端面との間にも、摩擦力が発生する。この摩擦力により、コンプレッサホイール222、リング部材256及びタービンホイール224が相互に密着する。従って、両ホイール222、224が回転ズレを起こすことが回避される。
【0153】
さらにまた、複合動力システム400を組み上げる際には、上記の嵌合により、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の出力シャフト204に対する位置合わせ(芯出し)がなされる。このように、両ホイール222、224の間にリング部材256を設け、且つ両ホイール222、224の一部をリング部材256の嵌合孔258に個別に嵌合することが好ましい。これにより、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の出力シャフト204に対する芯出しが容易となる。
【0154】
上記の回転により、図13に示すように、インナハウジング2021の脚部210同士の間の吸気空間214を介して、シュラウドケース220内に大気が吸引される。ここで、インナハウジング2021の直径中心には、ガイド部材96が位置している。上記したように、ガイド部材96は、シュラウドケース220に向かうに従って縮径するような山形形状をなす。しかも、縮径部100の表面が平滑である。このため、吸引される大気は、ガイド部材96によってシュラウドケース220に向かうように整流される。ガイド部材96の右端がシュラウドケース220の左端開口から進入しているので、大気がシュラウドケース220内に効率よく導かれる。このように、ガイド部材96を上記のような形状とし、且つ頂部102をシュラウドケース220内に進入させたことにより、大気をシュラウドケース220で効率よく捕集することができる。
【0155】
シュラウドケース220内に吸引された大気は、コンプレッサホイール222とシュラウドケース220との間を流通する。シュラウドケース220の左開口に比べ、コンプレッサホイール222とシュラウドケース220との間が十分に狭小であることから、この流通の際に大気が圧縮される。すなわち、圧縮エアが生じる。
【0156】
シュラウドケース220には、抽気口234が形成されている。このため、圧縮エアの一部が抽気口234から分流し、チャンバ236に流入する。チャンバ236は環状であり、抽気口234の容積に比べて大きな容積を有する。このため、チャンバ236に流入した分流エアは、チャンバ236に一時的に貯留される。
【0157】
抽気通路216が複数個形成されていることから、チャンバ236から各抽気通路216に圧縮エアが分配される。この場合において、分配された分流エア同士で圧力が相違していることがあり得る。しかしながら、本実施形態では、抽気口234を通過した圧縮エアが、環状をなす単一個のチャンバ236に流入する。これにより、チャンバ236内の分流エアの圧力が揃う。換言すれば、分流エアの圧力が均一化される。このように、チャンバ236は、分流エアの圧力を略一定に調整する圧力調整室である。
【0158】
抽気口234から流入した分流エアは、上記したように圧縮エアの一部であり、高圧である。ここで、チャンバ236の容積が抽気口234の容積よりも大きいので、分流エアは、チャンバ236に流入することで拡散する。このため、分流エアの圧力が低下する。このことから理解されるように、チャンバ236は、圧縮エアの圧力を低下させるバッファ室を兼ねる。
【0159】
インナハウジング2021には、抽気通路216の他、エア抜孔217が形成されている。過剰の圧縮エアは、エア抜孔217を介してガスタービンエンジン200の外方(大気)に放出される。このため、チャンバ236内の分流エアの圧力が過度に上昇することが回避される。すなわち、エア抜孔217により、チャンバ236内の圧力を容易に調節することができる。
【0160】
チャンバ236内では、6個の脚部210の各々に個別に形成された抽気通路216の入口413が開口している。このため、チャンバ236内の分流エアは、次に、6個の抽気通路216を個別に流通し、これにより第2サブハウジング20に向かって進行する。上記したように、この時点で分流エアの圧力は略一定である。
【0161】
