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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025380
(43)【公開日】2024-02-26
(54)【発明の名称】試験装置および試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240216BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240216BHJP
【FI】
G01N17/00
G01N21/17 A
G01N21/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128761
(22)【出願日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 宏治
【テーマコード(参考)】
2G050
2G059
【Fターム(参考)】
2G050AA02
2G050AA04
2G050BA09
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059FF01
2G059GG02
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ17
2G059KK01
2G059KK04
2G059LL02
(57)【要約】
【課題】耐久性試験にかかる時間を短縮することが可能な試験装置および試験方法を提供する。
【解決手段】試験装置100は、試験装置本体140の内部に配置された試料500に光を照射して、試料500の耐久性を試験するための試験装置100である。試験装置100は、光源111と、導光部120とを備える。光源111は、紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を出射する。導光部120は、光源111から出射した光を試料500に導光する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験装置本体の内部に配置された試料に光を照射して、前記試料の耐久性を試験するための試験装置であって、
紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を出射する光源と、
前記光源から出射した光を試料に導光する導光部と
を備える、試験装置。
【請求項2】
前記導光部は、筒部材を含み、
前記筒部材の内面は、前記光源から出射した光を反射して前記試料に導光する、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記筒部材の内面は、鏡面である、請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記筒部材の中心軸は、前記光源の光軸と略一致する、請求項2または請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記試料は、有機物を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項6】
前記光源は、光を間欠的に出射する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記試料を加熱する加熱部をさらに備え、
前記光源は、前記加熱部により加熱された状態の前記試料に光を照射する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の試験装置。
【請求項8】
試料に光を照射して、前記試料の耐久性を試験するための試験方法であって、
紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を、光源から出射し、
前記光源から出射した光を試料に導光する、試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置および試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外光を出射する光源を備え、試料に紫外光を照射して試料の耐久性を試験する試験装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、紫外線を出射する紫外線放射用光源(以下、単に光源と記載する)と、光源の下方に配置され、試料が載置される試料台とを備えた試験装置が記載されている。光源は、高圧放電灯を用いて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-152398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、試料の耐久性を試験する試験装置では、例えば屋外等の使用環境に比べて強い光を試料に照射する。このため、試験装置を用いることによって、例えば、数年から数十年にわたって生じる劣化を、数か月程度の期間で再現することが可能である。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の試験装置では、光源から出射した光は発散するため、光源から遠ざかるにしたがって光の強度が低下する。このため、試料に照射される光の強度が低下するので、耐久性試験にかかる時間を短縮することが困難である。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、耐久性試験にかかる時間を短縮することが可能な試験装置および試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する試験装置は、試験装置本体の内部に配置された試料に光を照射して、前記試料の耐久性を試験するための試験装置である。前記試験装置は、光源と、導光部とを備える。前記光源は、紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を出射する。前記導光部は、前記光源から出射した光を試料に導光する。
【0008】
本願に開示する試験装置において、前記導光部は、筒部材を含んでもよい。前記筒部材の内面は、前記光源から出射した光を反射して前記試料に導光してもよい。
【0009】
本願に開示する試験装置において、前記筒部材の内面は、鏡面であってもよい。
【0010】
本願に開示する試験装置において、前記筒部材の中心軸は、前記光源の光軸と略一致してもよい。
【0011】
本願に開示する試験装置において、前記試料は、有機物を含んでもよい。
【0012】
本願に開示する試験装置において、前記光源は、光を間欠的に出射してもよい。
【0013】
本願に開示する試験装置は、前記試料を加熱する加熱部をさらに備えてもよい。前記光源は、前記加熱部により加熱された状態の前記試料に光を照射してもよい。
【0014】
本願に開示する試験方法は、試料に光を照射して、前記試料の耐久性を試験するための試験方法であって、紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を、光源から出射し、前記光源から出射した光を試料に導光する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、耐久性試験にかかる時間を短縮することが可能な試験装置および試験方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る試験装置の構造を概略的に示す断面図である。
図2】試験装置の導光部が光を導光する様子を概略的に示す断面図である。
図3】試験装置の構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態の変形例の試験装置の構造を概略的に示す断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る試験装置の構造を概略的に示す断面図である。
図6】試験装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0018】
(第1実施形態)
図1から図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る試験装置100について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る試験装置100の構造を概略的に示す断面図である。試験装置100は、所定の波長の光を試料に照射し、試料の耐久性を試験する加速試験装置である。例えば、試験装置100は、樹脂等からなる試料の耐候性を試験するために用いられる。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の試験装置100は、光源111と、導光部120とを少なくとも備える。光源111は、特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子を含む。光源111は、紫外光(紫外線ともいう)波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を出射する。本実施形態において、紫外光波長域とは、280nm以上、410nm以下の波長域を意味する。また、青色光波長域とは、430nm以上、500nm以下の波長域を意味する。従って、本実施形態において、紫外光波長域から青色光波長域とは、280nm以上、500nm以下の波長域を意味する。例えば、本実施形態では、光源111は、365nm、385nm、395nmまたは405nmのピーク波長を有する紫外光LEDを含む。
【0020】
また、試験装置100は、複数種類の光源111を備えてもよい。そして、試料500の種類等によって、最適なピーク波長の光源111を用いて試験が行われてもよい。
【0021】
導光部120は、光源111から出射した光を試料500に導光する。試料500は、特に限定されるものではないが、例えば、有機物を含む。本実施形態では、試料500は、例えば、樹脂である。試料500は、例えば、ポリカーボネート、エポキシ、アクリルまたはシリコーンであってもよい。本実施形態では、試料500は、例えば、ポリカーボネートである。なお、試料500は、樹脂でなくてもよく、例えば、紙、ゴムまたは塗装膜であってもよい。また、試料500は、無機物であってもよい。試料500の厚みおよび形状は、特に限定されるものではないが、例えば、数mmの厚みを有する板状である。また、試料500の色は、特に限定されるものではないが、例えば、透明である。本実施形態では、試料500の色は、無色透明である。また、本実施形態では、試料500は、光源111から出射する光に対して透光性を有する。