図12に示すように、6個の抽気通路216の出口414は全て、集合流路162に重なっている。従って、6個の抽気通路216を流通した分流エアは、集合流路162に流入して集合し、且つ集合流路162に沿って円環状に拡散する。この過程で、分流エアの圧力がさらに均一化される。
【0162】
分流エアは、さらに、集合流路162から3個の上流連通孔164に個別に流入し、3個のエア中継路166に沿って個別に流通する。その後、分流エアの一部が、第1下流連通孔1681~1683から排出される。また、分流エアの残部が、第2下流連通孔1701~1703から排出される。以下、第1下流連通孔1681~1683から排出される分流エアを「第1分流エア」と表記する。第2下流連通孔1701~1703から排出される分流エアを「第2分流エア」と表記する。
【0163】
第1分流エアの経路について説明する。第1下流連通孔1681は、第1中空管部1601の中空内部に連通している。第1下流連通孔1682は、第2中空管部1602の中空内部に連通している。第1下流連通孔1683は、第3中空管部1603の中空内部に連通している。従って、第1分流エアは、図1等に示す第1中空管部1601~第3中空管部1603の中空内部を流通し、回転電機ハウジング14の第2端から第1端に向かう。
【0164】
第1中空管部1601~第3中空管部1603は、冷却ジャケット24の外周部に位置する。冷却ジャケット24には、冷却媒体が予め流通されている。従って、第1分流エアが第1中空管部1601~第3中空管部1603に沿って流通する過程で、第1分流エアの熱が冷却媒体に十分に伝導する。これにより、第1分流エアが比較的低温となる。すなわち、本実施形態では、回転電機12及び電流変換器150等を冷却するための冷却ジャケット24により、第1分流エアを降温することができる。このため、ガスタービンエンジン200又は回転電機システム10に、カーテンエアを冷却するための冷却設備を別途に設ける必要がない。従って、複合動力システム400の小型化を図ることができる。
【0165】
第1中空管部1601を流通した第1分流エアは、図2に示すように第2ケーシング28の内部空間に流入する。これにより、第2ケーシング28内にエアカーテンが形成される。余剰の第1分流エアは、相互連通孔を介して第1ケーシング26の中空内部(内部空間)に流入する。一方、第2中空管部1602及び第3中空管部1603の各々を流通した第1分流エアは、第1ケーシング26の内部空間に流入する。従って、第1ケーシング26内では、第1中空管部1601~第3中空管部1603を流通した第1分流エアによってエアカーテンが形成される。
【0166】
第1ケーシング26内の余剰の第1分流エアは、図3に示すように、メインハウジング16に形成された収容室22に流入する。このことから理解されるように、第1ケーシング26及び第2ケーシング28の内部空間は、第1分流エアの流通経路における上流である。メインハウジング16の収容室22は、第1分流エアの流通経路における下流である。
【0167】
第1ケーシング26及び第2ケーシング28は、メインハウジング16の第1端(左端)に配設されている。このため、第1分流エアは、収容室22の左端から流入する。第1分流エアは、その後、円柱状突部76の外周壁と、絶縁基材112との間のクリアランスに進入する。このクリアランスは、ステータ36の内孔である。
【0168】
第1分流エアは、その後、連通孔856を通じて第1分岐路L(第1空間853a)に配置された入口側整流部材851の内部に導入される。第1分流エアの一部は、入口側整流部材851の第1ボディ854aの左端から第1挿入孔78に向かって流通する。第1挿入孔78に向かって流通した第1分流エアの一部は、第1挿入孔78の第1近位端782に到達する。第1分流エアの一部は、この第1近位端782において、第1ベアリング74のエアカーテンとなる。第1分流エアの一部は、入口側整流部材851によって整流されない。
【0169】
第1分流エアの残部は、入口側整流部材851の左端から右端に向けて第1ボディ854aの内部を通過する。第1分流エアは、入口側整流部材851に対して軸方向に沿って導入される。第1分流エアが、複数の入口側フィン855aの第1フィン端858aから方向変換部857aに沿って第2フィン端859aに向けて流れる。これにより、第1分流エアは、図7及び図9に示す回転シャフト39の左端から見て、徐々に反時計回りに旋回する旋回流となる。第1分流エアは、入口側フィン855aの第2フィン端859aから下流に向けて旋回しながら導出される。すなわち、入口側整流部材851を第1分流エアが通過することで、ロータ34の回転方向Rと同一方向に第1分流エアが旋回する。旋回した第1分流エアの残部は、第2分岐路Mである気体流路72に供給されると共に、回転シャフト39の冷却通路41へと供給される。第1分流エアの残部は、環状の気体流路72に沿って回転シャフト39の右端に向けて流通する。第1分流エアの残部は、第1開口部411(入口413)を通じて各冷却通路41の内部に導入され、冷却通路41に沿って回転シャフト39の右端に向けて流通する。第1分流エアが、ロータ34の回転方向と同一方向に旋回しているため、第1分流エアが、各冷却通路41及び気体流路72に円滑に流入する。
【0170】
第1分流エアの残部は、気体流路72の右端に向けて軸方向に流通する。第1分流エアの残部は、複数の冷却通路41の第1開口部411(入口413)から平行部455に沿って軸方向に流通する。このとき、ロータ34の回転に伴って生じる遠心力によって、傾斜部456から第2開口部412(出口414)に向けて負圧が発生する。この負圧によって、圧縮エアは、平行部455から傾斜部456に向かう流れが促進され円滑に出口414に向けて流れる。
【0171】
第1分流エアは、気体流路72の右端及び冷却通路41の第2開口部412から第2空間853bの出口側整流部材852の内部へ流出する。これにより、複数の冷却通路41を流れる第1分流エアによって、ロータ34及び磁石38が効果的に冷却される。気体流路72を流れる第1分流エアによって、磁石38を含むロータ34及びステータ36が効果的に冷却される。
【0172】
第2空間853bにおいて、第1分流エアの残部は、出口側整流部材852の出口側フィン855bの第2フィン端859bから方向変換部857bに沿って第1フィン端858bに向けて流れる。第1分流エアの残部は、複数の出口側フィン855bによって整流され、ロータ34の回転方向Rと同一方向へ向かう圧縮エアの旋回力が徐々に小さくなる。第1分流エアの残部は、軸方向に沿って流れる直線的な流れへと変化して下流側に流通する。出口側整流部材852によって第1分流エアが整流された後、第3サブ分岐路941を経て第2挿入孔86の第2遠位端861に到達する。第1分流エアの残部は、この第2遠位端861において、第2ベアリング84のエアカーテンとなる。
【0173】
このように、第1分流エアは、左端(第1端)の第1挿入孔78に向かう圧縮エアと、右端(第2端)の第2挿入孔86に向かう圧縮エアとに分岐する。その後、第1分流エアは、後述する第2分流エアと共にメインハウジング16の排気路172に到達する。
【0174】
第2分流エアの経路について説明する。第2下流連通孔1701~1703は、ガイド部材96の裾部98に形成された3個の導入口104にそれぞれ個別に重なっている。従って、第2分流エアは、導入口104を介して中継室106(ガイド部材96の中空内部)に流入する。
【0175】
上記したように、中継室106の出口414は、コンプレッサホイール222の小径円筒部242に対面する位置で開口している。従って、中継室106に流入した第2分流エアは、小径円筒部242に接触する。第2分流エアの一部は、その後、第4サブ分岐路942に向かって流通する。第2分流エアの残部は、出口路943に向かって流通する。
【0176】
第2分流エアの一部は、第4サブ分岐路942を介して第2挿入孔86の第2近位端862に到達する。第2分流エアの一部は、この第2近位端862において、第2ベアリング84のエアカーテンとなる。このように、第2ベアリング84は、第2近位端862に到達した第2分流エアの残部と、第2遠位端861に到達した第1分流エアの一部とで挟まれる。
【0177】
第2分流エアの残部は、出口路943を経てシュラウドケース220の左端内部に排出される。シュラウドケース220の左端開口では、上記したように吸気が行われている。従って、第2分流エアの残部は、吸引された大気と一緒にコンプレッサホイール222によって圧縮される。
【0178】
余剰の第1分流エアは、収容室22を経て排気路172に到達する。余剰の第2分流エアは、例えば、収容室22の内壁と電磁コイル110との間のクリアランスを介して、メインハウジング16の第2端から第1端に流通する。その後、余剰の第2分流エアは、排気路172に到達する。排気路172に到達した第1分流エア及び第2分流エアは、図示しない気液分離装置に回収される。