【0022】
図2は、試験装置100の導光部120が光を導光する様子を概略的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態では、導光部120は、内面120aを有する筒部材を含む。内面120aは、光源111から出射した光を反射して試料500に導光する。本実施形態では、導光部120は、円筒部材を含む。なお、導光部120は、例えば、多角形状、楕円形状、長円形状などの断面を有する筒部材を含んでもよい。また、導光部120の外形は、例えば、円錐形状、多角柱形状または多角錘形状であってもよい。
【0023】
導光部120は、所定の長さを有する。導光部120は、試料500と光源111との間の距離に応じた長さを有する。具体的には、本実施形態では、試料500は、導光部120の一端部120bに載置される。導光部120の他端部120cは、光源基板112に載置される。従って、導光部120の長さは、試料500と光源111との間の距離L1と、光源111の高さL2との和に等しい。
【0024】
試料500と光源111との間の距離L1は、特に限定されるものではないが、例えば、3mm以上、200mm以下である。また、距離L1は、例えば、5mm以上、100mm以下である。また、距離L1は、例えば、5mm以上、20mm以下である。本実施形態では、距離L1は、約10mmである。このように、試料500と光源111との間の距離L1(ここでは、約10mm)を短くすることによって、光源111から試料500まで光を導光する際の内面120aでの反射回数を抑制できる。このため、光が内面120aで吸収される量を抑制できるので、より多くの光を試料500に照射することができる。その結果、光の利用効率を高くできる。
【0025】
図1に示すように、導光部120は、中心軸L120を有する。中心軸L120は、筒部材の中心を通る仮想軸である。また、中心軸L120は、内面120aの中心を通る仮想軸である。本実施形態では、中心軸L120は、光源111の光軸L111と略一致する。中心軸L120は、光源111の光軸L111に沿って延びる。なお、本実施形態では、中心軸L120は光軸L111と略一致するため、図1では、中心軸L120と光軸L111とを1つの線で描いている。
【0026】
導光部120の材質は、特に限定されるものではないが、導光部120は、例えば、金属製である。また、導光部120の内面120aは、特に限定されるものではないが、例えば、鏡面であることが好ましい。本実施形態では、導光部120の内面120aは、鏡面である。内面120aは、例えば、鏡面加工が施されていてもよい。具体的には、本実施形態では、内面120aは、電解研磨によって鏡面加工が施されている。紫外光から青色光に対する内面120aの反射率は、例えば、90%以上である。内面120aに鏡面加工を施すことによって、内面120aに鏡面加工を施さない場合に比べて、試料500を照射する光の強度を例えば約4倍に高くできる。つまり、光の利用効率を約4倍に高くできるとともに、試験時間を約1/4に短縮可能である。
【0027】
導光部120の材質は、アルミニウムに限らず、例えば、銀または銅などの金属であってもよい。また、導光部120の材質は、例えば、樹脂であってもよい。導光部120の内面120aは、例えば、紫外光に対して反射率の高いコーティングが施されていてもよい。例えば、導光部120の内面120aは、白金またはパラジウムがコーティングされていてもよい。
【0028】
また、上述したように、試料500と光源111との間の距離L1を短くすることによって、内面120aに鏡面加工やコーティングを容易に施すことができる。
【0029】
以上、図1を参照して説明したように、試験装置100は、紫外光波長域から青色光波長域にピーク波長を有する光を出射する光源111と、光源111から出射した光を試料500に導光する導光部120とを備える。従って、光源111から出射した光を試料500に導光できるので、試料500に照射される光の強度が低下することを抑制できる。よって、耐久性試験にかかる時間を短縮することができる。
【0030】
なお、試料500を例えば光源111から数mmの距離まで近づけると、試料500が溶けた場合に溶けた試料500が光源111に付着する場合がある。その一方、導光部120を設けない状態において、試料500を光源111から数mm以上離隔させると、試料500に照射される光の強度が低下する。しかしながら、本実施形態では、導光部120を備えることによって、試料500を光源111から離隔させた場合であっても、試料500に照射される光の強度が低下することを抑制できる。
【0031】
また、上記のように、導光部120は、筒部材を含み、筒部材の内面120aは、光源111から出射した光を反射して試料500に導光する。従って、導光部120の内部から外部に光が漏れることを抑制できるので、試料500に照射される光の強度が低下することをより抑制できる。
【0032】
また、導光部120が筒部材を含むことによって、光源111と試料500との間の距離L1に起因して、試料500に照射される光の強度が急激に変化することを抑制できる。よって、距離L1を微調整する必要がない。なお、導光部120が、例えば光源111からの光を集光するレンズを含む場合、光源111と試料500との間の距離L1に起因して、試料500に照射される光の強度が急激に変化する場合がある。従って、例えば、導光部120がレンズを含む場合、導光部120が筒部材を含む場合に比べて、より精度良く位置調整する必要がある。