【0179】
上記したように、インナハウジング2021とシュラウドケース220との間に設けられたチャンバ236によって、カーテンエアの圧力が均一化されている。従って、カーテンエアに圧力分布が生じることが回避される。また、カーテンエアにサージングが起こることも回避される。このため、カーテンエアの圧力を略一定に維持しながら、カーテンエアを第1ベアリング74及び第2ベアリング84の周囲に供給することが可能である。
【0180】
上記したように、中継室106が第4サブ分岐路942に接近するに従って幅広となっている。しかも、中継室106から流出した第2分流エアは、第4サブ分岐路942に向かう一部と、出口路943に向かう残部とに分かれる。従って、第2近位端862に到達した第2分流エアの圧力は、中継室106に流入する前の第2分流エアの圧力よりも小さい。その結果、第2遠位端861に到達した第1分流エアの圧力と、第2近位端862に到達した第2分流エアの圧力とが均衡する。
【0181】
抽気口234に進入することなく、シュラウドケース220とコンプレッサホイール222の間を通過した圧縮エアは、燃焼エアとなる。図13に示すように、燃焼エアは、ディフューザ226内に流入する。燃焼エアは、ディフューザ226の壁部に形成された出口孔から、燃焼器228とアウタハウジング2022との間の燃焼エア流路274に流出する。燃焼エアは、さらに、燃焼器228に形成された中継孔276、微細孔、及び燃焼器228と燃料供給ノズル275との間のクリアランス等を介して、燃焼室(燃焼器228の中空内部)に流入する。
【0182】
燃焼器228は、予め加熱状態とされている。従って、燃焼室も高温となっている。高温の燃焼室に、燃料供給ノズル275から燃料が供給される。燃料は燃焼エアと一緒に燃焼し、高温の燃焼済燃料となる。この燃焼済燃料は、送出孔からノズル230内に供給されたとき、ノズル230内で膨張する。これにより、タービンホイール224が高速で回転し始める。
【0183】
出力シャフト204は、タービンホイール224を保持している。また、出力シャフト204には、コンプレッサホイール222が設けられている。従って、タービンホイール224が高速回転することに伴って、出力シャフト204及びコンプレッサホイール222が一体的に高速回転する。同時に、回転シャフト39も高速回転する。なお、燃焼済燃料は、排出口280に設けられた図示しない排出管を介して、アウタハウジング2022外に排出される。
【0184】
コンプレッサホイール222とタービンホイール224の間に介装されたリング部材256は、両ホイール222、224の間をシールするシール部材としての役割を果たす。しかも、図14に示すように、リング部材256の外周壁には複数個のラビリンス形成凸部264が形成されている。ラビリンス形成凸部264が、中間プレート266に形成された孔部272の内壁に当接している。コンプレッサホイール222によって生じた圧縮エアが、コンプレッサホイール222の背面を経由して、ラビリンス形成凸部264に到達する。また、タービンホイール224から燃焼ガスがラビリンス形成凸部264に到達する。上述の通り、圧縮エアの圧力は、燃焼ガスの圧力に比べて高い。このため、燃焼ガスがラビリンス形成凸部264を通過してコンプレッサホイール222に流入することが抑制される。以上のような理由から、燃焼済燃料が、例えば、両ホイール222、224の間から貫通孔240に侵入することが回避される。
【0185】
図13において、出力シャフト204が高速回転を開始すると、バッテリ146(図11参照)から電磁コイル110への電流供給が停止される。しかしながら、上記したようにタービンホイール224が既に高速回転しているので、回転シャフト39がタービンホイール224及び出力シャフト204と一体的に高速回転する。このときにも、上記と同様の理由から、出力シャフト204から回転シャフト39に対して十分な回転トルクが伝達される。
【0186】
図3において、出力シャフト204及び回転シャフト39の回転方向は、小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252の螺合時の回転方向と逆方向であることが好ましい。この場合、回転シャフト39の回転中に小キャップナット58、大キャップナット60及び雄ネジ部252が弛緩することが回避されるからである。なお、小キャップナット58、大キャップナット60又は雄ネジ部252に、弛緩を防止するための機構を設けるようにしてもよい。
【0187】
回転シャフト39が磁石38を保持しているので、磁石38を囲む電磁コイル110に交流電流が生じる。交流電流は、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を介して、図2及び図11に示す電流変換器150に送られる。電流変換器150の変換回路152は、この交流電流を直流電流に変換する。電流変換器150の制御回路156は、バッテリ146に対して電気的に接続された外部負荷(例えば、モータ)の出力が低下したと判断されたとき、コンデンサ154を介して直流電流をバッテリ146(図11参照)に供給する。これにより、バッテリ146に充電がなされる。
【0188】
この過程において、電流変換器150のうち、特に変換回路152及びコンデンサ154が熱を帯びる。しかしながら、本実施形態では、機器ケース158内の変換回路152及びコンデンサ154が冷却ジャケット24に近接している。このため、変換回路152及びコンデンサ154の熱が、冷却ジャケット24内の冷却媒体に速やかに伝導する。これにより、変換回路152及びコンデンサ154が過度に高温となることが回避される。
【0189】
電磁コイル110は、電流が流れることに伴って発熱する。ここで、ステータ36の左端には、第1空間853aを流通する第1分流エアの一部が接触する。ステータ36の内壁及びロータ34の外周には、収容室22の気体流路72を経て第2空間853b(第2挿入孔86)に向かう第1分流エアの残部が接触する。ロータ34の内部には、複数の冷却通路41を通じて第2空間853bに向かう第1分流エアの残部が接触する。このため、ステータ36及びロータ34(磁石38)は、第1分流エアによって冷却される。また、メインハウジング16に設けられた冷却ジャケット24に、冷却媒体が流通している。回転電機12は、この冷却媒体によって速やかに冷却される。
【0190】
本実施形態では、回転電機12を収容する回転電機ハウジング14(メインハウジング16)と、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を収容する第1ケーシング26とを個別に設けている。このため、メインハウジング16内のステータ36に発生した熱の影響が、第1ケーシング26内のU相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443に及び難い。なお、通電に伴い、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443も発熱する。しかしながら、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443は、第1ケーシング26に供給された第1分流エアによって速やかに冷却される。
【0191】
このように、第1分流エアは、回転電機システム10における発熱箇所を冷却する役割も兼ねる。電気端子部(U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443)、電磁コイル110及び磁石38等が冷却されることから、回転電機システム10の出力制御等に熱の影響が及ぶことが回避される。また、電磁コイル110及び磁石38等の励磁が熱によって低下すること等も回避される。その結果として、回転電機システム10の信頼性が向上する。
【0192】
さらに、回転電機12を収容するメインハウジング16と、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443を収容する第1ケーシング26とを個別に設けていることから、回転電機12と電気端子部とが互いに離間する。このため、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が、ロータ34が回転することに伴って発生する振動の影響を受け難い。換言すれば、U相端子1441、V相端子1442及びW相端子1443が振動から保護される。また、上記したように、第1ベアリング74及び第2ベアリング84では、潤滑油によって焼付きの発生が抑制される。従って、回転電機システム10が耐久性に優れる。