【0033】
また、上記のように、内面120aは、鏡面である。従って、内面120aで光が吸収されることを抑制できるので、試料500に照射される光の強度が低下することをさらに抑制できる。
【0034】
また、上記のように、中心軸L120は、光源111の光軸L111と略一致する。従って、試料500に対して均一な光を照射できるので、試料500の耐久性を適切に評価できる。なお、中心軸L120が光軸L111に対してずれた位置に配置されている場合、試料500に対して偏った不均一な光が照射される場合がある。
【0035】
また、上記のように、試料500は、有機物を含む。有機物は、光によって変色したり溶けたりしやすいため、光照射による耐久性試験が行われやすい。また、光照射による耐久性試験は、数か月以上にも及ぶため時間がかかる。よって、試料500が有機物を含む場合に本発明を適用して試験にかかる時間を短縮することは、特に効果的である。
【0036】
引き続き図1を参照して、試験装置100について説明する。試験装置100は、光源ユニット110と、ヒートシンク130と、試験装置本体140とをさらに備える。光源ユニット110は、光源111と、光源111が搭載される光源基板112とを含む。光源基板112は、光源111に電気的に接続される。光源基板112は、金属配線を有する。光源基板112には、抵抗等の電子部品が搭載されてもよい。
【0037】
ヒートシンク130は、光源111で発生した熱を空気中等に放熱する。ヒートシンク130は、例えば、金属製である。ヒートシンク130は、例えば、複数のフィン130aを有する。ヒートシンク130は、例えば、光源ユニット110の光源基板112に接触する。ヒートシンク130には、光源111からの熱が光源基板112を介して伝達される。
【0038】
試験装置本体140は、例えば、導光部120および試料500を覆う。本実施形態では、試験装置本体140は、ヒートシンク130、光源ユニット110、導光部120および試料500の上方および側方を覆う。試験装置本体140は、光源111が出射する光以外の光が試料500に照射されることを抑制する。試験装置本体140は、例えば、光源111から出射した光を遮光する樹脂、または、金属によって形成される。本実施形態では、試験装置本体140は、紫外光を遮光するアクリル樹脂製である。
【0039】
試験装置100は、光測定器150と、撮像部160と、温度計170とをさらに備える。
【0040】
光測定器150は、光源111から出射した光の強度を測定する。光測定器150は、例えば、フォトダイオードを含む。本実施形態では、光測定器150は、少なくとも紫外光波長域から青色光波長域までの光の強度を測定する。光測定器150は、例えば、試料500が試験装置100内の所定位置に配置された状態(図1の状態)において、光源111から出射し導光部120によって導光され試料500を透過した光の強度を測定する。従って、試料500が、例えば、無色透明から茶色等に変色すると、光測定器150の測定値が低下するため、試料500が変色したことがわかる。なお、光測定器150は、例えば、試料500が試験装置100内に配置されていない状態(図示せず)において、光源111から出射し導光部120によって導光された光の強度を測定してもよい。
【0041】
撮像部160は、試料500を撮像する。撮像部160により試料500の変色等を検出可能である。撮像部160は、例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ等の撮像素子であってもよい。また、撮像部160は、スマートフォン、デジタルカメラまたはビデオカメラ等の撮像が可能な電子機器であってもよい。
【0042】
温度計170は、試料500の温度を計測する。温度計170は、例えば、試料500の表面温度を計測する。温度計170は、非接触式の温度計であることが好ましい。温度計170は、例えば、赤外線センサを含む。
【0043】
次に、図1および図3を参照して、試験装置100の構成についてさらに説明する。図3は、試験装置100の構成を示すブロック図である。図1および図3に示すように、試験装置100は、電源装置180および制御装置200をさらに備える。
【0044】
電源装置180は、光源111に電気的に接続されており、光源111に電力を供給する。具体的には、電源装置180は、光源ユニット110の光源基板112に電気的に接続される。電源装置180は、光源基板112を介して光源111に電力を供給する。
【0045】
制御装置200は、制御部201および記憶部202を含む。制御部201は、プロセッサを有する。制御部201は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部201は、汎用演算機を有してもよい。制御部201は、試験装置100全体を制御する。制御部201は、例えば、光源111を制御する。
【0046】
記憶部202は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部202は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部202はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0047】
試験装置100は、表示部210および入力部220をさらに備える。表示部210および入力部220は、制御装置200に電気的に接続される。表示部210は、例えば、表示パネルを含む。表示部210は、例えば、光測定器150の測定結果、撮像部160の撮像した画像、および、温度計170の計測結果等を表示する。
【0048】
入力部220は、ユーザによる入力操作を受け付ける。入力部220は、例えば、光源111から光を出射する時間の入力、および、光源111から出射する光の強度の入力を受け付ける。また、入力部220は、光源111から光を、一定の強度で連続的に出射するか、間欠的に出射するかの入力を受け付けるように構成されてもよい。例えば、入力部220に対してユーザが、光源111から光を一定の強度で連続的に出射するように入力すると、略一定の強度の光が光源111から出射される。その一方、入力部220に対してユーザが、光源111から光を間欠的に出射するように入力すると、光源111から間欠的に光が出射される。
【0049】
耐久性試験を行う場合、光源111は、光を間欠的に出射してもよい。例えば、光源111は、光の出射と光の出射停止とを1秒間ずつ交互に行ってもよい。また、例えば、光源111は、光の出射の累積時間が数十秒、数分または十数分になるまで、間欠的に光を出射してもよい。例えば、光源111は、光の出射の累積時間が3分または6分になるまで、間欠的に光を出射してもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、光源111は、光の出射と光の出射停止とを1秒間ずつ交互に行う例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば、光源111は、光の出射を1秒間以外の時間だけ行ってもよい。つまり、光源111は、例えば、光の出射を1秒未満、数秒または数十秒以上行ってもよい。また、例えば、光源111は、光の出射停止を1秒間以外の時間だけ行ってもよい。つまり、光源111は、例えば、光の出射停止を1秒未満、数秒または数十秒以上行ってもよい。また、光の出射時間と光の出射停止時間とを異なる時間にしてもよい。例えば、光源111は、光の出射を1秒間、光の出射停止を2秒間にして、間欠的に光を出射してもよい。光源111のデューティ比(出射時間/(出射時間+出射停止時間))は、1/2以下が好ましく、1/3以下がさらに好ましい。
【0051】
光源111から間欠的に光が出射することによって、例えば、試料500の温度が高くなりすぎることを抑制できる。よって、温度上昇に起因して試料500が溶けることを抑制できる。つまり、実際の事象とは異なる要因によって試料500が溶けることを抑制できる。従って、実際の使用環境に近い状態で試料500の耐久性を試験できる。
【0052】
次に、光源111から光を連続的または間欠的に出射する場合についてさらに説明する。
【0053】
例えば、紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有する樹脂の耐久性を評価する場合がある。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤(UVA)または光安定剤(HALS)等が挙げられる。紫外線吸収剤(UVA)は、紫外光による樹脂の化学結合の切断を抑制する添加剤である。光安定剤(HALS)は、紫外光により生じたラジカルを鎮静化する添加剤である。
【0054】
このような添加剤を含有する樹脂を試料500として試験する場合、試料500の温度が上昇することによって試料500が溶解する場合がある。この場合、樹脂の実際の耐久性と、耐久性試験の結果とが、乖離するおそれがある。従って、紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有する樹脂の耐久性を評価する場合は、光源111から間欠的に光を出射することによって、熱を放熱するための時間を確保して樹脂の温度上昇を抑えながら試験することが好ましい。
【0055】
その一方、紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有しない樹脂を試料500として評価する場合、試料500の温度はあまり上昇しないので、試料500は溶解しない。従って、紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有しない樹脂の耐久性を評価する場合は、光源111から連続的に光を出射することによって、短時間で試験することが好ましい。
【0056】
次に、上記した本実施形態の効果を確認するために行った確認実験について説明する。まず、試料500と光源111との間の距離L1を10mmから100mmまで変化させた場合における耐久性試験について説明する。この確認実験では、上記実施形態に対応する実施例1~実施例3について行った。
【0057】
(実施例1)
実施例1では、試料500の材質をポリカーボネートとした。試料500の色は、無色透明にした。光源111として、365nmのピーク波長を有する紫外光を出射するLEDを用いた。導光部120は、内面120aを有するアルミニウム製の円筒部材を用いた。内面120aには、電解研磨により鏡面加工を施した。なお、試料500として、上記添加剤を含有する樹脂を用いた。