【0193】
回転シャフト39が回転する最中、回転シャフト39の回転角度(回転パラメータ)がレゾルバ132によって検出される。具体的には、回転シャフト39と一体的に、内シャフト42の左端部422に外嵌されたレゾルバロータ56が回転する。これにより、レゾルバステータ130に発生した電気信号が、送信コネクタ136を介して受信器に伝達される。電気信号を読み取った受信器は、電気信号に基づいて回転シャフト39の回転角度を算出する。受信器は、算出結果を図示しない制御装置等に送る。制御装置等は、この回転角度に基づき、演算によって回転数を求める。
【0194】
レゾルバ132は、回転シャフト39の、回転電機ハウジング14から露出した突出先端46に配設されている。従って、レゾルバ132には、回転電機ハウジング14内のステータ36の電磁コイル110に発生した熱の影響が及び難い。また、レゾルバ132には、ロータ34の回転に伴って発生した振動の影響も及び難い。加えて、回転シャフト39を支持する第1ベアリング74及び第2ベアリング84は、回転電機ハウジング14内に設けられている。従って、回転電機ハウジング14によって、第1ベアリング74及び第2ベアリング84が振動することが抑制される。このことも、振動の影響がレゾルバ132に及ぶことを困難にする。
【0195】
例えば、この実施形態では、第3サブ分岐路941と第4サブ分岐路942とを設けている。これに代替し、第1分岐路Lを第1サブ分岐路と第2サブ分岐路とに分岐してもよい。この場合、第1サブ分岐路から第1遠位端781に第1分流エアの一部を供給し、且つ第2サブ分岐路から第1近位端782に第1分流エアの一部を供給する。代替的に、第1分岐路Lを第1サブ分岐路と第2サブ分岐路とに分岐し、且つ第3サブ分岐路941と第4サブ分岐路942とを設けてもよい。
【0196】
ガスタービンエンジン200では、コンプレッサホイール222とタービンホイール224を、図13とは逆の配置とすることも可能である。この場合、タービンホイール224に貫通孔240を形成し、且つコンプレッサホイール222に出力シャフト204を設ければよい。この他、コンプレッサホイール222及びタービンホイール224の形式を遠心式又は軸流式にしてもよい。コンプレッサホイール222とタービンホイール224とを同一軸線上に配置しているのであれば、遠心式と軸流式とを組み合わせた多段コンプレッサホイール及び多段タービンホイールの組み合わせであってもよい。
【0197】
図3において、回転電機システム10を構成する回転電機12は、電磁コイル110に通電がなされることによって回転シャフト39が回転するモータであってもよい。この場合、U相端子1441、V相端子1442、W相端子1443は、バッテリ146から電力を受領する電気端子部となる。
【0198】
上記した実施形態では、ガスタービンエンジン200で生じた圧縮エアの一部を回転電機ハウジング14に供給する態様を例示している。これに代替し、図15に示すように、外部に設けた圧縮ポンプ320等を気体供給源とすることも可能である。
【0199】
この場合、例えば、第1ケーシング26に流通孔322を形成する。この流通孔322に、圧縮ポンプ320から送気された圧縮エアが流入する。また、第2サブハウジング20に、上流連通孔164に連なる連絡孔324を形成する。連絡孔324は、プラグ326で閉塞される。この状態で、圧縮ポンプ320が大気等を圧縮することによって圧縮エアが得られる。この圧縮エアは、第1中空管部1601~第3中空管部1603に供給される。
【0200】
この場合、圧縮エアの全量を燃焼エアとすることができる。
【0201】
以上のように、本発明の実施形態では、回転電機システム10のロータ34の内部に、冷却用の気体である圧縮エアが流通する冷却通路41を設け、冷却通路41の出口414を、冷却通路41の入口413よりも径方向外方に配置している。これにより、ロータ34が回転したときに働く遠心力によって、冷却通路41内で出口414に向けて負圧を発生させることができる。そのため、冷却通路41の入口413から出口414に向けて圧縮エアの流れを促進することができる。その結果、ロータ34に冷却通路41を形成するという簡素な構成で、冷却通路41に気体を円滑に流通させることができる。