【0058】
そして、試料500と光源111との間の距離L1を10mmにし、光源111から光を一定の強度で連続的に3分間出射した。
【0059】
(実施例2)
実施例2では、距離L1を50mmにし、光源111から光を一定の強度で連続的に5分8秒出射した。なお、実施例2において光源111から出射する光の強度は、実施例1において光源111から出射する光の強度と同じにした。また、光の出射時間を5分8秒にすることによって、試料500に照射される光のエネルギーを実施例1と同じにした。また、実施例2のその他の条件は、実施例1と同じにした。なお、本実施形態において、光のエネルギー[J(ジュール)]とは、光の強度に照射時間を掛けたものである。光のエネルギーは、積算光量とも呼ばれる。
【0060】
(実施例3)
実施例3では、距離L1を100mmにし、光源111から光を一定の強度で連続的に8分36秒出射した。なお、実施例3において光源111から出射する光の強度は、実施例1および実施例2において光源111から出射する光の強度と同じにした。また、光の出射時間を8分36秒にすることによって、試料500に照射される光のエネルギーを実施例1および実施例2と同じにした。なお、実施例3のその他の条件は、実施例1および実施例2と同じにした。
【0061】
実施例1~実施例3について、試料500の溶解および変色を確認した。その結果を、以下の表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1を参照して、距離L1を短くした方が、試料500の劣化を短時間で評価できることが判明した。具体的には、実施例1では、試料500は、溶解および変色した。実施例2では、試料500は、溶解した一方、変色しなかった。実施例3では、試料500は、わずかに溶解し、変色しなかった。つまり、例えば、距離L1を10mmにした実施例1では、距離L1を100mmにした実施例3に比べて、1/3程度の評価時間であるにもかかわらず、溶解も変色も進行することが判明した。つまり、実施例1では、実施例3に比べて、評価時間を1/3よりも少なくできることが判明した。
【0064】
次に、光源111から光を連続的または間欠的に出射する場合における耐久性試験について説明する。この確認実験では、上記実施形態に対応する実施例1、実施例4および実施例5について行った。
【0065】
(実施例4)
実施例4では、光源111からの光の出射時間を1秒、光の出射停止時間を2秒にして、出射と出射停止とを交互に行った。そして、光源111の光の出射の累積時間を3分とした。これにより、試料500に照射される光のエネルギーを実施例1と同じにした。なお、試料500としては、実施例1と同様、上記添加剤を含有する樹脂を用いた。実施例4のその他の条件は、実施例1と同じにした。
【0066】
(実施例5)
実施例5では、光源111からの光の出射時間を1秒、光の出射停止時間を2秒にして、出射と出射停止とを交互に行った。そして、光源111の光の出射の累積時間を6分とした。これにより、試料500に照射される光のエネルギーを実施例1および実施例4の2倍にした。なお、実施例5のその他の条件は、実施例1および実施例4と同じにした。
【0067】
実施例1、実施例4および実施例5について、試料500の溶解および変色を確認した。その結果を、以下の表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2を参照して、光を間欠的に出射した場合(実施例4、5)、光を連続的に出射する場合(実施例1)に比べて、熱による試料500の溶解を抑制できることが判明した。
【0070】
具体的には、実施例1では、試料500は、溶解した。その一方、実施例4および実施例5では、試料500は、わずかに溶解した。また、実施例5では、試料500の溶解の程度は、実施例4と同程度であった。つまり、実施例5では、実施例1および実施例4に比べて、試料500に照射した光のエネルギーが2倍であるにもかかわらず、試料500の溶解は、実施例4からほとんど進行しなかった。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例4および実施例5では、1秒間光を出射した後、2秒間光の出射を停止するため、熱を放熱する時間を確保でき、試料500の温度が上昇することを抑制できたためであると考えられる。
【0071】
また、実施例1では、試料500は、変色した。その一方、実施例4および実施例5では、試料500は、変色しなかった。つまり、実施例4では、実施例1に比べて、試料500に照射した光のエネルギーが同じであるにもかかわらず、試料500の変色は見られなかった。また、実施例5では、実施例1に比べて、試料500に照射した光のエネルギーが2倍であるにもかかわらず、試料500の変色は見られなかった。これは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例1では、熱により試料500が溶解し、溶解により分子結合の相互作用が弱まり、吸収端が低エネルギー側にシフトした。このため、紫外光の影響を受けやすくなり、変色に至ったと考えられる。つまり、変色についても、熱による溶解が影響すると考えられる。従って、光源111から光を間欠的に出射した方が、光を連続的に出射する場合に比べて、試料500を適切に試験できると考えられる。
【0072】
以下、第1実施形態の変形例について説明する。
【0073】
図4を参照して第1実施形態の変形例について説明する。図4は、第1実施形態の変形例の試験装置100の構造を概略的に示す断面図である。この変形例では、導光部121が筒部材以外の部材を含む例について説明する。
【0074】
図4に示すように、導光部121は、光源111から出射した光を試料500に導光する。導光部121は、光源111からの光を屈折して透過する透明部材を含む。導光部121は、光源111からの光が発散することを抑制する。本変形例では、導光部121は、光源111からの光を集光するレンズを含む。導光部121がレンズを含む場合、光源111からの光が集光される位置P1(以下、焦点P1と記載する)が試料500の外部に位置するように、試料500を配置することが好ましい。なお、導光部121は、光源111からの光を平行光にして試料500に導光してもよい。
【0075】
導光部121は、例えば、光源111側に配置される光入射面121aと、光源111とは反対側(試料500側)に配置される光出射面121bとを有する。導光部121の形状は、特に限定されるものではないが、本変形例では、光入射面121aは、凹形状を有し、光出射面121bは、凸形状を有する。光入射面121aが凹形状を有することによって、導光部121を光源111に近づけた場合であっても、導光部121が光源111に接触することを抑制できる。
【0076】
導光部121は、光入射面121aおよび光出射面121bが形成された本体部121cと、複数の脚部121dとを有する。本体部121cは、試料500側から見て、光源111全体を覆う。本体部121cは、光源111の近傍に配置されることが好ましい。脚部121dは、光入射面121aに配置される。脚部121dは、光源基板112に載置または固定される。
【0077】
また、導光部121の中心軸(図示せず)は、光源111の光軸L111(図1参照)と略一致する。導光部121の中心軸は、光源111の光軸L111に沿って延びる。
【0078】
導光部121の材質は、特に限定されるものではないが、導光部121は、例えば、ガラス製または樹脂製である。
【0079】
以上、図4を参照して説明したように、導光部121は、光源111からの光を集光するレンズを含む。この場合も、第1実施形態と同様、光源111から出射した光を試料500に導光できるので、試料500に照射される光の強度が低下することを抑制できる。よって、耐久性試験にかかる時間を短縮することができる。
【0080】
また、上記のように、焦点P1が試料500の外部に位置するように、試料500を配置することによって、試料500の内部において光が集中し過ぎることを抑制できる。
【0081】
変形例のその他の構造および効果は、第1実施形態と同様である。
【0082】
(第2実施形態)
次に、図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る試験装置100について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なり、加熱された状態の試料500に光を照射する例について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る試験装置100の構造を概略的に示す断面図である。
【0083】
図5に示すように、本実施形態の試験装置100は、加熱部250および載置台260をさらに備える。なお、図5では、光測定器150および撮像部160を描いていないが、試験装置100は、光測定器150および撮像部160を備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0084】
加熱部250は、試料500を加熱する。加熱部250は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風を吹き出すヒートガンを含む。なお、加熱部250は、例えば、赤外光により試料500を加熱する赤外光出射装置を含んでもよい。
【0085】
載置台260には、試料500が載置される。載置台260は、例えば、導光部120上に配置される。載置台260は、光源111からの光を透過する。載置台260は、例えば、紫外光波長域から青色光波長域の光を透過する。載置台260は、例えば、無色透明である。また、載置台260は、少なくとも試料500よりも高い耐熱性を有する。載置台260は、例えば、加熱部250からの熱で溶けない耐熱性を有する。載置台260は、例えば、200℃以上、好ましくは250℃以上の耐熱性を有する。載置台260は、例えば、ガラス板によって形成される。
【0086】
温度計170は、試料500の温度を計測する。本実施形態では、温度計170は、接触式の温度計である。温度計170は、例えば、熱電対を含む。なお、温度計170は、第1実施形態と同様、例えば、非接触式の温度計であってもよいし、赤外線センサを含んでもよい。
【0087】
次に、図6を参照して、試験装置100の構成についてさらに説明する。図6は、試験装置100の構成を示すブロック図である。
【0088】
図5および図6に示すように、加熱部250および温度計170は、制御装置200に電気的に接続される。制御部201は、加熱部250を制御する。制御部201は、温度計170の検出結果に基づいて、加熱部250を制御する。