【0202】
ロータ34において、磁石38を保持する中間部44bに冷却通路41を配置することで、ロータ34が回転したときに発熱しやすい磁石38の近傍を冷却通路41を流れる圧縮エアによって効果的に冷却できる。
【0203】
ロータ34の周方向に等間隔離間して冷却通路41を複数配置することで、複数の冷却通路41を流れる圧縮エアによってロータ34を効果的に冷却することができる。
【0204】
ロータ34の左方に向かう第1壁面44cに冷却通路41の入口413が開口し、ロータ34において右方に向かう第2壁面44dに出口414が開口する。これにより、ロータ34の外周面ではない第1壁面44c及び第2壁面44dにそれぞれ入口413及び出口414が開口することで、ロータ34の剛性低下を抑制することができる。
【0205】
ロータ34の第1壁面44cが、拡径部40の左端の環状端面であり、第2壁面44dは、拡径部40の右端の環状端面であるため、環状端面である第1壁面44cによって入口413の周囲を補強することができ、環状端面である第2壁面44dによって出口414の周囲を補強することができる。
【0206】
ロータ34の軸方向において、冷却通路41の入口413及び出口414の少なくともいずれか一方と整流構造37の入口側フィン855a、出口側フィン855bとを向かい合わせて配置する。これにより、入口413から冷却通路41へ流入する圧縮エアの流れ、出口414を通じて冷却通路41から流出する圧縮エアの流れの少なくともいずれか一方を整流してロータ34の冷却効果を高めることが可能である。
【0207】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0208】
上記の実施形態は、磁石(38)を有するロータ(34)と、
前記ロータを囲むステータ(36)と、
前記ロータ及び前記ステータを収容するハウジング(14)と、
を備え、
前記ロータの内部に冷却用の気体が流通する冷却通路(41)を備えた回転電機システム(10)であって、
前記冷却通路は、前記気体が導入される入口(413)と、前記気体が導出される出口(414)と、を有し、前記入口と前記出口とは軸方向に互いに離間した位置に配置され、
前記出口が、前記入口に対して軸中心から径方向外方に配置される。
【0209】
前記ロータは、前記ハウジングに支持される本体部(44a)と、
前記本体部から径方向外方に向けて拡径して前記磁石を保持する拡径部(40)と、
を備え、
前記冷却通路が前記拡径部に配置される。
【0210】
前記冷却通路は、前記ロータの軸中心から径方向にオフセットして配置され、前記ロータの周方向に等間隔離間するように前記ロータに複数配置される。
【0211】
前記ロータは、前記ロータの軸方向の一方を向く第1壁面(44c)と、
前記軸方向の他方を向く第2壁面(44d)と、
を有し、
前記入口が前記第1壁面に開口し、前記出口が前記第2壁面に開口する。
【0212】
前記第1壁面は、前記軸方向における前記拡径部の一方の環状端面であり、前記第2壁面は、前記軸方向における前記拡径部の他方の環状端面である。
【0213】
前記気体の流れを整流可能な複数のフィン(855a、855b)を有した整流構造(37)を備え、
前記複数のフィンが、前記ロータの前記軸中心を囲むように前記ロータの周方向に間隔を置いて配置され、前記ロータの軸方向において、前記入口及び前記出口の少なくともいずれか一方と前記複数のフィンとが向かい合う。
【0214】
前記冷却通路は、前記入口と接続され前記ロータの軸方向と平行に延在する平行部(455)と、
前記平行部の下流端から前記出口に向かって径方向外方に傾斜した傾斜部(456)とを備える。
【0215】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0216】
10…回転電機システム 12…回転電機
14…回転電機ハウジング 34…ロータ
36…ステータ 38…磁石
41…冷却通路 40…拡径部
413…入口 414…出口
455…平行部 456…傾斜部
図1
図2
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図15