【0089】
具体的には、制御部201が加熱部250をオンすることによって、加熱部250は、熱風を試料500に吹き付ける。これにより、試料500の温度が上昇する。試料500の温度が所定温度に達すると、制御部201は、試料500の温度が略一定になるように加熱部250を制御する。制御部201は、試料500の温度が略一定になるように、例えば、加熱部250のオンとオフとを繰り返す。また、制御部201は、試料500の温度が略一定になるのであれば、試料500の温度が所定温度に達した後は、加熱部250をオフにしてもよい。
【0090】
なお、本実施形態において、試料500の温度が略一定とは、厳密に温度が一定であることのみを意味するものではなく、所定温度範囲内に維持されることも意味する。所定温度範囲とは、例えば、目標温度に対して±5℃、±10℃、±20℃、または、±30℃の範囲である。
【0091】
制御部201は、試料500の温度が所定温度範囲になるように、光源111を制御する。これにより、試料500の温度を略一定に維持しながら、所定の波長の光(例えば、紫外光)による試料500の耐久性を試験することができる。なお、試料500を略一定の温度に維持する際の試料500の温度(目標温度)は、特に限定されるものではないが、例えば、120℃以上220℃以下であることが好ましく、150℃以上180℃以下であることがより好ましい。
【0092】
本実施形態では、加熱部250により加熱された状態の試料500に光(例えば、紫外光)を照射する。従って、上述した添加剤の影響を抑制した状態で、種々の試料500の耐久性を試験することができる。
【0093】
なお、本実施形態において、加熱部250により加熱された状態の試料500に光を照射するとは、試料500に光を照射しているときに、加熱部250がオンしていることのみを意味するものではなく、試料500が加熱部250により加熱されることによって、所定温度範囲内に維持されている試料500に光を照射することも意味する。
【0094】
以下、詳細に説明する。上述したように、例えば紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有する樹脂(以下、樹脂Aと記載することがある)を試料500として試験する場合、温度上昇に伴い試料500の耐久性が低下する。その一方、例えば紫外光を吸収して熱に変換する添加剤を含有しない樹脂(以下、樹脂Bと記載することがある)を試料500として試験する場合、温度上昇に伴う耐久性の低下はほとんど生じない。
【0095】
本実施形態では、樹脂Aを試験する場合も、樹脂Bを試験する場合も、加熱部250により同じ温度まで加熱し、その状態で光を照射する。つまり、温度および光の強度を同じにした状態で、2種類の樹脂(樹脂A、樹脂B)の耐久性を試験することができる。これにより、温度による影響を抑制した状態で、2種類の樹脂(樹脂A、樹脂B)の光に対する耐久性を比較することができる。
【0096】
なお、2種類の樹脂(樹脂A、樹脂B)の光に対する耐久性を略同じ温度で比較しようとした場合、光源111から間欠的に光を出射することによって、温度上昇を抑えながら試験することも考えられる。しかしながら、光源111から間欠的に光を出射する場合、光源111から連続的に光を照射する場合に比べて、試験時間が長くなる。本実施形態では、温度による影響を抑制した状態で光源111から連続的に光を照射するので、試験時間が長くなることを抑制できる。
【0097】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
例えば、上記の第1実施形態および第2実施形態では、光源111がLED素子を含む例について示したが、本発明はこれに限らない。光源111は、LED素子以外の、例えば放電ランプを含んでもよい。
【0099】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、試験装置100が光測定器150、撮像部160および温度計170を備える例について示したが、本発明はこれに限らない。試験装置100は、光測定器150、撮像部160および温度計170の1つ以上を備えなくてもよい。
【0100】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、試験装置100が表示部210および入力部220を備える例について示したが、本発明はこれに限らない。試験装置100は、表示部210および入力部220の1つ以上を備えなくてもよい。
【0101】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、表示部210と入力部220とを別々に設ける例について示したが、表示部210が入力部220を兼ねてもよい。この場合、例えば、入力部220は、ユーザによる入力操作を受け付けるタッチパネルを含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、試験装置および試験方法の分野に有用である。
【符号の説明】
【0103】
100 :試験装置
111 :光源
120、121 :導光部
120a :内面
140 :試験装置本体
250 :加熱部
500 :試料
L111 :光軸
L120 :中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6